(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022129351
(43)【公開日】2022-09-05
(54)【発明の名称】データ処理装置、データ処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/00 20120101AFI20220829BHJP
【FI】
G06Q40/00 420
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021173053
(22)【出願日】2021-10-22
(62)【分割の表示】P 2021510238の分割
【原出願日】2021-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】516380407
【氏名又は名称】ファーストアカウンティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】葛 鴻鵬
(72)【発明者】
【氏名】松田 顕
(72)【発明者】
【氏名】小俣 智
(72)【発明者】
【氏名】森 啓太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 貴亮
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB64
(57)【要約】
【課題】仕訳に関する作業の担当者の負担を軽減する。
【解決手段】データ処理装置1は、請求書を示す請求書データを取得するデータ取得部151と、請求書データから、請求書に示される品名及び金額を含む複数の明細を示す複数の明細データを抽出する抽出部152と、抽出部152が抽出した複数の明細データのそれぞれに対応する勘定科目を有する複数の仕訳データを生成する生成部153と、生成部153が生成した複数の仕訳データのうち、勘定科目が共通の複数の仕訳データを統合する統合部154と、統合部154により統合された後の一以上の仕訳データを出力する出力部155と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
請求書を示す請求書データを取得するデータ取得部と、
前記請求書データから、前記請求書に示される品名及び金額を含む複数の明細を示す複数の明細データを抽出する抽出部と、
前記抽出部が抽出した複数の明細データのそれぞれに対応する勘定科目を有する複数の仕訳データを生成する生成部と、
前記生成部が生成した複数の仕訳データのうち、前記勘定科目が共通の複数の仕訳データを統合する統合部と、
前記統合部により統合された後の一以上の前記仕訳データを出力する出力部と、
を有するデータ処理装置。
【請求項2】
前記生成部は、前記明細データに対応する取引を行った部署を示す部署情報を含む仕訳データを生成し、
前記統合部は、前記生成部が生成した複数の仕訳データのうち、前記勘定科目及び前記部署情報が共通の複数の仕訳データを統合する、
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記生成部は、前記データ処理装置のユーザが所定ユーザである場合に、前記部署情報を含む仕訳データを生成し、
前記統合部は、前記データ処理装置のユーザが所定ユーザである場合に、前記生成部が生成した複数の仕訳データのうち、前記勘定科目及び前記部署情報が共通の複数の仕訳データを統合し、前記データ処理装置のユーザが所定ユーザとは異なるユーザである場合に、前記生成部が生成した複数の仕訳データのうち、前記勘定科目が共通の複数の仕訳データを統合する、
請求項2に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記生成部は、前記複数の明細データのそれぞれに対応する品名、又は品名及び金額に基づいて前記複数の仕訳データを生成する、
請求項1から3のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記統合部は、前記勘定科目が共通の複数の仕訳データを統合する場合、統合した仕訳データの件数を摘要に含む、複数の仕訳データを統合した仕訳データを生成する、
請求項1から4のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
前記出力部は、前記仕訳データに対応する請求書に含まれる、前記統合部が統合した仕訳データに対応する複数の前記明細を特定するための特定情報を表示部に表示させる、
請求項1から5のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項7】
前記出力部は、前記仕訳データに対応する複数の前記明細を表示する操作を受け付けると、前記特定情報を表示部に表示させる、
請求項6に記載のデータ処理装置。
【請求項8】
前記出力部は、前記統合部により統合された後の一以上の前記仕訳データを表示部に表示させ、
前記統合部により統合された前記仕訳データに対して、当該仕訳データの分割を指示する操作を受け付けると、当該仕訳データを統合される前の複数の仕訳データに分割する分割部をさらに有する、
請求項1から7のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項9】
コンピュータが実行する、
請求書を示す請求書データを取得するステップと、
前記請求書データから、前記請求書に示される品名及び金額を含む複数の明細を示す複数の明細データを抽出するステップと、
抽出された複数の明細データのそれぞれに対応する勘定科目を有する複数の仕訳データを生成するステップと、
生成された複数の仕訳データのうち、前記勘定科目が共通の複数の仕訳データを統合するステップと、
統合された後の一以上の前記仕訳データを出力するステップと、
を有するデータ処理方法。
【請求項10】
コンピュータを、
請求書を示す請求書データを取得するデータ取得部、
前記請求書データから、前記請求書に示される品名及び金額を含む複数の明細を示す複数の明細データを抽出する抽出部、
前記抽出部が抽出した複数の明細データのそれぞれに対応する勘定科目を有する複数の仕訳データを生成する生成部、
前記生成部が生成した複数の仕訳データのうち、前記勘定科目が共通の複数の仕訳データを統合する統合部、及び、
前記統合部により統合された後の一以上の前記仕訳データを出力する出力部、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、証憑データを処理するデータ処理装置、データ処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
請求書を示す請求書データから商品名及び金額を含む明細を読み取り、読み取った明細を示す明細データに基づいて仕訳データを作成する会計処理システムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
生成された複数の仕訳データに勘定科目が共通の仕訳データが含まれている場合、勘定科目が共通の仕訳データを仕訳に関する作業の担当者が集約することがある。この場合、担当者が共通の仕訳データを特定して集約する必要があり、作業が煩雑であった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、仕訳に関する作業の担当者の負担を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係るデータ処理装置は、請求書を示す請求書データを取得するデータ取得部と、前記請求書データから、前記請求書に示される品名及び金額を含む複数の明細を示す複数の明細データを抽出する抽出部と、前記抽出部が抽出した複数の明細データのそれぞれに対応する勘定科目を有する複数の仕訳データを生成する生成部と、前記生成部が生成した複数の仕訳データのうち、前記勘定科目が共通の複数の仕訳データを統合する統合部と、前記統合部により統合された後の一以上の前記仕訳データを出力する出力部と、を有する。
【0007】
前記生成部は、前記明細データに対応する取引を行った部署を示す部署情報を含む仕訳データを生成し、前記統合部は、前記生成部が生成した複数の仕訳データのうち、前記勘定科目及び前記部署情報が共通の複数の仕訳データを統合してもよい。
【0008】
前記生成部は、前記データ処理装置のユーザが所定ユーザである場合に、前記部署情報を含む仕訳データを生成し、前記統合部は、前記データ処理装置のユーザが所定ユーザである場合に、前記生成部が生成した複数の仕訳データのうち、前記勘定科目及び前記部署情報が共通の複数の仕訳データを統合し、前記データ処理装置のユーザが所定ユーザとは異なるユーザである場合に、前記生成部が生成した複数の仕訳データのうち、前記勘定科目が共通の複数の仕訳データを統合してもよい。
【0009】
前記生成部は、前記複数の明細データのそれぞれに対応する品名、又は品名及び金額に基づいて前記複数の仕訳データを生成してもよい。
前記統合部は、前記勘定科目が共通の複数の仕訳データを統合する場合、統合した仕訳データの件数を摘要に含む、複数の仕訳データを統合した仕訳データを生成してもよい。
【0010】
前記出力部は、前記仕訳データに対応する請求書に含まれる、前記統合部が統合した仕訳データに対応する複数の前記明細を特定するための特定情報を表示部に表示させてもよい。
前記出力部は、前記仕訳データに対応する複数の前記明細を表示する操作を受け付けると、前記特定情報を表示部に表示させてもよい。
【0011】
前記出力部は、前記統合部により統合された後の一以上の前記仕訳データを表示部に表示させ、前記データ処理装置は、前記統合部により統合された前記仕訳データに対して、当該仕訳データの分割を指示する操作を受け付けると、当該仕訳データを統合される前の複数の仕訳データに分割する分割部をさらに有してもよい。
【0012】
本発明の第2の態様に係るデータ処理方法は、コンピュータが実行する、請求書を示す請求書データを取得するステップと、前記請求書データから、前記請求書に示される品名及び金額を含む複数の明細を示す複数の明細データを抽出するステップと、抽出された複数の明細データのそれぞれに対応する勘定科目を有する複数の仕訳データを生成するステップと、生成された複数の仕訳データのうち、前記勘定科目が共通の複数の仕訳データを統合するステップと、統合された後の一以上の前記仕訳データを出力するステップと、を有する。
【0013】
本発明の第3の態様に係るプログラムは、コンピュータを、請求書を示す請求書データを取得するデータ取得部、前記請求書データから、前記請求書に示される品名及び金額を含む複数の明細を示す複数の明細データを抽出する抽出部、前記抽出部が抽出した複数の明細データのそれぞれに対応する勘定科目を有する複数の仕訳データを生成する生成部、前記生成部が生成した複数の仕訳データのうち、前記勘定科目が共通の複数の仕訳データを統合する統合部、及び、前記統合部により統合された後の一以上の前記仕訳データを出力する出力部、として機能させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、仕訳に関する作業の担当者の負担を軽減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施形態に係るデータ処理装置の概要を説明するための図である。
【
図2】被請求者が受領する請求書の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態に係るデータ処理装置の機能構成を示す図である。
【
図6】出力部が出力した登録画面の一例を示す図である。
【
図7】表示部に表示された請求書の一例を示す図である。
【
図9】本実施形態に係るデータ処理装置における基本的な処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[データ処理装置1の概要]
図1は、本実施形態に係るデータ処理装置1の概要を説明するための図である。データ処理装置1は、スキャナ又はデジタルカメラ等の読取装置2が請求書を読み取ることによって生成された請求書の画像データである請求書データを取得し、請求書データに含まれる文字列を解析した結果を用いて仕訳データを生成し、会計システム3に登録するための装置である。データ処理装置1は、例えばコンピュータである。データ処理装置1は、1台のコンピュータにより構成されていてもよく、複数のコンピュータにより構成されていてもよい。
【0017】
図2は、被請求者としてのデータ処理装置1のユーザが受領する請求書の一例を示す図である。
図2に示す請求書には、請求書の発行元、すなわち取引における代金を請求する取引先の名称、住所、連絡先が表示されている。また、請求書には、件名(
図2に示す2020年1月分)、請求の対象となる商品の品名、商品の金額、複数の商品の合計金額(すなわち請求額)が表示されている。なお、本実施形態における品名には、商品の名称のみならず、発行元が提供するサービスの名称、電話番号等のサービスに対応する記号及び番号、手数料や消費税等の費用の名称が含まれるものとする。データ処理装置1は、読取装置2が請求書を読み取ることによって生成された請求書データからOCR処理を行うことによりテキスト情報を抽出し、抽出したテキスト情報に基づいて仕訳データを生成する。なお、データ処理装置1のユーザは、例えば一つの会社等の所定の組織に属しているユーザであるものとするが、複数の組織のそれぞれに属するユーザが、データ処理装置1を共同で利用してもよい。
【0018】
仕訳データの生成は、予め定められた仕訳データの生成ルールに基づいて行われる。例えば、請求書に含まれる複数の明細のそれぞれに対し、仕訳データの生成ルールに基づいて、複数の仕訳データが生成される。この場合において、生成された仕訳データに勘定科目が共通の仕訳データが含まれることがある。仕訳に関する作業を行う担当者は、勘定科目が共通の仕訳データを集約する作業をすることがあり、集約作業が負担になるという問題が生じていた。
【0019】
これに対し、データ処理装置1は、複数の仕訳データのうち、勘定科目が共通の複数の仕訳データを統合し、統合された後の仕訳データを出力する。このようにすることで、データ処理装置1は、仕訳に関する作業を行う担当者の負担を軽減することができる。
【0020】
[データ処理装置1の機能構成及び動作]
図3は、本実施形態に係るデータ処理装置1の機能構成を示す図である。データ処理装置1は、通信部11と、操作部12と、表示部13と、記憶部14と、制御部15とを有する。制御部15は、データ取得部151と、抽出部152と、生成部153と、統合部154と、出力部155と、分割部156と、登録部157とを有する。
【0021】
通信部11は、ネットワーク(例えばイントラネット又はインターネット)に接続するための通信インターフェースであり、読取装置2からデータを受信したり、他のコンピュータとの間でデータを送受信したりするための通信コントローラを有する。
【0022】
操作部12は、請求書から読み取った文字列や数値を訂正したりするためのキーボード、マウス及びディスプレイ等のデバイスを有する。
表示部13は、情報を表示するディスプレイである。表示部13は、制御部15の指示に基づいて情報を表示する。
【0023】
記憶部14は、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びハードディスク等の記憶媒体を有する。記憶部14は、制御部15が実行するプログラムを記憶する。例えば、記憶部14は、制御部15を、データ取得部151、抽出部152、生成部153、統合部154、出力部155、分割部156、及び登録部157として機能させるプログラムを記憶する。
【0024】
また、記憶部14は、読取装置2が請求書を読み取ることによって生成された請求書データを記憶する。また、記憶部14は、請求書データから作成された仕訳データを格納する仕訳データベースを記憶する。
【0025】
図4は、仕訳データベースの一例を示す図である。仕訳データベースには、例えば、会計システムに登録された情報と同じ情報又は会計システム3に登録された情報のうち一部の情報が格納される。
図4に示すように仕訳データベースでは、請求書の発行元と、請求書に対して生成された仕訳データとが関連付けられている。仕訳データは、例えば、仕訳に対応する取引が行われた日付と、借方勘定科目と、借方補助科目と、借方金額と、貸方勘定科目と、貸方補助科目と、貸方金額と、摘要とを関連付けたデータである。仕訳データベースにおいては、請求書等の証憑を特定するための証憑識別情報(例えば請求書番号等)がさらに含まれていてもよい。
【0026】
また、記憶部14は、請求書の発行元と、当該発行元に対応する仕訳データの生成ルールとを関連付けて生成ルール情報として記憶する。
図5は、生成ルール情報の一例を示す図である。仕訳データの生成ルールは、例えば、過去に登録された仕訳データに基づいて生成される。
【0027】
仕訳データの生成ルールは、例えば、請求書の明細に含まれている品名に基づいて、明細をどの勘定科目に割り当てるかを規定した情報である。
図5に示す例では、請求書の発送元がABC通信であり、明細に含まれている品名に「電話通信料」が含まれている場合、当該明細に対応する借方勘定科目を「通信費」、貸方勘定科目を「未払金」に割り当てることを示している。また、請求書の発送元がABC通信であり、明細に含まれているサービスの名称名に「手数料」が含まれている場合、当該明細に対応する借方勘定科目を「支払手数料」、貸方勘定科目を「未払金」に割り当てることを示している。
【0028】
また、
図5に示す例では、請求書の発送元がY通信であり、明細に含まれている品名に電話番号として「0901234****」又は「0902345****」が含まれている場合、当該明細に対応する借方勘定科目を「通信費」、借方補助科目を「営業部」、貸方勘定科目を「未払金」に割り当てることを示している。また、請求書の発送元がY通信であり、明細に含まれている品名に電話番号として「0903456****」が含まれている場合、当該明細に対応する借方勘定科目を「通信費」、借方補助科目を「総務部」、貸方勘定科目を「未払金」に割り当てることを示している。
【0029】
なお、仕訳データの生成ルールが
図5に示すように請求書の明細に含まれている品名に基づいて、明細をどの勘定科目に割り当てるかを規定した情報であるものとしたが、これに限らない。仕訳データの生成ルールは、請求書の明細に含まれている品名又は品名及び金額に基づいて、明細をどの勘定科目に割り当てるかを規定した情報であってもよい。例えば、明細に含まれている金額が所定額を超えた場合に借方勘定科目を交際費とし、明細に含まれている金額が所定額以下の場合に借方勘定科目を会議費とする仕訳データの生成ルールが定められていてもよい。
【0030】
制御部15は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部15は、記憶部14に記憶されたプログラムを実行することにより、データ取得部151、抽出部152、生成部153、統合部154、出力部155、分割部156、及び登録部157として機能する。
【0031】
データ取得部151は、請求書を示す請求書データを取得する。例えば、データ取得部151は、読取装置2が請求書を読み取ることにより生成された請求書データを取得する。データ取得部151は、読取装置2から請求書データを直接取得してもよいし、データ処理装置1と通信可能に接続されている端末から請求書データを取得してもよい。なお、データ取得部151は、読取装置2が読み取ることにより生成される請求書データを取得することとしたがこれに限らず、発行先等が作成した電子データとしての請求書データを取得してもよい。
【0032】
抽出部152は、データ取得部151が取得した請求書データから、請求書に示される品名及び金額を含む複数の明細を示す複数の明細データを抽出する。具体的には、抽出部152は、OCR処理を実行することにより、請求書データが示す請求書に含まれているテキスト情報を抽出する。テキスト情報には、請求書の発行元(取引先)、発行先、請求書番号、発注番号、発行日、商品の品名、商品の金額、請求金額が少なくとも含まれている。抽出部152は、請求書に含まれているテキスト情報の中から、品名及び金額を含む複数の明細を示す複数の明細データを抽出する。
【0033】
生成部153は、抽出部152が抽出した複数の明細データのそれぞれに対応する勘定科目を有する複数の仕訳データを生成する。生成部153は、複数の明細データのそれぞれに対応する商品に基づいて複数の仕訳データを生成する。具体的には、まず、生成部153は、抽出部152が抽出したテキスト情報から、請求書の発行元を示すテキスト情報を特定することにより、請求書データに対応する請求書の発行元を特定する。生成部153は、特定した発行元に関連付けられている仕訳データの生成ルールに基づいて、複数の明細データのそれぞれに対応する複数の仕訳データを生成する。
【0034】
生成部153は、特定した発行元に関連付けられている仕訳データの生成ルールを参照し、明細データを構成する品名に基づいて、明細をどの勘定科目に割り当てるかを特定し、特定した勘定科目を含む仕訳データを生成する。例えば、生成部153が
図5に示される生成ルール情報を用いて仕訳データを生成する場合において、請求書の発送元がABC通信であり、明細に含まれている品名に「電話通信料」が含まれているものとする。この場合、生成部153は、当該明細に対して借方勘定科目が「通信費」、貸方勘定科目が「未払金」であり、当該明細に含まれる金額を含む仕訳データを生成する。
【0035】
また、仕訳データの生成ルールが、請求書の明細に含まれている品名及び金額の少なくともいずれかに基づいて、明細をどの勘定科目に割り当てるかを規定した情報である場合、生成部153は、当該仕訳データの生成ルールに基づいて、複数の明細データのそれぞれに対応する品名及び金額の少なくともいずれかに基づいて複数の仕訳データを生成する。例えば、生成部153は、2つの明細に含まれる品名が同じであっても、金額に応じて異なる勘定科目を有する仕訳データを生成するようにしてもよい。
【0036】
また、生成部153は、明細データに対応する取引を行った部署を示す部署情報を含む仕訳データを生成する。例えば、生成部153は、明細データに対応する品名に、取引を行った部署に対応する情報が含まれている場合、部署情報を補助科目に含む仕訳データを生成する。ここで、複数の組織のそれぞれに属するユーザが、データ処理装置1を共同で利用する場合、生成部153は、明細データに対応する品名に、取引を行った部署に対応する情報が含まれている場合に、データ処理装置1のユーザが所定ユーザであることを条件として、部署情報を補助科目に含む仕訳データを生成してもよい。所定ユーザは、予め部署情報を補助科目に含む仕訳データを生成することを指定したユーザであるが、これに限らず、予め定められた業種に対応する組織に属するユーザであってもよい。
【0037】
統合部154は、生成部153が生成した複数の仕訳データのうち、勘定科目と、部署情報を含む補助科目とが共通の複数の仕訳データを統合する。具体的には、統合部154は、複数の仕訳データにおける勘定科目が同一であり、かつ複数の仕訳データにおける補助科目が同一であると判定した場合に、複数の仕訳データを統合して一つの統合仕訳データを生成する。この場合、統合部154は、複数の仕訳データの借方金額の合計額を統合仕訳データの借方金額にし、複数の仕訳データの貸方金額の合計額を統合仕訳データの貸方金額とする。
【0038】
また、複数の組織のそれぞれに属するユーザが、データ処理装置1を共同で利用する場合、統合部154は、データ処理装置1のユーザが所定ユーザである場合に、生成部153が生成した複数の仕訳データのうち、勘定科目及び補助科目が共通の複数の仕訳データを統合し、データ処理装置1のユーザが所定ユーザとは異なるユーザである場合に、生成部153が生成した複数の仕訳データのうち、勘定科目が共通の複数の仕訳データを統合してもよい。このようにすることで、複数の組織それぞれに対応して、請求書の発送元が同一の請求書データから生成した勘定科目と部署情報とが共通の仕訳データを統合するか否かを切り分けることができる。
【0039】
統合部154は、生成部153が生成した複数の仕訳データのうち、借方勘定科目、借方補助科目、貸方勘定科目及び貸方補助科目が共通の複数の仕訳データの借方金額、貸方金額を集計することにより統合仕訳データを生成してもよい。例えば、統合部154は、生成部153が生成した複数の仕訳データのうち、借方勘定科目、借方補助科目、貸方勘定科目及び貸方補助科目が共通の仕訳データが存在するか否かを判定する。統合部154は、共通の仕訳データが存在すると判定すると、これらの仕訳データを統合して、一つの統合仕訳データを生成する。
【0040】
また、統合部154は、勘定科目が共通の複数の仕訳データを統合する場合、統合した仕訳データの件数を摘要に含む、複数の仕訳データを統合した仕訳データを生成する。具体的には、統合部154は、複数の仕訳データを統合する場合に、統合される仕訳データの件数を計数し、当該件数を摘要に含む仕訳データを生成する。このようにすることで、仕訳に関する作業を行う担当者は、統合後の仕訳データの摘要欄を確認して何件の仕訳データが統合されたのかを把握することができる。
【0041】
出力部155は、生成部153が生成した仕訳データを出力する。出力部155は、生成部153が生成した複数の仕訳データの一部が統合部154により統合された場合、統合部154により統合された後の一以上の仕訳データを出力する。例えば、生成部153が4件の仕訳データを生成し、そのうちの3件の仕訳データが統合部154により統合された場合、出力部155は、統合されなかった1件の仕訳データと、統合された後の1件の仕訳データとを出力する。
【0042】
例えば、出力部155は、生成部153が生成した仕訳データを含み、当該仕訳データの会計システム3への登録を受け付ける登録画面を表示部13に出力する。
図6は、出力部155が出力した登録画面の一例を示す図である。
図6に示す仕訳データは、
図2に対応する請求書に基づいて生成された仕訳データである。
図6に示す例では、3件の電話通信料が統合された1件の仕訳データと、手数料に対応する1件の仕訳データとが表示されていることが確認できる。また、3件の電話通信料が統合された仕訳データの摘要欄には、統合された仕訳データの件数が表示されていることが確認できる。
【0043】
また、
図6に示す例では、仕訳データの他に、登録者としてのユーザの氏名が表示されているとともに、会計システム3への仕訳データの登録を受け付ける登録ボタンと、仕訳データに対応する複数の明細を含む請求書を表示するための請求書表示ボタンとが表示されていることが確認できる。
【0044】
出力部155は、仕訳データに対応する複数の明細を含む請求書を表示する操作としての、請求書表示ボタンを選択する操作を受け付ける。出力部155は、請求書表示ボタンを選択する操作を受け付けると、請求書を表示部13に表示させ、仕訳データに対応する請求書に含まれる、統合部154が統合した仕訳データに対応する複数の明細を特定するための特定情報を表示部13に表示させる。特定情報は、例えば、統合部154が統合した仕訳データに対応する複数の明細それぞれを囲む枠線である。
【0045】
図7は、表示部13に表示された請求書の一例を示す図である。
図7に示す請求書では、統合部154により統合した仕訳データに対応する3件の電話通信料を示す明細のそれぞれが、枠線により囲まれていることが確認できる。このようにすることで、仕訳に関する作業を行う担当者は、請求書表示ボタンを選択することにより表示部13に請求書を表示させ、集約された仕訳データに対応する明細がどの明細であるのかを把握することができる。
【0046】
なお、統合された仕訳データが複数存在する場合、出力部155は、請求書において、統合部154が統合した複数の仕訳データそれぞれに対応する複数の明細を特定するための特定情報を、どの仕訳データに対応するのかを区別可能に表示部13に表示させてもよい。例えば、出力部155は、複数の仕訳データそれぞれに対応して異なる色の枠線を表示してもよい。
【0047】
また、出力部155は、登録画面において、仕訳データを選択する操作を受け付けたことに応じて、統合された仕訳データに対応する明細を表示する仕訳データ詳細画面を表示させるようにしてもよい。例えば、出力部155は、仕訳データ詳細画面を登録画面に重畳させて表示してもよい。
図8は、仕訳データ詳細画面の一例を示す図である。仕訳に関する作業を行う担当者は、仕訳データ詳細画面を確認することで、集約された仕訳データに対応する明細がどの明細であるのかを把握することができる。
【0048】
分割部156は、統合部154により統合された仕訳データに対して、当該仕訳データの分割を指示する操作を受け付けると、当該仕訳データを統合される前の複数の仕訳データに分割する。例えば、分割部156は、仕訳データ詳細画面において、統合部154が統合した仕訳データに対応する明細の中から分割する一以上の明細の選択を受け付けてもよい。そして、分割部156は、選択された明細に対応する一以上の仕訳データを、統合された仕訳データから分割してもよい。
【0049】
出力部155は、分割部156により分割した複数の仕訳データを仕訳データの登録画面に表示させる。このようにすることで、仕訳に関する作業を行う担当者は、仕訳データの統合が不適切な場合や、仕訳データの統合が不要である場合に、統合された仕訳データを分割することができる。
【0050】
登録部157は、仕訳データを会計システム3に登録する。例えば、登録部157は、出力部155が表示部13に出力した登録画面において、登録ボタンを押下する操作をユーザから受け付けると、登録画面に表示されている仕訳データを会計システム3に登録する。登録部157は、登録画面に表示されている仕訳データの修正をユーザから受け付けてもよい。
【0051】
[データ処理装置1における処理の流れ]
続いて、データ処理装置1における処理の流れを説明する。
図9は、本実施形態に係るデータ処理装置1における基本的な処理の流れを示すフローチャートである。
まず、データ取得部151は、読取装置2が請求書を読み取ることによって生成した請求書データを取得する(S1)。
続いて、抽出部152は、請求書データに含まれているテキスト情報の中から複数の明細データを抽出する(S2)。
【0052】
続いて、生成部153は、S2において抽出された複数の明細データのそれぞれに対応する勘定科目を有する複数の仕訳データを生成する(S3)。
続いて、統合部154は、S3において生成された複数の仕訳データのうち、勘定科目と、部署情報を含む補助科目とが共通の複数の仕訳データを統合する(S4)。
【0053】
続いて、出力部155は、S4において統合された仕訳データを含む登録画面を表示部13に表示させる(S5)。
続いて、登録部157は、登録画面において、登録ボタンを押下する操作をユーザから受け付けると、登録画面に含まれている仕訳データを会計システム3に登録する(S6)。
【0054】
[本実施形態に係るデータ処理装置1による効果]
以上説明したように、本実施形態に係るデータ処理装置1は、請求書データから、請求書に示される品名及び金額を含む複数の明細を示す複数の明細データを抽出し、抽出した複数の明細データのそれぞれに対応する勘定科目を有する複数の仕訳データを生成する。そして、データ処理装置1は、生成した複数の仕訳データのうち、勘定科目が共通の複数の仕訳データを統合し、統合された後の一以上の仕訳データを出力する。このようにすることで、データ処理装置1は、仕訳に関する作業の担当者の負担を軽減することができる。
【0055】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、請求書データは、読取装置2が読み取ることにより作成されたデータであることとしたが、これに限らず、コンピュータが作成したpdfファイル等の電子データであってもよい。また、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0056】
1 データ処理装置
2 読取装置
3 会計システム
11 通信部
12 操作部
13 表示部
14 記憶部
15 制御部
151 データ取得部
152 抽出部
153 生成部
154 統合部
155 出力部
156 分割部
157 登録部