(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022129462
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 25/065 20060101AFI20220830BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20220830BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20220830BHJP
H01L 23/29 20060101ALI20220830BHJP
H01L 21/56 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
H01L25/08 E
H01L23/12 501P
H01L21/60 301Z
H01L23/30 Z
H01L21/56 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021028130
(22)【出願日】2021-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 賢
【テーマコード(参考)】
4M109
5F044
5F061
【Fターム(参考)】
4M109AA01
4M109BA01
4M109CA01
4M109EA02
4M109EB12
5F044AA07
5F044FF04
5F044JJ03
5F061AA01
5F061BA01
5F061CA01
5F061CB03
5F061CB13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ワイヤの頭出しを容易に行う半導体装置および半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置1は、電極212が形成された第1の面としての一方の主面211を個々に有する複数の半導体チップ210と、第1の面に形成された電極212に重ならないように、第1の面上に順次積層される複数の半導体チップ210を封止する封止樹脂200と、複数の半導体チップ210の個々の電極212から、半導体チップ210の積層方向に封止樹脂200の内部を延びる複数のワイヤ230と、封止樹脂200に埋没された一端部が複数のワイヤ230のそれぞれと接続されており、封止樹脂200の積層方向側の表面である第2の面において他端部が封止樹脂200から露出する複数の端子240と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極が形成された第1の面を個々に有する複数の半導体チップと、
前記第1の面に形成された前記電極に重ならないように、前記第1の面上に順次積層される前記複数の半導体チップを封止する封止樹脂と、
前記複数の半導体チップの個々の前記電極から、前記半導体チップの積層方向に前記封止樹脂の内部を延びる複数のワイヤと、
前記封止樹脂に埋没された一端部が前記複数のワイヤのそれぞれと接続されており、前記封止樹脂の前記積層方向側の表面である第2の面において他端部が前記封止樹脂から露出する複数の端子と、を備える、
半導体装置。
【請求項2】
前記複数の端子の前記他端部は、
前記封止樹脂の前記第2の面側に設けられた再配線層に接続されている、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2の面側に配置されるプリント基板を更に備え、
前記複数の端子の前記他端部は、
複数のバンプを介して前記プリント基板に接続されている、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記封止樹脂と前記複数の端子との界面には、前記封止樹脂と前記複数の端子との間に介在される金属含有層が配置され、
前記金属含有層は、
前記複数のワイヤ及び前記複数の端子とは異なる金属材料を含む、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記金属含有層は、
Ti、TiN、Ta、及びTaNの少なくともいずれかを含む、
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記複数のワイヤ及び前記複数の端子は同種の金属材料を含む、
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記複数のワイヤ及び前記複数の端子は異なる種類の金属材料を含む、
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記複数のワイヤは、
Au、CuPd、Cu、及びAgの少なくともいずれかの金属材料を含み、
前記複数の端子は、
Cu、Ni、Sn、Au、W、及びAlの少なくともいずれかの金属材料を含む、
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記複数の半導体チップは、
前記第1の面上に順次積層される第1の半導体チップ群と、
前記第1の半導体チップ群よりも前記封止樹脂の前記第2の面に近い側で、前記第1の面上に順次積層される第2の半導体チップ群と、を含み、
前記第1の半導体チップ群の個々の前記電極から延びる前記複数のワイヤは、
個々の前記電極に接続され、前記半導体チップの積層方向に前記封止樹脂の内部を延びる第1のワイヤ群と、
前記第1のワイヤ群の前記電極との接続端の反対側の端部位置よりも前記封止樹脂の前記第2の面に近い側から、前記半導体チップの積層方向に前記封止樹脂の内部を前記封止樹脂の前記第2の面近傍まで延びる第2のワイヤ群と、を含み、
前記第1のワイヤ群のそれぞれのワイヤと、前記第1のワイヤ群のそれぞれのワイヤと対応する前記第2のワイヤ群のそれぞれのワイヤとを接続する複数の中継端子と、を備える。
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
電極が形成された第1の面を個々に有する複数の半導体チップを、前記第1の面に形成された前記電極に重ならないように前記第1の面上に順次積層し、
前記複数の半導体チップの個々の前記電極から前記半導体チップの積層方向に延びる複数のワイヤを形成し、
前記複数の半導体チップ及び前記複数のワイヤを封止樹脂により封止し、
前記封止樹脂の前記積層方向側の表面である第2の面であって、前記複数のワイヤにそれぞれ対応する位置に複数の凹部を形成して、前記複数の凹部の底面に前記複数のワイヤの端部をそれぞれ露出させ、
前記複数の凹部に金属材料を充填して前記複数のワイヤの端部にそれぞれ接続される複数の端子を形成する、
半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の半導体チップが封止された半導体装置がある。半導体チップは、半導体チップの表面に形成された電極に重ならないように積層されている。個々の電極からは、半導体チップの積層方向に封止樹脂の内部を複数のワイヤが延びる。複数のワイヤは、封止樹脂の表面側でビルドアップ層またはプリント基板等に接続されている。
【0003】
半導体装置の製造工程では、複数のワイヤをビルドアップ層またはプリント基板等に接続するため、例えば封止樹脂を研磨して封止樹脂の表面からワイヤを露出させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-043877号公報
【特許文献2】特開2013-175585号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2018/0174996号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
1つの実施形態は、ワイヤの頭出しを容易に行うことができる半導体装置および半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の半導体装置は、電極が形成された第1の面を個々に有する複数の半導体チップと、前記第1の面に形成された前記電極に重ならないように、前記第1の面上に順次積層される前記複数の半導体チップを封止する封止樹脂と、前記複数の半導体チップの個々の前記電極から、前記半導体チップの積層方向に前記封止樹脂の内部を延びる複数のワイヤと、前記封止樹脂に埋没された一端部が前記複数のワイヤのそれぞれと接続されており、前記封止樹脂の前記積層方向側の表面である第2の面において他端部が前記封止樹脂から露出する複数の端子と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態1にかかる半導体装置の構成の一例を示す図である。
【
図2】実施形態1にかかる半導体装置が備える端子の詳細構成を例示的に示す断面図である。
【
図3】実施形態1にかかる半導体装置の製造方法の手順の一例を示す断面図である。
【
図4】実施形態1にかかる半導体装置の製造方法の手順の一例を示す断面図である。
【
図5】比較例にかかる半導体装置の製造方法の手順の一例を示す断面図である。
【
図6】実施形態1の変形例1にかかる半導体装置の製造方法の手順の一例を示す断面図である。
【
図7】実施形態1の変形例2にかかる半導体装置の製造方法の手順の一例を示す断面図である。
【
図8】実施形態2にかかる半導体装置の製造方法の手順の一例を示す断面図である。
【
図9】実施形態2にかかる半導体装置の製造方法の手順の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により、本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0009】
[実施形態1]
以下、図面を参照して実施形態1について詳細に説明する。
【0010】
(半導体装置の構成例)
図1は、実施形態1にかかる半導体装置1の構成の一例を示す図である。
図1(a)は半導体装置1の断面図であり、
図1(b)は半導体装置1が備えるビルドアップ層300の平面図である。
【0011】
なお、本明細書では、半導体装置1のリードフレーム100の側を下方とし、半導体装置1のボールグリッドアレイ410の側を上方とする。また、半導体装置1の下方から上方へと向かう方向を半導体チップ210,220の積層方向と呼ぶ。
【0012】
図1(a)に示すように、実施形態1の半導体装置1は、リードフレーム100、封止樹脂200、複数の半導体チップ210,220、複数のビルドアップ層300、及びボールグリッドアレイ410を備える。
【0013】
リードフレーム100はFe、Cu、Ni、Si、Mg等の金属またはこれらの少なくとも一つを含む合金から構成される金属薄板である。リードフレーム100の厚さは例えば23μm程度である。ただし、複数の半導体チップ210,220を積層する際の支持基板となり得るものであれば、リードフレーム100の代わりに、Si基板、ガラス、ステンレス等の平板状の部材を用いることができる。
【0014】
複数の半導体チップ210は、電極212が形成された第1の面としての一方の主面211を個々に有する。個々の半導体チップ210は、例えば電極212が形成された面と同じ主面211側に不揮発性メモリを有する半導体チップである。主面211は、半導体装置1内において上側、つまり、リードフレーム100とは反対の側を向いている。
【0015】
半導体チップ220は、電極222が形成された第1の面としての一方の主面221を個々に有する。個々の半導体チップ220は、例えば電極222が形成された面と同じ主面221側にロジック回路を有する。ロジック回路は、半導体チップ210が有する不揮発性メモリを制御する。主面221は、半導体装置1内において上側、つまり、リードフレーム100とは反対の側を向いている。
【0016】
封止樹脂200は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂等であり、リードフレーム100上に配置される複数の半導体チップ210,220を封止する。封止樹脂200はガラス等の無機物のフィラーを含んでいる。
【0017】
このとき、複数の半導体チップ210は、主面211に形成された電極212に互いが重ならないように、互いにずれて順次積層されている。
【0018】
一番下側である1つ目の半導体チップ210はリードフレーム100上に配置される。
【0019】
下から数えて2番目である2つ目の半導体チップ210は、1つ目の半導体チップ210の主面211上であって、1つ目の半導体チップ210の直上から水平方向に若干ずれた位置に配置される。これにより、2つ目の半導体チップ210は、1つ目の半導体チップ210の電極212に重なることなく1つ目の半導体チップ210上に積層される。
【0020】
下から数えて3番目である3つ目の半導体チップ210は、2つ目の半導体チップ210の主面211上であって、2つ目の半導体チップ210の直上から2つ目の半導体チップ210と同じ方向に更にずれた位置に配置される。これにより、3つ目の半導体チップ210は、1つ目および2つ目の半導体チップ210の電極212に重なることなく2つ目の半導体チップ210上に積層される。
【0021】
以降、下から数えて4番目である4つ目の半導体チップ210についても同様である。なお、半導体装置1に含まれる半導体チップ210の数および積層数は任意である。
【0022】
半導体チップ220は、最も上方に位置する半導体チップ210であって、
図1の例では4つ目の半導体チップ210上に、半導体チップ210の電極212に重ならないように配置される。ここで、半導体チップ220は、例えば複数の半導体チップ210よりもチップ面積が小さい。このため、例えば半導体チップ220の直下に配置された半導体チップ210の主面211からはみ出させることなく、かつ、半導体チップ210の電極212に重ならないように、半導体チップ210上に半導体チップ220を積層することができる。
【0023】
ただし、複数の半導体チップ210の一部または全部が異なるチップ面積を有していてもよい。この場合、リードフレーム100側から、チップ面積の大きい順に半導体チップ210を積層してもよい。これにより、下方の半導体チップ210の主面211からはみ出させることなく、かつ、個々の電極212に重ならないように、これらの一部または全部の半導体チップ210が積層されていてもよい。
【0024】
複数の半導体チップ210,220のもう一方の主面には接着剤等が塗布され、下方に配置されるリードフレーム100または半導体チップ210の主面211に接着されている。接着剤はたとえばDAF(Die Attach Film)等でもよい。
【0025】
なお、個々の半導体チップ210,220の厚さは、例えば30μm~40μm程度である。また、半導体チップ210,220の積層数にもよるが、半導体チップ210,220全体を封止する封止樹脂200の厚さは例えば700μm程度である。
【0026】
複数の半導体チップ210,220の個々の電極212,222からは、半導体チップ210,220の積層方向に、封止樹脂200の内部から封止樹脂200の表面へ向かって複数のワイヤ230が延びている。つまり、複数のワイヤ230は、略垂直に封止樹脂200の上方側へ向かって延びている。
【0027】
複数のワイヤ230のそれぞれの間隔は、複数の半導体チップ210,220間の個々の電極212,222同士の水平方向の間隔に略等しく、例えば250μm程度である。それぞれのワイヤ230の径は例えば23μm程度である。
【0028】
複数のワイヤ230は例えばAuを主成分とする。ただし、複数のワイヤ230は、例えばAu、CuPd、Cu、及びAgの少なくともいずれかの金属材料を含んで構成されていてよい。
【0029】
封止樹脂200の第2の面としての上面、つまり、リードフレーム100側とは反対の表面付近であって、複数のワイヤ230と対応する位置には、複数の端子240が配置されている。複数の端子240の一端部は、封止樹脂200に埋没し、複数のワイヤ230のそれぞれと接続されている。複数の端子240の他端部は、封止樹脂200の表面に露出している。
【0030】
個々の端子240の水平断面形状は例えば円形または楕円形等である。個々の端子240の径は、個々のワイヤ230の径よりも大きく、例えば40μm~50μm程度である。これにより、個々のワイヤ230と個々の端子240とをより確実に接続することができる。
【0031】
複数の端子240は例えばCuを主成分とする。ただし、複数の端子240は、例えばCu、Ni、Sn、Au、W、及びAlの少なくともいずれかの金属材料を含んで構成されていてもよい。
【0032】
ここで、複数の端子240は、複数のワイヤ230と同種の金属材料を主成分とし、または、複数のワイヤ230と同種の金属材料を含んでいてよい。あるいは、複数の端子240は、複数のワイヤ230とは異なる金属材料を主成分とし、または、複数のワイヤ230とは異なる金属材料を含んでいてよい。
【0033】
複数のビルドアップ層300は、リードフレーム100側とは反対の封止樹脂200の表面側に配置される。個々のビルドアップ層300は、ポリイミド樹脂またはエポキシ樹脂等で構成される絶縁層320中に配置された再配線層310を備える。再配線層310は例えばCu等の金属材料を主成分として構成される。再配線層310の厚さは例えば50nm~100nm程度である。複数のビルドアップ層300は、このような再配線層310を有する絶縁層320が複数積層されることで、複数階層の再配線層310が積層された構造を備える。
【0034】
複数のビルドアップ層300の最下面、つまり、封止樹脂200の表面側に設けられた再配線層310は、封止樹脂200の表面に露出する複数の端子240の上端部に接続されている。これにより、複数の半導体チップ210,220の個々の電極212,222を、ワイヤ230及び端子240によって封止樹脂200の表面に引き出し、更に、再配線層310によってビルドアップ層300の面上を自在に引き回すことができる。その様子を
図1(b)に示す。
【0035】
図1(b)に示すビルドアップ層300は、例えば複数のビルドアップ層300の最下層のビルドアップ層300である。
図1(b)に示すように、最下層のビルドアップ層300においては、一端部が端子240に接続された再配線層310が絶縁層320中を延び、他端部がビルドアップ層300の他の場所に配置されている。
【0036】
なお、複数のビルドアップ層300の厚さ方向の中心部分には、ポリイミド樹脂またはエポキシ樹脂等で構成される図示しないコア層が配置されていてもよい。つまり、複数のビルドアップ層300のうちの一部がコア層の下面側に配置され、他の一部がコア層の上面側に配置されていてもよい。このようなコア層を備えることによって、半導体装置1の全体をより強固に支持することができる。
【0037】
複数のビルドアップ層300の最上面、つまり、封止樹脂200側とは反対の面には、再配線層310と接続される複数の電極パッド330が配置されている。
【0038】
ボールグリッドアレイ410は、ビルドアップ層300上にグリッド状に配置される複数の半田ボール411を備える。個々の半田ボール411は、最上層のビルドアップ層300の複数の電極パッド330にそれぞれ接続されている。
【0039】
実施形態1の半導体装置1は、ボールグリッドアレイ410を介して、プリント基板(PCB:Printed Circuit Board)等のマザーボードに実装されることができる。
【0040】
図2は、実施形態1にかかる半導体装置1が備える端子240の詳細構成を例示的に示す断面図である。
図2(a)は端子240の詳細構成の一例であり、
図2(b)は端子240の詳細構成の他の例であり、
図2(c)は端子240の詳細構成の更に他の例である。
【0041】
図2(a)~(c)に示すように、封止樹脂200と複数の端子240との界面には、封止樹脂200と複数の端子240との間に介在されるバリア層250が配置される。つまり、バリア層250は、封止樹脂200に埋没した個々の端子240の側面および底面に配置されている。
【0042】
金属含有層としてのバリア層250は、複数のワイヤ及び前記複数の端子とは異なる金属材料を含み、例えばCu等を主成分とする端子240のCu成分が周囲に拡散してしまうことを抑制する。具体的には、バリア層250は例えばTiNを主成分とする。ただし、バリア層250は、Ti、TiN、Ta、及びTaNの少なくともいずれかを含んで構成されていてよい。バリア層250は、例えば数十nm~数百nm程度の厚さを有する。この程度の厚さがあれば、Cu等の周囲への拡散を抑制する効果が得られる。
【0043】
ここで、複数の端子240は、上述のように複数のワイヤ230のうち対応するワイヤ230とそれぞれ接続されている。
【0044】
図2(a)に示す例では、封止樹脂200中を半導体チップ210,220の積層方向に延びるワイヤ230は、端子240自体には到達しておらず、端子240の下端部に配置されるバリア層250と接している。バリア層250もまた、金属を含有し導電性を有するため、ワイヤ230は、バリア層250を介して端子240と接続される。
【0045】
図2(b)に示す例では、封止樹脂200中を半導体チップ210,220の積層方向に延びるワイヤ230は、端子240の下端部よりも若干上方の位置にまで到達している。しかし、端子240の内部に延びるワイヤ230はバリア層250に覆われている。したがって、この場合も、ワイヤ230はバリア層250を介して端子240と接続される。
【0046】
図2(c)に示す例では、封止樹脂200中を半導体チップ210,220の積層方向に延びるワイヤ230は、端子240の下端部に配置されるバリア層250を貫通し、端子240の内部にまで到達している。この場合、ワイヤ230はバリア層250を介することなく端子240と直接接続される。
【0047】
実施形態1の半導体装置1においては、
図2(a)~(c)のいずれの形態で、ワイヤ230と端子240とが接続されていてもよい。または、
図2(a)~(c)以外であっても、ワイヤ230と端子240とが電気的に接続可能であれば、半導体装置1はどのような形態を取ることもできる。
【0048】
(半導体装置の製造方法)
次に、
図3及び
図4を用いて、実施形態1の半導体装置1の製造方法について説明する。
図3及び
図4は、実施形態1にかかる半導体装置1の製造方法の手順の一例を示す断面図である。
【0049】
図3(a)に示すように、電極212が形成された主面211を個々に有する複数の半導体チップ210を、それぞれの主面211に形成された電極212に重ならないように主面211上に順次積層する。つまり、リードフレーム100上に、1つ目の半導体チップ210を接着剤で固定する。また、2つ目、3つ目・・・の半導体チップ210を、順次水平方向にずらしつつ、下層の半導体チップ210の主面211に接着剤で固定していく。
【0050】
また、電極222が形成された主面221を有する半導体チップ220を、積層された複数の半導体チップ210の最上層の半導体チップ210の主面211上に、半導体チップ210の主面211に形成された電極212に重ならないように積層する。つまり、最上面となった最上層の半導体チップ210の主面211上に、半導体チップ220を接着剤で固定する。
【0051】
また、複数の半導体チップ210,220の個々の電極212,222から半導体チップ210,220の積層方向に延びる複数のワイヤ230を形成する。複数のワイヤ230は、上述の通り例えばAuを主成分とする金属材料から形成することができる。ただし、複数のワイヤ230は、上述のように例えばAu、CuPd、Cu、及びAgの少なくともいずれかの金属材料から形成されてよい。
【0052】
またこのとき、複数のワイヤ230は、最上面となった最上層の半導体チップ220の主面221よりも高い位置にまで到達させる。複数のワイヤ230の電極212,222との接続端の反対側の端部の積層方向における位置は、互いに略等しいことが望ましい。つまり、複数のワイヤ230の端部は水平方向の高さ位置が略等しいことが望ましい。
【0053】
ここで、複数のワイヤ230の端部位置が略等しいとは、これらの端部位置が実質的に等しいことを意味する。実質的に等しいとは、例えばこれらの端部位置のばらつきを製造誤差の範囲内で許容することを意味する。
【0054】
図3(b)に示すように、複数の半導体チップ210,220及び複数のワイヤ230を封止樹脂200により封止する。つまり、リードフレーム100と、リードフレーム100上に積層された複数の半導体チップ210,220とを図示しない金型の内部に配置し、金型の内部をエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂で充填する。また、金型全体を加熱して熱硬化性樹脂を硬化させる。これにより、複数の半導体チップ210,220及び複数のワイヤ230が封止樹脂200により封止される。
【0055】
このとき、半導体チップ220の上方位置にまで達するワイヤ230の端部までもが封止樹脂200の内部に埋没するよう、複数の半導体チップ210,220及び複数のワイヤ230を封止樹脂200で覆う。最終的な封止樹脂200の厚さが、上述の通り例えば700μm程度とすると、この時点での封止樹脂200の厚さは例えば900μm程度である。
【0056】
図3(c)に示すように、封止樹脂200の上面、つまり、リードフレーム100が配置される側とは反対側の表面を、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)法等によって研磨する。このとき、例えば封止樹脂200等の樹脂材料の研磨に適したスラリーを用いる。またこのとき、複数のワイヤ230の上端部から封止樹脂200の研磨面までの厚さが数μm~10μm程度となるよう、封止樹脂200の研磨量を調整する。
【0057】
図3(d)に示すように、封止樹脂200の積層方向側の表面であって、複数のワイヤ230にそれぞれ対応する位置に複数の凹部201を形成して、複数の凹部201の底面に複数のワイヤ230の端部をそれぞれ露出させる。このような凹部201は、例えばフォトリソグラフィ及びエッチング加工等により形成することができる。
【0058】
すなわち、封止樹脂200の表面に、凹部201のパターンを有する図示しないレジストパターンを形成する。また、レジストパターンをマスクとして封止樹脂200をエッチング加工する。これにより、封止樹脂200の表面に複数の凹部201を形成することができる。
【0059】
ここで、例えば凹部201のエッチング深さを制御することで、凹部201の底面にワイヤ230の端部を露出させることができる。このとき、凹部201のエッチング深さに応じて、凹部201の底面から露出するワイヤ230の露出量が変わり、この後の処理によって、例えば上述の
図2(a)~(c)までのいずれかの状態が得られる。
【0060】
図3(e)~(g)は、複数の凹部201に金属材料を充填して複数のワイヤ230の端部にそれぞれ接続される複数の端子240を形成する様子を示している。以下に、
図3(e)~(g)の処理について詳細に説明する。
【0061】
図3(e)に示すように、封止樹脂200の表面全体を覆う導電層240bを形成する。導電層240bは、例えばCuめっき等によって形成される。これにより、導電層240bは、封止樹脂200の表面に形成された複数の凹部201の内部にも充填される。
【0062】
ここで、封止樹脂200の複数の凹部201には予め、複数のワイヤ230及び複数の端子240とは異なる金属材料を含むバリア層250(
図2参照)を形成しておく。具体的には、バリア層250は、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法、スパッタリング法等により形成される。
【0063】
これにより、封止樹脂200の表面、及び封止樹脂200の表面に形成された複数の凹部201の側面および底面に、例えばTiN等を主成分とするバリア層250が形成される。ただし、バリア層250は、上述のように例えばTi、TiN、Ta、及びTaNの少なくともいずれかを含んで形成されてよい。
【0064】
なお、上記いずれかの材料を含むバリア層250を、例えばスパッタリング法によっても形成可能とした。しかし、バリア層250が形成される凹部201は微細であり、凹部201同士の間隔が狭いので、上述のように例えばCVD法等でバリア層250を形成することが好ましい。
【0065】
上記のようにバリア層250を形成した後、上述のようにCuめっき等によって導電層240bを形成することで、バリア層250を介して、複数の凹部201にCu等の金属材料が充填される。
【0066】
図3(f)に示すように、例えばCMP法等によって導電層240bを研磨する。このとき、例えばCu等の金属材料の研磨に適したスラリーを用いる。これにより、封止樹脂200上に形成された導電層240bが除去され、凹部201内にバリア層250を介して充填された導電層240bが残る。なお、このとき、封止樹脂200上のバリア層250も除去される。
【0067】
図3(g)に示すように、例えば樹脂材料の研磨に適したスラリーを用いたCMP法等によって、封止樹脂200の表面を更に研磨する。このような研磨は、例えばタッチアップ研磨または仕上げ研磨等と呼ばれる。
【0068】
これにより、封止樹脂200の凹部201内の導電層240bを、より確実に封止樹脂200の表面に頭出しすることができる。また、導電層240bの露出面が窪んだディッシング形状となることなどを抑制することができる。
【0069】
CMP法により、このような微調整を行うには、予め実験等で適正な研磨時間を割り出しておき、時間を固定して封止樹脂200を研磨すればよい。
【0070】
あるいは、積層された半導体チップ210,220の最上面である半導体チップ220の主面221からの研磨面の距離を計測しつつ封止樹脂200を研磨してもよい。半導体チップ220の主面221からの研磨面の距離は、例えば半導体チップ220の主面221からの反射光を検出することで特定することができる。
【0071】
以上により、例えばCuを主成分とし、封止樹脂200の表面から上端部が露出し、下端部が複数のワイヤ230にそれぞれ接続された複数の端子240が形成される。ただし、複数の端子240は、上述のように例えばCu、Ni、Sn、Au、W、及びAlの少なくともいずれかの金属材料から形成されてよい。
【0072】
この時点で、封止樹脂200の厚さは、完成品の半導体装置1が備える封止樹脂200と同様、例えば700μm程度となる。
【0073】
図3(h)~
図4(d)は、封止樹脂200の表面側に、複数の端子240に接続される再配線層310が配置されたビルドアップ層300を形成する様子を示している。以下に、
図3(h)~
図4(d)の処理について詳細に説明する。
【0074】
図3(h)に示すように、封止樹脂200の上面に、ポリイミド樹脂またはエポキシ樹脂等で構成され、再配線層パターン320pを有する絶縁層320を形成する。
【0075】
図4(a)に示すように、絶縁層320の上面、再配線層パターン320pの側面、並びに再配線層パターン320pから露出した封止樹脂200の上面および複数の端子240の上面に、例えば無電解めっき等によってシード層310sを形成する。シード層310sは例えばCu等の金属材料を主成分とする。ただし、シード層310sが、下層にTi等を主成分とする層と、上層にCu等を主成分とする層との複数層が積層されて形成されていてもよい。
【0076】
図4(b)に示すように、絶縁層320の上面に、シード層310sを介してレジストパターン500を形成する。レジストパターン500は、絶縁層320の再配線層パターン320pと重なる位置に再配線層パターン500pを有する。
【0077】
図4(c)に示すように、Cuめっき等により、例えばCu等を主成分とする導電層310fを、再配線層パターン320p,500pから露出するシード層310s上に選択的に形成する。これにより、絶縁層320の再配線層パターン320p内に導電層310fが充填される。
【0078】
図4(d)に示すように、絶縁層320の上面から、レジストパターン500及びシード層310sを除去する。レジストパターン500は、例えば酸素プラズマ等を用いたアッシングにより除去することができる。シード層310sは例えば薬液を用いたウェットエッチング等により除去することができる。
【0079】
以上により、複数の端子240と接続された再配線層310及び再配線層310が配置された絶縁層320を有するビルドアップ層300が形成される。ここで形成されたビルドアップ層300は、複数のビルドアップ層300のうち最下層のビルドアップ層300である。
【0080】
図4(e)に示すように、
図3(h)~
図4(d)の処理を繰り返して複数のビルドアップ層300を積層する。また、最上層のビルドアップ層300の上面に電極パッド330を形成する。また、電極パッド330上に、電極パッド330に接続される複数の半田ボール411を形成し、グリッド状に配置される半田ボール411を有するボールグリッドアレイ410を形成する。
【0081】
以上により、実施形態1の半導体装置1が製造される。
【0082】
(比較例)
次に、
図5を用いて、比較例の半導体装置の製造方法について説明する。
図5は、比較例にかかる半導体装置の製造方法の手順の一例を示す断面図である。
【0083】
図5(a)に示すように、リードフレーム100’上に、複数の半導体チップ210’,220’を積層し、半導体チップ210’,220’の個々の電極から、半導体チップ210’,220’の積層方向に延びる複数のワイヤ230’を形成する。また、複数の半導体チップ210’,220’及び複数のワイヤ230’を封止樹脂200’で封止する。
【0084】
図5(b)に示すように、封止樹脂200’の表面を研磨して、複数のワイヤ230’の端部を封止樹脂200’の表面に露出させる。なお、複数のワイヤ230’が露出した後も、封止樹脂200’及び複数のワイヤ230’の研磨を所定の間、継続することにより、複数のワイヤ230’が、より確実に頭出しされる。
【0085】
図5(c)に示すように、封止樹脂200’の表面から露出した複数のワイヤ230’の端部に接続する複数の電極パッド230p’を形成する。複数のワイヤ230’は、電極パッド230p’を介して図示しないビルドアップ層に接続される。
【0086】
実施形態1の半導体装置1は、複数のワイヤ230を封止樹脂200の表面近傍まで延伸させなくとも、封止樹脂200に埋没したワイヤ230の端部が端子240に接続されることで、封止樹脂200の表面に電気的にワイヤ230を引き出すことができる。したがって、封止樹脂200の層厚に対し、ワイヤ230の元の長さを短くすることができ、封止の際のワイヤ230の歪みを抑制することができる。また、ワイヤ230と接続する端子240の径を大きくしなくともよい。
【0087】
実施形態1の半導体装置1は、封止樹脂200とワイヤ230とを共に研磨する必要が無い。このため、研磨後の封止樹脂200の表面の平坦性を維持することができる。したがって、端子240を介したワイヤ230とビルドアップ層300との接続不良を抑制することができる。
【0088】
実施形態1の半導体装置1は、ワイヤ230を研磨する必要が無いので、ワイヤ230の延伸を抑制することができる。したがって、ワイヤ230の構成材として、例えばAu等の延性が高い金属材料を選択することもできる。これにより、ワイヤ230の構成材の選択肢が増え、半導体装置1の設計が容易となり、また、半導体装置1の電気的な特性を向上させることができる。
【0089】
なお、上述の実施形態においては、半導体チップ210の電極212と同様、半導体チップ220の電極222には、ワイヤ230が接続されることとした。しかし、半導体チップ220は最上層のチップであって、封止樹脂200の表面との距離が近い。このため、半導体チップ220の電極222には、ワイヤ230の代わりにCu等から構成される柱状の金属部材が接続されていてもよい。このような金属部材は、例えば金属ピラーとも呼ばれる。金属ピラーは例えばメッキ法により形成されてもよい。
【0090】
また、半導体チップ220は、コントローラチップでもよい。このときコントローラチップはパッド間のピッチが半導体チップ210よりも狭くともよい。パッド間のピッチが狭いと、ワイヤボンディングが難しいため、上記の金属ピラーをメッキ法により形成することが選択される。金属ピラーは、コントローラチップが半導体チップ210に積層される前に、コントローラチップに形成される。ただし、金属ピラーはコントローラチップを半導体チップ210に積層した後に形成してもよい。
【0091】
また、リードフレーム100から上に伸び、再配線層310と接続するワイヤがあってもよい。このとき、リードフレーム100にはボールグリッドアレイ410の1つの半田ボール411から、接地電圧または電源電圧が供給される。ただし、リードフレーム100に、それ以外の電圧が供給されてもよい。
【0092】
(変形例1)
次に、
図6を用いて、実施形態1の変形例1の半導体装置1aについて説明する。変形例1の半導体装置1aは、端子242と再配線層311とが一括して形成される点が、上述の実施形態1とは異なる。
【0093】
図6は、実施形態1の変形例1にかかる半導体装置1aの製造方法の手順の一例を示す断面図である。
図6の処理に先立って、変形例1の半導体装置1aの製造方法では、上述の実施形態1の
図3(a)~(c)までの処理を行う。
【0094】
図6(a)(b)は、封止樹脂200の表面に複数の凹部202を形成する様子を示している。以下に、
図6(a)~(c)の処理の詳細について説明する。
【0095】
図6(a)に示すように、封止樹脂200の表面を覆い、再配線層パターン321pと凹部パターン322pとを有する絶縁層320aを形成する。絶縁層320aの再配線層パターン321p及び凹部パターン322pは、例えばフォトリソグラフィ及びエッチング加工等により形成することができる。
【0096】
すなわち、封止樹脂200の表面に、再配線層パターン321p及び凹部パターン322p形成前の絶縁層320aを形成する。また、絶縁層320a上に、再配線層パターン及び凹部パターンを有する図示しないレジストパターンを形成する。また、レジストパターンをマスクとして絶縁層320aをエッチング加工する。これにより、再配線層パターン321p及び凹部パターン322pを絶縁層320aに形成することができる。
【0097】
図6(b)に示すように、凹部パターン322pを封止樹脂200に転写して複数の凹部202を形成する。凹部202は、例えばフォトリソグラフィ及びエッチング加工等により転写することができる。
【0098】
すなわち、絶縁層320aの凹部パターン322pと重なる位置に、凹部パターンを有する図示しないレジストパターンを絶縁層320a上に形成する。また、レジストパターンをマスクとして封止樹脂200をエッチング加工する。これにより、封止樹脂200の表面に複数の凹部202が形成される。複数の凹部202の底面にはワイヤ230がそれぞれ露出する。
【0099】
図6(c)は、複数の端子242及び再配線層311を形成する様子を示している。すなわち、封止樹脂200の複数の凹部202及び絶縁層320aの再配線層パターン321pに一括して金属材料を充填する。このとき、例えば上述の実施形態1の
図4(a)~(d)に示す再配線層310の形成手法が用いられてよい。
【0100】
複数の凹部202に充填された金属材料によって複数の端子242が形成される。また、これと並行して、絶縁層320aの再配線層パターン321pに充填された金属材料によって再配線層311が形成される。
【0101】
以上により、複数の端子242と接続された再配線層311及び再配線層311が配置された絶縁層320aを有するビルドアップ層300aが形成される。ここで形成されたビルドアップ層300aは最下層のビルドアップ層300aである。
【0102】
図6(d)に示すように、上述の実施形態1の
図3(h)~
図4(d)の処理を繰り返して複数のビルドアップ層300を形成する。これにより、最下層にビルドアップ層300aを有し、複数層が積層されたビルドアップ層300が形成される。
【0103】
また、最上層のビルドアップ層300の上面に電極パッド330を形成する。また、電極パッド330上に、電極パッド330に接続される複数の半田ボール411を形成し、グリッド状に配置される半田ボール411を有するボールグリッドアレイ410を形成する。
【0104】
以上により、変形例1の半導体装置1aが製造される。
【0105】
変形例1の半導体装置1aによれば、上述の実施形態1の半導体装置1と同様の効果を奏する。
【0106】
変形例1の半導体装置1aの製造方法によれば、再配線層パターン321pと凹部パターン322pとを有する絶縁層320aを形成し、凹部パターン322pが転写された封止樹脂200の複数の凹部202、及び絶縁層320aの再配線層パターン321pに一括して金属材料を充填する。これにより、複数の端子242及び再配線層311を一括で形成することができ、半導体装置1aの製造効率を高めることができる。
【0107】
(変形例2)
次に、
図7を用いて、実施形態1の変形例2の半導体装置1bについて説明する。変形例2の半導体装置1bは、複数のビルドアップ層300に替えてプリント基板600を備える点が、上述の実施形態1とは異なる。
【0108】
図7は、実施形態1の変形例2にかかる半導体装置1bの製造方法の手順の一例を示す断面図である。
図7の処理に先立って、変形例2の半導体装置1bの製造方法では、上述の実施形態1の
図3(a)~(g)までの処理を行う。
【0109】
図7(a)は、複数の端子240に複数のバンプ261を形成する様子を示している。すなわち、封止樹脂200の表面である研磨面に露出した複数の端子240のそれぞれの上端部に複数のバンプ261を形成する。
【0110】
図7(b)に示すように、封止樹脂200の表面側にプリント基板600を配置して複数のバンプ261に接続する。プリント基板(PCB)600は、例えばポリイミド樹脂またはエポキシ樹脂等で構成された基材に種々の配線が形成されたプリメイドのパッケージ基板である。
【0111】
プリント基板600上には、複数の半田ボール421をグリッド状に形成して、複数の半田ボール421を備えるボールグリッドアレイ420を形成する。変形例2の半導体装置1bは、ボールグリッドアレイ420を介して、他のプリント基板等のマザーボードに実装される。
【0112】
以上により、変形例2の半導体装置1bが製造される。
【0113】
このように、変形例2の半導体装置1bは、封止樹脂200の表面側に配置されるプリント基板600を備える。また、複数の端子240の上端部は、複数のバンプ261を介してプリント基板600に接続されている。
【0114】
変形例2の半導体装置1bによれば、上述の実施形態1の半導体装置1と同様の効果を奏する。
【0115】
変形例2の半導体装置1bの製造方法によれば、複数のビルドアップ層300に替えて、プリント基板600を備える半導体装置1bを製造することができる。
【0116】
[実施形態2]
以下、図面を参照して実施形態2について詳細に説明する。実施形態2の半導体装置は複数段が積み重ねられた構造を有する点が、上述の実施形態1とは異なる。
【0117】
以下に、
図8及び
図9を用いて、実施形態2の半導体装置2a,2bの製造方法について説明する。
図8及び
図9は、実施形態2にかかる半導体装置2a,2bの製造方法の手順の一例を示す断面図である。
【0118】
図8(a)は、実施形態2の半導体装置2a,2b(
図9参照)の1段目の構造を形成する処理を示している。
図8(a)の処理は、上述の実施形態1の
図3(a)~(g)と略同様の処理である。
【0119】
図8(a)に示すように、複数の半導体チップ210,220に含まれる一部の半導体チップ210を、一方の主面211に形成された電極212(
図1参照)に重ならないように主面211上に順次積層する。
【0120】
第1の半導体チップ群としての複数の半導体チップ210は、半導体装置2a,2bが備えることとなる複数の半導体チップ210,220のうちの一部の半導体チップ210である。
【0121】
半導体装置2a,2bが備えることとなる半導体チップ210は、上述の実施形態1の半導体チップ210と同様の構成を備える。すなわち、個々の半導体チップ210は、一方の主面211に電極212(
図1参照)と不揮発性メモリとを備える。
【0122】
なお、複数の半導体チップ210は、上述の実施形態1の複数の半導体チップ210と同様の態様で、リードフレーム100上に順次積層される。
【0123】
また、リードフレーム100上に積層された複数の半導体チップ210の個々の電極212から半導体チップ210の積層方向に延びる複数のワイヤ231を形成する。
【0124】
第1のワイヤ群としての複数のワイヤ231は、半導体装置2a,2bが備えることとなる複数のワイヤの一部となる。半導体チップ210の個々の電極212から延びる複数のワイヤ231は、実施形態1の半導体装置1が備える複数のワイヤ230と同様、半導体チップ210の積層方向に略垂直に延びる。
【0125】
また、半導体チップ210及びワイヤ231を封止樹脂203により封止する。
【0126】
第1の封止樹脂としての封止樹脂203は、半導体装置2a,2bが備えることとなる封止樹脂の一部となる。封止樹脂203は、上述の実施形態1の封止樹脂200と同様、半導体チップ210の上面より高い位置にあるワイヤ231の上端部が埋没するよう、半導体チップ210及びワイヤ231を覆って形成される。
【0127】
また、封止樹脂203は、上述の実施形態1の封止樹脂200と同様、CMP法等によって所定厚さ分、研磨される。
【0128】
また、封止樹脂203の積層方向側の第3の面としての表面であって、複数のワイヤ231のそれぞれのワイヤ231に対応する位置に複数の凹部(不図示)を形成する。これにより、複数の凹部の底面に複数のワイヤ231のそれぞれの端部を露出させる。
【0129】
第1の凹部群としての複数の凹部は、上述の実施形態1の複数の凹部201(
図3(d)参照)と同様、例えばフォトリソグラフィ及びエッチング加工によって、封止樹脂203の表面に形成される。このとき、エッチング深さを調整して、例えば上述の実施形態1の
図2(a)~(c)までのいずれかの状態となるよう、複数のワイヤ231の端部を凹部の底面に露出させる。
【0130】
また、複数の凹部に金属材料を充填する。これにより、複数のワイヤ231のそれぞれのワイヤ231の端部に接続される複数の中継端子243が形成される。中継端子243は、例えば上述の実施形態1の端子240と同様に形成される。
【0131】
すなわち、凹部への金属材料の充填に先駆けて、凹部内および封止樹脂203の上面を覆い、例えばTiN等を主成分とするバリア層を形成する。また、Cu等の金属材料をめっきして、封止樹脂203の表面全体を覆う導電層を形成する。また、封止樹脂203の表面の導電層およびバリア層をCMP法等によって除去することにより、バリア層を介して凹部内に配置される中継端子243が形成される。
【0132】
また、CMP法等によるタッチアップ研磨を行って、中継端子243の上面のディッシング等を抑制しつつ、中継端子243をより確実に封止樹脂203の表面に頭出しする。
【0133】
図8(b)(c)は、実施形態2の半導体装置2a,2bの2段目の構造を形成する処理を示している。
図8(b)(c)の処理もまた、上述の実施形態1の
図3(a)~(g)と略同様に行われる。
【0134】
図8(b)に示すように、封止樹脂203の表面に、複数の半導体チップ210,220に含まれる残りの半導体チップ210,220を、半導体チップ210の主面211に形成された電極212(
図1参照)に重ならないように順次積層する。
【0135】
第2の半導体チップ群としての複数の半導体チップ210,220は、半導体装置2a,2bに含まれることとなる複数の半導体チップ210,220のうち、既に積層済みの半導体チップ210を除く、残りの半導体チップ210,220である。
【0136】
第2の半導体チップ群に含まれる半導体チップ220は、上述の実施形態1の半導体チップ220と同様の構成を備える。すなわち、半導体チップ220は、一方の主面221に電極222(
図1参照)とロジック回路とを備える。
【0137】
なお、半導体チップ220は、上述の実施形態1の半導体チップ220と同様の態様で、複数の半導体チップ210の最上面に配置される。
【0138】
また、複数の半導体チップ210,220の個々の電極212,222及び複数の中継端子243から、複数の半導体チップ210,220の積層方向に延びる複数のワイヤ232を形成する。
【0139】
第2のワイヤ群としての複数のワイヤ232は、半導体装置2a,2bが備えることとなる複数のワイヤの一部となる。つまり、半導体装置2a,2bは、全体として複数のワイヤ231,232を備えることとなる。複数のワイヤ231は、上述の中継端子243によって複数のワイヤ232に接続される。つまり、中継端子243は、複数のワイヤ231,232同士を接続し、下段のワイヤ231を上段のワイヤ232に中継する。また、複数のワイヤ232のうち、上段の半導体チップ210,220に接続されたワイヤ232は、複数のワイヤ231と接続されることなく単独で用いられることとなる。
【0140】
図8(c)に示すように、上段の複数の半導体チップ210,220及び複数のワイヤ232を封止樹脂204により封止する。
【0141】
第2の封止樹脂としての封止樹脂204は、半導体装置2a,2bが備えることとなる封止樹脂の一部となる。つまり、半導体装置2a,2bは、下段に配置される封止樹脂203と、上段に配置される封止樹脂204とを備えることとなる。
【0142】
封止樹脂204は、上述の実施形態1の封止樹脂200と同様、半導体チップ220の上面より高い位置にあるワイヤ232の上端部が埋没するよう、半導体チップ210,220及びワイヤ232を覆って形成される。
【0143】
また、封止樹脂204は、上述の実施形態1の封止樹脂200と同様、CMP法等によって所定厚さ分、研磨される。
【0144】
また、封止樹脂204の積層方向側の第2の面としての表面であって、複数のワイヤ232のそれぞれのワイヤ232に対応する位置に複数の凹部(不図示)を形成する。これにより、複数の凹部群の底面に複数のワイヤ232のそれぞれの端部を露出させる。
【0145】
第2の凹部群としての複数の凹部は、上述の実施形態1の複数の凹部201(
図3(d)参照)と同様、例えばフォトリソグラフィ及びエッチング加工によって、封止樹脂204の表面に形成される。このとき、エッチング深さを調整して、例えば上述の実施形態1の
図2(a)~(c)までのいずれかの状態となるよう、複数のワイヤ232の端部を凹部の底面に露出させる。
【0146】
また、複数の凹部に金属材料を充填する。これにより、複数のワイヤ232のそれぞれのワイヤ232の端部に接続される複数の端子244が形成される。端子244は、例えば上述の実施形態1の端子240と同様に形成される。
【0147】
すなわち、凹部への金属材料の充填に先駆けて、凹部内および封止樹脂204の上面を覆い、例えばTiN等を主成分とするバリア層を形成する。また、Cu等の金属材料をめっきして、封止樹脂204の表面全体を覆う導電層を形成する。また、封止樹脂204の表面の導電層およびバリア層をCMP法等によって除去することにより、バリア層を介して凹部内に配置される端子244が形成される。
【0148】
また、CMP法等によるタッチアップ研磨を行って、端子244の上面のディッシング等を抑制しつつ、端子244をより確実に封止樹脂204の表面に頭出しする。
【0149】
図9は、封止樹脂204の上面に複数のビルドアップ層300を形成して半導体装置2aを製造し、また、封止樹脂204の上面にプリント基板600を配置して半導体装置2bを製造する様子を示している。
【0150】
図9(a)に示すように、上述の実施形態1の半導体装置1の場合と同様に、複数のビルドアップ層300、及びボールグリッドアレイ410を形成する。
【0151】
すなわち、封止樹脂204の表面に露出した端子244に再配線層310を接続する。つまり、それらの再配線層310と、それらの再配線層310が配置された絶縁層320とを有する最下層のビルドアップ層300を形成する。
【0152】
また、最下層のビルドアップ層300上に複数のビルドアップ層300を積層する。また、最上層のビルドアップ層300の表面に電極パッド330を形成する。また、電極パッド330に接続される複数の半田ボール411を形成し、グリッド状に配置された複数の半田ボール411を備えるボールグリッドアレイ410を形成する。
【0153】
以上により、実施形態2の半導体装置2aが製造される。
【0154】
図9(b)に示すように、上述の実施形態1の変形例2の半導体装置1bの場合と同様に、プリント基板600を配置し、また、ボールグリッドアレイ420を形成する。
【0155】
すなわち、封止樹脂204の表面に露出した端子244に接続する複数のバンプ261を形成する。
【0156】
また、封止樹脂204の表面側にプリント基板600を配置して複数のバンプ261に接続する。また、プリント基板600の上面に、複数の半田ボール421を形成し、グリッド状に配置された複数の半田ボール421を備えるボールグリッドアレイ420を形成する。
【0157】
以上により、実施形態2の半導体装置2bが製造される。
【0158】
このように、実施形態2の半導体装置2a,2bは、いずれも以下の構成を備える。
【0159】
すなわち、半導体装置2a,2bは、一方の主面211上に順次積層される第1の半導体チップ群としての複数の半導体チップ210と、これらの半導体チップ210よりも封止樹脂204の表面に近い側で、一方の主面211上に順次積層される第2の半導体チップ群としての複数の半導体チップ210,220と、を備える。
【0160】
また、半導体装置2a,2bは、個々の電極212に接続され、半導体チップ210の積層方向に封止樹脂203の内部を延びる第1のワイヤ群としての複数のワイヤ231と、これらのワイヤ231の電極212との接続端の反対側の端部位置よりも封止樹脂204の表面に近い側から、半導体チップ210,220の積層方向に封止樹脂204の内部を封止樹脂204の表面近傍まで延びる第2のワイヤ群としての複数のワイヤ232と、を備える。
【0161】
また、半導体装置2a,2bは、複数のワイヤ231のそれぞれのワイヤ231と、複数のワイヤ231のそれぞれのワイヤ231と対応する複数のワイヤ232のそれぞれのワイヤ232とを接続する複数の中継端子243と、を備える。
【0162】
ここで、複数の中継端子243は、半導体チップ210,220の積層方向において、下段に配置される複数の半導体チップ210と上段に配置される複数の半導体チップ210,220との間に配置される。また、複数の中継端子243は、半導体チップ210,220の積層方向の実質的に等しい位置に配置される。つまり、複数の中継端子243は水平方向の高さ位置が略等しい。
【0163】
また、半導体装置2a,2bは、封止樹脂204に埋没された一端部が複数のワイヤ232のそれぞれと接続されており、封止樹脂204の表面に他端部が露出する複数の端子244を備える。
【0164】
実施形態2の半導体装置2a,2bによれば、上述の実施形態1の半導体装置1と同様の効果を奏する。
【0165】
実施形態2の半導体装置2a,2bによれば、複数段が積み重ねられた構造を有する。これにより、同じ積層数の複数の半導体チップを1段に積層するよりも、個々のワイヤ231,232をいっそう短くすることができる。よって、個々のワイヤ231,232の歪みをいっそう抑制することができる。
【0166】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0167】
1,1a,1b,2a,2b…半導体装置、100…リードフレーム、200,203,204…封止樹脂、201,202…凹部、210,220…半導体チップ、211,221…主面、212,222…電極、230,231,232…ワイヤ、240,242,244…端子、243…中継端子、250…バリア層、261…バンプ、300,300a…ビルドアップ層、310,311…再配線層、410,420…ボールグリッドアレイ、411,421…半田ボール、600…プリント基板。