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特開2022-129465情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法および情報処理方法のプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022129465
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法および情報処理方法のプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/26 20120101AFI20220830BHJP
   G06F 3/0481 20220101ALI20220830BHJP
   G06F 3/0484 20220101ALI20220830BHJP
   E04G 23/02 20060101ALN20220830BHJP
【FI】
G06Q50/26
G06F3/0481
G06F3/0484
E04G23/02 ESW
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021028133
(22)【出願日】2021-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩井 康宏
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 将徳
(72)【発明者】
【氏名】山本 剛司
(72)【発明者】
【氏名】井口 裕貴
【テーマコード(参考)】
2E176
5E555
5L049
【Fターム(参考)】
2E176AA01
2E176BB38
5E555AA11
5E555AA79
5E555BA02
5E555BA05
5E555BA70
5E555BB02
5E555BB05
5E555BC08
5E555BC18
5E555CA12
5E555CB12
5E555CB46
5E555DB56
5E555DC05
5E555EA11
5E555FA00
5L049CC35
(57)【要約】      (修正有)
【課題】補修図の作成を円滑に進め、作業時間を削減する情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法および情報処理方法のプログラムを提供する。
【解決手段】第1情報処理装置10が、ネットワークを利用してクラウドサービスにより構成された第2情報処理装置と通信する情報処理システムにおいて、第1情報処理装置10は、構造物の補修設計において、構造物の損傷部分を描写するために用いられる損傷図入力画面と、損傷部分に対する補修内容を入力するために用いられる補修図入力画面と、を切り替えて表示する画面部110と、画面部を制御する制御部130とを備える。制御部130は、損傷図入力画面に描写された損傷部分を表す損傷図を、補修図入力画面に表示する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の補修設計に用いられる情報の処理装置であって、
前記構造物の損傷部分を描写するために用いられる損傷図入力画面と、前記損傷部分に対する補修内容を入力するために用いられる補修図入力画面と、を切り替えて表示する画面部と、
前記画面部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記損傷図入力画面に描写された前記損傷部分を表す損傷図を、前記補修図入力画面に表示する情報処理装置。
【請求項2】
前記画面部は、
物体を接触又は近接させることにより前記物体の位置情報が入力される入力部と、
前記入力部に入力された前記位置情報に基づき画像を表示する表示部と、
を有し、
前記制御部は、前記表示部において、
前記入力部を用いて入力された前記損傷図を表示する損傷図表示層と、
前記損傷図表示層とは異なるレイヤーで構成されており、前記入力部を用いて入力された前記損傷部分に対する前記補修内容を示す補修図を表示する補修図表示層と、
を構成し、
前記補修図表示層に前記補修図を作成するために前記入力部に前記位置情報が入力される際に、前記補修図が作成される前記補修図表示層と前記損傷図が作成された前記損傷図表示層とを重ねて表示する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
写真撮影を行うための撮影部を更に備え、
前記制御部は、
前記撮影部により撮影された撮影データを前記損傷図表示層に表示する請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
構造物の補修設計に用いられる情報の処理システムであって、
現場踏査に用いられる情報端末である第1情報処理装置と、
前記第1情報処理装置と通信し、前記第1情報処理装置で作成された損傷図及び補修図に基づき補修内容に関する補修データを出力する第2情報処理装置と、
を備え、
前記第1情報処理装置は、
前記構造物の損傷部分を描写した前記損傷図を入力するために用いられる損傷図入力画面と、前記損傷部分に対する前記補修図を入力するために用いられる補修図入力画面と、を切り替えて表示する画面部と、
前記画面部を制御し、前記損傷図入力画面に描写された前記損傷部分を表す前記損傷図を、前記補修図入力画面に表示する制御部と、
を有する情報処理システム。
【請求項5】
前記画面部は、
物体を接触又は近接させることにより前記物体の位置情報が入力される入力部と、
前記入力部に入力された前記位置情報に基づき画像を表示する表示部と、
を有し、
前記制御部は、前記表示部において、
前記入力部を用いて入力された前記損傷図を表示する損傷図表示層と、
前記損傷図表示層とは異なるレイヤーで構成されており、前記入力部を用いて入力された前記損傷部分に対する前記補修内容を示す前記補修図を表示する補修図表示層と、
を構成し、
前記補修図表示層に前記補修図を作成するために前記入力部に前記位置情報が入力される際に、前記補修図が作成される前記補修図表示層と前記損傷図が作成された前記損傷図表示層とを重ねて表示する請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記第2情報処理装置は、
クラウドサービスにより構成されている請求項4又は5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記第2情報処理装置は、
補修設計の点検対象となる前記構造物に関する設計情報を取り込み、前記第1情報処理装置によって前記損傷図及び前記補修図を書き込むための基礎の図として使用される前記構造物のスケッチデータを作成する第2制御部を有する請求項4~6のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記第2制御部は、
前記第1情報処理装置から、前記損傷図及び前記補修図を受信し、
前記損傷図及び前記補修図を用いて前記構造物の補修範囲のCADデータを前記補修データとして作成する請求項7に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記第2制御部は、
前記第1情報処理装置から、前記損傷図及び前記補修図を受信し、
前記損傷図及び前記補修図を用いて前記構造物に対する補修の種類と補修の範囲とが記載された集計表を前記補修データとして作成する請求項7又は8に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記現場踏査に用いられる情報端末である1つ以上の第3情報処理装置を更に有し、
前記第1情報処理装置の前記制御部は、
前記スケッチデータをダウンロードし、
前記第3情報処理装置は、
前記第1情報処理装置の通信部と通信して前記スケッチデータをダウンロードする第3制御部と、
前記損傷図の入力に用いられる前記損傷図入力画面を表示する子機画面部と、
を備え、
前記第1情報処理装置の前記制御部は、
前記第3情報処理装置で作成された前記損傷図を受信して、前記第1情報処理装置で作成された前記損傷図に同期させる請求項7~9のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項11】
物体を接触又は近接させることにより前記物体の位置情報が入力される入力部及び前記入力部に入力された前記位置情報に基づき画像を表示する表示部を有する画面部と、前記画面部を制御する第1制御部とを備えた情報端末である第1情報処理装置と、データを処理する第2制御部を備えた第2情報処理装置と、を用いた構造物の補修設計に関する情報の処理方法であって、
前記第2情報処理装置において、補修設計の点検対象となる前記構造物に関する設計情報を取り込み、前記第1情報処理装置において前記構造物の損傷状態を描写した損傷図及び補修内容を示した補修図を書き込むための基礎の図として使用する前記構造物のスケッチデータが作成されるスケッチデータ作成工程と、
前記第2情報処理装置で作成された前記スケッチデータを前記第1情報処理装置がダウンロードする親機データ受信工程と、
前記第1情報処理装置において、前記入力部に入力された前記物体の前記位置情報に基づき、前記損傷図が作成される損傷図スケッチ工程と、
前記第1情報処理装置において、前記損傷図を前記表示部に表示させたまま、前記入力部に入力された前記物体の前記位置情報に基づき前記構造物の損傷状態に対応した前記補修図が、前記損傷図が作成されたレイヤーとは異なる層に作成される補修図スケッチ工程と、
前記第2情報処理装置において、前記第1情報処理装置で作成された前記損傷図及び前記補修図を含む作成済スケッチデータが取り込まれる作成済スケッチデータダウンロード工程と、
前記第2情報処理装置において、取り込まれた前記作成済スケッチデータの前記損傷図及び前記補修図に基づき前記構造物の補修内容を含んだCADデータが作成される補修図CAD図面出力工程と、
前記第2情報処理装置において、取り込まれた前記作成済スケッチデータの前記損傷図及び前記補修図に基づき補修の種類及び補修の範囲が記載された集計表が作成される集計データ出力工程と、
を有する情報処理方法。
【請求項12】
前記入力部及び前記画面部並びに前記画面部を制御する第3制御部を備えた情報端末である第3情報処理装置を更に用いた前記構造物の補修設計に関する情報の処理方法であって、
前記親機データ受信工程と、前記補修図スケッチ工程との間において、
前記第2情報処理装置で作成され、前記第1情報処理装置にダウンロードされたスケッチデータを、前記第1情報処理装置から情報端末である前記第3情報処理装置がダウンロードする子機データ受信工程と、
前記第3情報処理装置において、前記入力部に入力された前記物体の位置情報に基づき、前記構造物の損傷状態を描写した前記損傷図が作成される子機損傷図スケッチ工程と、
前記第1情報処理装置において、前記第3情報処理装置で作成された前記損傷図を受信して、前記第1情報処理装置で作成された前記損傷図に同期させる損傷情報同期工程と、
を有する請求項11に記載の情報処理方法。
【請求項13】
前記第2情報処理装置は、
クラウドサービスにより構成されている請求項11又は12に記載の情報処理方法。
【請求項14】
物体を接触又は近接させることにより前記物体の位置情報が入力される入力部及び前記入力部に入力された前記位置情報に基づき画像を表示する表示部を有する画面部と、前記画面部を制御する第1制御部とを備えた情報端末である第1情報処理装置と、データを処理する第2制御部を備えた第2情報処理装置と、を用いた構造物の補修設計に関する情報の処理方法のプログラムであって、
前記第2情報処理装置において、補修設計の点検対象となる前記構造物に関する設計情報を取り込み、前記第1情報処理装置において前記構造物の損傷状態を描写した損傷図及び補修内容を示した補修図を書き込むための基礎の図として使用する前記構造物のスケッチデータが作成されるスケッチデータ作成工程と、
前記第2情報処理装置で作成された前記スケッチデータを前記第1情報処理装置がダウンロードする親機データ受信工程と、
前記第1情報処理装置において、前記入力部に入力された前記物体の前記位置情報に基づき、前記損傷図が作成される損傷図スケッチ工程と、
前記第1情報処理装置において、前記損傷図を前記表示部に表示させたまま、前記入力部に入力された前記物体の前記位置情報に基づき前記構造物の損傷状態に対応した前記補修図が、前記損傷図が作成されたレイヤーとは異なる層に作成される補修図スケッチ工程と、
前記第2情報処理装置において、前記第1情報処理装置で作成された前記損傷図及び前記補修図を含む作成済スケッチデータが取り込まれる作成済スケッチデータダウンロード工程と、
前記第2情報処理装置において、取り込まれた前記作成済スケッチデータの前記損傷図及び前記補修図に基づき前記構造物の補修内容を含んだCADデータが作成される補修図CAD図面出力工程と、
前記第2情報処理装置において、取り込まれた前記作成済スケッチデータの前記損傷図及び前記補修図に基づき補修の種類及び補修の範囲が記載された集計表が作成される集計データ出力工程と、
を前記第1制御部及び前記第2制御部に行わせる情報処理方法のプログラム。
【請求項15】
前記入力部及び前記画面部並びに前記画面部を制御する第3制御部を備えた情報端末である第3情報処理装置を更に用いた構造物の補修設計に関する情報の処理方法の前記プログラムであって、
前記親機データ受信工程と、前記補修図スケッチ工程との間において、
前記第2情報処理装置で作成され、前記第1情報処理装置にダウンロードされたスケッチデータを、前記第1情報処理装置から情報端末である前記第3情報処理装置がダウンロードする子機データ受信工程と、
前記第3情報処理装置において、前記入力部に入力された前記物体の位置情報に基づき、前記損傷図が作成される子機損傷図スケッチ工程と、
前記第1情報処理装置において、前記第3情報処理装置で作成された前記損傷図を受信して、前記第1情報処理装置で作成された前記損傷図に同期させる損傷情報同期工程と、
を前記第1制御部、前記第2制御部及び前記第3制御部に行わせる請求項14に記載の情報処理方法のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法および情報処理方法のプログラムに関する発明であり、特に、インフラ構造物の補修設計業務に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、橋梁あるいはトンネル等のインフラ構造物は、国土交通省あるいは地方自治体等の管理者が定める定期点検要領に基づき、5年に一度の点検業務が行われている。点検結果で構造物の健全度がIII又はIVと診断された構造物は、修繕を行う必要があり、次の点検実施日までに補修を実施する必要がある。修繕が必要な構造物に対しては、補修設計が行われる。補修設計は、修繕が必要な構造物を元の状態まで戻すことを目的として行われる補修のための設計である。
【0003】
補修設計では、最初に現在の構造物の損傷状態が記載された正確な損傷図が作成される。例えば、構造物に対する点検業務を支援するシステムに関する技術としてトンネルの壁面を撮像して得られた画像と、レーザスキャナによって計測されたトンネルの壁面における複数の測定点それぞれの座標および反射強度値とに基づいて、損傷図を作成する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。続いて、損傷図から構造物の損傷の種類に応じた補修工法が選定され、構造物の損傷に対して選定した補修工法が記載された補修図が作成される。更に、補修設計では、セメントあるいは表面被覆材等、補修工全体で必要となる補修材の体積を算出する必要があり、補修図から補修工全体で必要となる補修材の体積が集計される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-220471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、従来の補修設計では、補修図を作成する際に、損傷図の作成時に損傷の形状に関する損傷情報を作成し、再度、補修図の作成時に損傷の形状に関する損傷情報をトレースして補修図が作成されている。そのため、補修設計では、損傷の形状模写を行う工程が、損傷図の作成時と補修図の作成時との2回生じてしまい、補修設計の作業時間が多くなる。
【0006】
本発明は上述のような課題を解決するためのものであり、補修図の作成を円滑に進め、作業時間を削減する情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法および情報処理方法のプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る情報処理装置は、構造物の補修設計に用いられる情報の処理装置であって、構造物の損傷部分を描写するために用いられる損傷図入力画面と、損傷部分に対する補修内容を入力するために用いられる補修図入力画面と、を切り替えて表示する画面部と、画面部を制御する制御部と、を備え、制御部は、損傷図入力画面に描写された損傷部分を表す損傷図を、補修図入力画面に表示するものである。
【0008】
本発明に係る情報処理システムは、構造物の補修設計に用いられる情報の処理システムであって、現場踏査に用いられる情報端末である第1情報処理装置と、第1情報処理装置と通信し、第1情報処理装置で作成された損傷図及び補修図に基づき補修内容に関する補修データを出力する第2情報処理装置と、を備え、第1情報処理装置は、構造物の損傷部分を描写した損傷図を入力するために用いられる損傷図入力画面と、損傷部分に対する補修図を入力するために用いられる補修図入力画面と、を切り替えて表示する画面部と、画面部を制御し、損傷図入力画面に描写された損傷部分を表す損傷図を、補修図入力画面に表示する制御部と、を有するものである。
【0009】
本発明に係る情報処理方法は、物体を接触又は近接させることにより物体の位置情報が入力される入力部及び入力部に入力された位置情報に基づき画像を表示する表示部を有する画面部と、画面部を制御する第1制御部とを備えた情報端末である第1情報処理装置と、データを処理する第2制御部を備えた第2情報処理装置と、を用いた構造物の補修設計に関する情報の処理方法であって、第2情報処理装置において、補修設計の点検対象となる構造物に関する設計情報を取り込み、第1情報処理装置において構造物の損傷状態を描写した損傷図及び補修内容を示した補修図を書き込むための基礎の図として使用する構造物のスケッチデータが作成されるスケッチデータ作成工程と、第2情報処理装置で作成されたスケッチデータを第1情報処理装置がダウンロードする親機データ受信工程と、第1情報処理装置において、入力部に入力された物体の位置情報に基づき、損傷図が作成される損傷図スケッチ工程と、第1情報処理装置において、損傷図を表示部に表示させたまま、入力部に入力された物体の位置情報に基づき構造物の損傷状態に対応した補修図が、損傷図が作成されたレイヤーとは異なる層に作成される補修図スケッチ工程と、第2情報処理装置において、第1情報処理装置で作成された損傷図及び補修図を含む作成済スケッチデータが取り込まれる作成済スケッチデータダウンロード工程と、第2情報処理装置において、取り込まれた作成済スケッチデータの損傷図及び補修図に基づき構造物の補修内容を含んだCADデータが作成される補修図CAD図面出力工程と、第2情報処理装置において、取り込まれた作成済スケッチデータの損傷図及び補修図に基づき補修の種類及び補修の範囲が記載された集計表が作成される集計データ出力工程と、を有するものである。
【0010】
本発明に係る情報処理方法のプログラムは、物体を接触又は近接させることにより物体の位置情報が入力される入力部及び入力部に入力された位置情報に基づき画像を表示する表示部を有する画面部と、画面部を制御する第1制御部とを備えた情報端末である第1情報処理装置と、データを処理する第2制御部を備えた第2情報処理装置と、を用いた構造物の補修設計に関する情報の処理方法のプログラムであって、第2情報処理装置において、補修設計の点検対象となる構造物に関する設計情報を取り込み、第1情報処理装置において構造物の損傷状態を描写した損傷図及び補修内容を示した補修図を書き込むための基礎の図として使用する構造物のスケッチデータが作成されるスケッチデータ作成工程と、第2情報処理装置で作成されたスケッチデータを第1情報処理装置がダウンロードする親機データ受信工程と、第1情報処理装置において、入力部に入力された物体の位置情報に基づき、損傷図が作成される損傷図スケッチ工程と、第1情報処理装置において、損傷図を表示部に表示させたまま、入力部に入力された物体の位置情報に基づき構造物の損傷状態に対応した補修図が、損傷図が作成されたレイヤーとは異なる層に作成される補修図スケッチ工程と、第2情報処理装置において、第1情報処理装置で作成された損傷図及び補修図を含む作成済スケッチデータが取り込まれる作成済スケッチデータダウンロード工程と、第2情報処理装置において、取り込まれた作成済スケッチデータの損傷図及び補修図に基づき構造物の補修内容を含んだCADデータが作成される補修図CAD図面出力工程と、第2情報処理装置において、取り込まれた作成済スケッチデータの損傷図及び補修図に基づき補修の種類及び補修の範囲が記載された集計表が作成される集計データ出力工程と、を第1制御部及び第2制御部に行わせるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、情報処理装置の制御部は、損傷図入力画面に描写された損傷部分を表す損傷図を、補修図入力画面に表示する。すなわち、情報処理装置は、損傷図を記憶し、補修図へ適用することができる。この損傷図の転用により、ユーザは補修図を作成する際に再び損傷状態を書き起こす必要が無く、補修図の作成を円滑に進めることができ、作業時間を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態に係る情報処理システムの構成例を示した説明図である。
図2】実施の形態に係る第1情報処理装置の正面図である。
図3】実施の形態に係る第1情報処理装置の背面図である。
図4】実施の形態に係る第1情報処理装置の機能構成例を表すブロック図である。
図5】実施の形態に係る第1情報処理装置の画面部における、損傷図入力画面の一例を模式的に示した説明図である。
図6】実施の形態に係る第1情報処理装置の画面部における、補修図入力画面の一例を模式的に示した説明図である。
図7】実施の形態に係る第1情報処理装置の表示制御部により表示部に構成されるレイヤーの一例を模式的に示した説明図である。
図8】実施の形態に係る第2情報処理装置の機能構成例を表すブロック図である。
図9】実施の形態に係る第1情報処理装置で作成された作成済スケッチデータからCADデータ出力及び集計表出力が行われることを示した説明図である。
図10】実施の形態に係る第2情報処理装置で作成された集計表の一例を表したイメージ図である。
図11】実施の形態に係る情報処理システムを用いた補修設計に関する情報処理方法を示すフローチャートである。
図12】一般的な補修設計の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。
【0014】
実施の形態.
[情報処理システム1の構成]
図1は、実施の形態に係る情報処理システム1の構成例を示した説明図である。情報処理システム1は、橋梁あるいはトンネル等のインフラ構造物の補修設計に用いられる情報の処理システムである。情報処理システム1は、図1に示すように、第1情報処理装置10と、第2情報処理装置30とを備える。
【0015】
第1情報処理装置10は、現場踏査に用いられる情報端末である。第2情報処理装置30は、クラウドサービスにより構成された情報処理装置である。第1情報処理装置10は、通信機器を備え、ネットワーク50を利用してクラウドサービスにより構成された第2情報処理装置30と通信する。なお、第2情報処理装置30は、クラウドサービスにより構成されることが望ましいが、ネットワーク50を利用して第1情報処理装置10と接続する特定の情報処理装置でもよい。
【0016】
[第1情報処理装置10の構成]
図2は、実施の形態に係る第1情報処理装置10の正面図である。図3は、実施の形態に係る第1情報処理装置10の背面図である。図2及び図3を用いて第1情報処理装置10について説明する。第1情報処理装置10は、構造物の補修設計に用いられる情報の処理装置であって、タブレット端末等の情報端末である。実施の形態においては、第1情報処理装置10は、タブレット端末として説明するが、第1情報処理装置10は、タブレット端末に限定されるものではなく、例えば、ノートPC、スマートフォン等の持ち運び可能な他の形態の情報処理装置でもよい。
【0017】
第1情報処理装置10は、現場踏査において点検実施者(以下、「ユーザ」ともいう。)によって利用される。第1情報処理装置10は、ネットワーク50を介して、クラウドサービスを利用することができる。第1情報処理装置10は、通信を行うことによって、第2情報処理装置30と各種データの送受信を行い、各種データの交換を行う。
【0018】
第1情報処理装置10は、画面部110を有する。画面部110は、いわゆるタッチパネルであり、表示装置(ディスプレイ)と入力装置とが一体化したものである。画面部110は、各種情報を表示し、また、指先あるいはペン20等の物体で画面に触れることにより画面上での物体の位置の入力を行うことができる。ユーザは、指先あるいはペン20を利用して画面部110に図形あるいは文字等を記載することができ、また、画面部110に表示されるアイコン等に触れることによって、例えば表示の切り替え、メニューの選択等を行うことができる。
【0019】
第1情報処理装置10は、撮影部120を有している。撮影部120は、カメラであり、第1情報処理装置10は、撮影部120を用いて写真撮影を行うことができる。第1情報処理装置10は、撮影部120で撮影した画像データを画面部110に表示し、また、撮影部120で撮影した画像データを保存できる。実施の形態に係る第1情報処理装置10は、撮影部120を内蔵しているが、第1情報処理装置10は、撮影部120を内蔵せず、撮影部120を外付けによって第1情報処理装置10の本体に接続してもよい。
【0020】
図4は、実施の形態に係る第1情報処理装置10の機能構成例を表すブロック図である。続いて、図4を用いて、実施の形態に係る第1情報処理装置10の機能構成例について説明する。図4に示すように、実施の形態に係る第1情報処理装置10は、画面部110、撮影部120、制御部130、記憶部140、センサ部150、及び、通信部160を備える。
【0021】
画面部110は、入力部111と、表示部112とを有する。入力部111は、画面に対する物体の位置の入力を受け付ける入力装置によって構成される。入力部111は、物体を接触又は近接させることにより物体の位置情報が入力される。実施の形態に係る第1情報処理装置10は、入力部111が、画面に対するペン20の接触位置又は近接位置を検出するタッチパネルによって構成される。画面部110の入力部111は、画面に対して入力された位置を制御部130に提供する。入力部11は、画面部110において表示部112と重ねて設けられ、表示部112の表示内容を利用して入力することができる。
【0022】
なお、画面部110の入力部111は、ペン20の代わりにユーザの身体の一部(例えば、ユーザの指など)の接触位置又は近接位置を検出してもよい。また、入力部111は、タッチパネル以外の入力装置(例えば、キーボード、マウス、タッチパッド等)によって構成されてもよい。タッチパネル以外の入力装置の場合は、ペン20等の位置の代わりにポインタの位置等に基づきポインタの位置情報を入力できる。
【0023】
画面部110の表示部112は、制御部130による制御に従って表示を行う機能を有する。表示部112は、制御部130によって生成された各種の画面を表示する。例えば、表示部112は、入力部111に入力された物体の位置情報に基づき位置情報に対応した画像を表示する。表示部112は、入力部111に入力されたペン20等の物体の軌跡に沿って線を表示し、ペン20等による位置の指定により指定された範囲を表示する。また、表示部112は、ユーザが制御内容を決定するために選択されるアイコンを表示する。
【0024】
表示部112の形態は特に限定されない。例えば、表示部112は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal display)装置、有機ELディスプレイ(OLED:Organic Light Emitting Diode)装置、あるいは、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、等の表示装置である。
【0025】
撮影部120は、上述したようにカメラであり、ユーザによる第1情報処理装置10の操作により被写体を撮影する。撮影部120により撮影された画像は、制御部130を介して表示部112に表示される。また、撮影部120により撮影された画像の画像データは、制御部130によって保存され、あるいは、制御部130によって加工処理される。
【0026】
制御部130は、第1情報処理装置10の動作全体を制御する。制御部130は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を中心とするコンピュータ等の制御演算処理を行う装置で構成されている。制御部130は、記憶部140に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。なお、第1情報処理装置10の制御部130は、情報処理システム1(図1参照)の第1制御部である。
【0027】
制御部130は、入力部111、撮影部120、あるいは、通信部160等による各種の入力情報に基づき、各部が行う信号処理方法の手順をあらかじめプログラム化したものを実行して、各部の処理を実現する。例えば、制御部130は、ROM(Read Only Memory)に記憶されたプログラムをRAM(Random Access Memory)に展開して実行することにより実現されてもよい。制御部130は、当該構成に限定されるものではなく、各部が別個に専用機器(ハードウェア)で構成されてもよい。制御部130は、処理部131、記録制御部132及び表示制御部133を備える。
【0028】
処理部131は、第2情報処理装置30の後述する記憶部330(図8参照)内に保存されているインフラ構造物に関する情報をダウンロード又はアップロードするデータ通信機能F1を有する。処理部131は、第2情報処理装置30でスケッチデータをダウンロードする。また、処理部131は、第1情報処理装置10で作成された損傷図P1図5参照)及び補修図P2図6参照)を含む作成済スケッチデータP3(図9参照)を、第2情報処理装置30にアップロードする。
【0029】
処理部131は、他の第1情報処理装置10との同期を取る端末間共有機能F2を有する。なお、複数の第1情報処理装置10の内の少なくとも1つを親機とし、親機である第1情報処理装置10と通信する子機を第3情報処理装置10aとする。子機である第3情報処理装置10aの構成は、第1情報処理装置10と同じ構成である。なお、第3情報処理装置10aは、親機となる第1情報処理装置10と完全に同じ構成である必要はなく、異なる構成部分を有してもよく、一部の構成部分を有していなくてもよい。
【0030】
第3情報処理装置10aの制御部130は、情報処理システム1(図1参照)の第3制御部である。第3情報処理装置10aの処理部131は、親機となる第1情報処理装置10の通信部160と通信して第2情報処理装置30で作成されたスケッチデータをダウンロードする。第3情報処理装置10aの処理部131は、第3情報処理装置10aで作成された損傷図P1図5参照)を含むスケッチデータを、第1情報処理装置10にアップロードする。
【0031】
第1情報処理装置10の処理部131は、第3情報処理装置10aで作成された損傷図P1を受信して、第1情報処理装置10で作成された損傷図P1に同期させる。
【0032】
処理部131は、インフラ構造物の損傷状態を描写した損傷図P1を作成するための損傷図スケッチ機能F3を有する。ユーザは、ペン20等を用い、第2情報処理装置30で作成されたスケッチデータに基づき、点検対象となる構造物の損傷状態を画面部110に書き込んでいく。処理部131は、入力部111に入力されたペン20等の位置情報に基づきインフラ構造物の損傷状態を描写した損傷図P1を作成する。
【0033】
図5は、実施の形態に係る第1情報処理装置10の画面部110における、損傷図入力画面114の一例を模式的に示した説明図である。画面部110に表示される損傷図入力画面114は、ユーザが構造物STの損傷部分DPを描写するために用いられる。
【0034】
損傷図入力画面114では、ユーザによって、例えば図5のように剥離部分D1、劣化部分D2、ひび割れ部分D3等、構造物STの損傷部分DPが描写された損傷図P1が作成される。なお、図5の損傷図P1に示す損傷部分DPの損傷態様は一例であり、描写される損傷態様は、例えば、浮き及び剥落等、他の損傷態様であってもよい。
【0035】
なお、第3情報処理装置10aの画面部110は、子機画面部である。子機画面部は、第1情報処理装置10の画面部110と同様に、損傷図P1の入力に用いられる損傷図入力画面114を表示する。
【0036】
処理部131は、インフラ構造物の損傷図P1に記載された損傷に対応する補修図P2図6参照)を作成するための補修図スケッチ機能F4を有する。ユーザは、ペン20等を用い、任意の補修の種類(補修工)を選択し、補修の範囲を描画する。処理部131は、入力部111に入力されたペン20等の位置情報に基づきインフラ構造物の損傷状態に対応した補修図P2を作成する。
【0037】
図6は、実施の形態に係る第1情報処理装置10の画面部110における、補修図入力画面115の一例を模式的に示した説明図である。画面部110に表示される補修図入力画面115は、ユーザが構造物STの損傷部分DPに対する補修内容を入力するために用いられる。
【0038】
補修図入力画面115では、ユーザによって、例えば図6のように剥離部分D1及び劣化部分D2の部分が枠に囲まれ、剥離部分D1及び劣化部分D2の部分には断面修復工を適用することが入力され、補修図P2が作成される。また、補修図入力画面115では、ユーザによってひび割れ部分D3が線によってなぞられ、ひび割れ部分D3にはひび割れ注入工を適用することが入力され、補修図P2が作成される。
【0039】
画面部110は、構造物の損傷部分DPを描写した損傷図P1を入力するために用いられる損傷図入力画面114と、損傷部分DPに対する補修図P2を入力するために用いられる補修図入力画面115と、を切り替えて表示する。ユーザは、同じ第1情報処理装置10の画面部110において、損傷図入力画面114と補修図入力画面115とを切り替えて各図をスケッチすることができる。
【0040】
処理部131によって作成された各種データは、記録制御部132によって記録方式あるいは記録対象等に関する制御が行われる。処理部131によって作成された各種データがどこに記録されるかは限定されない。実施の形態に係る第1情報処理装置10では、処理部131によって作成された各種データが記憶部140に記憶される。例えば、第1情報処理装置10で作成された損傷図P1及び補修図P2が書き込まれたスケッチデータ、あるいは、第1情報処理装置10で作成された損傷図P1及び補修図P2と関連付けられたスケッチデータは、記憶部140に記憶される。なお、当該構成に限定されるものではなく、記録制御部132は、処理部131によって作成された各種データを記憶部140とは異なる記憶装置(例えば、第1情報処理装置10と通信可能なサーバ上の記憶装置等)に記憶させてもよい。
【0041】
表示制御部133は、画面部110における入出力画面の表示を制御する。例えば、表示制御部133は、画面部110を制御し、ユーザの選択によって損傷図入力画面114と、補修図入力画面115とを切り替えて表示する。そして、表示制御部133は、損傷図入力画面114に描写された損傷部分DPを表す損傷図P1を、補修図入力画面115に表示する。そのため、第1情報処理装置10は、ユーザが補修図P2を作成する際に、表示部112には損傷図P1を下図として表示できる。補修図P2は、損傷図P1を下図として表示できるので、従来の紙面での下書きスケッチで必要だった損傷個所を複写する手間を省くことができる。
【0042】
図7は、実施の形態に係る第1情報処理装置10の表示制御部133により表示部112に構成されるレイヤーの一例を模式的に示した説明図である。表示制御部133は、表示部112において、入力部111を用いて入力された損傷図P1を表示する損傷図表示層117を構成する。また、表示制御部133は、表示部112において、損傷図表示層117とは異なるレイヤーで構成されており、入力部111を用いて入力された損傷部分DPに対する補修内容を示す補修図P2を表示する補修図表示層118を構成する。表示制御部133は、ユーザが補修図P2を作成するために入力部111にペン20等の位置情報が入力される際に、補修図P2が作成される補修図表示層118と損傷図P1が作成された損傷図表示層117とを重ねて表示する。
【0043】
また、表示制御部133は、撮影部120により撮影された撮影データを損傷図表示層117に表示する。なお、表示制御部133は、撮影部120により撮影された撮影データを補修図表示層118に表示してもよく、損傷図表示層117及び補修図表示層118と異なるレイヤーとして表示部112に表示してもよい。
【0044】
処理部131は、撮影部120を用いて現場で撮った写真を取り込む写真撮影機能F5を有している。撮影部120を用いて現場で撮った写真データは、後述する損傷図表示層117又は補修図表示層118(図7参照)と関連付けて保存されてもよく、損傷図表示層117又は補修図表示層118との関連付けなしに保存されてもよい。
【0045】
また、表示制御部133は、例えば、ユーザの入力部111への入力情報に基づき、補修の種類(補修工)の選択画面を表示してもよい。また、表示制御部133によって表示部112にキーボードが表示され、このキーボードが制御される場合、キーボードを用いて情報の入力が行われてもよい。また、表示制御部133によって選択肢が表示される場合、選択肢を選択することによって情報の入力が行われてもよい。
【0046】
記憶部140は、各種データを記憶する記憶装置によって構成され得る。記憶部140は、例えば、制御部130を動作させるためのプログラムあるいはデータを記憶する。また、記憶部140は、制御部130の動作の過程で必要となる各種データを一時的に記憶する。
【0047】
記憶部140は、例えば、データを一時的に記憶できるRAM(Random Access Memory)などの揮発性メモリ、あるいは、ハードディスクドライブなどの不揮発性の補助記憶装置である。不揮発性の補助記憶装置は、ソリッドステートドライブ、データを長期的に記憶できるフラッシュメモリなどでもよい。
【0048】
センサ部150は、センサによって構成され得る。センサ部150は、かかるセンサによって検出されたセンサデータを得る。例えば、センサ部150は、第1情報処理装置10の向きを検出し得る。ここで、第1情報処理装置10の向きを検出する手法は特に限定されない。例えば、センサ部150が地磁気センサを有する場合、センサ部150は、地磁気センサによって検出された地磁気データに基づいて、第1情報処理装置10が向いている方角を第1情報処理装置10の向きとして検出してもよい。
【0049】
あるいは、センサ部150が加速度センサを有する場合、センサ部150は、加速度センサによって検出された加速度に基づいて、第1情報処理装置10の向きを検出してもよい。あるいは、センサ部150がジャイロセンサを有する場合、センサ部150は、ジャイロセンサによって検出された角速度に基づいて、第1情報処理装置10の向きを検出してもよい。
【0050】
通信部160は、第1情報処理装置10がクラウドサービスを利用するために利用される。第1情報処理装置10は、通信部160を介して外部の機器と通信する。例えば、第1情報処理装置10は、通信部160を介して第2情報処理装置30と接続する。通信部160は、受信部161と、送信部162とを有する。第1情報処理装置10は、受信部161を介して第2情報処理装置30から各種データを受信し、送信部162を介して第2情報処理装置30に各種データを送信する。
【0051】
また、通信部160は、他の第1情報処理装置10、すなわち、子機となる第3情報処理装置10aと通信するために利用される。第1情報処理装置10は、通信部160を介して第3情報処理装置10aと接続する。第1情報処理装置10は、受信部161を介して第3情報処理装置10aから各種データを受信し、送信部162を介して第3情報処理装置10aに各種データを送信する。
【0052】
[第2情報処理装置30の構成]
第2情報処理装置30は、各種のデータを処理する情報処理装置である。第2情報処理装置30は、上述したようにクラウドサービスによって構成されている。なお、第2情報処理装置30は、特定の情報処理装置として構成されてもよい。第2情報処理装置30は、ネットワーク50を介して第1情報処理装置10と各種データの送受信を行う。なお、第2情報処理装置30と第1情報処理装置10との間のデータの移動は、ネットワーク50を介して行うものに限定されない。例えば、第2情報処理装置30と第1情報処理装置10との間のデータの移動は、有線又は無線によって直接行われてもよく、記録媒体を介して行われてもよい。
【0053】
図8は、実施の形態に係る第2情報処理装置30の機能構成例を表すブロック図である。図8を用いて、実施の形態に係る第2情報処理装置30の機能構成例について説明する。図8に示すように、実施の形態に係る第2情報処理装置30は、通信部310、制御部320、記憶部330、及び、表示部340を備える。
【0054】
通信部310は、第1情報処理装置10との間で通信を行うための通信インターフェースである。通信部310は、ネットワーク50に接続され、ネットワーク50を介して第1情報処理装置10と通信する。なお、通信部310は、ネットワーク50を介さず有線又は無線によって直接、第1情報処理装置10と接続され、第1情報処理装置10と通信してもよい。第2情報処理装置30は、通信部310を介して第1情報処理装置10から各種データを受信し、通信部310を介して第1情報処理装置10に各種データを送信する。
【0055】
制御部320は、第2情報処理装置30の動作全体を制御する。制御部320は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を中心とするコンピュータ等の制御演算処理を行う装置で構成されている。制御部320は、記憶部330に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。なお、第2情報処理装置30の制御部320は、情報処理システム1(図1参照)の第2制御部であり、プログラム及びデータの処理を行う。
【0056】
制御部320は、通信部310等による各種の入力情報に基づき、各部が行う信号処理方法の手順をあらかじめプログラム化したものを実行して、各部の処理を実現する。例えば、制御部320は、ROM(Read Only Memory)に記憶されたプログラムをRAM(Random Access Memory)に展開して実行することにより実現されてもよい。制御部320は、当該構成に限定されるものではなく、各部が別個に専用機器(ハードウェア)で構成されてもよい。制御部320は、処理部321、記録制御部322及び表示制御部323を備える。
【0057】
処理部321は、補修設計の点検対象となるインフラ構造物に関する設計情報を取り込み、第1情報処理装置10によって損傷図P1及び補修図P2を書き込むための基礎の図として使用するインフラ構造物のスケッチデータを作成する機能F11を有する。
【0058】
処理部321は、点検データとなるインフラ構造物に関する設計情報を、CAD(Computer-Aided Design)データとして取り込む。なお、インフラ構造物に関する設計情報は、あらかじめCADデータとして作成されてもよい。そして、処理部321は、点検データとしてこのCADデータを取り込んでもよい。なお、処理部321が取り込む各種データは、あらかじめ記憶部330に記憶されているが、ネットワーク50等を利用して記憶部330外から取得してもよい。
【0059】
スケッチデータは、インフラ構造物において補修設計の点検対象となる部分の図面データである。なお、スケッチデータは、インフラ構造物全体の図面データであってもよい。この図面データは、二次元の図面を表すデータでもよく、三次元の図面を表すデータでもよい。第2情報処理装置30で作成されたスケッチデータは、第1情報処理装置10に送信され、第1情報処理装置10の記憶部140に保存される。
【0060】
図9は、実施の形態に係る第1情報処理装置10で作成された作成済スケッチデータP3からCADデータ出力及び集計表出力が行われることを示した説明図である。処理部321は、第1情報処理装置10で作成された損傷図P1及び補修図P2が書き込まれた作成済スケッチデータP3、あるいは、第1情報処理装置10で作成された損傷図P1及び補修図P2と関連付けられた作成済スケッチデータP3を取り込む。処理部321は、第1情報処理装置10で作成された作成済スケッチデータP3を取り込み、損傷図P1及び補修図P2に基づき構造物の補修内容を含んだCADデータを作成するCADデータ変換機能F12を有する。
【0061】
CADデータ変換機能F12により作成されるCADデータは、第2情報処理装置30が出力する補修内容に関する補修データである。作成されるCADデータは、インフラ構造物の補修範囲の図面データである。なお、作成されるCADデータは、インフラ構造物全体の図面データであってもよい。
【0062】
処理部321は、第1情報処理装置10で作成された作成済スケッチデータP3を取り込み、CADデータに変換する際に、記憶部330に保存されていたインフラ構造物に関する設計情報を利用してもよい。また、処理部321は、作成済スケッチデータP3を作成する際に利用したインフラ構造物に関する設計情報のCADデータを利用してもよい。
【0063】
図10は、実施の形態に係る第2情報処理装置30で作成された集計表TBの一例を表したイメージ図である。処理部321は、第1情報処理装置10で作成された作成済スケッチデータP3を取り込み、損傷情報及び補修情報を集計して集計表TBを作成する損傷集計機能F13を有している。
【0064】
例えば、処理部321は、作成済スケッチデータP3から補修の種類として断面修復工、及び、ひび割れ注入工が必要であるとし、集計表TBの補修種類の欄に「断面修復工」及び「ひび割れ注入工」を表示する。処理部321は、補修の範囲として集計表TBに設けられた「幅(m)」、「高さ(m)」、「面積(m)」、「深さ(m)」、「体積(m)」に関し、作成済スケッチデータP3から各値を認識し、あるいは、推定し、補修の種類に対応して各値を作成する。損傷集計機能F13により作成される集計表TBは、第2情報処理装置30が出力する補修内容に関する補修データである。
【0065】
図8に戻り、処理部321は、第1情報処理装置10で撮影された写真のデータを取り込む写真取り込み機能F14を有している。取り込まれた写真データは、作成されたCADデータを作成する際に利用されてもよい。また、取り込まれた写真データは、作成されたCADデータと関連付けて記憶部330に保存されてもよい。また、取り込まれた写真データは、インフラ構造物に関する設計情報、あるいは、スケッチデータと関連付けて保存されてもよい。
【0066】
処理部321によって作成された各種データは、記録制御部322によって記録方式あるいは記録対象等に関する制御が行われる。処理部321によって作成された各種データがどこに記録されるかは限定されない。実施の形態に係る第2情報処理装置30では、処理部321によって作成された各種データが記憶部330に記憶される。しかし、当該構成に限定されるものではなく、記録制御部322は、処理部321によって作成された各種データを記憶部330とは異なる記憶装置(例えば、第2情報処理装置30と通信可能なサーバの他の記憶装置等)に記憶させてもよい。
【0067】
表示制御部323は、表示部340における出力画面の表示を制御する。なお、表示制御部323は、表示部340の出力を制御するものであるが、表示部340がタッチパネルのような入力装置としての機能を有する場合には、表示制御部323は、表示部340の入力も制御する。
【0068】
記憶部330は、各種データを記憶する記憶装置によって構成され得る。記憶部330は、例えば、制御部320を動作させるためのプログラムあるいはデータを記憶する。また、記憶部330は、補修設計の対象となるインフラ構造物に関する情報を記憶する。例えば、記憶部330は、処理部321によって、損傷図P1及び補修図P2を含む作成済スケッチデータP3から作成されたCADデータを記憶する。また、記憶部330は、処理部321によって作成された集計表TBを記憶する。また、記憶部330は、制御部320の動作の過程で必要となる各種データを一時的に記憶する。記憶部330は、クラウドサービス上のデータプールである。
【0069】
記憶部330は、例えば、データを一時的に記憶できるRAM(Random Access Memory)などの揮発性メモリ、あるいは、ハードディスクドライブなどの不揮発性の補助記憶装置である。不揮発性の補助記憶装置は、ソリッドステートドライブ、データを長期的に記憶できるフラッシュメモリなどでもよい。
【0070】
表示部340は、制御部320による制御に従って表示を行う機能を有する。表示部340は、制御部320によって生成された各種の画面を表示する。例えば、表示部340は、処理部321によって、損傷図P1及び補修図P2を含む作成済スケッチデータP3から作成されたCADデータを表示する。また、表示部340は、処理部321によって作成された集計表TBを表示する。
【0071】
表示部340の形態は特に限定されない。例えば、表示部340は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal display)装置、有機ELディスプレイ(OLED:Organic Light Emitting Diode)装置、あるいは、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、等の表示装置である。
【0072】
[情報処理システム1を用いた情報処理方法W1及びプログラム]
図11は、実施の形態に係る情報処理システム1を用いた補修設計に関する情報処理方法を示すフローチャートである。図11を用いて、情報処理システム1を用いた補修設計に関する情報処理方法W1を説明する。情報処理方法W1は、事前準備工程W11と、現場踏査工程W12と、補修設計及びデータ取りまとめ工程W13とを有する。情報処理方法W1は、事前準備工程W11、現場踏査工程W12、補修設計及びデータ取りまとめ工程W13の順番に実行される。
【0073】
(事前準備工程W11)
事前準備工程W11は、ユーザが構造物の踏査を行う前に、第1情報処理装置10及び第3情報処理装置10aで使用される各種データを準備するための工程である。
【0074】
事前準備工程W11は、スケッチデータ作成工程(ステップS1)を有する。スケッチデータ作成工程(ステップS1)は、第2情報処理装置30の制御部320で実行される。スケッチデータ作成工程(ステップS1)では、補修設計の点検対象となる構造物に関する設計情報を取り込み、第1情報処理装置10において損傷図P1及び補修図P2を書き込むための基礎の図として使用するインフラ構造物のスケッチデータが作成される。
【0075】
補修設計支援サービスである情報処理方法W1は、第2情報処理装置30上(図1参照)に対象構造物の情報を登録することで開始する。また、補修設計支援サービスである情報処理方法W1は、第2情報処理装置30がクラウドサービスで構成される場合、クラウドサービス上(図1参照)に対象構造物の情報を登録することで開始する。第2情報処理装置30に対象構造物のスケッチデータを登録すると、スケッチデータは第2情報処理装置30から第1情報処理装置10にダウンロードできるようになる。
【0076】
事前準備工程W11は、親機データ受信工程(ステップS2)を有する。親機データ受信工程(ステップS2)は、スケッチデータ作成工程(ステップS1)の後に実行される。親機データ受信工程(ステップS2)は、第1情報処理装置10の制御部130及び第2情報処理装置30の制御部320で実行される。親機データ受信工程(ステップS2)では、第2情報処理装置30で作成されたスケッチデータを第1情報処理装置10がダウンロードする。親機データ受信工程(ステップS2)によって、ユーザが現場踏査に持っていく第1情報処理装置10にスケッチデータが取り込まれる。
【0077】
事前準備工程W11は、子機データ受信工程(ステップS3)を有する。子機データ受信工程(ステップS3)は、親機データ受信工程(ステップS2)の後に実行される。子機データ受信工程(ステップS3)は、第1情報処理装置10の制御部130及び第3情報処理装置10aの制御部130で実行される。子機データ受信工程(ステップS3)では、第2情報処理装置30で作成され、第1情報処理装置10にダウンロードされたスケッチデータが、第1情報処理装置10から第3情報処理装置10aにダウンロードされる。
【0078】
(現場踏査工程W12)
現場踏査工程W12は、補修設計の対象となる構造物の踏査の現場で実行される工程である。
【0079】
現場踏査工程W12は、損傷図スケッチ工程(ステップS4)及び子機損傷図スケッチ工程(ステップS5)を有する。損傷図スケッチ工程(ステップS4)は、親機データ受信工程(ステップS2)の後に実行される。また、子機損傷図スケッチ工程(ステップS5)は、子機データ受信工程(ステップS3)の後に実行される。
【0080】
損傷図スケッチ工程(ステップS4)は、第1情報処理装置10の制御部130で実行される。また、子機損傷図スケッチ工程(ステップS5)は、第3情報処理装置10aの制御部130で実行される。ユーザは、踏査現場において、情報端末である第1情報処理装置10及び第3情報処理装置10aを用いて対象構造物の損傷図P1を描写する。ユーザは、ペン20等を用い、第2情報処理装置30で作成されたスケッチデータに基づき、点検対象となる構造物の損傷状態を画面部110の入力部111に書き込んでいく。
【0081】
損傷図スケッチ工程(ステップS4)及び子機損傷図スケッチ工程(ステップS5)では、入力部111に入力されたペン20等の位置情報に基づきインフラ構造物の損傷状態を描写した損傷図P1が作成される。なお、損傷図スケッチ工程(ステップS4)では、踏査現場において、損傷図P1の作成と共に、第1情報処理装置10及び第3情報処理装置10aの撮影部120を用いて損傷個所の写真撮影が行われてもよい。撮影した写真データは、損傷図P1と共に、あるいは、損傷図P1と関連付けられて記憶部140に保存される。
【0082】
現場踏査工程W12は、損傷情報同期工程(ステップS6)を有する。損傷情報同期工程(ステップS6)は、損傷図スケッチ工程(ステップS4)及び子機損傷図スケッチ工程(ステップS5)の後に実行される。損傷情報同期工程(ステップS6)は、第1情報処理装置10の制御部130及び第3情報処理装置10aの制御部130で実行される。損傷情報同期工程(ステップS6)では、第1情報処理装置10の制御部130が、第3情報処理装置10aで作成された損傷図P1を受信して、第1情報処理装置10で作成された損傷図P1に同期させる。
【0083】
親機となる第1情報処理装置10と子機となる第3情報処理装置10aとは同期機能を有している。ユーザ間で第1情報処理装置10と第3情報処理装置10aとを同期させることによって、ユーザは作業時間の削減を行うことができ、リアルタイムで情報を共有することができる。踏査終了後、子機である第3情報処理装置10aは、親機である第1情報処理装置10に損傷図P1のデータを集約させて、親機である第1情報処理装置10上で損傷図P1が完成する。
【0084】
(補修設計及びデータ取りまとめ工程W13)
補修設計及びデータ取りまとめ工程W13は、補修設計の対象となる構造物の踏査の現場で点検を行い、構造物の損傷図P1を作成した後に実行される工程である。
【0085】
補修設計及びデータ取りまとめ工程W13は、補修図スケッチ工程(ステップS7)を有する。補修図スケッチ工程(ステップS7)は、損傷情報同期工程(ステップS6)の後に実行される。補修図スケッチ工程(ステップS7)は、第1情報処理装置10の制御部130で実行される。ユーザは、ペン20等を用い、任意の補修の種類(補修工)を選択し、補修の範囲を描画する。補修図スケッチ工程(ステップS7)では、入力部111に入力されたペン20等の位置情報に基づきインフラ構造物の損傷状態に対応した補修図P2が作成される。
【0086】
第1情報処理装置10において、補修図P2は、損傷図P1を元に作成される。補修図スケッチ工程(ステップS7)では、損傷図P1を画面に表示させたまま、入力部111に入力された物体の位置情報に基づき構造物の損傷状態に対応した補修図P2が、損傷図P1が作成されたレイヤーとは異なる層に作成される。
【0087】
ユーザが補修図入力画面115上で損傷図P1の損傷個所を選択すると補修工法の選択画面に推移するので、断面修復工、あるいは、ひび割れ注入工等の任意の補修工を選択して補修範囲を描画する。全ての補修箇所を描画後に第1情報処理装置10からクラウドサービスである第2情報処理装置30に損傷図P1と補修図P2を含む作成済スケッチデータP3がアップロードされる。
【0088】
補修設計及びデータ取りまとめ工程W13は、作成済スケッチデータダウンロード工程(ステップS8)を有する。作成済スケッチデータダウンロード工程(ステップS8)は、補修図スケッチ工程(ステップS7)の後に実行される。作成済スケッチデータダウンロード工程(ステップS8)は、第1情報処理装置10の制御部130及び第2情報処理装置30の制御部320で実行される。作成済スケッチデータダウンロード工程(ステップS8)では、第1情報処理装置10で作成された損傷図P1及び補修図P2を含む作成済スケッチデータP3(図9参照)が、第1情報処理装置10から第2情報処理装置30にアップロードされる。そして、作成済スケッチデータダウンロード工程(ステップS8)では、第1情報処理装置10で作成された損傷図P1及び補修図P2を含む作成済スケッチデータP3(図9参照)が、第2情報処理装置30に取り込まれ、記憶部330に記憶される。
【0089】
補修設計及びデータ取りまとめ工程W13は、補修図CAD図面出力工程(ステップS9)を有する。補修図CAD図面出力工程(ステップS9)は、作成済スケッチデータダウンロード工程(ステップS8)の後に実行される。補修図CAD図面出力工程(ステップS9)は、第2情報処理装置30の制御部320で実行される。補修図CAD図面出力工程(ステップS9)では、取り込まれた作成済スケッチデータP3の損傷図P1及び補修図P2に基づき構造物の補修内容を含んだCADデータが作成される。補修図CAD図面出力工程(ステップS9)は、第2情報処理装置30がクラウドサービスで構成される場合、クラウドサービスで実行することができる。
【0090】
補修設計及びデータ取りまとめ工程W13は、集計データ出力工程(ステップS10)を有する。集計データ出力工程(ステップS10)は、作成済スケッチデータダウンロード工程(ステップS8)の後に実行される。集計データ出力工程(ステップS10)は、補修図CAD図面出力工程(ステップS9)の前に実行してもよく、補修図CAD図面出力工程(ステップS9)の後に実行してもよい。あるいは、集計データ出力工程(ステップS10)は、補修図CAD図面出力工程(ステップS9)と同時に実行してもよい。
【0091】
集計データ出力工程(ステップS10)は、第2情報処理装置30の制御部320で実行される。集計データ出力工程(ステップS10)では、取り込まれた作成済スケッチデータP3の損傷図P1及び補修図P2に基づき少なくとも補修の種類及び補修の範囲が記載された集計表TBが作成される。集計データ出力工程(ステップS10)では、例えば、補修材が必要な部分の体積量(m)等が集計される。集計データ出力工程(ステップS10)は、第2情報処理装置30がクラウドサービスで構成される場合、クラウドサービスで実行することができる。
【0092】
補修設計及びデータ取りまとめ工程W13は、写真台帳出力工程(ステップS11)を有してもよい。写真台帳出力工程(ステップS11)は、作成済スケッチデータダウンロード工程(ステップS8)の後に実行される。写真台帳出力工程(ステップS11)は、補修図CAD図面出力工程(ステップS9)の前に実行してもよく、補修図CAD図面出力工程(ステップS9)の後に実行してもよい。あるいは、写真台帳出力工程(ステップS11)は、補修図CAD図面出力工程(ステップS9)と同時に実行してもよい。写真台帳出力工程(ステップS11)は、第2情報処理装置30の制御部320で実行される。写真台帳出力工程(ステップS11)では、取り込まれた写真のデータから写真の台帳が作成される。写真台帳出力工程(ステップS11)は、第2情報処理装置30がクラウドサービスで構成される場合、クラウドサービスで実行することができる。
【0093】
スケッチデータ作成工程(ステップS1)から集計データ出力工程(ステップS10)まで及び写真台帳出力工程(ステップS11)の情報処理方法W1は、コンピュータを実行させるプログラムによって行われる。このコンピュータは、第1情報処理装置10の制御部130、第2情報処理装置30の制御部320、及び、第3情報処理装置10aの制御部130である。スケッチデータ作成工程(ステップS1)から集計データ出力工程(ステップS10)までの工程及び写真台帳出力工程(ステップS11)を実行させるプログラムは、第1情報処理装置10の記憶部140及び第3情報処理装置10aの記憶部140に記憶されている。また、スケッチデータ作成工程(ステップS1)から集計データ出力工程(ステップS10)までの工程及び写真台帳出力工程(ステップS11)を実行させるプログラムは、第2情報処理装置30の記憶部330に記憶されている。
【0094】
[情報処理装置等の効果]
第1情報処理装置10の制御部130は、損傷図入力画面114に描写された損傷部分DPを表す損傷図P1を、補修図入力画面115に表示する。補修図P2は、損傷図P1を下図として表示できるので、従来の紙面での下書きスケッチで必要だった損傷個所を複写する手間を省くことができる。
【0095】
図12は、一般的な補修設計の流れを示すフローチャートである。図12を用いて一般的な補修設計の流れを説明する。補修設計を行うに際し、対象となる構造物の正確な損傷図が必要となる。損傷図の作成には、対象となる構造物に対して行われた点検業務の結果を取得する(ステップSP1)。ユーザは、対象となる構造物の点検結果に基づき現場踏査を行う(ステップSP2)。そして、ユーザは、対象となる構造物の現在の損傷状態を描写した損傷図を作成する(ステップSP3)。
【0096】
続いて、ユーザは、損傷図から損傷の種類に応じた補修工法を選択し、補修図を書き起こす(ステップSP4)。その後、ユーザは、補修計画を取りまとめる(ステップSP5)。補修設計では補修工全体で必要となるセメントあるいは表面被覆材等の補修材の体積を算出する必要があり、ユーザは、補修図から必要となる補修材の体積の集計を行う。ユーザは、補修図から補修計画を取りまとめ、データ集計を行い、工事総数を見積もる。
【0097】
この一般的な補修設計の流れにおいて、従来の損傷図の作成(ステップSP3)では、ユーザは、目視で対象となる構造物の損傷状態を確認し、紙面をベースとして損傷をトレースしてスケッチし、又は、損傷個所の写真を撮り損傷図を作成している。そして、従来の補修図の作成(ステップSP4)では、ユーザは、この損傷図の情報を元に補修図を作成している。従来の補修設計では、ユーザが補修図を作成する際に、損傷図に描写した損傷情報を、補修図に再度トレースしている。そのため、補修設計では、損傷の形状模写を行う工程が、損傷図面の作成時と補修図面の作成時との2回生じてしまい、補修設計の作業時間が多くなる。
【0098】
これに対し、上述したように第1情報処理装置10の制御部130は、損傷図入力画面114に描写された損傷部分DPを表す損傷図P1を、補修図入力画面115に表示する。すなわち、第1情報処理装置10は、損傷図P1を記憶し、補修図P2へ適用することができる。この損傷図P1の転用により、ユーザは補修図P2を作成する際に再び損傷状態を書き起こす必要が無く、補修図P2の作成を円滑に進めることができ、作業時間を削減できる。
【0099】
また、表示制御部133は、ユーザが補修図P2を作成するために入力部111にペン20等の位置情報が入力される際に、補修図P2が作成される補修図表示層118と損傷図P1が作成された損傷図表示層117とを重ねて表示する。そのため、ユーザは補修図P2を作成する際に再び損傷状態を書き起こす必要が無く、補修図P2の作成を円滑に進めることができ、作業時間を削減できる。
【0100】
また、表示制御部133は、撮影部120により撮影された撮影データを損傷図表示層117に表示する。そのため、ユーザは補修図P2を作成する際に、対象物の損傷状態を写した写真データを利用できるため、補修図P2の作成を円滑に進めることができ、作業時間を削減できる。
【0101】
また、情報処理システム1は、画面部110と制御部130とを有する。この画面部110は、構造物の損傷部分DPを描写した損傷図P1を入力するために用いられる損傷図入力画面114と、損傷部分DPに対する補修図P2を入力するために用いられる補修図入力画面115と、を切り替えて表示する。そして、制御部130は、画面部110を制御し、損傷図入力画面114に描写された損傷部分DPを表す損傷図P1を、補修図入力画面115に表示する。そのため、ユーザは補修図P2を作成する際に再び損傷状態を書き起こす必要が無く、補修図P2の作成を円滑に進めることができ、作業時間を削減できる。
【0102】
また、第2情報処理装置30は、クラウドサービスにより構成されている。そのため、第2情報処理装置30を有する情報処理システム1は、情報共有が容易になる、システムの分散が容易になる、必要な機能、容量だけ拡張できる等、クラウドサービスのメリットを享受できる。
【0103】
また、第2情報処理装置30は、補修設計の点検対象となる構造物に関する設計情報を取り込み、第1情報処理装置10によって損傷図P1及び補修図P2を書き込むための基礎の図として使用する構造物のスケッチデータを作成する制御部320を有する。情報処理システム1は、当該構成を有することによって、情報端末である第1情報処理装置10の負荷を抑制でき、また、第1情報処理装置10毎にスケッチデータを作成する場合と比べて作業量と作業時間を抑制でき、作業の効率化を図ることができる。
【0104】
また、第2情報処理装置30の制御部320は、第1情報処理装置10から、損傷図P1及び補修図P2を受信し、損傷図P1及び補修図P2を用いて構造物の補修範囲のCADデータを補修データとして作成する。情報処理システム1は、当該構成を有することによって、情報端末である第1情報処理装置10の負荷を抑制でき、また、第1情報処理装置10毎にスケッチデータを作成する場合と比べて作業量と作業時間を抑制でき、作業の効率化を図ることができる。
【0105】
また、第2情報処理装置30の制御部320は、第1情報処理装置10から、損傷図P1及び補修図P2を受信し、損傷図P1及び補修図P2を用いて構造物に対する補修の種類と補修の範囲とが記載された集計表TBを補修データとして作成する。情報処理システム1は、当該構成を有することによって、情報端末である第1情報処理装置10の負荷を抑制でき、また、第1情報処理装置10毎に補修データを作成する場合と比べて作業量と作業時間を抑制でき、作業の効率化を図ることができる。
【0106】
また、第1情報処理装置10の制御部130は、第3情報処理装置10aで作成された損傷図P1を受信して、第1情報処理装置10で作成された損傷図P1に同期させる。情報処理システム1では、第1情報処理装置10と第3情報処理装置10aとを同期させることによって、ユーザは作業時間の削減を行うことができ、リアルタイムで情報を共有することができる。
【0107】
また、情報処理システム1の情報処理方法W1及びプログラムは、補修図スケッチ工程(ステップS7)を有する。補修図スケッチ工程(ステップS7)では、損傷図P1を画面に表示させたまま、入力部111に入力された物体の位置情報に基づき構造物の損傷状態に対応した補修図P2が、損傷図P1が作成されたレイヤーとは異なる層に作成される。そのため、ユーザは補修図P2を作成する際に再び損傷状態を書き起こす必要が無く、補修図P2の作成を円滑に進めることができ、作業時間を削減できる。
【0108】
また、情報処理システム1の情報処理方法W1及びプログラムは、補修図CAD図面出力工程(ステップS9)及び集計データ出力工程(ステップS10)を有する。情報処理方法W1及びプログラムは、当該構成を有することによって、情報端末である第1情報処理装置10の負荷を抑制でき、また、第1情報処理装置10毎に補修図CAD図面及び集計表を作成する場合と比べて作業量と作業時間を抑制でき作業の効率化を図ることができる。
【0109】
また、情報処理システム1の情報処理方法W1及びプログラムは、損傷情報同期工程(ステップS6)を有する。情報処理方法W1及びプログラムは、第1情報処理装置10と第3情報処理装置10aとを同期させることによって、ユーザは作業時間の削減を行うことができ、リアルタイムで情報を共有することができる。
【0110】
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。実施の形態では、橋梁あるいはトンネル等の補修設計を目的とした例について説明したが、補修設計の対象はこの例に限られない。
【符号の説明】
【0111】
1 情報処理システム
10 第1情報処理装置
10a 第3情報処理装置
20 ペン
30 第2情報処理装置
50 ネットワーク
110 画面部
111 入力部
112 表示部
114 損傷図入力画面
115 補修図入力画面
117 損傷図表示層
118 補修図表示層
120 撮影部
130 制御部
131 処理部
132 記録制御部
133 表示制御部
140 記憶部
150 センサ部
160 通信部
161 受信部
162 送信部
310 通信部
320 制御部
321 処理部
322 記録制御部
323 表示制御部
330 記憶部
340 表示部。
図1
図2
図3
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図5
図6
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図10
図11
図12