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特開2022-129325熱伝導シート及び熱伝導シートの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022129325
(43)【公開日】2022-09-05
(54)【発明の名称】熱伝導シート及び熱伝導シートの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/36 20060101AFI20220829BHJP
   H01L 23/373 20060101ALI20220829BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20220829BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20220829BHJP
   C08L 83/04 20060101ALI20220829BHJP
   C08K 7/06 20060101ALI20220829BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
H01L23/36 D
H01L23/36 M
H05K7/20 F
C08L101/00
C08L83/04
C08K7/06
C08K3/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055268
(22)【出願日】2021-03-29
(31)【優先権主張番号】P 2021027117
(32)【優先日】2021-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113424
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 信博
(74)【代理人】
【識別番号】100185845
【弁理士】
【氏名又は名称】穂谷野 聡
(72)【発明者】
【氏名】戸端 真理奈
(72)【発明者】
【氏名】荒巻 慶輔
【テーマコード(参考)】
4J002
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
4J002AA001
4J002AA011
4J002AA021
4J002AC011
4J002AC081
4J002BB031
4J002BB121
4J002BB151
4J002BC031
4J002BC061
4J002BD031
4J002BD101
4J002BD141
4J002BE021
4J002BE061
4J002BF021
4J002BF031
4J002BG101
4J002BP011
4J002CC041
4J002CD001
4J002CF061
4J002CF071
4J002CF081
4J002CG001
4J002CH071
4J002CK021
4J002CL001
4J002CM041
4J002CN011
4J002CN031
4J002CP031
4J002DA016
4J002DE147
4J002DF017
4J002FA046
4J002FD206
4J002FD207
4J002GQ00
5E322AA01
5E322AA02
5E322AB11
5E322FA04
5E322FA09
5F136BC07
5F136DA25
5F136FA14
5F136FA25
5F136FA53
5F136GA17
5F136GA35
(57)【要約】
【課題】圧縮と解放を行った場合に復元力が良好な熱伝導シートを提供する。
【解決手段】繊維状フィラー3がバインダ樹脂2に分散しており、繊維状フィラー3が断面視で厚さ方向Bに70~90度の角度で配置された熱伝導シート1であって、熱伝導シート1を下記条件1で圧縮と解放を行った場合、解放後の繊維状フィラー3の配置角度が、断面視で圧縮前の角度の10度以内の範囲にある。条件1:熱伝導シート1の厚みを24時間常温で初期厚みから40%圧縮した後に解放する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維状フィラーがバインダ樹脂に分散しており、上記繊維状フィラーが断面視で厚さ方向に70~90度の角度で配置された熱伝導シートであって、
当該熱伝導シートを下記条件1で圧縮と解放を行った場合、解放後の上記繊維状フィラーの配置角度が、断面視で圧縮前の角度の10度以内の範囲にある、熱伝導シート。
条件1:当該熱伝導シートの厚みを24時間常温で初期厚みから40%圧縮した後に解放する。
【請求項2】
厚み2mm、直径29mmの当該熱伝導シートは、24時間常温で40%圧縮し、解放後3分後の直径が32.0mm以下である、請求項1に記載の熱伝導シート。
【請求項3】
上記繊維状フィラーの含有量が5~50体積%である、請求項1又は2に記載の熱伝導シート。
【請求項4】
上記バインダ樹脂の含有量が20~50体積%である、請求項1~3のいずれか1項に記載の熱伝導シート。
【請求項5】
ショアタイプOOにおける硬度が25~40である、請求項1~4のいずれか1項に記載の熱伝導シート。
【請求項6】
上記バインダ樹脂がシリコーン樹脂である、請求項1~5のいずれか1項に記載の熱伝導シート。
【請求項7】
上記繊維状フィラーがピッチ系炭素繊維である、請求項1~6のいずれか1項に記載の熱伝導シート。
【請求項8】
上記繊維状フィラー以外の他の熱伝導材料をさらに含み、
上記繊維状フィラーと上記他の熱伝導材料の含有量の合計が65体積%未満である、請求項1~7のいずれか1項に記載の熱伝導シート。
【請求項9】
上記繊維状フィラー以外の他の熱伝導材料をさらに含み、
上記他の熱伝導材料が、水酸化アルミニウム及びアルミナの少なくとも1種である、請求項1~8のいずれか1項に記載の熱伝導シート。
【請求項10】
バインダ樹脂と繊維状フィラーとを含む熱伝導組成物を調製する工程と、
上記熱伝導組成物から成形体ブロックを形成する工程と、
上記成形体ブロックをシート状にスライスして熱伝導シートを得る工程とを有し、
上記熱伝導シートが、請求項1~9のいずれか1項に記載の熱伝導シートである、熱伝導シートの製造方法。
【請求項11】
発熱体と、
放熱体と、
上記発熱体と上記放熱体との間に配置された請求項1~9のいずれか1項に記載の熱伝導シートとを備える、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、熱伝導シート及び熱伝導シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パーソナルコンピュータ等の各種電気機器やその他の機器に搭載されている半導体素子は、駆動により熱が発生し、発生した熱が蓄積すると半導体素子の駆動や周辺機器へ悪影響が生じるおそれがあるため、各種の冷却方法が用いられている。
【0003】
半導体素子を有する機器の冷却方法としては、当該機器にファンを取り付けて機器筐体内の空気を冷却する方法、半導体素子に放熱フィンや放熱板等のヒートシンクを取り付ける方法、フッ素系不活性液体に浸漬する方式等が知られている。半導体素子にヒートシンクを取り付けて冷却を行う場合、半導体素子の熱を効率よく放出させるために、半導体素子とヒートシンクとの間に熱伝導シートが設けられる。
【0004】
熱伝導シートの一例として、バインダ樹脂に充填剤(例えば、炭素繊維などの熱伝導性フィラー)を分散含有させたものが広く用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
【0005】
ところで、パーソナルコンピュータのCPU(Central Processing Unit)などの電子部品は、その高速化、高性能化に伴って、放熱量が年々増大する傾向にある。しかし、プロセッサ等のチップサイズは、微細シリコン回路技術の進歩によって、従来と同等以下に小さいサイズとなり、単位面積あたりの熱流速が高くなっている。このような電子部品の温度上昇による不具合などを回避するために、電子部品を、より効率的に放熱、冷却することが求められている。
【0006】
熱伝導シートの放熱特性を向上するためには、例えば、熱の伝わりにくさを示す指標である熱抵抗を下げることが求められる。熱伝導シートの熱抵抗を下げるためには、例えば、発熱体(例えば電子部品)や放熱体(例えばヒートシンク)に対する熱伝導シートの密着性を向上させることが有効となる。
【0007】
しかし、熱伝導シートを形成するための熱伝導成形体をスライスした熱伝導シートの表面は、通常、凹凸があるため、密着性が乏しい傾向にある。熱伝導シートの表面の密着性が乏しいと、実装工程において、発熱体や放熱体に対する熱伝導シートの密着性が悪くなり、熱伝導シートの熱抵抗を十分に下げるのが困難な傾向にある。特に、熱伝導シートの圧縮応力が低い場合、熱伝導シートを一度圧縮する(潰す)と反発力が小さいため、発熱体と放熱体との間のギャップが開いたときに、そのギャップに対して発熱体と放熱体との間に配置された熱伝導シートが追従しにくい傾向にある。
【0008】
熱伝導成形体をスライスして作製した熱伝導シートの表面をプレスする方法や、熱伝導成形体をスライスして作製した熱伝導シートを長時間静置することで、バインダ成分を熱伝導シートの表面に滲み出させて、熱伝導シートと被着体との密着性を改善させる方法が知られている(例えば、特許文献2、3を参照。)。
【0009】
しかし、熱伝導シートの表面をプレスしても、熱伝導シートの表面にバインダ成分が均一に滲み出さないことがあり、熱伝導シートの表面の場所によって密着性のばらつきが生じるおそれがある。また、熱伝導シートを長時間静置した場合も、熱伝導シートの表面をプレスする場合と同様の傾向がある。また、従来の技術では、熱伝導シートの圧縮と解放を行った場合、熱伝導シートの復元力、特に、繊維状フィラーの復元力が良好となるのかどうかについて検討されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2012-23335号公報
【特許文献2】特開2015-029076号公報
【特許文献3】特開2015-029075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本技術は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、熱伝導シートに対して圧縮と解放を行った場合に復元力が良好な熱伝導シートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本件発明者らが検討したところ、繊維状フィラーがバインダ樹脂に分散しており、繊維状フィラーが断面視で厚さ方向に70~90度の角度で配置された熱伝導シートについて圧縮と解放を行った場合、圧縮解放後に繊維状フィラーの復元力が良好であることで熱抵抗の悪化を抑制しうることを見出した。
【0013】
本技術は、繊維状フィラーがバインダ樹脂に分散しており、繊維状フィラーが断面視で厚さ方向に70~90度の角度で配置された熱伝導シートであって、熱伝導シートを下記条件1で圧縮と解放を行った場合、解放後の繊維状フィラーの配置角度が、断面視で圧縮前の角度の10度以内の範囲にある。
条件1:当該熱伝導シートの厚みを24時間常温で初期厚みから40%圧縮した後に解放する。
【0014】
本技術に係る熱伝導シートの製造方法は、バインダ樹脂と繊維状フィラーとを含む熱伝導組成物を調製する工程と、熱伝導組成物から成形体ブロックを形成する工程と、成形体ブロックをシート状にスライスして熱伝導シートを得る工程とを有し、熱伝導シートが上述した熱伝導シートである。
【発明の効果】
【0015】
本技術によれば、熱伝導シートに対して圧縮と解放を行った場合に復元力が良好な熱伝導シートを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、熱伝導シートの一例を示す断面図である。
図2図2は、熱伝導シートにおける繊維状フィラーの配置角度を測定する方法の一例を説明するための斜視図である。
図3図3は、熱伝導シートにおける繊維状フィラーの配置角度を測定する方法の一例を説明するための斜視図である。
図4図4は、圧縮前後の熱伝導シートの一例を示す断面図である。
図5図5は、熱伝導シートを適用した半導体装置の一例を示す断面図である。
図6図6は、圧縮前の熱伝導シートの断面のデジタルマイクロスコープ写真である。
図7図7は、圧縮解放後の熱伝導シートの断面のデジタルマイクロスコープ写真である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本技術に係る熱伝導シートは、繊維状フィラーがバインダ樹脂に分散しており、繊維状フィラーが断面視で厚さ方向に70~90度の角度で配置されている。また、本技術に係る熱伝導シートは、下記条件1で圧縮と解放を行った場合、圧縮解放後の繊維状フィラーの配置角度が、断面視で圧縮前の角度の10度以内の範囲にある。
条件1:当該熱伝導シートの厚みを24時間常温で初期厚みから40%圧縮した後に解放する。
【0018】
このように、本技術に係る熱伝導シートは、条件1のように圧縮と解放を行った場合の復元力、特に、繊維状フィラーの復元力が良好である。すなわち、本技術に係る熱伝導シートは、条件1のように大きくつぶしても、大きく戻る。ここで、繊維状フィラーの復元力とは、上述した条件1で熱伝導シートの圧縮と解放を行った場合、圧縮解放前後の熱伝導シートの断面視における繊維状フィラーの配置角度のずれの程度を意味する。繊維状フィラーの復元力が良好であるとは、条件1で熱伝導シートの圧縮と解放を行った場合、圧縮解放後の繊維状フィラーの配置角度が、熱伝導シートの断面視で圧縮前の角度の10度以内の範囲にあることをいう。本技術に係る熱伝導シートを発熱体(例えば、IC(Integrated Circuit))と放熱体(例えば、ヒートシンク)との間に配置した場合、発熱体と放熱体との間のギャップが開いたとしても、そのギャップに対して熱伝導シート中の繊維状フィラーを容易かつ迅速に追従させることができる。これにより、熱伝導シートの熱抵抗の悪化を抑制できる。
【0019】
図1は、熱伝導シートの一例を示す断面図である。熱伝導シート1は、バインダ樹脂2と、繊維状フィラー3とを含み、繊維状フィラー3が、断面視で厚さ方向Bに70~90度の角度で配置されている。換言すると、熱伝導シート1において、繊維状フィラー3の長軸が、熱伝導シート1の面方向Aに対して70~90度の範囲で配置されている。また、熱伝導シート1は、繊維状フィラー3以外の他の熱伝導材料4をさらに含んでもよい。
【0020】
そして、熱伝導シート1は、上述した条件1で圧縮と解放を行った場合、圧縮解放後の繊維状フィラー3の配置角度が、断面視で圧縮前の角度の10度以内の範囲にある。すなわち、熱伝導シート1は、圧縮解放前後の繊維状フィラー3の角度差が10度以内であり、圧縮解放後の繊維状フィラー3の角度が圧縮前の角度(位置)に戻りやすい傾向にある。
【0021】
上述した条件1の詳細について、例えば、厚み2mm、直径29mmの熱伝導シート1(サンプル)を24時間常温で初期厚みから(初期厚みに対して)40%圧縮し、圧縮を解放してから3分後に、熱伝導シート1中の繊維状フィラー3の配置角度を測定する。条件1において、熱伝導シート1のサイズを直径29mmとする点や、温度を常温とする点は、JIS K6262に準拠している。また、JIS K6262において、時間は選択制になっており、条件1の「24時間」は、当該規格で規定された時間の1つである。条件1による圧縮に関して、より詳細には、まず、熱伝導シート1の厚みを測定し、熱伝導シート1を直径29mmに加工する。加工した熱伝導シート1(サンプル)を、SUS304を表面とした治具に挟んで、サンプルの厚みに対して40%圧縮する。圧縮時は、サンプル厚みの60%厚のスペーサをねじ部に挟んでねじを締める。ねじを締めた後、所定の厚みまでサンプルを圧縮できたかどうかの確認のために、スペーサがずれ動かないことを確かめる。なお、表面に粘着性があるサンプルの場合は、粘着物(サンプル)が付着しないフィルムに挟んで圧縮してもよい。「常温」とは、JIS K 0050:2019(化学分析方法通則)に規定される15~25℃の範囲をいう。
【0022】
熱伝導シートにおいて、圧縮解放前後の繊維状フィラー3の角度差が10度を超えると、熱伝導シートを発熱体と放熱体との間に配置した場合に、発熱体と放熱体との間のギャップが開いたときに、そのギャップに対して熱伝導シートを追従させることが困難となり、結果として、熱伝導シートの熱抵抗が悪化しやすい傾向にある。熱伝導シート1は、圧縮解放前後の繊維状フィラー3の角度差が小さいほど好ましく、8度以内であってもよく、7度以内であってもよく、6度以内であってもよく、5.6度以内であってもよく、5.2度以内であってもよく、4度以内であってもよく、3.8度以内であってもよく、3.8~5.6度の範囲であってもよい。
【0023】
熱伝導シート1を上述した条件1で圧縮する前の繊維状フィラー3は、熱伝導シート1の断面視で熱伝導シート1の厚さ方向Bに70~90度の角度で配置されていればよく、80~84度の範囲であってもよく、81.9~83.1度の範囲であってもよい。また、熱伝導シート1を上述した条件1で圧縮解放後の繊維状フィラー3も、熱伝導シート1の断面視で熱伝導シート1の厚さ方向Bに70~90度の角度で配置されていることが好ましく、例えば、70~80度の範囲であってもよく、77.0~77.9度の範囲であってもよい。
【0024】
熱伝導シート1は、断面視で厚さ方向Bに、全ての繊維状フィラー3が70~90度の角度で配置されていなくてもよい。図2及び図3は、熱伝導シート1における繊維状フィラー3の配置角度を測定する方法の一例を説明するための斜視図である。図2,3中、矢印Aはサンプル(熱伝導シート1)の面方向、矢印Bはサンプル(熱伝導シート1)の厚み方向を表す。例えば、図2に示すように、熱伝導シート1から、厚み2mm、直径29mmのサンプル5を準備し、サンプル5の平面視(上面)における中央部を厚さ方向Bに所定の幅に切断し、図3に示すように、切断したサンプル6の切断面6Aにおいて、外周から5mm内側かつ上下1/3の範囲6Bで、任意の繊維状フィラー3の角度を5点測定した平均値が70~90度の範囲であってもよい。
【0025】
図4は、圧縮前後の熱伝導シートの一例を示す断面図である。図4中の矢印は、熱伝導シート1(切断したサンプル6)を条件1で圧縮することを意味する。すなわち、図4中の矢印の上側は、条件1で圧縮する前の熱伝導シート1(切断したサンプル6)の一例であり、図4中の矢印の下側は、条件1で圧縮後の熱伝導シート1(切断したサンプル6)の一例である。切断面6Aにおける範囲6Bは、それ以外の範囲(例えば、切断したサンプル6の切断面6Aの中心部6Ac)と比べて、例えば、圧縮後の熱伝導シート1における繊維状フィラー3が厚さ方向Bに密になりにくく、圧縮解放前後の繊維状フィラー3の角度の変化が表れやすい傾向にある。また、切断面6Aにおける範囲6Bは、それ以外の範囲(例えば、切断面6Aの中心部6Ac)と比べて、熱伝導シート1を上述した条件1で圧縮した際に、より力がかかって倒れやすい傾向にあるため、圧縮解放前後の繊維状フィラー3の角度の変化がより顕著に表れやすい傾向にあると考えられる。
【0026】
また、本技術に係る熱伝導シート1は、条件1のように圧縮と解放を行った場合の復元力が良好であり、圧縮解放前後の繊維状フィラー3の角度差を小さくすることに加えて、圧縮解放前後の熱伝導シート1の外形サイズの変化も小さくできる。
【0027】
例えば、厚み2mm、直径29mmの熱伝導シート1、すなわちサンプル5を、24時間常温で40%圧縮して解放後3分後のサンプル5の直径を、32.0mm以下とすることができ、31.0mm以下とすることもでき、30.0mm以下とすることもでき、29.9mm以下とすることもでき、29.6mm以下とすることもでき、29.5mm以下とすることもでき、29.5~29.9mmの範囲とすることもできる。
【0028】
このように、熱伝導シート1を発熱体と放熱体との間に配置した場合、発熱体と放熱体との間のギャップが開いたとしても、そのギャップに対して熱伝導シート1の外形サイズと熱伝導シート1中の繊維状フィラー3を追従させることができる。そのため、熱伝導シート1の熱抵抗の悪化をより効果的に抑制できる。また、熱伝導シート1は、圧縮解放前後の外形サイズの変化を小さくできるため、発熱体(例えばIC)の形状に応じて熱伝導シート1を加工して、発熱体の全面をより効率的に冷却できる。
【0029】
熱伝導シート1は、比較的柔らかいことが好ましく、例えばショアタイプOOにおける硬度が25~40であることが好ましい。熱伝導シート1の硬度がこのような範囲であることにより、圧縮解放後の熱伝導シート1中の繊維状フィラー3や、熱伝導シート1の外形サイズの復元力がより良好となる。また、熱伝導シート1の被着体に対する追従性がより良好となる。熱伝導シート1の硬度は、後述する実施例の方法で測定することができる。
【0030】
ここで、復元性を有する熱伝導シートとしてゴムシートが挙げられる。しかし、ゴムシートは、一般的にショアタイプOOにおける硬度が高く(硬く)、例えば発熱体としてのICや放熱体としてのヒートシンクに対する負荷が高い。また、ゴムシートよりも柔らかい熱伝導剤としてグリス(液状)が挙げられる。しかし、グリスは、発熱体としてのICに対する形状追従性や復元性が低い。ここで、圧縮率が低い領域(初期厚みに対して40%未満の圧縮)では、比較的硬い熱伝導シートでも潰すことができ、熱伝導シートを潰した後に繊維状フィラーの角度や、熱伝導シートの外形サイズを戻すことが可能である。しかし、硬い熱伝導シートでは、条件1のように初期厚みに対して40%熱伝導シートを圧縮しようとすると、破壊(例えば熱伝導シートに亀裂などが入る)が起きて、繊維状フィラーの角度や、熱伝導シートの外形サイズを戻すことが困難な傾向にある。また、硬い熱伝導シートでは、熱伝導シートを加圧(圧縮)するのに大変な力を要する。一方、本技術に係る熱伝導シート1は、ショアタイプOOにおける硬度を25~40に調整することができ、ゴムシートより柔らかく、グリス(液状)シートよりも復元性や被着体に対する形状追従性が良好である。すなわち、熱伝導シート1は、ショアタイプOOにおける硬度が25~40と柔らかいが、復元性が良好であり、条件1で圧縮したときにも、繊維状フィラー3の角度や、熱伝導シート1の外形サイズが戻りやすい。
【0031】
熱伝導シート1の厚みは、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、熱伝導シート1の厚みは、0.05mm以上とすることができ、0.1mm以上とすることもできる。また、熱伝導シート1の厚みの上限値は、5mm以下とすることができ、4mm以下であってもよく、3mm以下であってもよい。熱伝導シート1は、取扱性の観点では、厚みが0.1~4mmであることが好ましい。熱伝導シート1の厚みは、例えば、熱伝導シート1の厚みを任意の5箇所で測定し、その算術平均値から求めることができる。
【0032】
以下、熱伝導シート1の構成要素の具体例について説明する。熱伝導シート1は、例えば、バインダ樹脂2と、繊維状フィラー3と、他の熱伝導材料4とを含む。
【0033】
<バインダ樹脂>
バインダ樹脂2は、繊維状フィラー3や他の熱伝導材料4を熱伝導シート1内に保持するためのものである。バインダ樹脂2は、熱伝導シート1に要求される機械的強度、耐熱性、電気的性質等の特性に応じて選択される。バインダ樹脂2としては、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、熱硬化性樹脂の中から選択することができる。
【0034】
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体等のエチレン-αオレフィン共重合体、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリフッ化ビニリデン及びポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、スチレン-アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)樹脂、ポリフェニレン-エーテル共重合体(PPE)樹脂、変性PPE樹脂、脂肪族ポリアミド類、芳香族ポリアミド類、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチルエステル等のポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリル酸類、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルケトン、ポリケトン、液晶ポリマー、シリコーン樹脂、アイオノマー等が挙げられる。
【0035】
熱可塑性エラストマーとしては、スチレン- ブタジエンブロック共重合体又はその水添化物、スチレン-イソプレンブロック共重合体又はその水添化物、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0036】
熱硬化性樹脂としては、架橋ゴム、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂等が挙げられる。架橋ゴムの具体例としては、天然ゴム、アクリルゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン-ブタジエン共重合ゴム、ニトリルゴム、水添ニトリルゴム、クロロプレンゴム、エチレン-プロピレン共重合ゴム、塩素化ポリエチレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、及びシリコーンゴムが挙げられる。
【0037】
バインダ樹脂2としては、例えば、電子部品の発熱面とヒートシンク面との密着性を考慮するとシリコーン樹脂が好ましい。シリコーン樹脂としては、例えば、アルケニル基を有するシリコーンを主成分とし、硬化触媒を含有する主剤と、ヒドロシリル基(Si-H基)を有する硬化剤とからなる、2液型の付加反応型シリコーン樹脂を用いることができる。アルケニル基を有するシリコーンとしては、例えば、ビニル基を有するポリオルガノシロキサンを用いることができる。硬化触媒は、アルケニル基を有するシリコーン中のアルケニル基と、ヒドロシリル基を有する硬化剤中のヒドロシリル基との付加反応を促進するための触媒である。硬化触媒としては、ヒドロシリル化反応に用いられる触媒として周知の触媒が挙げられ、例えば、白金族系硬化触媒、例えば白金、ロジウム、パラジウムなどの白金族金属単体や塩化白金などを用いることができる。ヒドロシリル基を有する硬化剤としては、例えば、ヒドロシリル基を有するポリオルガノシロキサンを用いることができる。バインダ樹脂2は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0038】
熱伝導シート1中のバインダ樹脂2の含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、熱伝導シート1中のバインダ樹脂2の含有量は、熱伝導シート1の柔軟性や復元性の観点では、20体積%以上とすることができ、25体積%以上であってもよく、30体積%以上であってもよく、33体積%以上であってもよい。また、熱伝導シート1中のバインダ樹脂2の含有量は、熱伝導シート1の熱伝導率や復元性の観点では、70体積%以下とすることができ、60体積%以下であってもよく、50体積%以下であってもよく、41体積%以下であってもよく、39体積%以下であってもよい。また、熱伝導シート1中のバインダ樹脂2の含有量は、例えば、熱伝導シート1の復元性の観点では、20~50体積%とすることが好ましく、35体積%超、41体積%以下とすることがより好ましく、39~41体積%とすることがさらに好ましい。
【0039】
<繊維状フィラー>
熱伝導シート1は、繊維状フィラー3を含む。繊維状フィラー3とは、長軸と短軸とを有し、長軸と短軸の長さが異なりアスペクト比(平均長軸長さ/平均短軸長さ)が1を超える形状であるものを含む。繊維状フィラー3は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。繊維状フィラー3は、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属繊維、炭素繊維などを用いることができ、炭素繊維が好ましい。
【0040】
炭素繊維は、例えば、ピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維、PBO繊維を黒鉛化した炭素繊維、アーク放電法、レーザー蒸発法、CVD法(化学気相成長法)、CCVD法(触媒化学気相成長法)等で合成された炭素繊維を用いることができる。これらの中でも、熱伝導性の観点では、ピッチ系炭素繊維が好ましい。
【0041】
繊維状フィラー3の平均繊維長(平均長軸長さ)は、例えば、50~250μmとすることができ、75~220μmであってもよい。また、繊維状フィラー3の平均繊維径(平均短軸長さ)は、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、4~20μmとすることができ、5~14μmであってもよい。繊維状フィラー3のアスペクト比は、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱伝導性の観点では、例えば、8以上とすることができ、9~30であってもよい。繊維状フィラー3の平均長軸長さ及び平均短軸長さは、例えば、マイクロスコープや走査型電子顕微鏡(SEM)で測定することができる。
【0042】
炭素繊維は、目的に応じて、表面が絶縁被膜によって被覆されていてもよい。このように、炭素繊維として、絶縁被覆炭素繊維を用いることができる。絶縁被覆炭素繊維は、炭素繊維と、炭素繊維の表面の少なくとも一部に絶縁皮膜とを有し、必要に応じて、その他の成分を含有してもよい。
【0043】
絶縁皮膜は、電気絶縁性を有する材料からなり、例えば、酸化ケイ素や、重合性材料の硬化物で形成されている。重合性材料は、例えばラジカル重合性材料であり、重合性を有する有機化合物、重合性を有する樹脂などが挙げられる。ラジカル重合性材料は、エネルギーを利用してラジカル重合する材料であれば、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラジカル重合性2重結合を有する化合物が挙げられる。ラジカル重合性2重結合としては、例えば、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられる。ラジカル重合性2重結合を有する化合物におけるラジカル重合性2重結合の個数は、耐熱性や、耐溶剤性を含む強度の観点では、2つ以上が好ましい。ラジカル重合性2重結合を2つ以上有する化合物は、例えば、ジビニルベンゼン(Divinylbenzene:DVB)、(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する化合物が挙げられる。ラジカル重合性材料は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。ラジカル重合性材料の分子量は、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、50~500の範囲とすることができる。絶縁皮膜が重合性材料の硬化物で形成されている場合、絶縁被膜における重合性材料に由来する構成単位の含有量は、例えば、50質量%以上とすることができ、90質量%以上とすることもできる。
【0044】
絶縁皮膜の平均厚みは、目的に応じて適宜選択することができ、高い絶縁性を実現する観点では、50nm以上とすることができ、100nm以上であってもよく、200nm以上であってもよい。絶縁被膜の平均厚みの上限値は、例えば、1000nm以下とすることができ、500nm以下であってもよい。絶縁被膜の平均厚みは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により求めることができる。
【0045】
絶縁皮膜により炭素繊維を被覆する方法としては、例えば、ゾルゲル法、液相堆積法、ポリシロキサン法、特開2018-98515号公報に記載された炭素繊維の表面の少なくとも一部に重合性材料の硬化物からなる絶縁皮膜を形成する方法等が挙げられる。
【0046】
熱伝導シート1中の繊維状フィラー3の含有量は、熱伝導シート1の熱伝導性の観点では、例えば、5体積%以上とすることができ、10体積%以上とすることもでき、14積%以上とすることもでき、20体積%以上とすることもでき、25体積%以上とすることもできる。また、熱伝導シート1中の繊維状フィラー3の含有量は、熱伝導シート1の成形性の観点では、例えば30体積%以下とすることができ、28体積%以下とすることもでき、25体積%以下とすることもでき、23体積%以下とすることもできる。熱伝導シート1中の繊維状フィラー3の含有量は、例えば、5~50体積%とすることができ、14~25体積%とすることが好ましい。2種以上の繊維状フィラー3を併用する場合、その合計量が上述した含有量を満たすことが好ましい。
【0047】
<他の熱伝導材料>
他の熱伝導材料4は、上述した繊維状フィラー3以外の熱伝導材料であり、例えば、無機フィラーが挙げられる。他の熱伝導材料4の形状は、例えば、球状、破砕状、楕円球状、塊状、粒状、扁平状などが挙げられる。他の熱伝導材料4の形状は、充填性の観点では、破砕状、球状、楕円球状などが好ましく、熱伝導シート1の復元性、特に、熱伝導シート1において圧縮と解放を行った場合、解放後に繊維状フィラー3の復元力をより良好とする観点では破砕状が好ましい。なお、粉砕状とは、例えば、長軸と短軸を有し、長軸方向と短軸方向の長さの比が10以下であるものをいう。他の熱伝導材料4は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0048】
他の熱伝導材料4は、例えば、無機フィラーであり、具体的には、酸化アルミニウム(アルミナ、サファイア)、窒化アルミニウム、水酸化アルミニウム、アルミニウム、酸化亜鉛などを用いることができる。特に、熱伝導シート1の復元性や熱伝導率の観点では、水酸化アルミニウム及びアルミナの少なくとも1種を用いることが好ましく、具体例として、アルミナを単独で用いる態様、水酸化アルミニウムを単独で用いる態様が挙げられる。
【0049】
アルミナ粒子の平均粒径(D50)は、例えば、0.1~10μmとすることができ、0.1~8μmであってもよく、0.1~7μmであってもよく、0.1~2μmであってもよい。水酸化アルミニウム粒子の平均粒径(D50)は、例えば、0.1~10μmとすることができ、0.1~8μmであってもよく、0.1~7μmであってもよく、0.1~2μmであってもよい。
【0050】
他の熱伝導材料4の平均粒径は、他の熱伝導材料4の粒子径分布全体を100%とした場合に、粒子径分布の小粒子径側から粒子径の値の累積カーブを求めたとき、その累積値が50%となるときの粒子径をいう。粒度分布(粒子径分布)は、体積基準によって求められたものである。粒度分布の測定方法としては、例えば、レーザー回折型粒度分布測定機を用いる方法が挙げられる。
【0051】
他の熱伝導材料4は、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、例えば、アルコキシシラン化合物などのカップリング剤により他の熱伝導材料4を処理することが挙げられる。カップリング剤の処理量は、例えば、他の熱伝導材料4の総量に対して0.1~1.5体積%の範囲とすることができる。
【0052】
アルコキシシラン化合物は、ケイ素原子(Si)が持つ4個の結合のうち、1~3個がアルコキシ基と結合し、残りの結合が有機置換基と結合した構造を有する化合物である。アルコキシシラン化合物が有するアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。アルコキシシラン化合物の具体例としては、トリメトキシシラン化合物、トリエトキシシラン化合物などが挙げられる。
【0053】
熱伝導シート1中の他の熱伝導材料4の含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択できる。熱伝導シート1が他の熱伝導材料4を含む場合、熱伝導材料4の含有量は、熱伝導シート1の復元性や熱伝導率の観点では、21体積%超とすることができ、36体積%以上であってもよく、40体積%以上であってもよく、42体積%以上であってもよい。また、熱伝導シート1中の他の熱伝導材料4の含有量は、熱伝導シート1の復元性の観点では、50体積%以下とすることができ、45体積%以下であってもよく、40体積%以下であってもよい。熱伝導シート1中の他の熱伝導材料4の含有量は、熱伝導シート1の復元性をより良好にする観点では、例えば、36~45体積%とすることが好ましい。2種以上の他の熱伝導材料4を併用する場合、その合計量が上述した含有量を満たすことが好ましい。
【0054】
熱伝導シート1が繊維状フィラー3と他の熱伝導材料4を含む場合、熱伝導シート1中の繊維状フィラー3と他の熱伝導材料4の含有量の合計は、熱伝導シート1の復元性や熱伝導率の観点では、50体積%以上とすることができ、55体積%以上であってもよく、59体積%以上であってもよく、60体積%以上であってもよい。また、熱伝導シート1中の繊維状フィラー3と他の熱伝導材料4の含有量の合計は、熱伝導シート1の復元性の観点では、77体積%未満とすることができ、67体積%以下であってもよく、65体積%以下であってもよく、64体積%以下であってもよく、63体積%以下であってもよく、62体積%以下であってもよく、61体積%以下であってもよい。熱伝導シート1中の繊維状フィラー3と他の熱伝導材料4の含有量の合計は、例えば、59体積%以上65体積%未満とすることが好ましい。
【0055】
熱伝導シート1は、本技術の効果を損なわない範囲で、上述した成分以外の他の成分をさらに含有してもよい。他の成分としては、例えば、分散剤、硬化促進剤、遅延剤、粘着付与剤、可塑剤、難燃剤、酸化防止剤、安定剤、着色剤などが挙げられる。
【0056】
<熱伝導シートの製造方法>
本技術に係る熱伝導シートの製造方法は、バインダ樹脂2と繊維状フィラー3とを含む熱伝導組成物を調製する工程(以下、工程Aともいう。)と、熱伝導組成物から成形体ブロックを形成する工程(以下、工程Bともいう。)と、成形体ブロックをシート状にスライスして熱伝導シート1を得る工程(以下、工程Cともいう。)とを有する。
【0057】
工程Cで得られる熱伝導シート1は、上述のように、繊維状フィラー3がバインダ樹脂2に分散しており、繊維状フィラー3が断面視で厚さ方向Bに70~90度の角度で配置されている。そして、熱伝導シート1を上述した条件1で圧縮と解放を行った場合、圧縮解放後の繊維状フィラー3の配置角度が、断面視で圧縮前の角度の10度以内の範囲にある。
【0058】
本製造方法で得られる熱伝導シート1は、条件1のように圧縮と解放を行った場合の復元力、特に、繊維状フィラー3の復元力が良好である。そのため、熱伝導シート1を発熱体と放熱体との間に配置した場合に、発熱体と放熱体との間のギャップが開いたとしても、そのギャップに対して熱伝導シート1中の繊維状フィラー3を容易かつ迅速に追従させることができる。これにより、熱伝導シート1の熱抵抗の悪化を抑制できる。
【0059】
[工程A]
工程Aでは、バインダ樹脂2と繊維状フィラー3とを含む熱伝導組成物を調製する。熱伝導組成物は、上述した他の熱伝導材料4を含んでもよい。熱伝導組成物は、各種添加剤や揮発性溶剤ととともに公知の手法で均一に混合してもよい。
【0060】
[工程B]
工程Bでは、熱伝導組成物から成形体ブロックを形成する。成形体ブロックの形成方法としては、押出成形法、金型成形法などが挙げられる。押出成形法、金型成形法としては、特に制限されず、公知の各種押出成形法、金型成形法の中から、熱伝導組成物の粘度や熱伝導シート1に要求される特性等に応じて適宜採用することができる。例えば、押出成形法において、熱伝導組成物をダイより押し出す際、あるいは金型成形法において、熱伝導組成物を金型へ圧入する際、バインダ樹脂2が流動し、その流動方向に沿って繊維状フィラー3の長軸が配向する。
【0061】
成形体ブロックの大きさ・形状は、求められる熱伝導シートの大きさに応じて決めることができる。例えば、断面の縦の大きさが0.5~15cmで横の大きさが0.5~15cmの直方体が挙げられる。直方体の長さは必要に応じて決定すればよい。押出成形法では、熱伝導組成物の硬化物からなり、押出方向に繊維状フィラー3の長軸が配向した、柱状の成形体ブロックを形成しやすい。
【0062】
得られた成形体ブロックは、熱硬化させることが好ましい。熱硬化における硬化温度は、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、バインダ樹脂2がシリコーン樹脂である場合、60℃~120℃の範囲とすることができる。熱硬化における硬化時間は、例えば、30分~10時間の範囲とすることができる。
【0063】
[工程C]
工程Cでは、成形体ブロックをシート状にスライスして、厚さ方向Bに繊維状フィラー3の長軸が配向した熱伝導シート1を得る。スライスにより得られるシートの表面(スライス面)には、繊維状フィラー3が露出する。スライスする方法としては特に制限はなく、成形体ブロックの大きさや機械的強度により公知のスライス装置の中から適宜選択することができる。スライス装置としては、例えば、超音波カッタ、かんな(鉋)などが挙げられる。成形体ブロックのスライス方向としては、成形方法が押出成形法である場合、押出し方向に繊維状フィラー3の長軸が配向しているものもあるため、押出し方向に対して60~120度であることが好ましく、70~100度の方向であることがより好ましく、90度(垂直)の方向であることがさらに好ましい。
【0064】
このように、工程Aと、工程Bと、工程Cとを有する製造方法では、繊維状フィラー3がバインダ樹脂2に分散した熱伝導シート1であって、繊維状フィラー3が断面視で厚さ方向Bに70~90度の角度で配置され、上述した条件1で圧縮と解放を行った場合、圧縮解放後の繊維状フィラー3の配置角度が、断面視で圧縮前の角度の10度以内の範囲にある熱伝導シート1を得ることができる。
【0065】
熱伝導シート1の製造方法は、上述した例に限定されず、例えば、工程Cの後に、スライス面をプレスする工程Dをさらに有していてもよい。このような工程Dを有する製造方法では、工程Cで得られる熱伝導シート1の表面がより平滑化され、他の部材との密着性をより向上できる。プレスの方法としては、平盤と表面が平坦なプレスヘッドとからなる一対のプレス装置を使用することができる。また、熱伝導シート1の表面をピンチロールでプレスしてもよい。
【0066】
プレスの際の圧力は、例えば、0.1~100MPaの範囲とすることができ、0.1~1MPaの範囲であってもよく、0.1~0.5MPaの範囲であってもよい。プレス時間は、プレスの際の圧力、シート面積などに応じて適宜選択することができ、例えば、10秒~5分の範囲とすることができ、30秒~3分の範囲であってもよい。
【0067】
一態様として、ヒータを内蔵したプレスヘッドを用いて加熱しながらプレスを行ってもよい。プレス温度は、例えば、0~180℃の範囲とすることができ、室温(例えば25℃)~100℃の範囲であってもよく、30~100℃の範囲であってもよい。プレスの効果をより高め、プレス時間を短縮するために、成形体シートを構成するバインダ樹脂のガラス転移温度(Tg)以上でプレスを行ってもよい。
【0068】
<電子機器>
熱伝導シート1は、例えば、発熱体と放熱体との間に配置させることにより、発熱体で生じた熱を放熱体に逃がすためにそれらの間に配された構造の電子機器(サーマルデバイス)とすることができる。電子機器は、発熱体と放熱体と熱伝導シート1とを少なくとも有し、必要に応じて、その他の部材をさらに有していてもよい。
【0069】
発熱体としては、特に限定されず、例えば、CPU、GPU(Graphics Processing Unit)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリなどの集積回路素子、トランジスタ、抵抗器など、電気回路において発熱する電子部品等が挙げられる。また、発熱体には、通信機器における光トランシーバ等の光信号を受信する部品も含まれる。
【0070】
放熱体としては、特に限定されず、例えば、ヒートシンクやヒートスプレッダなど、集積回路素子やトランジスタ、光トランシーバ筐体などと組み合わされて用いられるものが挙げられる。ヒートシンクやヒートスプレッダの材質としては、例えば、銅、アルミニウムなどが挙げられる。放熱体としては、ヒートスプレッダやヒートシンク以外にも、熱源から発生する熱を伝導して外部に放散させるものであればよく、例えば、放熱器、冷却器、ダイパッド、プリント基板、冷却ファン、ペルチェ素子、ヒートパイプ、ベーパーチャンバー、金属カバー、筐体等が挙げられる。ヒートパイプは、例えば、円筒状、略円筒状又は扁平筒状の中空構造体である。
【0071】
図5は、熱伝導シートを適用した半導体装置の一例を示す断面図である。例えば、熱伝導シート1は、図5に示すように、各種電子機器に内蔵される半導体装置50に実装され、発熱体と放熱体との間に挟持される。図5に示す半導体装置50は、電子部品51と、ヒートスプレッダ52と、熱伝導シート1とを備え、熱伝導シート1がヒートスプレッダ52と電子部品51との間に挟持される。熱伝導シート1が、ヒートスプレッダ52とヒートシンク53との間に挟持されることにより、ヒートスプレッダ52とともに、電子部品51の熱を放熱する放熱部材を構成する。熱伝導シート1の実装場所は、ヒートスプレッダ52と電子部品51との間や、ヒートスプレッダ52とヒートシンク53との間に限らず、電子機器や半導体装置の構成に応じて、適宜選択できる。ヒートスプレッダ52は、例えば方形板状に形成され、電子部品51と対峙する主面52aと、主面52aの外周に沿って立設された側壁52bとを有する。ヒートスプレッダ52は、側壁52bに囲まれた主面52aに熱伝導シート1が設けられ、主面52aと反対側の他面52cに熱伝導シート1を介してヒートシンク53が設けられる。
【実施例0072】
以下、本技術の実施例について説明する。本技術は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0073】
<実施例1>
実施例1では、表1に示すように、2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂%に、シランカップリング剤でカップリング処理した平均粒径2μmのアルミナ粒子45体積%と、繊維状フィラーとして平均繊維長200μmのピッチ系炭素繊維14体積%とを混合し、シリコーン組成物を調製した。なお、2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂は、ポリオルガノシロキサンを主成分とするものを41体積%使用し、完成後のシートのショアタイプOOにおける硬度が25となるよう調整した。得られたシリコーン組成物を、中空四角柱状の金型(50mm×50mm)の中に押出成形し、50mm□のシリコーン成型体を成型した。シリコーン成型体をオーブンにて100℃で6時間加熱してシリコーン硬化物とした。シリコーン硬化物を、厚みが2.0mmとなるようにスライサーで切断して熱伝導シートを得た。
【0074】
<実施例2>
実施例2では、表1に示すように、シランカップリング剤でカップリング処理した平均粒径2μmのアルミナ粒子45体積%に替えて、シランカップリング剤でカップリング処理した平均粒径1.2μmの破砕状の水酸化アルミニウム粒子45体積%を用いたことと、完成後のシートのショアタイプOOにおける硬度が30となるように調整したこと以外は、実施例1と同様に熱伝導シートを得た。
【0075】
<実施例3>
実施例3では、表1に示すように、2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂に、シランカップリング剤でカップリング処理した平均粒径4μmのアルミナ粒子36体積%と、繊維状フィラーとして平均繊維長120μmのピッチ系炭素繊維25体積%とを混合してシリコーン組成物を調製したことと、2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂としてポリオルガノシロキサンを主成分とするものを39体積%使用したことと、完成後のシートのショアタイプOOにおける硬度が40となるように調整したこと以外は、実施例1と同様に熱伝導シートを得た。
【0076】
<比較例1>
比較例1では、表1に示すように、2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂に、シランカップリング剤でカップリング処理した平均粒径4μmのアルミナ粒子42体積%と、繊維状フィラーとして平均繊維長150μmのピッチ系炭素繊維23体積%とを混合してシリコーン組成物を調製したことと、2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂としてポリオルガノシロキサンを主成分とするものを35体積%使用したことと、完成後のシートのショアタイプOOにおける硬度が40となるように調整したこと以外は、実施例1と同様に熱伝導シートを得た。
【0077】
<比較例2>
比較例2では、表1に示すように、2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂に、シランカップリング剤でカップリング処理した平均粒径4μmのアルミナ粒子21体積%と、平均粒径1.3μmの窒化アルミニウム粒子24体積%と、繊維状フィラーとして平均繊維長150μmのピッチ系炭素繊維22体積%とを混合してシリコーン組成物を調製したことと、2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂としてポリオルガノシロキサンを主成分とするものを33体積%使用したことと、完成後のシートのショアタイプOOにおける硬度が50となるように調整したこと以外は、実施例1と同様に熱伝導シートを得た。
【0078】
<比較例3>
比較例3では、表1に示すように、2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂に、シランカップリング剤でカップリング処理した平均粒径4μmのアルミナ粒子36体積%と、平均粒径1.3μmの窒化アルミニウム粒子25体積%と、平均粒径15μmのアルミニウム粉末16体積%とを混合してシリコーン組成物を調製したことと、2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂としてポリオルガノシロキサンを主成分とするものを23体積%使用したことと、完成後のシートのショアタイプOOにおける硬度が40となるよう調整したこと以外は、実施例1と同様に熱伝導シートを得た。このように、比較例3では、炭素繊維を含まない熱伝導シートを得た。
【0079】
<バルク熱伝導率>
バルク熱伝導率は、ASTM-D5470に準拠した方法で各熱伝導シートの熱抵抗を測定し、横軸に測定時の熱伝導シートの厚み(mm)、縦軸に熱伝導シートの熱抵抗(℃・cm/W)をプロットし、そのプロットの傾きから熱伝導シートのバルク熱伝導率(W/m・K)を算出した。熱伝導シートの熱抵抗は、厚みの異なる熱伝導シートを3種類用意して、それぞれの厚みの熱伝導シートについて測定した。結果を表1に示す。
【0080】
<評価用サンプルの作製>
実施例及び比較例で得られた熱伝導シートを直径29mmに加工して、評価用のサンプルを準備した。サンプルは3枚以上用意し、(1)外形サイズ確認用、(2)圧縮前の断面観察用、(3)圧縮解放後の断面観察用に用いた。
【0081】
<圧縮解放後のサンプルの外形サイズ>
圧縮解放後のサンプルの外形サイズは、ノギスを用いて最大長と最短長を目視で測定し平均値とした。具体的には、厚み2mm、直径29mmのサンプルを24時間常温で初期厚みに対して40%圧縮し、圧縮解放してから3分後にサンプルの外形サイズを測定した。結果を表1に示す。
【0082】
<圧縮前の炭素繊維の傾き>
圧縮前のサンプル5(熱伝導シート1)の断面観察は、図2に示すように、サンプル5の中央部を厚さ方向Bに5mm幅にカミソリ刃で切断してサンプル6を得た。そして、図3に示すように、サンプル6において、外周から5mm内側かつ、断面の上下1/3の範囲6Bで、任意の炭素繊維3Aの角度を5点測定して平均値を求めた。炭素繊維3Aの角度の測定は、マイクロスコープVHX-5000(キーエンス社製)を用いて、倍率100倍で行った。炭素繊維3Aの5点の角度の測定は、サンプル6の平行を出したのち、炭素繊維3Aの角度が0度から90度になるように計測した。
【0083】
図6は、圧縮前の熱伝導シートの断面のデジタルマイクロスコープ写真である。一例として、実施例3のサンプル6における炭素繊維の角度の算出方法を説明する。図6に示す「[6]93度」のように、角度が90度を超えたものは180度-93度=87度とした。圧縮前の実施例3のサンプル6における炭素繊維3Aの5点の角度は、87度、79度、82度、93度(87度)、78度であり、平均は82.6度であった。結果を表1に示す。
【0084】
<圧縮解放後の炭素繊維の傾き>
圧縮解放後のサンプル6の断面観察は、圧縮前のサンプル6の断面観察と同時に行った。図2に示すサンプル5を24時間常温で初期厚みに対して40%圧縮し、圧縮解放してから3分後に、図2,3に示すように、圧縮解放後のサンプル5の中央部を厚さ方向Bに5mm幅にカミソリ刃で切断してサンプル6を得た。このサンプル6の切断面(表面)において、外周から5mm内側かつ、断面の上下1/3の範囲6Bで、任意の炭素繊維3Aの角度を5点測定して平均値を求めた。
【0085】
図7は、圧縮解放後の熱伝導シートの断面のデジタルマイクロスコープ写真である。一例として、実施例3のサンプル6における炭素繊維3Aの角度の算出方法を説明する。図7に示すように、圧縮解放後の実施例3のサンプル6における炭素繊維3Aの5点の角度は、74度、79度、70度、78度、84度であり、平均は77.0度であった。結果を表1に示す。
【0086】
<圧縮解放前後の炭素繊維の角度差>
圧縮解放前後のサンプル6における炭素繊維3Aの5点の角度の平均の差(度)を求めた。結果を表1に示す。
【0087】
<ショアタイプOOにおける硬度>
熱伝導シートのショアタイプOOにおける硬度は、ASTM-D2240に準拠した測定方法で、2mm厚の熱伝導シートを5枚重ねて10mm厚とし、片面5点、両面で合計10点測定した測定結果の平均値とした。結果を表1に示す。
【0088】
【表1】
【0089】
実施例1~3で得られた熱伝導シートは、繊維状フィラー3がバインダ樹脂2に分散しており、繊維状フィラー3が断面視で厚さ方向Bに70~90度の角度で配置されており、上述した条件1で圧縮と解放を行った場合、圧縮解放後の繊維状フィラー3の配置角度が、断面視で圧縮前の角度の10度以内の範囲にあることが分かった。すなわち、実施例1~3で得られた熱伝導シートは、条件1のように圧縮と解放を行った場合の復元力、特に、炭素繊維3A(繊維状フィラー3)の復元力が良好であることが分かった。そのため、実施例1~3で得られた熱伝導シートを発熱体と放熱体との間に配置した場合に、発熱体と放熱体との間のギャップが開いたとしても、そのギャップに対して熱伝導シート中の繊維状フィラー3を容易かつ迅速に追従させることができる。これにより、実施例1~3で得られた熱伝導シートは、熱抵抗の悪化を抑制できると考えられる。
【0090】
また、実施例1~3で得られた熱伝導シートを厚み2mm、直径29mmとして、24時間常温で40%圧縮し、解放後3分後の直径が32.0mm以下であることが分かった。すなわち、実施例1~3で得られた熱伝導シートは、圧縮解放後の外形サイズの変化が小さいことも分かった。
【0091】
一方、比較例1,2で得られた熱伝導シートは、上述した条件1で圧縮と解放を行った場合、圧縮解放後の繊維状フィラー3の配置角度が、断面視で圧縮前の角度の10度以内の範囲にないことが分かった。すなわち、比較例1,2で得られた熱伝導シートは、実施例1~3の熱伝導シートと比べて、条件1のように圧縮と解放を行った場合の復元力、特に、炭素繊維3A(繊維状フィラー3)の復元力が良好ではないことが分かった。また、比較例1~3で得られた熱伝導シートは、圧縮解放後の外形サイズの変化が実施例1~3と比べて大きいことが分かった。
【符号の説明】
【0092】
1 熱伝導シート、2 バインダ樹脂、3 繊維状フィラー、3A 炭素繊維、4 他の熱伝導材料、5 サンプル、6 切断したサンプル、6A 切断面、6Ac 中心部、50 半導体装置、51 電子部品、52 ヒートスプレッダ、52a 主面、52b 側壁、52c 他面、53 ヒートシンク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7