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特開2022-129735画像符号化装置、画像符号化方法、画像復号化装置、及び画像復号化方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022129735
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】画像符号化装置、画像符号化方法、画像復号化装置、及び画像復号化方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/85 20140101AFI20220830BHJP
   H04N 19/59 20140101ALI20220830BHJP
【FI】
H04N19/85
H04N19/59
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021028534
(22)【出願日】2021-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】520168055
【氏名又は名称】avatarin株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】503359821
【氏名又は名称】国立研究開発法人理化学研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】深堀 昂
(72)【発明者】
【氏名】梶谷 ケビン
(72)【発明者】
【氏名】筒 雅博
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンド チャリス ラサンサ
(72)【発明者】
【氏名】孫 哲
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 信
(72)【発明者】
【氏名】道川 隆士
(72)【発明者】
【氏名】横田 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】野田 茂穂
【テーマコード(参考)】
5C159
【Fターム(参考)】
5C159LA00
5C159LB15
(57)【要約】
【課題】 入力画像を、その画質を劣化させることなく、圧縮することのできる画像符号化装置を提案する。
【解決手段】 画像符号化装置10は、入力画像から入力画像の顕著性マップを生成する顕著性マップ生成部12と、入力画像から入力画像の勾配強度マップを生成する勾配強度マップ生成部13と、顕著性マップ及び勾配強度マップから入力画像の重要度マップを生成する重要度マップ生成部14と、重要度マップを、ディザリングにより、第1の濃淡値と、第1の濃淡値よりも薄い第2の濃淡値とに2値化する2値化部15と、入力画像の複数の画素のうち、重要度マップの値が第1の濃淡値を有する各画素の位置情報及び色情報を含む画素情報を入力画像から抽出する色情報抽出部16と、画素情報を符号化する符号化部17を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像から前記入力画像の顕著性マップを生成する顕著性マップ生成部と、
前記入力画像から前記入力画像の勾配強度マップを生成する勾配強度マップ生成部と、
前記顕著性マップ及び前記勾配強度マップから前記入力画像の重要度マップを生成する重要度マップ生成部と、
前記重要度マップを、ディザリングにより、第1の濃淡値と、第1の濃淡値よりも薄い第2の濃淡値とに2値化する2値化部と、
前記入力画像の複数の画素のうち、前記重要度マップの値が前記第1の濃淡値を有する各画素の位置情報及び色情報を含む画素情報を前記入力画像から抽出する色情報抽出部と、
前記画素情報を符号化する符号化部と、
を備える、画像符号化装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像符号化装置により符号化された前記画素情報から前記入力画像を復元する画像復号化装置であって、
符号化された前記画素情報を復号化する復号化部と、
復号化された前記画素情報から、画像補間方法により、前記入力画像を復元する画像復元部と、
を備える、画像復号化装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像復号化装置であって、
前記画像補間方法は、低次元多様体モデルに基づく画像補間方法である、画像復号化装置。
【請求項4】
入力画像から前記入力画像の顕著性マップを生成するステップと、
前記入力画像から前記入力画像の勾配強度マップを生成するステップと、
前記顕著性マップ及び前記勾配強度マップから前記入力画像の重要度マップを生成するステップと、
前記重要度マップを、ディザリングにより、第1の濃淡値と、第1の濃淡値よりも薄い第2の濃淡値とに2値化するステップと、
前記入力画像の複数の画素のうち、前記重要度マップの値が前記第1の濃淡値を有する各画素の位置情報及び色情報を含む画素情報を前記入力画像から抽出するステップと、
前記画素情報を符号化するステップと、
を含む、画像符号化方法。
【請求項5】
請求項4に記載の画像符号化方法により符号化された前記画素情報から前記入力画像を復元する画像復号化方法であって、
符号化された前記画素情報を復号化するステップと、
復号化された前記画素情報から、画像補間方法により、前記入力画像を復元するステップと、
を含む、画像復号化方法。
【請求項6】
請求項5に記載の画像復号化方法であって、
前記画像補間方法は、低次元多様体モデルに基づく画像補間方法である、画像復号化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像符号化装置、画像符号化方法、画像復号化装置、及び画像復号化方法に関わる。
【背景技術】
【0002】
動画像の圧縮符号化技術については、例えば、ISO/IEC(International Organization for Standardization/International Electrotechnical Commission)による標準規格として、MPEG規格(H.265/HEVC)が知られている。HEVCでは、4K(3840×2160画素)画像や、8K(7680×4320画素)画像に対する符号化方式などを規定している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
今後、8K画像などの高精細な動画再生のニーズが高まることが予想されており、大容量の画像を、品質を劣化させることなく圧縮し、低遅延で伝送する技術の開発が望まれている。
【0004】
そこで、本発明は、入力画像を、その画質を劣化させることなく、圧縮することのできる画像符号化装置及び画像符号化方法を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の課題を解決するため、本発明に関わる画像符号化装置は、入力画像から入力画像の顕著性マップを生成する顕著性マップ生成部と、入力画像から入力画像の勾配強度マップを生成する勾配強度マップ生成部と、顕著性マップ及び勾配強度マップから入力画像の重要度マップを生成する重要度マップ生成部と、重要度マップを、ディザリングにより、第1の濃淡値と、第1の濃淡値よりも薄い第2の濃淡値とに2値化する2値化部と、入力画像の複数の画素のうち、重要度マップの値が第1の濃淡値を有する各画素の位置情報及び色情報を含む画素情報を入力画像から抽出する色情報抽出部と、画素情報を符号化する符号化部とを備える。入力画像そのものを符号化するのではなく、重要度マップの値が第1の濃淡値を有する各画素の位置情報及び色情報を含む画素情報を符号化することにより、入力画像の重要な情報(例えば、人間の視覚的な顕著性の高い部分の情報)を保持したまま、効率よく画像圧縮することができる。
【0006】
本発明に関わる画像復号化装置は、本発明に関わる画像符号化装置により符号化された画素情報から入力画像を復元する画像復号化装置であって、符号化された画素情報を復号化する復号化部と、復号化された画素情報から、画像補間方法により、入力画像を復元する画像復元部を備える。画素情報は、入力画像を実用上十分な精度で復元するのに必要な情報を保持しているため、画素情報から、画像補間により、画質を劣化させることなく、復元画像を生成することができる。
【0007】
画像補間の方法として、例えば、低次元多様体モデルに基づく画像補間方法を用いることができる。この画像補間方法によれば、少ない情報(重要度マップの値が第2の濃淡値を有する画素の位置情報もその色情報も含まない画素情報)から、入力画像を精度よく復元することができる。
【0008】
本発明に関わる画像符号化方法は、入力画像から入力画像の顕著性マップを生成するステップと、入力画像から入力画像の勾配強度マップを生成するステップと、顕著性マップ及び勾配強度マップから入力画像の重要度マップを生成するステップと、重要度マップを、ディザリングにより、第1の濃淡値と、第1の濃淡値よりも薄い第2の濃淡値とに2値化するステップと、入力画像の複数の画素のうち、重要度マップの値が第1の濃淡値を有する各画素の位置情報及び色情報を含む画素情報を入力画像から抽出するステップと、画素情報を符号化するステップを含む。入力画像そのものを符号化するのではなく、重要度マップの値が第1の濃淡値を有する各画素の位置情報及び色情報を含む画素情報を符号化することにより、入力画像の重要な情報(例えば、人間の視覚的な顕著性の高い部分の情報)を保持したまま、効率よく画像圧縮することができる。
【0009】
本発明に関わる画像復号化方法は、本発明に関わる画像符号化方法により符号化された画素情報から入力画像を復元する画像復号化方法であって、符号化された画素情報を復号化するステップと、復号化された画素情報から、画像補間方法により、入力画像を復元するステップを含む。画素情報は、入力画像を実用上十分な精度で復元するのに必要な情報を保持しているため、画素情報から、画像補間により、画質を劣化させることなく、復元画像を生成することができる。
【0010】
画像補間の方法として、例えば、低次元多様体モデルに基づく画像補間方法を用いることができる。この画像補間方法によれば、少ない情報(重要度マップの値が第2の濃淡値を有する画素の位置情報もその色情報も含まない画素情報)から、入力画像を精度よく復元することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、入力画像を、その画質を劣化させることなく、効率的に圧縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に関わる画像符号化装置のハードウェア構成を示す説明図である。
図2】本発明の実施形態に関わる画像符号化装置の機能ブロック図である。
図3】本発明の実施形態に関わる画像復号化装置のハードウェア構成を示す説明図である。
図4】本発明の実施形態に関わる画像復号化装置の機能ブロック図である。
図5】本発明の実施形態に関わる画像入力部に入力される入力画像の一例を示す図である。
図6】本発明の実施形態に関わる顕著性マップ生成部により生成される顕著性マップの一例を示す図である。
図7】本発明の実施形態に関わる勾配強度マップ生成部により生成される勾配強度マップの一例を示す図である。
図8】本発明の実施形態に関わる重要度マップ生成部により生成される重要度マップの一例を示す図である。
図9】本発明の実施形態に関わる2値化部により2値化される重要度マップの一例を示す図である。
図10】本発明の実施形態に関わる復号化部により復号される画素情報の一例を示す図である。
図11】本発明の実施形態に関わる画像復元部により復元される入力画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。ここで、同一符号は同一の構成要素を示すものとし、重複する説明は省略する。
【0014】
図1は本発明の実施形態に関わる画像符号化装置10のハードウェア構成を示す説明図である。画像符号化装置10は、プロセッサ101、メモリ102、記憶装置103、カメラ104、及び通信装置105を備えている。記憶装置103は、オペレーティングシステム106及び画像処理プログラム107などのソフトウェア資源を格納している。これらのソフトウェア資源は、メモリ102に読み込まれ、プロセッサ101により実行される。
【0015】
図2は本発明の実施形態に関わる画像符号化装置10の機能ブロック図である。プロセッサ101、メモリ102、記憶装置103、カメラ104、及び通信装置105などのハードウェア資源と、オペレーティングシステム106及び画像処理プログラム107などのソフトウェア資源との協働により、画像入力部11、顕著性マップ生成部12、勾配強度マップ生成部13、重要度マップ生成部14、2値化部15、色情報抽出部16、符号化部17、及び通信部18の機能が実現されている。
【0016】
画像入力部11は、カメラ104によって撮影された動画を構成する入力画像を取り込む。
【0017】
顕著性マップ生成部12は、入力画像から入力画像の顕著性マップを生成する。顕著性マップは、入力画像における領域ごとの目立ちやすさ、すなわち、人間の視覚における顕著さの空間分布を示す。顕著性マップは、入力画像中の点や領域に対して人間が瞬間的に注目する度合い、すなわち、顕著性の高さを数値化した顕著性値を算出することにより生成することができる。例えば、目の網膜にある網膜神経節細胞の中に受容野と呼ばれる領域があり、この受容野に光による刺激を受けると、その情報が脳に伝達される。受容野は、中央にある円形の部分とその周辺領域との2つで構成されている。このような受容野における仕組みを利用し、中央にある円形の部分とその周辺領域との刺激により信号が強くなる箇所(注意を引く場所)を数値化するようなモデルを顕著性マップとして用いることができる。具体的には、入力画像からピラミッド画像を作成し、ガウシアンフィルタにより特徴を抽出することにより、顕著性マップを生成する手法が知られている。また、畳み込みニューラルネットワークの出力が入力の摂動に対してどのように変化するか解析することで顕著性マップを生成する手法が知られている。
【0018】
勾配強度マップ生成部13は、入力画像から入力画像の勾配強度マップを生成する。勾配強度マップは、入力画像の各画素の勾配強度値(すなわち、画素の輝度の差)の空間分布を示す。例えば、x方向及びy方向を、互いに直交する二方向とし、ある画素のx方向の勾配強度値をExとし、y方向の勾配強度値をEyとすると、その勾配強度値Eは、Ex及びEyの二乗和の平方根として算出される。勾配強度マップは、入力画像のエッジの空間分布を示す。
【0019】
重要度マップ生成部14は、顕著性マップ及び勾配強度マップから入力画像の重要度マップを生成する。重要度マップは、入力画像の各画素の重要度値の空間分布を示す。重要度マップ生成部14は、入力画像の顕著さの空間分布を示す顕著性マップと、入力画像のエッジの空間分布を示す勾配強度マップとを組み合わせて重要度マップを生成する。このようにして生成された重要度マップは、入力画像の顕著性の高い部分と、入力画像のエッジ部分とを、他の部分(顕著性の低い部分又はエッジでない部分)よりも、相対的に視覚的な重要度の高い部分として、各画素の重要度値の空間分布を示す。
【0020】
例えば、入力画像がl行w列の画素値の行列Iとして表されるものとし、入力画像の顕著性マップがl行w列の顕著性値の行列Sとして表されるものとし、入力画像の勾配強度マップがl行w列の勾配強度値の行列Gとして表されるものとし、入力画像の重要度マップがl行w列の重要度値の行列IMとして表されるものとする。行列Iのi行j列目の要素I(i,j)は、i行j列目の画素の値を示す。行列Sのi行j列目の要素S(i,j)は、i行j列目の画素の顕著性値を示す。行列Gのi行j列目の要素G(i,j)は、i行j列目の画素の勾配強度値を示す。行列IMのi行j列目の要素IM(i,j)は、i行j列目の画素の重要度値を示す。但し、1≦i≦l、且つ、1≦j≦wである。
【0021】
重要度マップ生成部14は、例えば、以下に示す(1)式~(3)式のうち何れかの式により、IM(i,j)を算出してもよい。
【0022】
IM(i,j)={S(i,j)+G(i,j)}n/2n …(1)
【0023】
IM(i,j)={S(i,j)}n (S(i,j)>G(i,j)のとき)
IM(i,j)={G(i,j)}n (G(i,j)>S(i,j)のとき)…(2)
【0024】
IM(i,j)=α{S(i,j)}n1+(1-α){G(i,j)}n2 …(3)
【0025】
但し、0<n<1、0<n1<1、0<n2<1、及び0<α<1の関係を満たすものとする。
【0026】
なお、重要度マップ生成部14は、各画素の重要度値を正規化してもよい。
【0027】
2値化部15は、重要度マップをディザリングにより、第1の濃淡値と、第1の濃淡値よりも薄い第2の濃淡値とに2値化する。第1の濃淡値は、例えば、「黒」を示す濃淡値「1」であり、第2の濃淡値は、例えば、「白」を示す濃淡値「0」である。この2値化処理では、例えば、各画素における2値化で生じた誤差を、画素間の距離に応じた重み付けで周囲の画素に足し合わせる誤差拡散法を適用することができる。
【0028】
色情報抽出部16は、入力画像の複数の画素のうち、重要度マップの値が第1の濃淡値を有する各画素の位置情報及び色情報を含む画素情報を入力画像から抽出する。例えば、重要度マップの値が第1の濃淡値を有する画素の位置情報を(X,Y)とし、その色情報を(R,G,B)とすると、画素情報は、(X,Y,R,G,B)として表現することができる。ここで、R,G,Bは、それぞれ、赤、緑、青の色情報を示す。例えば、入力画像の1行2列目の画素の重要度マップの値が第1の濃淡値を有し、且つ、その画素の色情報が(20,0,10)である場合、画素情報は、(001,002,020,000,010)として表現することができる。なお、画素情報は、重要度マップの値が第2の濃淡値を有する画素の位置情報もその色情報も含まない。
【0029】
符号化部17は、色情報抽出部16から出力される画素情報を符号化する。画素情報の符号化方式として、例えば、ハフマン符号化方式を用いることができる。入力画像そのものを符号化するのではなく、重要度マップの値が第1の濃淡値を有する各画素の位置情報及び色情報を含む画素情報を符号化することにより、入力画像の重要な情報(例えば、人間の視覚的な顕著性の高い部分の情報)を保持したまま、効率よく画像圧縮することができる。
【0030】
通信部18は、符号化部17により符号化された画素情報を、通信網を通じて外部に送信する。通信網は、無線ネットワーク、有線ネットワーク、又は無線ネットワークと有線ネットワークとが混在するネットワークでもよい。
【0031】
図3は本発明の実施形態に関わる画像復号化装置20のハードウェア構成構成を示す説明図である。画像復号化装置20は、プロセッサ201、メモリ202、記憶装置203、画像表示装置204、及び通信装置205を備えている。記憶装置203は、オペレーティングシステム206及び画像処理プログラム207などのソフトウェア資源を格納している。これらのソフトウェア資源は、メモリ202に読み込まれ、プロセッサ201により実行される。
【0032】
図4は本発明の実施形態に関わる画像復号化装置20の機能ブロック図である。プロセッサ201、メモリ202、記憶装置203、画像表示装置204、及び通信装置205などのハードウェア資源と、オペレーティングシステム206及び画像処理プログラム207などのソフトウェア資源との協働により、通信部21、復号化部22、画像復元部23、及び画像出力部24の機能が実現されている。
【0033】
通信部21は、画像符号化装置10から送信される符号化された画素情報を、通信網を通じて受信する。
【0034】
復号化部22は、符号化された画素情報を復号化する。符号化された画素情報の復号化方式として、例えば、ハフマン復号化方式を用いることができる。
【0035】
画像復元部23は、復号化部22により復号化された画素情報から、画像補間方法により、入力画像を復元する。画素情報は、重要度マップの値が第1の濃淡値を有する各画素の位置情報及び色情報を含むが、重要度マップの値が第2の濃淡値を有する画素の位置情報もその色情報も含まない。画像復元部23は、重要度マップの値が第2の濃淡値を有する画素については、その色情報がゼロであるとして補間処理を行う。画素情報は、入力画像を実用上十分な精度で復元するのに必要な情報を保持しているため、画素情報から、画像補間により、画質を劣化させることなく、復元画像を生成することができる。
【0036】
なお、画像補間方法として、例えば、(1)テンソル復元に基づく方法、(2)低次元多模体モデルに基づく方法、(3)構造化行列のランク最小化に基づく方法、(4)特異値分解に基づく方法、(5)深層学習に基づく方法、及び(6)離散フーリエ変換に基づく方法などを挙げることができる。
【0037】
テンソル復元に基づく方法に言及した文献として、例えば、(A)Zhao Q, Zhang L, Cichocki A. Bayesian CP factorization of incomplete tensors with automatic rank determination. IEEE transactions on pattern analysis and machine intelligence, 2015, 37(9): 1751-1763、及び(B)Chen Y L, Hsu C T, Liao H Y M. Simultaneous tensor decomposition and completion using factor priors. IEEE transactions on pattern analysis and machine intelligence, 2013, 36(3): 577-591などがある。
【0038】
低次元多模体モデルに基づく方法に言及した文献として、例えば、Yokota T, Hontani H, Zhao Q, et al. Manifold Modeling in Embedded Space: An Interpretable Alternative to Deep Image Prior. IEEE Transactions on Neural Networks and Learning Systems, 2020などがある。
【0039】
構造化行列のランク最小化に基づく方法に言及した文献として、例えば、Takahashi T, Konishi K, Furukawa T. Structured matrix rank minimization approach to image inpainting, IEEE 55th International Midwest Symposium on Circuits and Systems (MWSCAS). IEEE, 2012: 860-863などがある。
【0040】
特異値分解に基づく方法に言及した文献として、例えば、Song L, Du B, Zhang L, et al. Nonlocal patch based T-SVD for image inpainting: Algorithm and error analysis, Proceedings of the AAAI Conference on Artificial Intelligence. 2018, 32(1) などがある。
【0041】
深層学習に基づく方法に言及した文献として、例えば、Ulyanov D, Vedaldi A, Lempitsky V. Deep image prior, Proceedings of the IEEE conference on computer vision and pattern recognition. 2018: 9446-9454などがある。
【0042】
離散フーリエ変換に基づく方法に言及した文献として、例えば、Sridevi G, Kumar S S. Image inpainting based on fractional-order nonlinear diffusion for image reconstruction. Circuits, Systems, and Signal Processing, 2019, 38(8): 3802-3817などがある。
【0043】
画像出力部24は、復元画像を映像表示する。映像表示される復元画像は、動画でもよく、或いは静止画でもよい。
【0044】
なお、図5は、画像入力部11に入力される入力画像の一例を示す。図6は、顕著性マップ生成部12により生成される顕著性マップの一例を示す。図7は、勾配強度マップ生成部13により生成される勾配強度マップの一例を示す。図8は、重要度マップ生成部14により生成される重要度マップの一例を示す。図9は、2値化部15により2値化される重要度マップの一例を示す。図10は、復号化部22により復号される画素情報の一例を示す。図11は、画像復元部23により復元される入力画像(復元画像)の一例を示す。
【0045】
本発明の実施形態によれば、入力画像そのものを符号化するのではなく、重要度マップの値が第1の濃淡値を有する各画素の位置情報及び色情報を含む画素情報を符号化することにより、入力画像の重要な情報(例えば、人間の視覚的な顕著性の高い部分の情報)を保持したまま、効率よく画像圧縮することができる。また、画素情報は、入力画像を実用上十分な精度で復元するのに必要な情報を保持しているため、画素情報から、画像補間により、画質を劣化させることなく、復元画像を生成することができる。また、画像補間の方法として、低次元多様体モデルに基づく画像補間方法を用いることにより、少ない情報(重要度マップの値が第2の濃淡値を有する画素の位置情報もその色情報も含まない画素情報)から、入力画像を精度よく復元することができる。
【0046】
本発明の実施形態によれば、効率よく画像圧縮できるため、動画像を低遅延で伝送することができる。例えば、遠隔医療システム、ロボットの遠隔制御システム、遠隔会議システム、又はバーチャル・リアリティ・システムなどの動画伝送に好適である。
【0047】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るととともに、本発明にはその等価物も含まれる。即ち、実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。また、実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0048】
10…画像符号化装置 11…画像入力部 12…顕著性マップ生成部 13…勾配強度マップ生成部 14…重要度マップ生成部 15…2値化部 16……色情報抽出部 17…符号化部 18…通信部 20…画像復号化装置 21…通信部 22…復号化部 23…画像復元部 24…画像出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11