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特開2022-129723測定診断システム、サーバ及び測定装置
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  • 特開-測定診断システム、サーバ及び測定装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022129723
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】測定診断システム、サーバ及び測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 99/00 20110101AFI20220830BHJP
   F16T 1/48 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
G01M99/00 Z
F16T1/48 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021028514
(22)【出願日】2021-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000137889
【氏名又は名称】株式会社ミヤワキ
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100118049
【弁理士】
【氏名又は名称】西谷 浩治
(72)【発明者】
【氏名】吉川 成雄
【テーマコード(参考)】
2G024
【Fターム(参考)】
2G024AD12
2G024AD18
2G024AD33
2G024BA27
2G024BA30
2G024CA13
2G024CA17
2G024FA01
(57)【要約】
【課題】蒸気トラップの適切な測定データをサーバに送信する。
【解決手段】測定診断システム100は、複数の蒸気トラップの其々に設置された複数の測定装置1とサーバ2とを備える。サーバ2は、各測定装置1から受信した蒸気トラップの測定データを所定のアルゴリズムに従って処理することで蒸気トラップの診断結果を示す診断データを生成する診断部と、蒸気トラップの過去の測定結果及び診断結果を示すデータの関係を機械学習したモデルに測定データを入力することで測定データに対応する蒸気トラップの診断結果を示す検証データを取得する取得部と、診断データ及び検証データが示す診断結果の比較結果に基づき測定データが妥当か否かを判定する判定部と、測定データが妥当でないと判定された場合に指示情報を返信する指示部とを備え、各測定装置1は、指示情報を受信した場合、蒸気トラップの再測定結果を示す測定データを送信する処理部151を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の蒸気トラップの其々に設置され、設置先の蒸気トラップの測定データをサーバへ送信する複数の測定装置と、各測定装置と通信可能な前記サーバと、を備える測定診断システムであって、
前記サーバは、
各測定装置から受信した前記測定データを所定の測定診断アルゴリズムに従って処理することで、前記設置先の蒸気トラップの診断結果を示す診断データを生成する診断部と、
前記設置先の蒸気トラップの過去の測定結果を示すデータと前記設置先の蒸気トラップの過去の診断結果を示すデータとの関係を機械学習した学習済みモデルに前記測定データを入力することで、前記測定データに対応する前記設置先の蒸気トラップの診断結果を示す検証データを取得する取得部と、
前記診断データが示す診断結果と前記検証データが示す診断結果との比較結果に基づいて、前記測定データが妥当であるか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって前記測定データが妥当でないと判定された場合に前記設置先の蒸気トラップの再測定を指示する指示情報を返信する指示部と、を備え、
各測定装置は、
前記サーバから前記指示情報を受信した場合、前記設置先の蒸気トラップを再測定し、再測定の結果を示す前記測定データを前記サーバに送信する処理部を備える、
測定診断システム。
【請求項2】
前記判定部は、
前記診断データが示す診断結果と前記検証データが示す診断結果とが一致する場合、前記測定データが妥当であると判定し、
前記診断データが示す診断結果と前記検証データが示す診断結果とが一致しない場合、前記測定データが妥当でないと判定する、
請求項1に記載の測定診断システム。
【請求項3】
前記指示情報は、前記設置先の蒸気トラップの再測定を開始する開始時刻を含み、
前記処理部は、前記指示情報に含まれる前記開始時刻に前記設置先の蒸気トラップの再測定を開始する、
請求項1又は2に記載の測定診断システム。
【請求項4】
前記指示情報は、更に、前記設置先の蒸気トラップの再測定を行う時間の上限を示す再測定時間を含み、
前記処理部は、前記指示情報に含まれる前記開始時刻から前記指示情報に含まれる前記再測定時間が経過した時点で、各測定装置をスリープ状態にする、
請求項3に記載の測定診断システム。
【請求項5】
前記サーバは、
前記判定部による判定結果の履歴が、前記設置先の蒸気トラップの測定が不可能であることを判断するための所定の測定不能条件を満たす場合、前記測定データを送信した測定装置の管理者が使用する端末に、前記設置先の蒸気トラップの測定が不可能であることを示す測定不能情報を通知する通知部、
を更に備える請求項1から4の何れか一項に記載の測定診断システム。
【請求項6】
複数の蒸気トラップの其々に設置され、設置先の蒸気トラップの測定データをサーバへ送信する複数の測定装置の其々と通信可能な前記サーバであって、
各測定装置から受信した前記測定データを所定の測定診断アルゴリズムに従って処理することで、前記設置先の蒸気トラップの診断結果を示す診断データを生成する診断部と、
前記設置先の蒸気トラップの過去の測定結果を示すデータと前記設置先の蒸気トラップの過去の診断結果を示すデータとの関係を機械学習した学習済みモデルに前記測定データを入力することで、前記測定データに対応する前記設置先の蒸気トラップの診断結果を示す検証データを取得する取得部と、
前記診断データが示す診断結果と前記検証データが示す診断結果との比較結果に基づいて、前記測定データが妥当であるか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって前記測定データが妥当でないと判定された場合に前記設置先の蒸気トラップの再測定を指示する指示情報を返信する指示部と、
を備えるサーバ。
【請求項7】
蒸気トラップに設置され、設置先の蒸気トラップの測定データをサーバへ送信する測定装置であって、
前記サーバから前記設置先の蒸気トラップの再測定を指示する指示情報を受信した場合、前記設置先の蒸気トラップを再測定し、再測定の結果を示す前記測定データを前記サーバに送信する処理部、
を備える測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気トラップを診断する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気配管系を備えたプラント等においては、熱交換又は放熱等によって配管系内に復水(ドレン)が生じることがある。この復水を配管系内に滞留させると運転効率が低下する原因となる。このため、一般には、配管系の適所に蒸気トラップを設置し、この蒸気トラップによって復水を配管系の外部に排出するようにしている。
【0003】
経年劣化又は作動不良等によって蒸気トラップのシール性能が損なわれると、蒸気配管系内の蒸気が蒸気トラップを介して外部に漏出し、無駄な蒸気損失を招くこととなる。このため、下記特許文献1等に開示のように、定期的に、検査器を用いて蒸気トラップの温度等を測定し、測定結果を示す測定データと閾値等の必要情報とに基づいて各蒸気トラップを診断する作業が行われている。
【0004】
しかし、大規模なプラントでは数千個から数万個の蒸気トラップが設置されている場合がある。この場合、作業者による手作業での各蒸気トラップの診断には多大な時間を要する。このため、各蒸気トラップに当該蒸気トラップの温度等を測定する測定装置を常設し、一日一回等の定期的に、当該測定装置から測定データをサーバに送信し、サーバにおいて各蒸気トラップを診断するシステムを採用するプラントも存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2954183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、蒸気トラップが雨や結露等によって濡れている場合や蒸気トラップの内部の状態が変化する過渡期等に、蒸気トラップの測定が適切に行われない虞がある。このような場合、上記のシステムでは不適切な測定データがサーバに送信され、サーバにおいて、当該測定データを用いて蒸気トラップが誤って診断される虞がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みて成されたものであり、蒸気トラップの適切な測定データをサーバに送信することができる測定診断システム、サーバ及び測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る測定診断システムは、複数の蒸気トラップの其々に設置され、設置先の蒸気トラップの測定データをサーバへ送信する複数の測定装置と、各測定装置と通信可能な前記サーバと、を備える測定診断システムであって、前記サーバは、各測定装置から受信した前記測定データを所定の測定診断アルゴリズムに従って処理することで、前記設置先の蒸気トラップの診断結果を示す診断データを生成する診断部と、前記設置先の蒸気トラップの過去の測定結果を示すデータと前記設置先の蒸気トラップの過去の診断結果を示すデータとの関係を機械学習した学習済みモデルに前記測定データを入力することで、前記測定データに対応する前記設置先の蒸気トラップの診断結果を示す検証データを取得する取得部と、前記診断データが示す診断結果と前記検証データが示す診断結果との比較結果に基づいて、前記測定データが妥当であるか否かを判定する判定部と、前記判定部によって前記測定データが妥当でないと判定された場合に前記設置先の蒸気トラップの再測定を指示する指示情報を返信する指示部と、を備え、各測定装置は、前記サーバから前記指示情報を受信した場合、前記設置先の蒸気トラップを再測定し、再測定の結果を示す前記測定データを前記サーバに送信する処理部を備える。
【0009】
本態様によれば、各測定装置から受信した設置先の蒸気トラップの測定データが測定診断アルゴリズムに従って処理されることで、当該蒸気トラップの診断結果を示す診断データが生成される。その一方で、同じ測定データが学習済みモデルに入力され、当該測定データに対応する当該蒸気トラップの診断結果を示す検証データが取得される。そして、診断データが示す診断結果と検証データが示す診断結果との比較結果に基づいて、当該測定データが妥当であるか否かが判定される。
【0010】
このように、本態様では、診断データ及び検証データが示す、同じ測定データを用いて互いに異なる二つの方法で蒸気トラップを診断した結果を比較して、当該測定データの妥当性を判定する。このため、本態様は、一の方法で蒸気トラップを診断した結果から当該診断に用いた測定データの妥当性を判定する場合よりも、測定データの妥当性を適切かつ容易に判定することができる。
【0011】
また、本態様によれば、測定データが妥当でないと判定された場合、指示情報が返信される。指示情報を受信した各測定装置は、設置先の蒸気トラップを再測定し、再測定の結果を示す測定データをサーバに送信する。このため、サーバは、各測定装置から受信した測定データが妥当であると判定されるまで、指示情報を返信することができる。これにより、サーバは、各測定装置から、設置先の蒸気トラップの適切な測定結果を示す測定データを取得できる。
【0012】
上記態様において、前記判定部は、前記診断データが示す診断結果と前記検証データが示す診断結果とが一致する場合、前記測定データが妥当であると判定し、前記診断データが示す診断結果と前記検証データが示す診断結果とが一致しない場合、前記測定データが妥当でないと判定してもよい。
【0013】
本態様によれば、診断データ及び検証データが示す、同じ測定データを用いて互いに異なる二つの方法で設置先の蒸気トラップを診断した結果が一致するか否かによって、一の方法で診断した結果から当該診断に用いた測定データの妥当性を判定する場合よりも、測定データの妥当性を適切かつ容易に判定することができる。
【0014】
上記態様において、前記指示情報は、前記設置先の蒸気トラップの再測定を開始する開始時刻を含み、前記処理部は、前記指示情報に含まれる前記開始時刻に前記設置先の蒸気トラップの再測定を開始してもよい。
【0015】
本態様によれば、各測定装置において設置先の蒸気トラップの再測定を開始する時期を、指示情報に含まれる開始時刻に制限することができる。
【0016】
上記態様において、前記指示情報は、更に、前記設置先の蒸気トラップの再測定を行う時間の上限を示す再測定時間を含み、前記処理部は、前記指示情報に含まれる前記開始時刻から前記指示情報に含まれる前記再測定時間が経過した時点で、各測定装置をスリープ状態にしてもよい。
【0017】
本態様によれば、各測定装置において設置先の蒸気トラップの再測定を行う時間を、指示情報に含まれる再測定時間に制限することができる。これにより、妥当か否かが不明な蒸気トラップの再測定を行うために、各測定装置が再測定時間よりも長い時間、不必要に電力を消費することを抑制することができる。
【0018】
上記態様において、前記サーバは、前記判定部による判定結果の履歴が、前記設置先の蒸気トラップの測定が不可能であることを判断するための所定の測定不能条件を満たす場合、前記測定データを送信した測定装置の管理者が使用する端末に、前記設置先の蒸気トラップの測定が不可能であることを示す測定不能情報を通知する通知部、を更に備えてもよい。
【0019】
本態様によれば、判定部による判定結果の履歴が測定不能条件を満たす場合、設置先の蒸気トラップの測定が不可能であることを示す測定不能情報が、測定データを送信した測定装置の管理者が使用する端末に通知される。このため、管理者は、通知された測定不能情報によって、自身が管理する測定装置による蒸気トラップの測定が不可能であることを把握できる。これにより、管理者は、蒸気トラップを診断するために必要な対処を迅速に検討することができる。
【0020】
本発明の別の一態様に係るサーバは、複数の蒸気トラップの其々に設置され、設置先の蒸気トラップの測定データをサーバへ送信する複数の測定装置の其々と通信可能な前記サーバであって、各測定装置から受信した前記測定データを所定の測定診断アルゴリズムに従って処理することで、前記設置先の蒸気トラップの診断結果を示す診断データを生成する診断部と、前記設置先の蒸気トラップの過去の測定結果を示すデータと前記設置先の蒸気トラップの過去の診断結果を示すデータとの関係を機械学習した学習済みモデルに前記測定データを入力することで、前記測定データに対応する前記設置先の蒸気トラップの診断結果を示す検証データを取得する取得部と、前記診断データが示す診断結果と前記検証データが示す診断結果との比較結果に基づいて、前記測定データが妥当であるか否かを判定する判定部と、前記判定部によって前記測定データが妥当でないと判定された場合に前記設置先の蒸気トラップの再測定を指示する指示情報を返信する指示部と、を備える。
【0021】
本発明の別の一態様に係る測定装置は、蒸気トラップに設置され、設置先の蒸気トラップの測定データをサーバへ送信する測定装置であって、前記サーバから前記設置先の蒸気トラップの再測定を指示する指示情報を受信した場合、前記設置先の蒸気トラップを再測定し、再測定の結果を示す前記測定データを前記サーバに送信する処理部、を備える。
【0022】
これらの態様によれば、上記測定診断システムと同様の作用効果が得られる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、蒸気トラップの適切な測定データをサーバに送信することができる測定診断システム、サーバ及び測定装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】測定診断システムの構成を示すブロック図である。
図2】測定装置において測定データを送信する処理の流れを示すフローチャートである。
図3】サーバにおいて各測定装置の設置先の蒸気トラップを診断する処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。尚、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0026】
図1は、測定診断システム100の構成を示すブロック図である。測定診断システム100は、複数の測定装置1と、サーバ2と、を備えている。複数の測定装置1及びサーバ2は、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信を行う機能を備え、互いに通信可能に構成されている。
【0027】
複数の測定装置1は、蒸気配管系を備えたプラント等の配管系の適所に設置された複数の蒸気トラップのそれぞれに常設(設置)されている。各測定装置1は、設置先の蒸気トラップを測定する。各測定装置1は、設置先の蒸気トラップの測定結果を示す測定データ、設置先の蒸気トラップの識別情報、及び送信元の測定装置1の識別情報等を含むパケットをサーバ2に送信する。
【0028】
サーバ2は、複数の測定装置1のそれぞれから受信したパケットに含まれる測定データ等に基づき、各測定装置1の設置先の蒸気トラップを診断し、診断結果を示す診断データを記憶する。
【0029】
次に、測定装置1の構成について詳述する。測定装置1は、温度センサ11、振動センサ12、電源部13、通信部14及び制御部15を備えている。
【0030】
温度センサ11は、熱電対、増幅回路及びAD変換回路等を用いて構成されている。温度センサ11は、設置先の蒸気トラップ(以降、対象蒸気トラップ)の入口部(一次側)等に設置され、対象蒸気トラップの温度を測定し、その測定結果を示す温度データを制御部15に出力する。
【0031】
振動センサ12は、圧電素子、増幅回路、及びAD変換回路等を用いて構成されている。振動センサ12は、対象蒸気トラップの排出部(二次側)等に設置され、対象蒸気トラップの振動を測定し、その測定結果を示す振動データを制御部15に出力する。
【0032】
電源部13は、リチウムイオン等の二次電池によって構成されている。電源部13は、測定装置1内の各部に電力を供給する。
【0033】
通信部14は、Bluetooth(登録商標)等の任意の近距離通信機能を有する通信回路を用いて構成されている。通信部14は、制御部15による制御の下、指示されたデータを含むパケットを、指示された宛先に送信する。また、通信部14は、サーバ2等の外部装置から受信したパケットに含まれる各種のデータ及び情報を制御部15に出力する。
【0034】
制御部15は、CPU及びメモリ等を備えたマイクロコンピュータにより構成されている。制御部15は、CPUが所定のプログラムを実行することによって実現される機能として、測定部150及び処理部151を有している。
【0035】
測定部150は、対象蒸気トラップの温度及び振動を測定し、測定結果を示す測定データを出力する。
【0036】
具体的には、測定部150は、対象蒸気トラップの温度を温度センサ11に測定させ、温度センサ11が出力した対象蒸気トラップの温度を示す温度データを取得する。また、測定部150は、対象蒸気トラップの振動を振動センサ12に測定させ、振動センサ12が出力した対象蒸気トラップの振動を示す振動データを取得する。測定部150は、取得した温度データ及び振動データを、対象蒸気トラップの測定結果を示す測定データとして出力する。尚、測定部150は、これに限らず、対象蒸気トラップの温度及び振動のうちの一方のみを測定し、測定結果の温度及び振動のうちの一方を示すデータを測定データとして出力するようにしてもよい。
【0037】
処理部151は、対象蒸気トラップの測定データを通信部14を用いてサーバ2に送信する測定送信処理を行う。具体的には、測定送信処理において、処理部151は、測定部150に対象蒸気トラップの温度及び湿度を測定させ、測定部150によって出力された測定データを取得する。処理部151は、測定部150から取得した測定データと、対象蒸気トラップ及び本測定装置1の識別情報と、を含むパケットを、通信部14によってサーバ2に送信させる。本測定装置1とは、当該処理部151を備える測定装置1を示す。
【0038】
尚、処理部151は、所定の起動時刻(例えば、13時)になると、測定装置1のスリープ状態を解除して、測定送信処理を行う。以降、当該測定送信処理を定期的な測定送信処理と記載する。処理部151は、起動時刻から所定の測定時間(例えば、10秒)が経過した時点で測定装置1をスリープ状態にする。スリープ状態とは、電源部13から温度センサ11、振動センサ12及び通信部14への電力供給が遮断された状態である。
【0039】
また、処理部151は、通信部14がサーバ2から後述の指示情報を受信した場合、当該指示情報に含まれる開始時刻(例えば、15時)になると、測定装置1のスリープ状態を解除して、測定送信処理を行う。当該測定送信処理において、処理部151は、測定部150に対象蒸気トラップの再測定を行わせ、再測定の結果を示す測定データと、対象蒸気トラップ及び本測定装置1の識別情報と、を含むパケットを、通信部14を用いてサーバ2に送信する。以降、当該測定送信処理を再測定のための測定送信処理と記載する。この場合、処理部151は、前記開始時刻から、指示情報に含まれる再測定時間(例えば、10秒)が経過した時点で、測定装置1をスリープ状態にする。
【0040】
サーバ2は、操作部21、表示部22、通信部23、記憶部24及び制御部25を備えている。
【0041】
操作部21は、作業者が各種の情報を入力するためのキーボード又はマウス等によって構成されている。表示部22は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等を用いて構成されている。但し、タッチパネル式ディスプレイを使用することにより、操作部21と表示部22とが一体的に構成されてもよい。尚、サーバ2は、操作部21及び表示部22を備えない簡素化した構成であってもよい。
【0042】
通信部23は、通信部14と同様、Bluetooth(登録商標)等の任意の近距離通信機能を有する通信回路を用いて構成されている。通信部23は、通信部14と同様、制御部25による制御の下、指示されたデータを含むパケットを指示された宛先に送信する。
【0043】
また、通信部23は、各測定装置1が送信したパケットを受信し、受信したパケットに含まれる各種のデータ及び情報を制御部25に出力する。具体的には、通信部23は、受信したパケットに含まれる、測定データ、対象蒸気トラップの識別情報及び当該パケットの送信元の測定装置1の識別情報を、制御部25に出力する。通信部23は、更に、インターネット、LAN又は携帯電話網等の不図示のネットワークを介して遠距離通信を行う通信回路を有している。
【0044】
記憶部24は、HDD、SSD又はフラッシュメモリ等の書き換え可能な任意の記憶装置を用いて構成されている。記憶部24には、制御部25における制御で使用されるデータが記憶される。また、記憶部24には、制御部25における制御で使用されるデータが予め記憶されている。
【0045】
例えば、記憶部24には、複数の蒸気トラップのそれぞれについて、各蒸気トラップの過去の測定結果を示すデータと各蒸気トラップの過去の診断結果を示すデータとの関係を機械学習した学習済みモデルが予め記憶されている。
【0046】
上記学習済みモデルは、例えば以下のようにして作成される。診断結果が既知である蒸気トラップの測定を行う。蒸気トラップの診断結果には、正常状態、蒸気漏出状態、ドレン(復水)排出不良状態及び閉塞状態等が含まれる。そして、蒸気トラップの測定結果を示すデータを説明変数とし、既知の診断結果を示すデータを目的変数として、不図示の学習用の情報処理装置において、ニューラルネットワークを用いたディープラーニング等の機械学習が行われる。これにより、蒸気トラップの測定結果を示す測定データが入力されたときに、当該測定データに対応する蒸気トラップの診断結果を示す検証データを出力する学習済みモデルが作成される。
【0047】
尚、学習済みモデルは、蒸気トラップの機種毎に作成されてもよい。この場合、各測定装置1がサーバ2に送信するパケットには、対象蒸気トラップの機種を示す機種情報が更に含まれる。通信部23は、各測定装置1から測定データを含むパケットを受信した場合、当該パケットに含まれる機種情報も制御部25に出力する。
【0048】
また、記憶部24には、複数の蒸気トラップ及び当該蒸気トラップに設置されている測定装置1に関する機器管理情報が記憶されている。機器管理情報には、蒸気トラップの識別情報、当該蒸気トラップに設置された測定装置1の識別情報、及び当該蒸気トラップの管理者が使用する端末の通信用アドレス(例えば、IPアドレス、メールアドレス)等が含まれる。
【0049】
制御部25は、CPU、メモリ及びクロック信号回路等を備えたマイクロコンピュータにより構成されている。制御部25は、CPUが所定のプログラムを実行することによって実現される機能として、診断部250、取得部251、判定部252、指示部253、登録部254及び通知部255を有している。
【0050】
診断部250は、通信部23が制御部25に出力した、各測定装置1から受信したパケットに含まれる測定データを、所定の測定診断アルゴリズムに従って処理することで、各測定装置1の対象蒸気トラップを診断し、診断結果を示す診断データを生成する。
【0051】
例えば、測定診断アルゴリズムでは、測定データに含まれる振動データ及び温度データが示す対象蒸気トラップの振動及び温度と、メモリ等に記憶されている所定の閾値と、を比較する。そして、当該比較した結果に基づき、対象蒸気トラップが正常状態であるか、蒸気漏出状態であるか、ドレン(復水)排出不良状態であるか、閉塞状態であるかを診断し、診断結果を示す診断データを生成する。
【0052】
取得部251は、通信部23が制御部25に出力した、各測定装置1から受信したパケットに含まれる測定データを、記憶部24に予め記憶されている学習済みモデルに入力することで、当該測定データに対応する蒸気トラップの診断結果を示す検証データを取得する。
【0053】
尚、上記のように、蒸気トラップの機種毎に学習済みモデルが作成され、記憶部24に予め記憶されているとする。この場合、取得部251は、通信部23が制御部25に出力した機種情報が示す蒸気トラップの機種に対応する学習済みモデルを用いて、検証データを取得する。
【0054】
判定部252は、診断部250が生成した診断データが示す診断結果と、取得部251が取得した検証データが示す診断結果との比較結果に基づいて、通信部23から取得した測定データが妥当であるか否かを判定する。
【0055】
具体的には、判定部252は、診断部250が生成した診断データが示す診断結果と、取得部251が取得した検証データが示す診断結果と、が一致している場合、測定データは妥当であると判定する。一方、判定部252は、診断部250が生成した診断データが示す診断結果と、取得部251が取得した検証データが示す診断結果と、が一致していない場合、測定データは妥当ではないと判定する。
【0056】
例えば、診断部250が、測定データを所定の測定診断アルゴリズムに従って処理することで生成した診断データが、蒸気トラップが正常状態であることを示しているとする。また、取得部251が、学習済みモデルに当該測定データを入力することで取得した検証データが、蒸気トラップが正常状態であることを示しているとする。この場合、判定部252は、診断部250が生成した診断データが示す診断結果と、取得部251が取得した検証データが示す診断結果と、が一致するので、測定データは妥当であると判定する。
【0057】
一方、診断部250が、測定データを所定の測定診断アルゴリズムに従って処理することで生成した診断データが、蒸気トラップが正常状態であることを示しているとする。また、取得部251が、学習済みモデルに当該測定データを入力することで取得した検証データが、蒸気トラップが蒸気漏出状態であることを示しているとする。この場合、判定部252は、診断部250が生成した診断データが示す診断結果と、取得部251が取得した検証データが示す診断結果と、が一致しないので、測定データは妥当ではないと判定する。
【0058】
尚、判定部252は、診断部250が生成した診断データが示す診断結果と取得部251が取得した検証データが示す診断結果とが一致するか否かによらず、これら二つの診断結果を他の方法で比較した結果に基づいて、測定データが妥当であるか否かを判定するようにしてもよい。
【0059】
指示部253は、判定部252によって測定データが妥当でないと判定された場合、通信部23を制御して、対象蒸気トラップの再測定を指示する指示情報を、当該測定データを含むパケットを送信した測定装置1に返信する。
【0060】
具体的には、指示情報には、対象蒸気トラップの再測定を開始する開始時刻(例えば、15時)と、対象蒸気トラップの再測定を行う時間の上限を示す再測定時間(例えば、10秒)と、が含まれる。尚、開始時刻及び再測定時間を示す情報は、制御部25が備えるメモリ等に予め記憶され、操作部21の操作によって編集可能となっている。
【0061】
登録部254は、判定部252によって測定データが妥当であると判定された場合、診断部250が生成した診断データを記憶部24に記憶する。尚、登録部254が、妥当であると判定された測定データと診断部250が生成した診断データとを対応付けて記憶部24に記憶するようにしてもよい。
【0062】
通知部255は、判定部252による判定結果の履歴が、対象蒸気トラップの測定が不可能であることを判断するための所定の測定不能条件を満たす場合、測定データを送信した測定装置1の管理者が使用する端末に、対象蒸気トラップの測定が不可能であることを示す測定不能情報を通知する。
【0063】
ここで、判定部252による判定結果の履歴とは、ある測定装置1が定期的な測定送信処理で送信した測定データ及び当該測定装置1が当該測定データの送信後に一以上の再測定のための測定送信処理で送信した一以上の測定データのそれぞれについて、判定部252が行った判定の結果を示す。測定不能条件は、例えば、判定部252が所定回数(例えば2回)以上連続して測定データが妥当でないと判定すること等に定められる。
【0064】
次に、測定装置1において測定データを送信する処理の流れについて説明する。図2は、測定装置1において測定データを送信する処理の流れを示すフローチャートである。
【0065】
各測定装置1では、処理部151は、所定の起動時刻(例えば、13時)になると(ステップS101でYES)、電源部13を制御して、測定装置1のスリープ状態を解除する(ステップS103)。
【0066】
具体的には、ステップS103において、処理部151は、電源部13から、温度センサ11、振動センサ12、通信部14に対して電力の供給を開始させることにより、測定装置1のスリープ状態を解除する。これにより、通信部14は、サーバ2の通信部23と通信可能な状態となる。
【0067】
次に、処理部151は、測定送信処理を行う(ステップS104)。これにより、処理部151は、測定部150に対象蒸気トラップの測定を行わせ、測定部150によって出力された測定データと、対象蒸気トラップ及び本測定装置1の識別情報と、を含むパケットを、サーバ2に送信する。
【0068】
ステップS104で行われた測定送信処理が、起動時刻に開始された定期的な測定送信処理であるとする。この場合(ステップS105でNO)、起動時刻から所定の測定時間が経過していないときに(ステップS106でNO)、通信部14がサーバ2から指示情報を受信したとする(ステップS107でYES)。
【0069】
この場合、処理部151は、指示情報に含まれる開始時刻を対象蒸気トラップの再測定を行う開始時刻(以降、再測定開始時刻)として設定する(ステップS108)。また、処理部151は、指示情報に含まれる再測定時間を対象蒸気トラップの再測定を行う時間の上限として設定する(ステップS109)。この場合、処理部151は、測定装置1をスリープ状態にする(ステップS110)。これにより、処理部151は、定期的な測定送信処理を終了する。
【0070】
尚、ステップS104で行った測定送信処理が定期的な測定送信処理であるとする。この場合(ステップS105でNO)、起動時刻から測定時間が経過するまでの間に(ステップS106でNO)、通信部14がサーバ2から指示情報を受信していないときは(ステップS107でNO)、ステップS104以降の処理が行われる。
【0071】
一方、ステップS104で行われた測定送信処理が定期的な測定送信処理である場合に(ステップS105でNO)、起動時刻から測定時間が経過したときは(ステップS106でYES)、処理部151は、測定装置1をスリープ状態にする(ステップS110)。これにより、処理部151は、定期的な測定送信処理を終了する。
【0072】
定期的な測定送信処理の終了後、ステップS108で設定された再測定開始時刻(例えば、15時)になると(ステップS101でNO、ステップS102でYES)、ステップS103以降の処理が行われる。この場合、ステップS104において、再測定のための測定送信処理が行われる。つまり、ステップS104において、処理部151は、測定部150に対象蒸気トラップの再測定を行わせ、測定部150によって出力された測定データと、対象蒸気トラップ及び本測定装置1の識別情報と、を含むパケットを、サーバ2に送信する。
【0073】
ステップS104で行われた測定送信処理が再測定のための測定送信処理である場合に(ステップS105でYES)、再測定開始時刻からステップS109で設定された再測定時間(例えば、10秒)が経過していないとする。この場合(ステップS111でNO)、通信部14がサーバ2から指示情報を受信していないときは(ステップS107でNO)、ステップS104以降の処理が行われる。
【0074】
一方、ステップS104で行われた測定送信処理が再測定のための測定送信処理である場合に(ステップS105でYES)、再測定開始時刻から再測定時間が経過したときは(ステップS111でYES)、ステップS110が行われる。当該ステップS110において、処理部151は、測定装置1をスリープ状態にすることで、再測定のための測定送信処理を終了する。
【0075】
尚、ステップS104で行われた測定送信処理が再測定のための測定送信処理である場合に(ステップS105でYES)、再測定開始時刻から再測定時間が経過していないとする。この場合に(ステップS111でNO)、通信部14がサーバ2から再び指示情報を受信したときは(ステップS107でYES)、ステップS108以降の処理が行われる。
【0076】
この場合、ステップS108では、指示情報に含まれる開始時刻が、次の再測定のための測定送信処理を開始する再測定開始時刻として設定される。ステップS109では、指示情報に含まれる再測定時間が、次の再測定のための測定送信処理を行う時間の上限として設定される。そして、ステップS110において、処理部151は、測定装置1をスリープ状態にすることで、今回の再測定のための測定送信処理を終了する。
【0077】
その後、当該ステップS108で設定された再測定開始時刻になると(ステップS101でNO、ステップS102でYES)、ステップS103以降の処理が行われる。これにより、ステップS104では、次の再測定のための測定送信処理が行われる。
【0078】
次に、サーバ2において各測定装置1の対象蒸気トラップを診断する処理の流れについて説明する。図3は、サーバ2において各測定装置1の対象蒸気トラップを診断する処理の流れを示すフローチャートである。
【0079】
サーバ2では、通信部23が各測定装置1によって送信された対象蒸気トラップの測定データを含むパケットを受信すると(ステップS201でYES)、診断部250は、通信部23から当該パケットに含まれる対象蒸気トラップの測定データを取得する。診断部250は、当該測定データを所定の測定診断アルゴリズムに従って処理することで、対象蒸気トラップを診断し、診断結果を示す診断データを生成する(ステップS202)。
【0080】
次に、取得部251は、ステップS201で受信されたパケットに含まれる対象蒸気トラップの測定データを通信部23から取得する。取得部251は、当該測定データを記憶部24に予め記憶されている学習済みモデルに入力することで、当該測定データに対応する対象蒸気トラップの診断結果を示す検証データを取得する(ステップS203)。
【0081】
次に、判定部252は、診断部250が生成した診断データが示す診断結果と取得部251が取得した検証データが示す診断結果との比較結果に基づいて、対象蒸気トラップの測定データが妥当であるか否かを判定する(ステップS204)。
【0082】
ステップS204において、測定データが妥当であると判定された場合(ステップS204でYES)、登録部254は、当該測定データ及びステップS202で生成された診断データを記憶部24に記憶する(ステップS207)。その後は、ステップS201以降の処理が行われる。
【0083】
一方、ステップS204において、測定データが妥当でないと判定された場合(ステップS205でNO)、通知部255は、判定部252による判定結果の履歴が、対象蒸気トラップの測定が不可能であることを判断するための所定の測定不能条件を満たすか否かを判定する(ステップS205)。
【0084】
ここで、判定部252による判定結果の履歴とは、上記のように、ある測定装置1が定期的な測定送信処理で送信した測定データ及び当該測定装置1が当該測定データの送信後、一以上の再測定のための測定送信処理で送信した一以上の測定データのそれぞれについて、判定部252が行った判定の結果を示す。測定不能条件は、上記のように、判定部252が所定回数(例えば2回)以上連続して測定データが妥当でないと判定することに定められているものとする。
【0085】
この場合、ステップS205において、通知部255は、判定部252による判定結果の履歴に、判定部252が所定回数以上連続して測定データが妥当でないと判定した判定結果が含まれている場合に、判定部252による判定結果の履歴が測定不能条件を満たすと判定する。
【0086】
尚、測定不能条件は、上記に限らない。測定不能条件は、例えば、判定部252による判定結果の履歴に、所定の制限回数(例えば3回)以上の判定結果が含まれていることに定められていてもよい。この場合、ステップS205において、通知部255は、判定部252による判定結果の履歴に、制限回数以上の判定結果が含まれている場合に、判定部252による判定結果の履歴が測定不能条件を満たすと判定する。
【0087】
通知部255が、ステップS205において判定部252による判定結果の履歴が測定不能条件を満たすと判定したとする。この場合(ステップS205でYES)、通知部255は、測定データを送信した測定装置1の管理者が使用する端末に、対象蒸気トラップの測定が不可能であることを示す測定不能情報を通知する(ステップS208)。
【0088】
具体的には、ステップS208において、通知部255は、ステップS201で受信されたパケットに含まれる、対象蒸気トラップ及び測定装置1の識別情報を通信部23から取得する。通知部255は、記憶部24に記憶されている、当該対象蒸気トラップ及び測定装置1の識別情報を含む機器管理情報を参照し、当該機器管理情報に含まれる当該対象蒸気トラップの管理者が使用する端末の通信用アドレスを取得する。通知部255は、通信部23を制御し、対象蒸気トラップの測定が不可能であることを示すメッセージ「蒸気トラップを測定できません。」を当該通信用アドレス宛に送信する。
【0089】
一方、ステップS205において判定部252による判定結果の履歴が測定不能条件を満たさないと判定されたとする。この場合(ステップS205でNO)、指示部253は、通信部23を制御して、対象蒸気トラップの再測定を指示する指示情報を、ステップS201で受信されたパケットを送信した測定装置1に返信する(ステップS206)。
【0090】
具体的には、ステップS206において、指示部253は、ステップS201でパケットが受信された時刻から所定時間(例えば、2時間)経過した時刻を、対象蒸気トラップの再測定を開始する開始時刻とする。指示部253は、当該開始時刻と、対象蒸気トラップの再測定を行う時間の上限を示す所定の再測定時間(例えば、10秒)と、を含む指示情報を返信する。その後は、ステップS201以降の処理が行われる。
【0091】
以上のように、本実施の形態によれば、各測定装置1から受信した対象蒸気トラップの測定データが測定診断アルゴリズムに従って処理されることで、当該対象蒸気トラップの診断結果を示す診断データが生成される。その一方で、同じ測定データが学習済みモデルに入力され、当該測定データに対応する当該対象蒸気トラップの診断結果を示す検証データが取得される。そして、診断データが示す診断結果と検証データが示す診断結果との比較結果に基づいて、当該測定データが妥当であるか否かが判定される。
【0092】
このように、本実施の形態では、診断データ及び検証データが示す、同じ測定データを用いて互いに異なる二つの方法で対象蒸気トラップを診断した結果を比較して、当該測定データの妥当性を判定する。このため、本実施の形態は、一の方法で対象蒸気トラップを診断した結果から当該診断に用いた測定データの妥当性を判定する場合よりも、測定データの妥当性を適切かつ容易に判定することができる。
【0093】
また、本実施の形態によれば、測定データが妥当でないと判定された場合、指示情報が返信される。指示情報を受信した各測定装置1は、指示情報に含まれる開始時刻に対象蒸気トラップを再測定し、再測定の結果を示す測定データをサーバ2に送信する。このため、サーバ2は、判定部252による判定結果の履歴が測定不能条件を満たすと判定されない限り、測定データが妥当であると判定されるまで指示情報を返信できる。これにより、サーバ2は、各測定装置1から対象蒸気トラップの適切な測定結果を示す測定データを取得できる。
【0094】
上記態様は、本発明に係る実施の形態の例示に過ぎず、本発明を上記態様に限定する趣旨ではない。例えば、以下に示すように変形されてもよい。
【0095】
(1)上記実施の形態では、複数の測定装置1がサーバ2との間で近距離通信を行う例について説明した。しかし、サーバ2は、複数の測定装置1と近距離通信可能な範囲外に設置されたクラウドサーバ等によって構成されてもよい。この場合、当該サーバ2との間で遠距離通信可能な通信回路と測定装置1の通信部14と同様の通信回路とを備えた中継装置が、複数の測定装置1と近距離通信可能な範囲内に設置されてもよい。これにより、複数の測定装置1とサーバ2との間で当該中継装置を介して通信が行われるようにしてもよい。
【0096】
(2)サーバ2の制御部25が通知部255を有さないようにしてもよい。これにより、ステップS205及びステップS208(図3)を省略し、対象蒸気トラップの測定データが妥当であると判定されるまで、指示部253が指示情報の返信を繰り返すようにしてもよい。
【0097】
(3)指示部253が指示情報に再測定時間を含めないようにしてもよい。この場合、ステップS105及びステップS111(図2)を省略し、ステップS109において、処理部151が上記測定時間を再測定時間として設定するようにしてもよい。これにより、各測定装置1において、ステップS104(図2)における定期的な測定送信処理及び一以上の再測定のための測定送信処理が、それぞれ、上記測定時間だけ行われるようにしてもよい。
【0098】
(4)指示部253が指示情報に開始時刻を含めないようにしてもよい。この場合、ステップS108(図2)において、処理部151が、現在時刻から所定時間(例えば2時間)経過後の時刻を再測定開始時刻として設定するようにしてもよい。これにより、各測定装置1において、指示情報を受信してから当該所定時間が経過した後に、再測定のための測定送信処理が行われるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0099】
100 :測定診断システム
1 :測定装置
151 :処理部
2 :サーバ
250 :診断部
251 :取得部
252 :判定部
253 :指示部
255 :通知部
図1
図2
図3