(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022129360
(43)【公開日】2022-09-05
(54)【発明の名称】水性液状化粧料及びペン型化粧品
(51)【国際特許分類】
A61K 8/04 20060101AFI20220829BHJP
A61Q 1/02 20060101ALI20220829BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20220829BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20220829BHJP
A61K 8/20 20060101ALI20220829BHJP
A61K 8/23 20060101ALI20220829BHJP
A61K 8/24 20060101ALI20220829BHJP
A61K 8/64 20060101ALI20220829BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20220829BHJP
A45D 34/04 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
A61K8/04
A61Q1/02
A61K8/02
A61K8/19
A61K8/20
A61K8/23
A61K8/24
A61K8/64
A61K8/81
A45D34/04 525A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021209264
(22)【出願日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】P 2021027523
(32)【優先日】2021-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】591147339
【氏名又は名称】株式会社トキワ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】荻野 一紀
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AB132
4C083AB231
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB271
4C083AB281
4C083AB282
4C083AB311
4C083AB331
4C083AB332
4C083AB342
4C083AB351
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC302
4C083AC842
4C083AD072
4C083AD092
4C083AD412
4C083BB01
4C083BB05
4C083CC11
4C083DD21
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD39
4C083DD47
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】 オートペンタイプの塗布具で使用する場合であっても十分な吐出性を有するとともに、紺青や天然色素のレーキを含みながらも塗布部での色分離が発生しにくい水性液状化粧料及びそれを含むペン型化粧品を提供すること。
【解決手段】 水性液状化粧料は、(A)顔料と、(B)分散剤と、を含み、25℃における粘度が1~50mPa・sである水性液状化粧料であって、(A)成分が、(A1)紺青及び天然色素のレーキからなる群より選択される少なくとも一種を含み、水性液状化粧料は、(C1)塩化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、及びリン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の無機塩を含む。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)顔料と、(B)分散剤と、を含み、25℃における粘度が1~50mPa・sである水性液状化粧料であって、
前記(A)成分が、(A1)紺青及び天然色素のレーキからなる群より選択される少なくとも一種を含み、
前記水性液状化粧料は、(C1)塩化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、及びリン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の無機塩を含む、水性液状化粧料。
【請求項2】
前記(C1)成分として、塩化物を含み、
前記塩化物の含有量が、化粧料全量を基準として、0.05~1質量%である、請求項1に記載の水性液状化粧料。
【請求項3】
前記(C1)成分として、ポリリン酸塩を含み、
前記ポリリン酸塩の含有量が、化粧料全量を基準として、0.005~0.1質量%である、請求項1に記載の水性液状化粧料。
【請求項4】
前記(B)成分が、(B1)アニオン性分散剤を含む、請求項1~3にいずれか一項に記載の水性液状化粧料。
【請求項5】
オートペンタイプの塗布具と、当該塗布具に充填された、請求項1~4のいずれか一項に記載の水性液状化粧料と、を備える、ペン型化粧品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性液状化粧料及びペン型化粧品に関する。
【背景技術】
【0002】
水性液状化粧料の製品形態として、使いやすさの点からオートペンタイプの塗布具が利用されている。この塗布具では、化粧料を充填した貯蔵部から毛細管現象でペン先へと化粧料を追従させている。ここでの化粧料は、追従性の点から低粘度であることが多く、経時により顔料が沈降しやすい。顔料の沈降は、化粧料の貯蔵部や流路の詰まりや描線のかすれなどの問題につながる。このような問題を抑制する目的で、これまでにも、ポリアスパラギン酸ナトリウムなどのアニオン性分散剤を配合して水性液状化粧料の分散性や吐出性を向上させることが行われている(例えば、下記特許文献1及び2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-231614号公報
【特許文献2】特開2015-164912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、リキッドアイライナーやアイブロウ化粧料などにおいては、黒や茶色以外に、青、緑、ミルキー色といった様々な色の展開が増えており、従来の黒酸化鉄やカーボンブラックといった黒色顔料以外に、ベンガラや黄酸化鉄、酸化チタン、紺青などの無機顔料や、タール色素などの合成有機顔料、カルミンなどの天然色素のレーキなどを混合することがある。
【0005】
しかし、紺青や天然色素のレーキを含む水性液状化粧料は、塗布具のペン先上で色分離が発生することを発明者らは見出した。このような塗布部での色分離は、描線の濃淡差(又は色相差)につながり、製品として好ましくないが、アニオン性分散剤の配合によっても十分に抑制できないことも判明した。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、オートペンタイプの塗布具で使用する場合であっても十分な吐出性を有するとともに、紺青や天然色素のレーキを含みながらも塗布部での色分離が発生しにくい水性液状化粧料及びそれを含むペン型化粧品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、(A)顔料と、(B)分散剤と、を含み、25℃における粘度が1~50mPa・sである水性液状化粧料であって、(A)成分が、(A1)紺青及び天然色素のレーキからなる群より選択される少なくとも一種を含み、水性液状化粧料は、(C1)塩化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、及びリン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の無機塩を含む、水性液状化粧料を提供する。
【0008】
本発明の水性液状化粧料によれば、上記構成を有することにより、オートペンタイプの塗布具で使用する場合であっても十分な吐出が可能であるとともに、塗布部での色分離を抑制することができる。
【0009】
上記の水性液状化粧料は、塗布部での色分離の抑制及び吐出性の観点から、(C1)成分として、塩化物を含み、当該塩化物の含有量が、化粧料全量を基準として、0.05~1質量%であってもよい。
【0010】
上記の水性液状化粧料は、塗布部での色分離の抑制及び吐出性の観点から、(C1)成分として、ポリリン酸塩を含み、当該ポリリン酸塩の含有量が、化粧料全量を基準として、0.005~0.1質量%であってもよい。
【0011】
更に、(B)成分が、(B1)アニオン性分散剤を含んでいてもよい。
【0012】
本発明はまた、オートペンタイプの塗布具と、当該塗布具に充填された、上記の水性液状化粧料と、を備える、ペン型化粧品を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、オートペンタイプの塗布具で使用する場合であっても十分な吐出性を有するとともに、紺青や天然色素のレーキを含みながらも塗布部での色分離が発生しにくい水性液状化粧料及びそれを含むペン型化粧品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】ペン型化粧品について説明するための模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本実施形態の水性液状化粧料は、(A)顔料(以下、(A)成分という場合もある)、と、(B)分散剤(以下、(B)成分という場合もある)と、(C1)塩化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、及びリン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の無機塩(以下、(C1)成分という場合もある)と、を含む。
【0016】
なお、本明細書において水性とは、少なくとも水が含まれていることを意味する。水性化粧料には、水以外にエタノール等の炭素数1~5の低級アルコールが更に含まれていてもよい。
【0017】
本実施形態の水性液状化粧料における水の含有量は、化粧料全量基準で、30~85質量%であってもよく、40~80質量%であってもよく、50~70質量%であってもよい。
【0018】
また、本明細書において液状とは、25℃において流動性を示すものであることを指す。本実施形態の水性液状化粧料の25℃における粘度は、1~50mPa・sとすることができる。
【0019】
オートペンタイプでの吐出性を良好にする観点から、本実施形態の水性液状化粧料は、25℃における粘度が、40mPa・s以下であることが好ましく、35mPa・s以下であることがより好ましく、30mPa・s以下であることが更に好ましく、25mPa・s以下であることが更により好ましい。また、使用性の観点から、本実施形態の水性液状化粧料は、25℃における粘度が、4mPa・s以上であることが好ましく、6mPa・s以上であることがより好ましい。
【0020】
なお、上記の粘度は、25℃の試料について、ブルックフィールド型粘度計(BM型)を用いて、下記の条件で測定した値を意味する。
1~50mPa・s:BLアダプタ、回転数12rpm
【0021】
[(A)顔料]
顔料は、通常化粧品に使用されるものであれば特に限定されず用いることができる。例えば、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、酸化クロム、群青、紺青、酸化チタン、微粒子酸化チタン、酸化亜鉛、チタンブラック(チタン・酸化チタン焼結物)、カーボンブラック、硫酸バリウム、パール顔料(雲母チタン、酸化鉄被覆雲母チタン、微粒子酸化チタン被覆マイカチタン、硫酸バリウム被覆マイカチタン、魚鱗箔、オキシ塩化ビスマス、アルミニウムフレーク等)等の無機顔料、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の合成色素の有機顔料、カルミン酸、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン、クロシン等の天然色素をレーキ化したもの(以下、「天然色素のレーキ」ともいう)などが挙げられる。これらの顔料は、使用性や分散性等の向上を目的として、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、金属石鹸、シリコーン化合物、フッ素化合物、界面活性剤、アミノ酸化合物等が挙げられる。
【0022】
(A)成分は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0023】
本実施形態の水性液状化粧料は、様々な色を展開する観点から、(A)成分として、(A1)紺青及び天然色素のレーキからなる群より選択される少なくとも一種(以下、(A1)成分という場合もある)を含むことができる。
【0024】
(A1)成分の含有量は、吐出性、及び描線の発色性の観点から、(A)成分全量を基準として、1~99質量%であってもよく、5~95質量%であってもよく、10~90質量%であってもよく、20~85質量%であってもよい。
【0025】
本実施形態の水性液状化粧料は、様々な色を展開する観点から、(A)成分として、酸化チタン、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、及びチタンブラック(チタン・酸化チタン焼結物)からなる群より選択される少なくとも一種の金属酸化物(以下、(A2)成分という場合もある)を更に含むことができる。
【0026】
本実施形態の水性液状化粧料は(A1)成分及び(A2)成分を含む場合であっても、塗布部での色分離を抑制することができる。(A2)成分として酸化チタンが配合される場合などのように、水性液状化粧料が白色顔料を含む場合、塗布部での色分離による色差がより目立ちやすくなる傾向にあるが、本実施形態の水性液状化粧料によれば、塗布部での色分離を十分に抑制することができる。
【0027】
本実施形態の水性液状化粧料における(A)成分の含有量は、化粧料全量基準で、0.1~30質量%であってもよく、1~25質量%であってもよく、2~20質量%であってもよい。
【0028】
[(B)分散剤]
(B)成分としては、通常化粧品に使用されるものであれば特に限定されず、アニオン性分散剤(以下、(B1)成分という場合もある)、ノニオン性分散剤、これら以外の水溶性ポリマー等を用いることができる。また、(B)成分は、水溶性であるものを用いることができる。
【0029】
(B1)成分としては、ポリアスパラギン酸塩、ポリアクリル酸塩やポリメタクリル酸塩等のポリカルボン酸塩などのアニオン性高分子が挙げられる。また、(B1)成分は、水溶性であるものを用いることができる。(B1)成分は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0030】
ポリアスパラギン酸塩とは、アスパラギン酸を構成単位に含む重合体である。ポリカルボン酸塩とは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸などのエチレン性不飽和カルボン酸に由来する構成単位を含む単独重合体、もしくは共重合体である。ポリアクリル酸塩とは、アクリル酸を構成単位に含む単独重合体であり、ポリメタクリル酸塩とは、メタクリル酸を構成単位に含む単独重合体である。
【0031】
上記重合体の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等の有機アミン塩、または塩基性アミノ酸塩を利用することができ、中でもナトリウム塩やカリウム塩が好ましい。
【0032】
アニオン性高分子の平均分子量(Mw)は、吐出性と、塗布部での色分離や描線の濃淡差の抑制とを両立させる観点から、1000~30000であってもよく、1000~15000であってもよく、2000~10000であってもよい。水溶性重合体の平均分子量(Mw)は、分子量既知のポリエチレングリコールを標準物質として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
【0033】
(B1)成分は、市販品を用いることができる。ポリアスパラギン酸塩としては、アクアデュウSPA-30(味の素社製、平均分子量(Mw)4000)、Baypure DS100(ランクセス社製、平均分子量(Mw)2500)が挙げられる。ポリアクリル酸塩としては、アロンT-50(東亜合成社製、平均分子量(Mw)6000)、アロンA-30SL(東亜合成社製、平均分子量(Mw)6000)が挙げられる。ポリカルボン酸塩としては、アロンA-6330(東亜合成社製、平均分子量(Mw)10000)、アロンA-6001(東亜合成社製、平均分子量(Mw)8000)が挙げられる。
【0034】
(B1)成分の含有量は、吐出性と、塗布部での色分離の抑制とを高水準で両立させる観点から、化粧料全量基準で、0.05~5質量%であってもよく、0.1~3質量%であってもよく、0.12~1質量%であってもよく、0.15~0.5質量%であってもよい。
【0035】
本実施形態の水性液状化粧料は、吐出性と、塗布部での色分離や描線の濃淡差の抑制とを両立させる観点から、(B1)成分として、平均分子量(Mw)が1000~30000であるアニオン性高分子(B1-L)と、平均分子量(Mw)が50000~1000000であるアニオン性高分子(B1-H)とを含んでいてもよく、これらの質量比(B1-L)/(B1-H)は、0.1/1~5/1であってもよく、1/5~3/1であってもよく、1/3~5/3であってもよい。
【0036】
ノニオン性分散剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、グリセリンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及び、それらのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーンなどが挙げられる。
【0037】
上記の分散剤以外の水溶性ポリマーとしては、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体(VP/VAコポリマー)などが挙げられる。
【0038】
本実施形態の水性液状化粧料における(B)成分の含有量は、化粧料全量基準で、0.1~5質量%であってもよく、0.2~4質量%であってもよく、0.3~3質量%であってもよい。
【0039】
[(C1)成分]
(C1)成分は、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、及びリン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の無機塩である。(C1)成分としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、及び塩化アンモニウム等の塩化物;硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、及び硫酸アンモニウム等の硫酸塩;硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸アルミニウム、硝酸亜鉛、及び硝酸アンモニウム等の硝酸塩;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、及び炭酸カルシウム等の炭酸塩;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、並びに、メタリン酸ナトリウム、及びメタリン酸カリウム等のポリリン酸塩、などのリン酸塩が挙げられる。これらのうち、塗布部での色分離の抑制の観点から、塩化ナトリウム、塩化マグネシウムを用いることができる。
【0040】
本実施形態の水性液状化粧料における(C1)成分の含有量は、吐出性と、塗布部での色分離の抑制とを高水準で両立させる観点から、化粧料全量を基準として、0.005~1質量%であってもよく、0.01~0.8質量%であってもよく、0.05~1質量%であってもよく、0.06~0.8質量%であってもよく、0.02~0.5質量%であってもよく、0.07~0.5質量%であってもよい。
【0041】
本実施形態の水性液状化粧料が(C1)成分として塩化物を含む場合、塩化物の含有量は、塗布部での色分離の抑制の観点から、0.05質量%以上であってもよく、0.1質量%以上であってもよく、吐出性の観点から、1質量%以下であってもよく、0.5質量%以下であってもよく、塗布部での色分離の抑制及び吐出性の観点から、0.05~1質量%、又は0.1~0.5質量%であってもよい。
【0042】
本実施形態の水性液状化粧料が(C1)成分としてポリリン酸塩を含む場合、ポリリン酸塩の含有量は、塗布部での色分離の抑制の観点から、0.005質量%以上であってもよく、0.01質量%以上であってもよく、吐出性の観点から、0.1質量%以下であってもよく、0.05質量%以下であってもよく、塗布部での色分離の抑制及び吐出性の観点から、0.005~0.1質量%、又は0.01~0.05質量%であってもよい。
【0043】
また、塗布部での色分離の抑制の観点から、(C1)成分と(A1)成分との質量比[(C1)/(A1)]が、1/2000~1/4であってもよく、1/200~1/4であってもよく、1/1000~1/5であってもよく、1/150~1/5であってもよく、1/900~1/6であってもよく、1/100~1/6であってもよく、1/800~1/7であってもよく、1/70~1/7であってもよい。
【0044】
本実施形態の水性液状化粧料が(C1)成分として塩化物を含む場合、塩化物と(A1)成分との質量比[(塩化物)/(A1)]は、塗布部での色分離の抑制の観点から、1/1000以上であってもよく、1/200以上であってもよく、吐出性の観点から、1/4以下であってもよく、1/10以下であってもよく、塗布部での色分離の抑制及び吐出性の観点から、1/1000~1/4、又は1/200~1/10であってもよい。
【0045】
本実施形態の水性液状化粧料が(C1)成分としてポリリン酸塩を含む場合、ポリリン酸塩と(A1)成分との質量比[(ポリリン酸塩)/(A1)]は、塗布部での色分離の抑制の観点から、1/2000以上であってもよく、1/1000以上であってもよく、吐出性の観点から、1/50以下であってもよく、1/150以下であってもよく、塗布部での色分離の抑制及び吐出性の観点から、1/2000~1/50、又は1/1000~1/150であってもよい。
【0046】
本実施形態の水性液状化粧料は、吐出性と、塗布部での色分離の抑制とを高水準で両立させる観点から、(C1)成分と、上述した(B1-L)成分とを含み、これらの質量比[(C1)/(B1-L)]が、0.3/5~3/1であってもよく、0.4/5~2/1であってもよく、0.1/1~1/1であってもよい。
【0047】
本実施形態に係る水性液状化粧料には、上記の各成分の他に通常化粧品に使用される他の成分、例えば、(A)成分以外の粉体、界面活性剤、皮膜形成剤、保湿剤、粘度調整剤、防腐剤、pH調整剤、キレート剤、紫外線吸収剤、ビタミン類、美容成分、酸化防止剤、香料等を必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
【0048】
(A)成分以外の粉体としては、タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、絹雲母(セリサイト)、合成セリサイト、カオリン、炭化珪素、ベントナイト、スメクタイト、珪ソウ土、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素等の白色体質粉体、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン-アクリル共重合樹脂等の合成樹脂粉体、ポリプロピレン系樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、ステアリン酸亜鉛、N-アシルリジン等の有機低分子性粉体、シルク粉末、セルロース粉末等の天然有機粉体などが挙げられる。
【0049】
界面活性剤としては、親水性ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等を用いることができる。
【0050】
親水性ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、グリセリンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及び、それらのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーンなどが挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、スルホン酸塩、アルキル硫酸塩などが挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩などが挙げられる。両性界面活性剤としては、レシチン、カルボベタイン型両性界面活性剤、スルホベタイン型両性界面活性剤、アミノ酸型両性界面活性剤などが挙げられる。
【0051】
皮膜形成剤としては、皮膜形成性ポリマーエマルション、PVP、PVA、VP/VAコポリマーなどが挙げられる。
【0052】
皮膜形成性ポリマーエマルションに含まれるポリマーとしては、(メタ)アクリル酸アルキルモノマーを構成単位として含む水に不溶の重合体若しくは共重合体が挙げられる。共重合体の構成単位としては、酢酸ビニルモノマー、スチレンモノマーなどが挙げられる。共重合体の場合、ランダム共重合体であっても、グラフト共重合体であっても、ブロック共重合体であっても、コア・シェル型共重合体であってもよい。
【0053】
皮膜形成性ポリマーエマルションの具体例としては、アクリル酸アルキル共重合体エマルション、アクリル酸アルキル・スチレン共重合体エマルション、アクリル酸アルキル・酢酸ビニル共重合体エマルション等が挙げられる。なお、ここでいうアクリル酸アルキルには、メタクリル酸アルキルも包含される。皮膜形成性ポリマーエマルションは、水を媒体とし、固形分濃度が30~60質量%のものを用いることができる。
【0054】
皮膜形成性ポリマーエマルションは市販品を用いることができる。アクリル酸アルキル共重合体エマルションとしては、ヨドゾールGH800F(アクゾノーベル社製、製品名、固形分濃度45質量%)、ヨドゾールGH810F(アクゾノーベル社製、製品名、固形分濃度46質量%)、ヨドゾールGH34F(アクゾノーベル社製、製品名、固形分濃度42質量%)、ダイトゾール5000SJ(大東化成工業社製、製品名、固形分濃度50質量%)などが挙げられる。アクリル酸アルキル・スチレン共重合体エマルションとしては、ヨドゾールGH41F(アクゾノーベル社製、製品名、固形分濃度45質量%)、ダイトゾール5000STY(大東化成工業社製、製品名、固形分濃度50質量%)、エマポリーCE-119N(日光ケミカルズ株式会社販売、製品名)などが挙げられる。アクリル酸アルキル・酢酸ビニル共重合体エマルションとしては、ビニゾール2140L(大同化成工業社製、製品名、固形分濃度45質量%)などが挙げられる。
【0055】
皮膜形成性ポリマーエマルションは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0056】
本実施形態の水性液状化粧料における皮膜形成剤の含有量は、化粧料全量を基準として、固形分濃度換算で2~20質量%であってもよく、4~16質量%であってもよく、6~12質量%であってもよく、7~10質量%であってもよい。
【0057】
本実施形態に係る水性液状化粧料は、上述した(A)成分、(B)成分、(C1)成分及び水、並びに必要に応じてその他の成分を溶解又は分散し、均一に攪拌・混合することにより製造することができる。
【0058】
本実施形態に係る水性液状化粧料は、アイライナー、アイブロウ、アイシャドウ、マスカラなどのメイクアップ化粧料として用いることができる。
【0059】
本実施形態に係る水性液状化粧料は化粧品に使用される公知の製品形態で利用することができる。製品形態としては、例えば、ペンタイプ(ペン型)、ボトルタイプなどが挙げられる。ペンタイプとしては、化粧料を含浸した繊維収束体又は化粧料を充填した充填部といった化粧料貯蔵部と、これに接合された筆やフェルトからなる塗布部とを備えており、ダイヤルやノック等で貯蔵部に力を加えることによって化粧料が強制的に吐出されるメカニカルタイプ、液状化粧料の表面張力と毛細管現象の作用によって化粧料が吐出されるオートペンタイプが挙げられる。
【0060】
本実施形態に係る水性液状化粧料は、使用方法の簡便性、携帯性の観点から、オートペンタイプで利用することが好ましい。オートペンタイプの容器は、公知のものを用いることができ、例えば、特開2016-87094号公報に開示の液状化粧料容器が挙げられる。
【0061】
本実施形態のペン型化粧品は、オートペンタイプの塗布具と、当該塗布具に充填された、上述の本実施形態に係る水性液状化粧料と、を備える。
【0062】
図1は、ペン型化粧品を示す模式断面図である。
図1に示されるペン型化粧品100は、全体形状が筆記具の如き細長い丸棒状を呈するものであり、円筒状の容器本体1と、容器本体1内に設けられ本実施形態に係る水性液状化粧料Lを収容する収容部2と、容器本体1の先端に装着され収容部2内の水性液状化粧料Lを塗布するための毛筆3と、容器本体1内に配置され収容部2内と毛筆3を結ぶ軸状の中継芯4と、中継芯4周りに装着された略円筒状のジャバラ部材5と、を概略備える。なお、ここでは、使用者が容器本体1を持って塗布しやすいように、容器本体1に対して、有底円筒状の把持筒6が螺合により着脱可能に装着されている。なお、容器本体1は円筒状に限定されるものではなく、矩形筒等であっても良い。
【0063】
ペン型化粧品100においては、収容部2、毛筆3及び中継芯4が、オートペンタイプの塗布具を構成しており、収容部2に本実施形態に係る水性液状化粧料が充填されている。
【0064】
容器本体1は、例えばPP等から形成され、鍔付きで先細の円筒状に構成される。容器本体1の外周面に設けられた鍔部の後端面には、容器本体1に螺子込まれた把持筒6の先端面が突き当てられ、鍔部の先端面には、容器本体1に装着されたキャップ10の開放端面が突き当てられる。また、容器本体1の後端の開口は、有底円筒状の尾栓7を差し込み装着することにより、閉じられている。
【0065】
ジャバラ部材5は、水性液状化粧料Lの流量をコントロールするためのもので、水性液状化粧料Lを含む溝(ジャバラ)を有し、その円筒状の後端部が、容器本体1の内周面の凹部に嵌合することにより、容器本体1に装着されている。そして、容器本体1内のジャバラ部材5の後端部と尾栓7との間に上記収容部2が形成されており、この収容部2内に水性液状化粧料Lが充填されている。
【0066】
中継芯4は、例えばアクリル樹脂等から形成され、ジャバラ部材5の筒孔を通過するように軸線方向に延在し、その先端側がジャバラ部材5の先端側と嵌合することでジャバラ部材5に装着されている。中継芯4は、その後端側の部分が収容部2内に進入すると共に、その先端側の部分が毛筆3に進入することで、収容部2内と毛筆3とを結んでいる。そして、中継芯4は、毛細管現象により収容部2内の水性液状化粧料Lを吸い上げ毛筆3へ供給するのを可能とする。
【0067】
図1に示されるペン型化粧品100においては、塗布体が毛筆とされているが、フェルトチップ、ウレタンチップに変更してもよい。
【0068】
容器本体1の先端側には、毛筆3等を保護するための有底円筒状のキャップ10が嵌合により着脱自在に装着されている。
【0069】
ペン型化粧品100にあっては、収容部2内に、水性液状化粧料Lと共に、軸線方向に移動可能な撹拌子20及び軸線方向に伸縮可能なコイルバネ21が収容されている。撹拌子20は、ここでは、特に好ましいとして、球体とされているが、多面体や錐体等であっても良い。
【0070】
コイルバネ21は、径違いの複数のバネ部(ここでは径違いの2個のバネ部)を軸線方向に一体的に連ねた一体成形のバネであり、ここでは、例えばSUS等より成形されている。このコイルバネ21は、撹拌子20の径よりも小径の小径バネ部を後半部に備えると共に、小径バネ部の前方の軸線方向隣に、撹拌子20の径より大径の大径バネ部を連ねて備える。
【0071】
ここで、使用者がペン型化粧品100を振ると、撹拌子20は、コイルバネ21を構成する大径バネ部内を軸線方向に移動可能とされているため、撹拌子20が軸線方向に移動し、この撹拌子20の移動により水性液状化粧料Lが撹拌される。
【0072】
このように構成されたペン型化粧品100にあっては、収容部2内の水性液状化粧料Lは、中継芯4を介して先端側の毛筆3に向かって流出し、使用者により毛筆3による塗布に供される。なお、本実施形態に係るペン型化粧品100においては、上述した撹拌子20及びコイルバネ21を備えることにより、効率よく水性液状化粧料Lを毛筆3へ流出させることができるが、撹拌子20及びコイルバネ21を備えない構成に変更してもよい。
【0073】
以上、本実施形態に係るペン型化粧品として、所謂直液式の構成を有する容器を備える化粧品を例に説明したが、化粧品の容器はこのような構造を有するものに特に限定されず、公知のものを使用することができる。例えば、ペン型化粧品100のジャバラ部材5、撹拌子20、コイルバネ21を省略し、収容部2には水性液状化粧料Lを含浸により充填した中綿部材を収容し、後端側の部分を中綿部材の内部に進入させた中継芯4により水性液状化粧料Lを吸い上げ毛筆3へ供給する、所謂中綿式の構成を有する容器を用いてもよい。
【実施例0074】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0075】
<水性液状化粧料の製造>
(実施例1~15、比較例1~3)
表1~4に示される各成分を同表中に示す割合(質量%)で、ディスパーにて混合し、水性液状化粧料をそれぞれ得た。なお、表中、ポリマーエマルション、アニオン性分散剤及びノニオン性分散剤の値は固形分の配合量を示す。
【0076】
なお、表1~4に示される各成分は、下記に示すものを使用した。
ポリアスパラギン酸Na:ポリアスパラギン酸Na(味の素(株)製、製品名「アクアデュウ SPA-30B」、平均分子量(Mw)4000)
ポリアクリル酸Na:ポリアクリル酸Na(東亜合成(株)製、製品名「アロン T-50」、平均分子量(Mw)6000)
ポリカルボン酸Na:ポリアクリル酸Na(東亜合成(株)製、製品名「アロン A-6330」、平均分子量(Mw)10000)
アクリル酸アルキル共重合体:アクリル酸アルキル共重合体(BASF社製、製品名「Luvimer 100P」、平均分子量(Mw)70000)
ノニオン性分散剤-1:べへネス-30(ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、日光ケミカルズ(株)製、製品名「NIKKOL BB-30」)
皮膜形成剤-1:(アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシル)コポリマー(大東化成工業(株)製、製品名「ダイトゾール 5000SJ」)
皮膜形成剤-2:PVP K-90(ポリビニルピロリドン、Ashland Specialty Ingredients製、製品名「PVP K-90」)
【0077】
<水性液状化粧料の粘度>
25℃の試料について、ブルックフィールド型粘度計(BM型)及びBLアダプタを用いて、回転数12rpmの条件で粘度を測定した。なお、測定時間は1分間とした。
【0078】
<水性液状化粧料の評価>
上記で得られた水性液状化粧料について、下記の評価方法に従って、吐出性、塗布部での色分離及び描線の濃淡差を評価した。
【0079】
(吐出性)
上記で得られた水性液状化粧料を、
図1に示す容器と同様の構造を有するオートペンタイプのリキッドアイライナー容器(塗布体:ナイロンチップ、中継芯:アクリル樹脂)の収容部に充填して充填品を作製した。
【0080】
容器充填品を用いて手の甲に筆記し、幅2mm、長さ4cmの線を3本塗布した際の吐出の良さを目視で確認し、下記評価基準で吐出性を評価した。
[評価基準]
◎:十分な液量で吐出され、描線が均一である。
○:問題ない液量で吐出され、描線がほぼ均一である。
△:吐出される液量が少なめで、描線がややムラ付く。
×:吐出される液量が少なく、描線が掠れる。
【0081】
(塗布部での色分離及び描線の濃淡差(色相差))
上記と同様にして容器充填品を用意し、横向きに固定して室温で2週間保管した。目視により、保管後の塗布体(塗布部)を確認し、下記評価基準で色分離を評価した。
[評価基準:塗布部での色分離]
◎:保管前から変化がなく、塗布部が均一で、色分離が見られない。
○:保管前から若干変化しているが、塗布部がほぼ均一で、ほぼ色分離は見られない。
△:保管前から変化があり、塗布部がやや色分離している。
×:保管前から明らかに変化があり、塗布部が完全に色分離している。
【0082】
上記と同様にして容器充填品を用意し、ペン先(塗布体)を上向きにしたものと、ペン先を下向きにしたものとをそれぞれ室温で2週間保管した。2週間保管した充填品を用いて手の甲に筆記し、下記評価基準で描線の濃淡差(色相差)を評価した。
[評価基準:描線の濃淡差(色相差)]
◎:上向き保管品と下向き保管品とで色相差は全く見られない。
○:上向き保管品と下向き保管品とで色相差はほぼ見られない。
△:上向き保管品と下向き保管品とで色相差はやや見られる。
×:上向き保管品と下向き保管品とで色相差がかなり見られる。
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】