(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022129583
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】ポリグリセリン脂肪酸エステル、感触調整剤及び化粧料
(51)【国際特許分類】
C08G 63/12 20060101AFI20220830BHJP
A61K 8/00 20060101ALI20220830BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20220830BHJP
C08G 65/332 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
C08G63/12
A61K8/00
A61K8/86
C08G65/332
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021028300
(22)【出願日】2021-02-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】390028897
【氏名又は名称】阪本薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001531
【氏名又は名称】特許業務法人タス・マイスター
(72)【発明者】
【氏名】豊島 亮祐
(72)【発明者】
【氏名】奥田 知穂
(72)【発明者】
【氏名】村島 健司
【テーマコード(参考)】
4C083
4J005
4J029
【Fターム(参考)】
4C083AC421
4C083EE06
4J005AA21
4J005BD02
4J029AA01
4J029AB01
4J029AD10
4J029AE18
4J029CA02
4J029FB02
4J029FC29
4J029HA01
4J029HB01
4J029JA091
4J029JE182
4J029JF031
4J029KC04
4J029KE03
4J029KE05
(57)【要約】
【課題】従来よりも使用感に優れた化粧料を得ることができるようなポリグリセリン脂肪酸エステルを提供する。
【解決手段】ポリグリセリンの水酸基価が1400以下であり、構成脂肪酸がモノカルボン酸及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種以上、並びに、ポリカルボン酸及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種以上であり、前記ポリグリセリンに対する全構成脂肪酸のエステル化率が30~70%であり、前記ポリグリセリンに対するポリカルボン酸及びその誘導体のエステル化率が2~8%であり、流動パラフィンに5%添加した組成物の損失弾性率が極大点において振動ひずみ1%以上かつ応力5000Pa以上であるポリグリセリン脂肪酸エステル。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリグリセリンの水酸基価が1400以下であり、
構成脂肪酸がモノカルボン酸及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種以上、並びに、ポリカルボン酸及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種以上であり、
前記ポリグリセリンに対する全構成脂肪酸のエステル化率が30~70%であり、
前記ポリグリセリンに対するポリカルボン酸及びその誘導体のエステル化率が2~8%であり、
流動パラフィンに5%添加した組成物の損失弾性率が極大点において振動ひずみ1%以上かつ応力5000Pa以上である
ことを特徴とするポリグリセリン脂肪酸エステル。
【請求項2】
モノカルボン酸がベヘン酸である請求項1に記載のポリグリセリン脂肪酸エステル。
【請求項3】
ポリカルボン酸がエイコサン二酸である請求項1又は請求項2に記載のポリグリセリン脂肪酸エステル。
【請求項4】
請求項1~3記載のポリグリセリン脂肪酸エステルからなることを特徴とする感触調整剤。
【請求項5】
請求項1~3記載のポリグリセリン脂肪酸エステル、および油性成分を含有する化粧料。
【請求項6】
油性成分が炭化水素油及びエステル油からなる群より選ばれる1種以上である請求項5に記載の化粧料。
【請求項7】
ポリグリセリン脂肪酸エステルの配合量が化粧料中の水以外の成分全量に対して0.01~20質量%である請求項5又は請求項6に記載の化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリグリセリン脂肪酸エステル、感触調整剤及び化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、界面活性剤、油ゲル化剤等として公知の成分であり、食品分野や化粧料分野において広く使用されている。このようなポリグリセリン脂肪酸エステルは、使用する原料の選択や配合量等によって、名称が同一であっても構造が相違する化合物が多く存在し、その構造の相違によって性質も異なるものとなる。
【0003】
特許文献1、2においては、種々のグリセリン脂肪酸エステルやポリグリセリン脂肪酸エステルの検討がなされており、これらの化粧品原料としての性能についても検討が行われている。特許文献1では油にエステル化生成物を溶解させた際のゲル状物の目視評価を行うことで、特許文献2ではアルコールにエステル化物を溶解させた際のゲル状物の目視評価を行うことで性能評価を行っている。
【0004】
近年、化粧料原料についても、動的粘弾性による分析が行われるようになってきた。これは、ひずみが与えられたときの挙動を解析することによって、化粧品使用時の使用感を予測するためのものである。このような分析によって、従来以上に使用感に優れた化粧料及びこのような化粧料を与える化粧料原料を製造する検討が試みられている。
【0005】
一方、上述したようなポリグリセリン脂肪酸エステルについては、このような検討が行われておらず、化粧品使用時の感触を調製する成分としての研究は行われていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2700377号
【特許文献2】特許第3535197号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来よりも使用感に優れた化粧料を得ることができるようなポリグリセリン脂肪酸エステルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ポリグリセリンの水酸基価が1400以下であり、
構成脂肪酸がモノカルボン酸及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種以上、並びに、ポリカルボン酸及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種以上であり、
前記ポリグリセリンに対する全構成脂肪酸のエステル化率が30~70%であり、
前記ポリグリセリンに対するポリカルボン酸及びその誘導体のエステル化率が2~8%であり、
流動パラフィンに5%添加した組成物の損失弾性率が極大点において振動ひずみ1%以上かつ応力5000Pa以上である
ことを特徴とするポリグリセリン脂肪酸エステルである。
【0009】
モノカルボン酸は、ベヘン酸であることが好ましい。
ポリカルボン酸は、エイコサン二酸であることが好ましい。
本発明は、上記ポリグリセリン脂肪酸エステルからなることを特徴とする感触調整剤でもある。
本発明は、上記ポリグリセリン脂肪酸エステル、および油性成分を含有する化粧料でもある。
上記油性成分は、炭化水素油及びエステル油からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。
上記化粧料は、上記ポリグリセリン脂肪酸エステルの配合量が化粧料中の水以外の成分全量に対して0.01~20質量%であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルは、化粧料に配合した際に特に使用感の向上において優れた性能を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】流動パラフィンに合成例1を5%添加した組成物の損失弾性率のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、公知の化合物であり、化粧品分野においても多く使用される成分である。
【0013】
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、複雑な構造を有する化合物であり、ポリグリセリンの重合度やエステル化率等によって、極めて多くの構造が考えられる。そして、この化学構造によって、物理的性質が変化することとなる。
【0014】
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、油のゲル化剤として一般に使用されている。したがって、物理的性質を調整するための成分として非常に重要なものとなる。化粧料は皮膚に塗布して使用するものであることから、塗布時の感触やのび・ひろがり等の性能が求められる。これらの使用感は、化粧料においても非常に重要な性能と考えられており、これを改善するための多くの試みがなされている。
【0015】
近年は、このような化粧料の使用感について、使用者の評価によるモニター試験のみではなく、物理的性質の測定によって検証を行い、化粧料分野においてさらに優れた性能を有する原料を開発する試みが行われている。
【0016】
本発明者らは、ポリグリセリン脂肪酸エステルと油とを含有する組成物について、動的粘弾性の検討を行い、化粧料原料として使用したときに、特に優れた使用感が得られるような組成がどのようなものであるかの検討を行った。
【0017】
多くの種類のポリグリセリン脂肪酸エステルを製造して、これらの性能を確認した結果、ポリグリセリンの水酸基価が1400以下、エステル化率が30~70%、流動パラフィンに5%添加した組成物の損失弾性率が極大点において振動ひずみ1%以上かつ応力5000Pa以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルが化粧品に優れた使用感を提供できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0018】
すなわち、化粧品の使用感という観点では、動的粘弾性によって徐々に応力を加えた際に得られる損失弾性率の推移について、極大点に達するまでのひずみ応力が大きく、かつその値も高いという物理的性質を有する組成物は、化粧料として使用したとき、特に皮膚に塗り広げる際に、滑らかな感触を得られるという観点から使用感に優れるものとなる。このため、このような性能を有するようなポリグリセリン脂肪酸エステルは、従来にない優れた使用感を提供することができる。
【0019】
(動的粘弾性測定について)
本明細書において、動的粘弾性測定は、以下の装置を使用し、以下の手順に従って行ったものである。
測定対象となるサンプル:流動パラフィンに対してポリグリセリン脂肪酸エステルを5wt%添加した組成物
使用機器:動的粘弾性測定装置(TA instruments社製 Discovery Hybrid Rheometer-2)
測定治具:直径40mm パラレルプレート
流動パラフィンに対してポリグリセリン脂肪酸エステルを5wt%添加して均一に混合した組成物を温度20℃、周波数10ラジアン毎秒、ギャップ幅500μmの測定条件にて、ひずみ応力を0.01%~100%まで徐々に上昇させながら粘弾性を測定し、損失弾性率の推移を測定した。そして、その結果を
図1に示したようにグラフ化した場合に、極大点の振動ひずみが1%以上かつ応力が5000Pa以上であるものとすることに特徴を有する。
【0020】
このような値を満たすようなポリグリセリン脂肪酸エステルの組成物は、塗り広げる際に高い粘性を保持するという作用によって、塗布時ののびとマッサージ性が向上し、使用感に優れる組成物を得られることが推測できる。
損失弾性率の極大点の振動ひずみは1%以上のものが塗布時ののびを向上させることから使用感に優れ、2.5%以上のものはより好ましい感触となる。また損失弾性率の極大点の応力は、5000Pa以上のものが塗布時のマッサージ性を向上させることから使用感に優れ、9000Pa以上のものはより好ましい感触となる。
【0021】
(ポリグリセリン脂肪酸エステルの化学構造について)
上述したようにポリグリセリン脂肪酸エステルは、その化学構造やエステル化度等を比較的自由に変化させることができる。そのようななかで、本発明の目的に好適に使用することができるポリグリセリン脂肪酸エステルは、ポリグリセリンの水酸基価が1400以下であり、エステル化率が30~70%であるようなものである。
【0022】
本発明における水酸基価は、ポリグリセリンに含まれる水酸基数の大小の指標となる数値であり、1gのポリグリセリンに含まれる遊離ヒドロキシル基をアセチル化するために必要な酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数をいう。水酸化カリウムのミリグラム数は、社団法人日本油化学会編纂、「日本油化学会制定、基準油脂分析試験法、2013年度版」に準じて算出される。
なお、上記ポリグリセリンの水酸基価は、原料のポリグリセリンから算出しても良いし、本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルをけん化分解して得られたポリグリセリンから算出しても良い。
上記水酸基価が1400を超えると、使用感に優れる機能を示さないという点で好ましくない。上記水酸基価の上限は特に限定されるものではないが、より優れた使用感を提供できる点から、950であることが好ましく、870であることが最も好ましい。
【0023】
上記水酸基価の下限は、より優れた使用感を提供できる点から、800であることがより好ましく、830であることが最も好ましい。
【0024】
本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルは、エステル化率が30~70%である。エステル化率は、末端基分析法による水酸基価から算出されるポリグリセリンの平均重合度(n)、このポリグリセリンが有する水酸基数(n+2)、ポリグリセリンに付加している脂肪酸のモル数(M)としたとき、
エステル化率(%)=(M/(n+2))×100
で算出される値である。ここで、平均重合度(n)は、末端基分析法による水酸基価から以下の式にて算出される。
分子量=74n+18
水酸基価=56110(n+2)/分子量
エステル化率が低すぎると、油性基剤との相溶性を失い、析出するという問題を生じるおそれがある。エステル化率が高すぎるものは、エステル化反応が進行しにくくなり、当該ポリグリセリン脂肪酸エステルを得ることが困難となる。
【0025】
上記エステル化率は、より優れた使用感を提供できる点から、下限が40%であることがより好ましい。上記エステル化率は、より優れた使用感を提供できる点から、上限が60%であることがより好ましい。
【0026】
本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルは、構成単位としてポリグリセリン単位と脂肪酸単位とを有するものであり、これらがエステル結合によって結合したものである。
構成単位となるポリグリセリン単位は、グリセリンが2以上縮合した化合物である。より好ましくは、3以上縮合したものであることが好ましく、6以上縮合したものであることがより好ましい。
【0027】
なお、本発明は「ポリグリセリン脂肪酸エステル」に関するものであり、グリセリン脂肪酸エステルではない。但し、上述したようにポリグリセリンの構成単位は縮合数が異なる複数の成分の混合であってもよく、このような混合成分の一つとしてグリセリンが含まれるものであってもよい。
【0028】
上記脂肪酸は、特に限定されず、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、べヘン酸、オレイン酸、リシノール酸、パルミトオレイン酸、イソオクチル酸(2-エチルヘキサン酸など)、イソノナン酸(3,5,5-トリメチルヘキサン酸など)、イソパルミチン酸、イソステアリン酸(2-ヘプチルウンデカン酸、エメリー社製の多メチル分枝タイプなど)、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等のモノカルボン酸やコハク酸、クエン酸、アジピン酸、セバシン酸、エイコサン二酸、ドデカン二酸、1、10-デカメチレン二酸、1、12-ドデカメチレン二酸、1、15-ペンタデカメチレン二酸、1、28-オクタコサメチレン二酸、1、7-エチルオクタデカン二酸等のポリカルボン酸等を挙げることができ、これらの2種以上を組み合わせて使用する。
【0029】
上記モノカルボン酸やポリカルボン酸は、誘導体であってもよい。誘導体としては、これらの酸無水物や酸ハロゲン化物等を挙げることができる。
【0030】
これらのなかでも、モノカルボン酸及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種以上、並びに、ポリカルボン酸及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種以上を併用したものであることが好ましい。また、モノカルボン酸としては、直鎖かつ飽和のモノカルボン酸、ポリカルボン酸は飽和のジカルボン酸を用いることが特に好ましい。これら2種の酸の混合物とすることで、使用感に優れる機能を示すという点で好ましいものである。
【0031】
本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルは、ポリカルボン酸としてエイコサン二酸等の二塩基酸を使用する場合の二塩基酸のエステル化率は、特に限定されるものではないが、エステル化率は2~8%であることが好ましく、3~7%であることがより好ましい。
二塩基酸のエステル化率が2~8%の範囲であれば、ポリグリセリン脂肪酸エステルの架橋反応が適切に制御でき、目的のポリグリセリン脂肪酸エステルを得ることができる。また、油剤に添加した際の分散性も良好となる。
【0032】
本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルは、その製造方法を限定されるものではなく、公知の一般的な製造方法によって得ることができる。
【0033】
本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルは、化粧品分野において、感触調整剤として好適に使用することができる。すなわち、上記ポリグリセリン脂肪酸エステルを配合することによって、化粧料の使用時における感触を良好なものとすることができるものである。
【0034】
本発明は、上記ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する化粧料でもある。
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、化粧料における配合成分として公知である。本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルも、同様の用途において使用することができる。
【0035】
本発明の化粧料は、上記本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルを化粧料のうち、水以外の成分の全量に対して0.01~20.0質量%の割合で含有するものであることが好ましい。このような範囲内で配合することで、特に優れた使用感を得ることができる点で好ましい。上記下限は、0.05質量%であることがより好ましく、0.1質量%であることが更に好ましい。上記上限は、15.0質量%であることがより好ましく、10.0質量%であることが更に好ましい。なお、上記記載は、化粧料が水を必須成分とすることを意味するものではなく、本発明の化粧料は水を含まないものであってもよい。水を含まない化粧料の場合は、化粧料全量に対して、上記範囲内で本発明のポリグリセリン脂肪酸を含有することが好ましい。
【0036】
化粧料としては特に限定されず、口紅、リップグロス、リップクリーム、ハンドクリーム、美容クリーム、ヘアークリーム等のクリーム、美容液、乳液、ローション、ファンデーション、コントロール、サンスクリーン(日焼け止め化粧料)、頬紅、下地化粧料、アイシャドウ、アイブロウ、マスカラ、シャンプー、リンス、コンディショナー、クレンジング、整髪料、美爪料などを挙げることができる。特に、口紅、リップグロス等の口唇用化粧料に好適に使用することができる。
【0037】
本発明の化粧料は、上記ポリグリセリン脂肪酸エステルに加えて、更に、化粧品分野において使用される一般的な原料を併用することもできる。
【0038】
本発明の化粧料には必要に応じて水及び通常配合される添加成分、例えば油性基材、アルコール類、保湿剤、高分子・増粘・ゲル化剤、酸化防止剤、防腐剤、殺菌剤、キレート剤、pH調整剤・酸・アルカリ、紫外線吸収剤、美白剤、溶剤、角質剥離・溶解剤、鎮痒剤、消炎剤、制汗剤、清涼剤、還元剤・酸化剤、ビタミン類及びその誘導体類、糖類及びその誘導体類、有機酸類、香料等を配合することができる。本発明の化粧料は、上記油性基材を必須成分とする油性化粧料として特に好適に使用することができる。
【0039】
これらの添加成分を例示すると、油性成分としては、例えば高級アルコール類としてセタノール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、ホホバアルコール、キミルアルコール、バチルアルコール、ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ダイマージオール等が挙げられる。また、ヤシ油、パーム油、パーム核油、サフラワー油、オリーブ油、ヒマシ油、アボカド油、ゴマ油、茶油、月見草油、小麦胚芽油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、ククイナッツ油、ローズヒップ油、メドウフォーム油、パーシック油、ティートリー油、ハッカ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヒマワリ油、小麦胚芽油、アマニ油、綿実油、大豆油、落花生油、コメヌカ油、カカオ脂、シア脂、水素添加ヤシ油、水素添加ヒマシ油、ホホバ油、水素添加ホホバ油等の植物油脂類;牛脂、乳脂、馬脂、卵黄油、ミンク油、タートル油等の動物性油脂類;ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、ホスファチジン酸、リゾレシチン等のリン脂質類;水素添加大豆リン脂質、水素添加卵黄リン脂質等のリン脂質誘導体類;コレステロール、ジヒドロコレステロール、ラノステロール、ジヒドロラノステロール、フィトステロール等のステロール類;酢酸コレステリル、ノナン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、イソステアリン酸フィトステリル、軟質ラノリン脂肪酸コレステリル、硬質ラノリン脂肪酸コレステリル、長鎖分岐脂肪酸コレステリル、長鎖α-ヒドロキシ脂肪酸コレステリル等のステロールエステル類;オレイン酸エチル、アボカド油脂肪酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、セバチン酸ジエチル、セバチン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソプロピル、コハク酸ジオクチル等の低級アルコール脂肪酸エステル類;ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ヘキシルデシル、イソステアリン酸オクチルドデシル、パルミチン酸オクチルドデシル、オクタン酸セチル、オクタン酸ヘキシルデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸オクチル、イソノナン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオデカン酸オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、リシノレイン酸オクチルドデシル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、エルカ酸オクチルドデシル、イソステアリン酸硬化ヒマシ油等の高級アルコール脂肪酸エステル類;乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、モノイソステアリン酸水添ヒマシ油等のオキシ酸エステル類;トリオクタン酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、水素添加ロジングリセリル(水素添加エステルガム)、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、ジオレイン酸プロピレングリコール、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、水素添加ロジンペンタエリスリチル、(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、等の多価アルコール脂肪酸エステル類;ダイマージリノール酸ジイソプロピル、ダイマージリノール酸ジイソステアリル、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、ジイソステアリン酸ダイマージリノレイル、ダイマージリノレイル水添ロジン縮合物、ダイマージリノール酸硬化ヒマシ油、ヒドロキシアルキルダイマージリノレイルエーテル等のダイマー酸若しくはダイマージオールの誘導体;ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、パルミチン酸モノエタノールアミド、パルミチン酸ジエタノールアミド等の脂肪酸アルカノールアミド類等;低粘度ジメチルポリシロキサン、高粘度ジメチルポリシロキサン、環状ジメチルシロキサン(デカメチルシクロペンタシロキサン)、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、アミノプロピルジメチコン及びアモジメチコン等のアミノ変性ポリシロキサン、カチオン変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、ポリグリセリン変性ポリシロキサン、糖変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、脂肪酸変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等のシリコーン類;パーフルオデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類等が挙げられる。
上記油性成分は、炭化水素油及びエステル油からなる群より選ばれる1種以上であることがより好ましい。
【0040】
保湿剤としては、プロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、DPG、1,2-アルカンジオール、1,3-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール等の多価アルコール類、ヒアルロン酸ナトリウム、クエン酸塩、尿素、乳酸菌培養液、酵母抽出液、卵殻膜タンパク、牛顎下腺ムチン、ヒポタウリン、ゴマリグナン配糖体、ベタイン、コンドロイチン硫酸、グルタチオン、ポリエチレングリコール、ソルビトール、カルビトール、乳酸ナトリウム、2-ピロリドン-5-カルボン酸ナトリウム、アルブミン、トリメチルグリシン;コラーゲン、ゼラチン、エラスチン、コラーゲン分解ペプチド、エラスチン分解ペプチド、ケラチン分解ペプチド、コンキオリン分解ペプチド、シルク蛋白分解ペプチド、大豆蛋白分解ペプチド、小麦蛋白分解ペプチド、カゼイン分解ペプチド、アシル化ペプチド等の蛋白ペプチド類及びその誘導体;アルギニン、セリン、グリシン、スレオニン、グルタミン酸、システイン、メチオニン、ロイシン、トリプトファン等のアミノ酸類;胎盤抽出液、エアラスチン、コラーゲン、アロエ抽出物、ハマメリス水、ヘチマ水、カモミラエキス、カンゾウエキス、コンフリーエキス等の動物・植物抽出成分、天然型セラミド(タイプ1、2、3、4、5、6)、ヒドロキシセラミド、疑似セラミド、スフィンゴ糖脂質等のセラミド類を例示することができる。
【0041】
高分子・増粘剤・ゲル化剤としては、グアーガム、ローカストビーンガム、クィーンスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、タラガム、タマリンド、ファーセレラン、カラヤガム、トロロアオイ、キャラガム、トラガントガム、ペクチン、アルギン酸及びその塩、マンナン、デンプン、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、カードラン、ヒアルロン酸及びその塩、ザンサンガム、プルラン、ジェランガム、キチン、キトサン、寒天、コンドロイチン硫酸塩、カゼイン、ゼラチン、アルブミン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキメチルセルロース及びその塩、メチルヒドロキシプロピルセルロース、カチオン化セルロース、可溶性デンプン、カルボキシメチルデンプン、メチルデンプン、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン共重合体、ポリ酢酸ビニル部分けん化物、マレイン酸共重合体、ポリアクリル酸エステル共重合体、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸及びその塩、アクリル酸・メタアクリル酸エステル共重合体、両性メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸・メタアクリル酸アルキル共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体、アクリル酸・ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体、アクリル酸・カチオン化メタアクリル酸エステル共重合体、アクリル酸・カチオン化メタアクリル酸アミド共重合体、塩化メタクリル酸コリンエステル重合体、カチオン化グアーガム、ニトロセルロース;12-ヒドロキシステアリン酸及びその塩、デキストリン脂肪酸エステル、無水ケイ酸、金属石鹸、有機変性粘土鉱物、ショ糖脂肪酸エステル、フラクトオリゴ糖脂肪酸エステル等を例示することができる。
【0042】
酸化防止剤としては、BHT、BHA、没食子酸プロピル、ビタミンE(トコフェロール)および/またはその誘導体、ビタミンC(アスコルビン酸)および/またはその誘導体、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩等を例示することができる。防腐剤としては、フェノール類、フェノキシエタノール、ヒドロキシ安息香酸及びその塩類、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、ハロゲン化ビスフェノール類、酸アミド類、四級アンモニウム塩類等を例示することができる。殺菌剤としては、トリクロロカルバニド、ジンクピリチオン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロルヘキシジン、ハロカルバン、ヒノキチオール、フェノール、イソプロピルフェノール、感光素類等を例示することができる。キレート剤としては、エデト酸塩、フィチン酸、ホスホン酸類、シュウ酸ナトリウム、ポリアミノ酸類等を例示することができる。pH調整剤・酸・アルカリとしては、クエン酸、乳酸、グリコール酸、コハク酸、酢酸、塩酸、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、アルギニン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水、炭酸グアニジン等を例示することができる。
【0043】
溶剤類としては、エタノール、2-プロパノール等の低級アルコール類;アセトン、酢酸エチル、エチレングリコールモノエチルエーテル、トルエン等を例示することができる。
【0044】
角質剥離・溶解剤としては、サリチル酸、イオウ、レゾルシン、硫化セレン、ピリドキシン等を例示することができる。鎮痒剤としては、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、カンファー等を例示することができる。消炎剤としては、グリチルリチン酸及びその誘導体、グアイアズレン、酢酸ヒドロコーチゾン、プレドニゾン等を例示することができる。制汗剤としては、クロルヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、酸化亜鉛、パラフェノールスルホン酸亜鉛等を例示することができる。清涼剤としては、メントール、サリチル酸メチル等を例示することができる。抗ヒスタミン剤としては、塩酸ジフェドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、グリチルレチン酸誘導体等を例示することができる。収れん剤としては、クエン酸、酒石酸、乳酸、硫酸アルミニウム・カリウム、タンニン酸等を例示することができる。刺激剤としては、カンタリスチンキ、ショウキョウチンキ、トウガラシチンキ、ニコチン酸ベンジル等を例示することができる。育毛用薬剤・血行促進剤としては、センブリエキス、トウガラシチンキ、ショウキョウチンキ、カンタリスチンキ等の植物エキス・チンキ類;セファランチン、ビタミンE及びその誘導体、γ-オリザノール、ニコチン酸及びニコチン酸ベンジルエステル等の誘導体、アラントイン、感光素301、感光素401、ペンタデカン酸モノグリセリド、フラバノノール誘導体、ミノキシジル等を例示することができる。
【0045】
還元剤としては、チオグリコール酸、システイン、システアミン等を例示することができる。酸化剤としては、過酸化水素水、過硫酸アンモニウム、臭素酸ナトリウム等を例示することができる。
【0046】
α-ヒドロキシ酸類及びその誘導体類としては、乳酸、グリコール酸、フルーツ酸、ヒドロキシカプリン酸、長鎖α-ヒドロキシ脂肪酸、長鎖α-ヒドロキシ脂肪酸コレステリル等を例示することができる。
【0047】
ビタミン類及びその誘導体類としては、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンD、ビタミンE、パントテン酸、ビオチン等のビタミン類;ステアリン酸アスコルビル、パルミチン酸アスコルビル、ジパルミチン酸アスコルビル、リン酸アスコルビルマグネシウム、アスコルビン酸ナトリウム、ニコチン酸トコフェロール、酢酸トコフェロール、リノール酸トコフェロール、フェルラ酸トコフェロール等のビタミン誘導体類を例示することができる。
【0048】
糖類及びその誘導体類としては、シクロデキストリン、β-グルカン、キチン、キトサン、グルコース、トレハロース、ペクチン、アラビノガラクタン、デキストリン、デキストラン、メタクリル酸グルコシルエチル重合物若しくは共重合物等を例示することができる。有機酸類としては、酢酸、プロピオン酸、クエン酸、アビエチン酸、酒石酸等を例示することができる。
【0049】
酵素類としては、塩化リゾチーム、パパイン、パンクレアチン、プロテアーゼ等を例示することができる。核酸類としては、アデノシン三リン酸二ナトリウム等を例示することができる。ホルモン類としては、エストラジオール、エストロン、エチニルエストラジオール、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン等を例示することができる。
【実施例0050】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何らの限定を受けるものではない。
【0051】
[合成]
<合成例1>
水酸基価が840のポリグリセリン136.7g(0.121モル)とベヘン酸350.3g(1.030モル)とエイコサン二酸35.2g(0.103モル)を反応容器に入れ、0.25gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において250℃、3時間反応を行い、エステル化率が55%の反応生成物500gを得た。
【0052】
<合成例2>
水酸基価が840のポリグリセリン157.6g(0.140モル)とベヘン酸323.1g(0.950モル)とエイコサン二酸40.63g(0.119モル)を反応容器に入れ、0.25gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において250℃、3時間反応を行い、エステル化率が55%の反応生成物500gを得た。
【0053】
<合成例3>
水酸基価が890のポリグリセリン131.9g(0.174モル)とベヘン酸355.0g(1.044モル)とエイコサン二酸35.7g(0.104モル)を反応容器に入れ、0.25gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において250℃、3時間反応を行い、エステル化率が55%の反応生成物500gを得た。
【0054】
<合成例4>
水酸基価が970のポリグリセリン123.4g(0.267モル)とベヘン酸363.2g(1.068モル)とエイコサン二酸36.5g(0.107モル)を反応容器に入れ、0.25gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において250℃、3時間反応を行い、エステル化率が55%の反応生成物500gを得た。
【0055】
<合成例5>
水酸基価が1070のポリグリセリン114.4g(0.364モル)とベヘン酸3718g(1.093モル)とエイコサン二酸37.4g(0.109モル)を反応容器に入れ、0.25gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において250℃、3時間反応を行い、エステル化率が55%の反応生成物500gを得た。
【0056】
<合成例6>
水酸基価が1150のポリグリセリン107.0g(0.446モル)とベヘン酸379.0g(1.115モル)とエイコサン二酸38.1g(0.111モル)を反応容器に入れ、0.25gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において250℃、3時間反応を行い、エステル化率が55%の反応生成物500gを得た。
【0057】
<合成例7>
水酸基価が1400のポリグリセリン95.3g(0.574モル)とベヘン酸390.3g(1.148モル)とエイコサン二酸39.3g(0.115モル)を反応容器に入れ、0.25gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において250℃、3時間反応を行い、エステル化率が55%の反応生成物500gを得た。
【0058】
<合成例8>
水酸基価が1830のグリセリン74.1g(0.805モル)とベヘン酸410.7g(1.208モル)とエイコサン二酸41.3g(0.121モル)を反応容器に入れ、0.25gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において250℃、3時間反応を行い、エステル化率が55%の反応生成物500gを得た。
【0059】
<合成例9>
水酸基価が840のポリグリセリン227.2g(0.201モル)とベヘン酸232.8g(0.685モル)とエイコサン二酸58.5g(0.171モル)を反応容器に入れ、0.25gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において250℃、3時間反応を行い、エステル化率が25%の反応生成物500gを得た。
【0060】
<合成例10>
水酸基価が840のポリグリセリン97.5g(0.201モル)とベヘン酸399.8g(1.176モル)とエイコサン二酸25.1g(0.073モル)を反応容器に入れ、0.25gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において250℃、3時間反応を行ったが、反応が完結せず、反応生成物を得られなかった。
【0061】
<合成例11>
水酸基価が840のポリグリセリン144.9g(0.128モル)とベヘン酸371.2g(1.092モル)とエイコサン二酸3.7g(0.011モル)を反応容器に入れ、0.25gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において250℃、3時間反応を行い、エステル化率が50.5%の反応生成物500gを得た。
【0062】
<合成例12>
水酸基価が840のポリグリセリン127.7g(0.113モル)とベヘン酸327.2g(0.962モル)とエイコサン二酸65.8g(0.192モル)を反応容器に入れ、0.25gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において250℃、3時間反応を行ったところ、架橋反応が過剰に進行しゲル化したため、反応容器から取り出すことができず、反応生成物を得られなかった。
【0063】
[組成物]
合成例1~9および11のエステルについて、流動パラフィンに5%添加して組成物を調製したが、合成例9および11のエステルについては、均一な組成物を得ることができなかった。合成例1~8のエステルの組成物について、20℃の温度条件にてひずみ応力を0.01%~100%まで徐々に上昇させながら粘弾性を測定し、損失弾性率の極大における振動ひずみと応力を比較した。結果を表1に示す。
【0064】
【0065】
[感触の評価]
〈実施例1~7、比較例1〉
合成例1~8のエステルを流動パラフィンに5%添加した組成物を用いて、感触における官能試験を実施した。評価項目としては、「のび」、「マッサージ性」、「使用感」の3点であり、4段階で評価した。
【0066】
〈実施例8~10、比較例2~4〉
合成例1または8のエステルをパルミチン酸エチルヘキシル、ミリスチン酸イソプロピルまたはトリ(カプリル/カプリン酸)グリセリルに5%添加した組成物を用いて、感触における官能試験を実施した。評価項目としては、「のび」、「マッサージ性」、「使用感」の3点であり、4段階で評価した。
【0067】
[のび]
20名のパネラーにより官能評価した。上記の組成物を前腕に1g塗布し、それを人差し指で塗り広げた際ののびの良さについて5点満点として平均点を算出し、以下の基準により評価した。これらの結果を表2、3に示す。
(基準)
◎:4.0点以上(非常に良好)
○:3.0点以上、4.0点未満(良好)
△:2.0点以上、3.0点未満(やや悪い)
×:2.0点以下(悪い)
【0068】
[マッサージ性]
20名のパネラーにより官能評価した。上記の組成物を前腕に1g塗布し、それを人差し指で塗り広げた際のマッサージ性について5点満点として平均点を算出し、以下の基準により評価した。これらの結果を表2、3に示す。
(基準)
◎:4.0点以上(非常に良好)
○:3.0点以上、4.0点未満(良好)
△:2.0点以上、3.0点未満(やや悪い)
×:2.0点以下(悪い)
【0069】
[使用感]
20名のパネラーにより官能評価した。上記の組成物を前腕に1g塗布し、それを人差し指で塗り広げた際の使用感について5点満点として平均点を算出し、以下の基準により評価した。これらの結果を表2、3に示す。
(基準)
◎:4.0点以上(非常に良好)
○:3.0点以上、4.0点未満(良好)
△:2.0点以上、3.0点未満(やや悪い)
×:2.0点以下(悪い)
【0070】
【0071】
本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルを用いた実施例1~7の組成物は塗布時ののびやマッサージ性に優れており、使用感に優れるものであった。一方、ポリグリセリンの水酸基価が1400以下、エステル化率30~70%、極大点の振動ひずみが1%以上かつ値が5000Pa以上という条件のいずれかを満たさない合成例8のエステルを用いた比較例1の組成物は、塗布時ののびやマッサージ性に劣っており、使用感が悪いものであった。
【0072】
【0073】
実施例8~10に示すように、本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルは炭化水素油だけでなく、様々な油性成分の感触を調整し、良好な使用感を得ることができる。一方、合成例8のエステルでは比較例2~4に示すように、様々な油性成分を用いても良好な感触を得ることはできなかった。
【0074】
上記結果より、本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルは、化粧料に配合した場合にすぐれた効果を奏するものであることが明らかとなった。