(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022129528
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】乾燥板海苔の異物検出装置及び良品仕分け装置
(51)【国際特許分類】
A23L 17/60 20160101AFI20220830BHJP
【FI】
A23L17/60 103Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021028229
(22)【出願日】2021-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】521082008
【氏名又は名称】株式会社日本選別化工
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾野 彰則
【テーマコード(参考)】
4B019
【Fターム(参考)】
4B019LT80
(57)【要約】
【課題】乾燥板海苔の表面からわずかに突き出た髪又は毛などの異物を検出できる乾燥板海苔の異物検出装置及び良品仕分け装置を提供する。
【解決手段】本発明による乾燥板海苔の異物検出装置は、乾燥板海苔の搬送方向と交差する両側に配置されたレーザー発光素子及びレーザー受光素子とからなり、乾燥板海苔の少なくとも片側の面から突き出た糸状体を異物として検出する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥板海苔の搬送方向と交差する両側に配置されたレーザー発光素子及びレーザー受光素子とからなり、前記乾燥板海苔の少なくとも片側の面から突き出た糸状体を異物として検出することを特徴とする乾燥板海苔の異物検出装置。
【請求項2】
前記レーザー発光素子及びレーザー受光素子が2組備えられ、前記異物の位置情報が、一方のレーザー発光素子から発光された照射ラインと、他方のレーザー発光素子から発光された照射ラインが斜めに交差する斜交座標系の交点で表されることを特徴とする請求項1に記載の乾燥板海苔の異物検出装置。
【請求項3】
乾燥板海苔をコンベアによって搬送する搬送路と、
請求項1又は2に記載の乾燥板海苔の異物検出装置と、
前記異物検出装置が異物を検出しなかったとき前記乾燥板海苔を良品スタッカに送り、前記異物検出装置が異物を検出したとき前記乾燥板海苔を不良品スタッカに送る仕分け装置と、
を備えることを特徴とする乾燥板海苔の良品仕分け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は乾燥板海苔の異物検出装置及び良品仕分け装置に関し、より詳細には、乾燥板海苔の表面から突き出た異物を検出する乾燥板海苔の異物検出装置及び良品仕分け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コンベアと切削手段を備えた乾燥板海苔の異物除去装置が示される。特許文献2には、コンベアとレーザー光源を備えた板海苔の異物除去装置が示される。これらの装置では、異物の検出を乾燥板海苔の表面にLED光源からの光を当てて反射させ、カメラで撮像し、画像を解析することで行なっている。エビ、わら、塗料片などの異物を除去している。異物は、特許文献1ではドリルで削り取り、特許文献2ではレーザーで焼き切ることにより除去される。
【0003】
例として髪は、太さが0.05~0.08mm(50~80μm)と非常に細く、カメラによる画像解析では検出が難しい。毛やテグスなども同様である。これらの異物の除去は、乾燥板海苔にする前の工程の水洗い工程に依存しており、乾燥板海苔のLED光とカメラによるチェックでは濃い緑色の海苔と髪の区別が付きにくい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-68156号公報
【特許文献2】特開2017-169469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、乾燥板海苔の表面からわずかに突き出た糸状の異物を検出できる乾燥板海苔の異物検出装置及び良品仕分け装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による乾燥板海苔の異物検出装置は、乾燥板海苔の搬送方向と交差する両側に配置されたレーザー発光素子及びレーザー受光素子とからなり、前記乾燥板海苔の少なくとも片側の面から突き出た糸状体を異物として検出することを特徴とする。
【0007】
前記レーザー発光素子及びレーザー受光素子が2組備えられ、前記異物の位置情報が、一方のレーザー発光素子から発光された照射ラインと、他方のレーザー発光素子から発光された照射ラインが斜めに交差する斜交座標系の交点で表されることを特徴とする。
【0008】
本発明による乾燥板海苔の仕分け装置は、乾燥板海苔をコンベアによって搬送する搬送路と、請求項1又は2に記載の乾燥板海苔の異物検出装置と、前記異物検出装置が異物を検出しなかったとき前記乾燥板海苔を良品スタッカに送り、前記異物検出装置が異物を検出したとき前記乾燥板海苔を不良品スタッカに送る仕分け装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、
(1)燥板海苔の搬送方向の両側にレーザー発光素子とレーザー受光素子からなるレーザーセンサを配置したので、乾燥板海苔の表面からわずかに突き出た髪又は毛などの糸状体の異物の一端を検出できる。
(2)レーザー発光素子からの光は、乾燥板海苔の下面又は上面から突き出た異物で遮られてレーザー受光素子に入るので、レーザー光が遮られたか受光できたかで、表面から突き出た異物の判別が容易にできる。
【0010】
レーザー発光素子とレーザー受光素子を2組使用し、斜交座標系となるように配置するので、乾燥板海苔の表面から突き出た髪などの異物の位置(2次元の面上の位置)を特定でき、後工程で乾燥板海苔の異物を除去するような場合に有用である。異物の位置は、斜交座標系の交点で表すことができる。また、レーザー発光素子を直交するように配置しないで済む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明による異物検出装置及び異物検出装置を備えた良品仕分け装置の構造図である。
【
図3】乾燥板海苔の表面から糸状の異物が突き出た図である。
【
図5】一方のレーザー発光素子の照射ラインと他方のレーザー発光素子の照射ラインの関係を示す説明図である。
【
図6】本発明による異物検出方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【実施例0012】
図面を参照して、本発明による乾燥板海苔の異物検出装置及び良品仕分け装置を説明する。
【0013】
図1は、本発明による異物検出装置100及び異物検出装置100を備えた良品仕分け装置200の構造図である。検査対象物10は乾燥板海苔10とする。
図1の左側から乾燥板海苔10が手差し等により供給され、右側にコンベア2で送り出される。ここでは右方向を搬送方向とする。コンベア2が乾燥板海苔10の搬送路となる。コンベア渡りをする箇所に、乾燥板海苔10の上面から突出した異物を見つけるためレーザー発光素子3aとレーザー受光素子3bからなるレーザーセンサ3が設けられる。乾燥板海苔10の下面から突出した異物を見つけるため、もう1つのレーザー発光素子3aとレーザー受光素子3bからなるレーザーセンサ3が設けられる。すなわち2つのレーザー光(射光ライン)が乾燥板海苔10の上面と下面に接近し搬送方向を横切るようにレーザーセンサ3、3が配置される。異物の位置を2次元座標位置で検出するため、レーザーセンサ3、3の各レーザー光と交差するようにレーザーセンサ4、4が配置される。レーザーセンサ4、4は、レーザーセンサ3、3と同様のものである。レーザーセンサ3、4の発光素子3a、4aは、所定のスポット径を有するビームで、乾燥板海苔10の前方側から後方向側に、又は後方側から前方側に向かって照射される。乾燥板海苔10の上面又は下面に突き出た異物があれば光が遮断又は減光される。レーザー受光素子3b、4bに光が到達しオンとなるか、光が遮断又は減光されてオフとなるかで、異物の有無を判定する。
【0014】
乾燥板海苔10の上面又は下面に異物11が検出された場合、
図1に示すように、仕分け板7が回動して斜め上方向を向くので、乾燥板海苔10は、不良品スタッカ9に送り込まれる。乾燥板海苔10の上面又は下面に異物11が検出されなかった場合、仕分け板7が元に戻って水平方向を向くので、乾燥板海苔10は、右方向に進んで良品スタッカ8に送り込まれる。良品仕分け装置200は、異物検出装置100と、仕分け板7と、不良品スタッカ9と、で構成される。
【0015】
図2は、異物検出装置100の斜視図である。具体的には乾燥板海苔10がコンベア渡りする箇所の斜視図である。レーザーセンサ3、3、4、4が、搬送方向と交差する方向(前後方向)の両側に設けられる。すなわち、4組のレーザーセンサが配置される。レーザーセンサ3は、レーザー発光素子3aとレーザー受光素子3bからなる。レーザーセンサ4もレーザー発光素子4aとレーザー受光素子4bからなる。乾燥板海苔10の上面と並行に照射されるレーザー3の射光ラインと、乾燥板海苔10の上面と並行に照射されるレーザー4の射光ラインとは、角度θで交差する斜交座標系をなしている。乾燥板海苔10の下面と並行に照射されるレーザー3の射光ラインと、乾燥板海苔10の下面と並行に照射されるレーザー4の射光ラインも、角度θで交差する斜交座標系をなしている。
図2のレーザーセンサ3、3、4、4が、乾燥板海苔10の異物検出装置100を構成する。
【0016】
図3は、乾燥板海苔10の表面から髪などの糸状の異物11が突き出た図である。表面は乾燥板海苔10の上面と下面の両方とする。糸状の異物11は、大部分が乾燥板海苔10の内部に入り込んでいるが、一端は表面から突き出ているとする。突き出ている部分をレーザーセンサ3、3、4、4で検出する。乾燥板海苔10の糸状の異物11の有無を検出する場合で、異物の座標を検出しないでよい場合は、レーザーセンサ3、3が備えられ、レーザーセンサ4、4は省略してもよい。
【0017】
図4は、乾燥板海苔10の外観を示す写真である。寸法は、縦が21cm、横が19cm、重さは約3~5g、厚さは約0.10~0.15mmである。
【0018】
図5は、一方のレーザー発光素子の照射ラインと他方のレーザー発光素子の照射ラインの関係を示す説明図である。m1、m2、m3・・・はレーザー発光素子3aの照射ラインの座標で、n1、n2、n3・・・はレーザー光源4aの照射ラインの座標とする。照射ラインの座標は、乾燥板海苔10の全域をカバーするように付与される。どの乾燥板海苔10にも同じ座標が付与されるようにするため、コンベア渡りする乾燥板海苔10の先端位置が、センサ(図示せず)によって検知され、これを起点に座標が確定される。照射ラインmと照射ラインnは、θの角度で斜めに交差する斜交座標系をなしている。m1とn1は、同時刻の照射とする。m2とn2も同時刻の照射とする。以下、m3とn3以降も同様とする。m4でレーザー光が遮断され、レーザー受光素子3bでオフが検出されたとする。一方、n2とn4でレーザー光が遮断され、レーザー受光素子4bでオフが検出されたとする。この場合、異物11aの座標は(m4、n2)で、異物11bの座標は(m4、n4)となる。他の例として、m5で異物11cによりレーザー受光素子3bがオフとなり、n8でレーザー受光素子4bがオフとなったとする。この場合、異物11cの座標は(m5、n8)となる。
【0019】
図6は、本発明による乾燥板海苔の異物検出方法のフローチャートである。S1は、乾燥板海苔10がコンベア2からコンベア2にコンベア渡りする段階を示す。S2とS3は、コンベア渡りする乾燥板海苔10の搬送方向と交差する方向の両側に設けたレーザーセンサ3、3により、乾燥板海苔10の上面と下面から突き出た異物を検出する段階である。一方のレーザーセンサ3が、乾燥板海苔10の上面の異物検出用で、他方のレーザーセンサ3が、乾燥板海苔10の下面の異物検出用である。S4とS5は、コンベア渡りする乾燥板海苔10の搬送方向と交差する方向の両側に設けたレーザーセンサ4、4により、乾燥板海苔10の上面と下面から突き出た異物を検出する段階である。S2とS3、S4とS5は同時並列に進行される。異物は、レーザー受光素子でレーザー光が受光されたか遮断又は減光されて、閾値以下となり受光されなかったことで判定される。異物でレーザー光が受光されなかった場合、その照射ラインの位置情報n又はmが記録される。S6は、1枚の乾燥板海苔10として、異物があったかどうかを判定する段階である。S7は異物を検出した乾燥板海苔10が不良品スタッカに送られる段階である。S8は、異物が検出されなかった乾燥板海苔10が良品スタッカに送られる段階である。