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  • 特開-液体の圧送装置 図1
  • 特開-液体の圧送装置 図2
  • 特開-液体の圧送装置 図3
  • 特開-液体の圧送装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022129475
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】液体の圧送装置
(51)【国際特許分類】
   F16T 1/20 20060101AFI20220830BHJP
【FI】
F16T1/20 A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021028146
(22)【出願日】2021-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000137889
【氏名又は名称】株式会社ミヤワキ
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(72)【発明者】
【氏名】水口 卓
(57)【要約】
【課題】ウォーターハンマーの発生を防ぐことができる液体の圧送装置を提供する。
【解決手段】液体の圧送装置1は、容器2内に貯留された液体Wを、容器2内に流入された駆動流体Fにより加圧して容器2外に排出する。液体の圧送装置1は、容器2内に液体Wを流入させる液体流入口4と、容器2内の液体Wを容器2外に排出する液体流出口6と、液体流入口4を開閉する流入側逆止弁12と、液体流出口6を開閉する流出側逆止弁14と、容器2内の駆動流体Fが流入側逆止弁12に達するのを阻止する逆流防止機構40とを備えている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内に貯留された液体を、前記容器内に流入された駆動流体により加圧して前記容器外に排出する液体の圧送装置であって、
前記容器内に液体を流入させる液体流入口と、
前記容器内の液体を前記容器外に排出する液体流出口と、
前記液体流入口を開閉する流入側逆止弁と、
前記液体流出口を開閉する流出側逆止弁と、
前記容器内の駆動流体が前記流入側逆止弁に達するのを阻止する逆流防止機構と、を備えた液体の圧送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体の圧送装置において、前記逆流防止機構は、前記流入側逆止弁と前記容器の内部とを連通する液体流入路を構成する流入管を有し、
前記流入管の下流端が、前記容器の内部で前記液体流入口の上端よりも上方に開口している液体の圧送装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の液体の圧送装置において、前記駆動流体が蒸気である液体の圧送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内に貯留された液体を、前記容器内に流入された駆動流体により加圧して前記容器外に排出する液体の圧送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
容器内に貯留された液体を、蒸気もしくは圧縮空気を駆動流体として用いて加圧し、容器外に液体を排出する液体の圧送装置がある(例えば、特許文献1)。特許文献1のような圧送装置は、ポンピングトラップと呼ばれ、電気が不要の機械式のポンプである。ポンピングトラップは、電気が不要であるので、例えば、電源供給が困難な区域に適用できる利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-029187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ポンピングトラップの液体流入口と液体流出口に設けられた逆止弁が故障して漏れに至ると、駆動流体を用いた容器内の昇圧が不可能となり、正常な液体の圧送が行えなくなる。駆動流体が蒸気の場合、逆止弁が故障に至る要因に、蒸気と圧送流体とが直接混合する際に発生するウォーターハンマーがある。具体的には、図4に示すように、高温高圧の蒸気Fと低温の水Wが逆止弁100の弁体102の前後で接することで、蒸気Fが急凝縮されてウォーターハンマーが発生する。これにより、逆止弁100の弁体102が損傷して閉止機能が損なわれる恐れがある。
【0005】
本発明は、ウォーターハンマーの発生を防ぐことができる液体の圧送装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の液体の圧送装置は、容器内に貯留された液体を、前記容器内に流入された駆動流体により加圧して前記容器外に排出する液体の圧送装置であって、前記容器内に液体を流入させる液体流入口と、前記容器内の液体を前記容器外に排出する液体流出口と、前記液体流入口を開閉する流入側逆止弁と、前記液体流出口を開閉する流出側逆止弁と、前記容器内の駆動流体が前記流入側逆止弁に達するのを阻止する逆流防止機構とを備えている。駆動流体は、例えば、蒸気である。
【0007】
この構成によれば、逆流防止機構により、容器内の駆動流体が流入側逆止弁に達するのを阻止することで、ウォーターハンマーの発生を防ぐことができる。その結果、流入側逆止弁の弁体が損傷して閉止機能が損なわれるのを回避できる。
【0008】
本発明において、前記逆流防止機構は、前記流入側逆止弁と前記容器の内部とを連通する液体流入路を構成する流入管を有し、前記流入管の下流端が、前記容器の内部で前記液体流入口の上端よりも上方に開口していてもよい。この構成によれば、流入管の下流端が液体流入口の上端よりも上方に開口しているので、流入管の下流端が液封される。これにより、容器内の駆動流体が逆流して流入側逆止弁に達するのを阻止することができる。このように、簡単な構成で、ウォーターハンマーの発生を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の液体の圧送装置によれば、ウォーターハンマーの発生を防ぐことで、流入側逆止弁の弁体が損傷して閉止機能が損なわれるのを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係る液体の圧送装置を示す概略構成図である。
図2】同圧送装置の図1とは異なる状態を示す概略構成図である。
図3】同圧送装置を示す縦断面図である。
図4】従来の液体の圧送装置を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。図1および図2は本発明の第1実施形態に係る液体の圧送装置を示す概略構成図である。同圧送装置1は、容器2内に貯留された液体Wを、容器2内に流入された駆動流体Fにより加圧して容器2外に排出する。図1は被圧送液体Wが流入している状態を示し、図2は液体Wが排出されている状態を示す。本実施形態の液体Wは、水、詳細には、蒸気配管、蒸気機器などからの復水である。また、本実施形態の駆動流体Fは蒸気である。
【0012】
容器2に、液体Wが流入する液体流入口4と、液体Wが流出する液体流出口6が設けられている。液体流入口4に液体流入通路8が接続され、液体流出口6に液体流出通路10が接続されている。液体流入口4と液体流入通路8との間に流入側逆止弁12が接続され、液体流出口6と液体流出通路10との間に流出側逆止弁14が接続されている。
【0013】
容器2の頂部に、容器2内に駆動流体Fを流入させる駆動流体流入口16と、容器2内の駆動流体Fを容器2外に排出する駆動流体流出口18とが設けられている。駆動流体流入口16に駆動流体流入通路17が接続され、駆動流体流出口18に駆動流体流出通路19が接続されている。圧送装置1は、駆動流体流入口16を開閉する駆動弁(吸入弁)20と、駆動流体流出口18を開閉する排出弁(排気弁)22とを有している。
【0014】
容器2の内部に、容器2内に貯留された液体Wの液位WLを検知するフロート24が収納されている。駆動弁20および排出弁22は、作動部材26を介してフロート24に連結されている。作動部材26は、公知の構造であり、互いに回動自在に連結された複数のリンク部材26aと単一のばね部材26bとからなる。作動部材26は、フロート24で検知された液位WLに基づいて駆動弁20および排出弁22を作動させる。
【0015】
図1に示す液位WLが低いとき、液体Wに浮いたフロート24も低い位置にある。このとき、作動部材26の作動により、駆動弁20が閉状態となり、排出弁22は開状態となる。つまり、容器2内への駆動流体Fの流入が阻止され、容器2の内部空間が大気に開放される。液位WLが低い状態では、容器2の内部の圧力が低いので、液体流入通路8の液体Wが、流入側逆止弁12を押し開いて液体流入口4から容器2内に流入する。一方、容器2の内部の圧力が低いことから、流出側逆止弁14は閉止状態である。
【0016】
液体Wが容器2内に流入すると、液位WLが上昇し、これに伴い、フロート24も上昇する。液位WLが規定値を超えると、図2に示すように、作動部材26の作動により、駆動弁20が開状態となり、排出弁22は閉状態となる。つまり、容器2内へ駆動流体Fが流入し、容器内2の駆動流体Fの外部への排出が阻止される。これにより、容器2の内部の圧力が高くなるので、容器内2の液体Wが、流出側逆止弁14を押し開いて液体流出口6から液体流出通路10を通って容器2外に排出される。一方、容器2の内部の圧力が高いので、流入側逆止弁12は閉止状態となる。
【0017】
液体Wが容器2外に排出されると、液位WLが下降する。これに伴い、フロート24も下降し、図1の状態に戻る。以降、図1の状態と図2の状態が繰り返され、液体Wが圧送される。
【0018】
つぎに、図3を用いて、圧送装置1の詳細を説明する。図3に示すように、容器2の内面に、作動部材26がボルト(図示せず)により着脱自在に取り付けられている。作動部材26の一端に、フロート24が取り付けられている。つまり、フロート24は、作動部材26を介して容器2に支持されている。一方、作動部材26の他端に、動力伝達部材28が設けられている。動力伝達部材28は、駆動弁20および排気弁22に駆動力を付与する。駆動弁20、排気弁22、作動部材26および動力伝達部材28の構成は、公知のものと同じである。
【0019】
容器2に、液体流入口4と容器2の内部とを連通する液体流入路30を構成する第1流入管32が接続されている。本実施形態では、流入側逆止弁12は、第1流入管32と、液体流入通路8を構成する第2流入管34との間に設けられている。
【0020】
詳細には、第1流入管32の上流端の外周に環状の第1のフランジ32aが形成され、第2流入管34の下流端に環状の第2のフランジ34aが形成されている。第1のフランジ32aと第2のフランジ34aに流入側逆止弁12が挟持された状態で、第1のフランジ32aと第2のフランジ34aがボルト・ナットのような締結部材35で連結されている。流入側逆止弁12の支持構造はこれに限定されない。
【0021】
第1流入管32は、上流側の直管部36と、下流側の曲管部38とを有している。直管部36の上流端に前記第1のフランジ32aが形成されており、直管部36の下流端と曲管部38の上流端が溶接W1により接合されている。直管部36は、容器2に形成された貫通孔2aに挿通され、直管部36の下流端部が溶接W2により容器2に接合されている。溶接W2は、溶接W1よりも上流側に位置している。つまり、本実施形態では、曲管部38は、その全体が容器2の内部に位置している。
【0022】
本実施形態の曲管部38は、ほぼ90°に湾曲した曲管からなり、その下流端38aが上方に開口している。曲管部38の下流端38aは、液体流入口4の上端4aよりも上方に位置している。つまり、流入管32の下流端38aが、容器2の内部で液体流入口4の上端4aよりも上方に開口している。したがって、液体流入路30には、常時、液体Wが封入された状態となっている。つまり、液体流入路30は液封されている。このように、上流側の直管部36と下流側の曲管部38からなる第1流入管32により、容器2内の駆動流体Fが流入側逆止弁12に達するのを阻止する逆流防止機構40が構成されている。
【0023】
つぎに、本実施形態の逆流防止機構40の作用を説明する。図3は、図2の状態、すなわち、駆動流体Fにより容器内2の液体Wが容器2外に排出されている状態である。図4の従来構造では、駆動流体Fが流入管104を逆流し、高温高圧の駆動流体(蒸気)Fと低温の液体(水)Wが逆止弁100の弁体102の前後で接していた。その結果、蒸気Fが急凝縮されてウォーターハンマーが発生する。
【0024】
これに対し、図3の本実施形態の構造では、逆流防止機構40により、容器2内の駆動流体Fが流入管104を逆流して流入側逆止弁12に達するのを阻止することができる。これにより、ウォーターハンマーの発生を防ぐことができる。その結果、流入側逆止弁12の弁体12aが損傷して閉止機能が損なわれるのを回避できる。
【0025】
しかも、逆流防止機構40は、流入管32の下流端38aが液体流入口4の上端4aよりも上方に開口する液封構造で構成されている。したがって、簡単な構成で、ウォーターハンマーの発生を防ぐことができる。
【0026】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。例えば、逆流防止機構40は、容器2内の駆動流体Fが流入側逆止弁12に達するのを阻止するものであればよく、上記実施形態の液封構造に限定されない。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0027】
1 圧送装置
2 容器
4 液体流入口
4a 液体流入口の上端
6 液体流出口
12 流入側逆止弁
14 流出側逆止弁
30 液体流入路
32 第1流入管(流入管)
38a 流入管の下流端
40 逆流防止機構
F 駆動流体(蒸気)
W 液体
図1
図2
図3
図4