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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022129287
(43)【公開日】2022-09-05
(54)【発明の名称】階段ユニット
(51)【国際特許分類】
   E04F 11/025 20060101AFI20220829BHJP
【FI】
E04F11/025
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021027955
(22)【出願日】2021-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西塚 隆志
【テーマコード(参考)】
2E301
【Fターム(参考)】
2E301CC44
2E301CC55
2E301CC56
2E301CC58
2E301CD02
2E301DD14
2E301DD72
2E301DD78
2E301DD93
(57)【要約】
【課題】高品質でありながら施工の手間を削減して工期の短縮およびコストダウンが可能な階段ユニットを提供する。
【解決手段】階段ユニットSUは、段板10と蹴込板20とがささら桁により支持されている。そして、ささら桁として、段板10を下方から支持する段板支持面31と蹴込板20の裏面を支持する蹴込支持面32とにより上面が階段状に形成されたささら下地30と、ささら下地30の外側面に重ねられ、かつ、少なくとも段板10の上面よりも上方に位置するようささら下地30よりも上方に延在された側面化粧材40と、を備えたささら桁アッセンブリSAが用いられている。また、側面化粧材40には、蹴込板20の横幅方向の端縁部を差し込むスリット43が形成されている。さらに、段板10の横幅方向の端面が、側面化粧材40に当接され、スリット43に差し込まれた蹴込板20の横幅方向の端縁部の前面が、スリット43の端面に当接されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
段板と蹴込板とがささら桁により支持された階段ユニットであって、
前記ささら桁が、
前記段板を下方から支持する段板支持面と前記蹴込板の裏面を支持する蹴込支持面とにより上面が階段状に形成されたささら下地と、
前記ささら下地の外側面に重ねられ、かつ、少なくとも前記段板の上面よりも上方に位置するよう前記ささら下地よりも上方に延在された側面化粧材と、
を備え、
前記側面化粧材には、前記蹴込板の横幅方向の端縁部を差し込むスリットが形成され、
前記段板の横幅方向の端面が、前記側面化粧材に当接され、前記スリットに差し込まれた前記蹴込板の横幅方向の端縁部の前面が、前記スリットの端面に当接されている階段ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の階段ユニットにおいて、
前記側面化粧材は、前記段板の前記端面に固定部材により固定されて前記端面に密着されている階段ユニット。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の階段ユニットにおいて、
前記蹴込板は、表面を形成する表面材と、前記表面材の裏面を支持し前記表面材を補強する補強支持材と、を備え、
前記スリットには、前記表面材の横幅方向の端縁部が挿入されている階段ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、階段ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、段板と蹴込板とをささら桁で支持した階段ユニットが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、この階段ユニットでは、段板および蹴込板の側面は、ささら化粧材(巾木)による化粧が施されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-182266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の階段ユニットでは、ささら化粧材は、段板の上面と蹴込板の前面とに当接して設けられるため、段板と蹴込板からの入力に耐える支持強度を持たせるために厚みのある部材が必要であった。このため、支持強度を有さないものを用いる場合と比較して、コストアップを招いていた。
【0005】
加えて、高い外観品質を確保するには、ささら化粧材と、段板および蹴込板とを、隙間なく当接させる必要があり、施工に手間を要し、施工期間増、コスト増を招く。
【0006】
そこで、本開示は、高品質でありながら施工の手間を削減して工期の短縮およびコスト低減が可能な階段ユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の階段ユニットは、段板と蹴込板とがささら桁により支持されている。そして、前記ささら桁が、前記段板を下方から支持する段板支持面と前記蹴込板の裏面を支持する蹴込支持面とにより上面が階段状に形成されたささら下地と、前記ささら下地の外側面に重ねられ、かつ、少なくとも前記段板の上面よりも上方に位置するよう前記ささら下地よりも上方に延在された側面化粧材と、を備える。さらに、前記側面化粧材には、前記蹴込板の横幅方向の端縁部を差し込むスリットが形成されている。また、前記段板の横幅方向の端面が、前記側面化粧材に当接され、前記スリットに差し込まれた前記蹴込板の横幅方向の端縁部の前面が、前記スリットの端面に当接されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示の階段ユニットでは、段板および蹴込板の支持強度をささら下地により確保しながら、段板の上面の側面には、ささら下地とは独立した側面化粧材を配置し、外観品質を確保できる。そして、側面化粧材は、段板の側面に接して配置されるため、段板と蹴込板とからの入力に耐える支持強度が不要であり、板厚の薄い安価な素材を用いることができ、コスト低減を図ることができる。
【0009】
しかも、蹴込板の横幅方向の端縁部は、側面化粧材のスリットに差し込まれ、その前面が、スリットの端面に当接されているため、蹴込板と側面化粧材とで形成されるコーナ部に隙間が生じないようにできる。また、段板は側面を側面化粧材に当接させるため、段板の上面に当接させる場合と比較して、両者の間に隙間が生じないようにするのが容易である。よって、側面化粧材と、段板および蹴込板との間に隙間が生じないようにして、高い外観品質を得ることができる。そして、このように階段ユニットは、ささら化粧材の直角の端面と、段板の上面および蹴込板の前面とを、隙間が生じないように当接させる作業が不要であるので、工場で組み立てることが可能であり、建築現場における施工手間を削減して工期の短縮およびコスト低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1の階段ユニットを示す分解斜視図である。
図2】実施の形態1の階段ユニットを背面側から見た分解斜視図である。
図3】実施の形態1の階段ユニットを背面側から見た斜視図である。
図4】実施の形態1の階段ユニットの一部の背面図である。
図5】実施の形態1の階段ユニットの段板と蹴込板との結合部を示す斜視図である。
図6】実施の形態1の階段ユニットのささら桁アッセンブリの要部の斜視図である。
図7】実施の形態1の階段ユニットの組立工程の説明図である。
図8】実施の形態1の階段ユニットの要部の斜視図である。
図9】実施の形態1の階段ユニットとの比較例の説明図であり、(a)は工場における組立の説明図、(b)は建築現場における施工の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に係る階段ユニットの実施の形態について図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
実施の形態1の階段ユニットSUの構成を、図面に基づいて説明する。
【0012】
実施の形態1の階段ユニットSUは、工場で組み立てられるもので、図1に示すように、段板10と、蹴込板20と、ささら桁としてのささら桁アッセンブリSAとを備える。そして、ささら桁アッセンブリSAは、ささら下地30と、側面化粧材40とを備える。
【0013】
なお、以下の説明では、階段ユニットSUに対して、図1の矢印Frの方向(蹴込板20から段板10の先端へ向かう方向)を手前、矢印Baの方向(矢印Frの反対方向)を奥、矢印Leの方向を左、矢印Riの方向を右、矢印UPの方向を上方と称する。
【0014】
段板10および蹴込板20は、木製の板材に形成されている。なお、段板10および蹴込板20は、表面を塗装や化粧板で仕上げたものや、表面を化粧仕上げしていないものを用いることができる。
【0015】
ささら桁アッセンブリSAは、段板10および蹴込板20の左右端部を支持するとともに、階段ユニットSUの左右の外観を整えるものであり、階段ユニットSUの左右のそれぞれに設けられている。なお、この左右に配置されるささら桁アッセンブリSAは、左右対称で形状の相違はあるが、構造は同様であるため、左右共通のものとして説明する。
【0016】
ささら桁アッセンブリSAを構成するささら下地30は、段板10および蹴込板20を支持するもので、段板10および蹴込板20に入力される荷重を支持可能な板厚(例えば、30mm程度)を備え、階段の傾斜に沿う方向に長い板材により形成されている。そして、さらら下地30の上端面は、段板10の下面を支持する上向きの段板支持面31と、蹴込板20の裏面を支持する手前方向を向いた蹴込支持面32とにより、階段状に形成されている。なお、ささら下地30は、階段ユニットSUとして完成した状態では、段板10および蹴込板20により覆われ、外観として現れないようになっている。
【0017】
ここで、ささら下地30における段板10および蹴込板20の取付構造について説明する。
【0018】
段板10は、左右横方向の両端部の下面が、図2および図4に示す取付ブラケット11により、ささら下地30の内側面に固定されている。すなわち、取付ブラケット11は、金属板で形成された上板11aと側板11bとによりL字断面形状に形成されている。そして、上板11aが、段板10の下面にタッピン螺子11cにより固定され、側板11bが、ささら下地30の内側面にタッピン螺子11c(図4図7参照)により固定されている。
【0019】
蹴込板20は、表面材21と補強支持材22とを備える。表面材21は、蹴込板20の表面を形成する薄い板材であり、上端縁部が段板10の下面に形成された溝部10a(図5参照)に挿入されている。そして、表面材21の左右方向の両端縁部は、段板10の左右両端面よりも僅かに(例えば、2mm程度)突出する寸法に形成されている。
【0020】
補強支持材22は、表面材21の裏面を支持し、表面材21を段板10に対して強固に固定するもので、裏当て材22aと上端支持材22bとにより略L字断面状に形成されている。
【0021】
裏当て材22aは、表面材21よりも板厚が厚く形成された板材であり、表面材21の裏面に接着されている。そして、裏当て材22aの下端部は、その下段の段板10の端面にタッピン螺子22c(図4参照)により固定されている。
【0022】
上端支持材22bは、裏当て材22aの上端部に結合されており、かつ、段板10の裏面に、接着されるとともに、木ねじ22d(図2参照)により固定されている。
【0023】
ささら桁アッセンブリSAを構成する側面化粧材40は、住宅ユニットへの組み込み時に、段板10の上面と蹴込板20の手前面とで形成される横から見て三角形の空間の側面に配置され、その外観を高めるとともに、階段の側壁050(図9参照)を保護する。
【0024】
側面化粧材40は、厚さ5~15mm程度のささら下地30よりも薄い合板により形成され、ささら下地30の外側面(なお、階段ユニットSUの左右方向で、中央に近い側を内側とし、中央から遠ざかる方向を外側とする)に接着されている。そして、側面化粧材40は、その上縁がささら下地30の階段状の上面よりも上方に延長して設けられている。
【0025】
そこで、側面化粧材40は、その形状および寸法が、下端縁41が、ささら下地30の下端縁に沿って配置され、上端縁42が、階段ユニットSUとして形成した際に段板10の手前上側の角部の頂点を結ぶ線に沿って配置されるように形成されている。また、側面化粧材40は、長手方向の両端部が、ささら下地30の長手方向両端部に略一致するように形成されている。なお、側面化粧材40において、段板10および蹴込板20と接する内側面には、木目模様の化粧材が設けられている。
【0026】
さらに、側面化粧材40には、下端縁から上端縁の近傍に向かう上下方向に長いスリット43が長手方向に一定の間隔で複数形成されている。このスリット43は、階段ユニットSUの完成時に、蹴込板20の表面材21の左右横端縁部(例えば、2mm程度)が差し込まれるものであり、表面材21が配置される位置に、表面材21を差し込み可能な幅に形成されている。すなわち、側面化粧材40とささら下地30とを組み合わせてささら桁アッセンブリSAを形成した際には、スリット43は、図6に示すように、ささら下地30の蹴込支持面32に沿って配置されている。
【0027】
(比較例の説明)
ここで、図9に基づいて実施の形態1の階段ユニットSUに対する比較例について説明する。
この比較例は、特許文献1に記載の技術を用いて実施の形態1の階段ユニットSUと同様の形状の化粧材を有した階段を建物に設置する例である。なお、比較例の説明において、実施の形態1と同様の構成には、実施の形態1に用いた符号を付して説明を省略する。
【0028】
図9(a)は工場で製造する比較例の階段ユニット010を示す。この階段ユニット010は、ささら桁030に段板10と蹴込板20とを組み付けたものである。なお、ささら桁030は、実施の形態1におけるささら下地30と同様のものである。
【0029】
そして、ユニット建物の建築現場において階段を形成する際には、まず、図9(b)に示すように、建物ユニットの所定位置に階段ユニット010を組み付ける。その後、略直角三角形の化粧板040の直角を成す二辺を、段板10の上面と蹴込板20の前面とに当接させた状態で、階段の側壁050に接着する。また、最上段の段板10の化粧板041は、図示のように、上端の頂点部分をカットライン042の位置で切除する形状としてもよい。
【0030】
このように、建築現場で化粧板040(041)を設置する際に、化粧板040と、段板10あるいは蹴込板20との間に、隙間が生じることがあった。
【0031】
すなわち、ささら桁030に段板10および蹴込板20を組み付ける際には、製造誤差や組付誤差により段板10と蹴込板20とが成す角度が正確に直角とはならない場合がある。このように、段板10と蹴込板20とが成す角度が直角からずれている場合、直角三角形の化粧板040の一辺を段板10に当接させると、化粧板040と蹴込板20との間に隙間が生じる。
【0032】
そして、このような隙間が生じた場合、建築現場において化粧板040の形状を修正して隙間を無くす必要があった。したがって、比較例では、建築現場において、施工に手間を要し、工期増およびコスト増を招いていた。また、化粧板040は、段板10と蹴込板20とに跨って設置されるため、段板10と蹴込板20とからの入力に耐える強度が必要であり、ささら桁030と同様の板厚が必要であり、板厚が薄いものを用いた場合と比較して、コストアップを招く。
【0033】
(実施の形態1の作用)
実施の形態1の階段ユニットSUは、上記の比較例の課題を解決することができるものであり、その施工手順について説明する。
実施の形態1では、階段ユニットSUは、工場において組み立てる。なお、この階段ユニットSUは、工場で製造した住宅ユニットに組み込む。
【0034】
<ささら桁アッセンブリ組立工程>
まず、ささら下地30に側面化粧材40を重ね合わせて接着し、ささら桁アッセンブリSAを組み立てる。この際、ささら下地30の下縁と側面化粧材40の下縁とを一致させて上下方向の位置決めを行い、かつ、ささら下地30と側面化粧材40との長手方向の端縁部の位置を一致させ、長手方向(傾斜方向)の位置決めを行う。なお、ささら下地30と側面化粧材40との結合には、接着材を用いる他にも、ビス、釘、ステープルなどの固定用の部材を用いてもよい。
【0035】
<段板および蹴込板の組付工程>
次に、ささら桁アッセンブリSAに段板10および蹴込板20を組み付ける。この場合、図2に示すように、左右の一方のささら桁アッセンブリSA(図2では左側のもの)に対し、段板10および蹴込板20を手前側(下側)のものから順に組み付ける。
この際、最下段に組み付ける段板10および蹴込板20は、予めL字状に組み付けた段板アッセンブリTAを形成しておき、ささら桁アッセンブリSAの最下段に組み付ける。なお、この最下段の蹴込板20は、ささら桁アッセンブリSAの下側の長手方向端面に当接させ、スリット43に挿入しないため、後述のコーナ部C1が生じることが無く、このコーナ部C1に隙間が生じるのを防止するための組付作業が不要であるため、一体として組み付ける。
【0036】
次に、ささら桁アッセンブリSAの下から2段目から順に、対となる段板10と蹴込板20とを組み付けるが、この場合、先に、蹴込板20を組み付け、その後、段板10を組み付ける。
【0037】
まず、蹴込板20を組み付ける場合、段板10の左右端面よりも左右方向に突出した表面材21の左右の一方の端縁部を、一方のささら桁アッセンブリSAの側面化粧材40のスリット43に差し込む。さらに、図7に示すように、表面材21を、矢印Fに示す手前方向に押し、表面材21の手前方向の面(前面)をスリット43の手前方向の端面43aに当接させる。
【0038】
次に、取付ブラケット11を、その上板11aの上面が、ささら下地30の段板支持面31と同じ高さとなるように配置し、さらに、矢印Fの方向に押して表面材21の奥側の端面に当接させる。これにより、表面材21の前面がスリット43の端面43aに当接した状態を維持し、この状態で、取付ブラケット11の側板11bを、ささら下地30の側面にタッピン螺子11cにより固定する。これにより、蹴込板20の位置決めが成される。
【0039】
さらに、位置決めした蹴込板20の下端部を、下段の段板10の奥側の端面に、タッピン螺子22cにより仮止めする。
【0040】
次に、段板10をささら下地30に固定する。この場合、蹴込板20の上端縁部が段板10の下面の溝部10aに挿入されるように(図5参照)、段板10の前後方向の位置決めを行う。そして、段板10の左右方向の端面を側面化粧材40の内側面に当接させ、左右方向の位置決めを行うとともに、段板10の下面を、ささら下地30の段板支持面31および取付ブラケット11の上板11aに当接させて上下方向の位置決めを行い、上板11aにタッピン螺子11cにより仮固定する。
【0041】
以上の工程を繰り返すことで、図2に示すように、左右一方(図では左側)のささら桁アッセンブリSAの全長に亘って段板10および蹴込板20を組み付ける。
【0042】
次に、図2に示す状態の段板10および蹴込板20のもう一方の端部に、もう一方(右側)のささら桁アッセンブリSAを組み付ける。このとき、蹴込板20の表面材21をスリット43に差し込み、表面材21の手前側の端面をスリット43の手前側の端面43aに押し当て、ささら桁アッセンブリSAの位置決めを行い、さらに、取付ブラケット11により押圧した状態として、取付ブラケット11を固定する。そして、ささら桁アッセンブリSAの側面化粧材40の外側面の上からステープル44を段板10の側端面に打ち込み、ささら桁アッセンブリSAを段板10に仮固定する。
【0043】
そして、後から取り付けたささら桁アッセンブリSAのささら下地30と段板10とを取付ブラケット11およびタッピン螺子11cにより固定する。また、最初に取付を行った一方のささら桁アッセンブリSAの側面化粧材40の外側面から、段板10の側面にステープル44を打って、側面化粧材40を段板10の側面に密着させる。次に、先に仮固定していたタッピン螺子11c、22cを締め付けて、段板10および蹴込板20を本固定する。以上により、階段ユニットSUの組み立てを終える。
【0044】
このように形成した階段ユニットSUは、蹴込板20の表面を形成する表面材21は、側面化粧材40のスリット43に差し込まれ、かつ、スリット43の手前側の端面43aに押し付けられているため、図8に示す蹴込板20の表面材21と側面化粧材40とで形成されるコーナ部C1に隙間が生じることが無く、仕上がり品質に優れる。
【0045】
また、側面化粧材40は、段板10の側端面に複数のタッピン螺子11cにより固定されているため、段板10と側面化粧材40とで形成されるコーナ部C2も、隙間が生じることなく、仕上がり品質に優れる。
【0046】
さらに、蹴込板20の下端部は、タッピン螺子22cにより段板10の奥側の端面に固定されるため、蹴込板20の手前側の面の下端部と、段板10の奥側の端部とにより形成されるコーナ部C3も、隙間が生じることなく、仕上がり品質に優れる。
【0047】
このように、側面化粧材40を備えた状態で工場において組み立てられながらも高品質の階段ユニットSUを得ることができる。
【0048】
そして、階段ユニットSUは、工場で製造し、建築現場では階段ユニットSUの設置作業のみで済み、比較例のように、化粧板040,041を1枚1枚設置する作業は、不要部分の切断作業が不要であり、施工性に優れ、かつ、建築現場における作業時間を短縮して、コスト低減を図ることができる。
【0049】
また、側面化粧材40は、段板10の側面に接して配置されるため、段板10と蹴込板20とからの入力に耐える支持強度が不要であるため、板厚の薄い安価な素材を用いることができ、コスト低減を図ることができる。
【0050】
(実施の形態1の効果)
以下に、実施の形態1の階段ユニットの効果を列挙する。
(1)実施の形態1の階段ユニットSUは、段板10と蹴込板20とがささら桁により支持された階段ユニットである。そして、ささら桁として、段板10を下方から支持する段板支持面31と蹴込板20の裏面を支持する蹴込支持面32とにより上面が階段状に形成されたささら下地30と、ささら下地30の外側面に重ねられ、かつ、少なくとも段板10の上面よりも上方に位置するようささら下地30よりも上方に延在された側面化粧材40と、を備えたささら桁アッセンブリSAが用いられている。また、側面化粧材40には、蹴込板20の横幅方向の端縁部を差し込むスリット43が形成されている。さらに、段板10の横幅方向の端面が、側面化粧材40に当接され、スリット43に差し込まれた蹴込板20の横幅方向の端縁部の前面が、スリット43の端面に当接されている。
【0051】
したがって、段板10および蹴込板20の支持強度をささら下地30により確保しながら、段板10の上面の側面には、ささら下地30とは独立した側面化粧材40を配置し、外観品質を確保できる。そして、側面化粧材40は、段板10の側面に接して配置されるため、段板10と蹴込板20とからの入力に耐える支持強度が不要であるため、板厚の薄い安価な素材を用いることができ、コスト低減を図ることができる。
【0052】
しかも、蹴込板20の横幅方向の端縁部は、側面化粧材40のスリット43に差し込み、その前面が、スリット43の端面に当接されているため、蹴込板20と側面化粧材40とで形成されるコーナ部C1に隙間が生じないようにできる。また、段板10は側面を側面化粧材40に当接させるため、段板10の上面に当接させる場合と比較して、両者の間のコーナ部C2に隙間が生じないようにするのが容易である。よって、側面化粧材40と、段板10および蹴込板20との間のコーナ部C1、C2に隙間が生じないようにして、高い外観品質を得ることができる。そして、このように階段ユニットSUは、ささら化粧材の直角の端面と、段板の上面および蹴込板の前面とを、隙間が生じないように当接させる作業が不要であるので、工場で組み立てることが可能であり、建築現場における施工手間を削減して工期の短縮およびコスト低減を図ることができる。
【0053】
(2)実施の形態1の階段ユニットSUでは、側面化粧材40は、段板10の端面に固定部材としてのステープル44により固定されて端面に密着されている。
したがって、側面化粧材40と段板10の端面とを、より密着させ、コーナ部C2に隙間が生じないようにして、外観品質をさらに高めることができる。
【0054】
(3)実施の形態1の階段ユニットSUでは、蹴込板20は、表面を形成する表面材21と、表面材21の裏面を支持し表面材21を補強する補強支持材22と、を備える。そして、スリット43には、表面材21の横幅方向の端縁部が挿入されている。
【0055】
したがって、スリット43に、補強支持材22の板厚相当の蹴込板が挿入されたものと比較して、蹴込板20から側面化粧材40への入力を低減でき、これにより、側面化粧材40として、より板厚が薄いものを用いることが可能であり、いっそうのコスト低減が可能となる。
【0056】
以上、図面を参照して、本開示の階段ユニットの実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0057】
実施の形態では、側面化粧材は、段板の上面の手前側の角部を結ぶ線に沿う形状としたものを示したが、その形状はこれに限定されない。例えば、側面化粧材の上端縁部が、特許文献1に記載のように、段板の上面から所定の高さの水平方向の縁部と、蹴込板の前面から手前方向に所定の寸法だけ離れた階段状のものなど、段板の上面よりも上方まで延在されていれば、任意の形状とすることができる。
【0058】
また、実施の形態では、スリットには、蹴込板の表面材のみを差し込むようにしたが、これに限定されず、例えば、蹴込板が、1枚の板材で形成されている場合は、蹴込板の全体の端縁部を差し込むようにしてもよい。
【符号の説明】
【0059】
10 段板
20 蹴込板
21 表面材
22 補強支持材
30 ささら下地
31 段板支持面
32 蹴込支持面
40 側面化粧材
43 スリット
43a 端面
44 ステープル(固定部材)
SA ささら桁アッセンブリ(ささら桁)
SU 階段ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9