(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022129611
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】ヘルメット用取付具
(51)【国際特許分類】
A42B 3/04 20060101AFI20220830BHJP
【FI】
A42B3/04
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021028338
(22)【出願日】2021-02-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】521082145
【氏名又は名称】有限会社こうの看板工房
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100206612
【弁理士】
【氏名又は名称】新田 修博
(74)【代理人】
【識別番号】100209749
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 和輝
(74)【代理人】
【識別番号】100217755
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 淳史
(72)【発明者】
【氏名】河野 勇
【テーマコード(参考)】
3B107
【Fターム(参考)】
3B107BA08
(57)【要約】
【課題】ヘルメットを装着している作業員の識別を行えるとともに、マスクを着用しても作業員の耳に痛みが生じ得ないヘルメット用取付具を提供する。
【解決手段】ヘルメット用取付具1は、表示部材の端部に取り付けられる取付部10と、
取付部10に設けられ、かつヘルメットの縁に係止可能なフック部16とを備え、取付部10にマスクの耳かけ部を係止可能な係止部21,21が設けられているので、ヘルメットを装着している作業員の識別を表示部材によって行えるとともに、マスクを着用しても作業員の耳に痛みが生じ得ない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の表示部材をヘルメットに取り付ける際に使用されるヘルメット用取付具であって、
前記表示部材の端部に取り付けられる取付部と、
前記取付部に設けられ、かつ前記ヘルメットの縁に係止可能なフック部とを備え、
前記取付部にマスクの耳かけ部を係止可能な係止部が設けられていることを特徴とするヘルメット用取付具。
【請求項2】
前記係止部は前記取付部から突出する突出部であることを特徴とする請求項1に記載のヘルメット用取付具。
【請求項3】
前記フック部を前記ヘルメットの縁に係止した場合における前記取付部の前記縁に沿う方向を前記取付部の幅方向とすると、
前記取付部の幅方向の端部に前記突出部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のヘルメット用取付具。
【請求項4】
前記突出部は、前記取付部の前記フック部と逆側の表面に、当該表面から垂直に突出して設けられていることを特徴とする請求項2に記載のヘルメット用取付具。
【請求項5】
前記突出部は、
前記取付部の前記表面から垂直に突出する軸部と、
この軸部の先端部に設けられて、当該軸部より大径でかつ当該軸部の径方向に張り出す張出部と、
を備えていることを特徴とする請求項4に記載のヘルメット用取付具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業員の職種や熟練度等を識別表示するための表示部材をヘルメットに取り付ける際に使用されるヘルメット用取付具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工事現場等では、新規入場教育後、作業員のヘルメットに氏名等を記入したシールを貼って作業員の職種や熟練度等を表示し識別していた。
しかし、このシールを用いる方法では、他の工事現場のシールがヘルメットに貼られていることがあり、作業員の識別ができない場合があるという問題があった。
【0003】
この問題を解決できるヘルメット用取付具の一例して特許文献1に記載のものが知られている。このヘルメット用取付具は、作業員を識別するための帯状の表示部材をヘルメットに取り付ける際に使用されるものであり、表示部材の端部を挟みつける第1挟持片と第2挟持片とを備え、第2挟持片はヘルメットの縁に係止可能なフック部を備えている。
このようなヘルメット用取付具を使用して、帯状の表示部材をヘルメットに取り付ける場合、まず、表示部材の両端部を第1挟持片と第2挟持片とによって挟み付けることによって、表示部材の両端部にそれぞれヘルメット用取付具を取り付ける。次に、ヘルメットの外面に表示部材を密着させるようにして沿わせるとともに、表示部材の両端部にそれぞれ取り付けられているヘルメット用取付具のフック部をヘルメットの縁に挿入することによって、当該フック部をヘルメットの縁に係止することによって表示部材をヘルメット用取付具によってヘルメットに取り付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年のコロナ禍において、建築土木現場等の工事現場や工場等で作業している作業員は安全のためにヘルメットを装着したうえで、感染防止のためにマスクを着用していることが多い。
マスクは工事現場等で作業している間、常に着用しているため、マスクの耳かけ部が作業員の耳に長時間にわたって接触し、このため耳に痛みが生じることがあった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、ヘルメットを装着している作業員の識別を行えるとともに、マスクを着用しても作業員の耳に痛みが生じ得ないヘルメット用取付具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明のヘルメット用取付具は、帯状の表示部材をヘルメットに取り付ける際に使用されるヘルメット用取付具であって、
前記表示部材の端部に取り付けられる取付部と、
前記取付部に設けられ、かつ前記ヘルメットの縁に係止可能なフック部とを備え、
前記取付部にマスクの耳かけ部を係止可能な係止部が設けられていることを特徴とする。
【0008】
ここで、係止部はマスクの耳かけ部を係止できる形状であれば、どのような形状や構造でも構わない。例えば、取付部から突出するような形状であってもよいし、取付部にコ字形やU字形の切込みを形成し、この切込みの内側を係止部としてもよい。
【0009】
本発明においては、帯状の表示部材の両端部にヘルメット用取付具の取付部を取り付け、ヘルメットの外面に表示部材を密着させるようにして沿わせるとともに、ヘルメット用取付具のフック部をヘルメットの縁に係止することによって表示部材をヘルメットに取り付けるので、ヘルメットを装着している作業員の識別を表示部材によって確実に行える。
また、ヘルメット用取付具の取付部に、マスクの耳かけ部を係止可能な係止部が設けられているので、ヘルメットを装着した作業員は、マスクの耳かけ部を係止部に係止することによって、作業員の耳に耳かけ部を引っ掛ける必要がない。このためマスクを着用しても作業員の耳に痛みは生じ得ない。
【0010】
また、本発明の前記構成において、前記係止部は前記取付部から突出する突出部であってもよい。
【0011】
このような構成によれば、係止部が取付部から突出する突出部であるので、マスクの耳かけ部を突出部に容易に係止することができる。
【0012】
また、本発明の前記構成において、前記フック部を前記ヘルメットの縁に係止した場合における前記取付部の前記縁に沿う方向を前記取付部の幅方向とすると、前記取付部の幅方向の端部に前記突出部が設けられていてもよい。
この場合、取付部の幅方向の両端部にそれぞれ突出部を設けるのが好ましい。
【0013】
このような構成によれば、取付部の幅方向の端部に突出部が設けられているので、作業員がヘルメットを装着した状態において、突出部はヘルメットの側部と平行となっている。したがって、突出部がヘルメットの側部に対して直角に突出することがないため、安全上も好ましく、また突出部がヘルメットの側方にある物に干渉することもない。
また、取付部の幅方向の両端部のうち、ヘルメットの背面側に近い側の一端部に突出部を設けることによって、ヘルメットの前面側に近い側の他端部に突出部を設ける場合に比して、突出部に係止したマスクの耳かけ部が外れ難くなる。
さらに、取付部の幅方向の両端部にそれぞれ突出部を設けることによって、突出部の向きを気にすることなく、ヘルメット用取付具を表示部材の端部に取り付けることができるとともに、ヘルメット用取付具をヘルメットに取り付けることができる。
【0014】
また、本発明の前記構成において、前記突出部は、前記取付部の前記フック部と逆側の表面に、当該表面から垂直に突出して設けられていてもよい。
【0015】
このような構成によれば、突出部が取付部の表面に、当該表面から垂直に突出して設けられているので、マスクの耳かけ部を突出部に容易に係止できる。
【0016】
また、本発明の前記構成において、前記突出部は、前記取付部の前記表面から垂直に突出する軸部と、この軸部の先端部に設けられて、当該軸部より大径でかつ当該軸部の径方向に張り出す張出部とを備えていてもよい。
【0017】
このような構成によれば、マスクの耳かけ部を突出部の軸部に係止した場合に、張出部が軸部より大径でかつ当該軸部の径方向に張り出しているので、耳かけ部は張出部に引っ掛かる。このため、耳かけ部の突出部からの抜出しを防止できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ヘルメットを装着している作業員の識別を行えるとともに、マスクを着用しても作業員の耳に痛みが生じ得ない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るヘルメット用取付具を示すもので、正面側斜視図である。
【
図9】同、第1挟持片と第2挟持片によって表示部材の端部を挟み付けた状態を示す側面図である。
【
図10】同、表示部材の端部にヘルメット用取付具を取り付けた状態を示す背面図である。
【
図11】同、ヘルメットにヘルメット用取付具を取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図12】本発明の第2の実施形態に係るヘルメット用取付具を示すもので、正面側斜視図である。
【
図15】同、ヘルメットにヘルメット用取付具を取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図17】ヘルメット用取付具の変形例を示すもので、(a)は第1変形例を示す正面図、(b)は第2変形例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明のヘルメット用取付具の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態のヘルメット用取付具1を示す正面側斜視図、
図2は同ヘルメット用取付具1を示す背面側斜視図、
図3は同正面図、
図4は同背面図、
図5は同側面図である。このヘルメット用取付具1は、帯状の表示部材30(
図10および
図11参照)をヘルメット31(
図11参照)に取り付ける際に使用されるものであり、樹脂による射出成形によって一体的に形成されている。また、ヘルメット用取付具1は表示部材30の端部に取り付けられる取付部10を備えている。この取付部10は、薄板状の第1挟持片11と薄板状の第2挟持片12とを備え、当該第1挟持片11と第2挟持片12とは折曲可能な折曲部13によって接続されている。また、
図5に示すように、第1挟持片11は第2挟持片12より薄く形成されている。
【0021】
第1挟持片11は、本体部11aと、この本体部11aに一体的に設けられ、折曲部13に接続された接続部11bとから構成されている。また、本体部11aと接続部11bとは同厚に形成されている。
本体部11aは略蒲鉾断面状に形成され、当該本体部11aには左右一対の係止孔15,15が設けられている。係止孔15は後述する係止突起17が係止されるものであり、当該係止孔15の外側を向く縁は略半円状に形成され、その他の縁は直線状に形成されている。また、本体部11aには、当該本体部11aの厚さより薄い左右一対の薄肉部15a,15aが設けられている。つまり、薄肉部15aの表面は、
図6に示すように、本体部11aの表面より一段低くなっており、これによって、薄肉部15aは本体部11aより薄くなっている。
薄肉部15aの外周縁は係止孔15の外周縁より外側に配置され、当該係止孔15の外周縁とほぼ相似形となっている。そして、この薄肉部15aの略中央部に係止孔15が形成されている。
また、
図7に示すように、係止孔15の外周縁から薄肉部15aの外周縁に向けて延び、かつ薄肉部15aを貫通する3本の細溝15b・・・が係止孔15の略中央部回りに90°間隔で形成されており、周方向に隣り合う細溝15b,15b間の薄肉片15cはその厚さ方向に弾性的に撓み可能となっている。
【0022】
第2挟持片12は、
図1および
図3に示すように、正面視において、略矩形状に形成された本体部12aを備え、当該本体部12aの下端隅部は円弧状に形成されている。また
図2、
図4および
図5に示すように、第2挟持片12は、ヘルメットの縁に係止可能なフック部16,16と、前記係止孔15に係止可能な係止突起17,17とを備えている。
フック部16,16は本体部12aの上縁部に、前記接続部11bの基端部を挟んで左右1対設けられており、本体部12aの背面側に略L形に形成されている。そして、このフック部16,16と本体部12aとの間にヘルメットの縁が挿入されることで、フック部16,16がヘルメットの縁に係止可能となっている。
【0023】
また、係止突起17は、フック部16より下方において、本体部12aの背面から突出するようにして設けられており、その平面形状は前記係止孔15の平面形状と相似形でかつ若干大きくなっている。
係止突起17,17は、折曲部13を軸として係止孔15,15と対称的に配置されており、折曲部13を折り曲げることによって、第1挟持片11を第2挟持片12に重ねた際に、係止孔15,15に挿入されて係止されるようになっている。
すなわち、第1挟持片11を第2挟持片12に重ねていくと、相対的に係止突起17,17が係止孔15,15に挿入されていくが、この際、係止突起17,17によって薄肉部15aの薄肉片15c・・・が弾性的に撓んでいき、係止突起17,17が薄肉部15aを越えると、薄肉片15c・・・が弾性復帰して、係止突起17,17の首部(先端部)に係止する。これによって、係止突起17,17は係止孔15,15に係止するようになっている。
【0024】
折曲部13は、
図5および
図8に示すように、第1挟持片11および第2挟持片12より薄く形成されており、この折曲部13を折り曲げることによって、第1挟持片11と第2挟持片12とが重ねられるようになっている。また、折曲部13の幅は、前記接続部11bと同幅となっている。
また、
図9に示すように、第1挟持片11と第2挟持片12とが折曲部13を折り曲げることによって重なった状態において、第1挟持片11が第2挟持片12より、第1挟持片11および第2挟持片12の重なり方向と交差する方向(
図9において下方)に突出している突出部20を有している。
すなわち、
図1~
図4に示すように、第1挟持片11の本体部11aは、折曲部13から最も離れた部分、つまり本体部11aの先端部に突出部20を有している。この突出部20は、本体部11aの外周縁から円弧状に突出しており、この突出部20が、第1挟持片11と第2挟持片とが重ねられた状態において、第2挟持片12の下端から突出している(
図9参照)。
【0025】
また、
図1~
図4に示すように、取付部10にマスクの耳かけ部を係止可能な係止部21,21が設けられている。具体的には、取付部10の第2挟持片12の本体部12aに、マスクの耳かけ部を係止可能な係止部21,21が設けられている。
すなわち、前記本体部12aの上端側の両側部には、それぞれ係止部(突出部)21,21が本体部12aの両側部から突出して設けられている。前記フック部16をヘルメット31(
図11参照)の縁に係止した場合における第2挟持片12の前記縁に沿う方向を第2挟持片12の幅方向とすると、第2挟持片12の幅方向の両端部にそれぞれ突出部21が設けられている。係止部(突出部)21は、略四半円板状に形成され、板厚は本体部12aの板厚と等しくなっている。また、係止部21は、直線部21aと円弧状部21bとを有しており、直線部21aが下方(本体部12aの下端部側)に向けられている。この直線部21aにマスク40の耳かけ部41(
図11参照)が係止されるようになっている。なお、ヘルメット31の縁部にヘルメット用取付具1のフック部16が係止している場合、係止部21の直線部21aが上方(ヘルメット31の頂部側)に向けられる。
【0026】
このような構成のヘルメット用取付具1を使用して、帯状の表示部材30をヘルメットに取り付ける場合、まず
図10に示すように、表示部材30の両端部にヘルメット用取付具1を取り付ける。この際、
図9に示すように、第1挟持片11と第2挟持片12とを折曲部13を折り曲げることによって重ねるとともに、第1挟持片11と第2挟持片12との間に表示部材30の端部を挟み込んだうえで、係止突起17,17を係止孔15,15に係止する。表示部材30の端部には、係止突起17,17が挿通される挿通孔が形成されており、当該挿通孔に係止突起17,17を挿通したうえで、係止孔15,15に係止する。これによって、表示部材30の端部は第1挟持片11と第2挟持片12とによって挟み付けられ、これによって、表示部材30の端部に取付部10を取り付ける。また、表示部材30の端部に形成された挿通孔に係止突起17,17が挿通されることで、表示部材30の端部のヘルメット用取付具1からの抜け出が防止される。
このようにして、帯状の表示部材30の両端部にそれぞれヘルメット用取付具1を取り付ける。なお、表示部材30は伸縮性のある部材によって形成されている。
【0027】
次に、
図11に示すように、ヘルメット31に外面に表示部材30を密着させるようにして沿わせるとともに、表示部材30の両端部にそれぞれ取り付けられているヘルメット用取付具1のフック部16,16をヘルメット31の縁に挿入することによって、当該フック部16,16をヘルメット31の縁に係止する。これによって、表示部材30をヘルメット用取付具1によってヘルメット31に取り付ける。
【0028】
また、ヘルメット用取付具1の第2挟持片12に、マスク40の耳かけ部41を係止可能な係止部(突出部)21が設けられているので、ヘルメット31を装着した作業員は、マスク40の耳かけ部41を係止部21に係止することによって、マスク40を着用する。
【0029】
以上のように本実施形態によれば、第1挟持片11と第2挟持片12とを接続する折曲部13が第1挟持片11および第2挟持片12より薄くなっているので、第1挟持片11と第2挟持片12とを折曲部13で容易に折り曲げることができる。
また、係止孔15が、第1挟持片11に形成されかつ当該第1挟持片11より薄い薄肉部15aに設けられているので、係止突起17を係止孔15に挿入する際に係止孔15の周辺の薄肉部15a(薄肉片15c)が弾性的に容易に撓む。このため、係止突起17を係止孔15に挿入し易くなるので、当該係止突起17を係止孔15に容易に係止できる。
さらに、第1挟持片11が第2挟持片12より、第1挟持片11および第2挟持片12の重なり方向と交差する方向(
図9において下方)に突出している突出部20を有しているので、この突出部20を掴んで引っ張ることによって、係止突起17を係止孔15から容易に引き抜くことができる。したがって、係止突起17の係止孔15への係止を容易に解除できる。
【0030】
また、第1挟持片11が第2挟持片12より薄く形成されているので、突出部20を引っ張る際に第1挟持片11が第2挟持片12から離れる方向に撓み易くなるとともに、突出部20は折曲部13から最も離れた部分にあるので、比較的小さな力で係止突起17を係止孔15から引き抜くことができる。
【0031】
さらに、ヘルメット用取付具1の取付部10の第2挟持片12に、マスク40の耳かけ部41を係止可能な係止部(突出部)21が設けられているので、ヘルメット31を装着した作業員は、マスク40の耳かけ部41を係止部21に係止することによって、作業員の耳に耳かけ部41を引っ掛ける必要がない。このためマスク40を着用しても作業員の耳に痛みは生じ得ない。
加えて、ヘルメット用取付具1の取付部10の第2挟持片12の幅方向の端部に突出部21が設けられているので、作業員がヘルメット31を装着した状態において、突出部21はヘルメットの側部と平行となっている。したがって、突出部21がヘルメット31の側部に対して直角に突出することがないため、安全上も好ましく、また突出部21がヘルメットの側方にある物に干渉することもない。
【0032】
また、第2挟持片12の幅方向の両端部のうち、ヘルメット31の背面側に近い側の一端部の突出部21にマスク40の耳かけ部41を係止することによって、ヘルメット31の前面側に近い側の他端部の突出部21に耳かけ部41を係止する場合に比して、突出部21に係止した耳かけ部41が外れ難くなる。
さらに、第2挟持片12の幅方向の両端部にそれぞれ突出部21が設けられているので、突出部21,21の向きを気にすることなく、ヘルメット用取付具1を表示部材30の端部に取り付けることができるとともに、ヘルメット用取付具1をヘルメット31に取り付けることができる。
【0033】
なお、本実施形態では、係止部(突出部)21,21を第2挟持片12に一体的に設けたが、係止部(突出部)21,21を別体として形成しておき、当該係止部(突出部)21,21を第2挟持片12に取り付けてもよい。この場合、例えば、薄板帯状の板状部材の両端部に突出部21,21を一体形成しておき、板状部材を第2挟持片12の表面あるいは裏面に接着剤等によって取り付ければよい。
【0034】
(第2の実施形態)
図12~
図14は、第2の実施形態を示すもので、
図12はヘルメット用取付具2を示す正面側斜視図、
図13は同正面図、
図14は同側面図である。
本実施形態のヘルメット用取付具2が第1の実施形態のヘルメット用取付具1と異なる点は、取付部10の第2挟持片12に設ける突出部の構成であるので、以下では当該突出部について説明し、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付してその説明を省略する場合もある。
【0035】
本実施形態では、第1の実施形態のヘルメット用取付具1が備えていた係止部(突出部)21,21は備えておらず、その代わりに突出部22を備えている。
すなわち、
図12~
図14に示すように、第2挟持片12のフック部16と逆側の表面に、当該表面から突出する突出部22が設けられている。突出部22は第2挟持片12の上端部でかつ幅方向の中央部に、第2挟持片12と一体的に樹脂成形されている。
【0036】
突出部22は、第2挟持片12の表面から垂直に突出する軸部22aと、この軸部22aの先端部に設けられて、軸部22aより大径の張出部22bとを備えている。軸部22aは円柱状に形成され、張出部22bは円板状に形成されている。また、軸部22aと張出部22bとは同軸に形成されている。
なお、本実施形態では、突出部22を第2挟持片12と一体的に樹脂成形したが、第2挟持片12と別体に設けてもよい。この場合、第2挟持片12に別体の突出部の軸部をねじ込んで固定したり、圧入によって固定してもよい。
【0037】
本実施形態のヘルメット用取付具2では、第2挟持片12に、マスク40の耳かけ部41を係止可能な突出部22が設けられているので、
図15に示すように、ヘルメット31を装着した作業員は、マスク40の耳かけ部41を突出部22に係止することによって、マスク40を着用する。
【0038】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に効果を得ることができる他、以下のような効果を得ることができる。
すなわち、突出部22が第2挟持片12の表面に、当該表面から垂直に突出して設けられているので、マスク40の耳かけ部41を突出部22に容易に係止できる。
また、突出部22は、第2挟持片12の表面から垂直に突出する軸部22aと、この軸部22aの先端部に設けられて、当該軸部22aより大径でかつ当該軸部22aの径方向に張り出す張出部22bとを備えているので、マスク40の耳かけ部41を突出部22の軸部22aに係止した場合に、耳かけ部41は張出部22bに引っ掛かる。このため、耳かけ部41の突出部22からの抜出しを防止できる。
【0039】
なお、第2の実施形態のヘルメット用取付具2において、突出部22に加えて、第1の実施形態のヘルメット取付具1が備えている突出部21,21を備えていてもよい。つまり、
図16に示すように、突出部22と突出部21,21の双方を備えていてもよい。
また、第1および第2の実施形態では、マスク40の耳かけ部41を係止可能な係止部を、第2挟持片12の表面から突出する突出部21,22によって構成したが、係止部はマスクの耳かけ部を係止できる形状であれば、どのような形状や構造でも構わない。例えば、
図17(a)および
図17(b)にそれぞれ示す変形例のように、第2挟持片12にコ字形の切込みやU字形の切込みを形成し、これら切込みの内側を係止部23,24としてもよい。また、当該係止部23,24を外側(
図17において紙面と直交する手前側)に折り曲げてもよい。
また、第1および第2の実施形態では、取付部10を、第1挟持片11と第2挟持片12と、第1挟持片11および第2挟持片12を接続する折曲部13とによって構成したが、取付部は表示部材の端部に取り付けられるものであれば、どのような形状、構造のものであってもよい。
【符号の説明】
【0040】
1,2 ヘルメット用取付具
10 取付部材
11 第1挟持片
12 第2挟持片
16 フック部
21,22 係止部(突出部)
22,23 係止部
30 表示部材
31 ヘルメット
【手続補正書】
【提出日】2021-07-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の表示部材をヘルメットに取り付ける際に使用されるヘルメット用取付具であって、
前記表示部材の端部に取り付けられる取付部と、
前記取付部に設けられ、かつ前記ヘルメットの縁に係止可能なフック部とを備え、
前記取付部にマスクの耳かけ部を係止可能な係止部が設けられ、
前記フック部を前記ヘルメットの縁に係止した場合における前記取付部の前記縁に沿う方向を前記取付部の幅方向とすると、
前記取付部の幅方向の両端部にそれぞれ前記係止部が前記取付部の幅方向の中央部に対して対称的に、かつ前記取付部から前記幅方向に突出して設けられ、
2つの前記係止部は、それぞれ前記耳かけ部が係止される直線部と円弧状部とを有する略四半円板状に形成され、
前記直線部は前記取付部の幅方向と直交する上方を向けられ、前記円弧状部は前記直線部より下方に配置されていることを特徴とするヘルメット用取付具。
【請求項2】
前記係止部は前記取付部に樹脂による射出成形によって一体的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のヘルメット用取付具。
【請求項3】
2つの前記係止部のうち、ヘルメットの背面側に近い側の前記係止部に、マスクの耳かけ部が係止されること特徴とする請求項1または2に記載のヘルメット用取付具。