(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022129770
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】防汚性積層シート
(51)【国際特許分類】
B32B 27/30 20060101AFI20220830BHJP
B32B 27/40 20060101ALI20220830BHJP
D06N 3/14 20060101ALN20220830BHJP
A47C 27/00 20060101ALN20220830BHJP
【FI】
B32B27/30
B32B27/40
D06N3/14
A47C27/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021028583
(22)【出願日】2021-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000107907
【氏名又は名称】セーレン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】紺田 佳孝
【テーマコード(参考)】
3B096
4F055
4F100
【Fターム(参考)】
3B096AB08
4F055AA01
4F055AA03
4F055AA18
4F055BA13
4F055CA16
4F055DA08
4F055EA01
4F055EA04
4F055EA21
4F055EA23
4F055EA30
4F055FA04
4F055FA09
4F055FA10
4F055FA15
4F055FA18
4F055FA36
4F055FA37
4F055GA02
4F055GA11
4F055HA17
4F100AK17C
4F100AK25C
4F100AK41A
4F100AK45B
4F100AK51B
4F100AN02C
4F100AT00A
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100CA02C
4F100DG13A
4F100EH46B
4F100GB81
4F100JB01
4F100JB01B
4F100JL06
4F100JL06C
(57)【要約】
【課題】本発明は、マットレス等を覆って用いられる防汚性積層シートに関し、特に介護施設や病院向けのマットレス等に用いた際に、柔軟性を損なうことなく、伸長回復性および耐アルコール性に優れた防汚性の積層シートを提供することを目的とする。
【解決手段】基材の一方の面に、アルコール非膨潤層と、防汚層とを順次設けた防汚性積層シートであって、前記アルコール非膨潤層が、ウレタン系樹脂からなり、前記防汚層が、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂および架橋剤からなる防汚性積層シート。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の一方の面に、アルコール非膨潤層と、防汚層とを順次設けた防汚性積層シートであって、
前記アルコール非膨潤層が、ウレタン系樹脂からなり、
前記防汚層が、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂および架橋剤からなる防汚性積層シート。
【請求項2】
前記アクリル系樹脂が、アクリルゴムを含む請求項1に記載の防汚性積層シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マットレス等に用いられる防汚性積層シートに関し、特に介護施設や病院向けのマットレス等を覆って用いられる防汚性積層シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、病院や介護施設等において、ベッド、車いす用クッション等のマットレスを覆うシート材が使用されている。特に病院や介護施設では、汗や汚れを除去しやすい防汚性シート材が求められている。出願人は、インテリア等の用途で、防汚性に優れ、触感を損なうことのない合成皮革を提案している(特許文献1)。
【0003】
しかしながら、このような合成皮革は、耐アルコール性を考慮したものではなく、アルコール消毒を繰り返した場合に防汚性が低下し、また、伸長回復性が低下するというおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前述の問題を解決するものであり、マットレス等を覆った際にも柔軟性を損なうことなく、伸長回復性および耐アルコール性に優れた防汚性積層シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、基材の一方の面に、アルコール非膨潤層と、防汚層とを順次設けた防汚性積層シートであって、前記アルコール非膨潤層が、ウレタン系樹脂からなり、前記防汚層が、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂および架橋剤からなる防汚性積層シートである。
【0007】
また、前記アクリル系樹脂が、アクリルゴムを含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、マットレス等を覆った際にも柔軟性を損なうことなく、伸長回復性および耐アルコール性に優れた防汚性積層シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態の一例である防汚性積層シートを示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態を、図面を参照して詳しく説明する。
本発明の防汚性積層シート1の一例を
図1に示す。防汚性積層シート1は、
図1に示すように、基材2の一方の面に、アルコール非膨潤層3と、防汚層4とが順次設けられている。
【0011】
基材2は、特に限定されるものではなく、織物、編物、不織布などの布帛を挙げることができる。また、布帛に、従来公知の溶剤系または水系の高分子化合物を塗布または含浸し、乾式凝固または湿式凝固させたものを用いることもできる。なかでも、伸縮性の点から編物が好ましい。編物としては、例えば、丸編、経編、横編などを挙げることができ、横方向の伸縮性の点で丸編が好ましい。
【0012】
丸編の編組織としては、従来公知の編組織を用いることができる。丸編の中でも、緻密で、重量感があり、伸縮性、弾力性に富み、布帛の端がカールしにくいという点から、両面編が好ましい。丸編の両面編組織としては、ブラッシュ、モックロディ、スムース(インターロック)、ポンチローマ、リップル、ミラノリブ、ジャガード等が挙げられる。これらのなかでも、経済性や平滑性の点から、スムースが好ましい。また、基材2は片面または両面が起毛面であってもよい。
【0013】
基材2に用いられる繊維の種類は特に限定されるものでなく、天然繊維、再生繊維、半合成繊維、合成繊維など、従来公知の繊維を挙げることができ、これらが2種以上組み合わされていてもよい。なかでも強度や加工性の点から、合成繊維、特にポリエステル繊維が好ましく用いられる。また、基材2は、染料または顔料により着色されたものであってもよい。なお、着色に用いられる染料や顔料は特に限定されない。
【0014】
基材2に用いられる糸条の形態は特に限定されるものではなく、フィラメント糸(長繊維糸)、紡績糸(短繊維糸)のいずれであってもよく、さらには長繊維と短繊維を組み合わせた長短複合紡績糸であってもよい。フィラメント糸は、必要に応じて撚りをかけてもよいし、仮撚加工や流体撹乱処理などにより伸縮性や嵩高性を付与してもよい。
【0015】
基材2に用いられる糸条の繊度は、特に限定されないが、56~330dtexであることが好ましく、より好ましくは75~250dtexである。繊度が56dtex以上であることにより、縫製強度や引裂強度を得やすい。繊度が330dtex以下であることにより、ソフトな風合いを得やすい。
基材2に用いられる糸条の単糸繊度は、特に限定されないが、縫製強度の点から0.1~20dtexが好ましい。
【0016】
基材2の目付(単位面積当たりの質量)は、特に限定されないが、例えば、150~600g/m2であることが好ましく、より好ましくは200~400g/m2である。目付が200g/m2以上であることにより、縫製強度や破裂強度を得やすい。目付が600g/m2以下であることにより、ソフトな風合いを得やすい。
【0017】
基材2の厚さは、特に限定されないが、0.4~0.8mmであることが好ましく、より好ましくは0.5~0.6mmである。厚さが0.4mm以上であることにより、破裂強度を得やすい。厚さが0.8mm以下であることにより、柔軟性を得やすい。
【0018】
アルコール非膨潤層3は、アルコールに膨潤しない層であり、具体的にはアルコール膨潤率が5%以下である。また、アルコール膨潤率が3%以下であることが好ましい。なお、アルコール膨潤率は、一辺70mmの正方形を試料とし、イソプロピルアルコール70%水溶液に8.6時間浸漬する。浸漬前後の試料の対角線の距離を測定し次式のように求められる。
式1:アルコール膨潤率(%)=(B-A)/A×100
なお、式中、Aは浸漬前の対角線距離を示し、Bは浸漬後の対角線距離を示す。
【0019】
アルコール非膨潤層3の形成に用いられる樹脂としては、ウレタン系樹脂が用いられる。アルコールに膨潤しないウレタン系樹脂であればよく、例えば、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂などを挙げることができる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、耐光性および耐久性の点からポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が好ましい。
【0020】
アルコール非膨潤層3の厚さは10~50μmであることが好ましく、より好ましくは、15~40μmである。厚さが10μm以上であることにより、摩耗強度が得られやすい。厚さが50μm以下であることにより、柔軟性が得られやすい。
【0021】
基材2とアルコール非膨潤層3との積層方法としては、接着剤を用いて接着してもよいし、熱融着、熱圧着でもよいが、接着剤を用いた方が強度面で好ましい。用いられる接着剤としては、特に限定するものではないが、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられ、アルコール非膨潤層3との相性からウレタン系樹脂が好ましい。また、接着剤を塗布する方法は、公知の種々の方法を採用することができ、特に限定されるものではないが、例えば、リバースロールコーター、スプレーコーター、ロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、ナイフコーター、コンマコーターを用いた方法を挙げることができる。なかでも、簡便に塗布することができ剥離強度を維持しやすいコンマコーターを用いた方法が好ましい。
【0022】
アルコール非膨潤層3には、防汚層4が積層されている。
防汚層4は、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂および架橋剤からなる層である。
防汚層4の形成に用いられるフッ素系樹脂としては、フッ素化アクリレート、部分フッ素化樹脂、フッ素化共重合体が挙げられる。フッ素化アクリレートとしては、特に限定するものではないが、パーフルオロアルキル基含有メタアクリレートの(単独)重合体、あるいはパーフルオロアルキル基含有メタアクリレートと、アルキルメタアクリレート、塩化ビニル、スチレン、N-メチロールメタアクリルアミド、アミニミド基含有単量体及びアジリジニルメタアクリレートに挙げられる1種以上との共重合体が挙げられる。部分フッ素化樹脂としては、ポリクロロトリフルオロエチレン(三フッ化)、ポリフッ化ビニリデン(二フッ化)、ポリフッ化ビニルなどが挙げられる。フッ素化共重合体としては、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体、四フッ化エチレン・パーフルオルアルキルビニルエーテル共重合体、エチレン・四フッ化エチレン共重合体、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体などが挙げられる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、経済性の点からフッ素化アクリレートが好ましい。
【0023】
防汚層4の形成に用いられるアクリル系樹脂としては、アクリル酸、メタクリル酸またはこれらの誘導体から得られる重合体および共重合体、あるいはそれらの変性物を挙げることができる。モノマー誘導体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル等のアクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル等のメタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸4-ヒドロキシブチル等のヒドロキシ基含有アクリル酸エステル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸4-ヒドロキシブチル等のヒドロキシ基含有メタクリル酸エステル、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、1,3-ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート等の多官能メタクリル酸エステル等が挙げられる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0024】
防汚層4の形成に用いられるアクリル系樹脂は、伸長回復性の点からアクリルゴムを含むことが好ましい。
【0025】
アクリルゴムとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、スチレンに挙げられるモノマーを1種類以上用い、かつ数平均分子量40万以上である重合体が挙げられる。柔軟性と伸長回復性の点から、アクリル酸ブチル重合体が好ましい。また、より高度な伸長回復性を得られる点から平均分子量70万以上のものが好ましい。
【0026】
防汚層4の形成に用いられる架橋剤としては、特に限定するものではなく、公知の架橋剤が用いられるが、成膜性の強度、密着性向上の点から、エポキシ化合物、イソシアネート化合物が好ましい。
【0027】
エポキシ化合物としては、グリシジル基を2個以上分子内に含む化合物が挙げられる。例えば、エチレングリコールジグリシジンエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジンエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6ヘキシジオールジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ジグリセリンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、スピログリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
また、イソシアネート化合物としては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’ビフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、1,5-テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3-シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリジイソシアネート等が挙げられる。
これらは、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、架橋反応の簡潔さや製造上の簡便さからイソシアネート化合物が好ましい。
【0028】
防汚性積層シート1は、JISL1096による破断時の伸び率が、タテ方向にて20~60%であることが好ましく、30~50%の範囲であることがより好ましい。また、ヨコ方向にて50~100%であることが好ましく、60~80%の範囲であることがより好ましい。
【実施例0029】
以下に本発明の防汚性積層シートを具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例及び比較例における物性測定および評価は、以下の方法により行った。
【0030】
<試験方法>
[防汚性]JIS L1919 8.3 C法(滴下拭き取り法)に準じて、人工汚染物質(親油性汚染物質3)を用い汚れにくさ試験にて、初期とアルコール浸漬後を評価した。JIS L0805に準拠した汚染用グレースケールにて汚れ付着前と付着後の試験片の状態を等級判定した。
【0031】
[耐アルコール性]長さ300mm、幅200mmの試験片をイソプロピルアルコール70%水溶液に8.6時間浸漬後、オーバーフローで水洗し、吊るし干し乾燥した。乾燥後の試料の表面状態を観察判定し、また、防汚性の評価をした。表面状態の評価基準は次のとおりである。
○:表面に変化なし
△:表面に若干歪みが認められる
×:表面にうきや歪みがはっきりと認められる
【0032】
[伸長回復性]長さ120mm、幅30mmの大きさの試験片を採取し、引張試験機で10%伸長を10回繰り返した後の表面状態を観察判定した。基材のコース方向、ウェル方向の各々について伸長試験した。
○:表面に残留歪みなし
△:表面に若干残留歪みが認められる
×:表面に残留歪みがはっきりと認められる
【0033】
[アルコール浸漬後の伸長回復性]長さ120mm、幅30mmの大きさの試験片をイソプロピルアルコール70%水溶液に8.6時間浸漬後、オーバーフローで水洗し、吊るし干し乾燥した。その後、伸長回復性試験と同様に引張試験機で10%伸長を10回繰り返した後の表面状態を観察判定した。
【0034】
[実施例1]
[アルコール非膨潤層の形成]
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(アルコール膨潤率2%)100重量部に対して、ジメチルホルムアミド40重量部を加え、離型紙上にコンマコーターにて塗布厚200μmになるように塗布し、乾燥機にて130℃で2分間処理してアルコール非膨潤層を形成した。アルコール非膨潤層の厚さは20μmであった。
【0035】
[基材とアルコール非膨潤層の接着]
ポリエーテル系ポリウレタン樹脂100重量部に対して、ジメチルホルムアミド50重量部、架橋剤12重量部、架橋促進剤1重量部を加え、接着剤溶液を作製した。接着剤溶液を、アルコール非膨潤層の上に、コンマコーターにて塗布厚みが150μmになるように塗布し、乾燥機にて100℃で1分間乾燥した。乾燥後、接着剤塗布面と基材(ポリエステル スムース編地、糸条繊度:75dtex 単糸繊度:2dtex 、目付:350g/m2 、厚さ:0.4mm)とを貼り合わせ、離型紙を剥離した。
【0036】
[防汚層の形成]
処方1に従い調整した防汚層用混合液を、アルコール非膨潤層面にバーコーターを用いて、ウェット塗布量20g/m2になるように塗布し、乾燥機にて120℃で1分間乾燥し、防汚性積層シートを得た。防汚層の厚みは10μmであった。なお、固形分は、乾燥残渣の質量分率である。
[処方1]
フッ素系樹脂(パーフルオロアルキル基含有メタアクリレート重合体)固形分15% 50重量部
アクリル系樹脂(メタクリル酸2-ヒドロキシエチル重合体) 固形分15% 50重量部
アクリルゴム(アクリル酸ブチル重合体 数平均分子量70万) 固形分19% 25重量部
架橋剤(1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート) 固形分100% 12重量部
溶媒(DMF/MEK(50/50)) 100重量部
(DMF:ジメチルホルムアミド、MEK:メチルエチルケトン)
【0037】
[実施例2]
アルコール非膨潤層を、次のように作製した以外は、実施例1と同様に防汚性積層シートを作製した。ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(アルコール膨潤率4%)100重量部に対して、ジメチルホルムアミド40重量部を加え、離型紙上にコンマコーターにて塗布厚200μmになるように塗布し、乾燥機にて130℃で2分間処理してアルコール非膨潤層を形成した。アルコール非膨潤層の厚さは20μmであった。
【0038】
[実施例3]
防汚層の形成に下記の処方2を用いた以外は、実施例1と同様に作製した。
[処方2]
フッ素系樹脂(パーフルオロアルキル基含有メタアクリレート重合体)固形分15% 50重量部
アクリル系樹脂(メタクリル酸2-ヒドロキシエチル重合体) 固形分15% 50重量部
アクリルゴム(アクリル酸ブチル重合体 数平均分子量40万) 固形分19% 25重量部
架橋剤(1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート) 固形分100% 12重量部
溶媒(DMF/MEK(50/50)) 100重量部
【0039】
[比較例1]
アルコール非膨潤層を、次のように作製した以外は、実施例1と同様に防汚性積層シートを作製した。ポリエステル系ポリウレタン樹脂(アルコール膨潤率10%)100重量部に対して、ジメチルホルムアミド40重量部を加え、離型紙上にコンマコーターにて塗布厚200μmになるように塗布し、乾燥機にて130℃で2分間処理してアルコール非膨潤層を形成した。アルコール非膨潤層の厚さは20μmであった。
【0040】
【0041】
表1に示すように、実施例に係る防汚性積層シートは、伸長回復性および耐アルコール性に優れ、アルコール浸漬による機能低下も認められなかった。これに対して、比較例に係る防汚性積層シートは、耐アルコール性が悪くアルコール浸漬後の防汚性低下や伸長回復性の低下が認められた。