(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022129332
(43)【公開日】2022-09-05
(54)【発明の名称】排ガス中の成分ガスの回収方法とその回収装置
(51)【国際特許分類】
B01D 53/62 20060101AFI20220829BHJP
B01D 53/56 20060101ALI20220829BHJP
B01D 53/50 20060101ALI20220829BHJP
B01D 53/76 20060101ALI20220829BHJP
F25J 3/00 20060101ALI20220829BHJP
B01D 53/26 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
B01D53/62 ZAB
B01D53/56
B01D53/50
B01D53/76
F25J3/00
B01D53/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021068003
(22)【出願日】2021-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】520175477
【氏名又は名称】内田 健輔
(72)【発明者】
【氏名】内田 健輔
【テーマコード(参考)】
4D002
4D047
4D052
【Fターム(参考)】
4D002AA02
4D002AA09
4D002AA12
4D002AA40
4D002BA04
4D002BA05
4D002BA07
4D002BA13
4D002CA20
4D002EA01
4D002EA02
4D002EA13
4D002FA01
4D002GA01
4D002GA03
4D002GB03
4D002GB04
4D002HA01
4D002HA08
4D047AA07
4D047AB00
4D047AB08
4D047BB03
4D047BB10
4D047CA20
4D047DA10
4D052AA02
4D052BA00
4D052BA01
4D052BB01
4D052CE00
(57)【要約】
【課題】工業的に大量の排ガスを連続的に処理することが可能であり、エネルギー的な効率に優れた排ガス中の成分ガスを回収する方法とその回収装置を提供する。
【解決手段】排ガスを、前記排ガス中の成分ガスの融点または昇華点以下に冷却して、前記成分ガスを固体状物にして回収する、排ガス中の成分ガスの回収方法であり、前記成分ガスが、二酸化炭素、一酸化二窒素、二酸化窒素、二酸化硫黄および三酸化硫黄から選択されるいずれか1つ以上であり、前記排ガスを冷却する冷却温度が-80℃以下であり、前記排ガスを冷却するために、スターリングクーラーを使用し、前記排ガスと前記成分ガスの固体状物とを分離して、前記成分ガスの固体状物を集積して回収することを特徴とする排ガス中の成分ガスの回収方法である。また、前記回収方法のための回収装置である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガスを、前記排ガス中の成分ガスの融点または昇華点以下に冷却して、前記成分ガスを固体状物にして回収する、排ガス中の成分ガスの回収方法であり、
前記成分ガスが、二酸化炭素、一酸化二窒素、二酸化窒素、二酸化硫黄および三酸化硫黄から選択されるいずれか1つ以上であり、
前記排ガスを冷却する冷却温度が-80℃以下であり、
前記排ガスを冷却するために、スターリングクーラーを使用し、
冷却された前記排ガスを連続的に駆動する無端治具に吹き付けて、前記排ガスと前記成分ガスの固体状物とを分離して、前記成分ガスの固体状物を集積して回収する
ことを特徴とする排ガス中の成分ガスの回収方法。
【請求項2】
前記無端治具が、コンベヤ形状、円筒形状または円錐台形状をしていることを特徴とする請求項1に記載の排ガス中の成分ガスの回収方法。
【請求項3】
前記排ガスを前記無端治具に吹き付けるとき、前記排ガスを先端が細く狭まった排出口から噴出させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の排ガス中の成分ガスの回収方法。
【請求項4】
排ガスを、前記排ガス中の成分ガスの融点または昇華点以下に冷却して、前記成分ガスを固体状物にして回収する、排ガス中の成分ガスの回収方法であり、
前記成分ガスが、二酸化炭素、一酸化二窒素、二酸化窒素、二酸化硫黄および三酸化硫黄から選択されるいずれか1つ以上であり、
前記排ガスを冷却する冷却温度が-80℃以下であり、
前記排ガスを冷却するために、スターリングクーラーを使用し、
冷却された前記排ガスをサイクロンに導入して、前記排ガスと前記成分ガスの固体状物とを分離して、前記成分ガスの固体状物を集積して回収する
ことを特徴とする排ガス中の成分ガスの回収方法。
【請求項5】
前記スターリングクーラーとして、フリーピストン型スターリングクーラーを用いることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の排ガス中の成分ガスの回収方法。
【請求項6】
前記排ガスを冷却して成分ガスを固体状物にして回収する操作を大気圧近傍下で行うことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の排ガス中の成分ガスの回収方法。
【請求項7】
前記排ガスを冷却して、前記成分ガスを固体状物にして回収する前に、前記排ガス中の水蒸気を除去することを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の排ガス中の成分ガスの回収方法。
【請求項8】
前記成分ガスを固体状物にして回収した後の排ガスの一部と、冷却前の排ガスとの間で熱交換を行って、前記冷却前の排ガスを予備冷却することを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の排ガス中の成分ガスの回収方法。
【請求項9】
前記成分ガスを固体状物にして回収した後の排ガスの一部を、冷却前の排ガスと混合することによって、前記冷却前の排ガスを予備冷却することを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の排ガス中の成分ガスの回収方法。
【請求項10】
前記排ガスを冷却して、前記成分ガスを固体状物にして回収した後に、前記排ガス中のメタンを回収または除去することを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の排ガス中の成分ガスの回収方法。
【請求項11】
排ガスを、前記排ガス中の成分ガスの融点または昇華点以下に冷却して、前記成分ガスを固体状物にして回収する、排ガス中の成分ガスの回収装置であって、
前記成分ガスが、二酸化炭素、一酸化二窒素、二酸化窒素、二酸化硫黄および三酸化硫黄から選択されるいずれか1つ以上であり、
前記排ガス中の水蒸気を除去する除湿装置と、
前記排ガスを予備冷却する予備冷却装置と、
前記排ガスを-80℃以下に冷却する排ガス冷却装置と、
前記排ガス冷却装置内を冷却するスターリングクーラーと、
連続的に駆動する無端治具を有し、前記排ガスを前記無端治具に吹き付けて、前記排ガスと前記成分ガスの固体状物とを分離して、前記成分ガスの固体状物を集積して回収する回収装置と、
回収された前記成分ガスの固体状物を貯蔵する固体状物の貯蔵装置と
を有することを特徴とする排ガス中の成分ガスの回収装置。
【請求項12】
排ガスを、前記排ガス中の成分ガスの融点または昇華点以下に冷却して、前記成分ガスを固体状物にして回収する、排ガス中の成分ガスの回収装置であって、
前記成分ガスが、二酸化炭素、一酸化二窒素、二酸化窒素、二酸化硫黄および三酸化硫黄から選択されるいずれか1つ以上であり、
前記排ガス中の水蒸気を除去する除湿装置と、
前記排ガスを予備冷却する予備冷却装置と、
前記排ガスを-80℃以下に冷却する排ガス冷却装置と、
前記排ガス冷却装置内を冷却するスターリングクーラーと、
前記排ガスと前記成分ガスの固体状物とを分離して、前記成分ガスの固体状物を集積して回収するサイクロンと、
回収された前記成分ガスの固体状物を貯蔵する固体状物の貯蔵装置と
を有することを特徴とする排ガス中の成分ガスの回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス中の成分ガスの回収方法とその回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球の温暖化防止のために、二酸化炭素を始めとする温室効果ガスに対する排出規制が一段と厳しいものとなってきている。温室効果ガスとしては、具体的に、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)、フロンハイドロフルオロカーボン類(HFCS)、パーフルオロカーボン類(PFCS)、六フッ化硫黄(SF6)の6種類が挙げられている。地球温暖化係数と大気中の濃度とを勘案すると、これらの温室効果ガスの中でも、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素の3つが特に地球温暖化への寄与度が大きいと考えられている。
【0003】
二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素の主要な排出源としては、自動車の排気ガス以外では、火力発電所、製鉄所、化学工場などから排出される排ガスがある。そのため、これら産業用の排ガスから排出される二酸化炭素の排出量を低減させるために、従来から多くの二酸化炭素の回収技術が検討され、実際に実用化されてきている。
【0004】
二酸化炭素の分離・回収技術としては、化学吸収法、物理回収法、膜分離法、物理吸着法、深冷分離法などが知られている。これらのうち、化学吸収法が最も多く研究され、国内の大手企業に採用されて、国内外で大型の商用プラントが複数稼働している。
【0005】
ここで、従来あまり注目されることの少なかった深冷分離法による二酸化炭素の分離・回収技術について検討した。二酸化炭素は、大気圧下で冷却していくと、液体にはならず、-78.5℃に冷却されると、気体から固体(ドライアイス)となる。大気圧下では液体の二酸化炭素は存在しない。したがって、大気を-78.5℃以下に冷却することによって、二酸化炭素は固体となり、二酸化炭素を固体として捕捉することが可能となる。
このような観点から既に公開された二酸化炭素の回収技術として、特許文献1~特許文献3がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2005/082493号
【特許文献2】特許第4971356号公報
【特許文献3】特開平4-334704号公報
【特許文献4】特許第4721349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1と特許文献2には、排ガスを冷却するために、冷却源として液化天然ガスや液体窒素を用いたり、コンプレッサー式冷凍機を使用する方法が開示されている。冷却源として液化天然ガスや液体窒素を用いる方法は、極低温の冷却源を取り扱うための貯蔵タンクや配管が必要となり、巨額の投資を必要とするものである。また、いずれの方法も、大量の排ガスを連続的に効率よく処理する方法としては必ずしも有効な方法とはいえないものであった。特許文献3に記載の方法は、排ガスをガスタービンに導入し膨張させて二酸化炭素の液化温度以下にする方法であるが、高圧下で高速にタービンを回転させる必要があり、大量の排ガスを連続的に効率よく処理する方法としては必ずしも有効な方法とはいえないものであった。
【0008】
実績のあるコンパクトな冷凍機として、スターリングサイクル、ギフォード・マクマホンサイクル(GMサイクル)、パルスチューブ冷凍サイクルが知られている。これらの内、原理的には、スターリングサイクルが最もエネルギー効率に優れている。スターリングサイクルによる冷却装置をスターリングクーラーと称することとする。排ガスを冷却する手段として、スターリングクーラーを用いる方法が考えられる。
【0009】
特許文献4には、スターリングクーラーを用いてバイオガスを-80℃に冷却して、二酸化炭素を固体状にして分離する方法が開示されている。しかし、特許文献4に記載の方法は、バイオガス中のメタン濃度の安定化させるシステムに関するものであり、二酸化炭素を冷却して回収することを課題としたものではなく、大量の排ガスを連続的に効率よく処理する方法としてはさらに改良の余地を有するものであった。
【0010】
本発明は、上記のような状況に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の課題は、工業的に大量の排ガスを連続的に処理することが可能であり、エネルギー的な効率に優れた排ガス中の成分ガスを回収する方法とその回収装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、鋭意検討を進めた結果、冷却手段として、スターリングクーラーを採用し、冷却された排ガス中の成分ガスの固体状物を効率よく回収する方法を開発し、本発明に到達することができた。すなわち、本発明は、以下のような構成を有している。
【0012】
本発明の排ガス中の成分ガスの第1の回収方法は、排ガスを、前記排ガス中の成分ガスの融点または昇華点以下に冷却して、前記成分ガスを固体状物にして回収する、排ガス中の成分ガスの回収方法であり、前記成分ガスが、二酸化炭素、一酸化二窒素、二酸化窒素、二酸化硫黄および三酸化硫黄から選択されるいずれか1つ以上であり、前記排ガスを冷却する冷却温度が-80℃以下であり、前記排ガスを冷却するために、スターリングクーラーを使用し、冷却された前記排ガスを連続的に駆動する無端治具に吹き付けて、前記排ガスと前記成分ガスの固体状物とを分離して、前記成分ガスの固体状物を集積して回収することを特徴とする。
【0013】
本発明の排ガス中の成分ガスの第2の回収方法は、排ガスを、前記排ガス中の成分ガスの融点または昇華点以下に冷却して、前記成分ガスを固体状物にして回収する、排ガス中の成分ガスの回収方法であり、前記成分ガスが、二酸化炭素、一酸化二窒素、二酸化窒素、二酸化硫黄および三酸化硫黄から選択されるいずれか1つ以上であり、前記排ガスを冷却する冷却温度が-80℃以下であり、前記排ガスを冷却するために、スターリングクーラーを使用し、冷却された前記排ガスをサイクロンに導入して、前記排ガスと前記成分ガスの固体状物とを分離して、前記成分ガスの固体状物を集積して回収することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の排ガス中の成分ガスの第1の回収装置は、排ガスを、前記排ガス中の成分ガスの融点または昇華点以下に冷却して、前記成分ガスを固体状物にして回収する、排ガス中の成分ガスの回収装置であって、前記成分ガスが、二酸化炭素、一酸化二窒素、二酸化窒素、二酸化硫黄および三酸化硫黄から選択されるいずれか1つ以上であり、前記排ガス中の水蒸気を除去する除湿装置と、前記排ガスを予備冷却する予備冷却装置と、前記排ガスを-80℃以下に冷却する排ガス冷却装置と、前記排ガス冷却装置内を冷却するスターリングクーラーと、連続的に駆動する無端治具を有し、前記排ガスを前記無端治具に吹き付けて、前記排ガスと前記成分ガスの固体状物とを分離して、前記成分ガスの固体状物を集積して回収する回収装置と、回収された前記成分ガスの固体状物を貯蔵する固体状物の貯蔵装置とを有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の排ガス中の成分ガスの第2の回収装置は、排ガスを、前記排ガス中の成分ガスの融点または昇華点以下に冷却して、前記成分ガスを固体状物にして回収する、排ガス中の成分ガスの回収装置であって、前記成分ガスが、二酸化炭素、一酸化二窒素、二酸化窒素、二酸化硫黄および三酸化硫黄から選択されるいずれか1つ以上であり、前記排ガス中の水蒸気を除去する除湿装置と、前記排ガスを予備冷却する予備冷却装置と、前記排ガスを-80℃以下に冷却する排ガス冷却装置と、前記排ガス冷却装置内を冷却するスターリングクーラーと、前記排ガスと前記成分ガスの固体状物とを分離して、前記成分ガスの固体状物を集積して回収するサイクロンと、回収された前記成分ガスの固体状物を貯蔵する固体状物の貯蔵装置とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の排ガス中の成分ガスの回収方法および回収装置は、工業的に大量の排ガスを連続的に処理することが可能であり、エネルギー的な効率に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】排ガス中の成分ガスの第1の回収装置の第1実施形態の構成図である。
【
図2】排ガス中の成分ガスの第1の回収装置の第2実施形態の構成図である。
【
図3】排ガス中の成分ガスの第2の回収装置の第1実施形態の構成図である。
【
図4】排ガス中の成分ガスの第2の回収装置の第2実施形態の構成図である。
【
図5】成分ガスの固体状物を集積して回収する回収装置の第1実施形態の模式図である。
【
図6】成分ガスの固体状物を集積して回収する回収装置の第2実施形態の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明の実施形態は、以下に記載された具体的な実施形態に限られる訳ではない。
【0019】
(温室効果ガス)
地球の温暖化防止のためには、温室効果ガスの中でも、地球温暖化への寄与度が大きい二酸化炭素、メタンおよび一酸化二窒素の3つのガスの排出を抑制することが重要である。
【0020】
一方、火力発電所、製鉄所、化学工場などから排出される排ガスの成分として代表的なものに、二酸化炭素、一酸化炭素、メタン、窒素酸化物、硫黄酸化物、水素等がある。窒素酸化物には、二酸化窒素、一酸化二窒素、一酸化窒素などがある。また、硫黄酸化物には、二酸化硫黄、三酸化硫黄、一酸化硫黄などがある。
【0021】
これらの成分ガスが大気圧下で固体化する温度を見てみると、二酸化炭素の昇華点は-78.5℃、一酸化二窒素の融点は-90.9℃、二酸化窒素の融点は-11.2℃、二酸化硫黄の融点は-72.4℃、三酸化硫黄の融点は16.9℃である。したがって、大気圧下で排ガスの温度を-100℃以下に冷却することによって、二酸化炭素、一酸化二窒素、二酸化窒素、二酸化硫黄および三酸化硫黄の5種類の成分ガスを固体状物にして同時に捕捉することが可能となる。すなわち、地球温暖化への寄与度が大きい二酸化炭素と一酸化二窒素を同時に捕捉することが可能である。また、二酸化炭素のみに着目するのであれば、大気圧下で排ガスの温度を-80℃以下に冷却することによって、二酸化炭素を固体状物(ドライアイス)にして捕捉することが可能である。
【0022】
(スターリングクーラー)
本発明者は、排ガスを-80℃以下または-100℃以下に冷却するための冷却手段として、スターリングクーラーに着目した。スターリングエンジンとは、熱機関の形式のひとつで、熱エネルギーを機械エネルギーに変換する密閉式外燃機関である。このスターリングエンジンのサイクルを逆に回すことにより、冷凍機(ヒートポンプ)として機能する。
【0023】
スターリングクーラーの中でも、外部電力によってモーターを駆動させて、レシプロピストンとディスプレーサを連携駆動させて、エンジン内のヘリウムを膨張および圧縮させて、熱サイフォンの原理により、キャビネット内部を冷却するα型スターリングクーラーが好ましい。
さらに、ガスベアリングを使用して、物理的接触(摩擦)がなく、可動部品が摩耗することがなく稼働するフリーピストン型スターリングクーラーは、長寿命であり、エネルギー効率が一層高くなるためより好ましい。具体的には、フリーピストン型スターリングクーラーは、従来のコンプレッサー式冷凍機と比較すると、冷却に要するエネルギーを70~80%削減することが可能である。
【0024】
フリーピストン型スターリングクーラーは、密閉型のシステムであり、外部電力を供給するだけで、冷却部(ヘッド部)を短時間で急速に-100℃以下まで冷却することが可能である。また、軽量でコンパクトにすることができるため、排ガスを冷却する経路の外側に、種々のレイアウトで複数台並べて設置することが可能であり、設備設計の自由度が高い。
【0025】
本実施形態では、フリーピストン型スターリングクーラーを用いることが好ましい。尚、冷却部(ヘッド部)で吸収された熱エネルギーは、装置の後背部から外部へ排出される。
【0026】
(排ガス中の成分ガスの回収方法)
以下では、回収の対象とする排ガス中の成分ガスとして、二酸化炭素を中心として説明する。そのため、排ガスを-80℃以下に冷却するとしている。しかし、二酸化炭素だけでなく一酸化二窒素等の他の種類の成分ガスも併せて回収するときは、-80℃以下では不十分であり、-100℃以下に冷却する必要がある。このように、回収の対象とする成分ガスが大気圧下で固体化する温度に応じて、冷却温度を適宜変更することが必要である。以下に述べる成分ガスの回収方法において、二酸化炭素以外の成分ガスを対象とするときであっても、冷却温度の違い以外は、基本的に二酸化炭素の場合と同様に操作して、回収を行うことができる。
【0027】
また、排ガス中の成分ガスの回収方法の各工程の中で、排ガスを冷却して、成分ガスを固体状物にして回収する操作は、基本的に大気圧近傍下で行われる。大気圧近傍とは、0.08MPa~0.15MPa程度である。大気圧近傍下で排ガスを冷却し、成分ガスを回収することが可能であれば、圧力容器を必要としないため、設備費用を大幅に低減することができ、操作作業やメンテナンス作業等を簡便にすることが可能となる。
【0028】
(排ガス中の成分ガスの第1の回収装置の第1実施形態)
図1に、排ガス中の成分ガスの第1の回収装置の第1実施形態の構成を示した。第1の回収装置の第1実施形態は、排ガス中の水蒸気を除去する除湿装置2と、排ガスを予備冷却する予備冷却装置3と、予備冷却装置内を冷却する冷却手段4と、排ガスを-80℃以下に冷却する排ガス冷却装置5と、排ガス冷却装置内を冷却するスターリングクーラー6と、連続的に駆動する無端治具を有し、排ガスを無端治具に吹き付けて、排ガスと成分ガスの固体状物とを分離して、成分ガスの固体状物を集積して回収する回収装置7と、無端治具を冷却する冷却手段8と、回収された成分ガスの固体状物を貯蔵する固体状物の貯蔵装置9と、成分ガスの固体状物の液化装置10と、液化された成分ガスを貯蔵する液体貯蔵装置11を有している。
【0029】
排ガスは、排ガス排出源1から排ガス中の成分ガスの第1の回収装置に導入される。
排ガス中には、水蒸気を多く含有する場合がある。水蒸気が多く含有されていると、二酸化炭素を冷却・固化するときに、冷却装置内が氷の膜で覆われて、冷却効率が低下する懸念がある。そのため、除湿装置2を用いて、排ガス中の水蒸気を予め除去する除湿工程を行うことが好ましい。排ガス中の水蒸気の含有量が少ないときは、除湿装置2を用いて排ガス中の水蒸気を除去する除湿工程を省略することができる。
【0030】
排ガス中の水蒸気を除去する方法としては、公知の種々の吸湿剤の層内を透過させる方法でもよいし、排ガスを0℃程度に冷却して、水蒸気を氷結させて除去する方法でもよい。排ガスを0℃程度に冷却する冷却手段として、スターリングクーラーを使用してもよいし、他の公知の冷却手段を用いてもよい。
【0031】
次に、予備冷却装置3において、排ガスを予備冷却する工程を行う。除湿工程において、排ガスを0℃程度に冷却したときには、予備冷却装置3を用いて排ガスを予備冷却する工程を省略することができる。また、除湿装置2を用いて排ガス中の水蒸気を除去する除湿工程と予備冷却装置3を用いて排ガスを予備冷却する工程を併せて、一つの工程として行ってもよい。
【0032】
予備冷却装置3の装置内は、排ガスを冷却させるために、多数の障壁板やルーバー等を設置して、装置内部の表面積を増やして、排ガスが接触し易い構造となっている。予備冷却装置3の装置内を冷却する冷却手段4としては、スクーリングクーラーを用いてもよいし、他の公知の冷却手段を用いてもよい。また、
図1に記載したように、成分ガスを固体状物にして回収した後の極低温に冷却された排ガスの一部を分配器12で分配して、予備冷却装置3の装置内を冷却する冷却手段4に戻して、排ガスとの間で熱交換を行って、排ガスを予備冷却する方法を用いてもよい。
【0033】
次に、予備冷却された排ガスを-80℃以下に冷却する本冷却工程を行う。本冷却工程では、排ガス冷却装置5によって排ガスは-80℃以下に冷却される。排ガス冷却装置5の装置内は、排ガスを冷却させるために、多数の障壁板やルーバー等を設置して、装置内部の表面積を増やして、排ガスが接触し易い構造となっている。排ガス冷却装置5の装置内を冷却する冷却手段としては、スターリングクーラー6を用いる。
【0034】
スターリングクーラー6は、軽量でコンパクトであるため、排ガス冷却装置5の外壁に適切なレイアウトで複数台並べて設置して、排ガス冷却装置5内を効果的に冷却することができる。スターリングクーラーによって排ガス冷却装置5を冷却するときは、排ガス冷却装置5とスターリングクーラーの冷却部(ヘッド部)とを直接連結してもよいし、伝熱管を使用してもよいし、冷媒を循環させる方法を用いてもよい。
【0035】
排ガスが-80℃以下に冷却されることによって、排ガス中の成分ガスである二酸化炭素は、固体状物となって、排ガス中に浮遊することとなる。このとき、排ガス中に粉塵等の固体微粒子が多数存在していると、二酸化炭素の昇華・凝結時に核となって働くので好ましい。
【0036】
排ガス冷却装置5による本冷却工程に引き続いて、極低温に冷却された排ガスは、成分ガスの固体状物を集積して回収する回収装置7に導入される。回収装置7は、連続的に駆動する無端治具と、排ガスを無端治具に吹き付ける吹き付け装置と、無端治具に吹き付けられた成分ガスの固体状物を集積して回収する集積・回収装置を備えている。回収装置7によって行われる工程を成分ガスの固体状物の集積・回収工程という。
【0037】
図5には、成分ガスの固体状物を集積して回収する回収装置の第1実施形態の模式図を示した。
図5には、連続的に駆動する無端治具23として、コンベヤ形状の無端治具23の例を示した。冷却された排ガスを無端治具23に吹き付ける吹き付け装置は、排ガスの導入管21と先端が細く狭まったスリット状の排出口22とを有している。排ガスは導入管21から先端が細く狭まった排出口22を高速で通過するときに若干圧縮される。その後排出口22から広い空間に開放されて膨張するため、さらに排ガスの温度が下がる効果がある。
【0038】
排出口22から排出された排ガスは、コンベヤ形状の無端治具23に吹き付けられる。排ガス中の二酸化炭素の固体状物26の一部は無端治具23上に固着し、コンベヤの移動に伴い、裏側に移動していく。一方、無端治具23上に固着しなかった排ガス中の二酸化炭素の固体状物26の残分は、コンベヤに衝突した後にコンベヤの下方へ落下する。コンベヤの移動に伴い裏側に移動した二酸化炭素の固体状物26の一部は、コンベヤ表面に接触している掻き取り治具24によって、コンベヤ表面から剥がされて、コンベヤの下方へ落下する。掻き取り治具24は、図示したブレード形状であってもよいし、回転するブラシ形状のようなものであってもよい。
【0039】
こうしてコンベヤ形状の無端治具23に吹き付けられた二酸化炭素の固体状物26は、コンベヤ上に固着したものも、固着しなかったものも、いずれもコンベヤの下方へ落下する。コンベヤの下方には二酸化炭素の固体状物26の集積容器25があるため、二酸化炭素の固体状物26は集積容器25によって、集積されて回収される。
【0040】
図6には、成分ガスの固体状物を集積して回収する回収装置の第2実施形態の模式図を示した。
図6には、連続的に駆動する無端治具23として、円筒形状の無端治具23の例を示した。
図6の円筒形状の無端治具23による二酸化炭素の固体状物26の集積および回収のメカニズムは、
図5のコンベヤ形状の無端治具23による二酸化炭素の固体状物26の集積および回収のメカニズムと同様であるので、その説明を省略する。
【0041】
連続的に駆動する無端治具23の形状としては、コンベヤ形状、円筒形状以外にも、円錐台形状等の形状とすることが可能である。無端治具23は、冷却手段8によって冷却されていてもよいし、積極的に冷却されていなくともよく、回収状況に応じて適宜選択される。無端治具23を冷却する冷却手段8としては、スターリングクーラーを用いることが好ましい。
【0042】
集積容器25によって集積され回収された二酸化炭素の固体状物26は、その後、回収された成分ガスの固体状物を貯蔵する固体状物の貯蔵装置9に収納され、-80℃以下に冷却された状態で貯蔵される。
【0043】
固体状物の貯蔵装置9に収納された成分ガスの固体状物は、その後、外部へ移送するときに、取扱い易くするため、液体状に変換させた方が好ましい場合がある。そのときは、固体状物の貯蔵装置9に収納された成分ガスの固体状物は、成分ガスの固体状物の液化装置10に移される。液化装置10で液化された成分ガスは、液体貯蔵装置11に移され、外部へ搬出される。
【0044】
成分ガスの固体状物の液化装置10および液体貯蔵装置11は、大気圧を超える圧力(5気圧以上)に制御されるので、いずれも圧力容器となる。成分ガスの固体状物の液化装置10の加熱手段として、スターリングクーラーの後背部から排出される熱エネルギーを利用することができる。
図1には、スターリングクーラー6から熱エネルギーの一部を加熱ガスとして、液化装置10に導入して、成分ガスの固体状物の加熱のために利用することが示されている。
【0045】
回収装置7において成分ガスを回収された排ガスは、その後、分配器12で分配されて、一部は予備冷却装置3の装置内を冷却する冷却手段4として利用されるが、それ以外の残部は、煙突13から大気中へ排出される。また、予備冷却装置3の装置内を冷却する冷却手段4として利用された排ガスと、成分ガスの固体状物の液化装置10に利用されたスターリングクーラー6から排出された加熱ガスも同様に、煙突13から大気中へ排出される。
【0046】
以上、説明してきたように、排ガス中の成分ガスの回収は、除湿工程、排ガスを予備冷却する工程、本冷却工程、成分ガスの固体状物の集積・回収工程、成分ガスの固体状物の貯蔵工程を経て行われる。必要に応じて、成分ガスの固体状物の液化工程、成分ガスの液体の貯蔵工程を行うことができる。排ガスは、これらの工程を経て、排ガス中の成分ガスが固体状物として回収され、残った排ガスは煙突13を通じて大気中へ排出される。
【0047】
(排ガス中の成分ガスの第1の回収装置の第2実施形態)
図2に、排ガス中の成分ガスの第1の回収装置の第2実施形態の構成を示した。第1の回収装置の第2実施形態は、排ガス中の水蒸気を除去する除湿装置2と、排ガスを予備冷却する予備冷却装置3と、排ガスを-80℃以下に冷却する排ガス冷却装置5と、排ガス冷却装置内を冷却するスターリングクーラー6と、連続的に駆動する無端治具を有し、排ガスを無端治具に吹き付けて、排ガスと成分ガスの固体状物とを分離して、成分ガスの固体状物を集積して回収する回収装置7と、無端治具を冷却する冷却手段8と、回収された成分ガスの固体状物を貯蔵する固体状物の貯蔵装置9と、成分ガスの固体状物の液化装置10と、液化された成分ガスを貯蔵する液体貯蔵装置11を有している。
【0048】
第1の回収装置の第2実施形態では、成分ガスを固体状物にして回収した後の排ガスの一部を排ガスと混合することによって、排ガスを予備冷却させる。すなわち、
図2に記載したように、成分ガスを固体状物にして回収した後の極低温に冷却された排ガスの一部を分配器12で分配して、予備冷却装置3の装置内に投入して、除湿装置2から移送されてくる排ガスと混合させる。その結果、予備冷却装置3の装置内で排ガスは冷却され、予備冷却されることになる。除湿装置2から移送されてくる排ガスと分配器12から移送される冷却された排ガスとの混合比は、除湿装置2から移送される排ガスの温度や分配器12から移送される排ガスの温度等に応じて適宜設定される。
【0049】
第1の回収装置の第2実施形態におけるその他の内容については、第1の回収装置の第1実施形態の場合と同様であるので、その説明を省略する。
【0050】
(排ガス中の成分ガスの第2の回収装置の第1実施形態)
図3に、排ガス中の成分ガスの第2の回収装置の第1実施形態の構成を示した。第2の回収装置の第1実施形態は、排ガス中の水蒸気を除去する除湿装置2と、排ガスを予備冷却する予備冷却装置3と、予備冷却装置内を冷却する冷却手段4と、排ガスを-80℃以下に冷却する排ガス冷却装置5と、排ガス冷却装置内を冷却するスターリングクーラー6と、排ガスと成分ガスの固体状物とを分離して、成分ガスの固体状物を集積して回収するサイクロン14と、回収された成分ガスの固体状物を貯蔵する固体状物の貯蔵装置9と、成分ガスの固体状物の液化装置10と、液化された成分ガスを貯蔵する液体貯蔵装置11を有している。
【0051】
排ガス中の成分ガスの第2の回収装置では、第1の回収装置における連続的に駆動する無端治具を有し、排ガスを無端治具に吹き付けて、排ガスと成分ガスの固体状物とを分離して、成分ガスの固体状物を集積して回収する回収装置7の代わりに、排ガスと成分ガスの固体状物とを分離して、成分ガスの固体状物を集積して回収する装置として、サイクロン14を有している。
【0052】
排ガス冷却装置5による本冷却工程に引き続いて、極低温に冷却された排ガスは、成分ガスの固体状物を集積して回収するサイクロン14に導入される。サイクロン14は、渦流によって排ガスの流れから成分ガスの固体状物を分離する装置である。サイクロン14内で、成分ガスの固体状物は渦流として回転しつつ、遠心力によって内壁等に衝突して、サイクロン14の下方へ落下する。一方、気体状の排ガスは、サイクロン14の上方から排出される。
【0053】
成分ガスの固体状物は、サイクロン14によって集積して回収されて、下方から排出される。サイクロン14によって集積され回収された成分ガスの固体状物は、その後、回収された成分ガスの固体状物を貯蔵する固体状物の貯蔵装置9に収納され、-80℃以下に冷却された状態で貯蔵される。
【0054】
第2の回収装置の第1実施形態におけるその他の内容については、第1の回収装置の第1実施形態の場合と同様であるので、その説明を省略する。
【0055】
(排ガス中の成分ガスの第2の回収装置の第2実施形態)
図4に、排ガス中の成分ガスの第2の回収装置の第2実施形態の構成を示した。第2の回収装置の第2実施形態は、排ガス中の水蒸気を除去する除湿装置2と、排ガスを予備冷却する予備冷却装置3と、排ガスを-80℃以下に冷却する排ガス冷却装置5と、排ガス冷却装置内を冷却するスターリングクーラー6と、排ガスと成分ガスの固体状物とを分離して、成分ガスの固体状物を集積して回収するサイクロン14と、回収された成分ガスの固体状物を貯蔵する固体状物の貯蔵装置9と、成分ガスの固体状物の液化装置10と、液化された成分ガスを貯蔵する液体貯蔵装置11を有している。
【0056】
成分ガスの固体状物を集積して回収するサイクロン14についての説明は、排ガス中の成分ガスの第2の回収装置の第1実施形態における説明と同様である。また、第2の回収装置の第2実施形態におけるその他の内容については、第1の回収装置の第2実施形態の場合と同様であるので、その説明を省略する。
【0057】
メタンの大気圧下における沸点は、-161.6℃であり、融点は-182.5℃である。排ガス中のメタンをスターリングクーラーを用いて冷却して回収することが可能である。しかし、他の成分ガスと一緒に冷却して回収することは、エネルギー的なロスが多いと考えられる。そこで、大気圧下で固体化する温度が-100℃より高い温度の成分ガスを先に回収した後に、さらに低温に冷却して、上記と同様の方法でメタンの回収を行うことが好ましい。また、排ガス中のメタンを回収するのではなく、メタンを分解して除去する方法を行ってもよい。メタンを分解して除去する方法としては、メタンと酸化触媒とを接触させて熱分解する方法やプラズマによって分解する方法等がある。
すなわち、排ガス中の二酸化炭素、一酸化二窒素、二酸化窒素、二酸化硫黄および三酸化硫黄から選択されるいずれか1つ以上を冷却して固体状物にして回収した後に、排ガス中のメタンを冷却して固体状物にして回収する方法、または排ガス中のメタンを分解して除去するという方法を行うことができる。
【0058】
以上、本実施形態の排ガス中の成分ガスの回収装置の内容からわかるように、本実施形態の排ガス中の成分ガスの回収方法は、以下のような特徴を有している。
(1)排ガス中の成分ガスを凝縮された固体状または液体状にして分離回収するので、容積を非常に小さくすることができ、その後の保管や取扱いが容易である。
(2)排ガス中の成分ガスを他の物質を介在させることなく、比較的純度の高い状態で分離回収できるので、その後の成分ガスの利用が行い易い。
(3)大気圧近傍下で排ガス中の成分ガスの回収を行うことができるので、圧力容器や高圧に圧縮するための設備等を必要とせず、設備コストを低減できる。
(4)他の薬剤を使用することなく、排ガス中の成分ガスを分離回収することができるので、他の薬剤を使用するような他の回収方法に比べて、回収コストを低減でき、他の薬剤をリサイクルする設備等も不要である。
(5)スターリングクーラーを使用することにより、従来のコンプレッサー等の冷却装置を使用する場合と比べて、より優れたエネルギー効率で、排ガス中の成分ガスの回収を図ることができる。
(6)比較的コンパクトな設備とすることができるので、規模の大小を問わず、多様な排ガスの排出設備に対して設置することができる。
【0059】
また、本実施形態の排ガス中の成分ガスの回収方法は、以下のような特徴を有している。
(1)本実施形態の排ガス中の成分ガスの回収装置は、上記したように、成分ガスを固体状物にして回収した後の排ガスの一部を排ガスの予備冷却に利用したり、スターリングクーラーの排熱を成分ガスの固体状物の融解に利用したりして、エネルギー効率の向上を図ることが可能である。
(2)本実施形態の排ガス中の成分ガスの回収装置は、窒素酸化物や硫黄酸化物も併せて回収することができるので、排ガスから窒素酸化物や硫黄酸化物を除去するために必要とされる脱硫装置や脱硝装置の設置が不要となる可能性を有している。
【符号の説明】
【0060】
1 排ガス排出源
2 除湿装置
3 予備冷却装置
4 冷却手段
5 排ガス冷却装置
6 スターリングクーラー
7 回収装置
8 冷却手段
9 成分ガスの固体状物の貯蔵装置
10 成分ガスの固体状物の液化装置
11 液体貯蔵装置
12 分配器
13 煙突
14 サイクロン
21 排ガスの導入管
22 排出口
23
24 掻き取り治具
25 集積容器
26 二酸化炭素の固体状物