(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022129437
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】地面監視システム、地面監視装置、地面監視方法および地面監視方法のプログラム
(51)【国際特許分類】
H04M 11/00 20060101AFI20220830BHJP
G08C 17/00 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
H04M11/00 301
G08C17/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021028097
(22)【出願日】2021-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山道 昇
【テーマコード(参考)】
2F073
5K201
【Fターム(参考)】
2F073AA01
2F073AA11
2F073AA19
2F073AA40
2F073AB01
2F073AB04
2F073AB05
2F073BB01
2F073BC02
2F073CC03
2F073CC08
2F073CC12
2F073CD11
2F073DD02
2F073DE02
2F073DE06
2F073DE13
2F073EE01
2F073FF01
2F073FG01
2F073FG02
2F073GG01
2F073GG08
5K201BA02
5K201BC27
5K201CC04
5K201CC08
5K201DB02
5K201DC02
5K201DC04
5K201EA07
5K201EB06
5K201EC06
5K201ED09
(57)【要約】
【課題】地面の状況を有効に監視することができる地面監視システムなどを得る。
【解決手段】監視対象となる地面に設置され、設置位置における傾きを検出するセンサーユニット3を有する地面監視システムにおいて、センサーユニット3は、傾きを検出するセンサー部57と、設定された基点および傾きに係る初期値をデータとして記憶する無線側不揮発性記憶部53と、センサー部57と基点との距離および初期値から、センサー部57の変位を算出する処理を行う無線側制御演算処理部51とを備えるものである。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象となる地面に設置され、設置位置における傾きを検出するセンサーユニットを有する地面監視システムにおいて、
前記センサーユニットは、
前記傾きを検出するセンサーと、
設定された基点および前記傾きに係る初期値をデータとして記憶する記憶部と、
前記センサーと前記基点との距離および前記初期値から、前記センサーの変位を算出する処理を行う制御演算処理部と
を備える地面監視システム。
【請求項2】
前記制御演算処理部は、算出した前記変位が規定値以上であるかどうかを判定する処理を行う請求項1に記載の地面監視システム。
【請求項3】
複数の前記センサーユニットが、格子状に設置される請求項1または請求項2に記載の地面監視システム。
【請求項4】
前記センサーユニットは、
前記制御演算処理部の処理結果のデータを無線送信する無線部を備える請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の地面監視システム。
【請求項5】
設置位置における傾きを検出する複数のセンサーに対して、それぞれ設定された基点および前記傾きに係る初期値をデータとして記憶する記憶部と、
前記センサーと前記基点との距離および前記初期値から、複数の前記センサーの変位を算出する処理を行う制御演算処理部と
を備える地面監視装置。
【請求項6】
設置位置における傾きを検出するセンサーを用いて地面を監視する方法であって、
前記センサーが設置位置における傾きを検出して、前記傾きに係る初期値をデータとして記憶部に記憶する工程と、
設定された基点と前記センサーとの距離および前記初期値から、前記センサーの変位を算出する工程と
を有する地面監視方法。
【請求項7】
設置位置における傾きを検出するセンサーを用いて地面を監視する方法のプログラムであって、
前記センサーが設置位置における傾きを検出して、前記傾きに係る初期値をデータとして記憶部に記憶する工程と、
設定された基点と前記センサーとの距離および前記初期値から、前記センサーの変位を算出する工程と
を有する処理を行うことをコンピュータに行わせる地面監視方法のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この技術は、地面監視システム、地面監視装置、地面監視方法および地面監視方法のプログラムに関する。特に、無線端末を利用して信号を送ることで、地表面などの状況を監視するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば、センサーを備えた無線端末装置を利用して、斜面の状況を遠隔の管理装置へ通知し、管理装置が処理などを行い、土砂崩れなどの自然災害の発生を検出する方法がある(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような監視装置は、斜面における傾斜の変化を検出するものである。このため、傾斜の変化だけでなく、監視対象となる地表面の落ち込みなどを監視することができれば、さらによい。
【0005】
そこで、地面の状況を、より有効に監視することができる地面監視システム、地面監視装置、地面監視方法および地面監視方法のプログラムの実現が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため、この開示に係る地面監視システムは、監視対象となる地面に設置され、設置位置における傾きを検出するセンサーユニットを有する地面監視システムにおいて、センサーユニットは、傾きを検出するセンサーと、設定された基点および傾きに係る初期値をデータとして記憶する記憶部と、センサーと基点との距離および初期値から、センサーの変位を算出する処理を行う制御演算処理部とを備えるものである。
【0007】
また、開示に係る地面監視装置は、設置位置における傾きを検出する複数のセンサーに対して、それぞれ設定された基点および傾きに係る初期値をデータとして記憶する記憶部と、センサーと基点との距離および初期値から、複数のセンサーの変位を算出する処理を行う制御演算処理部とを備えるものである。
【0008】
さらに、開示に係る地面監視方法は、設置位置における傾きを検出するセンサーを用いて地面を監視する方法であって、センサーが設置位置における傾きを検出して、傾きに係る初期値をデータとして記憶部に記憶する工程と、設定された基点とセンサーとの距離および初期値から、センサーの変位を算出する工程とを有するものである。
【0009】
そして、開示に係る地面監視方法のプログラムは、設置位置における傾きを検出するセンサーを用いて地面を監視する方法のプログラムであって、センサーが設置位置における傾きを検出して、傾きに係る初期値をデータとして記憶部に記憶する工程と、設定された基点とセンサーとの距離および初期値から、センサーの変位を算出する工程とを有する処理を行うことをコンピュータに行わせるものである。
【発明の効果】
【0010】
この開示によれば、記憶部に記憶された基点などの初期値のデータに基づき、制御演算処理部は、センサーユニットと基点との位置関係からセンサーユニットの変位を算出することができる。したがって、地面監視システムは、地表面の傾きだけでなく、地表面の変動および落ち込みを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1に係る地面監視装置を有する地面監視システム100の構成を示す図である。
【
図2】実施の形態1に係るゲートウェイ装置1の構成を示す図である。
【
図3】実施の形態1に係る基地局2およびセンサーユニット3の内部に関する構成を示す図である。
【
図4】実施の形態1に係る地面監視システム100による地面監視について説明する図である。
【
図5】実施の形態1に係るセンサーユニット3が行う加速度検出に関する処理の手順を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、地面監視装置などに係る実施の形態について、図面を参照しつつ、説明する。ここで、以下の説明に係る図面における図は、概略的に示されるものであり、説明の便宜のため、適宜、構成の省略または構成の簡略化がなされる場合がある。また、図において、同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものであり、以下に記載する実施の形態の全文において共通することとする。また、明細書全文に示されている構成要素の形態は、あくまで例示であってこれらの記載に限定されるものではない。特に構成要素の組み合わせは、各実施の形態における組み合わせのみに限定するものではなく、他の実施の形態に記載した構成要素を別の実施の形態に適宜、適用することができる。また、添字で区別などしている複数の同種の機器などについて、特に区別したり、特定したりする必要がない場合には、添字などを省略して記載する場合がある。
【0013】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る地面監視装置を有する地面監視システム100の構成を示す図である。ここでは、地面監視システム100における通信系のシステムを中心に説明する。地面監視システム100は、マルチホップ無線ネットワークによる通信システムを構成する。
図1において、地面監視システム100は、ゲートウェイ装置(GW装置)1、親機となる無線通信装置である基地局2、子機となる無線通信装置であるセンサーユニット3-1~センサーユニット3-n(nは正の整数)を有する。後述するように、センサーユニット3は、監視対象に係る物理量を検出し、検出に係るデータを含む信号を送る地面監視装置となる。ここで、監視対象は設置位置の地面であり、物理量は、3軸方向の加速度である。
【0014】
地面監視システム100は、基地局2および複数のセンサーユニット3-1~センサーユニット3-nが、電波を用いて、バケツリレー方式に多段中継を行って、データを含む信号を伝送する方式による無線通信(信号の送受信)を行う。この方式によれば、基地局2から直接電波の届かない位置にセンサーユニット3が存在していても、電波の届く位置に他のセンサーユニット3が存在していれば、他のセンサーユニット3を中継して転送し、基地局2と通信を行うことができる。
【0015】
地面監視システム100は、上述した通信方式において、IEEE 802.15.4/ZigBee(ZigBeeは、Koninklijke Philips Electronics NVの登録商標)などを適用した通信を行うことができる。ここで、実施の形態1の地面監視システム100は、たとえば、920MHz帯の無線周波数を使用するものとして説明する。ただし、無線周波数は特に限定するものではない。たとえば、2.4GHz帯、429MHz帯などを使用して無線通信を行ってもよい。920MHz帯は、電波の到達性が良好であり、通信の伝送速度が比較的速く、マルチホップのルーチング制御に適した周波数帯である。
【0016】
基地局2および複数のセンサーユニット3がノードとなって構成される地面監視システム100におけるネットワークトポロジ(以下、「トポロジ」とも呼ぶ。)は、センサーユニット3の実際の配置に関係なく、たとえば、ツリー構造、メッシュ構造などであってもよい。トポロジは、特に限定するものではない。
【0017】
ゲートウェイ装置1は、基地局2と有線で通信接続している。図示はしていないが、他のネットワーク(上位システム)とも通信接続することができる。ゲートウェイ装置1は、基地局2を介して、各センサーユニット3から送られた信号中のセンサー情報に関するデータ(以下、センサー情報データという)を取得する。ここで、センサー情報に関するデータとは、センサーユニット3が物理量の検出処理、物理量に基づく演算処理した処理結果のデータである。ゲートウェイ装置1は、必要に応じて、上位システムにセンサー情報データを含む信号を送る。
【0018】
基地局2は、子機となる無線通信装置としてのセンサーユニット3に対して、親機となる無線通信装置として動作する装置である。基地局2は、複数のセンサーユニット3からセンサー情報データを含む信号が送られる。そして、基地局2は、受信したセンサー情報データを含む信号をゲートウェイ装置1に送る。基地局2は、ゲートウェイ装置1と各センサーユニット3との間で情報交換などを行うために、プロトコルに応じた信号変換処理を行う。
【0019】
ここで、実施の形態1では、ゲートウェイ装置1と基地局2とがそれぞれ物理的に異なる装置であるものとして説明するが、ゲートウェイ装置1が基地局2を搭載するようにしてもよい。
【0020】
センサーユニット3-1~センサーユニット3-nは、親機となる無線通信装置としての基地局2に対して、子機となる通信装置として動作する装置である。実施の形態1のセンサーユニット3は、電池を電源として駆動するものとする。各センサーユニット3は、パケット形式のデータを含む信号を、間欠的(周期的)にマルチホップで無線送信する。センサー情報データを含む信号は、転送などにより、最終的に基地局2に送られる。ここで、実施の形態1では、複数のセンサーユニット3は、監視対象エリアに格子状に配置されるものとする。
【0021】
基地局2と各センサーユニット3とが搭載するマルチホップ無線通信に関する構成は、後述するように、基本的には同じである。基地局2および各センサーユニット3は、電波の受信機能をオフにするスリープ状態と、電波を送受信可能なアクティブ状態とを間欠的に繰り返す。これにより消費電力を低減し、電池の消耗を抑えることができる。また、基地局2および各センサーユニット3は時刻同期している。したがって、信号を送信するセンサーユニット3は、信号を受信するセンサーユニット3がアクティブ状態となるタイミングに合わせて、信号送信する。
【0022】
図2は、実施の形態1に係るゲートウェイ装置1の構成を示す図である。
図2において、ゲートウェイ装置1は、GW側制御演算処理部11、GW側主記憶部12、GW側不揮発性記憶部13、GW側外部出力インターフェース部14、第1通信インターフェース部15および第2通信インターフェース部16を有する。
【0023】
GW側制御演算処理部11は、CPU(Central Prosessing Unit)などの演算処理装置を有する。GW側制御演算処理部11は、GW側主記憶部12に格納されている処理プログラムに基づいて、ゲートウェイ装置1の各種機能に関する演算処理を行う。
【0024】
GW側主記憶部12は、たとえば、RAM(Random Access Memory)などの記憶装置を有し、GW側制御演算処理部11が実行する処理プログラムなどを記憶する。また、GW側不揮発性記憶部13は、たとえば、フラッシュメモリに代表されるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などを有する。GW側不揮発性記憶部13は、BOOT(起動プログラム)、各種プログラムのバックアップなどのデータを記憶する装置である。
【0025】
GW側外部出力インターフェース部14は、外部出力を行う際に、外部装置と接続するインターフェースである。GW側外部出力インターフェース部14は、たとえば、シリアルポートなどである。
【0026】
第1通信インターフェース部15は、基地局2と有線接続する通信インターフェースである。第1通信インターフェース部15は、たとえば、USBケーブルを通じて基地局2と接続するUSBインターフェースなどである。
【0027】
第2通信インターフェース部16は、たとえば、デバッグなどが生じたときなどに、他のコンピュータなどと通信接続する際に使用されるインターフェースである。
【0028】
図3は、実施の形態1に係る基地局2およびセンサーユニット3の内部に関する構成を示す図である。基地局2とセンサーユニット3は、無線側制御演算処理部51、無線側主記憶部52、無線側不揮発性記憶部53、無線側外部出力インターフェース部54、無線側通信インターフェース部55、無線部56、センサー部57、スイッチ部58およびLED表示部59を有する。
【0029】
無線側制御演算処理部51は、GW側制御演算処理部11と同様に、CPUなどの演算処理装置を有する。無線側制御演算処理部51は、無線側主記憶部52が記憶する処理プログラムに基づいて、基地局2または各センサーユニット3の各種機能に関する演算処理を行う。実施の形態1の無線側制御演算処理部51は、センサー部57が検出した3軸方向の加速度に基づき、センサーユニット3が設置された位置における振動またはセンサーユニット3の変位を算出する。また、あらかじめ設定された規定値以上の衝撃または変位があったかどうかを判定する。そして、無線側制御演算処理部51は、算出、判定などに基づくセンサー情報のデータを含む信号を基地局2に向けて無線通信する処理を行う。
【0030】
無線側主記憶部52は、GW側主記憶部12と同様に、RAMなどの記憶装置を有する。無線側主記憶部52は、無線側制御演算処理部51が、地表面の変位などの算出に係るデータ、通信処理を行う際の経路情報に関するデータなどを一時的に有する。無線側不揮発性記憶部53は、GW側不揮発性記憶部13と同様に、EEPROMなどを有する。特に、実施の形態1における無線側不揮発性記憶部53は、センサーユニット3の傾きならびに基点および基点からの距離などの初期状態に関する初期値をデータとして記憶する。ここで、基点は、センサーユニット3との距離および位置関係を定める基準となる点である。基点は、各センサーユニット3で少なくとも1点が定められる。センサーユニット3と対応する基点との間の距離は、各センサーユニット3で同じ距離である。
【0031】
無線側外部出力インターフェース部54は、外部出力を行う際に、外部装置と接続するインターフェースである。無線側外部出力インターフェース部54は、たとえば、シリアルポートなどである。
【0032】
無線側通信インターフェース部55は、他の装置と有線で通信接続する通信インターフェースである。実施の形態1では、ゲートウェイ装置1と通信接続を行うために、基地局2が無線側通信インターフェース部55を使用する。このため、センサーユニット3では、無線側通信インターフェース部55がなくてもよい。
【0033】
無線部56は、無線側制御演算処理部51の制御に基づいて、センサー情報データを含む信号を作成し、電波に重畳させて無線送信する。また、無線部56は、捕捉した電波を変調して信号を受信する。ここで、無線部56は、センサー情報データ以外に、あらかじめ定められた設定(プロトコル)に則った送信元、送信先を示すヘッダーなどのデータをセンサー情報データに付加して、送信(転送)を行う。
【0034】
センサー部57は、たとえば、物理量を検出する検出素子などを有する装置である。センサー部57の種類については、センシングする目的、監視などの対象に応じて様々なものを適用することができるが、実施の形態1におけるセンサー部57は、加速度センサーである。加速度センサーは、たとえば、重力方向の検出に基づき、監視対象となる設置位置における地面の傾きを検出することができる。また、衝撃、落ち込みなどによる監視対象の移動、速度および変位を検出することができる。ここで、基地局2は、センサー部57を有してもよいし、ゲートウェイ装置1との通信だけの装置としてもよい。
【0035】
スイッチ部58は、電源のオンまたはオフの切り替えるスイッチを有する。また、スイッチ部58は、地面監視システム100において、基地局2および各センサーユニット3に固有の番号を設定するスイッチを有する。
【0036】
LED表示部59は、たとえば、発光ダイオード素子(LED)を有し、電源のオンまたはオフなどに関する発光表示を行う。ここでは、LEDを発光素子とするが、これに限定するものではない。
【0037】
基地局2および各センサーユニット3は、所定のルーティングプロトコルにより、基地局2および各センサーユニット3のIDや、基地局2までのホップ数や、基地局2までの経路情報などを有する。ルーティングプロトコルは、様々なプロトコルを広く適用することができる。たとえば、AODV(Ad Hoc On Demand Distance Vector Algorizm)、DSR(Dynamic Source Routing Protocol)、OLSR(Optimized Link State Routing Protocol)などを適用することができる。
【0038】
図4は、実施の形態1に係る地面監視システム100による地面監視について説明する図である。
図4(a)に示すように、実施の形態1においては、監視対象エリアの地表面に、格子状になるようにセンサーユニット3を設置する。特に限定するものではないが、ここでは、
図4(b)に示すように、格子状のワイヤなどを地表面に設置し、格子間の渡りとなる部分に、センサーユニット3を設置する。そして、各センサーユニット3の直近の位置にあるワイヤなどの格子点を基点とする。
【0039】
センサーユニット3に衝撃などが加わって振動すると、加速度が生じる。センサー部57は、生じた加速度を検出することができる。また、地表面が変位することでセンサーユニット3の位置が変わると、重力に対するセンサーユニット3の傾きが初期値から変化する。また、
図4(c)に示すように、センサーユニット3と基点とを結ぶ線分についても、初期状態との関係で傾きが発生する。ここで、地表面(センサーユニット3)の変位をbとする。また、センサーユニット3(センサー部57)と基点との距離をaとする。このとき、センサーユニット3と基点とを結ぶ線分について、初期状態における傾きとの角度差をθとすると、
図4(d)に示すように、θ=tan
-1(b/a)である。このため、変位bは、b=a・tanθとして算出することができる。
【0040】
たとえば、センサーユニット3と基点との距離が5000mmおよび初期値における傾きとの角度差が0.0572939度のとき、変位は5mmとなる。また、初期値における傾きとの角度差が0.572939度のとき、変位は50mmとなる。
【0041】
図5は、実施の形態1に係るセンサーユニット3が行う加速度検出に関する処理の手順を説明する図である。ここでは、無線側制御演算処理部51が主となる工程を行うものとして説明する。実施の形態1に係る地面監視システム100は、監視対象エリア内に格子状に設置された各センサーユニット3が、設置された位置において、一定以上の振動または傾斜角度の変化を検出すると、3軸に係る加速度データを含む信号を基地局2に送るものである。ここで、設置作業者は、センサーユニット3を監視対象エリアに格子状に配置する際、センサーユニット3が有するスイッチ部58の個体識別スイッチを操作し、センサーユニット3ごとにユニークなセンサーIDを設定する。
【0042】
センサーユニット3の電源がオンされると、センサーユニット3の無線側制御演算処理部51は、起動処理を行い、無線側不揮発性記憶部53に記憶された初期値のデータおよび設定されたセンサーIDを読み出す(ステップS01)。無線側制御演算処理部51は、起動処理が成功したかどうかを判定する(ステップS02)。無線側制御演算処理部51は、起動処理が成功していない(失敗した)と判定すると、LED表示部59に赤色の点滅を行わせる(ステップS03)。一方、無線側制御演算処理部51は、起動処理が成功したと判定すると、LED表示部59に、0.5秒間隔で緑色の点滅を行わせる(ステップS04)。そして、無線側制御演算処理部51は、監視作業開始待ち状態に移行する(ステップS05)。
【0043】
監視対象エリアの監視を開始する際、ゲートウェイ装置1は、監視を指示する監視開始信号を基地局2から送信させる。無線側制御演算処理部51は、監視開始指示の信号を受信したかどうかを判定する(ステップS06)。無線側制御演算処理部51は、監視開始指示の信号を受信したと判定すると、センサー部57が検出した加速度を、初期値の加速度データとして、無線側不揮発性記憶部53に記憶させる(ステップS07)。そして、無線側制御演算処理部51は、LED表示部59に、たとえば、2秒間、監視開始状態の旨を点滅表示させる(ステップS08)。
【0044】
その後、無線側制御演算処理部51は、センサー部57が検出する加速度および無線側不揮発性記憶部53に記憶された初期値のデータに基づいて、加速度に基づく振動および変位などを算出する(ステップS09)。さらに、地震などのような強い衝撃による規定値以上の加速度またはあらかじめ規定された規定値以上の変位を検出したかどうかを判定する(ステップS10)。無線側制御演算処理部51は、規定値以上の加速度または変位を検出したと判定すると、加速度データを含む信号を送信させる(ステップS11)。また、無線側制御演算処理部51は、センサー部57からの検出異常、温度異常などのユニット異常が発生したかどうかを判定する(ステップS12)。無線側制御演算処理部51は、ユニット異常が発生していないと判定すると、無線側制御演算処理部51は、n秒が経過したかどうかを判定する(ステップS13)。無線側制御演算処理部51は、n秒が経過したと判定すると、ステップS09に戻って、再度加速度に基づく算出および判定を行う。このため、無線側制御演算処理部51は、n秒間隔で加速度に基づく算出および判定を行うことになる。
【0045】
一方、ステップS11において、無線側制御演算処理部51は、ユニット異常が発生したと判定すると、ユニットの異常の旨を示す信号を送信させ(ステップS14)、処理を終了する。
【0046】
以上のように、実施の形態1の地面監視システム100によれば、加速度センサーとなるセンサー部57を有する複数のセンサーユニット3を、監視対象エリアに格子状に設置する。各センサーユニット3には、それぞれ基点が、同じ距離(等間隔)で設定され、初期値のデータとして無線側不揮発性記憶部53に記憶される。このため、センサーユニット3の無線側制御演算処理部51は、センサーユニット3と基点との位置関係からセンサーユニット3の変位を算出することができる。したがって、実施の形態1の地面監視システム100は、地表面の傾きだけでなく、地表面の変動および落ち込みを検出することができる。
【0047】
実施の形態2.
上述の実施の形態1では、各センサーユニット3の無線側制御演算処理部51が変位の算出および規定値との比較を行うようにしたが、これに限定するものではない。たとえば、基地局2またはゲートウェイ装置1が地面監視装置となり、センサーユニット3から送られた3軸方向の加速度のデータに基づき、そのセンサーユニット3の変位の算出および規定値との比較を行ってもよい。また、センサーユニット3が変位の算出を行い、基地局2またはゲートウェイ装置1が、既定値との比較を行うようにしてもよい。
【0048】
上述の実施の形態1では、各センサーユニット3の基点を格子点としたが、これに限定するものではない。たとえば、等間隔で配置された隣のセンサーユニット3の位置を基点としてもよい。隣のセンサーユニット3の間で通信することで、基点を含む初期値のデータを共有することができる。
【0049】
上述の実施の形態1では特に説明しなかったが、センサーユニット3は格子状に並んでいるため、複数の基点を有するようにし、各基点との関係で変位を算出してもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 ゲートウェイ装置
2 基地局
3、3-1~3-n センサーユニット
11 GW側制御演算処理部
12 GW側主記憶部
13 GW側不揮発性記憶部
14 GW側外部出力インターフェース部
15 第1通信インターフェース部
16 第2通信インターフェース部
51 無線側制御演算処理部
52 無線側主記憶部
53 無線側不揮発性記憶部
54 無線側外部出力インターフェース部
55 無線側通信インターフェース部
56 無線部
57 センサー部
58 スイッチ部
59 LED表示部
100 地面監視システム