(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022129767
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65H 5/36 20060101AFI20220830BHJP
B65H 7/02 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
B65H5/36
B65H7/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021028578
(22)【出願日】2021-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】大江 朋久
【テーマコード(参考)】
3F048
3F101
【Fターム(参考)】
3F048AA05
3F048AB01
3F048BA11
3F048BB02
3F048BB05
3F048CA02
3F048CA10
3F048CC04
3F048DA06
3F048EB22
3F101FA01
3F101FC07
3F101FE02
3F101FE11
3F101LA07
3F101LB03
(57)【要約】
【課題】シートを安定的に搬送することが可能な搬送装置を提供する。
【解決手段】レジストローラ26、及び該レジストローラ26の下流側に設けられたベルトプラテン27を備え、レジストローラ26から搬送されたシートPをベルトプラテン27のベルトに吸着させて搬送する搬送装置8であり、レジストローラ26とベルトプラテン27との間の搬送路に設置され、シートPに干渉しない第1の位置q1と、シートPを上方へ押圧する第2の位置q2と、に切り替え可能なシート押圧機構25を有する。更に、シートPがレジストローラ26に係合しているか否かを検出するシート検出センサs1~s3と、シートPがレジストローラ26に係合しているときには、シート押圧機構25を第1の位置q1とし、シートPがレジストローラ26の係合から解放された後に、シート押圧機構25を第2の位置q2に切り替える制御部12を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送ローラ、及び該搬送ローラの下流側に設けられた搬送部を備え、前記搬送ローラから搬送されたシートを前記搬送部のベルトに吸着させて搬送する搬送装置であって、
前記搬送ローラと前記搬送部との間の搬送路に設置され、前記シートに干渉しない第1の位置と、前記シートを前記搬送路の上方へ押圧する第2の位置と、に切り替え可能なシート押圧機構と、
前記シートが前記搬送ローラに係合しているか否かを検出するシート検出センサと、
前記シートが前記搬送ローラに係合しているときには、前記シート押圧機構を前記第1の位置とし、前記シートが前記搬送ローラの係合から解放された後に、前記シート押圧機構を前記第2の位置に切り替える制御部と、
を備えたことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記シートの大きさ、種類、搬送速度、周囲環境のうちの少なくとも一つに応じて、前記シートが前記搬送ローラの係合から解放されてから前記シート押圧機構を前記第1の位置から前記第2の位置へ切り替えるまでの経過時間を変更すること
を特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記シートの大きさ、種類、搬送速度、周囲環境のうちの少なくとも一つが所定の条件を満たす場合には、前記シートが前記搬送ローラの係合から解放された後において、前記シート押圧機構を前記第2の位置に変更しないこと
を特徴とする請求項1または2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記シート押圧機構は、前記搬送路の搬送面上の、シート搬送方向に交差する方向を向く回転軸と、前記回転軸を中心として回動可能な回動部材と、を含み、
前記制御部は、前記回動部材の傾斜角度を制御して、前記第1の位置、及び前記第2の位置を設定すること
を特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記シートの大きさ、種類、搬送速度、周囲環境のうちの少なくとも一つに応じて、前記第2の位置となる前記回動部材の傾斜角度を変更すること
を特徴とする請求項4に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、インクジェットプリンタなどの印刷装置では、給紙台に蓄積された印刷用紙などのシートを、レジストローラ(搬送ローラ)、及びベルトプラテン(搬送部)を含む搬送装置を用いて印刷部に搬送する。即ち、給紙台に蓄積されたシートは、レジストローラによりベルトプラテンに送られ、更に該ベルトプラテンにてシートが吸着保持されて印刷部に搬送される。印刷部に搬送されたシートは、該印刷部に搭載されているインクジェットヘッドからインクが噴射されて画像が印刷され、下流側へと搬送される。
【0003】
このような印刷装置において、例えばシートが高温高湿の環境に放置された場合に、シートに波打ち状カールが生じることがある。
【0004】
波打ち状カールが生じたシートが搬送装置に送られると、ベルト搬送部にてシートを吸着保持できないことがある。特に、シートの後端部(搬送方向の上流側となる端部)がベルトに密着しきれずに、用紙浮きが発生する。更に、剛性が低いシートにおいては、波打ち状カールが生じた際にシート後端部において皺が発生するという問題が生じる。
【0005】
これは、波打ち状カールが生じたシートを平坦なベルトに吸着させることにより、波打ち状カールのうねりがシート後端方向へ流れていくことに加え、シート後端がレジストローラを過ぎた後は、レジストローラとベルトプラテンとの間にあった撓みが解消され、カール矯正効果がなくなることが原因である。
【0006】
シートに生じる波打ち状カールを矯正する方法として、例えば特許文献1に開示された技術が知られている。特許文献1には、ベルト搬送部に対して、一定の角度をもってシートを進入させることにより、シートに生じた波打ち状カールを矯正することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示された方法では、常にシートを一定の角度でベルト搬送部に進入させる構成であるので、シートの先端側に角折れが生じることがあり、シートを安定的に搬送することができないという問題が発生する。
【0009】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、シートを安定的に搬送することが可能な搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本願発明は、搬送ローラ、及び該搬送ローラの下流側に設けられた搬送部を備え、前記搬送ローラから搬送されたシートを前記搬送部のベルトに吸着させて搬送する搬送装置であって、前記搬送ローラと前記搬送部との間の搬送路に設置され、前記シートに干渉しない第1の位置と、前記シートを前記搬送路の上方へ押圧する第2の位置と、に切り替え可能なシート押圧機構と、前記シートが前記搬送ローラに係合しているか否かを検出するシート検出センサと、前記シートが前記搬送ローラに係合しているときには、前記シート押圧機構を前記第1の位置とし、前記シートが前記搬送ローラの係合から解放された後に、前記シート押圧機構を前記第2の位置に切り替える制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、シートを安定的に搬送することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る搬送装置が搭載されたインクジェットプリンタを示す構成図である。
【
図2】
図2は、
図1に示したインクジェットプリンタに搭載される搬送装置の詳細な構成を示す説明図である。
【
図3】
図3は、
図1に示したインクジェットプリンタの制御ブロック図である。
【
図4】
図4は、搬送装置に搭載されたシート押圧機構が第1の位置にあるときの状態を示す説明図である。
【
図5】
図5は、搬送装置に搭載されたシート押圧機構が第2の位置にあるときの状態を示す説明図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る搬送装置が搭載されたインクジェットプリンタの動作を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、シート押圧機構が搭載されていないときの、シートの流れを示す説明図である。
【
図8】
図8は、第1変形例に係る搬送装置の動作を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、第2変形例に係る搬送装置の動作を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、第3変形例に係る搬送装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0014】
[実施形態の構成]
図1は、本発明の実施形態に係る搬送装置が搭載されるインクジェットプリンタ1の概略構成図である。
図2は、インクジェットプリンタ1に搭載される搬送装置8の詳細な構成を示す説明図である。
図3は、
図1に示すインクジェットプリンタ1の制御ブロック図である。
【0015】
図1において太線で示す経路が、シートPが搬送される搬送経路である。搬送経路のうち、実線で示す経路が通常経路RC、一点鎖線で示す経路が反転経路RR、破線で示す経路が排紙経路RD、二点鎖線で示す経路が給紙経路RSである。なお、本実施形態で示す「シートP」とは、印刷用紙、プラスチック製のシート、フィルムなどを含む。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係るインクジェットプリンタ1は、給紙部2と、印刷部3と、上面搬送部5と、排紙部6と、反転部7と、搬送装置8と、操作パネル11と、制御部12と、各部を収納または保持する筐体13とを備える。
【0017】
給紙部2は、外部給紙台21を備えている。外部給紙台21には外部給紙ローラ22が設けられており、該外部給紙ローラ22を駆動させることにより、外部給紙台21に蓄積されているシートPを搬送装置8に搬送する。
【0018】
給紙部2はまた、複数(図では3個)の内部給紙台23を備えている。内部給紙台23には内部給紙ローラ24が設けられており、該内部給紙ローラ24を駆動させることにより、各内部給紙台23に蓄積されているシートPを搬送装置8に搬送する。
【0019】
搬送装置8は、給紙部2から搬送されるシートPを印刷部3に搬送する。
図2に示すように搬送装置8は、レジストローラ26と、シート押圧機構25と、シート検出センサs1、s2、s3と、ベルトプラテン27と、を備えている。
【0020】
レジストローラ26は、給紙部2または反転部7から搬送されてきたシートPを一旦止めた後、ベルトプラテン27に向けて搬送する。
【0021】
ベルトプラテン27は、吸引ファン29を備えている。ベルトプラテン27は、レジストローラ26から搬送されてきたシートPを、吸引ファン29によりベルト表面に吸着保持しつつ、印刷部3に向けて搬送する。
【0022】
レジストローラ26によるシートPの搬送速度は、ベルトプラテン27によるシートPの吸着搬送の速度よりも若干早くなるように設定されている。従って、
図4に示すように、レジストローラ26により搬送されるシートPは上方に撓む方向に力が作用する。なお、
図4に示す例では、シートPの撓み量を誇張して示している。
【0023】
ベルトプラテン27の上流側には、シートPをベルトプラテン27の搬送ベルトに押し付けるための押付ローラ31と、シートPを搬送ベルトに誘導するためのガイド部材32が設けられている。ベルトプラテン27の上流側には、シート押圧機構25が設けられている。
【0024】
シート押圧機構25は、レジストローラ26とベルトプラテン27との間の搬送路に設けられている。シート押圧機構25は、レジストローラ26とベルトプラテン27との間でシートPを搬送する経路を形成する。シート押圧機構25は、回動部材である回動板25aと、該回動板25aの上流側に設けられた回転軸25bを備えている。
【0025】
図5は、シート押圧機構25の作動を示す説明図である。
図5に示すように、回転軸25bはシートPの搬送面に平行で、且つ、搬送方向(
図5の左右方向)に対して直交する方向を向くように配置されている。なお、本実施形態では回転軸25bが搬送方向に直交する例について示すが、回転軸25bがシート搬送方向に交差する構成としてもよい。
【0026】
回動板25aは、平板形状を成しており回転軸25bに軸支されている。回動板25aは、電磁スイッチ(図示省略)などの可動装置により回転軸25bを中心として回動可能とされている。具体的に回動板25aは、シートPの搬送面に平行な第1の位置q1と、シートPの搬送面に対して一定角度だけ上方に傾斜した第2の位置q2との間で回動する。回動板25aを第1の位置q1とすることにより、回動板25aがシートPに干渉することを回避する。また、回動板25aを第2の位置q2にすることにより、シートPの後端部を上方に押圧することができる。即ち、シート押圧機構25は、制御部12により回動板25aの傾斜角度が制御されて第1の位置q1と第2の位置q2が設定される。
【0027】
なお、本実施形態では、シート押圧機構25が回動板25aと、該回動板25aの上流側に設けられた回転軸25bを備える例について示すが、本発明はこれに限定されるものではなく、回動板25aの下流側に回転軸25bを備える構成としてもよい。また、回動板25a以外の板状でない回動部材としてもよい。更に、第1の位置と第2の位置を切り替えることが可能な他の構成とすることも可能である。
【0028】
図2に戻って、シート検出センサs1は、レジストローラ26の上流側に設けられており、レジストローラ26に導入されるシートPを検出する。
【0029】
シート検出センサs2は、レジストローラ26とベルトプラテン27との間に設けられており、レジストローラ26から搬送されたシートPを検出する。
【0030】
シート検出センサs3は、押付ローラ31の下流側に設けられており、ベルトプラテン27で吸着搬送されるシートPを検出する。
【0031】
各シート検出センサs1、s2、s3の検出信号は、
図1、
図3に示す制御部12に出力される。
【0032】
図1に示す印刷部3は、搬送装置8により搬送されたシートPに画像を印刷する。印刷部3は、4つのラインヘッド28C、28K、28M、28Yを備える。
【0033】
ラインヘッド28C、28K、28M、28Yは、ベルトプラテン27の上方に配置されており、該ベルトプラテン27により搬送されるシートPにインクを吐出して画像を印刷する。
【0034】
上面搬送部5は、ベルトプラテン27により搬送されてきたシートPを排紙部6または反転部7へ搬送する。
【0035】
排紙部6は、印刷済みのシートPを排紙する。排紙部6は、切替部36と、排紙台38とを含む。
【0036】
切替部36は、シートPの搬送経路を排紙経路RDと反転経路RRとの間で切り替える。排紙台38は、排紙された印刷済みのシートPが積載されるものである。
【0037】
反転部7は、両面印刷の際に、片面印刷済みのシートPを反転させて印刷部3へ再給紙する。反転部7は、スイッチバック部42と、切替ゲート44とを含む。
【0038】
スイッチバック部42は、シートPを一時的に搬入するための空間である。切替ゲート44は、シートPをスイッチバック部42へとガイドする。切替ゲート44はまた、スイッチバック部42から搬送されるシートPを搬送装置8へとガイドする。
【0039】
図3に示すように、操作パネル11は、表示部66と、入力部67とを備える。操作パネル11は各種の入力画面等を表示するとともに、ユーザによる入力操作を受け付ける。
【0040】
表示部66は、各種の入力画面等の画像を表示する。表示部66は、液晶表示パネル等を有する。
【0041】
入力部67は、ユーザによる入力操作を受け付け、操作に応じた操作信号を出力する。入力部67は、各種の操作キー等を有する。ユーザは、入力部67にて周囲温度、周囲湿度などの各種の環境情報を入力することができる。表示部66と入力部67をタッチパネルで兼用することも可能である。
【0042】
制御部12は、入力部67で入力された各種の情報、及び各シート検出センサs1~s3の検出信号などを取得する。制御部12はまた、例えばネットワーク通信網などにより各種の外部情報68を取得する。外部情報68は、例えば周囲温度、周囲湿度などの環境情報を含む。制御部12はまた、取得した各種の情報、検出信号に基づいて給紙部2、印刷部3、上面搬送部5、排紙部6、反転部7、及び搬送装置8の動作を制御する。
【0043】
搬送装置8は、レジストローラ26の駆動を制御するレジストローラ駆動部81と、ベルトプラテン27の駆動を制御するベルトプラテン駆動部82と、シート押圧機構25に搭載される回動板25aの駆動を制御する押圧機構駆動部83と、を備えている。
【0044】
押圧機構駆動部83は、各シート検出センサs1~s3の検出信号に応じて回動板25aを回転させる制御を行う。具体的に、回転軸25bを中心にして回動板25aを、シートPの搬送面に平行な第1の位置q1と、搬送面に対して所定角度だけ傾斜させた第2の位置q2に切り替える制御を行う。
【0045】
なお、後述する第2変形例においては、符号q1とq2の間に第2の位置が設定される。詳細については後述する。制御部12は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク等を備えて構成される。
【0046】
[本実施形態の動作]
次に、
図6に示すフローチャートを参照して、本実施形態に係るインクジェットプリンタ1の動作について説明する。
【0047】
印刷が開始されると、
図6のステップS11において、給紙部2の外部給紙台21或いは内部給紙台23から外部給紙ローラ22或いは内部給紙ローラ24によりシートPが搬送される。シートPは、レジストローラ26に導入されると該レジストローラ26で一旦停止された後、レジストローラ26によりベルトプラテン27に向けて搬送される。
【0048】
ステップS12において、押圧機構駆動部83は、シート押圧機構25の回動板25aをシート搬送面に平行な第1の位置q1(
図5参照)に設定する。その後、給紙部2から搬送されたシートPは、レジストローラ26を通過する。
【0049】
レジストローラ26を通過したシートPはその後端部、即ち、
図4に示すシートPの左側の端部がレジストローラ26に係合し、且つ、先端部が押付ローラ31に係合した状態でベルトプラテン27に搬送される。この際、シート押圧機構25の回動板25aは搬送面に平行な第1の位置q1とされているので、シートPに干渉しない。なお、
図4に示す矢印Y1は、シートPの搬送方向を示している。
【0050】
また、
図4に示したようにレジストローラ26によるシートPの搬送速度は、ベルトプラテン27による吸着搬送の速度よりも若干速くなるように設定されている。レジストローラ26から搬送されたシートPは、上方に向けてやや湾曲する。従って、シートPに波打ち状カールが生じている場合であっても、この波打ち状カールは矯正されてベルトプラテン27に搬送される。シートPには浮きや皺が生じることなく、ベルトプラテン27のベルトに吸着されて印刷部3に搬送される。
【0051】
ステップS13において、制御部12はシート検出センサs1、s2の検出信号に基づき、シートPがレジストローラ26を通過したか否かを判定する。
【0052】
シートPがレジストローラ26を通過した場合には(S13;YES)、ステップS14において制御部12は、押圧機構駆動部83を制御して、回動板25aを
図5に示した第1の位置q1から第2の位置q2に切り替える。
【0053】
シートPは、第2の位置q2とされた回動板25aにより後端部が上方に押圧される。このため、シートPの後端部がレジストローラ26から解放された後であっても、シートPを斜め上方から押付ローラ31に進入させることにより、シートPに皺が発生することなくベルトプラテン27のベルト上に吸着させることができる。
【0054】
ステップS15において、制御部12は、シートPが印刷部3に到達したか否かを判定する。具体的に、シート検出センサs3の検出信号に基づき、シートPの後端部が押付ローラ31を通過して印刷部3の下方まで搬送されたか否かを判定する。
【0055】
シートPが印刷部3に到達した場合には(S15;YES)、制御部12は、押圧機構駆動部83を制御して回動板25aを第1の位置q1に戻す。その後、ステップS12からの処理を繰り返す。
【0056】
[本実施形態の効果]
このようにして、本実施形態に係る搬送装置8が搭載されたインクジェットプリンタ1では、レジストローラ26(搬送ローラ)と、ベルトプラテン27(搬送部)との間にシート押圧機構25を設けている。シート押圧機構25は、回転軸25bを軸として回動板25aを回転させることにより、該回動板25aがシートPの搬送面と平行な第1の位置q1、または、回動板25aを一定の角度だけ傾斜させた第2の位置q2に切り替える制御を行う。そして、シートPの後端部がレジストローラ26に係合しているときには、シート押圧機構25を第1の位置q1とし、シートPがレジストローラ26から解放された後には、シート押圧機構25が第2の位置q2となるように切り替える。
【0057】
従って、レジストローラ26を通過したシートPは、該シートPの後端部がレジストローラ26に係合しているときには、シートPは回動板25aに干渉することなくベルトプラテン27に搬送される。この際、シートPの後端部はレジストローラ26に係合しているので、シートPに波打ち状カールが生じている場合でも、この波打ち状カールの影響を受けることなくシートPをベルトプラテン27に搬送することができる。
【0058】
また、シートPがレジストローラ26を通過した後は、シート押圧機構25が第2の位置q2に切り替えられ、回動板25aが所定角度だけ上昇するので、シートPを斜め上方から押付ローラ31に進入させることができる。このため、シートPに生じている波打ち状カールの影響を受けることなく、シートPをベルトプラテン27のベルトに吸着させ、波打ち状カールに起因するシートPの浮き、皺の発生を防止することが可能となる。
【0059】
図7は、本実施形態に係るシート押圧機構25を搭載しない場合の、シートPの搬送状態を示す説明図である。
図7に示すように、シート押圧機構25を搭載しない場合には、レジストローラ26からシートPの後端部が解放されると、シートPは先端部のみが押付ローラ31に係合した片持ち状態となる。このため、シートPに生じている波打ち状カールは矯正されることなくベルトプラテン27に搬送されるので、シートPに浮きや皺が発生する。本実施形態では、このような問題の発生を防止できる。
【0060】
また、本実施形態では、シート押圧機構25により、シート後端部のみを持ち上げる構成としているので、レジストローラ26と、ベルトプラテン27の吸着搬送路の速度差による撓み形成を阻害せず、シート後端部を大きく持ち上げて、シートPの曲率を大きくすることができるため、波打ち状カールのうねりが蓄積され易いシート後端部においてもカールを矯正することができる。
【0061】
また、本実施形態ではシート浮き及び皺の発生を抑制することができるので、ラインヘッド28C、28K、28M、28Yとベルトプラテン27の吸着搬送面との距離を安定させることができ、画質を向上させ、且つミストの発生を抑制することが可能となる。
【0062】
また、搬送装置8に搭載するシート検出センサs1~s3は、インクジェットプリンタ1に標準的に装備されている部品であるため、新たにセンサを設置する必要はなく、コストを低減することができる。
【0063】
また、シート押圧機構25は、シートPの搬送方向に交差する回転軸25bと、この回転軸25bに軸支されて回動する回動板25aを備える構成であるので、回動板25aを回動させることにより、容易に回動板25aを所望の角度に設定することができる。このため、シート押圧機構25を第1の位置q1、及び第2の位置q2に切り替える操作を容易、且つ迅速に実施することが可能となる。
【0064】
[第1変形例の説明]
次に、上述した実施形態の第1変形例について説明する。上述した実施形態では、シートPがレジストローラ26に係合しているときには、シート押圧機構25を第1の位置q1に設定し、シートPがレジストローラ26から解放された後に、シート押圧機構25を第2の位置q2に切り替える例について説明した。
【0065】
これに対して、第1変形例では、シートPの大きさ、材質などの種類、搬送速度、及びシートPが置かれている環境の温度、湿度などの周囲環境のうちの少なくとも一つに応じて、シート押圧機構25を第1の位置q1から第2の位置q2に切り替えるタイミングを変更する点で上述した実施形態と相違する。装置構成は、
図1と同様であるので、説明を省略する。
【0066】
以下、
図8に示すフローチャートを参照して、第1変形例に係る搬送装置8の動作について説明する。
【0067】
印刷が開始されると、
図8のステップS31において、給紙部2の外部給紙台21或いは内部給紙台23から外部給紙ローラ22或いは内部給紙ローラ24によりシートPが搬送される。シートPは、レジストローラ26に導入されると該レジストローラ26で一旦停止された後、レジストローラ26によりベルトプラテン27に向けて搬送される。
【0068】
ステップS32において、制御部12は、シートPの情報、シートPの搬送速度、及び環境情報を取得する。シートPの情報は、シートの大きさ、厚さ、材質の情報を含むものであり、例えば、ユーザが入力部67により設定する。シートPの搬送速度は、図示省略の印刷制御部から取得することができる。
【0069】
環境情報は、周囲温度、周囲湿度を含む周囲環境の情報である。環境情報は、ユーザが入力部67にて設定することができる。或いは、ネットワーク通信網を介して外部機器からの外部情報68として取得することができる。
【0070】
ステップS33において、制御部12は、上述したシートPの情報、シートPの搬送速度、及び環境情報に基づいて、シート押圧機構25を第1の位置q1から第2の位置q2へ切り替える際の切替タイミングを設定する。切替タイミングとは、シートPがレジストローラ26による係合から解放されてから、シート押圧機構25を第2の位置q2へ切り替えるまでの経過時間を示す。
【0071】
具体例として、制御部12は、シートPが大きいほど切替タイミングが早くなるように設定する。制御部12は、シートPの厚さが薄いほど切替タイミングが早くなるように設定する。制御部12はシートPの剛性が小さいほど切替タイミングが早くなるように設定する。制御部12はシートPの搬送速度が速いほど切替タイミングが早くなるように設定する。制御部12は、周囲の温度、湿度が高いほど切替タイミングが早くなるように設定する。
【0072】
ステップS34において、押圧機構駆動部83は、シート押圧機構25の回動板25aをシート搬送面に平行な第1の位置q1に設定する。その後、給紙部2から搬送されたシートPは、レジストローラ26を通過する。レジストローラ26を通過したシートPは、後端部がレジストローラ26に係合し、且つ、先端部が押付ローラ31に係合した状態でベルトプラテン27に向けて搬送される。
【0073】
前述したように、レジストローラ26によるシートPの搬送速度は、ベルトプラテン27による吸着搬送の速度よりも若干速くなるように設定されているので、シートPに波打ち状のカールが生じている場合であっても、このカールは矯正されてベルトプラテン27に搬送される。
【0074】
ステップS35において、制御部12はシート検出センサs1、s2の検出信号に基づき、シートPがレジストローラ26を通過したか否かを判定する。
【0075】
シートPがレジストローラ26を通過した場合には(S35;YES)、ステップS36において、制御部12は押圧機構駆動部83を制御し、ステップS33の処理で設定された切替タイミングで、シート押圧機構25を第1の位置q1から第2の位置q2に切り替える。
【0076】
シートPは、第2の位置q2とされた回動板25aにより後端部が上方に押圧される(
図5参照)。このため、後端部がレジストローラ26から解放されたシートPを、斜め上方から押付ローラ31に進入させることができ、シートPに皺が発生することなくベルトプラテン27のベルト上に吸着させることができる。
【0077】
ステップS37において、制御部12は、シートPが印刷部3に到達したか否かを判定する。具体的に、シート検出センサs3の検出信号に基づき、シートPの後端部が押付ローラ31を通過して印刷部3の下方まで搬送されたか否かを判定する。
【0078】
シートPが印刷部3に到達した場合には(S37;YES)、制御部12は、押圧機構駆動部83を制御してシート押圧機構25を第1の位置q1に戻す。その後、ステップS34からの処理を繰り返す。
【0079】
このようにして、第1変形例では、シートPの情報、シートPの搬送速度、及び環境情報に基づいて、シート押圧機構25の切替タイミングを変更する。このため、各種の情報に応じた切替タイミングを設定することが可能となる。
【0080】
例えば、シートPのサイズが大きい場合には、早いタイミングでシート押圧機構25が第2の位置q2に切り替えられるので、シートPに曲率を持たせることでシートPに皺が発生することなくベルトプラテン27に搬送することができる。
【0081】
他方、シートPのサイズが小さい場合には、遅いタイミングでシート押圧機構25が第2の位置q2に切り替えられるので、必要以上にシートPに曲率を発生させることがなく、シートPに角折れが生じるなどのトラブルの発生を回避できる。
【0082】
[第2変形例の説明]
次に、第2変形例について説明する。第2変形例では、シートPの情報、シートPの搬送速度、及び環境情報のうちの少なくとも一つに応じて、シート押圧機構25の傾斜角度を変更する点で上述した実施形態と相違する。装置構成は、
図1と同様であるので、説明を省略する。
【0083】
以下、第2変形例の処理動作を、
図9に示すフローチャートを参照して説明する。印刷が開始されると、
図9のステップS51において、給紙部2の外部給紙台21或いは内部給紙台23から外部給紙ローラ22或いは内部給紙ローラ24によりシートPが搬送される。シートPは、レジストローラ26に導入されると該レジストローラ26で一旦停止された後、レジストローラ26によりベルトプラテン27に向けて搬送される。
【0084】
ステップS52において、制御部12は、シートPの情報、シートPの搬送速度、環境情報を取得する。
【0085】
上述した第1変形例で示したように、シートPの情報は、シートの大きさ、厚さ、材質の情報を含むものであり、環境情報は、周囲温度、周囲湿度を含む周囲環境の情報である。
【0086】
ステップS53において、制御部12は、上述したシートPの情報、シートPの搬送速度、及び環境情報に基づいて、シート押圧機構25の第2の位置の角度を設定する。即ち、シート押圧機構25は、回動板25aの傾斜角度を、
図5に示す符号q1~q2の間に設定した複数の角度に設定可能であり、この範囲内の所望の角度とした位置を第2の位置として設定する。
【0087】
具体例として、制御部12は、シートPが大きいほど第2の位置の角度が大きくなるように設定する。制御部12は、シートPの厚さが薄いほど第2の位置の角度が大きくなるように設定する。制御部12はシートPの剛性が小さいほど第2の位置の角度が大きくなるように設定する。制御部12は、シートPの搬送速度が速いほど第2の位置の角度が大きくなるように設定する。制御部12は、周囲温度、周囲湿度が高いほど第2の位置の角度が大きくなるように設定する。
【0088】
ステップS54において、押圧機構駆動部83は、シート押圧機構25を第1の位置q1に設定する。その後、給紙部2から搬送されたシートPは、レジストローラ26を通過する。レジストローラ26を通過したシートPは、後端部がレジストローラ26に係合し、且つ、先端部が押付ローラ31に係合した状態でベルトプラテン27に向けて搬送される。
【0089】
前述したように、レジストローラ26によるシートPの搬送速度は、ベルトプラテン27による吸着搬送の速度よりも若干速くなるように設定されているので、シートPに波打ち状のカールが生じている場合であっても、このカールは矯正されてベルトプラテン27に搬送される。
【0090】
ステップS55において、制御部12はシート検出センサs1、s2の検出信号に基づき、シートPがレジストローラ26を通過したか否かを判定する。
【0091】
シートPがレジストローラ26を通過した場合には(S55;YES)、ステップS56において、制御部12は押圧機構駆動部83を制御し、シート押圧機構25の回動板25aがステップS53の処理で設定された角度(
図5の符号q1~q2の間の角度)の第2の位置となるように設定する。
【0092】
シートPは、第2の位置とされた回動板25aにより後端部が上方に押圧される。このため、後端部がレジストローラ26から解放されたシートPを、斜め上方から押付ローラ31に突入させることができ、シートPに皺が発生することなくベルトプラテン27のベルト上に吸着させることができる。
【0093】
ステップS57において、制御部12は、シートPが印刷部3に到達したか否かを判定する。具体的に、シート検出センサs3の検出信号に基づき、シートPの後端部が押付ローラ31を通過して印刷部3の下方まで搬送されたか否かを判定する。
【0094】
シートPが印刷部3に到達した場合には(S57;YES)、制御部12は、押圧機構駆動部83を制御してシート押圧機構25を第1の位置に戻す。その後、ステップS54からの処理を繰り返す。
【0095】
このようにして、第2変形例では、シートPの情報、シートPの搬送速度、及び環境情報に基づいて、シート押圧機構25を第2の位置とするときの、回動板25aの角度を変更する。このため、各種の情報に応じた傾斜角度を設定することが可能となる。
【0096】
例えば、シートPのサイズが大きい場合にはシート押圧機構25を第2の位置としたときの角度が大きく設定されるので、シートPに大きい曲率を持たせることができ、シートPが大きい場合でもシートPに皺が発生することなくベルトプラテン27に搬送することができる。
【0097】
他方、シートPのサイズが小さい場合にはシート押圧機構25を第2の位置としたときの角度が小さく設定されるので、必要以上にシートPに曲率を発生させることがなく、シートPに角折れが生じるなどのトラブルの発生を回避できる。
【0098】
[第3変形例の説明]
次に、第3変形例について説明する。第3変形例では、シートPの情報、シートPの搬送速度、及び環境情報のうちの少なくとも一つに応じて、シート押圧機構25の第2の位置への切替可否を設定する点で、上述した実施形態と相違する。装置構成は、
図1と同様であるので、説明を省略する。
【0099】
以下、第3変形例の処理動作を、
図10に示すフローチャートを参照して説明する。印刷が開始されると、
図10のステップS71において、給紙部2の外部給紙台21或いは内部給紙台23から外部給紙ローラ22或いは内部給紙ローラ24によりシートPが搬送される。シートPは、レジストローラ26に導入されると該レジストローラ26で一旦停止された後、レジストローラ26によりベルトプラテン27に向けて搬送される。
【0100】
ステップS72において、制御部12は、シートPの情報、シートPの搬送速度、環境情報を取得する。
【0101】
上述した第1、第2変形例で示したように、シートPの情報は、シートの大きさ、厚さ、材質の情報を含むものであり、環境情報は、周囲温度、周囲湿度を含む周囲環境の情報である。
【0102】
ステップS73において、制御部12は、上述したシートPの情報、シートPの搬送速度、及び環境情報に基づいて、シート押圧機構25の第2の位置q2への切替の可否を設定する。
【0103】
例えば、制御部12は、シートPの大きさが所定の大きさ未満である場合に、シート押圧機構25の第2の位置q2への切り替えを不可に設定する。制御部12は、シートPの搬送速度が所定の速度未満である場合に、シート押圧機構25の第2の位置q2への切り替えを不可に設定する。制御部12は、周囲の湿度が所定の湿度未満である場合に、シート押圧機構25の第2の位置q2への切り替えを不可に設定する。即ち、制御部12は、シートの大きさ、材質などの種類、搬送速度、周囲環境のうちの少なくとも一つが所定の条件を満たす場合には、シート押圧機構25を第2の位置q2に変更しない。
【0104】
ステップS74において、押圧機構駆動部83は、シート押圧機構25を第1の位置q1に設定する。その後、給紙部2から搬送されたシートPは、レジストローラ26を通過する。レジストローラ26を通過したシートPは、後端部がレジストローラ26に係合し、且つ、先端部が押付ローラ31に係合した状態でベルトプラテン27に向けて搬送される。
【0105】
前述したように、レジストローラ26によるシートPの搬送速度は、ベルトプラテン27による吸着搬送の速度よりも若干速くなるように設定されているので、シートPに波打ち状のカールが生じている場合であっても、このカールは矯正されてベルトプラテン27に搬送される。
【0106】
ステップS75において、制御部12はシート検出センサs1、s2の検出信号に基づき、シートPがレジストローラ26を通過したか否かを判定する。
【0107】
シートPがレジストローラ26を通過した場合には(S75;YES)、ステップS76において、制御部12はステップS73の処理による設定結果に基づき、シート押圧機構25を第2の位置q2へ切替可能であるか否かを判定する。切替可能である場合には(S76;YES)、ステップS77に処理を進め、そうでなければ(S76;NO)、ステップS78に処理を進める。
【0108】
ステップS77において、制御部12は、シート押圧機構25を第2の位置q2に設定する。
【0109】
シートPは、第2の位置q2とされた回動板25aにより後端部が上方に押圧される。このため、後端部がレジストローラ26から解放されたシートPを、斜め上方から押付ローラ31に突入させることができ、シートPに皺が発生することなくベルトプラテン27のベルト上に吸着させることができる。
【0110】
ステップS78において、制御部12は、シートPが印刷部3に到達したか否かを判定する。具体的に、シート検出センサs3の検出信号に基づき、シートPの後端部が押付ローラ31を通過して印刷部3の下方まで搬送されたか否かを判定する。
【0111】
シートPが印刷部3に到達した場合には(S78;YES)、制御部12は、押圧機構駆動部83を制御してシート押圧機構25を第1の位置q1に戻す。その後、ステップS74からの処理を繰り返す。
【0112】
このようにして、第3変形例では、シートPの情報、シートPの搬送速度、及び環境情報に基づいて、シート押圧機構25を第2の位置q2に切り替えるか否かを設定する。このため、不必要な場合においてシート押圧機構25が第2の位置q2に切り替えられることを回避することができる。
【0113】
例えば、シートPのサイズが小さい場合にはシートPに大きなカールが生じることは少ない。このとき、シート押圧機構25は第2の位置q2に切り替えられず、不要な動作を回避することができる。従って、シート押圧機構25の作動に伴う騒音の発生を抑制することができる。
【0114】
他方、シートPのサイズが大きい場合にはシートPに大きなカールが生じることが多い。このとき、シート押圧機構25は第2の位置q2に切り替えられるので、シートPに曲率を持たせることができ、シートPに皺が発生することなくベルトプラテン27に搬送することができる。
【0115】
なお、上述した実施形態、及び各変形例では、搬送装置8がインクジェットプリンタ1に搭載される例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、プリンタ以外のシートを搬送する装置について適用することが可能である。
【0116】
また、上述した実施形態、及び各変形例では、吸引ファン29によりベルトプラテン27のベルト上にシートPを吸着して搬送する例について説明したが、静電気で吸着する構成であってもよい。
【0117】
また、本発明は、上述の実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上述の実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0118】
[付記1]
搬送ローラ、及び該搬送ローラの下流側に設けられた搬送部を備え、前記搬送ローラから搬送されたシートを前記搬送部のベルトに吸着させて搬送する搬送装置であって、
前記搬送ローラと前記搬送部との間の搬送路に設置され、前記シートに干渉しない第1の位置と、前記シートを前記搬送路の上方へ押圧する第2の位置と、に切り替え可能なシート押圧機構と、
前記シートが前記搬送ローラに係合しているか否かを検出するシート検出センサと、
前記シートが前記搬送ローラに係合しているときには、前記シート押圧機構を前記第1の位置とし、前記シートが前記搬送ローラの係合から解放された後に、前記シート押圧機構を前記第2の位置に切り替える制御部と、
を備えたことを特徴とする搬送装置。
【0119】
[付記2]
前記制御部は、前記シートの大きさ、種類、搬送速度、周囲環境のうちの少なくとも一つに応じて、前記シートが前記搬送ローラの係合から解放されてから前記シート押圧機構を前記第1の位置から前記第2の位置へ切り替えるまでの経過時間を変更すること
を特徴とする付記1に記載の搬送装置。
【0120】
[付記3]
前記制御部は、前記シートの大きさ、種類、搬送速度、周囲環境のうちの少なくとも一つが所定の条件を満たす場合には、前記シートが前記搬送ローラの係合から解放された後において、前記シート押圧機構を前記第2の位置に変更しないこと
を特徴とする付記1または2に記載の搬送装置。
【0121】
[付記4]
前記シート押圧機構は、前記搬送路の搬送面上の、シート搬送方向に交差する方向を向く回転軸と、前記回転軸を中心として回動可能な回動部材と、を含み、
前記制御部は、前記回動部材の傾斜角度を制御して、前記第1の位置、及び前記第2の位置を設定すること
を特徴とする付記1~3のいずれか1項に記載の搬送装置。
【0122】
[付記5]
前記制御部は、前記シートの大きさ、種類、搬送速度、周囲環境のうちの少なくとも一つに応じて、前記第2の位置となる前記回動部材の傾斜角度を変更すること
を特徴とする付記4に記載の搬送装置。
【符号の説明】
【0123】
1 インクジェットプリンタ
2 給紙部
3 印刷部
5 上面搬送部
6 排紙部
7 反転部
8 搬送装置
11 操作パネル
12 制御部
13 筐体
21 外部給紙台
22 外部給紙ローラ
23 内部給紙台
24 内部給紙ローラ
25 シート押圧機構
25a 回動板(回動部材)
25b 回転軸
26 レジストローラ
27 ベルトプラテン
28C、28K、28M、28Y ラインヘッド
29 吸引ファン
31 押付ローラ
32 ガイド部材
36 切替部
38 排紙台
42 スイッチバック部
44 切替ゲート
66 表示部
67 入力部
68 外部情報
81 レジストローラ駆動部
82 ベルトプラテン駆動部
83 押圧機構駆動部
P シート
s1~s3 シート検出センサ