(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022129714
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】インクジェットプリンタ
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20220830BHJP
B41J 11/42 20060101ALI20220830BHJP
B41J 11/00 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
B41J2/01 305
B41J2/01 401
B41J2/01 451
B41J11/42
B41J11/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021028498
(22)【出願日】2021-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(72)【発明者】
【氏名】上田 尚樹
(72)【発明者】
【氏名】上林 勇輝
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 圭太
(72)【発明者】
【氏名】杉本 佳央理
(72)【発明者】
【氏名】下梶谷 百合絵
【テーマコード(参考)】
2C056
2C058
【Fターム(参考)】
2C056EA07
2C056EB13
2C056EB27
2C056EB36
2C056EC12
2C056EC34
2C056EC77
2C056FA10
2C056HA29
2C056HA58
2C058AB17
2C058AE02
2C058AE04
2C058AE09
2C058AF20
2C058AF31
2C058BA02
2C058GA07
2C058GB23
(57)【要約】
【課題】グリットローラを保持するシャフトにねじれが生じることを抑制する。
【解決手段】プリンタ10は、記録媒体5が載置される載置面16Aを有するプラテン16と、キャリッジ30と、副走査方向Xに搬送される記録媒体5にインクを吐出するインクヘッド34と、軸心61Cが載置面16Aより下方に位置し、主走査方向Yに延びる回転可能な第1シャフト61と、第1シャフト61に設けられ、記録媒体5を副走査方向Xに搬送する第1グリットローラ62と、第1シャフト61を回転させる第1駆動機構63と、第1シャフト61から独立して回転可能であり、軸心65Cが載置面16Aより下方に位置し、主走査方向Yに延びる第2シャフト65と、第2シャフト65に設けられ、記録媒体5を副走査方向Xに搬送する第2グリットローラ66と、第2シャフト65を回転させる第2駆動機構67と、を備えている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体が載置される載置面を有するプラテンと、
前記プラテンより上方に配置され、主走査方向に移動可能なキャリッジと、
前記キャリッジに搭載され、前記主走査方向と直交する副走査方向に搬送される前記記録媒体にインクを吐出するインクヘッドと、
軸心が前記プラテンの前記載置面よりも下方に位置し、前記主走査方向に延びる回転可能な第1シャフトと、
前記第1シャフトに設けられると共に、少なくとも一部が前記プラテンの前記載置面よりも上方に突出して前記記録媒体を前記副走査方向に搬送する第1グリットローラと、
前記第1シャフトを回転させる第1駆動機構と、
前記第1シャフトから独立して回転可能なシャフトであって、軸心が前記プラテンの前記載置面よりも下方に位置し、前記主走査方向に延びる回転可能な第2シャフトと、
前記第2シャフトに設けられると共に、少なくとも一部が前記プラテンの前記載置面よりも上方に突出して前記記録媒体を前記副走査方向に搬送する第2グリットローラと、
前記第2シャフトを回転させる第2駆動機構と、を備えている、インクジェットプリンタ。
【請求項2】
前記記録媒体には、画像と、前記画像に対して設定されたクロップマークとが印刷されており、
前記キャリッジに搭載され、前記クロップマークを検出可能な検出装置と、
前記第1駆動機構および前記第2駆動機構を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記検出装置によって検出された前記クロップマークの位置情報に基づいて、前記記録媒体の第1傾き量を検出する第1検出部と、
前記第1傾き量を0にする第1修正条件である前記第1シャフトの回転方向および回転数と前記第2シャフトの回転方向および回転数を算出する第1算出部と、
前記第1修正条件に基づいて、前記第1駆動機構および前記第2駆動機構を制御する第1駆動制御部と、を備えている、請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
前記クロップマークは、前記画像を含む矩形領域の四隅のそれぞれの外側に計4つ印刷されており、
前記第1検出部は、前記検出装置によって検出される4つの前記クロップマークのうちの3つ以上の位置情報に基づいて、前記第1傾き量を検出する、請求項2に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
前記第1検出部は、前記第1修正条件に基づいて前記第1駆動機構および前記第2駆動機構が制御された後、前記検出装置によって再度検出された前記クロップマークの位置情報に基づいて、前記記録媒体の修正後の第1傾き量を検出し、
前記制御装置は、前記修正後の第1傾き量が0であるか否かを判断する判断部を備えている、請求項2または3に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項5】
前記検出装置は、前記プラテンに対する前記記録媒体の前記主走査方向の位置を検出可能に構成され、
前記制御装置は、
前記検出装置によって検出された前記記録媒体の前記主走査方向の位置に基づいて、前記記録媒体が前記副走査方向に搬送されたときに生じた前記記録媒体の第2傾き量を検出する第2検出部と、
前記第2傾き量を0にする第2修正条件である前記第1シャフトの回転方向および回転数と前記第2シャフトの回転方向および回転数を算出する第2算出部と、
前記第2修正条件に基づいて、前記第1駆動機構および前記第2駆動機構を制御する第2駆動制御部と、を備えている、請求項2から4のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項6】
前記プラテンに対する前記記録媒体の前記主走査方向の位置を検出可能に構成された検出装置と、
前記第1駆動機構および前記第2駆動機構を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記検出装置によって検出された前記記録媒体の前記主走査方向の位置に基づいて、前記記録媒体が前記副走査方向に搬送されたときに生じた前記記録媒体の第2傾き量を検出する第2検出部と、
前記第2傾き量を0にする第2修正条件である前記第1シャフトの回転方向および回転数と前記第2シャフトの回転方向および回転数を算出する第2算出部と、
前記第2修正条件に基づいて、前記第1駆動機構および前記第2駆動機構を制御する第2駆動制御部と、を備えている、請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項7】
前記第1グリットローラの上方に配置され、前記第1グリットローラとの間に前記記録媒体を挟む第1ピンチローラと、
前記第2グリットローラの上方に配置され、前記第2グリットローラとの間に前記記録媒体を挟む第2ピンチローラと、を備えている、請求項1から6のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、インクジェット方式によって記録媒体に画像を印刷するインクジェットプリンタが知られている。この種のインクジェットプリンタは、例えば、記録媒体が載置されるプラテンと、主走査方向に移動可能に設けられかつプラテンに載置された記録媒体にインクを吐出するインクヘッドとを備えている。また、プラテンに載置された記録媒体は、プラテンに設けられたグリットローラによって主走査方向と直交する副走査方向に搬送される。例えば、特許文献1には、グリットローラの上部が外部に露出するようにプラテンに埋設された複数のグリットローラを備えたプリンタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に示すような複数のグリットローラは、従来は1つのシャフトに主走査方向に並ぶように設けられており、全体が一体的に回転する。通常はシャフトの一端部に駆動機構が設けられており、駆動機構によってシャフトが回転する。ここで、例えば比較的大きいプリンタの場合にはシャフトの主走査方向の長さが長くなるため、シャフトを回転させるときにシャフトの他端部側でねじれが生じる虞がある。シャフトにねじれが生じてしまうと、記録媒体を副走査方向に精度よく搬送できなくなる虞がある。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、グリットローラを保持するシャフトにねじれが生じることを抑制することができるインクジェットプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るインクジェットプリンタは、記録媒体が載置される載置面を有するプラテンと、前記プラテンより上方に配置され、主走査方向に移動可能なキャリッジと、前記キャリッジに搭載され、前記主走査方向と直交する副走査方向に搬送される前記記録媒体にインクを吐出するインクヘッドと、軸心が前記プラテンの前記載置面よりも下方に位置し、前記主走査方向に延びる回転可能な第1シャフトと、前記第1シャフトに設けられると共に、少なくとも一部が前記プラテンの前記載置面よりも上方に突出して前記記録媒体を前記副走査方向に搬送する第1グリットローラと、前記第1シャフトを回転させる第1駆動機構と、前記第1シャフトから独立して回転可能なシャフトであって、軸心が前記プラテンの前記載置面よりも下方に位置し、前記主走査方向に延びる回転可能な第2シャフトと、前記第2シャフトに設けられると共に、少なくとも一部が前記プラテンの前記載置面よりも上方に突出して前記記録媒体を前記副走査方向に搬送する第2グリットローラと、前記第2シャフトを回転させる第2駆動機構と、を備えている。
【0007】
本発明のインクジェットプリンタによると、記録媒体を副走査方向に搬送する第1グリットローラおよび第2グリットローラは、第1シャフトおよび第2シャフトにそれぞれ設けられている。そして、第2シャフトは第1シャフトから独立して回転可能に設けられている。即ち、第1シャフトと第2シャフトとは別体である。このため、第1グリットローラおよび第2グリットローラを1つのシャフトで保持する場合と比べて、第1シャフトおよび第2シャフトの主走査方向の長さをそれぞれ短くすることができる。これにより、第1シャフトおよび第2シャフトを回転させるときにそれぞれにねじれが生じることが抑制さる。この結果、記録媒体を副走査方向により精度よく搬送することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、グリットローラを保持するシャフトにねじれが生じることを抑制することができるインクジェットプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】一実施形態に係るプラテンの周辺の構造を示す平面図である。
【
図3】一実施形態に係る媒体移動機構を示す模式図である。
【
図4】一実施形態に係るプリンタの制御系のブロック図である。
【
図5】クロップマークおよび画像が印刷された記録媒体が右方向に傾いて載置された状態を示す平面図である。
【
図6】クロップマークおよび画像が印刷された記録媒体が傾きなく載置された状態を示す平面図である。
【
図7】クロップマークおよび画像が印刷された記録媒体が左方向に傾いて載置された状態を示す平面図である。
【
図8】他の一実施形態に係る第1グリットローラおよび第1シャフトを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るインクジェットプリンタ(以下単に「プリンタ」と称する)について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0011】
図1は、本実施形態に係るプリンタ10を示す斜視図である。プリンタ10は、記録媒体5(
図2参照)に印刷を行う。記録媒体5は、例えば、長尺に形成され、ロール状に巻かれて用いられる。なお、記録媒体5は、ロール状に巻かれたものが所定の長さに切断されたシート状のものであってもよい。記録媒体5は、例えば、記録紙である。ただし、記録媒体5は、記録紙に限定されない。例えば、記録媒体5には、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエステルなどの樹脂材料から形成されたシート、台紙と台紙上に積層されかつ粘着剤が塗布された剥離紙とからなるシール材等が含まれる。
【0012】
以下の説明では、左、右、上、下とは、プリンタ10の正面にいる作業者から見た左、右、上、下をそれぞれ意味することとする。また、作業者がプリンタ10の正面を向いているときにプリンタ10の後部から作業者に向かう方向を前方、作業者からプリンタ10の後部に向かう方向を後方とする。図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表す。後述するキャリッジ30は、左方および右方に移動可能に設けられている。プリンタ10の後側を上流側とし、プリンタ10の前側を下流側としたとき、記録媒体5は、上流側から下流側に向けて搬送される。本実施形態では、キャリッジ30の移動方向を主走査方向Yといい、記録媒体5の搬送方向を副走査方向Xという。ここでは、主走査方向Yは左右方向に対応し、副走査方向Xは前後方向に対応する。主走査方向Yと副走査方向Xとは直交している。ただし、主走査方向Yおよび副走査方向Xは特に限定される訳ではなく、プリンタ10の形態等に応じて適宜に設定可能である。
【0013】
図1に示すように、プリンタ10は、ベース部材40と、記録媒体5が載置されるプラテン16(
図2も参照)と、プラテン16から搬送された記録媒体5の移動をガイドするガイド部材19と、ベース部材40に取りつけられたケース50と、右脚部11Rと、左脚部11Lと、インクヘッドユニット35と、制御装置80とを備えている。ベース部材40は、主走査方向Yに延びる。右脚部11Rおよび左脚部11Lは、ベース部材40の下部に取り付けられている。右脚部11Rおよび左脚部11Lは、ベース部材40を支持する。
【0014】
図2に示すように、プラテン16は、主走査方向Yに延びる。プラテン16は、記録媒体5が載置される載置面16Aを有する。載置面16Aは、平坦状に形成されている。記録媒体5への印刷は、プラテン16上で行われる。プラテン16は、ベース部材40(
図1参照)に支持されている。ガイド部材19は、プラテン16より前方に配置されている。ガイド部材19は、ベース部材40に支持されている。ガイド部材19の上面19Aは、後方から前方に向けて斜め下方に傾いている。ガイド部材19は、例えば横断面円弧状に形成されている。ガイド部材19は、プラテン16からの記録媒体5の移動をガイドする。
【0015】
図1に示すように、プリンタ10は、主走査方向Yおよび上下方向に延びる中央壁17を備えている。中央壁17は、ベース部材40に支持されている。中央壁17は、プラテン16の上方に配置されている。中央壁17とプラテン16との間には、記録媒体5が通過可能な間隙が形成されている。中央壁17は、ケース50に収容されている。
【0016】
図1に示すように、プリンタ10は、ガイドレール18を備えている。ガイドレール18は、主走査方向Yに延びる。ガイドレール18は、中央壁17に設けられている。ガイドレール18は、プラテン16の上方に配置されている。
【0017】
図1に示すように、インクヘッドユニット35は、ベース部材40に設けられている。インクヘッドユニット35は、ケース50の内方に配置されている。インクヘッドユニット35は、プラテン16より上方に配置されている。インクヘッドユニット35は、キャリッジ30と、インクヘッド34とを備えている。キャリッジ30は、プラテン16より上方に配置されている。キャリッジ30は、ガイドレール18に係合している。キャリッジ30は、ガイドレール18に沿って主走査方向Yに移動可能に構成されている。インクヘッド34は、プラテン16に載置された記録媒体5にインクを吐出するノズル(図示せず)を有する。インクヘッド34は、記録媒体5に所定の画像およびクロップマークを印刷可能に構成されている。インクヘッド34は、例えば、
図5に示すように、記録媒体5の表面に画像7およびクロップマーク8A~8Dを印刷する。クロップマーク8A~8Dは、画像7を含む矩形領域9の四隅の外側にそれぞれ設けられている。クロップマーク8A~8Dは、例えば、黒色の丸によって形成されている。クロップマーク8A~8Dは、それぞれ矩形領域9の
図5の左斜め上方、右斜め上方、左斜め下方、右斜め下方に設けられている。インクヘッド34は、キャリッジ30に搭載されている。インクヘッド34は、キャリッジ30の移動に伴って、主走査方向Yに移動可能に構成されている。
【0018】
図1に示すように、プリンタ10は、キャリッジ移動機構20を備えている。キャリッジ移動機構20は、プラテン16に載置された記録媒体5に対してインクヘッドユニット35のキャリッジ30を相対的に主走査方向Yに移動させる機構である。キャリッジ移動機構20は、キャリッジ30を主走査方向Yに移動させる。なお、キャリッジ移動機構20の構成は特に限定されない。キャリッジ移動機構20は、第1プーリ21と、第2プーリ22と、無端状のベルト23と、キャリッジモータ24(
図4も参照)とを備えている。第1プーリ21は、ガイドレール18の左端側に設けられている。第2プーリ22は、ガイドレール18の右端側に設けられている。ベルト23は、第1プーリ21と第2プーリ22とに巻き掛けられている。ベルト23は、キャリッジ30の背面上部に固定されている。第2プーリ22には、キャリッジモータ24が接続されている。ただし、キャリッジモータ24は、第1プーリ21に接続されていてもよい。ここでは、キャリッジモータ24が駆動して、第2プーリ22が回転することで、第1プーリ21と第2プーリ22との間においてベルト23が走行する。これにより、キャリッジ30は主走査方向Yに移動する。
【0019】
図1に示すように、プリンタ10は、媒体移動機構60を備えている。媒体移動機構60は、プラテン16に載置された記録媒体5をインクヘッドユニット35に対して副走査方向Xに相対的に移動させるものである。媒体移動機構60は、プラテン16に載置された記録媒体5を副走査方向Xに移動させる。また、後述するように媒体移動機構60は、プラテン16に載置された記録媒体5の傾きを修正可能に構成されている。
図3に示すように、媒体移動機構60は、第1シャフト61と、第1シャフト61に保持された第1グリットローラ62と、第1シャフトを回転させる第1駆動機構63と、第2シャフト65と、第2シャフトに保持された第2グリットローラ66と、第2シャフト65を回転させる第2駆動機構67と、複数の第1ピンチローラユニット71と、複数の第2ピンチローラユニット75と、保持シャフト78と、を備えている。
【0020】
図3に示すように、第1シャフト61は、主走査方向Yに延びる。第1シャフト61の軸心61Cは、プラテン16の載置面16Aよりも下方に位置する。第1シャフト61は、プラテン16に回転可能に設けられている。第1グリットローラ62は、第1シャフト61に設けられている。第1グリットローラ62は、第1シャフト61に保持されている。第1グリットローラ62は、第1グリットローラ62の上部が外部に露出するようにプラテン16に埋設されている。即ち、第1グリットローラ62の上部は、プラテン16の載置面16Aよりも上方に突出している。第1グリットローラ62は、主走査方向Yに並列している。第1グリットローラ62は、記録媒体5を副走査方向Xに搬送する。第1駆動機構63は、第1シャフト61を回転させる。第1駆動機構63は、プラテン16より右方に配置されている。第1駆動機構63は、ベース部材40に設けられている。第1駆動機構63は、第1駆動モータ63A(
図4も参照)と、第1駆動モータ63Aに設けられた第1駆動ギア63Bと、第1シャフト61の右端部分に設けられかつ第1駆動ギア63Bと噛み合う第1従動ギア63Cと、を有する。第1駆動モータ63Aは、制御装置80に制御される。第1駆動モータ63Aが駆動して第1シャフト61が回転すると、記録媒体5は副走査方向Xに搬送される。
【0021】
図3に示すように、第2シャフト65は、主走査方向Yに延びる。第2シャフト65の軸心65Cは、プラテン16の載置面16Aよりも下方に位置する。第2シャフト65は、第1シャフト61の左方に設けられている。第2シャフト65は、第1シャフト61から独立して回転可能にプラテン16に設けられている。第2シャフト65と第1シャフト61とは、相互に独立して回転可能に構成されている。第2グリットローラ66は、第2シャフト65に設けられている。第2グリットローラ66は、第2シャフト65に保持されている。第2グリットローラ66は、第2グリットローラ66の上部が外部に露出するようにプラテン16に埋設されている。即ち、第2グリットローラ66の上部は、プラテン16の載置面16Aよりも上方に突出している。第2グリットローラ66は、主走査方向Yに並列している。第2グリットローラ66は、記録媒体5を副走査方向Xに搬送する。第2駆動機構67は、第2シャフト65を回転させる。第2駆動機構67は、プラテン16より左方に配置されている。第2駆動機構67は、ベース部材40に設けられている。第2駆動機構67は、第2駆動モータ67A(
図4も参照)と、第2駆動モータ67Aに設けられた第2駆動ギア67Bと、第2シャフト65の左端部分に設けられかつ第2駆動ギア67Bと噛み合う第2従動ギア67Cと、を有する。第2駆動モータ67Aは、制御装置80に制御される。第2駆動モータ67Aが駆動して第2シャフト65が回転すると、記録媒体5は副走査方向Xに搬送される。
【0022】
図3に示すように、第1ピンチローラユニット71および第2ピンチローラユニット75は、プラテン16より上方に配置されている。第1ピンチローラユニット71および第2ピンチローラユニット75は、ガイドレール18より下方に配置されている。第1ピンチローラユニット71は、第2ピンチローラユニット75より右方に配置されている。第1ピンチローラユニット71は、第1グリットローラ62の上方に配置される第1ピンチローラ72と、第1ピンチローラ72を回転可能に保持する第1保持部材73とを備えている。第1ピンチローラ72は、第1グリットローラ62と対向する位置に配置されている。第1ピンチローラ72は、プラテン16に載置された記録媒体5を上から押さえる。第1ピンチローラ72は、第1グリットローラ62との間に記録媒体5を挟む。第2ピンチローラユニット75は、第2グリットローラ66の上方に配置される第2ピンチローラ76と、第2ピンチローラ76を回転可能に保持する第2保持部材77とを備えている。第2ピンチローラ76は、第2グリットローラ66と対向する位置に配置されている。第2ピンチローラ76は、プラテン16に載置された記録媒体5を上から押さえる。第2ピンチローラ76は、第2グリットローラ66との間に記録媒体5を挟む。なお、
図2では、第1ピンチローラユニット71および第2ピンチローラユニット75の図示を省略している。
【0023】
図1に示すように、保持シャフト78は、主走査方向Yに延びる。保持シャフト78は、第1ピンチローラユニット71および第2ピンチローラユニット75を保持する。より詳細には、保持シャフト78は、第1ピンチローラユニット71の第1保持部材73(
図3参照)および第2ピンチローラユニット75の第2保持部材77(
図3参照)を保持する。保持シャフト78が軸周りに回転することによって、第1ピンチローラ72および第2ピンチローラ76を第1グリットローラ62および第2グリットローラ66にそれぞれ接近させたり、第1グリットローラ62および第2グリットローラ66からそれぞれ離反させたりすることができる。保持シャフト78は、プラテン16より上方に配置されている。保持シャフト78は、ベース部材40に回転可能に支持されている。
【0024】
図1に示すように、プリンタ10は、検出装置55を備えている。検出装置55は、記録媒体5に印刷されたクロップマーク(例えば
図5のクロップマーク8A~8D)を検出可能に構成されている。また、検出装置55は、プラテン16に対する記録媒体5の主走査方向Yの位置を検出可能に構成されている。検出装置55は、例えば、記録媒体5の右端部5R(
図7参照)と左端部5L(
図7参照)を検出することによって、プラテン16に対する記録媒体5の主走査方向Yの位置を検出する。検出装置55は、キャリッジ30に搭載されている。検出装置55は、プラテン16と対向する。検出装置55は、キャリッジ30の移動に伴って、主走査方向Yに移動可能に構成されている。なお、
図7の二点鎖線DLは検出装置55の移動軌跡を示す。検出装置55は例えば光学センサである。ただし、検出装置55は光学センサに特に限定されるわけではなく、他のセンサを用いてもよい。
【0025】
図4に示すように、プリンタ10の全体の動作は、制御装置80によって制御されている。制御装置80の構成は特に限定されない。制御装置80は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードウェアの構成は特に限定されないが、例えば、ホストコンピュータなどの外部機器から印刷データなどを受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU)と、CPUが実行するプログラムを格納したROMと、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAMと、プログラムや各種データを格納するメモリなどの記憶装置と、を備えている。
図1に示すように、制御装置80は、ケース50の内部に設けられている。
【0026】
図4に示すように、制御装置80は、キャリッジモータ24、インクヘッド34、検出装置55、第1駆動モータ63A、第2駆動モータ67Aと通信可能に接続しており、これらを制御する。制御装置80は、記録媒体5を副走査方向Xに搬送するとき(後述する記録媒体5の傾きを修正するときを除く)には、第1駆動モータ63Aと第2駆動モータ67Aとを同期させて、記録媒体5を副走査方向Xに真っすぐ搬送する。
【0027】
図5に示すように、画像7およびクロップマーク8A~8Dが印刷された記録媒体5が再度プラテン16(
図2参照))に載置されて追加で印刷を行うとき、記録媒体5がプラテン16に対して傾いて載置されることがあり得る。また、
図7に示すように、記録媒体5がプラテン16に対して真っすぐに載置された場合であっても、その後の印刷時の記録媒体5の副走査方向Xへの搬送の際に、記録媒体5が斜行することがあり得る。本実施形態のプリンタ10によれば、後述するようにプラテン16に対する記録媒体5の傾きを修正することができる。
【0028】
図4に示すように、制御装置80は、第1検出部82と、第1算出部83と、第1駆動制御部84と、判断部85と、第2検出部86と、第2算出部87と、第2駆動制御部88とを備えている。制御装置80の各部の機能は、プログラムによって実現されている。このプログラムは、例えばCDやDVDなどの記録媒体から読み込まれる。なお、このプログラムは、インターネットを通じてダウンロードされるものであってもよい。また、制御装置80の各部の機能は、プロセッサおよび/または回路などによって実現可能なものであってもよい。なお、これら各部の具体的な機能については後述する。
【0029】
第1検出部82は、検出装置55によって検出されたクロップマーク8A~8Dの位置情報に基づいて、記録媒体5の第1傾き量を検出する。第1検出部82は、キャリッジモータ24を制御することによって検出装置55を主走査方向Yに移動させ、第1駆動モータ63Aおよび第2駆動モータ67Aを制御することによって記録媒体5を副走査方向Xに搬送させる。これにより、検出装置55は、クロップマーク8A~8Dを検出することができる。記録媒体5の第1傾き量とは、例えば、記録媒体5が真っすぐに載置(記録媒体5の右縁および左縁が副走査方向Xと平行に載置。
図6参照。)されている状態を基準としたときの記録媒体5の右方向の傾きθ1(
図5参照)あるいは左方向の傾きθ1で表される。第1傾き量は、記録媒体5をプラテン16に載置したときに生じ得る記録媒体5の傾きである。なお、第1検出部82は、検出装置55によって検出される4つのクロップマーク8A~8Dのうちの3つ以上の位置情報に基づいて、第1傾き量を検出することができる。
【0030】
第1算出部83は、第1検出部82によって検出された第1傾き量を0にする第1修正条件である第1シャフト61の回転方向および回転数と第2シャフト65の回転方向および回転数を算出する。ここで、回転数とは、例えば、単位時間当たりの回転数、即ち回転速度である。
【0031】
第1駆動制御部84は、第1算出部83によって算出された第1修正条件に基づいて、第1駆動機構63および第2駆動機構67を制御する。より詳細には、第1駆動制御部84は、第1駆動モータ63Aおよび第2駆動モータ67Aを制御する。例えば、
図5に示すように、記録媒体5が右方向に傾いている場合には、θ1をゼロにするために第1シャフト61(
図3参照)を停止させ、かつ、第2シャフト65(
図3参照)を記録媒体5が副走査方向Xの上流側から下流側に搬送される方向に回転させることによって、記録媒体5は、第1グリットローラ62を基点として
図5の矢印R1の方向に回動し、
図6に示すように記録媒体5が真っすぐに載置される。
【0032】
判断部85は、修正後の第1傾き量が0であるか否かを判断する。ここで、修正後の第1傾き量は、第1修正条件に基づいて第1駆動機構63および第2駆動機構67が制御された後、検出装置55によって再度検出されたクロップマーク8A~8Dの位置情報に基づいて第1検出部82が検出する。判断部85によって修正後の第1傾き量が0であると判断されたときには、例えば、表示装置や音声装置を介してユーザにその旨を通知する。なお、判断部85によって修正後の第1傾き量が0でないと判断されたときには、修正後の第1傾き量が0でないことをユーザに通知してもよいし、第1算出部83および第1駆動制御部84によって再度記録媒体5の傾きを修正する制御を行ってもよい。
【0033】
第2検出部86は、検出装置55によって検出された記録媒体5の主走査方向Yの位置に基づいて、記録媒体5が副走査方向Xに搬送されたときに生じた記録媒体5の第2傾き量を検出する。印刷時にはキャリッジ30が主走査方向Yに移動するため、検出装置55は記録媒体5の右端部5R(
図7参照)および左端部5L(
図7参照)を常時検出することができる。記録媒体5の第2傾き量とは、例えば、記録媒体5が真っすぐに載置
図6参照)されている状態を基準としたときの記録媒体5の右方向の傾きθ2あるいは左方向の傾きθ2(
図7参照)で表される。第2傾き量は、記録媒体5を副走査方向Xに搬送するときに生じ得る記録媒体5の傾きである。
【0034】
第2算出部87は、第2検出部86によって検出された第2傾き量を0にする第2修正条件である第1シャフト61の回転方向および回転数と第2シャフト65の回転方向および回転数を算出する。
【0035】
第2駆動制御部88は、第2算出部87によって算出された第2修正条件に基づいて、第1駆動機構63および第2駆動機構67を制御する。より詳細には、第2駆動制御部88は、第1駆動モータ63Aおよび第2駆動モータ67Aを制御する。例えば、
図7に示すように、印刷時に記録媒体5が左方向に傾いてしまった場合には、θ2をゼロにするために第2シャフト65(
図3参照)を停止させ、かつ、第1シャフト61(
図3参照)を記録媒体5が副走査方向Xの上流側から下流側に搬送される方向に回転させることによって、記録媒体5は、第2グリットローラ66を基点として
図7の矢印R2の方向に回動し、
図6に示すように記録媒体5が真っすぐに載置される。
【0036】
以上のように、本実施形態のプリンタ10によると、記録媒体5を副走査方向Xに搬送する第1グリットローラ62および第2グリットローラ66は、第1シャフト61および第2シャフト65にそれぞれ設けられている。そして、第2シャフト65は第1シャフト61から独立して回転可能に設けられている。即ち、第1シャフト61と第2シャフト65とは別体である。このため、第1グリットローラ62および第2グリットローラ66を1つのシャフトで保持する場合と比べて、第1シャフト61および第2シャフト65の主走査方向Yの長さをそれぞれ短くすることができる。これにより、第1シャフト61および第2シャフト65を回転させるときにそれぞれにねじれが生じることが抑制さる。この結果、記録媒体5を副走査方向Xにより精度よく搬送することができる。
【0037】
本実施形態のプリンタ10では、制御装置80は、検出装置55によって検出されたクロップマーク8A~8Dの位置情報に基づいて、記録媒体5の第1傾き量を検出する第1検出部82と、第1傾き量を0にする第1修正条件である第1シャフト61の回転方向および回転数と第2シャフト65の回転方向および回転数を算出する第1算出部83と、第1修正条件に基づいて、第1駆動機構63および第2駆動機構67を制御する第1駆動制御部84と、を備えている。画像7およびクロップマーク8A~8Dが印刷された記録媒体5をプラテン16に載置して再度印刷(即ち続きから印刷)しようとするとき、記録媒体5はプラテン16に対して傾いて載置されることがある。記録媒体5が傾いていると、意図していない部分に画像が印刷されることになり好ましくない。本実施形態のプリンタ10では、第1シャフト61と第2シャフト65とはそれぞれ独立して回転することができるため、それぞれの回転方向および回転数を調整することによって、記録媒体5の傾きを修正することができる。より詳細には、第1駆動制御部84は第1修正条件に基づいて、第1駆動機構63および第2駆動機構67を制御することができるため、プラテン16に載置された記録媒体5が傾いていた場合であっても、その傾きを修正することができる。
【0038】
本実施形態のプリンタ10では、クロップマーク8A~8Dは、画像7を含む矩形領域9の四隅のそれぞれの外側に計4つ印刷されており、第1検出部82は、検出装置55によって検出される4つのクロップマーク8A~8Dのうちの3つ以上の位置情報に基づいて、第1傾き量を検出する。これにより、より精度高く記録媒体5の傾き量を検出することができる。
【0039】
本実施形態のプリンタ10では、制御装置80は、第1検出部82によって検出された修正後の第1傾き量が0であるか否かを判断する判断部85を備えている。これにより、記録媒体5の傾きが確実に修正されたことを確認することができる。
【0040】
本実施形態のプリンタ10では、制御装置80は、検出装置55によって検出された記録媒体5の主走査方向Yの位置に基づいて、記録媒体5が副走査方向Xに搬送されたときに生じた記録媒体5の第2傾き量を検出する第2検出部86と、第2傾き量を0にする第2修正条件である第1シャフト61の回転方向および回転数と第2シャフト65の回転方向および回転数を算出する第2算出部87と、第2修正条件に基づいて、第1駆動機構63および第2駆動機構67を制御する第2駆動制御部88と、を備えている。プラテン16に載置された記録媒体5を副走査方向Xに搬送しながら印刷するため、記録媒体5の搬送時に記録媒体5が斜行する虞がある。記録媒体5が斜行してしまうと、意図していない部分に画像が印刷されることになり好ましくない。本実施形態のプリンタ10では、第1シャフト61と第2シャフト65とはそれぞれ独立して回転することができるため、それぞれの回転方向および回転数を調整することによって、記録媒体5の斜行(即ち傾き)を修正することができる。より詳細には、第2駆動制御部88は第2修正条件に基づいて、第1駆動機構63および第2駆動機構67を制御することができるため、プラテン16に載置された記録媒体5が斜行した場合であっても、その斜行を修正することができる。
【0041】
本実施形態のプリンタ10では、第1グリットローラ62の上方に配置され、第1グリットローラ62との間に記録媒体5を挟む第1ピンチローラ72と、第2グリットローラ66の上方に配置され、第2グリットローラ66との間に記録媒体5を挟む第2ピンチローラ76と、を備えている。これにより、記録媒体5の傾きの調整をより容易に行うことができる。
【0042】
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。しかし、上述の実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することができる。
【0043】
上述した実施形態では、第1シャフト61に設けられた第1グリットローラ62の数と、第2シャフト65に設けられた第2グリットローラ66の数とはいずれも4個であったが、1~3個、あるいは5個以上であってもよい。また、第1グリットローラ62の数と第2グリットローラ66の数とは同じであったが、異なっていてもよい。
【0044】
上述した実施形態では、検出装置55は、記録媒体5に印刷されたクロップマークを検出可能に構成されているが、印刷されたクロップマークは、プリンタ10によって印刷されたものであってもよいし、他のプリンタによって印刷されたものであってもよい。
【0045】
上述した実施形態では、第1シャフト61および第2シャフト65は、プラテン16に回転可能に設けられているが、プラテン16とは別の部材(例えばベース部材40)に回転可能に設けられていてもよい。
【0046】
上述した実施形態では、第1グリットローラ62と第1シャフト61とは別体に形成されているが、これに限定されない。例えば、
図8に示すように、第1グリットローラ62が第1シャフト61の表面に一体的に形成されていてもよい。第2グリットローラ66および第2シャフト65についても同様である。
【符号の説明】
【0047】
5 記録媒体
10 プリンタ(インクジェットプリンタ)
16 プラテン
30 キャリッジ
34 インクヘッド
55 検出装置
61 第1シャフト
62 第1グリットローラ
63 第1駆動機構
65 第2シャフト
66 第2グリットローラ
67 第2駆動機構
72 第1ピンチローラ
76 第2ピンチローラ
80 制御装置