(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022129443
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】処理装置、処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04M 3/42 20060101AFI20220830BHJP
【FI】
H04M3/42 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021028103
(22)【出願日】2021-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129067
【弁理士】
【氏名又は名称】町田 能章
(74)【代理人】
【識別番号】100183162
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 義文
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】日吉 治匡
【テーマコード(参考)】
5K201
【Fターム(参考)】
5K201AA01
5K201BA11
5K201CA02
5K201CA09
5K201CC07
5K201DC02
5K201EA05
5K201EC06
5K201FA02
(57)【要約】
【課題】IPベースの通話が行われるコンタクトセンタ業務の作業効率を向上させる。
【解決手段】サーバ20は、通信測定部21と、判定部23を備える。通信測定部21は、VoIPによる通話を行うオペレータ端末31における音声品質を測定する。判定部23は、通信測定部21が測定した音声品質を判定し、音声品質が悪かった場合、対象のオペレータ31に対して所定の自動制御を実行する。自動制御は、例えば、対象音声の音声コーデックのレベルを下げること、対象のオペレータ端末31の対象外にすること、チャット対応不可な環境である場合には、音声通話からチャット対応に切り替えることがある。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1オペレータ装置における通信品質の測定を行い、第1測定結果の情報を出力する第1処理部と、
前記第1測定結果の情報が、第1閾値情報を満たさないならば、前記第1オペレータ装置で用いられるコーデックの情報を第1コーデックから、第1コーデックよりもビットレートが小さい第2コーデックに変更する第2処理部を備えることを特徴とする処理装置。
【請求項2】
第1オペレータ装置における通信品質の測定を行い、第1測定結果の情報を出力する第1処理部と、
前記第1測定結果の情報が、第2閾値情報を満たさない場合において、前記第1オペレータ装置がチャット対応可能な環境にあるとき、前記第1オペレータ装置の通信で用いられるメディア情報を音声からチャットに切り替える第2処理部を備えることを特徴とする処理装置。
【請求項3】
第1オペレータ装置における通信品質の測定を行い、第1測定結果の情報を出力する第1処理部と、
前記第1測定結果の情報が、第2閾値情報を満たさない場合において、前記第1オペレータ装置がチャット対応不可な環境にあるとき、前記第1オペレータ装置を着信の対象外とする第2処理部を備えることを特徴とする処理装置。
【請求項4】
第1オペレータ装置における通信品質の測定を行い、第1測定結果の情報を出力する第1処理部と、
前記第1測定結果の情報が、第3閾値情報を満たさないならば、IPネットワークのネットワーク装置に対して通信ルートの変更をする、または、QoSの設定を変更する第2処理部を備えることを特徴とする処理装置。
【請求項5】
処理装置が、
第1オペレータ装置における通信品質の測定を行い、第1測定結果の情報を出力する第1ステップと、
前記第1測定結果の情報が、第1閾値情報を満たさないならば、前記第1オペレータ装置で用いられるコーデックの情報を第1コーデックから、第1コーデックよりもビットレートが小さい第2コーデックに変更する第2ステップを実行する処理方法。
【請求項6】
処理装置が、
第1オペレータ装置における通信品質の測定を行い、第1測定結果の情報を出力する第1ステップと、
前記第1測定結果の情報が、第2閾値情報を満たさない場合において、前記第1オペレータ装置がチャット対応可能な環境にあるとき、前記第1オペレータ装置の通信で用いられるメディア情報を音声からチャットに切り替える第2ステップを実行する処理方法。
【請求項7】
処理装置が、
第1オペレータ装置における通信品質の測定を行い、第1測定結果の情報を出力する第1ステップと、
前記第1測定結果の情報が、第2閾値情報を満たさない場合において、前記第1オペレータ装置がチャット対応不可な環境にあるとき、前記第1オペレータ装置を着信の対象外とする第2ステップを備えることを実行する処理方法。
【請求項8】
処理装置が、
第1オペレータ装置における通信品質の測定を行い、第1測定結果の情報を出力する第1ステップと、
前記第1測定結果の情報が、第3閾値情報を満たさないならば、IPネットワークのネットワーク装置に対して通信ルートの変更をする、または、QoSの設定を変更する第2ステップを備えることを実行する処理方法。
【請求項9】
処理装置としてのコンピュータを、
第1オペレータ装置における通信品質の測定を行い、第1測定結果の情報を出力する第1処理部、
前記第1測定結果の情報が、第1閾値情報を満たさないならば、前記第1オペレータ装置で用いられるコーデックの情報を第1コーデックから、第1コーデックよりもビットレートが小さい第2コーデックに変更する第2処理部、として機能させるためのプログラム。
【請求項10】
処理装置としてのコンピュータを、
第1オペレータ装置における通信品質の測定を行い、第1測定結果の情報を出力する第1処理部、
前記第1測定結果の情報が、第2閾値情報を満たさない場合において、前記第1オペレータ装置がチャット対応可能な環境にあるとき、前記第1オペレータ装置の通信で用いられるメディア情報を音声からチャットに切り替える第2処理部、として機能させるためのプログラム。
【請求項11】
処理装置としてのコンピュータを、
第1オペレータ装置における通信品質の測定を行い、第1測定結果の情報を出力する第1処理部、
前記第1測定結果の情報が、第2閾値情報を満たさない場合において、前記第1オペレータ装置がチャット対応不可な環境にあるとき、前記第1オペレータ装置を着信の対象外とする第2処理部、として機能させるためのプログラム。
【請求項12】
処理装置としてのコンピュータを、
第1オペレータ装置における通信品質の測定を行い、第1測定結果の情報を出力する第1処理部、
前記第1測定結果の情報が、第3閾値情報を満たさないならば、IPネットワークのネットワーク装置に対して通信ルートの変更をする、または、QoSの設定を変更する第2処理部、として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置、処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
PBX(Private Branch eXchange)やコールセンタシステムで利用されるVoIP(Voice over Internet Protocol)等のIPベースの通話における音声品質は、ネットワーク機器や通信サービスに依存する。このため、ネットワーク機器や通信サービスの制御が困難である回線については、音声パケットの遅延や途切れ等が多く発生していた。しかし、従来では、たとえ音声品質が悪くても、コールセンターのACD(Automatic Call Distribution)などに従い、決まったオペレータに呼接続する運用が行われていた。このため、コンタクトセンタ業務の作業効率が低減していた。特許文献1には、クライアント端末装置側で音声転送パケットのデコードおよびエンコードを行うことで、通話時のIPテレフォニーサーバの負荷を軽減できるコールセンタシステムについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の発明によれば、結果的に、音声品質の悪い呼をオペレータに接続する可能性が残り、オペレータの業務に支障をきたすおそれがあった。
【0005】
上記事情に鑑みて、本発明は、IPベースの通話が行われるコンタクトセンタ業務の作業効率を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、第1オペレータ装置における通信品質の測定を行い、第1測定結果の情報を出力する第1処理部と、前記第1測定結果の情報が、第1閾値情報を満たさないならば、前記第1オペレータ装置で用いられるコーデックの情報を第1コーデックから、第1コーデックよりもビットレートが小さい第2コーデックに変更する第2処理部を備えることを特徴とする処理装置である。
【0007】
また、本発明は、第1オペレータ装置における通信品質の測定を行い、第1測定結果の情報を出力する第1処理部と、前記第1測定結果の情報が、第2閾値情報を満たさない場合において、前記第1オペレータ装置がチャット対応可能な環境にあるとき、前記第1オペレータ装置の通信で用いられるメディア情報を音声からチャットに切り替える第2処理部を備えることを特徴とする処理装置である。
【0008】
また、本発明は、第1オペレータ装置における通信品質の測定を行い、第1測定結果の情報を出力する第1処理部と、前記第1測定結果の情報が、第2閾値情報を満たさない場合において、前記第1オペレータ装置がチャット対応不可な環境にあるとき、前記第1オペレータ装置を着信の対象外とする第2処理部を備えることを特徴とする処理装置である。
【0009】
また、本発明は、1オペレータ装置における通信品質の測定を行い、第1測定結果の情報を出力する第1処理部と、前記第1測定結果の情報が、第3閾値情報を満たさないならば、IPネットワークのネットワーク装置に対して通信ルートの変更をする、または、QoSの設定を変更する第2処理部を備えることを特徴とする処理装置である。
【0010】
また、本発明は、処理装置が、第1オペレータ装置における通信品質の測定を行い、第1測定結果の情報を出力する第1ステップと、前記第1測定結果の情報が、第1閾値情報を満たさないならば、前記第1オペレータ装置で用いられるコーデックの情報を第1コーデックから、第1コーデックよりもビットレートが小さい第2コーデックに変更する第2ステップを実行する処理方法である。
【0011】
また、本発明は、処理装置が、第1オペレータ装置における通信品質の測定を行い、第1測定結果の情報を出力する第1ステップと、前記第1測定結果の情報が、第2閾値情報を満たさない場合において、前記第1オペレータ装置がチャット対応可能な環境にあるとき、前記第1オペレータ装置の通信で用いられるメディア情報を音声からチャットに切り替える第2ステップを実行する処理方法である。
【0012】
また、本発明は、処理装置が、第1オペレータ装置における通信品質の測定を行い、第1測定結果の情報を出力する第1ステップと、前記第1測定結果の情報が、第2閾値情報を満たさない場合において、前記第1オペレータ装置がチャット対応不可な環境にあるとき、前記第1オペレータ装置を着信の対象外とする第2ステップを備えることを実行する処理方法である。
【0013】
また、本発明は、処理装置が、第1オペレータ装置における通信品質の測定を行い、第1測定結果の情報を出力する第1ステップと、前記第1測定結果の情報が、第3閾値情報を満たさないならば、IPネットワークのネットワーク装置に対して通信ルートの変更をする、または、QoSの設定を変更する第2ステップを備えることを実行する処理方法である。
【0014】
また、本発明は、処理装置としてのコンピュータを、第1オペレータ装置における通信品質の測定を行い、第1測定結果の情報を出力する第1処理部、前記第1測定結果の情報が、第1閾値情報を満たさないならば、前記第1オペレータ装置で用いられるコーデックの情報を第1コーデックから、第1コーデックよりもビットレートが小さい第2コーデックに変更する第2処理部、として機能させるためのプログラムである。
【0015】
また、本発明は、処理装置としてのコンピュータを、
第1オペレータ装置における通信品質の測定を行い、第1測定結果の情報を出力する第1処理部、前記第1測定結果の情報が、第2閾値情報を満たさない場合において、前記第1オペレータ装置がチャット対応可能な環境にあるとき、前記第1オペレータ装置の通信で用いられるメディア情報を音声からチャットに切り替える第2処理部、として機能させるためのプログラムである。
【0016】
また、本発明は、処理装置としてのコンピュータを、第1オペレータ装置における通信品質の測定を行い、第1測定結果の情報を出力する第1処理部、前記第1測定結果の情報が、第2閾値情報を満たさない場合において、前記第1オペレータ装置がチャット対応不可な環境にあるとき、前記第1オペレータ装置を着信の対象外とする第2処理部、として機能させるためのプログラムである。
【0017】
また、本発明は、処理装置としてのコンピュータを、第1オペレータ装置における通信品質の測定を行い、第1測定結果の情報を出力する第1処理部、前記第1測定結果の情報が、第3閾値情報を満たさないならば、IPネットワークのネットワーク装置に対して通信ルートの変更をする、または、QoSの設定を変更する第2処理部、として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、IPベースの音声通話が行われるコンタクトセンタ業務の作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1実施形態のコンタクトセンタシステムの機能構成図である。
【
図2】第1実施形態のサーバの処理を示すフローチャートである。
【
図3】第2実施形態のコンタクトセンタシステムの機能構成図である。
【
図4】第2実施形態のサーバの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[概要]
本実施形態のコンタクトセンタシステムは、IPベースの音声通話においてサーバと端末間の音声品質の測定を行い、測定結果を基に音声品質を確保するための自動制御や、音声品質の悪い端末には着信させない判断を自動的に行う。より詳細には、コンタクトセンタシステムは、音声品質が確保できないと判断した場合に、帯域の少ないコーデックに自動で変更したり、対象の端末を除外したり、チャットなどのテキスト対応に切り替えたりする。このように、電話およびチャットを統合した業務の効率化を図る。
【0021】
[第1実施形態]
<構成>
図1に示すように、本実施形態のコンタクトセンタシステム100は、コンタクトセンタ業務を運用するシステムである。コンタクトセンタシステム100は、回線収容装置10と、サーバ20と、管理者端末32とを備えている。また、コンタクトセンタシステム100に対し、複数台のオペレータ端末31が用意されている。
なお、サーバ20は、特許請求の範囲の「処理装置」の具体例である。
また、オペレータ端末31は、特許請求の範囲の「第1オペレータ装置」の具体例である。
【0022】
回線収容装置10と、サーバ20と、オペレータ端末31と、管理者端末32は、CPU(Central Processing unit)と、メモリと、ハードディスクなどの記憶手段(記億部、記憶装置)と、ネットワークインタフェースとを有するコンピュータとして構成される。このコンピュータは、CPUが、メモリ上に読み込んだプログラムを実行することにより、各種機能が実現される。
【0023】
回線収容装置10は、公衆回線網41を経由する回線をVoIPに変換する装置である。公衆回線網41は、例えば、PSTN(Public Switched Telephone Network)とすることができるが、これに限定されない。
【0024】
なお、公衆回線網41に通信可能に接続している顧客装置(図示せず)は、回線収容装置10により、IPネットワーク42に通信可能に接続できる。また、オペレータ端末31は、IPネットワーク42に通信可能に接続している。よって、顧客装置は、IPネットワーク42を介してオペレータ端末31に通信可能に接続でき、顧客装置を用いる顧客と、オペレータ端末31のオペレータは通話またはチャットのやり取りができる。また、サーバ20と、管理者端末32は、IPネットワーク42に通信可能に接続している。サーバ20と、オペレータ端末31と、管理者端末32は、IPネットワーク42を介して通信可能に接続している。
【0025】
サーバ20は、VoIPの通信を制御する装置である。サーバ20は、ACDによる呼接続を制御できる。サーバ20は、通信測定部21と、データベース22と、判定部23と、通知部24を備えている。
【0026】
通信測定部21は、VoIPによる通話を行うオペレータ端末31における音声品質を測定する。より詳細には、通信測定部21は、回線収容装置10とオペレータ端末31との間の音声品質を測定したり、サーバ20とオペレータ端末31との間の音声品質を測定したりできる。音声品質の測定方法は、例えば、パケットの遅延時間の測定や、パケット損失量の測定など周知のものでよく、詳細な説明は省略する。
データベース22は、通信測定部21の測定結果を蓄積する。
【0027】
判定部23は、通信測定部21が測定した音声品質を判定し、音声品質が悪かった場合、対象のオペレータ31に対して所定の自動制御を実行する。自動制御の詳細は後記する。
通知部24は、通信測定部21による測定の測定結果、および、判定部23が実行した自動制御の自動制御結果を、オペレータ端末31および管理者端末32にアラーム通知する。
【0028】
なお、通信測定部21は、特許請求の範囲の「第1処理部」の具体例である。
また、通信測定部21が測定した音声品質の測定値は、特許請求の範囲の「第1測定結果の情報」の具体例である。
また、判定部23は、特許請求の範囲の「第2処理部」の具体例である。
【0029】
オペレータ端末31は、コンタクトセンタ業務を行うオペレータが用いる端末である。オペレータ端末31は、IPベースの通話およびチャットを行うことができる。オペレータ端末31は、例えば、電話機、PCとすることができる。オペレータは、電話機またはPCのソフトフォンによる通話、および、PCよるチャットにより顧客対応を行うことができる。
【0030】
管理者端末32は、コンタクトセンタ業務の運用を監視する管理者が用いる端末である。管理者端末32は、所定の運用状況監視ツール(図示せず)を備えており、顧客とオペレータとの通話またはチャットを監視できる。また、管理者端末32の管理者は、通知部24から通知された測定結果および自動制御結果について運用変更を検討できる。
【0031】
<自動制御の具体例>
判定部23が実行する自動制御の自動制御例(1)~(3)は、以下の通りである。
自動制御例(1):通信測定部21が測定した、音声品質を示す測定値が第1閾値以下であった場合、対象音声の音声コーデックのレベルを下げる(音声品質自動変更処理)。具体的には、固定電話網内の音声信号の伝送などに広く用いられるG.711による音声コーデック(ビットレート:64kbps)を、VoIPなどに広く用いられているG.729による音声コーデック(ビットレート:8kbps)に変更することができるが、変更方法は、これに限定されない。
なお、第1閾値は、特許請求の範囲の「第1閾値情報」の具体例である。
また、対象音声の音声コーデックは、特許請求の範囲の「第1オペレータ装置で用いられるコーデックの情報」の具体例である。
また、G.711による音声コーデックは、特許請求の範囲の「第1コーデック」の具体例である。
また、G.729による音声コーデックは、特許請求の範囲の「第2コーデック」の具体例である。
【0032】
自動制御例(2):通信測定部21が測定した、音声品質を示す測定値が第2閾値以下であった場合、通話対象のオペレータ端末31がチャット対応不可な環境にあるときは、当該オペレータ端末31を着信の対象外とする(ACDの対象からの自動除外処理)。第2閾値は第1閾値よりも大きくてもよいし、小さくてもよいが、小さいほうが好ましい。ここで、チャット対応不可な環境とは、例えば、サーバ20がオペレータ端末31に対し、チャットによる返信要求用のテキストを送信しても、オペレータ端末31からの返信のチャットが所定期間無かったこと、とすることができる。また、チャット対応不可な環境とは、オペレータ端末31がチャット用のアプリケーションをインストールしていないこととすることができ、サーバ20は、各オペレータ端末31がチャット用のアプリケーションをインストールしているか否かを把握している。しかし、チャット対応不可な環境に関する判定は、これらに限定されない。判定部23は、オペレータ端末31がチャット対応不可な環境にあるか否かをリアルタイムで判定できる。
なお、第2閾値は、特許請求の範囲の「第2閾値情報」の具体例である。
【0033】
自動制御例(3):通信測定部21が測定した、音声品質を示す測定値が第2閾値以下であった場合、通話対象のオペレータ端末31がチャット対応可能な環境にあるときは、当該オペレータ端末31による顧客対応を音声からチャットに切り替える。つまり、判定部23は、当該オペレータ端末31を音声通話による顧客対応は不可であり、チャットによる顧客対応は可能である端末として扱う。サーバ20は、顧客装置からのチャットによる呼を、チャット対応のみ可能なオペレータ端末31に分配できる(音声-チャット統合環境の運用最適化)。
なお、顧客対応の音声通話およびチャットは、特許請求の範囲の「第1オペレータ装置の通信で用いられるメディア情報」の具体例である。
【0034】
<処理>
図2を参照して、サーバ20の処理について説明する。
まず、通信測定部21が、利用中のオペレータ端末31における音声品質を測定する(ステップS01)。次に、判定部23が、測定された音声品質を判定する(ステップS02)。測定値が第1閾値より大きい場合(ステップS03でYes)、通知部24は、通信測定部21による測定の測定結果、および、判定部23の自動制御無しという自動制御結果を、オペレータ端末31および管理者端末32に通知し(ステップS04)、
図2の処理全体を終了する。
【0035】
一方、測定値が第2閾値より大きくかつ第1閾値以下であった場合(ステップS03でNo→ステップS05でYes)、判定部23は、対象音声の音声コーデックのレベルを下げる(ステップS06)。その後、通知部24は、通信測定部21による測定の測定結果、および、判定部23が実行した自動制御の自動制御結果を、オペレータ端末31および管理者端末32に通知し(ステップS04)、
図2の処理全体を終了する。
【0036】
また、測定値が第2閾値以下であった場合(ステップS05でNo)、判定部23は、対象のオペレータ端末31が、チャット対応可能な環境にあるか否か判定する(ステップS07)。チャット対応不可な環境にある場合(ステップS07でNo)、判定部23は、対象のオペレータ端末31を着信の対象外とする(ステップS08)。その後、通知部24は、通信測定部21による測定の測定結果、および、判定部23が実行した自動制御の自動制御結果を、オペレータ端末31および管理者端末32に通知し(ステップS04)、
図2の処理全体を終了する。
【0037】
一方、チャット対応可能な環境にある場合(ステップS07でYes)、判定部23は、対象のオペレータ端末31の顧客対応を、音声からチャットに切り替える(ステップS09)。その後、通知部24は、通信測定部21による測定の測定結果、および、判定部23が実行した自動制御の自動制御結果を、オペレータ端末31および管理者端末32に通知し(ステップS04)、
図2の処理全体を終了する。
【0038】
第1実施形態によれば、音声品質の悪いオペレータ端末については、音声品質を下げて(ビットレートを下げて)通話を継続する、チャットの顧客対応に切り替える、または、着信の対象外にするといった自動制御を行うことにより、音声の遅延や途切れを最小限にすることができる。したがって、IPベースの音声通話が行われるコンタクトセンタ業務の作業効率を向上させることができる。
また、自動制御結果を管理者に通知することで、運用の見直しができる。自動制御結果をオペレータにも通知するとことでオペレータにおいても音声品質の改善につなげることができる。
また、音声品質の測定結果を統計情報として残しておくことで、通話呼の統計情報と合わせてオペレータの通信環境の分析などもできるようになる。
【0039】
[第2実施形態]
第2実施形態の説明の際、第1実施形態との相違点を主に説明し、重複する点の説明は省略する。
図3に示すように、第2実施形態のコンタクトセンタシステム200は、第1実施形態のコンタクトセンタシステム100と比較して、ネットワーク装置11をさらに備えている。
なお、ネットワーク装置11は、特許請求の範囲の「IPネットワークのネットワーク装置」の具体例である。
【0040】
ネットワーク装置11は、IPネットワーク42を介してやり取りされるパケットを中継する中継装置である。ネットワーク装置11は、回線収容装置10と、サーバ20と、オペレータ端末31と、管理者端末32と通信可能に接続されている。ネットワーク装置11は、IPネットワーク42内に含まれていてもよい、つまり、回線収容装置10と、サーバ20と、オペレータ端末31と、管理者端末32は、IPネットワーク42内に含まれている中継装置と通信可能に接続されている。
【0041】
サーバ20は、第1実施形態と比較して、ネットワーク制御部25をさらに備えている。ネットワーク制御部25は、ネットワーク装置11に対し、パケットの通信ルートを変更したり、QoS(Quality of Service)の設定を変更したりする。また、ネットワーク制御部25は、IPネットワーク42内に含まれている中継装置に対し、パケットの通信ルートを変更したり、QoS(Quality of Service)の設定を変更したりできる。
なお、ネットワーク制御部25は、特許請求の範囲の「第2処理部」の具体例である。
【0042】
<自動制御の具体例>
判定部23が実行する自動制御として、自動制御例(4)が追加される。
自動制御例(4):通信測定部21が測定した、音声品質を示す測定値が第3閾値以下であった場合、ネットワーク制御部25は、ネットワーク装置11に対し、音声パケットの通信ルートを変更したり、QoSの設定を変更したりなどのネットワーク制御をする。このネットワーク制御は、音声品質の向上に資するものである。第3閾値は、第1,第2閾値よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。第2実施形態では、第3閾値は、第1,第2閾値よりも大きいとする。
なお、第3閾値は、特許請求の範囲の「第3閾値情報」の具体例である。
【0043】
<処理>
図4を参照して、サーバ20の処理について説明する。
図4の処理は、
図2の処理と比較して、ステップS10、ステップS11が追加されている。ステップS10は、ステップS03の後に実行される。つまり、測定値が第3閾値より大きい場合(ステップS10でYes)、通知部24は、通信測定部21による測定の測定結果、および、判定部23の自動制御無しという自動制御結果を、オペレータ端末31および管理者端末32に通知し(ステップS04)、
図4の処理全体を終了する。
【0044】
一方、測定値が第1閾値より大きくかつ第3閾値以下であった場合(ステップS10でNo)、ネットワーク制御部25は、ネットワーク装置11に対しネットワーク制御をする(ステップS11)。その後、通知部24は、通信測定部21による測定の測定結果、および、ネットワーク制御部25が実行した自動制御の自動制御結果を、オペレータ端末31および管理者端末32に通知し(ステップS04)、
図4の処理全体を終了する。その他の処理は、
図2の処理と同様である。
【0045】
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。また、通信品質の悪いと判断されたオペレータ端末に対して、ネットワーク装置の制御を自動で行うことにより、通信ルートやQoSの最適化がなされ、音声品質を確保できる。
【0046】
<変形例>
(a)音声品質の測定を継続することで、在宅勤務等のテレワークでインターネット回線を使用したコンタクトセンタ業務においても音声品質を確保した運用が可能となる。つまり、本発明は、在宅のオペレータが用いるオペレータ端末31とIPネットワーク42とを通信可能に接続するインターネット網が存在するネットワーク構成に対しても適用できる。
(b)通信測定部21は、オペレータ端末31における音声品質に限らず、IPネットワーク42を経由する他のメディア媒体(例:テキスト、静止画、動画)の品質を測定することもできる。つまり、通信測定部21は、オペレータ端末31における通信品質を測定できる。
(c)第1実施形態で採り上げた自動制御例(1)~(3)の各々、および、第2実施形態で採り上げた自動制御例(4)の少なくとも何れかを組み合わせた自動制御を行ってもよい。
(d)第2実施形態において、回線収容装置10は、IPネットワーク42と通信可能に接続していてもよい。
(e)本発明は、オペレータ端末31が通話中であっても適用できる。
(f)ソフトウェアで実現可能な手段をハードウェアで実現することができ、ハードウェアで実現可能な手段をソフトウェアで実現することができる。
【符号の説明】
【0047】
100,200 コンタクトセンタシステム
10 回線収容装置
20 サーバ
21 通信測定部
22 データベース
23 判定部
24 通知部
25 ネットワーク制御部
31 オペレータ端末
32 管理者端末
41 公衆回線網
42 IPネットワーク