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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022129377
(43)【公開日】2022-09-05
(54)【発明の名称】繰り出し容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 40/00 20060101AFI20220829BHJP
   A45D 40/06 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
A45D40/00 M
A45D40/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022019854
(22)【出願日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】P 2021027284
(32)【優先日】2021-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】501449702
【氏名又は名称】戎屋化学工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000115991
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】尾▲ざき▼ 厚美
(72)【発明者】
【氏名】豆田 正和
(57)【要約】
【課題】中皿体がガタつくことを防止できる繰り出し容器を提供する。
【解決手段】一端部に開口を有する容器本体2と、容器本体2の他端部に相対回転可能に取り付けられる回転操作部3と、回転操作部3内に固定され、内側面に第1螺子部42Nが形成された螺子体4と、容器本体2に回転不能に挿入され、螺子体4の第1螺子部42Nに螺合して軸方向に移動可能な中皿体5と、を備え、中皿体5が、中皿本体53と、中皿本体53の底部から他端側へ延びて第1螺子部42Nに螺合する第2螺子部54Nを有する筒状部54と、を備え、回転操作部3に取り付けられ、筒状部54に挿入して回転不能に係合する棒状部材6と、中皿本体53に取り付けられ、中皿体5の中皿体5に対するガタツキを防止するためのガタツキ防止材8と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部に開口を有する筒状の容器本体と、該容器本体の他端部に相対回転可能に取り付けられる筒状の回転操作部と、該回転操作部内に固定され、内側面に第1螺子部が形成された筒状の螺子体と、前記容器本体に回転不能に挿入され、前記螺子体の第1螺子部に螺合して軸方向に移動可能な中皿体と、を備え、
前記中皿体が、前記容器本体に収容される収容物を受け止める底部を有する中皿本体と、該中皿本体の底部から他端側へ延びて前記第1螺子部に螺合する第2螺子部を外側面に有する筒状部と、を備え、
前記回転操作部に取り付けられ、前記筒状部に挿入して回転不能に係合する棒状部材と、前記中皿本体に取り付けられ、前記中皿体の容器本体に対するガタツキを防止するためのガタツキ防止材と、を備えていることを特徴とする繰り出し容器。
【請求項2】
前記ガタツキ防止材は、前記中皿本体と前記容器本体との間の隙間を外周方向全域に亘って周設された封止部材であることを特徴とする請求項1に記載の繰り出し容器。
【請求項3】
前記中皿体の容器本体の一端部側への移動により前記筒状部と前記棒状部材との係合が解除されて該棒状部材が該筒状部に対して空回り可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の繰り出し容器。
【請求項4】
前記回転操作部の回転方向を、前記中皿体の容器本体の一端部側への移動のみに規制する一方向回転機構を備えていることを特徴とする請求項1~3のうちのいずれか1項に記載の繰り出し容器。
【請求項5】
前記一方向回転機構は、前記回転操作部の内周面に備える回転側の第1ラチェット歯と、前記回転操作部の一方向の回転により該第1ラチェット歯が乗り越えて移動可能に構成され、前記回転操作部の他方向の回転により前記第1ラチェット歯と噛み合って移動を阻止するように構成された固定側の第2ラチェット歯と、を有するラチェット機構であり、前記第2ラチェット歯が前記棒状部材に一体形成されていることを特徴とする請求項4に記載の繰り出し容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容した内容物を繰り出して使用する繰り出し容器に関する。
【背景技術】
【0002】
上記繰り出し容器は、容器本体と、容器本体内に嵌着される螺旋筒と、容器本体内に挿入されるとともに、螺旋筒の外周に嵌着される回転操作筒と、棒状内容物を保持し、回転操作筒内に上下動可能に収納されるとともに、螺旋筒に螺合する中皿体と、を備えている。
【0003】
前記中皿体は、回転操作筒の操作筒部内に回り止めされて上下動可能に収納される中皿部と、中皿部の底部の下面から下方に延びて螺旋筒のめねじ部に螺合するおねじ部を有する筒状の作動軸部と、を備えている。そして、容器本体及び螺旋筒を上から視て繰り出し回転方向である左回転させることで、螺旋筒のめねじ部と、中皿体のおねじ部との螺合により、中皿体を回転操作筒内で上昇させ、中皿体に保持してある棒状内容物を回転操作筒の操作筒部から外に繰り出して使用することができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-141171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の繰り出し容器では、中皿体の筒状の作動軸部のおねじ部が螺旋筒のめねじ部に螺合することで中皿体が螺旋筒に支持されている構成であるため、中皿体が上昇すればするほど、中皿体の中皿部がめねじ部から上方へ離間する距離が増えるため、中皿体がガタついて中皿体の動きが不安定になるという不都合があった。
【0006】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、中皿体がガタつくことを防止できる繰り出し容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る繰り出し容器は、一端部に開口を有する筒状の容器本体と、該容器本体の他端部に相対回転可能に取り付けられる筒状の回転操作部と、該回転操作部内に固定され、内側面に第1螺子部が形成された筒状の螺子体と、前記容器本体に回転不能に挿入され、前記螺子体の第1螺子部に螺合して軸方向に移動可能な中皿体と、を備え、前記中皿体が、前記容器本体に収容される収容物を受け止める底部を有する中皿本体と、該中皿本体の底部から他端側へ延びて前記第1螺子部に螺合する第2螺子部を外側面に有する筒状部と、を備え、前記回転操作部に取り付けられ、前記筒状部に挿入して回転不能に係合する棒状部材と、前記中皿本体に取り付けられ、前記中皿体の容器本体に対するガタツキを防止するためのガタツキ防止材と、を備えていることを特徴としている。
【0008】
かかる構成によれば、容器本体に対して回転操作部を回転させることにより、螺子体が回転して該螺子体の第1螺子部に螺合している第2螺子部を有する筒状部が軸方向に移動する。ここで、中皿体の筒状部には、棒状部材が挿入され、中皿本体にはガタツキ防止材が設けられているので、中皿体が容器本体に対してガタつくことを防止する。
【0009】
また、本発明に係る繰り出し容器は、前記ガタツキ防止材が、前記中皿本体と前記容器本体との間の隙間を外周方向全域に亘って周設された封止部材であってもよい。
【0010】
上記のように、ガタツキ防止材を、中皿本体と容器本体との間の隙間を外周方向全域に亘って封止部材でシールする構成とすることによって、容器本体に収容している液状の内容物又は固形状の内容物が溶け出して液状化したものが中皿本体と容器本体との間から漏れてしまうことを防止することができる。
【0011】
また、本発明に係る繰り出し容器は、前記中皿体の容器本体の一端部側への移動により前記筒状部と前記棒状部材との係合が解除されて該棒状部材が該筒状部に対して空回り可能に構成されていてもよい。
【0012】
上記のように、中皿体の容器本体の一端部側への移動により筒状部と棒状部材との係合が解除されて棒状部材が筒状部に対して空回りすることによって、内容物の繰り出しが終点となったことを認識することができる。
【0013】
また、本発明に係る繰り出し容器は、前記回転操作部の回転方向を、前記中皿体の容器本体の一端部側への移動のみに規制する一方向回転機構を備えていてもよい。
【0014】
上記のように、一方向回転機構で回転操作部の回転方向を中皿体の一端部側への移動のみに規制することによって、内容物を容器本体の開口から外へ繰り出す方向のみに確実に移動させることができる。
【0015】
また、本発明に係る繰り出し容器は、前記一方向回転機構が、前記回転操作部の内周面に備える回転側の第1ラチェット歯と、前記回転操作部の一方向の回転により該第1ラチェット歯が乗り越えて移動可能に構成され、前記回転操作部の他方向の回転により前記第1ラチェット歯と噛み合って移動を阻止するように構成された固定側の第2ラチェット歯と、を有するラチェット機構であり、前記第2ラチェット歯が前記棒状部材に一体形成されていてもよい。
【0016】
上記のように、回転操作部を一方向に回転させることにより第1ラチェット歯が第2ラチェット歯を乗り越えて移動し、回転操作部を他方向に回転させることにより第1ラチェット歯が第2ラチェット歯と噛み合って第1ラチェット歯の移動を阻止する。前記第2ラチェット歯が棒状部材に一体形成されることによって、部品点数を削減できる。さらに組み立て工数の軽減も図れる。
【発明の効果】
【0017】
以上により、本発明によれば、筒状部に挿入された棒状部材と中皿本体に取り付けられたガタツキ防止材とで、中皿体がガタつくことを防止できる繰り出し容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の繰り出し容器の縦断面図である。
図2図1において中皿体を最上昇位置まで移動させた状態の繰り出し容器の縦断面図である。
図3】容器本体の平面図である。
図4】容器本体の底面図である。
図5図3におけるV-V線断面図である。
図6】回転操作部の縦断面図である。
図7図6におけるVII-VII線断面図である。
図8】螺子体の平面図である。
図9図8におけるIX-IX線断面図である。
図10A】螺子体の左側面図である。
図10B】螺子体の右側面図である。
図11】螺子体の底面図である。
図12A】中皿体の左側面図である。
図12B】中皿体の右側面図である。
図13】中皿体の平面図である。
図14図12AにおけるXIV-XIV線断面図である。
図15図12BにおけるXV-XV線断面図である。
図16図12AにおけるXVI-XVI線断面図である。
図17】棒状部材の平面図である。
図18図17におけるXVIII-XVIII線断面図である。
図19図17におけるXIX-XIX線断面図である。
図20図1におけるXX-XX線断面図である。
図21】別の形態の封止部材を取り付けた取付部分を示す要部の縦断面図である。
図22】別の形態の容器本体の周壁部を示す要部の縦断面図である。
図23】別の形態の中皿体の側壁部の内部の形状を示す横断面図である。
図24】別の形態の繰り出し容器の縦断面図である。
図25図24において中皿体を最上昇位置まで移動させた状態の繰り出し容器の縦断面図である。
図26図24の繰り出し容器のキャップを取り外した正面図である。
図27】本体部に塗布部を挿入する直前の状態を示す要部の説明図である。
図28図24の中皿本体の形状を変更した別の形態の繰り出し容器の縦断面図である。
図29図28において中皿体を最上昇位置まで移動させた状態の繰り出し容器の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態に係る繰り出し容器について、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
図1及び図2に示すように、繰り出し容器1は、容器本体2と、回転操作部3と、螺子体4と、中皿体5と、棒状部材6と、キャップ7と、を備えている。
【0021】
容器本体2は、例えばポリプロピレン(PP)樹脂で構成され、図5に示すように、一端部(図5では上端部)に開口21Kを有する円筒状に構成されている。尚、以下において一端部を上端部とし、他端部を下端部として説明する。前記開口21Kは、斜めにカットされた形状になっている。
【0022】
また、容器本体2は、図5に示すように、開口21Kの上端から下端部までを形成する本体部21と、回転操作部3の内側に挿入できるように本体部21よりも外径が僅かに小さく構成され、下端部から下端まで延びる下側部22と、を備えている。下側部22の上下方向中間部の内面には、貫通孔22Kを形成するための周壁22Aが内側に突出するように形成されている。貫通孔22Kは、図3及び図4に示すように、対向する一対の円弧部22a,22aと、円弧部22a,22aの周方向両端を連結する一対の平坦部22b,22bと、を備える略小判形状の孔に構成されている。周壁22Aの一対の平坦部22b,22bと一対の円弧部22a,22aの周方向両端から延びる一対の円弧部22c,22cとで囲まれる略三日月状の部分が下方に突出する突出部22B,22B(図4及び図5参照)を備えている。
【0023】
また、下側部22の下端部には、後述する螺子体4の環状の上端部が嵌り込む環状の溝22M(図1及び図5参照)を備えている。螺子体4の上端部に容器本体2の溝22Mが嵌り込むことによって、容器本体2と螺子体4とが相対回転可能に構成されるとともに上下方向の移動が阻止される。容器本体2に収容される収容物は、この実施形態では、棒状の化粧料を用いているが、液状のものを用いてもよい。液状の収容物の場合には、開口21Kから外に液が漏れないように蓋体を開口21Kに取り付け、その蓋体に形成された液吐出用の孔を覆うための栓部をキャップ7に設けて実施することになる。
【0024】
回転操作部3は、例えばポリプロピレン(PP)樹脂で構成され、容器本体2の下側部22(図5参照)が内嵌可能な円筒状に構成されている。回転操作部3の上端部には、図6に示すように、外面31Aが他の下側の外面よりも内側に位置して厚みが薄くなった薄肉部31を備え、この薄肉部31にキャップ7の下端部が外嵌される。薄肉部31の外面31Aには、外周方向に間隔を置いて複数の円弧状の突起31Tを備えている。これら突起31Tに係止する係止解除可能な凹部72A(図1参照)が後述するキャップ7の下端部の内面に備えている。回転操作部3の薄肉部31の下端から下方に延びる本体部32の下端部の内面32Aに、後述する螺子体4の下側部が係止する円環状の突起32Tが形成されている。また、回転操作部3の下端部の内面には、後述する棒状部材6の本体部61を挿通するための円形の貫通孔32Kを形成するための周壁32Bを備えている。
【0025】
図7に示すように、外周方向に間隔(この実施形態では等間隔)を置いて周壁32Bの外周側下面32bと該外周側下面32bから連続する本体部32の下端側内面32cとに亘るように形成される複数(図7では、14個)の第1ラチェット歯33を形成している。これら第1ラチェット歯33のうちの特定の2個の第1ラチェット歯33,33に後述する複数(この実施形態では2個)の第2ラチェット歯63,63(図20参照)が噛み合うことで、回転操作部3の一方向の回転を阻止する。複数の第1ラチェット歯33と複数の第2ラチェット歯63とでラチェット機構を構成する。この実施形態では、回転操作部3の回転方向を、中皿体5の容器本体2の一端部側への移動のみに規制する一方向回転機構としてラチェット機構を示しているが、ワンウェイクラッチ機構であってもよい。
【0026】
螺子体4は、例えばポリアセタール(POM)樹脂で構成され、図8及び図9に示すように、下端に位置する円形状の底部41と、底部41の外周縁から上方に延びる筒部42と、を備えている。底部41には、後述する棒状部材6の本体部61(図1参照)を挿通するための円形に形成される貫通孔41Kが形成されている。筒部42の内面には、上下方向略全域に亘って第1螺子部(雌螺子部)42Nが形成され、この第1螺子部(雌螺子部)42Nに後述する中皿体5の第2螺子部(雄螺子部)54N(図12A図12B参照)が螺合する。筒部42は、外周面が相対向する一対の平坦部43A,43Aとこれら平坦部43A,43Aを繋ぐ一対の円弧部43B,43Bとで構成される上端部43と、上端部43の下端から底部41まで延びる円形の外面44A(図9参照)を有する円筒部44(図10A図10B参照)と、を備えている。
【0027】
中皿体5は、例えばポリプロピレン(PP)樹脂で構成され、図12A図12B図16に示すように、容器本体2に収容される収容物を受け止める底部51と底部51の外周縁から上方に延びる側壁部52とを有する中皿本体53と、中皿本体53の底部51の外周縁よりも内側の部分から下方に延びて前記第1螺子部42N(図1参照)に螺合する第2螺子部54Nを外側面に有する筒状部54と、を備えている。側壁部52は、上端側ほど外側に位置する外拡がりの円筒状に構成され、中皿体5の容器本体2に対するガタツキを防止するためのガタツキ防止材8(図1参照)を嵌め込むための環状の凹部52Aを備えている。この実施形態では、第2螺子部54Nを筒状部54の下端部のみに設けているが、筒状部54の高さ方向略全域に設けて実施してもよい。
【0028】
ガタツキ防止材8は、図1に示すように、中皿本体53の側壁部52の外面と容器本体2の内面との間の隙間を外周方向全域に亘って周設された封止部材からなっている。前記封止部材は、例えばニトリルゴム(NBR)で形成されるOリングや発泡体によるパッキンの構成とすることができる。このようにOリングやパッキン等から構成することによって、容器本体2に収容している液状の内容物又は固形状の内容物が溶け出して液状化したものが中皿本体53の側壁部52の外面と容器本体2の内面との間から漏れてしまうことを防止することができる。
【0029】
筒状部54は、図16に示すように、内面及び外面が平坦面に形成され、対向位置する一対の直線部54A,54Aと、これら直線部54A,54Aの外周方向両端部同士を連結するように内面及び外面が円弧面に形成された一対の円弧部54B,54Bと、を備えている。筒状部54の外面のうちの一対の円弧部54B,54Bの下端部にのみ、螺子体4の第1螺子部(雌螺子部)42Nが螺合する第2螺子部(雄螺子部)54N,54N(図12B参照)が該円弧部54B,54Bの外面よりも径方向外側に突出するように形成されている。
【0030】
また、図12A図12B及び図16に示すように、直線部54A,54Aの下端部それぞれに、中皿体5が最大上昇位置で容器本体2の周壁22Aの下面22D(図2参照)に当接する突起54Tを形成している。各突起54Tは、周壁22Aの貫通孔22Kから筒状部54が上方へ抜けてしまうことを防止する(図2参照)。
【0031】
また、図14図16に示すように、筒状部54は、互いに対向する2組の筒状部内面54E,54E、54F,54Fを備えている。これら2組の筒状部内面54E,54E、54F,54Fは、上端に向かうほど互いに接近する(下端に向かうほど互いに離間する)ように構成されている。また、一方の筒状部内面54E,54Eは、横断面視湾曲面に形成され、他方の筒状部内面54F,54Fは、横断面視平坦面に形成されている。
【0032】
また、図13図15に示すように、中皿体5の底部51の上面には、底部51に対して垂直に立設される(上方に突出する)一文字状のリブ55が形成されている。このリブ55は、中皿本体53の内部空間を水平方向で二分するように側壁部52の直径方向に延びている。このリブ55を形成することによって、図13に示すように、リブ55の一方の側面55Aと側壁部52の内面52Uとで形成される半円状の第1空間81が形成され、リブ55の他方の側面55B(図13参照)と側壁部52の内面52Uとで形成される半円状の第2空間82が形成されている。繰り出し容器1の組み立て時において、容器本体2の上端の開口21K(図5参照)から中皿体5の筒状部54を挿入していき、容器本体2内に中皿体5が入り込んだ位置(ほぼ収容された位置)において容器本体2の貫通孔22K(図3では略小判型)に中皿体5の筒状部54の下端部を挿通させる時に、挿通方向(上下方向)において貫通孔22Kの形状に中皿体5の筒状部54の形状が合うように筒状部54と貫通孔22Kとの回転方向を位置合わせする。つまり、貫通孔22Kに対する中皿体5の筒状部54の位相を合わせる。ここで、前記貫通孔22Kは、中皿本体53が容器本体2内に入り込んだ状態で回り止まるように、筒状部54が係合する貫通孔である。そのためには前記のように、筒状部54及び貫通孔22Kを偏向性のある形状、例えば、多角形状、楕円形状、長円形状等の非円形状とすることにより、両者が回転方向で互いに係合する。これにより筒状部54が回転不能となり、軸方向の移動のみが許容される。ただ、そのような形状とすることで、筒状部54と貫通孔22Kの方向規制(位置合わせ)が必要となる。したがって、中皿本体53を容器本体2に回転不能に挿入する際に、筒状部54と貫通孔22Kとの回転方向を位置合わせするために、中皿体5を回転させる。中皿体5を回転させると、筒状部54の一対の直線部54A,54A(図16参照)が貫通孔22K(図3参照)の一対の長辺である平坦部22b,22bに合致した状態になり、貫通孔22Kに中皿体5の筒状部54の下端を挿入し、係合させることができる。しかし、容器本体2内に中皿体5がほぼ収容された位置(容器本体2の内面と中皿体5(中皿本体53)の外面との間に隙間が無い状態、つまり容器本体2内に中皿体5がすっぽりと入った状態)では、容器本体2内に入り込んでいる中皿体5を指で掴んで回転させることが困難となる。そこで、中皿体5に形成された第1空間81と第2空間82とにそれぞれ指を入れてリブ55を把持することによって(又は、第1空間81と第2空間82とにそれぞれ入り込んでリブ55を把持することができるように先端が二股状になっている工具(図示せず)を用いて)、中皿体5を回転させることになる。そして、指又は工具を用いて中皿体5を軸回りに回転させることによって、筒状部54の一対の直線部54A,54Aを貫通孔22Kの一対の平坦部22b,22bに合致させることができる。よって、中皿体5を容器本体2の貫通孔22Kに迅速に挿通させることができ、組み立て性が向上する効果が得られる。尚、筒状部54の一対の直線部54A,54Aに対して直交する方向にリブ55が延びているため、筒状部54の一対の直線部54A,54Aの方向を捉えやすい。したがって、容器本体2の貫通孔22Kの平坦部22b,22bの向きを確認してから、容器本体2の上端の開口21K(図5参照)から中皿体5の筒状部54を挿入することにより、容器本体2の貫通孔22Kの平坦部22b,22bの向きに対して筒状部54の一対の直線部54A,54Aの向きを把握できるため、平坦部22b,22bに対して直線部54A,54Aが一致するように中皿体5を迅速に回転させることができる。
【0033】
前記リブ55の形状は、治具などを使うことで位置決め挿入が可能な形状であれば、任意の形状が選択可能である。成形性と組み立て作業性を考慮して、例えば一文字状とすることが例示できる。
【0034】
前述したように、中皿体5の筒状部54の断面形状によっては、貫通孔22Kとの関係で方向規制が必要となる場合、中皿体5の中皿本体53にリブ55を設けることによって、組み立て性が向上する。これに対して、前記方向規制が必要でない(不要な)場合でも、中皿本体53にパッキン等の封止部材が周設されている場合は、中皿体5を容器本体2に入れた際、中皿本体53が容器本体2にすっぽりと入り、中皿体5を容易に押し込むことができないため、工具等を使って中皿体5を回転させながら押し込めるよう、組立性向上の観点からは、中皿本体53にリブを設けた方がよい。
【0035】
棒状部材6は、例えばポリアセタール(POM)樹脂で構成され、図17図19に示すように、中皿体5の筒状部54(図1参照)内に挿入可能な大きさに構成された本体部61と、本体部61の下端部に一体形成され、回転操作部3の下端部に係止固定される円形の固定部62と、を備えている。
【0036】
本体部61は、外面が平坦面に形成された一対の直線部61A,61Aと、これら直線部61A,61Aの外周方向両端部同士を連結する外面が円弧面に形成された一対の円弧部61B,61Bと、を備えている。直線部61A,61A及び円弧部61B,61Bは、上端に向かうほど幅が狭い先細り形状になっている。図1に示すように、本体部61が中皿体5の筒状部54内に挿入された状態では、本体部61と筒状部54との間に隙間が無い又はほぼ無い状態となり、本体部61が中皿体5に回転不能に係合している。また、回転操作部3を容器本体2に対して回転操作することによって、螺子体4が回転して螺子体4の第1螺子部(雌螺子部)42Nに螺合している第2螺子部(雄螺子部)54Nを有する筒状部54が軸方向に移動する。ここで、中皿体の筒状部54には、棒状部材6が挿入され、中皿本体53には、ガタツキ防止材8が設けられているので、中皿体5が容器本体2に対してガタつくことを防止する。
【0037】
固定部62の上端部は、回転操作部3の下端部の内面に形成された断面円弧状で環状の突起34(図1参照)を乗り越えて係止固定すべく、径方向外側に突出する環状の凸部62Aを備えている。図18図20に示すように、凸部62Aの上端の外周方向2箇所それぞれから上方に突出する第2ラチェット歯63が外周方向に等間隔で形成されている。各第2ラチェット歯63は、凸部62Aの上面から上方に立ち上げられた基部63Aと、基部63Aから外周方向に沿って回転操作部3の回転方向R前側に伸びる円弧部63Bと、円弧部63Bの回転操作部3の回転方向R前側に径方向外側に突出する爪部63Cと、を備えている。爪部63Cは、回転操作部3の回転方向前側端に径方向に沿う直線状のストッパー面63Sを備え、このストッパー面63Sの径方向外側端から回転操作部3の回転方向後側に向かうほど径方向内側に位置する円弧面63Rと、を備えている。前記のように、第2ラチェット歯63が棒状部材6に一体形成されることによって、部品点数を削減できる。
【0038】
図20に示すように、回転操作部3に備える各第1ラチェット歯33は、回転操作部3の回転方向R後側端に径方向に沿う平坦面33Aを備え、この平坦面33Aの径方向内側端から回転操作部3の回転方向前側に向かって外側に突出する円弧面33Bと、を備えている。したがって、回転操作部3を図20に示す方向(上から視て反時計回り)Rへ回転させることによって、特定の2つの第1ラチェット歯33,33の円弧面33B,33Bが、2つの第2ラチェット歯63,63の円弧面63R,63Rに当接して、爪部63C,63Cが径方向内側に変形することで第1ラチェット歯33,33が第2ラチェット歯63,63を乗り越える。乗り越えた時に変形した第2ラチェット歯63,63の爪部63C,63Cが元の形状に戻ることにより回転方向R後方側の次の第1ラチェット歯33,33の円弧面33B,33Bに当接して当接音を発する。回転操作部3の回転を続けることによって、中皿体5が徐々に上昇して内容物が開口21K(図2参照)から外へ繰り出される。
【0039】
そして、図2に示すように、中皿体5の容器本体2の一端部側への移動(この実施形態では、中皿体5の最上昇位置への移動)により中皿体5の筒状部54の下端部と棒状部材6の上端部との係合が解除される。これによって、棒状部材6が筒状部54に対して空回り可能となる。棒状部材6が筒状部54に対して空回りすることによって、内容物の繰り出しが終点となったことを認識することができる。この棒状部材6が筒状部54に対して空回りするタイミングを、一対の突起54T,54Tが容器本体2の周壁22Aの下面22Dに当接する前、又は当接した時点に設定することによって、一対の突起54T,54Tが容器本体2の周壁22Aの下面22Dに当接して上方へ乗り越えて(オーバーランして)、容器本体2や中皿体5の変形や破損等が発生することを防止することができる。
【0040】
また、回転操作部3を前記回転方向R(図20参照)とは反対方向(上から視て時計回り)に回転させると、特定の2つの第1ラチェット歯33,33の平坦面33A,33Aが2つの爪部63C,63Cのストッパー面63S,63Sにそれぞれ当接することによって、回転操作部3の回転が阻止される。このように、回転操作部3の回転方向Rを中皿体5の一端部側(上昇側)への移動のみに規制することによって、内容物を容器本体2の開口21Kから外へ繰り出す方向のみに確実に移動させることができる。
【0041】
キャップ7は、例えばポリプロピレン(PP)樹脂で構成され、図1に示すように、円形の天板部71と、天板部71の外周縁から下方に延びる円筒部72と、を備えている。円筒部72下端部の内面に回転操作部3の薄肉部31の複数の突起31T(図6参照)に係止する係止解除可能な環状の凹部72Aを備えている。したがって、キャップ7の下端部を回転操作部3の薄肉部31に外嵌することにより、キャップ7が回転操作部3に係止固定される。
【0042】
繰り出し容器1を組み立てる場合には、回転操作部3内に螺子体4を挿入して固定する。続いて、中皿体5を容器本体2に上方から挿入する。この時、中皿体5の下端部が容器本体2の貫通孔22Kに差し掛かると、前述のように工具の先端をリブ55に当接させた状態で中皿体5を回転させることにより貫通孔22Kに対する中皿体5の下端部の姿勢を一致させてから、貫通孔22Kに中皿体5の下端部を挿入する。次に、貫通孔22Kから下方に突出した中皿体5の下端部を螺子体4に螺合させてから、容器本体2の下端部を回転操作部3と螺子体4との間に上方から嵌め込む。続いて、容器本体2に対して回転操作部3を回転させることで、中皿体5を最下降位置まで移動させる。移動後は、棒状部材6を回転操作部3の貫通孔32Kから挿入し、棒状部材6の本体部61が中皿体5の筒状部54に嵌るように回転位置を確認しながら挿入し、棒状部材6の固定部62が回転操作部3の突起34を乗り越えることによって、棒状部材6を回転操作部3に固定し、容器本体2の組み立てが終了する。こののちは、キャップ7を容器本体2に外嵌して繰り出し容器1の組み立てを終了する。尚、収容物(例えば化粧料)は、容器本体2の組み立て終了後に、容器本体2に収容される。
【0043】
別の実施形態として、液状の収容物に適した繰り出し容器100について図24図25に基づいて説明する。この繰り出し容器100は、前述した繰り出し容器1と同様に、容器本体2と、回転操作部3と、螺子体4と、中皿体5と、棒状部材6と、キャップ7と、を備えている。これらのうちの容器本体2と中皿体5とキャップ7が、図1で示したものと異なっている。また、容器本体2の上端部に嵌合される塗布部23を新たに備えており、それらについて説明する。尚、図24は、中皿体5が最下降位置に位置している場合を示し、図25は、中皿体5が最上昇位置に位置している場合を示している。
【0044】
液状の収容物に適した繰り出し容器100では、前述したラチェット機構を用いることによって、少量の液状の収容物を定量ずつ繰り出すことができるので、液状の収容物が一回の繰り出しで必要以上に出過ぎることがなく、しかも定量ずつ繰り出して必要量に合わせやすいので、使用面において特に有利になる。
【0045】
容器本体2は、円筒状の本体部21と、回転操作部3の内側に挿入できるように本体部21よりも外径が僅かに小さく構成され、下端部から下端まで延びる円筒状の下側部22と、を備えている。本体部21の上端開口21Aの内側に、前記塗布部23が挿入される。本体部21の上端部の内面には、内側に突出する断面形状半円状で環状の凸条部21T(図27参照)を形成することができる。この凸条部21Tは、挿入された塗布部23の嵌合部23Aに備える後述の上下一対の突条部23T,23T(図27参照)の間の上下の隙間に入り込むことで、キャップ7の開放時に塗布部23がキャップ7と一緒に本体部21から外れてしまうことを抑制するためのアンダーカットとして機能する。尚、下側部22は、図1と同一構成であるため、図1と同一符号を付すと共に説明を省略する。
【0046】
塗布部23は、天然ゴム、シリコン、エラストマー等の弾性材料からなり、図27に示すように、本体部21の上端開口21Aの内側に嵌合する略円環状の嵌合部23Aと、嵌合部23Aの上端から上方に延びる天壁部23Bと、を備えている。嵌合部23Aは、本体部21の上端部の内面に当接して本体部21とのシールを行うべく、外面から径方向外側に突出する上下一対の突条部23T,23Tが形成された嵌合本体部23aと、嵌合本体部23aの下端から下端に向かうほど径方向内側に位置するテーパー面を有する下側部23bと、を備えてもよい。上下一対の突条部23T,23Tは、嵌合本体部23aの外面(表面)から径方向外側に突出する断面形状円弧状でかつ環状に形成されている。塗布部23を本体部21の上端開口21Aの内側に挿入することによって、嵌合本体部23aの突条部23T,23Tが本体部21の内面に押圧されて内側に変形することで嵌合本体部23aと本体部21との間のシール性を強固にすることができ、好ましい。
【0047】
天壁部23Bは、平面視円形に構成され、図27に示すように、嵌合部23Aの外面よりも径方向外側に突出する外周縁23Cを備えている。本体部21の上端開口21Aの内側に塗布部23を挿入した時に、天壁部23Bの外周縁23Cの下面23Dが本体部21の上端面21Bに当接することにより、本体部21への塗布部23の挿入が完了する。また、図24に示すように、天壁部23Bは、径方向中心に向かうほど上方に位置するテーパー状の上面23Eを備えるとともに、径方向中心部に本体部21内の液状の収容物を外部へ吐出するための開口23Fが形成されている。また、天壁部23Bの内周縁の下面から下方に延びる円環状のスカート部23Gが形成されている。また、スカート部23Gと嵌合部23Aとの間に円環状の空間23Hが形成されている。この空間23Hは、後述する中皿体5の円形で環状の突出部53Dが入り込むための収容部として機能する。
【0048】
また、図26に示すように、天壁部23Bの上面23E及び外周縁23Cを静電植毛(フロッキー加工)して、液状の収容物を天壁部23Bの上面23E及び外周縁23Cに含浸させて顔や手等に塗布することができるようにしてもよい。又、図示していないが、天壁部23Bの上面23Eを球状に構成して顔や手等のマッサージが行えるようにしてもよい。
【0049】
中皿体5は、前述同様にポリプロピレン(PP)樹脂で構成され、容器本体2に収容される液状の収容物を上方へ押し上げる中皿本体53と、中皿本体53の外周縁よりも内側の部分から下方に延びて前記第1螺子部42Nに螺合する第2螺子部54Nを外側面に有する筒状部54と、を備えている。中皿本体53は、上方に向かうほど内側に位置するテーパー面を有する台形状の上側部53Aと、上側部53Aの下端から下方に延びる円環状の下側部53Bと、を備えている。この下側部53Bの上部側に、中皿体5の容器本体2に対するガタツキを防止し、かつ、中皿本体53と容器本体2との間の隙間を外周方向全域に亘ってシールする前記封止部材8を嵌め込むための環状の凹部53Cを備えている。この実施形態では、第2螺子部54Nを筒状部54の下端部のみに設けているが、筒状部54の高さ方向略全域に設けて実施してもよい。中皿本体53の上側部53Aの上端面の外周縁53Eには、上方に突出する円環状の突出部53Dが形成されている。図25に示すように、中皿体5が前記最上昇位置へ移動した時に、突出部53Dが前記空間23Hに入り込んで空間23H内に溜まっている液状の収容物(図示せず)を突出部53Dの径方向内側に押し出すことができる。これにより、容器本体2に残っている液状の収容物の量を少なくすることができる。
【0050】
ここで、中皿体5の最上昇位置は、中皿本体53の外周縁53Eが、塗布部23の下側部23bの下面23dに当接することにより規制されている。また、この当接と同時に、前述したように、中皿体5の筒状部54の下端部と棒状部材6の上端部との係合が解除される。これによって、棒状部材6が筒状部54に対して空回り可能となる。棒状部材6が筒状部54に対して空回りすることによって、内容物の繰り出しが終点となったことを認識することができる。
【0051】
キャップ7は、前述したように、例えばポリプロピレン(PP)樹脂で構成され、図24に示すように、円形の天板部71と、天板部71の外周縁から下方に延びる円筒部72と、を備えている。また、前述同様に、円筒部72の下端部の内面に回転操作部3の薄肉部31の複数の突起31Tに係止する係止解除可能な環状の凹部72Aを備えている。したがって、キャップ7の下端部を回転操作部3の薄肉部31に外嵌することにより、キャップ7が回転操作部3に係止固定される。そして、キャップ7の天板部71の下面(内面)の中心部には、キャップ7を回転操作部3に係止固定した閉塞時に前記塗布部23の開口23Fを封止するための封止部73が下方に突出形成されている。封止部73は、円柱状に構成され、かつ、下端が丸い円弧状に構成されている。尚、キャップ7の形状は、下端が開放された円柱形状に限定されない。例えば、容器本体2のデザイン(形状)との兼ね合いで、下端が開放された多角柱形状、多角錐形状、円錐形状等、様々な形状が選択できる。また、キャップ7の表面に加飾を施すこともできる。
【0052】
また、図28及び図29では、中皿体5の中皿本体53の形状を変更して、中皿体5が前記最上昇位置へ移動した時の容器本体2内に残っている液状の収容物の量を更に少なくすることができるようにしている。
【0053】
つまり、中皿体5の中皿本体53は、上側部531と、上側部531の下端から下方に延びる下側部532と、を備えている。上側部531は、円環状に構成されている。この上側部531には、中皿体5の容器本体2に対するガタツキを防止し、かつ、中皿本体53と容器本体2との間の隙間を外周方向全域に亘ってシールする前記封止部材8を嵌め込むための環状の凹部531Aが形成されている。また、下側部532は、下端に向かうほど内側に位置するテーパー面を有する逆台形状に構成されている。前記封止部材8を凹部531Aに嵌め込む場合には、中皿体5の下方から嵌め込むことになる。また、図24では、封止部材8を中皿本体53の凹部53Cに嵌め込む場合には、中皿体5の上方から嵌め込むことになる。また、上側部531の上端には、外周縁から上方に突出する円環状の第1突出部531aと、径方向中心部から上方に突出する円形で棒状の第2突出部(第1突出部531aと同一高さである)531bと、を備えている。中皿体5が前記上昇位置へ移動した時に、第1突出部531aが前記空間23Hに入り込んで空間23H内に溜まっている液状の収容物を第1突出部531aの径方向内側に押し出すことができる。また、中皿体5が前記上昇位置へ移動した時に、天壁部23Bの開口23Fに入り込んで開口23F内に溜まっている液状の収容物を上方へ押し上げることができる。また、上側部531が、円環状に構成されているので、上側部531と塗布部23との間に液状の収容物が溜まる空間を可及的に小さくすることができる。これにより、容器本体2に残っている液状の収容物の量を更に少なくすることができる。中皿体5の上昇位置は、中皿本体53の上側部531の外周縁の上面531Fが、塗布部23の下側部23bの下面23dに当接することにより規制されている。また、この当接と同時に、前述したように、中皿体5の筒状部54の下端部と棒状部材6の上端部との係合が解除される。これによって、棒状部材6が筒状部54に対して空回り可能となる。棒状部材6が筒状部54に対して空回りすることによって、内容物の繰り出しが終点となったことを認識することができる。中皿体5において説明しなかった部分は、図1と同一構成であるため、同一の符号を付すとともに、説明を省略する。
【0054】
繰り出し容器100を組み立てる場合には、回転操作部3内に螺子体4を挿入して固定する。続いて、中皿体5を容器本体2に上方から挿入する。この時、中皿体5の下端部が容器本体2の貫通孔22Kに差し掛かると、前述のように工具の先端を中皿体5のリブ55(図13参照)に当接させた状態で中皿体5を回転させることにより貫通孔22Kに対する中皿体5の下端部の姿勢を一致させてから、貫通孔22Kに中皿体5の下端部を挿入する。次に、貫通孔22Kから下方に突出した中皿体5の下端部を螺子体4に螺合させてから、容器本体2の下端部を回転操作部3と螺子体4との間に上方から嵌め込む。続いて、容器本体2に対して回転操作部3を回転させることで、中皿体5を最下降位置まで移動させる。移動後は、棒状部材6を回転操作部3の貫通孔32Kから挿入し、棒状部材6の本体部61が中皿体5の筒状部54に嵌るように回転位置を確認しながら挿入し、棒状部材6の固定部62が回転操作部3の突起34を乗り越えることによって、棒状部材6が回転操作部3に固定され、容器本体2の組み立てが終了する。この容器本体2の組み立てが終了後は、容器本体2に液状の収容物(医薬品、医薬部外品、化粧品の製剤等)を充填した後、塗布部23の嵌合部23A(図24参照)を容器本体2に嵌合させてから、キャップ7を容器本体2に外嵌して繰り出し容器100の組み立てを終了する。なお、充填工程に応じて、液状収容物(化粧料等)の充填前か後のいずれかで、塗布部23を容器本体2に嵌合させる。
【0055】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0056】
前記実施形態では、ガタツキ防止材8が、中皿本体53と容器本体2との間の隙間を外周方向全域に亘ってシールする封止部材(Oリングやパッキン等)から構成したが、中皿本体53と容器本体2との間の隙間を外周方向所定範囲のみ埋めてガタツキのみを防止するが、シールはしないガタツキ防止材であってもよい。このガタツキ防止材は、例えば、容器本体2の内面に当接する上下方向に延びる複数の縦リブを周方向に間隔を置いて中皿体5の中皿本体53の外面に備えたものであってもよい。また、封止部材としては、前述したように、Oリング、パッキン等が例示でき、摺動性を損なわず、密封性が担保できているものであれば、どのようなものであってもよい。また、Oリングやパッキン等のような断面形状が円形のものの他、図21に示すように、断面形状が円弧状(半円状でもよい)のものであってもよい。図21の封止部材80は、断面形状が円弧状で円周方向に延びる円環状に形成され、容器本体2の内面に上下2箇所で当接する当接部80Aと、当接部80Aの上下方向中央部から内側に延びて中皿体5に形成の係止溝5Mに係止することで当接部80Aを中皿体5に固定する係止部80Bと、を備えている。尚、当接部80Aを係止により中皿体5に固定する他、中皿体5を成形する際に当接部80Aを中皿体5に一体成形してもよい。
【0057】
また、前記実施形態では、中皿体5の容器本体2の一端部側への移動のみに規制するラチェット機構を設けたが、ラチェット機構を無くして中皿体5の容器本体2の一端部側への移動及び他端部側への移動が行える繰り出し容器であってもよい。ラチェット機構を無くした場合に、中皿体5を必要以上に下降した時に中皿体5が容器本体2の周壁22Aに当接して周壁22Aを乗り越える(オーバーランする)ことを防止する対策として、容器本体2と中皿体5を硬質樹脂で成形し、図22に示すように、突出部22Bの下面22Dから周壁22AのR部分の下端までの厚みD1を1.5mm~3.0mmの範囲の任意の値とし、突出部22Bの下面22Dから周壁22Aの上面22Uまでの厚みDを2.1mm~3.6mmの範囲の任意の値とすることが好ましい。前記硬質樹脂としては、曲げ弾性率が1000MPa以下(例えば990MPa)のランダムPPにすることにより、前述した第2ラチェット歯63,63の爪部63C,63Cと第1ラチェット歯33,33の円弧面33B,33Bに当接した時に発する当接音を低い音にすることができ、1000MPaよりも高い1500MPaのホモPPにすることにより、前記当接音を前記低い音よりも高い音にすることができ、さらに曲げ弾性率の高い2000MPa~3000MPaのポリアセタール(POM)にした場合には、前記当接音を前記高い音よりも更に高い音にすることができる。このように、曲げ弾性率の異なる硬質樹脂を選択することによって、当接音の高低を調整することができる。
【0058】
また、前記実施形態では、繰り出し容器を構成する部品を全て合成樹脂で構成したが、部品の一部又は全部を金属材料で構成してもよい。
【0059】
また、前記実施形態では、筒部42の内面に、上下方向略全域に亘って第1螺子部(雌螺子部)42Nを設け、これに螺合する第2螺子部54Nを筒状部54の下端部のみに設けたが、筒部42の内面の上端部にのみ、第1螺子部(雌螺子部)を設け、これに螺合する第2螺子部を筒状部54の高さ方向略全域に設けて実施してもよい。
【0060】
また、前記実施形態では、中皿体5の底部51の上面には、上方に突出する板状のリブ55を設けたが、図23に示すように、中皿体5の側壁部52の内面52Uに径方向内側に突出する複数(図では3個)の突起52a,52b,52cを設けている。突起52a,52b,52cは、平面視で半円状に形成され、周方向に間隔を置いて形成されている。2個の突起52a,52cが対向位置し、残りの1個の突起52bが2個の突起52a,52cの間に位置している。そして、これらの突起52a,52b,52cに係止する凹部83a,83b,83cが周方向に形成された略円柱形状の工具83により中皿体5を回転させるようにしている。
【0061】
本発明に係る繰り出し容器は、例えば口紅、リップクリーム、リップグロス、口唇用医薬品、制汗剤、スティックファンデーション等、特に用途を限定せず、固型(スティック等)、半固型状(ゲル、クリーム、ペースト等)、液状の内容物に適用することができる。また、一端部側への移動のみに規制されるラチェット機構を適用することで、繰り出し、繰り下げ操作によって製剤が崩れやすい、常温で半固形状の製剤にも好適に使用できる。
【0062】
なお、繰り出し容器の大きさは特に規定されるものでは無いが、口紅、リップクリーム等、ユーザーが携帯することが多い物品においては、できるだけコンパクトに容器を作成しつつ、良好な組み立て性を有すること、またユーザーが使用する場面においては、滑らかな摺動性、気密性が特に求められる。これを踏まえて、繰り出し容器(容器本体2)の内径寸法は8~30mm程度、中皿摺動方向長さ(中皿体5のスライド長さ)が20~50mm、容器本体に収容される内容物の容量が1.5~5g程度であることが好ましい。また、回転操作部3の1回転させた時の中皿体5のスライド長さが1mm~10mmの範囲の任意の数値に設定できる。
【符号の説明】
【0063】
1…繰り出し容器、2…容器本体、3…回転操作部、4…螺子体、5…中皿体、5M…係止溝、6…棒状部材、7…キャップ、8…ガタツキ防止材(封止部材)、21…本体部、21B…上端面、21K…開口、21T…突条部、22…下側部、22A…周壁、22B…突出部、22D…下面、22K…貫通孔、22M…溝、22U…上面、22a…円弧部、22b…平坦部、22c…円弧部、23…塗布部、23A…嵌合部、23B…天壁部、23C…外周縁、23D…下面、23E…上面、23F…開口、23G…スカート部、23H…開口、23T…突条部、23a…嵌合本体部、23b…下側部、23d…下面、31…薄肉部、31A…外面、31T…突起、32…本体部、32A…内面、32B…周壁、32K…貫通孔、32T…突起、32b…外周側下面、32c…下端側内面、33A…平坦面、33B…円弧面、34…突起、41…底部、41K…貫通孔、42…筒部、42N…第1螺子部、43…上端部、43A…平坦部、43B…円弧部、44…円筒部、44A…外面、51…底部、52…側壁部、52A…凹部、52U…内面、53…中皿本体、53A…上側部、53B…下側部、53C…凹部、53D…突出部、53E…外周縁、54…筒状部、54A…直線部、54B…円弧部、54C…上端部、54D…円弧部、54E,54F…筒状部内面、54N…第2螺子部、54T…突起、55…リブ、55A,55B…側面、61…本体部、61A…直線部、61B…円弧部、62…固定部、62A…凸部、63A…基部、63B…円弧部、63C…爪部、63R…円弧面、63S…ストッパー面、71…天板部、72…円筒部、72A…凹部、73…封止部、80…封止部材、80A…当接部、80B…係止部、81…第1空間、82…第2空間、83…工具、531…上側部、531a…第1突出部、531b…第2突出部、531F…上面、532…下側部、532A…凹部、D1,D2…厚み、R…回転方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29