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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022129458
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】グレーティングフィルタ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/124 20060101AFI20220830BHJP
   G02B 6/12 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
G02B6/124
G02B6/12 341
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021028124
(22)【出願日】2021-02-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-06-21
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(令和2年度総務省「新たな社会インフラを担う革新的光ネットワーク技術の研究開発(技術課III「高効率光アクセスメトロ技術」)」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願)
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141955
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100085419
【弁理士】
【氏名又は名称】大垣 孝
(72)【発明者】
【氏名】太縄 陽介
【テーマコード(参考)】
2H147
【Fターム(参考)】
2H147AB11
2H147AB16
2H147AB28
2H147AC04
2H147BB02
2H147BC03
2H147BC05
2H147BC14
2H147BE19
2H147CD02
2H147EA13A
2H147EA13C
2H147EA14B
(57)【要約】      (修正有)
【課題】1つのグレーティングを用いて複数の波長の光を取り出す。
【解決手段】光導波路が、メイン導波路100、及び、第1~第N導波路200-Nを備える。メイン導波路100が、順に直列に接続された、第1~第N結合導波路120-N、及び、周期Λで周期的に屈折率が変調されたグレーティング130を備え、TE偏波及びTM偏波の少なくとも一方の偏波に対して複数の高次モードが伝搬可能である。第k導波路200-kが、第k結合導波路120-kと光の相互結合が可能な程度に間隔を開けて並列に配置された第k結合サブ導波路220-kを備える。第k結合導波路120-kを伝搬する、第k波長λの、第k次モードの光と、第k結合サブ導波路220-kを伝搬する基本モードの光とが相互結合する。メイン導波路100を伝播する、基本モードの光の等価屈折率n及び第k次モードの光の等価屈折率nが、Λ(n+n)=λを満たす。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板と、
前記支持基板上に形成されるクラッドと、
前記クラッド中に埋設され、前記支持基板の上面に平行に設けられる、光導波路コアとを備え、
前記光導波路コアと、該光導波路コアの周囲の前記クラッドから光導波路が構成される光導波路素子であって、
グレーティングフィルタ部を備え
前記グレーティングフィルタ部において、
前記光導波路コアが、メインコア、及び、第1~第N(Nは2以上の整数)コアを備え、
前記メインコアが、順に直列に接続された、第1~第N結合コア、及び、周期Λで周期的に屈折率が変調されたグレーティングを備え、
前記第k(kは1以上N以下の整数)コアが、第k結合コアと光の相互結合が可能な程度に間隔を開けて並列に配置された第kサブ結合コアを備え、
前記第k結合コアを伝搬する第k次モードの光と、前記第kサブ結合コアを伝搬する基本モードの光とが相互結合し、
前記グレーティングは、TE(Transverse Electric)偏波及びTM(Transverse Magnetic)偏波の少なくとも一方の偏波に対して複数の高次モードが伝搬可能に構成され、かつ、
前記グレーティングの屈折率変調周期Λ、第k波長λk、基本モードの光の等価屈折率n及び第k次モードの光の等価屈折率nが、Λ(n+n)=λを満たす
ことを特徴とするグレーティングフィルタ。
【請求項2】
支持基板と、
前記支持基板上に形成されるクラッドと、
前記クラッド中に埋設され、前記支持基板の上面に平行に設けられる、光導波路コアとを備え、
前記光導波路コアと、該光導波路コアの周囲の前記クラッドから光導波路が構成される光導波路素子であって、
第1及び第2グレーティングフィルタ部を備え
第1及び第2グレーティングフィルタ部のそれぞれにおいて、
前記光導波路コアが、メインコア、及び、第1~第N(Nは2以上の整数)コアを備え、
前記第1及び第2メインコアが、それぞれ、順に直列に接続された、第1~第N結合コア、及び、周期Λで周期的に屈折率が変調されたグレーティングを備え、
前記第kコアが、第k結合コアと光の相互結合が可能な程度に間隔を開けて並列に配置された第kサブ結合コアを備え、
前記第k結合コアを伝搬する第k次モードの光と、前記第kサブ結合コアを伝搬する基本モードの光とが相互結合し、
前記グレーティングは、TE偏波及びTM偏波の少なくとも一方の偏波に対して複数の高次モードが伝搬可能に構成され、かつ、
前記グレーティングの屈折率変調周期Λ、第k波長λk、基本モードの光の等価屈折率n及び第k次モードの光の等価屈折率nが、Λ(n+n)=λを満たし、
前記第1グレーティングフィルタ部の第kコアと、前記第2グレーティングフィルタ部の第kコアとが接続され、
前記第1グレーティングフィルタ部のグレーティングおけるBragg波長の、隣り合うピーク波長との波長間隔と、前記第2グレーティングフィルタ部におけるBragg波長の、隣り合うピーク波長との波長間隔とが、互いに異なっており、
前記第1グレーティングフィルタ部及び前記第2グレーティングフィルタ部の少なくとも一方のグレーティングの等価屈折率が可変である
ことを特徴とするグレーティングフィルタ。
【請求項3】
前記グレーティングが、光の伝搬方向に沿った軸である伝送軸に対して、非対称であることを特徴とする請求項1又は2に記載のグレーティングフィルタ。
【請求項4】
前記グレーティングの屈折率変調周期Λが、光の伝搬方向に沿った軸である伝送軸に沿って、一定量ずつ変化しているチャープ構造である
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のグレーティングフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光導波路素子として構成される、光導波路型のグレーティングフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
情報伝達量の増大に伴い、高速信号処理を要する情報処理機器においてボトルネックとなっている、電気配線を用いることによる帯域制限を打破すべく、光配線技術の重要性がますます高まっている。光配線技術は、光ファイバや光導波路を伝送媒体とし、光送信機や光受信機を集積実装した光モジュールを用いて、情報処理装置内のラック間、ボード間又はチップ間の配線を光化する技術である。
【0003】
波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)技術は、光通信ネットワークにおいて、一本の伝送媒体に波長ごとに異なる信号を重畳して伝送する技術である。WDM技術を用いた光通信では、使用する波長の数だけスペクトル利用効率が向上する。このため、WDM技術は、光伝送媒体や光コネクタ数の増大による配線ボリューム及びコストの制限を受けず伝送容量を増大できる技術として期待される。
【0004】
光モジュールのプラットフォームとして、Si(シリコン)フォトニクスが注目されている。Siフォトニクスでは、既存の半導体製造装置が利用される。これにより、フォトリソグラフィやエッチングなどの高精度な導波路加工や、変調器や受光器などの光デバイスの小型集積の技術、200mmあるいは300mmウェハプロセスによる生産性の高さを活かすことができる。
【0005】
さらに、Siの光導波路コアの周囲をSiOのクラッドで覆うことにより構成されるSi導波路では、光導波路コアとクラッドとの比屈折率差が40%に達し、非常に大きく確保される。この結果、光導波路コア内部に光を強く閉じ込めることができる。特にSi細線導波路では、曲げ導波路の曲率半径、及び、並走する導波路間の最小配線ピッチを数μmオーダーまで小さくできる。このため、WDMフィルタなどWDM技術に必須の光デバイスの小型化が可能になる。
【0006】
これらの特徴から、Siフォトニクスは、光モジュールを小型・低コストで実現するためのプラットフォームとして有望視されており、Siフォトニクスに関する様々な研究がなされている(例えば、特許文献1、若しくは、非特許文献1又は2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011-77133号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】IEEE J.Select. Topics Quantum Electron., Vol.11、pp.232-240, 2005
【非特許文献2】IEEE J.Select. Topics Quantum Electron., Vol.12、No.6, pp.1371-1379, November/December, 2006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
WDMフィルタとしてグレーティングを用いたものがある。グレーティングは、光導波路に周期的な屈折率変調領域が形成されて構成されている。グレーティングでは、Bragg条件を満たす波長(Bragg波長)において、前進波と後進波との相互結合が生じ、Bragg波長の光をアドドロップ的に取り出される。
【0010】
一般に、グレーティングにおけるBragg波長の光は、隣り合うピーク波長との波長間隔に対応するFSR(Free Spectral Range)が大きいので、1つのグレーティングで取り出せる波長は1つである。このため、複数の波長の光を取り出すためには、取り出す波長の数に応じた数のグレーティングが必要になる。さらに、グレーティングで、Bragg波長の光の強度を十分に稼ぐためには、数百μmオーダーの素子長が必要である。これらの理由から、複数のグレーティングを光回路に組み込むのは小型化の面で課題がある。
【0011】
また、上記の通り、1つのグレーティングで取り出せる波長は1つであるため、波長可変にしようとしても、Si導波路の温度依存性の制限により、可変波長域は数nmにとどまる、という課題もある。
【0012】
この発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものである。この発明の目的は、1つのグレーティングを用いて複数の波長の光を取り出せるグレーティングフィルタを提供することにある。また、この発明の他の目的は、動作波長域をダイナミックに変化させることができるグレーティングフィルタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した目的を達成するために、この発明のグレーティングフィルタの好適実施形態によれば、支持基板と、支持基板上に形成されるクラッドと、クラッド中に埋設され、支持基板の上面に平行に設けられる、光導波路コアとを備え、光導波路コアと、光導波路コアの周囲のクラッドから光導波路が構成される光導波路素子であって、グレーティングフィルタ部を備える。
【0014】
グレーティングフィルタ部において、光導波路コアが、メインコア、及び、第1~第N(Nは2以上の整数)コアを備える。メインコアが、順に直列に接続された、第1~第N結合コア、及び、周期的に屈折率が変調されたグレーティングを備える。第k(kは1以上N以下の整数)コアが、第k結合コアと光の相互結合が可能な程度に間隔を開けて並列に配置された第kサブ結合コアを備える。第k結合コアを伝搬する第k次モードの光と、第kサブ結合コアを伝搬する基本モードの光とが相互結合する。グレーティングは、TE(Transverse Electric)偏波及びTM(Transverse Magnetic)偏波の少なくとも一方の偏波に対して複数の高次モードが伝搬可能に構成される。グレーティングの屈折率変調周期Λ、第k波長λk、基本モードの光の等価屈折率n及び第k次モードの光の等価屈折率nが、Λ(n+n)=λを満たす。
【0015】
また、この発明のグレーティングフィルタの他の好適実施形態によれば、支持基板と、支持基板上に形成されるクラッドと、クラッド中に埋設され、支持基板の上面に平行に設けられる、光導波路コアとを備え、光導波路コアと、光導波路コアの周囲のクラッドから光導波路が構成される光導波路素子であって、第1グレーティングフィルタ部及び第2グレーティングフィルタ部を備える。第1及び第2グレーティングフィルタ部は、それぞれ、上記のグレーティングフィルタ部と同様に構成される。ここで、第1グレーティングフィルタ部の第kコアと、第2グレーティングフィルタ部の第kコアとが接続される。また、第1グレーティングフィルタ部のグレーティングおけるBragg波長の、隣り合うピーク波長との波長間隔と、2グレーティングフィルタ部におけるBragg波長の、隣り
合うピーク波長との波長間隔とが、互いに異なっており、第1グレーティングフィルタ部及び第2グレーティングフィルタ部の少なくとも一方のグレーティングの等価屈折率が可変である。
【0016】
上記グレーティングフィルタにおいて、好適には、グレーティングが、光の伝搬方向に沿った軸である伝送軸に対して、非対称である。また、グレーティングの周期Λが、光の伝搬方向に沿った軸である伝送軸に沿って、一定量ずつ変化しているチャープ構造であってもよい。
【発明の効果】
【0017】
この発明のグレーティングフィルタによれば、1つのグレーティングフィルタ部を備える構成により複数の波長の光を取り出すことができる。また、2つのグレーティングフィルタ部を備え、少なくとも一方のグレーティングフィルタ部のグレーティングにおける等価屈折率を可変にすることで、動作波長域をダイナミックに変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1グレーティングフィルタを示す模式図である。
図2】グレーティングを説明するための模式図である。
図3】結合領域を説明するための模式図である。
図4】第2グレーティングフィルタを示す模式図である。
図5】導波路幅に対する各伝送モードの等価屈折率を示す図である。
図6】グレーティングフィルタの透過スペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図を参照して、この発明の実施の形態について説明するが、各構成要素の形状、大きさ及び配置関係については、この発明が理解できる程度に概略的に示したものに過ぎない。また、以下、この発明の好適な構成例につき説明するが、各構成要素の材質及び数値的条件などは、単なる好適例にすぎない。従って、この発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の構成の範囲を逸脱せずにこの発明の効果を達成できる多くの変更又は変形を行うことができる。
【0020】
(第1実施形態)
図1~3を参照して、この発明のグレーティングフィルタの第1実施形態(第1グレーティングフィルタとも称する。)について説明する。図1は、第1グレーティングフィルタの一構成例を示す模式図である。図1(A)は、後述する支持基板及びクラッドを省略し、光導波路コアのみを示す概略的平面図である。図1(B)は、図1(A)に示すグレーティング素子の概略的断面図である。図2は、後述するグレーティングを説明するための模式図である。図2(A)~(C)は、それぞれ、非対称構造、対称構造及び反対称構造のグレーティングを示している。図3は、後述する結合領域を説明するための模式図である。図3(A)は、結合領域を示す概略平面図である。図3(B)は、結合領域における伝搬定数を模式的に示す図である。図3(B)では、横軸に、伝送軸Zに沿った位置を取って示し、縦軸に、伝搬定数βを取って示している。
【0021】
第1グレーティングフィルタは、支持基板10、クラッド20、及び、光導波路コア30を備え、光導波路コア30と、光導波路コア30の周囲のクラッド20から光導波路が構成され、グレーティングフィルタ部50を備える光導波路素子として構成される。
【0022】
支持基板10は、例えば単結晶Siを材料とした平板状体で構成されている。
【0023】
クラッド20は、支持基板10上に形成されている。クラッド20は、支持基板10の
上面を被覆し、かつ、光導波路コア30を包含して形成されている。クラッド20は、例えば酸化シリコン(SiO)を材料として形成されている。
【0024】
光導波路コア30は、クラッド20よりも高い屈折率を有する例えばSiを材料として形成されている。その結果、光導波路コア30と周囲のクラッド20は、光の伝送路(光導波路)として機能し、光導波路コア30に入力された光が光導波路コア30の平面形状に応じた伝播方向に伝播する。このように、光導波路コア30の平面形状と、光導波路の平面形状は同様になる。したがって、ここでは、光導波路コア30と光導波路とを区別せずに説明する場合がある。
【0025】
グレーティングフィルタ部50において、光導波路コア30は、メインコア100、及び、第1~第Nコア200-1~200~Nを備える。
【0026】
メインコア100は、順に直列に接続された、入出力ポート110、第1~第N結合コア120-1~N、及び、周期的に屈折率が変調されたグレーティング130を備えて構成される。第1~第N結合コア120-1~Nは、それぞれ、第1~第N結合領域150-1~Nに配置される。
【0027】
先ず、グレーティング130について説明する。
【0028】
グレーティング130は、図2(A)に示すように、光の伝搬方向である伝送軸Iに対して、非対称に構成されるのが良い。このため、グレーティング130は、例えば、光導波路コアの片側の側壁132aに周期的に凹凸を形成することで、周期的に屈折率が変調された屈折率変調構造が与えられて構成される。
【0029】
このグレーティング130は、TE偏波及びTM偏波の少なくとも一方の偏波に対して複数の高次モードが伝搬可能に構成される。グレーティング130では、グレーティング130を伝搬するTE偏波及びTM偏波の一方の偏波について、以下の式(1)を満たす第k波長λにおいて基本モードの前進波からk次モードの後進波へと変換される。
【0030】
【数1】
【0031】
ここで、上記式(1)において、Λ、n及びnは、それぞれ、グレーティングにおける屈折率変調周期、基本モードの等価屈折率、及び、k次モードの等価屈折率を表している。
【0032】
上記式(1)におけるn及びnは、波長の関数であるが、Λはグレーティングの設計に応じた周期に固定されてグレーティングが形成されている。同一の波長においてモード次数が高くなるほど、等価屈折率が低くなる。このため、上記式(1)から、高次モードほど、Bragg波長は短波長になる。したがって、グレーティング130で基本モードの前進波から後進波の波長は、N次モードの第N波長λが最も短波長となり、1次モードに向けてモード次数が低くなるにつれて第k波長λが長くなり、1次モードの第1波長λが最も長波長になる。すなわち、λ<λN-1<…<λ<…<λ<λとなる。
【0033】
グレーティング130を伝搬する前進波と後進波とのモード結合係数κfbは、前進波
の固有モードフィールドE、後進波の固有モードフィールドEに対して、以下の式(2)で与えられる。
【0034】
【数2】
【0035】
ここで、ωは光の角周波数、εは真空中の誘電率、及び、δεは屈折率変調構造により生じる基準導波路構造からの誘電率の摂動項である。
【0036】
固有モードフィールドは、伝搬方向に沿った伝送軸に直交し、かつ、支持基板の上面に平行な方向である幅方向について、電界(磁界)分布が対称な偶モードと、電界(磁界)分布が反対称な奇モードに大別できる。
【0037】
図2(B)に示すような、屈折率構造が幅方向について伝送軸Iに対して対称な構造の場合、偶モード同士又は奇モード同士においては、上記式(2)で与えられるモード結合係数κfbは0ではない有意な値となり、結合が可能である。しかし、偶モードと奇モードとの結合に関しては、電界分布のオーバーラップは対称×反対称となり打ち消しあう。このため、モード結合係数κfbは0となり相互結合を生じない。
【0038】
一方、図2(C)に示すような、屈折率構造が幅方向について伝送軸Iに対して反対称な構造の場合、偶モードと奇モードの結合に関しては、電界分布のオーバーラップは対称×反対称となり、そこに、屈折率の変動項の反対称性が加わるため、上記式(2)で与えられるモード結合係数κfbは0ではない有意な値となり、結合が可能である。しかし、偶モード同士又は奇モード同士においては、幅方向の電界分布のオーバーラップは、対称×対称又は反対称×反対称となり、そこに、屈折率の変動項の反対称性が加わり打ち消しあう。このため、モード結合係数κfbは0となり相互結合を生じない。
【0039】
したがって、基本モードを所定の次数までの全ての偶モード及び奇モードに結合可能にするため、グレーティング130として、片側の側壁132aに周期的に凹凸を形成することで、図2(A)に示すような、非対称構造の屈折率変調構造にするのがよい。
【0040】
グレーティング130における上記式(1)のBragg条件式について説明する。グレーティングの設計パラメータには、光導波路コアの平均幅W、光導波路コアの厚み、凸凹量D及び周期Λがある。ここで、光導波路コア30の厚みは使用するSOIウェハの仕様により一義に決まる。したがって、光導波路コアの幅W及び幅の凸凹量Dが自由度として挙げられる。波長λBraggにおいて基本モードの前進波が、k次モードの後進波に変換される場合、上記式(1)は、以下の式(3)に書き換えることができる。
【0041】
【数3】
【0042】
この場合、上記式(3)を満たす屈折率変調周期Λは、以下の式(4)で与えられる。
【0043】
【数4】
【0044】
同様に、同一の波長λBraggにおいて、基本モードの前進波がk-1次モードの後進波に変換されるために上記式(3)を満たす屈折率変調周期Λk-1は、以下の式(5)で与えられる。
【0045】
【数5】
【0046】
基本モードの前進波から、同一の波長λBraggのk次モードとk-1次モードの後進波に変換させるために必要な屈折率変調周期の差ΔΛは、以下の式(6)で与えられる。
【0047】
【数6】
【0048】
モード次数が高いほど、等価屈折率は小さくなる。すなわち、nk-1>nとなる。このため、上記式(3)から、Λk-1<Λとなる。ここで、屈折率変調周期が上記式(4)で与えられるΛの場合に、基本モードの前進波と、k-1次モードの後進波の結合について考える。これは、上記式(5)のΛk-1がΛk(=Λk-1+ΔΛ)に置き換えられ、ΔΛの分だけBragg波長がずれることを意味する。
【0049】
上記式(5)において、n+nk-1=n0k-1とする。また、基本モードの前進波とk次モードの後進波が結合するBragg波長を第1Bragg波長λと称し、基本モードの前進波とk-1次モードの後進波が結合するBragg波長を第2Bragg波長λk-1と称する。屈折率変調周期の差をΔΛを考慮すると、第1Bragg波長と第2Bragg波長の差Δλは、以下の式(7)で与えられ、FSRの目安となる。
【0050】
【数7】
【0051】
続いて、結合領域150について説明する。
【0052】
グレーティング130において後進波に変換されたk次モードとk-1次モードとは、互いに異なる特性を有している。このため、モードフィルタにより異なるポートに振り分けることができる。
【0053】
第1~第Nコア200-1~Nは、それぞれ、第1~第Nサブ結合コア220-1~Nを備えて構成される。第kコア200-kが備える第kサブ結合コア220-kは、第k結合領域150-kにおいて、メインコア100が備える第k結合コア120-kと、光の相互結合が可能な程度に間隔を開けて並列に配置されている。第kサブ結合コア220-kと、第k結合コア120-kとは非対称の方向性結合器を形成している。第k結合コア120-kと第kサブ結合コア220-kとは、光の伝送軸に沿って導波路の幅寸法が拡大又は縮小するテーパ構造を有している。第k結合コア120-kは、グレーティング130に向かうにつれて幅が拡大し、第kサブ結合コア220-kは、グレーティング130に向かうにつれて幅が縮小するように、第k結合コア120-kと第kサブ結合コア220-kの拡縮の方向が互い違いになっているのが好ましい。また、第kサブ結合コア220-kは、シングルモード導波路であるのが好ましい。
【0054】
ここで、第k結合領域150-kにおいては、第k結合コア120-kを伝搬するk次モードと、第kサブ結合コア220-kを伝搬する基本モードとが相互結合するように設定される。この相互結合する条件として、第k結合コア120-kを伝搬するk次モードの伝搬定数βと、第kサブ結合コア220-kを伝搬する基本モード光の伝搬定数βs0が一致する必要がある。
【0055】
図3(B)に示されるように、第k結合領域150の伝送軸に沿った開始点の伝送軸座標をZ、終了点の伝送軸座標をZとして、第k結合コア120-kを伝送するk+1次モードの伝搬定数βk+1、k次モードの伝搬定数β、k-1次モードの伝搬定数βk-1、及び、第kサブ結合コアを伝搬する基本モードの伝搬定数βs0が、それぞれ、開始点Zにおいてβ<βs0<βk-1を満たし、かつ、終了点Zにおいてβk+1<βs0<βを満たすように導波路パラメータを定める。
【0056】
上記のように導波路パラメータを定めると、伝送軸座標Z~Zにおいて、第k結合コア120-kを伝送するk次モード光の伝搬定数βと、第kサブ結合コア220-kを伝送する基本モードの伝搬定数βs0との一致点を見出すことができる。すなわち、第k結合領域150-kにおいて、両モード間の相互結合を生じることができる。さらに、第k結合コア120-kを伝送するk次モード光以外の次数のモード光は、第kサブ結合コア220-kの伝送モードとは相互結合を生じないため、次段の結合領域へと送り出される。
【0057】
このように、第k結合領域150-kは、第k+1結合領域150-(k+1)から送られてきた、第1~k次モード光から第k次モード光を取り出し、第1~(k-1)次モード光を第k-1結合領域150-(k-1)に送る。
【0058】
以上説明した構成により、第1グレーティングフィルタは、以下のように動作する。メインコア100の、入出力ポート110から入力された、基本モードの前進波は、第1~第N結合コア120-1~Nを順に伝搬して、グレーティング130に入力される。グレーティング130において、第1波長λの1次モード光、第2波長λの2次モード光、…、第k波長λのk次モード光、…、第N波長λのN次モード光の後進波に変換される。グレーティング130で変換された後進波は、グレーティング130から第N~第1結合コア120-N~1を順に伝搬する。第N結合領域150-Nでは、第N結合コア120-Nを伝搬する第N波長λのN次モード光が、第Nサブ結合コア220-Nを伝搬する基本モード光に結合され、第Nコア200-Nの入出力ポート210-Nから取り出される。第1~第N-1波長λ~λN-1の1次~N-1次モード光は、第N-1結合コア120-(N-1)に送られる。第N-1結合領域150-(N-1)では、第N-1結合コアを伝搬する第N-1波長λN-1のN-1次モード光が、第N-1サブ結合コア220-(N-1)を伝搬する基本モード光に結合され、第N-1コア200-(N
-1)の入出力ポート210-(N-1)から取り出される。第1~第N-2波長λ~λN-2の1次~N-2次モード光は、第N-2結合コア120-(N-2)に送られる。同様に、第k結合領域150-kでは、第k結合コア120-kを伝搬する第k波長λのk次モード光が、第kサブ結合コア220-kを伝搬する基本モード光に結合され、第kコア200-kの入出力ポート210-kから取り出される。第1~第k-1波長λ~λk-1の1次~k-1次モード光は、第k-1結合コア120-(k-1)に送られる。このように、後進波がグレーティングから第1結合コア120-1まで順に伝播するにつれて、固有の波長及び固有の次数の光が取り出される。この結果、第1~第Nコア200-1~Nの入出力ポート210-1~Nから、それぞれ、第1~第N波長λ~λの光を取り出すことができる。
【0059】
このように、このグレーティングフィルタによれば、1つのグレーティングにより異なる波長の光を異なる導波路を経て異なるポートから取り出すことができる。
【0060】
ここでは、グレーティングの屈折率変調周期Λを一定とした例を説明したが、グレーティングの屈折率変調周期Λを、光の伝搬方向の伝送軸に沿って、一定量ずつ変化しているチャープ構造としてもよい。
【0061】
(第2実施形態)
図4を参照して、この発明のグレーティングフィルタの第2実施形態(以下、第2グレーティングフィルタとも称する。)について説明する。図4は、第2フィルタの一構成例を説明するための模式図である。図4(A)は、後述する支持基板及びクラッドを省略し、光導波路コアのみを示す概略的平面図である。図4(B)及び図4(C)は、第2フィルタの動作を説明するための模式図である。
【0062】
第2グレーティングフィルタは、第1及び第2グレーティングフィルタ部50-1及び2を備えて構成される。第2グレーティングフィルタは、光導波路コアの平面形状が、第1グレーティングフィルタと異なっていて、その他の構成は、第1グレーティングフィルタと同様であるので、重複する説明を省略することもある。
【0063】
第1及び第2グレーティングフィルタ部50-1及び2は、第1グレーティングフィルタが備えるグレーティングフィルタ部と同様に構成される。第1グレーティングフィルタでは、第1~第Nコア200-1~Nの第1~第Nサブ結合コア220-1~Nが設けられている側とは反対側に入出力ポート210-1~Nが設けられていて、第1~第Nコアを伝搬する光を取り出すことができる。一方、第2グレーティングフィルタでは、第1グレーティングフィルタ部50-1の第1~第Nコア220-1~Nと、第2グレーティングフィルタ部50-2の第1~第Nコア220-1~Nとが相互に結合されている。
【0064】
第1グレーティングフィルタ部50-1における第k波長をλakとし、第2グレーティングフィルタ部50-2における第k波長をλbkとする。このとき、第1グレーティングフィルタ部50-1が備えるグレーティング(以下、第1グレーティングとも称する。)と、第2グレーティングフィルタ部50-2が備えるグレーティング(以下、第2グレーティングとも称する。)は、上記式(7)で与えられる、隣り合うBragg波長の波長間隔がわずかに異なるように設定される。すなわち、第1グレーティングにおける第k波長λak及び第k-1波長λak-1の差と、第2グレーティングにおける第k波長λbk及び第k-1波長λbk-1の差とが異なる。
【0065】
図4(B)に示すように、第1グレーティング130-1における第k波長λakと、第2グレーティングにおける第k波長λbkとが一致しているとすると、隣の波長である、第1グレーティングにおける第k-1波長λak-1と、第2グレーティング130-
2における第k-1波長λbk-1とが一致しない。このように、第1グレーティング130-1のBragg波長と第2グレーティング130-2のBragg波長とは、第kの波長λakとλbkのみが一致し、第kの波長以外では一致しない。
【0066】
この結果、第1グレーティングフィルタ部50-1の入出力ポート110-1から入力され、第1グレーティング130-1で反射された光のうち、第k波長λakのk次モードの光は、第k導波路220-kを経て第2グレーティングフィルタ部50-2に送られ、第2グレーティング130-2で反射されて基本モードの後進波となり、第2グレーティングフィルタ部50-2の入出力ポート110-2から出力される。しかし、第1グレーティングフィルタ部50-1から第2グレーティングフィルタ部50-2に送られた、第k波長λak以外の光については、出力されない。
【0067】
このように、第2フィルタでは、第1グレーティング130-1で変換された、第1~第N波長λ~λの光のうち、1つの波長の光のみを選択的に取り出すことができる。
【0068】
また、例えば、第1グレーティング130-1と第2グレーティング130-2の少なくとも一方に、ヒータにより熱を与えるなどして、等価屈折率を変化させる構成にすると、Bragg波長を変化させることができる。したがって、第1グレーティング130-1における第k波長λakと、第2グレーティング130-2における第k波長λbkとが一致している状態(図4(B))から、例えば、第2グレーティング130-2の等価屈折率を変化させ、図4(C)に示すように、第1グレーティング130-1における第k-1波長λak-1と、第2グレーティング130-2における第k-1波長λbk-1とが一致する状態にすることができる。
【0069】
この場合、第1グレーティング130-1のBragg波長と第2グレーティング130-2のBragg波長とは、第k-1波長λak-1ととλbk-1とのみが一致し、第k-1波長以外では一致しない。このように、ヒータで熱を与えるなどして、第2グレーティングフィルタ部50-2の入出力ポート110-2から所望の波長の光を選択的に取り出すことができる。
【0070】
したがって、グレーティングの可変波長域が狭くても、この第2グレーティングフィルタでは、可変波長域を広くすることができる。このように、従来のSi導波路型の波長フィルタに比べて、動作波長域をダイナミックに変化させることができる。
【0071】
(実施例)
第1グレーティングフィルタの構成例について設計条件を検討する。ここでは、一例として、Nを2として、グレーティングが、TE偏波に対して、基本モードTE0、1次モードTE1及び2次モードTE2が伝送可能である場合を説明する。
【0072】
図5は、導波路幅に対する各伝送モードの等価屈折率を示す図である。図5は横軸に導波路幅(nm)を取って示し、縦軸に等価屈折率Neffを取って示している。図5では、使用するSOIウェハのSOI層の厚み、すなわち、光導波路コアの厚みを220nmとしている。
【0073】
図5に示されるように、TE2が伝搬するためには、導波路幅は800nm以上あればよい。そこで、グレーティングにおける導波路コアの平均幅Wを1000nmとし、屈折率変調構造としての幅の凸凹量Dを200nmとした。
【0074】
グレーティングを伝搬する基本モードの前進波は、基本モード、1次モード及び2次モードの後進波と結合可能である。このうち、最も次数の高い2次モードの後進波と最短波
長で結合する。この2次モードの後進波の波長、すなわち、第2の波長λを例えば、1,500nmと設定する。上記式(4)に従い、各伝送モードの等価屈折率を代入すると屈折率変調周期Λとして310nmが得られる。同じ構造の同一波長条件において、グレーティングを伝送する基本モードの前進波が1次モードの後進波と結合するために必要な屈折率変調周期Λは、上記式(5)に従い282nmとなる。
【0075】
すなわち、波長1,500nmにおいて、基本モードの前進波が2次モードの後進波と結合するために必要な屈折率変調周期Λ(=310nm)と、基本モードの前進波が1次モードの後進波と結合するために必要な屈折率変調周期Λ(=282nm)との差ΔΛ(=Λ-Λ)は、28nmとなる。したがって、上記式(7)から求められる基本モードの前進波と1次モードの後進波との結合波長との差分Δλは約100nmとなり、λ=1,600nmとなる。
【0076】
グレーティングを伝搬する基本モードの前進波は、グレーティングにおいて、第2波長λ(=1,500nm)の2次モードの後進波、及び、第1波長λ(=1,600nm)の1次モードの後進波となり、第2結合コアに送られる。第2結合コアを伝搬する2次モードの後進波は、第2結合領域において、第2サブ結合コアを伝搬する基本モードと相互結合し、第2コアの入出力ポートから、第2波長λ(=1,500nm)の光を取り出すことができる。
【0077】
第2結合コアを伝搬する1次モードの後進波は、第1結合コアに送られる。第1結合コアを伝搬する1次モードの後進波は、第1結合領域において、第1サブ結合コアを伝搬する基本モードと相互結合し、第1コアの入出力ポートから、第1波長λ(=1,600nm)の光を取り出すことができる。
【0078】
上記一連の動作を検証するために、FDTD(Finite Differential Time Domain)法を用いたシミュレーションを行った。図6は、グレーティングフィルタの透過スペクトルを示す図である。図6では、横軸に波長(単位:nm)を取って示し、縦軸に透過強度(単位:dB)を取って示している。また、メインコア、第1導波路及び第2導波路の入出力ポートにおける、透過スペクトルを、それぞれ、曲線I,II及びIIIで示している。
【0079】
図6に示されるように、第2コア200-2からは、1500nmの波長の光が取り出され(III)、第1コア200-1から、1600nmの光が取り出されている(II)ことが確認できる。なお、メインコア100から取り出される1680nm付近の光は、基本モードの前進波が、基本モードの後進波に結合して、メインコアの入出力ポートから取り出されたものである(I)。
【0080】
以上説明したように、1つのグレーティングにおいて2の波長の光をそれぞれ異なるポートから取り出せることが検証できた。さらに、多くの波長を扱う場合には、グレーティングにおいて、より多くのモードが伝送できるように導波路寸法を定め、取り出す波長の数に応じた数の結合領域を設ければよい。
【符号の説明】
【0081】
10 支持基板
20 クラッド
30 光導波路コア
50 グレーティングフィルタ部
100 メインコア
110、210 入出力ポート
120 結合コア
130 グレーティング
200 コア
220 サブ結合コア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-04-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板と、
前記支持基板上に形成されるクラッドと、
前記クラッド中に埋設され、前記支持基板の上面に平行に設けられる、光導波路コアとを備え、
前記光導波路コアと、該光導波路コアの周囲の前記クラッドから光導波路が構成される光導波路素子であって、
第1及び第2グレーティングフィルタ部を備え
第1及び第2グレーティングフィルタ部のそれぞれにおいて、
前記光導波路コアが、メインコア、及び、第1~第N(Nは2以上の整数)コアを備え、
前記第1及び第2メインコアが、それぞれ、順に直列に接続された、第1~第N結合コア、及び、周期Λで周期的に屈折率が変調されたグレーティングを備え、
(kは1以上N以下の整数)コアが、第k結合コアと光の相互結合が可能な程度に間隔を開けて並列に配置された第kサブ結合コアを備え、
前記第k結合コアを伝搬する第k次モードの光と、前記第kサブ結合コアを伝搬する基本モードの光とが相互結合し、
前記グレーティングは、TE偏波及びTM偏波の少なくとも一方の偏波に対して複数の高次モードが伝搬可能に構成され、かつ、
前記グレーティングの屈折率変調周期Λ、第k波長λ、基本モードの光の等価屈折率n及び第k次モードの光の等価屈折率nが、Λ(n+n)=λを満たし、
前記第1グレーティングフィルタ部の第kコアと、前記第2グレーティングフィルタ部の第kコアとが接続され、
前記第1グレーティングフィルタ部のグレーティングおけるBragg波長の、隣り合うピーク波長との波長間隔と、前記第2グレーティングフィルタ部におけるBragg波長の、隣り合うピーク波長との波長間隔とが、互いに異なっており、
前記第1グレーティングフィルタ部及び前記第2グレーティングフィルタ部の少なくとも一方のグレーティングの等価屈折率が可変である
ことを特徴とするグレーティングフィルタ。
【請求項2】
前記グレーティングが、光の伝搬方向に沿った軸である伝送軸に対して、非対称である
ことを特徴とする請求項1に記載のグレーティングフィルタ。
【請求項3】
前記グレーティングの屈折率変調周期Λが、光の伝搬方向に沿った軸である伝送軸に沿って、一定量ずつ変化しているチャープ構造である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のグレーティングフィルタ。