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特開2022-129457無人航空機、避難指示方法、避難管理システム、及び情報処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022129457
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】無人航空機、避難指示方法、避難管理システム、及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/04 20060101AFI20220830BHJP
   G08B 27/00 20060101ALI20220830BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20220830BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20220830BHJP
   B64D 47/08 20060101ALI20220830BHJP
   G06Q 50/26 20120101ALI20220830BHJP
【FI】
H04M11/04
G08B27/00 C
H04M11/00 301
B64C39/02
B64D47/08
G06Q50/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021028122
(22)【出願日】2021-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129067
【弁理士】
【氏名又は名称】町田 能章
(74)【代理人】
【識別番号】100183162
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 義文
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】兼保 和弘
【テーマコード(参考)】
5C087
5K201
5L049
【Fターム(参考)】
5C087AA02
5C087AA03
5C087BB20
5C087BB73
5C087BB74
5C087DD03
5C087EE07
5C087EE14
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087FF16
5C087FF19
5C087GG02
5C087GG08
5C087GG68
5C087GG82
5K201BA02
5K201BA03
5K201DC04
5K201ED04
5K201EF04
5L049CC35
(57)【要約】
【課題】災害発生時に避難先の混雑を回避することができる、無人航空機、避難指示方法、及び避難管理システムを提供する。
【解決手段】ドローン100は、航空写真を撮像するカメラ10と、住人が避難する避難所の収容人数を記憶する記憶部15と、カメラ10によって撮像された航空写真と、撮像された撮像地域を関連付ける地域特定部92と、カメラ10によって撮像された航空写真に基づいて、地域特定部92によって関連付けられた撮像地域の危険度を判定する危険度判定部93と、危険度判定部93によって判定された撮像地域の危険度と、当該撮像地域における避難所の収容人数とに基づいて、住人が避難すべきか否かを決定する避難決定部94と、避難決定部94によって決定された避難すべき住人に対し、撮像地域の危険度に基づいて、撮像地域ごとに避難指示の旨を送信する避難指示部95と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空写真を撮像する撮像部と、
住人が避難する避難所の収容人数を記憶する記憶部と、
前記撮像部によって撮像された前記航空写真と、撮像された撮像地域を関連付ける地域特定部と、
前記撮像部によって撮像された前記航空写真に基づいて、前記地域特定部によって関連付けられた前記撮像地域の危険度を判定する危険度判定部と、
前記危険度判定部によって判定された前記撮像地域の危険度と、当該撮像地域における前記避難所の収容人数とに基づいて、前記住人が避難すべきか否かを決定する避難決定部と、
前記避難決定部によって決定された避難すべき前記住人に対し、前記撮像地域の危険度に基づいて、前記撮像地域ごとに避難指示の旨を送信する避難指示部と、
を備えることを特徴とする無人航空機。
【請求項2】
前記危険度判定部は、
前記撮像地域の危険度を、河川の氾濫状況、マンホールの蓋の状態、又は道路の水浸しの状態の少なくともいずれか1つに基づいて、判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無人航空機。
【請求項3】
前記避難指示部は、
前記撮像地域の危険度に基づいて、相対的に危険度の高い住人に対して、当該住人が前記避難所に避難すべきことを指示する一方、相対的に危険度の低い住人に対して、当該住人が前記避難所に避難すべきことを推奨する旨の指示を通知する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の無人航空機。
【請求項4】
前記避難決定部が、前記住人が避難すべきではないと決定した場合、
前記避難指示部は、
当該避難すべきでないと決定された住人に対し、当該住人が前記避難所に避難してはいけない旨を送信する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の無人航空機。
【請求項5】
前記撮像部は、前記航空写真を定期的に撮像し、
前記避難決定部は、前記撮像地域の危険度と前記避難所の収容人数とに基づいて、前記避難すべき住人であった者から、避難すべきでない住人に変更した場合、
前記避難指示部は、
当該住人に対し、帰宅指示の旨を送信する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の無人航空機。
【請求項6】
撮像した航空写真および住人が避難する避難所の収容人数を取得するステップと、
撮像された前記航空写真と、撮像された撮像地域を関連付けるステップと、
撮像された前記航空写真に基づいて、前記撮像地域の危険度を判定するステップと、
前記撮像地域の危険度と、当該撮像地域における前記避難所の収容人数とに基づいて、前記住人が避難すべきか否かを決定するステップと、
決定された避難すべき前記住人に対し、前記撮像地域の危険度に基づいて、前記撮像地域ごとに避難指示の旨を送信するステップと、
を実行させることを特徴とする避難指示方法。
【請求項7】
航空写真を撮像する無人航空機と、
前記無人航空機から、所定の地域に住む住人に対して、避難指示の旨を受信するメールサーバと、を備え、
前記無人航空機は、
前記航空写真を撮像する撮像部と、
前記住人が避難する避難所の収容人数を記憶する記憶部と、
前記撮像部によって撮像された前記航空写真と、撮像された撮像地域を関連付ける地域特定部と、
前記撮像部によって撮像された前記航空写真に基づいて、前記地域特定部によって関連付けられた前記撮像地域の危険度を判定する危険度判定部と、
前記危険度判定部によって判定された前記撮像地域の危険度と、当該撮像地域における前記避難所の収容人数とに基づいて、前記住人が避難すべきか否かを決定する避難決定部と、
前記避難決定部によって決定された避難すべき前記住人に対し、前記撮像地域の危険度に基づいて、前記撮像地域ごとに避難指示の旨を送信する避難指示部と、を備え、
前記メールサーバは、
前記避難指示部から、前記撮像地域ごとに避難指示の旨を受信すると、当該撮像地域ごとに、前記所定の地域に住む住人に対して、避難指示のメールを送信する、
ことを特徴とする避難管理システム。
【請求項8】
住人が避難する避難所の収容人数を記憶する記憶部と、
撮像された航空写真と、撮像された撮像地域を関連付ける地域特定部と、
撮像された前記航空写真に基づいて、前記地域特定部によって関連付けられた前記撮像地域の危険度を判定する危険度判定部と、
前記危険度判定部によって判定された前記撮像地域の危険度と、当該撮像地域における前記避難所の収容人数とに基づいて、前記住人が避難すべきか否かを決定する避難決定部と、
前記避難決定部によって決定された避難すべき前記住人に対し、前記撮像地域の危険度に基づいて、前記撮像地域ごとに避難指示の旨を送信する避難指示部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人航空機、避難指示方法、避難管理システム、及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、災害発生時は、テレビや地域の放送などにより、避難すべき旨が放送され、災害により避難が必要な人に対して、速やかに避難することを促してきた。
【0003】
ここで、例えば、災害地域に位置する各携帯電話機の所持者に対して、現在の地点から最も近い避難所の位置情報を通知する緊急避難情報通知システムが開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-121535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された緊急避難情報通知システムでは、災害地域に位置する各携帯電話機の所持者に対し、携帯電話機の位置から最も近い避難所を選定して、防災センタから避難所の位置情報が送信される。
【0006】
そのため、同じ地域に携帯電話機を所持する人が多く存在する場合、その地域の携帯電話機の多くの所持者に対し、最も近い避難場所として同一の避難所の情報が送信される。これにより、現在位置から最も近い避難所に、携帯電話機の多くの所持者が避難することが考えられる。
【0007】
この場合、防災センタから選定された避難所(又は、指定避難所)は、災害発生時に多くの人が避難することにより、密閉、密集、及び密接という状態になりやすい。そのため、このような避難所では、疫病などの感染拡大が懸念される。
【0008】
そこで、本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、災害発生時に、避難先の避難所の混雑を回避することができる、無人航空機、避難指示方法、避難管理システム、及び情報処理装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明の一態様に係る無人航空機は、航空写真を撮像する撮像部と、住人が避難する避難所の収容人数を記憶する記憶部と、前記撮像部によって撮像された前記航空写真と、撮像された撮像地域を関連付ける地域特定部と、前記撮像部によって撮像された前記航空写真に基づいて、前記地域特定部によって関連付けられた前記撮像地域の危険度を判定する危険度判定部と、前記危険度判定部によって判定された前記撮像地域の危険度と、当該撮像地域における前記避難所の収容人数とに基づいて、前記住人が避難すべきか否かを決定する避難決定部と、前記避難決定部によって決定された避難すべき前記住人に対し、前記撮像地域の危険度に基づいて、前記撮像地域ごとに避難指示の旨を送信する避難指示部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一態様に係る避難指示方法は、撮像した航空写真および住人が避難する避難所の収容人数を取得するステップと、撮像された前記航空写真と、撮像された撮像地域を関連付けるステップと、撮像された前記航空写真に基づいて、前記撮像地域の危険度を判定するステップと、前記撮像地域の危険度と、当該撮像地域における前記避難所の収容人数とに基づいて、前記住人が避難すべきか否かを決定するステップと、決定された避難すべき前記住人に対し、前記撮像地域の危険度に基づいて、前記撮像地域ごとに避難指示の旨を送信するステップと、を実行させることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様に係る避難管理システムは、航空写真を撮像する無人航空機と、 前記無人航空機から、所定の地域に住む住人に対して、避難指示の旨を受信するメールサーバと、を備え、前記無人航空機は、前記航空写真を撮像する撮像部と、前記住人が避難する避難所の収容人数を記憶する記憶部と、前記撮像部によって撮像された前記航空写真と、撮像された撮像地域を関連付ける地域特定部と、前記撮像部によって撮像された前記航空写真に基づいて、前記地域特定部によって関連付けられた前記撮像地域の危険度を判定する危険度判定部と、前記危険度判定部によって判定された前記撮像地域の危険度と、当該撮像地域における前記避難所の収容人数とに基づいて、前記住人が避難すべきか否かを決定する避難決定部と、前記避難決定部によって決定された避難すべき前記住人に対し、前記撮像地域の危険度に基づいて、前記撮像地域ごとに避難指示の旨を送信する避難指示部と、を備え、前記メールサーバは、前記避難指示部から、前記撮像地域ごとに避難指示の旨を受信すると、当該撮像地域ごとに、前記所定の地域に住む住人に対して、避難指示のメールを送信する、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一態様に係る情報処理装置は、住人が避難する避難所の収容人数を記憶する記憶部と、撮像された航空写真と、撮像された撮像地域を関連付ける地域特定部と、撮像された前記航空写真に基づいて、前記地域特定部によって関連付けられた前記撮像地域の危険度を判定する危険度判定部と、前記危険度判定部によって判定された前記撮像地域の危険度と、当該撮像地域における前記避難所の収容人数とに基づいて、前記住人が避難すべきか否かを決定する避難決定部と、前記避難決定部によって決定された避難すべき前記住人に対し、前記撮像地域の危険度に基づいて、前記撮像地域ごとに避難指示の旨を送信する避難指示部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、災害発生時に、避難先の避難所の混雑を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の実施形態に係る避難管理システムの概略構成図である。
図2】第1の実施形態に係るドローンの概略構成図である。
図3】第1の実施形態に係る避難管理システムの避難通知処理を示したシーケンス図である。
図4A】携帯情報端末の表示部に表示される避難指示のメールの具体例を示した説明図である(その1)。
図4B】携帯情報端末の表示部に表示される避難指示のメールの具体例を示した説明図である(その2)。
図4C】携帯情報端末の表示部に表示される避難指示のメールの具体例を示した説明図である(その3)。
図5A】携帯情報端末の表示部に表示される帰宅指示のメールの具体例を示した説明図である。
図5B】携帯情報端末の表示部に表示される避難禁止のメールの具体例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実現するための一例であり、本発明が適用される装置の構成や各種条件によって適宜修正又は変更されるべきものであり、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。また、後述する各実施形態の一部を適宜組み合わせて構成してもよい。
【0016】
<第1の実施形態>
[避難管理システムの全体の構成]
図1を参照して、第1の実施形態に係る避難管理システム400の構成を説明する。図1は、第1の実施形態に係る避難管理システム400の概略構成図である。
【0017】
第1の実施形態に係る避難管理システム400は、ドローン101,102,103,104と、メールサーバ200と、携帯情報端末301,302,303,304を備えて構成されている。
【0018】
ドローン101,102,103,104は、いずれも同一の構成を備えて構成されており、いずれかのドローンを特定する必要がない時は、単にドローン100という。また、ドローン100の構成については、図2を用いて説明する。
【0019】
ドローン100は、無人で遠隔操作、又は自動操縦により飛行する航空機である。ドローン100は、無人航空機の一例であり、同一の構成を有するマルチコプタやラジコン機なども無人航空機に含まれる。ドローン100は、撮像可能なカメラが設けられており(図2参照)、上空から空撮(航空写真の撮像のことである。)することができる。
【0020】
ドローン100は、災害が発生したときに飛行するようになっており、複数のドローン100(ドローン101,102,103,104・・・)のそれぞれは、操作リモコン(送信機またはプロポとも呼ばれることもある)により遠隔操作による飛行であっても、又は、自動操縦による飛行であっても、災害が発生した地域の航空写真を撮像する。
【0021】
複数のドローン100は、災害が発生したとき、それぞれ異なる地区を撮像するように構成されており、例えば、1機で、約500mの範囲を撮像することができる。ドローン100は、航空写真によって撮像されたそれぞれの撮像地域において、撮像地域の危険度を判定し、撮像地域の危険度に基づいて、撮像地域の住人に対し、メールサーバ200を介して、避難指示のメールを送信する。
【0022】
メールサーバ200は、送信部201と、記憶部202とを備えて構成されている。送信部201は、ドローン100から撮像地域ごとに避難指示の旨を受信すると、当該撮像地域ごとに、避難指示のメールを送信する。
【0023】
なお、本実施形態は、これに限定されるものではなく、メールサーバ200やそれ以外の装置(情報処理装置)が、ドローン100で撮像した画像に基づいて、撮像地域の危険度を判定してもよい。その場合、ドローン100は、撮像した画像とともに撮像地域を特定可能な情報を、危険度を判定する装置(情報処理装置)に送信すればよい。
【0024】
また、各ドローン100と撮像地域とが予め対応付けられている場合には、各ドローン100は、撮像地域を特定可能な情報に代えて、自身を撮像地域の特定可能な情報として送信してもよい。
【0025】
記憶部202は、例えば、ハードディスクドライブやSSD(Solid State Drive)などの大容量の記憶装置で構成されており、避難指示のメールを送信する送信先のメールアドレスを格納している。例えば、記憶部202には、撮像地域(例えば、地区)に対応付けて当該撮像地域の住人のメールアドレスが登録されている。
【0026】
これにより、メールサーバ200は、ドローン100から、撮像地域ごとに避難指示の旨を受信すると、当該撮像地域ごとに、所定の地域に住む住人に対して、それぞれ避難指示のメールを送信する。
【0027】
携帯情報端末301,302,303,304は、ユーザが所持する情報処理機能を有する携帯端末である。携帯情報端末301,302,303,304は、いずれも同一の構成を備えて構成されており、いずれかの携帯情報端末を特定する必要がない時は、単に、携帯情報端末300という。携帯情報端末300は、住人が常時所持しており、例えば、スマートフォン、携帯電話機、又は、タブレットが該当する。
【0028】
本実施形態では、撮像地域として第1地区~第4地区を想定し、第1地区~第4地区で避難所を共有していることを前提にする。第1地区の住人、第2地区の住人、第3地区の住人、及び第4地区の住人は、それぞれ携帯情報端末300を所持し、第1地区の住人、第2地区の住人、第3地区の住人、及び第4地区の住人の各携帯情報端末300のメールアドレスが、メールサーバ200の記憶部202に格納されている。
【0029】
図1では、携帯情報端末301は、第1地区の住人のスマートフォンを示しており、携帯情報端末302は、第2地区の住人のスマートフォンを示しており、携帯情報端末303は、第3地区の住人のスマートフォンを示しており、携帯情報端末304は、第4地区の住人のスマートフォンを示している。
【0030】
次に、図2を参照して、第1の実施形態に係るドローン100の構成を説明する。図2は、第1の実施形態に係るドローン100の概略構成図である。なお、本実施形態では、一例として、自動操縦により飛行する場合について説明する。
【0031】
ドローン100は、カメラ10、記憶部15、燃料タンク20、通信部25、エンジン30、パワーコントロールユニット40、バッテリ50、ESC60(Electric Speed Controller)、機体70、フライトコントローラ80、及び制御部90を備えて構成されている。機体70は、プロペラ71とモータ72とを備えて構成されている。なお、図2に示すドローン100の構成は例示であり、他の構成であってもよい。
【0032】
カメラ10は、オートフォーカス(Autofocus)を用いて、航空写真を撮像するように構成されている。カメラ10は、ジンバル(図示せず)と、一体又は別体により構成され、飛行中のカメラ10の揺れやブレが補正される。
【0033】
燃料タンク20は、エンジン30を駆動させるために使用する燃料を貯留する。燃料タンク20に設けられたレベルセンサ(図示せず)は、燃料の残量の情報に関する信号を、制御部90に送信する。
【0034】
エンジン30は、ジェネレータ(図示せず)を備えている。エンジン30は、ジェネレータの動力源であって、例えば、小型のディーゼルエンジンやレシプロエンジンなどで構成される。エンジン30は、モータ72及びバッテリ50へ供給する電力をジェネレータ(図示せず)で発電するために駆動する。なお、エンジン30と燃料タンク20は、任意の構成要素であり、ドローン100を長時間飛行させる場合や長距離飛行させる場合に、搭載される。
【0035】
パワーコントロールユニット40は、モータ72へ供給される電力を制御する装置である。このパワーコントロールユニット40は、エンジン30のジェネレータ(図示せず)で発電させた電力を受給したり、バッテリ50との間で電力の供給及び受給を行ったり、ESC60へ電力を供給する。
【0036】
バッテリ50は、電力を充放電する充放電部(二次電池、蓄電池)である。バッテリ50は、パワーコントロールユニット40を介して、エンジン30と電気的に接続されており、ジェネレータ(図示せず)で発電された電力を充電する。バッテリ50は、パワーコントロールユニット40とESC60とを介して、モータ72にも電気的に接続されており、モータ72に供給する電力を放電する。
【0037】
ESC60は、モータ72の回転数を制御する装置である。ESC60は、パワーコントロールユニット40から供給される電力を、駆動電力としてモータ72に供給する。
【0038】
機体70のプロペラ71は、ドローン100に複数設けられる。複数のプロペラ71を同時に回転させることにより、ドローン100は飛行することができる。すなわち、プロペラ71は、回転することにより、ドローン100を上空に押し上げる力を生成する。なお、図1では、プロペラ71は、1機のドローン100に4つ設けられているが、4つに限定されるものではない。
【0039】
モータ72は、各プロペラ71にそれぞれ設けられる。モータ72は、ESC60からの指示により回転する。モータ72は、ESC60によって回転が制御されることにより、ドローン100を様々な方向に飛行させる。
【0040】
フライトコントローラ80は、ドローン100の飛行の制御を行う装置である。フライトコントローラ80は、制御部90とESC60へ推力指示の信号を送る一方で、制御部90からSOC(State Of Charge:充電率)の情報に関する信号を受け取る。
【0041】
本実施形態では、自動操縦による飛行を想定しているため、フライトコントローラ80は、制御部90の後述する演算部91と連携し、自動操縦のための制御を行う。なお、送信機(図示せず)により操縦される場合には、フライトコントローラ80は、送信機からユーザ(使用者)の操作指示の信号を受け取り、ユーザの意図に沿った操縦を行う。
【0042】
また、図示はしないが、ドローン100は、各種センサを有し、各種センサで取得したデータは、フライトコントローラ80において飛行制御のために使用される。
【0043】
制御部90は、演算部91、地域特定部92、危険度判定部93、避難決定部94、及び避難指示部95を備えて構成されている。
【0044】
制御部90は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)を備えて構成されており、ROMから制御プログラムを読み出して実行することにより、演算部91、地域特定部92、危険度判定部93、避難決定部94、及び避難指示部95として機能する。
【0045】
演算部91は、例えば、要求負荷を演算する。ドローン100は、低負荷飛行や高負荷飛行を行う際、長時間の飛行を可能とするために、エンジン30の出力を最適な値に設定する。ここで、低負荷飛行とは、要求負荷が低い飛行のことであり、例えば、ホバリング飛行や回転飛行、下降飛行などが該当する。一方、高負荷飛行とは、要求負荷が高い飛行のことであり、例えば、上昇飛行、高速飛行、前進・後進・左右移動飛行、急停止などが該当する。
【0046】
制御部90は、演算部91において演算された要求負荷の大きさに基づいて、自動操縦を制御する。例えば、制御部90は、飛行中に演算部91により演算されたバッテリ50のSOCの変化量に基づいて、エンジン30の駆動を切り替える制御を実行する。
【0047】
地域特定部92は、カメラ10によって撮像された航空写真と、撮像された撮像地域を関連付ける。
【0048】
危険度判定部93は、カメラ10によって撮像された航空写真に基づいて、地域特定部92によって関連付けられた撮像地域の危険度を判定する。危険度判定部93は、例えば撮像地域の危険度を、河川の氾濫状況、マンホールの蓋の状態、又は道路の水浸しの状態の少なくともいずれか1つに基づいて、判定することができる。
【0049】
避難決定部94は、危険度判定部93によって判定された撮像地域の危険度と、当該撮像地域における避難所の収容人数とに基づいて、住人が避難すべきか否かを決定する。
【0050】
避難指示部95は、避難決定部94によって決定された避難すべき住人に対し、撮像地域の危険度に基づいて、撮像地域ごとに避難指示の旨を送信する。避難指示部95は、例えば、撮像地域の危険度に基づいて、相対的に危険度の高い住人に対して、当該住人が避難所に避難すべきことを指示する一方、相対的に危険度の低い住人に対して、当該住人が避難所に避難すべきことを推奨する旨の指示を通知する。
【0051】
記憶部15は、地域ごとに、住人が避難する避難所の収容人数を記憶する。記憶部15は、例えば、RAM(Random Access Memory)により実現され、避難所の追加や収容人数の増加があった場合、データを更新する。
【0052】
通信部25は、無線によるネットワークを介して、ドローン100をメールサーバ200に接続させる。これにより、制御部90の避難指示部95は、メールサーバ200に避難指示のメールを送信させることができる。
【0053】
[避難管理システムの動作]
次に、上記構成からなるドローン100を有する避難管理システム400について、図1及び図2を参照しながら、図3のシーケンス図を用いて説明する。
【0054】
図3は、第1の実施形態に係る避難管理システム400の避難通知処理を示したシーケンス図である。本実施形態では、撮像地域として第1地区~第4地区を想定し、第1地区~第4地区で避難所を共有していることを前提にする。
【0055】
まず、ドローン100は、自動操縦により飛行しているものとする。そして、ドローン100が飛行中に、地上に災害が発生したと仮定する。なお、ドローン100は、ユーザによって操縦されていても、同様の処理が行われる。
【0056】
複数のドローン101,102,103,104の各カメラ10は、航空写真を撮像する(ステップS001)。各カメラ10は、一定間隔で所定の地域を撮像しており、災害の発生時にリアルタイムで地上を撮像する。
【0057】
制御部90の地域特定部92は、カメラ10によって撮像された航空写真と、撮像された撮像地域を関連付けて、撮像された撮像地域を特定する(ステップS003)。
【0058】
地域特定部92は、例えば、ドローン100にGPS(Global Positioning System)を装着して、航空写真とドローン100の位置情報とを関連づけることにより、撮像地域を特定する。なお、撮像された航空写真と、撮像された撮像地域との関連付けは、GPSに限定されず、他の方法で撮像地域を関連付けて、地域を特定してもよい。
【0059】
本実施形態では、ドローン101は、第1地区を撮像し、ドローン102は、第2地区を撮像し、ドローン103は、第3地区を撮像し、ドローン104は、第4地区を撮像するようになっている。なお、ドローン100が1機で、第1地区から第4地区までを撮像できる場合は、1機のドローン100で各地区を撮像してもよい。
【0060】
また、一例として、第1地区には、75人の住人が住んでおり、第2地区には、55人の住人が住んでおり、第3地区には、150人の住人が住んでおり、第4地区には、20人の住人が住んでいるものとする。
【0061】
制御部90の危険度判定部93は、カメラ10によって撮像された航空写真に基づいて、地域特定部92によって関連付けられた撮像地域の危険度を判定する(ステップS005)。
【0062】
制御部90の危険度判定部93は、撮像地域の危険度を、例えば、河川の氾濫状況、マンホールの蓋の状態、又は道路の水浸しの状態の少なくともいずれか1つに基づいて、判定する。
【0063】
例えば、第1地区を撮像するドローン101において、制御部90の危険度判定部93は、撮像された航空写真により、河川が氾濫していたり、道路が水浸しになっていた場合、第1地区の危険度は高く、避難が必要と判定する。
【0064】
なお、マンホールの蓋は、外れているか否かで判断し、マンホールの蓋が外れている場合は、危険度が高く、避難が必要と判定する。また、マンホールの蓋が外れていない場合は、危険度が低く、避難が不要と判定する。
【0065】
また、第2地区を撮像するドローン102において、制御部90の危険度判定部93は、撮像された航空写真により、河川が増水していたり、道路の一部が冠水していた場合は、第2地区の危険度は比較的高く、避難を奨励と判定する。
【0066】
また、第3地区を撮像するドローン103において、制御部90の危険度判定部93は、撮像された航空写真により、河川がやや増水していたり、道路の一部に冠水のおそれがある場合は、第3地区の危険度はやや低く、ひとまず避難の指示待ちと判定する。
【0067】
また、第4地区を撮像するドローン104において、制御部90の危険度判定部93は、撮像された航空写真に河川が氾濫のおそれもなく、道路も冠水のおそれがない場合は、第4地区の危険度は低く、避難は不要と判定する。
【0068】
なお、1機のドローン100で第1地区から第4地区まで撮像する場合も同様に、制御部90の危険度判定部93は、カメラ10によって撮像された航空写真に基づいて、各地区の危険度を判定する。
【0069】
制御部90の避難決定部94は、危険度判定部93によって判定された各地区(撮像地域)の危険度と、当該撮像地域における避難所の収容人数とに基づいて、住人が避難すべきか否かを決定する(ステップS007)。
【0070】
例えば、記憶部15に記憶されている避難所の収容人数は、定員が150人とする。この場合、制御部90の避難決定部94は、第1地区の危険度は高く、避難所の収容人数が150人であるため、第1地区の75人の全ての住人が避難すべきと決定する。これにより、避難所には、あと75人収容できる。
【0071】
また、制御部90の避難決定部94は、第2地区の危険度は比較的高く、避難所の収容可能人数が75人であるため、第2地区の55人の全ての住人も避難する旨を決定する。これにより、避難所には、あと20人収容できる。
【0072】
そして、制御部90の避難決定部94は、第3地区の危険度はやや低く、避難所の収容可能人数が20人であるため、ひとまず、第3地区の150人のうち、危険度の高い20人のみ避難すべきと決定する。これにより、避難所は、定員に達する。そして、第3地区の残りの130人は、避難の指示待ちとなる。
【0073】
また、制御部90の避難決定部94は、第4地区の危険度は低いため、避難する必要がないとして、避難禁止(自宅待機)と決定する。
【0074】
制御部90の避難指示部95は、避難決定部94によって決定された避難すべき住人に対し、撮像地域の危険度に基づいて、撮像地域ごとに避難指示の旨をメールサーバ200に送信する(ステップS009)
【0075】
メールサーバ200は、避難指示部95から、撮像地域ごとに避難指示の旨を受信すると、当該撮像地域ごとに、所定の地域に住む住人に対して、避難指示のメールを送信する(ステップS011)。
【0076】
携帯情報端末301,302,303は、撮像地域ごとに避難指示のメールを受信すると、当該住人に対し、避難すべき旨の表示を行う(ステップS013)。
【0077】
図4Aから図4Cは、携帯情報端末300の表示部に表示される避難指示のメールの具体例を示した説明図である。
【0078】
図4Aに示すように、第1地区の住人の携帯情報端末301は、表示部310に、「人命及び住居に影響を及ぼす可能性が非常に高く、避難必須となっています。大至急指定避難先に避難をお願いします。」と表示されている。
【0079】
また、図4Bに示すように、第2地区の住人の携帯情報端末302は、表示部311に、「人命及び住居に影響を及ぼす可能性が非常に高くなることが想定されるため、指定避難先へ避難をお願いします。」と表示されている。
【0080】
また、図4Cに示すように、第3地区の住人の携帯情報端末303は、表示部312に、「人命及び住居に影響を及ぼす可能性があるため、避難を奨励します。」と表示されている。
【0081】
これにより、第1地区の住人、第2地区の住人、及び、第3地区のうち、危険度の高い20人は、避難指示のメールにより、避難所に避難することができる。一方、第3地区のうち、危険度の低い130人及び第4地区の住人には、避難指示のメールが送信されないため、避難所に避難しない。
【0082】
以上説明したように、第1の実施形態に係る避難管理システム400では、ドローン100の制御部90が、航空写真を撮像し、撮像された航空写真に基づいて、撮像地域の危険度を判定する。また、ドローン100の制御部90は、撮像地域の危険度と、当該撮像地域における避難所の収容人数とに基づいて、住人が避難すべきか否かを決定する。
【0083】
これにより、第1の実施形態に係る避難管理システム400は、ドローン100により、避難が必要な住人のみに避難指示の旨を送信することができるので、災害発生時に、避難先の避難所の混雑を回避することができる。
【0084】
<第2の実施形態>
第2の実施形態では、第1の実施形態に係る避難管理システム400のドローン100が、災害が発生してから定期的に航空写真を撮像し、撮像地域の危険度が改善された場合、ドローン100は、避難している住人に帰宅指示を送信する。
【0085】
具体的には、制御部90の避難決定部94が、撮像地域の危険度と避難所の収容人数とに基づいて、避難すべき住人であった者から、避難すべきでない住人に変更した場合に、制御部90の避難指示部95は、当該住人に対し、帰宅指示の旨を送信する。
【0086】
図5Aは、携帯情報端末300の表示部に表示される帰宅指示のメールの具体例を示した説明図である。
【0087】
図5Aに示すように、携帯情報端末300は、表示部313に、「特許太郎様、当区域は、避難解除となりましたので、自宅への帰宅が可能となりました」と表示されている。
【0088】
例えば、第1地区又は第2地区において、危険度が改善された場合、該当する地区の住人の携帯情報端末300の表示部313に、帰宅指示の旨のメールが表示される。
【0089】
これにより、第2の実施形態に係る避難管理システム400では、撮像地域の危険度が改善されることにより、住人に帰宅を促すことができるので、避難所の混雑を解消することができる。
【0090】
以上説明したように、第2の実施形態に係る避難管理システム400では、定期的に航空写真を撮像し、撮像地域の危険度が改善された場合、ドローン100は、避難している住人に帰宅指示の旨を送信する。
【0091】
これにより、第2の実施形態に係る避難管理システム400は、撮像地域の危険度が改善されることにより、避難所の混雑を解消することができる。
【0092】
<変形例1>
第1の実施形態に係る避難管理システム400では、避難すべき住人に対し、撮像地域ごとに避難指示の旨を送信していたが、さらに、避難すべきでない住人に対し、避難禁止の旨を通知するようにしてもよい。
【0093】
例えば、第4地区の住人に対し、携帯情報端末304の表示部に避難禁止の旨のメールが表示される。
【0094】
図5Bは、携帯情報端末300の表示部に表示される避難禁止のメールの具体例を示した説明図である。
【0095】
図5Bに示すように、携帯情報端末304は、表示部314に、「指定避難先が混雑しておりますので、指定避難先への避難を禁止します。ご協力のほど、どうぞ宜しくお願い致します。」と表示されている。
【0096】
これにより、強制的に避難を禁止することができるので、避難所の混雑を回避することができる。
【0097】
なお、変形例1を第1の実施形態に係る避難管理システム400に適用することにより、ドローン100で撮像した撮像地域の全ての住人に対し、避難すべきか、又は避難禁止か、いずれかをメールで通知することができる。
【0098】
この場合、例えば、危険度に応じてメールを色分けすることができ、危険度が高い撮像地域の住人へのメールを赤色で表示し、一方、危険度が低くなるにつれ、該当する撮像地域の住人へのメールを黄色に近い色で表示してもよい。
【0099】
<変形例2>
本実施形態に係る避難管理システム400は、例えば、地震や台風などの緊急速報と連動し、緊急速報を受信すると、複数のドローン100が航空写真を撮像するようにしてもよい。
【0100】
<変形例3>
本実施形態に係る避難管理システム400は、少なくとも1機のドローン100を避難所に配備して、避難所の室内の航空写真を撮像してもよい。この場合、避難所の混み具合を直接測定することができるので、住人が避難したときに避難所が混んでいることを回避することができる。
【0101】
<変形例4>
本実施形態に係る避難管理システム400では、全てのドローン100が地域特定部92、危険度判定部93、避難決定部94、及び避難指示部95を有する構成について説明したが、例えば、ドローン100以外の装置(情報処理装置)が、これらの機能を備える構成であってもよい。また、全てのドローン100がこれらの機能を備える必要は無く、複数のドローン100のうち一つまたは幾つかがこれらの機能を備える構成であってもよい。
【0102】
後者の場合、地域特定部92、危険度判定部93、避難決定部94、及び避難指示部95を有しないドローン100は、これらの機能を備える代表のドローン100に撮影した画像を送信し、当該代表のドローン100が危険度を判定してもよい。
【符号の説明】
【0103】
10 カメラ
90 制御部
91 演算部91
92 地域特定部
93 危険度判定部
94 避難決定部
95 避難指示部
100,101,102,103,104 ドローン100
200 メールサーバ
300,301,302,303,304 携帯情報端末
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B