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特開2022-129425処理装置、処理方法、プログラムおよび処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022129425
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】処理装置、処理方法、プログラムおよび処理システム
(51)【国際特許分類】
   H04M 3/523 20060101AFI20220830BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20220830BHJP
   G16Y 20/10 20200101ALI20220830BHJP
   G16Y 20/40 20200101ALI20220830BHJP
   G16Y 40/20 20200101ALI20220830BHJP
   G16Y 40/30 20200101ALI20220830BHJP
【FI】
H04M3/523
G06Q50/10
G16Y20/10
G16Y20/40
G16Y40/20
G16Y40/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021028081
(22)【出願日】2021-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129067
【弁理士】
【氏名又は名称】町田 能章
(74)【代理人】
【識別番号】100183162
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 義文
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 直文
【テーマコード(参考)】
5K201
5L049
【Fターム(参考)】
5K201AA07
5K201BA13
5K201BC05
5K201CA01
5K201CC02
5K201CC05
5K201CC08
5K201EC06
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】テレワーク型のコンタクトセンターにおける業務のセキュリティを向上させるとともに、業務の運用効率を向上させる。
【解決手段】本発明のコンタクトセンターシステム10にて、オペレーター環境管理装置50は、テレワークのオペレーターにてオペレーター端末60が操作されるときのオペレーター環境情報70に基づくオペレーターセキュリティレベルを生成する。また、呼制御装置40は、顧客装置11とオペレーター端末60との間の通信に基づく着信呼セキュリティレベルが、オペレーターセキュリティレベルとの関係で許容されるならば、顧客装置11とオペレーター端末60との間の通信のために、顧客装置11とオペレーター端末60とを接続する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレワークの第1のオペレーターにて第1のオペレーター装置が操作されるときの環境情報に基づく第1のセキュリティレベルの情報を生成する第1の処理部と、
顧客装置と前記第1のオペレーター装置との間の通信に基づく第2のセキュリティレベルの情報が、第1のセキュリティレベルの情報との関係で許容されるならば、前記顧客装置と前記第1のオペレーター装置との間の通信のために、前記顧客装置と前記第1のオペレーター装置とを接続する第2の処理部とを備えることを特徴とする処理装置。
【請求項2】
前記第1のセキュリティレベルが示す状態は、前記第1のオペレーター装置が備える映像入力部が前記第1オペレーターを映していないこと、または、前記環境情報が一定期間以上更新されないことである請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記第1のセキュリティレベルが示す状態は、前記環境情報としての、前記第1のオペレーターの位置情報と、前記第1オペレーターが業務を行う予定位置情報の差分が所定値以上であることである請求項1に記載の処理装置。
【請求項4】
前記第1のセキュリティレベルが示す状態は、前記第1のオペレーター装置が備える映像入力部が複数の人物を映したこと、または、前記第1のオペレーター装置が備える音声入力部が複数の人物の声を取得したことである請求項1に記載の処理装置。
【請求項5】
前記テレワークは、在宅勤務である請求項1から請求項4の何れか1項に記載の処理装置。
【請求項6】
処理装置が、
テレワークの第1のオペレーターにて第1のオペレーター装置が操作されるときの環境情報に基づく第1のセキュリティレベルの情報を生成する第1のステップと、
顧客装置と前記第1のオペレーター装置との間の通信に基づく第2のセキュリティレベルの情報が、第1のセキュリティレベルの情報との関係で許容されるならば、前記顧客装置と前記第1のオペレーター装置との間の通信のために、前記顧客装置と前記第1のオペレーター装置とを接続する第2のステップとを実行することを特徴とする処理方法。
【請求項7】
処理装置としてのコンピューターを、
テレワークの第1のオペレーターにて第1のオペレーター装置が操作されるときの環境情報に基づく第1のセキュリティレベルの情報を生成する第1の処理部、
顧客装置と前記第1のオペレーター装置との間の通信に基づく第2のセキュリティレベルの情報が、第1のセキュリティレベルの情報との関係で許容されるならば、前記顧客装置と前記第1のオペレーター装置との間の通信のために、前記顧客装置と前記第1のオペレーター装置とを接続する第2の処理部、として機能させるためのプログラム。
【請求項8】
テレワークの第1のオペレーターにて第1のオペレーター装置が操作されるときの環境情報に基づく第1のセキュリティレベルの情報を生成するオペレーター環境管理装置と、
顧客装置と前記第1のオペレーター装置との間の通信に基づく第2のセキュリティレベルの情報が、第1のセキュリティレベルの情報との関係で許容されるならば、前記顧客装置と前記第1のオペレーター装置との間の通信のために、前記顧客装置と前記第1のオペレーター装置とを接続する呼制御装置とを備える処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置、処理方法、プログラムおよび処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレワーク型のコンタクトセンターに関する技術開発が盛んである。テレワーク型のコンタクトセンターの業務では、オペレーターに対するセキュリティを担保することが重要である。例えば、特許文献1には、セキュリティが強化されたコールセンタシステムについて開示されている。特許文献1によれば、オペレーターが利用する業務端末に搭載されているGPSの位置情報を利用し、業務端末があらかじめ登録された位置に存在するかどうかを判定することで、オペレーターの業務可否を判断していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5271806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の発明等の従来技術によれば、オペレーターの位置情報のみで、オペレーターの業務可否を判断するため、セキュリティの強化が十分であるとはいえない。例えば、オペレーターが在宅勤務をする場合、業務上取り扱う秘匿情報が家族等の第三者に漏洩する可能性がある。よって、従来技術には改善の余地が残されている。一方、顧客からの問い合わせのすべてが高いセキュリティレベルを要求されるとは限らない。このため、現在のオペレーターが担保できるセキュリティレベルで請け負うことが可能な業務を極力遂行し、限られたコンタクトセンターの人材リソースを有効活用することが望ましい。
【0005】
上記事情に鑑みて、本発明は、テレワーク型のコンタクトセンターにおける業務のセキュリティを向上させるとともに、業務の運用効率を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、テレワークの第1のオペレーターにて第1のオペレーター装置が操作されるときの環境情報に基づく第1のセキュリティレベルの情報を生成する第1の処理部と、顧客装置と前記第1のオペレーター装置との間の通信に基づく第2のセキュリティレベルの情報が、第1のセキュリティレベルの情報との関係で許容されるならば、前記顧客装置と前記第1のオペレーター装置との間の通信のために、前記顧客装置と前記第1のオペレーター装置とを接続する第2の処理部とを備えることを特徴とする処理装置である。
【0007】
また、本発明は、処理装置が、テレワークの第1のオペレーターにて第1のオペレーター装置が操作されるときの環境情報に基づく第1のセキュリティレベルの情報を生成する第1のステップと、顧客装置と前記第1のオペレーター装置との間の通信に基づく第2のセキュリティレベルの情報が、第1のセキュリティレベルの情報との関係で許容されるならば、前記顧客装置と前記第1のオペレーター装置との間の通信のために、前記顧客装置と前記第1のオペレーター装置とを接続する第2のステップとを実行することを特徴とする処理方法である。
【0008】
また、本発明は、処理装置としてのコンピューターを、テレワークの第1のオペレーターにて第1のオペレーター装置が操作されるときの環境情報に基づく第1のセキュリティレベルの情報を生成する第1の処理部、顧客装置と前記第1のオペレーター装置との間の通信に基づく第2のセキュリティレベルの情報が、第1のセキュリティレベルの情報との関係で許容されるならば、前記顧客装置と前記第1のオペレーター装置との間の通信のために、前記顧客装置と前記第1のオペレーター装置とを接続する第2の処理部、として機能させるためのプログラムである。
【0009】
また、本発明は、テレワークの第1のオペレーターにて第1のオペレーター装置が操作されるときの環境情報に基づく第1のセキュリティレベルの情報を生成するオペレーター環境管理装置と、顧客装置と前記第1のオペレーター装置との間の通信に基づく第2のセキュリティレベルの情報が、第1のセキュリティレベルの情報との関係で許容されるならば、前記顧客装置と前記第1のオペレーター装置との間の通信のために、前記顧客装置と前記第1のオペレーター装置とを接続する呼制御装置とを備える処理システムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、テレワーク型のコンタクトセンターにおける業務のセキュリティを向上させるとともに、業務の運用効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態のコンタクトセンターシステムの全体構成図である。
図2】呼制御装置の内部構成図である。
図3】オペレーター環境管理装置の内部構成図である。
図4】オペレーター端末の内部構成図である。
図5】オペレーター環境情報のデータ構造図である。
図6】オペレーターセキュリティ情報のデータ構造図である。
図7】着信呼セキュリティ情報のデータ構造図である。
図8】オペレーターセキュリティ情報の更新シーケンス図(その1)である。
図9】オペレーターセキュリティ情報の更新シーケンス図(その2)である。
図10】着信呼の分配シーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[概要]
本実施形態では、在宅勤務で運用しているコンタクトセンターにおけるセキュリティを意識した呼の分配方式について説明する。本実施形態のコンタクトセンターシステムは、在宅勤務を行うオペレーターが勤務を行う空間のセキュリティレベルを検出し、オペレーターが担保できるセキュリティレベルに見合った着信呼をオペレーターに分配することで、在宅勤務型コンタクトセンターのセキュリティと運用効率を両立する。
【0013】
[構成]
(コンタクトセンターシステム10)
図1に示すように、本実施形態のコンタクトセンターシステム10は、ネットワーク機器20と、ゲートウェイ装置30と、呼制御装置40と、オペレーター環境管理装置50とを備えている。コンタクトセンターシステム10は、例えば、ネットワーク機器20を用いたIPネットワークとして構築できるが、これに限定されない。ネットワーク機器20と、ゲートウェイ装置30と、呼制御装置40と、オペレーター環境管理装置50は、通信可能に接続されている。
なお、コンタクトセンターシステム10は、特許請求の範囲の「処理システム」の具体例である。
【0014】
ネットワーク機器20は、例えば、ルータ、スイッチ、無線アクセスポイントであるが、これらに限定されない。ネットワーク機器20は、複数台のオペレーター端末60と通信可能に接続されている。よって、ゲートウェイ装置30と、呼制御装置40と、オペレーター環境管理装置50は、オペレーター端末60と通信可能に接続できる。
【0015】
ゲートウェイ装置30は、プロトコルの異なる装置間の通信を中継する装置である。例えば、電話システムであれば、ゲートウェイ装置30をIPと公衆電話網とのゲートウェイとすることができる。また、チャット等テキストベースのデータを交換するシステムであれば、ゲートウェイ装置30をインターネットとイントラネットとのゲートウェイとすることができる。ゲートウェイ装置30は、顧客装置11と通信可能に接続されている。顧客装置11は、コンタクトセンターサービスを利用する顧客が用いる装置である。顧客装置11は、例えば、PC、電話機、スマートフォンとすることができるがこれらに限定されない。
【0016】
ネットワーク機器20と、ゲートウェイ装置30と、呼制御装置40と、オペレーター環境管理装置50と、オペレーター端末60は、CPU(Central Processing unit)と、メモリと、ハードディスクなどの記憶手段(記億部、記憶装置)と、ネットワークインタフェースとを有するコンピューターとして構成される。このコンピューターは、CPUが、メモリ上に読み込んだプログラムを実行することにより、各種機能が実現される。
【0017】
呼制御装置40は、ゲートウェイ装置30からの着信、およびオペレーター端末60からの発信指示を処理する装置である。呼制御装置40は、顧客とオペレーターとの通話の開始、終了を管理できる。
【0018】
オペレーター環境管理装置50は、在宅勤務でコンタクトセンターの業務を行うオペレーターの環境を管理する装置である。例えば、オペレーター環境管理装置50は、事前登録されたオペレーター業務予定位置情報、現在のオペレーター端末の位置情報、カメラを利用したオペレーターの空間情報、音声を用いたオペレーターの空間情報を管理することができる(詳細は後記)。
【0019】
オペレーター端末60は、オペレーターがコンタクトセンターの業務を行うために用いる装置である。例えば、オペレーター端末60は、モバイルPCやスマートフォン、タブレット端末、専用IP端末とすることができるがこれらに限定されない。オペレーター端末60は、音声の取得/再生機能、カメラ等による映像入力機能、オペレーター顔認証機能、カメラ映像内の人数計測機能、声識別機能を有している(詳細は後記)。また、オペレーター端末60は、例えば、マイクスピーカー、ヘッドセット、電話機と通信可能に接続しており、オペレーターと顧客との通話を可能にする。
【0020】
なお、呼制御装置40およびオペレーター環境管理装置50は、特許請求の範囲の「処理装置」を構成する具体的な装置である。
また、オペレーターおよびオペレーター端末60はそれぞれ、特許請求の範囲の「第1のオペレーター」および「第1のオペレーター端末」の具体例である。
【0021】
(呼制御装置40)
図2に示すように、呼制御装置40は、情報通信部41と、呼処理部42と、着信呼セキュリティレベル判定部43とを備えている。また、呼制御装置40は、着信呼セキュリティ情報90(詳細は後記)を記憶する。
情報通信部41は、呼制御装置40が、ゲートウェイ装置30と、オペレーター環境管理装置50と、オペレーター端末60と通信するためのインターフェースである。
【0022】
呼処理部42は、ゲートウェイ装置30とオペレーター端末60との間の通話呼の開始終了処理を行う。また、呼処理部42は、呼振り分け時に着信呼セキュリティレベル判定部43およびオペレーター環境管理装置50と通信を行い、着信呼をどのオペレーターに振り分けるかの判定を行う。
着信呼セキュリティレベル判定部43は、顧客からの着信呼に対する着信呼セキュリティレベルを判定する。着信呼セキュリティレベルの詳細は後記する。
なお、呼処理部42および着信呼セキュリティレベル判定部43は、特許請求の範囲の「第2の処理部」を構成する具体的な機能部の例である。
【0023】
(オペレーター環境管理装置50)
図3に示すように、オペレーター環境管理装置50は、情報通信部51と、オペレーターセキュリティレベル判定部52と、オペレーターセキュリティレベル記憶部53とを備えている。
なお、オペレーターセキュリティレベル判定部52は、特許請求の範囲の「第1の処理部」の具体例である。
情報通信部51は、オペレーター環境管理装置50が、呼制御装置40と、オペレーター端末60と通信するためのインターフェースである。
【0024】
オペレーターセキュリティレベル判定部52は、オペレーター端末60から通知された現在のオペレーターに関する情報を基に、オペレーターセキュリティレベルを判定する。オペレーターセキュリティレベルの詳細は後記する。
オペレーターセキュリティレベル記憶部53は、オペレーターを識別する情報、オペレーターの業務予定位置情報、現在のオペレーターの環境情報、オペレーターセキュリティレベル判定部52の判定結果を、オペレーターセキュリティ情報80(詳細は後記)として記憶する。
【0025】
(オペレーター端末60)
図4に示すように、オペレーター端末60は、情報通信部61と、位置情報取得部62と、映像入力部63と、顔判定部64と、映像内人数判定部65と、音声入力部66と、音声内人数判定部67とを備えている。また、オペレーター端末60は、オペレーター環境情報70(詳細は後記)を生成できる。
情報通信部61は、オペレーター端末60が、呼制御装置40と、オペレーター環境管理装置50と通信するためのインターフェースである。
【0026】
位置情報取得部62は、GPSなどを利用してオペレーター端末60の現在の位置情報を取得する。
映像入力部63は、カメラ等の任意の映像入力装置から映像を入力する。映像入力装置は、オペレーター端末60に内蔵していてもよいし、オペレーター端末60に外付けされていてもよい。
【0027】
顔判定部64は、映像入力部63から取得した映像にオペレーターが存在するか否かを判定する。顔判定部64は、人物の顔の認証機能を有しており、オペレーターの顔判定ができる。オペレーターの顔画像は、オペレーター端末60や、オペレーター端末60と通信可能な装置に記憶されている。
映像内人数判定部65は、映像入力部63から取得した映像に人物が何人含まれるかを判定する。映像内人数判定部65は、人物特定機能を有しており、人物の一部分が映っていたとしても当該人物を特定できる。
【0028】
音声入力部66は、マイク等の任意の音声入力装置から音声を入力する。音声入力装置は、オペレーター端末60に内蔵していてもよいし、オペレーター端末60に外付けされていてもよい。
音声内人数判定部67は、音声入力部66から取得した音声に何人分の声が含まれているかを判定する。音声内人数判定部67は、人物特定機能を有しており、他人の音声と区別できる。
なお、オペレーター端末60は、オペレーターの音声等の音情報、チャット等で返信されるテキスト情報、顧客等に画像や映像を見せるための映像情報を出力する出力部を備えている。音情報の出力部は、例えば、スピーカとすることができるがこれに限定されない。
【0029】
(オペレーター環境情報70)
オペレーター環境情報70は、オペレーターがコンタクトセンターの業務を行う(オペレーター端末60が操作される)環境(例えば、オペレーターの自宅内)を示す情報である。オペレーター環境情報70は、オペレーター端末60が生成し、オペレーター環境管理装置50に通知する情報である。オペレーター環境情報70は、オペレーター環境管理装置50のオペレーターセキュリティレベル判定部52によって、オペレーターセキュリティレベルの判定に利用される。
なお、オペレーター環境情報70は、特許請求の範囲の「環境情報」の具体例である。
【0030】
図5に示すように、オペレーター環境情報70は、「オペレーター識別子」と、「位置情報」と、「オペレーター存在フラグ」と、「映像内人数」と、「音声内人数」のデータを含んで構成されている。
「オペレーター識別子」は、オペレーターを一意に識別する情報である。
「位置情報」は、オペレーター端末60の位置情報取得部62が取得した位置情報である。
「オペレーター存在フラグ」は、オペレーター端末60の顔判定部64の顔認証による判定により、映像入力部63が入力した映像にオペレーターが存在するか(真)否か(偽)を示す真偽値である。
「映像内人数」は、オペレーター端末60の映像内人数判定部65の判定により、映像入力部63が入力した映像に含まれる人物の数である。なお、本実施形態では、オペレーター自身を映像内人数に含めるようにカウントするが、カウントしないようにしてもよい。
「音声内人数」は、オペレーター端末60の音声内人数判定部67の判定により、音声入力部66が入力した音声に含まれる人物の数である。なお、本実施形態では、オペレーター自身を音声内人数に含めるようにカウントするが、カウントしないようにしてもよい。
【0031】
(オペレーターセキュリティ情報80)
オペレーターセキュリティ情報80は、オペレーターが存在する環境の現在のセキュリティレベルを示す情報である。オペレーターセキュリティ情報80は、オペレーター環境管理装置50のオペレーターセキュリティレベル判定部52が生成し、オペレーターセキュリティレベル記憶部53に記憶される。
【0032】
図6に示すように、オペレーターセキュリティ情報80は、「オペレーター識別子」と、「オペレーター業務予定位置情報」と、「現在のオペレーター環境情報」と、「更新日時」と、「オペレーターセキュリティレベル」のデータを含んで構成されている。
「オペレーター識別子」は、オペレーターを一意に識別する情報である。
「オペレーター業務予定位置情報」は、オペレーターがオペレーター端末60を利用して業務を行う予定の場所を示す情報である。オペレーター業務予定位置情報は、オペレーターが業務を行う前に予め登録される。
「現在のオペレーター環境情報」は、オペレーター端末60から通知された最新のオペレーター環境情報70である。
「更新日時」は、オペレーター端末60からオペレーター環境情報70を最後に取得した日時である。
「オペレーターセキュリティレベル」は、オペレーターが担保可能なセキュリティの度合いである。オペレーターセキュリティレベルは、オペレーター業務予定位置情報および現在のオペレーター環境情報に基づいて算出された数値である。例えば、オペレーターセキュリティレベルは、以下の0~3を設定できる。
なお、オペレーターセキュリティレベルは、特許請求の範囲の「第1のセキュリティレベルの情報」の具体例である。
【0033】
0:カメラ等の映像にオペレーターが映っていない(オペレーター環境情報70のオペレーター存在フラグが偽)、または、オペレーター環境情報70が古い(オペレーターセキュリティ情報80の更新日時が所定タイミングよりも前)
1:予め登録した位置にオペレーターがいない(オペレーターセキュリティ情報80のオペレーター業務予定位置情報と、オペレーター環境情報70に位置情報との差分が一定値以上)
2:カメラ等の映像にオペレーター以外の人物が映り込んでいる(オペレーター環境情報70の映像内人数が1より大きい)、または、マイク等で複数人の声が入力される(オペレーター環境情報70の音声内人数が1より大きい)
3:上記のどれにも当てはまらない(オペレーターがセキュアな環境にいる)
【0034】
オペレーターセキュリティレベルが0である場合、そもそもオペレーターが業務を行っていない可能性が高い。このような状態のオペレーターに秘匿情報を取り扱わせることは適当でない。また、オペレーターは音声通話が当然できない。また、オペレーターはチャットも当然できない。よって、オペレーターのセキュリティレベルを最低とし、呼処理部42は、当該オペレーターのオペレーター端末60に着信呼を原則振り分けない。
【0035】
オペレーターセキュリティレベルが1である場合、オペレーターは一応業務を行っているが、実行可能な作業が大幅に制限されていることを示している(例えば、オペレーターが遮音性の極めて低い空間、または、遮視性の極めて低い空間にいるため)。このような状態のオペレーターに秘匿情報を取り扱わせることは適当でない。また、音声通話を実施した場合、周囲に会話内容が聞かれてしまう可能性があるため、または騒音防止の観点から、オペレーターは音声通話をしない方が好ましい。しかし、秘匿情報を取り扱わないチャットによる問い合わせ(例:販売商品や提供サービスの一般的な説明、総合案内)であれば、オペレーターは対応可能といえる。
【0036】
オペレーターセキュリティレベルが2である場合、オペレーターは予定していた場所で業務を行っているが、オペレーターと同じ空間内に秘密保持義務を有しない第三者が存在することを示している。このような状態のオペレーターに秘匿情報を取り扱わせることは適当でない。しかし、秘匿情報を取り扱わないチャットによる問い合わせであれば、オペレーターは対応可能といえる。また、秘匿情報を取り扱わない音声通話であれば、オペレーターは対応可能といえる。
【0037】
オペレーターセキュリティレベルが3である場合、オペレーターは秘匿情報を取り扱う可能性のある通常の着信業務に対応可能といえる。
【0038】
(着信呼セキュリティ情報90)
着信呼セキュリティ情報90は、着信呼に対してセキュリティレベルを定義した情報である。着信呼セキュリティ情報90は、例えば、コンタクトセンター業務の運用前に、呼制御装置40が記憶している。呼制御装置40の着信呼セキュリティレベル判定部43は、着信呼セキュリティ情報90を適宜利用できる。
【0039】
図7に示すように、着信呼セキュリティ情報90は、「着信理由」と、「着信呼セキュリティレベル」のデータを含んで構成されている。
「着信理由」は、着信呼の用件を区別する情報である(例:銀行業務の場合、預金残高の照会や、キャッシュカードの盗難、紛失の問い合わせ、といった用件を区別)。着信理由は、例えば、コンタクトセンターシステム10の運用前にシステム管理者が事前に定義できる。なお、着信理由は、呼制御装置40の呼処理部42が着信呼から検出できる。具体的には、IVR(Interactive Voice Response)、ダイヤルイン番号、音声ボット、チャットボットにより検出できる。これらは、顧客装置とオペレーター端末60との間の通信の具体例である。
【0040】
「着信呼セキュリティレベル」は、着信理由に対して必要とされるセキュリティの度合いである。着信呼セキュリティレベルの取り得る値は、オペレーターセキュリティ情報80のオペレーターセキュリティレベルと同じとすることができ、本実施形態では同じとする。しかし、異なっていてもよい。また、着信呼セキュリティレベルは、顧客装置とオペレーター端末60との間の通信に基づいて決定できる。
なお、着信呼セキュリティレベルは、特許請求の範囲の「第2のセキュリティレベルの情報」の具体例である。
【0041】
[処理]
本実施形態の処理として、オペレーターセキュリティ情報80の更新について説明する。
図8に示すように、まず、オペレーター端末60が、オペレーター環境管理装置50のオペレーターセキュリティレベル判定部52に対し、現在のオペレーター環境情報70を送信する(ステップs11)。ここで、オペレーター環境情報70の送信タイミングは、例えば、オペレーター端末60が検出した位置情報、オペレーター存在有無、映像内人数、音声内人数に変更があったタイミングでよい。また、一定間隔ごとでもよい。
【0042】
次に、オペレーターセキュリティレベル判定部52は、オペレーターセキュリティレベル記憶部53から、オペレーターセキュリティ情報80のオペレーター業務予定位置情報を読み出す(ステップs12)。次に、オペレーターセキュリティレベル判定部52は、受信したオペレーター環境情報70の位置情報と、読み出したオペレーターセキュリティ情報80のオペレーター業務予定位置情報とを用いて、オペレーターセキュリティレベルを算出する(ステップs13)。
【0043】
次に、オペレーターセキュリティレベル判定部52は、オペレーターセキュリティ情報80を更新して、オペレーターセキュリティレベル記憶部53に保存する(ステップs14)。具体的には、オペレーターセキュリティレベル判定部52は、オペレーターセキュリティ情報80の現在のオペレーター環境情報を、受信したオペレーター環境情報70に更新する。また、オペレーターセキュリティレベル判定部52は、オペレーターセキュリティ情報80の更新日時を、オペレーター環境情報70の受信日時に更新する。また、オペレーターセキュリティレベル判定部52は、オペレーターセキュリティ情報80のオペレーターセキュリティレベルを、算出したオペレーターセキュリティレベルに更新する。オペレーターセキュリティレベル判定部52は、更新後のオペレーターセキュリティ情報80をオペレーターセキュリティレベル記憶部53に保存する。
【0044】
なお、オペレーター環境管理装置50は、コンタクトセンターの業務のスーパーバイザーが用いるスーパーバイザー端末に、オペレーターセキュリティレベルの変更を通知し、スーパーバイザー端末の画面上に当該変更を表示してもよい。また、オペレーターセキュリティレベルの変更履歴を任意の記憶装置に保存するようにしてもよい。また、オペレーターセキュリティレベルの遷移を履歴情報として集計できるようにしてもよい。
以上で、図8の処理の説明を終了する。
【0045】
また、オペレーターセキュリティ情報80の更新については、図8で説明したもののほかに、図9に示したものもある。図9の処理は、オペレーターセキュリティ情報80の更新を定期的にする処理である。
【0046】
図9に示すように、オペレーター環境管理装置50のオペレーターセキュリティレベル判定部52は、対象のオペレーターについて、オペレーター端末60からオペレーター環境情報70を受信することなく、一定時間が経過した場合、オペレーターセキュリティ情報80のオペレーターセキュリティレベルを0にする(ステップs21)。
【0047】
次に、オペレーターセキュリティレベル判定部52は、オペレーターセキュリティ情報80を更新して、オペレーターセキュリティレベル記憶部53に保存する(ステップs22)。具体的には、また、オペレーターセキュリティレベル判定部52は、オペレーターセキュリティ情報80の更新日時を、一定時間経過後の日時に更新する。また、オペレーターセキュリティレベル判定部52は、オペレーターセキュリティ情報80のオペレーターセキュリティレベルを0に更新する。オペレーターセキュリティレベル判定部52は、更新後のオペレーターセキュリティ情報80をオペレーターセキュリティレベル記憶部53に保存する。
【0048】
図9の処理によれば、オペレーター環境情報70の最後の更新から一定期間過ぎていた場合、オペレーター環境情報70が古すぎるため、有効でないとみなし、オペレーターが現在セキュアな環境にはいないと判断する。よって、上記オペレーターに着信呼を分配しないように処理することで、在宅勤務のコンタクトセンターの業務のセキュリティを担保することができる。
【0049】
また、本実施形態の処理として、着信呼の分配について説明する。
図10に示すように、まず、顧客(顧客装置11)からの着信があった場合、ゲートウェイ装置30は、呼制御装置40の呼処理部42に対し、着信を通知する(ステップs31)。着信を受け付けた呼処理部42は、着信呼セキュリティレベル判定部43に対し、着信呼セキュリティレベルの判定を依頼する(ステップs32)。このとき、呼処理部42は、着信呼の着信理由を検出し、着信呼セキュリティレベル判定部43に出力する。
【0050】
次に、着信呼セキュリティレベル判定部43は、着信呼セキュリティ情報90を参照して、着信呼の着信呼セキュリティレベルを判定し、呼処理部42に返却する(ステップs33)。着信呼セキュリティレベルを取得した呼処理部42は、オペレーター環境管理装置50のオペレーターセキュリティレベル記憶部53が記憶するオペレーターセキュリティ情報80を検索する(ステップs34)。また、呼処理部42は、着信呼セキュリティレベル以上のオペレーターセキュリティレベルとなるオペレーター(オペレーターセキュリティレベルが着信呼セキュリティレベルをとの関係で許容されるオペレーター)の一覧をオペレーターセキュリティ情報80から取得する(ステップs35)。
【0051】
オペレーターの一覧を取得した呼処理部42は、一覧のオペレーターの中から、所定のアルゴリズムに従い着信を通知するオペレーターを選択する。また、呼処理部42は、選択したオペレーターに対し着信呼を分配する(ステップs36)。所定のアルゴリズムとは、例えば、対象の複数のオペレーターから1人をランダムに選択するアルゴリズムでもよい。また、対象の複数のオペレーターのうち最後の顧客対応終了時からの時間経過が長いオペレーターを優先的に選択するアルゴリズムでもよい。
以上で、図10の処理の説明を終了する。
【0052】
[まとめ]
本実施形態によれば、オペレーターの位置情報、映像や音声入力により判定したオペレーターの存在有無、オペレーター以外の人物の人数の情報を用いることで、オペレーターが業務を行っている空間のセキュリティレベルを判定することが可能となった。また、着信呼とオペレーターの業務環境に対しそれぞれ着信呼セキュリティレベル、オペレーターセキュリティレベルとして評価することで、高度なセキュリティの担保が難しい環境にいるオペレーターに対しても、適切に着信を割り振ることが可能となった。
したがって、在宅勤務のコンタクトセンターにおける業務のセキュリティを向上させるとともに、業務の運用効率を向上させることができる。
【0053】
[変形例]
(a)本発明は、在宅勤務に限らず、例えば、サテライトオフィス、喫茶店等での勤務にも適用できる。より一般的には、勤務先とは異なる場所でのテレワーク勤務に対して本発明を適用できる。
(b)本実施形態では、オペレーターの顔認証によりオペレーター存在フラグの真偽を判定していた。しかし、例えば、オペレーターの声紋認証や指紋認証によりオペレーター存在フラグの真偽を判定してもよい。
(c)本実施形態では、呼制御装置40およびオペレーター環境管理装置50が別体の装置であるとして説明した。しかし、例えば、呼制御装置40およびオペレーター環境管理装置50の各機能を備えた1つの装置を構成してもよい。当該装置は、特許請求の範囲の「処理装置」の具体例となる。また、当該装置としてコンピューターを機能させるプログラムを構成できる。
(d)ソフトウェアで実現可能な手段をハードウェアで実現することができ、ハードウェアで実現可能な手段をソフトウェアで実現することができる。
【符号の説明】
【0054】
10 コンタクトセンターシステム
11 顧客装置
20 ネットワーク機器
30 ゲートウェイ装置
40 呼制御装置
41 情報通信部
42 呼処理部
43 着信呼セキュリティレベル判定部
50 オペレーター環境管理装置
51 情報通信部
52 オペレーターセキュリティレベル判定部
53 オペレーターセキュリティレベル記憶部
60 オペレーター端末
61 情報通信部
62 位置情報取得部
63 映像入力部
64 顔判定部
65 映像内人数判定部
66 音声入力部
67 音声内人数判定部
70 オペレーター環境情報
80 オペレーターセキュリティ情報
90 着信呼セキュリティ情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10