IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヒロセ補強土株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社未来樹脂の特許一覧

<>
  • 特開-小口径場所打ち杭用芯材 図1
  • 特開-小口径場所打ち杭用芯材 図2
  • 特開-小口径場所打ち杭用芯材 図3
  • 特開-小口径場所打ち杭用芯材 図4
  • 特開-小口径場所打ち杭用芯材 図5
  • 特開-小口径場所打ち杭用芯材 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022129785
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】小口径場所打ち杭用芯材
(51)【国際特許分類】
   E02D 5/34 20060101AFI20220830BHJP
   E02D 5/54 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
E02D5/34 Z
E02D5/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021028606
(22)【出願日】2021-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】517419445
【氏名又は名称】ヒロセ補強土株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390028082
【氏名又は名称】株式会社未来樹脂
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】杉山 大介
(72)【発明者】
【氏名】平 武
(72)【発明者】
【氏名】村上 博康
【テーマコード(参考)】
2D041
【Fターム(参考)】
2D041AA01
2D041BA07
2D041BA33
2D041BA52
2D041CB04
(57)【要約】
【課題】芯材の構成部品点数を削減し、防錆処理を施した棒材への取り付けも可能な小口径場所打ち杭用芯材を提供すること。
【解決手段】外周面に凹凸を有する棒材20と、棒材20の外周面に棒材20の側方から挟み込んで装着可能な複合鍔材30とを具備し、複合鍔材30は棒材20に抱持可能な一対の分割筒31,31と、各分割筒31の外周面で周方向に沿って突設した鍔材32と、分割筒31の外周面の軸方向に沿って放射状に突設した複数の間隔保持部3とを具備し、複合鍔材30を樹脂で一体成形した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
杭孔内に挿入して使用し、杭構内に充填した固結材と付着する棒材を具備した小口径場所打ち杭用芯材であって、
外周面に少なくとも凹部または凸部の何れか一種の要素を有する棒材と、
前記棒材の外周面に該棒材の側方から挟み込んで装着可能な複合鍔材とを具備し、
前記複合鍔材が棒材に抱持可能な一対の分割筒と、
前記各分割筒の外周面で周方向に沿って突設した鍔材と、
前記分割筒の外周面の軸方向に沿って放射状に突設した複数の間隔保持部とを具備し、
前記複合鍔材を樹脂で一体成形したことを特徴とする、
小口径場所打ち杭用芯材。
【請求項2】
前記一対の分割筒の内周面を前記棒材の外周面の凹部または凸部と嵌合可能な形状に形成したことを特徴とする、請求項1に記載の小口径場所打ち杭用芯材。
【請求項3】
前記前記一対の分割筒の内周面に突条を形成し、該突条を前記棒材の平らな外周面と当接して棒材に対する複合鍔材の自由回転を規制したことを特徴とする、請求項1または2に記載の小口径場所打ち杭用芯材。
【請求項4】
前記前記各分割筒の外周面に周方向に沿って突設した一対の分割鍔により鍔材を構成することを特徴とする、請求項1乃至3の何れか一項に記載の小口径場所打ち杭用芯材。
【請求項5】
前記各分割筒の外周面に突出した鍔材と間隔保持部との交錯部を一体化したことを具備することを特徴とする、請求項1乃至4の何れか一項に記載の小口径場所打ち杭用芯材。
【請求項6】
前記一対の分割筒の軸方向に沿った両端縁に一対のフランジを有し、一方のフランジ間にヒンジを形成したことを特徴とする、請求項1乃至5の何れか一項に記載の小口径場所打ち杭用芯材。
【請求項7】
前記フランジの最大張出寸法を間隔保持部の最大張出寸法と同じ寸法に合わせて形成したことを特徴とする、請求項6に記載の小口径場所打ち杭用芯材。
【請求項8】
前記複合鍔材が分割筒の開口部を閉合する閉合手段をさらに具備することを特徴とする、請求項1に記載の小口径場所打ち杭用芯材。
【請求項9】
前記複合鍔材の閉合手段が結束ベルト、分割筒の他方に形成した他方の一対のフランジに設けた係止爪と係止穴の係止構造の何れか一種または両方の組合せであることを特徴とする、請求項8に記載の小口径場所打ち杭用芯材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモルタル等の固化材を充填した杭孔50内に挿入する小口径場所打ち杭用芯材に関し、特に杭孔50に対する間隔保持機能および固化材に対する支圧機能を併有した小口径場所打ち杭用芯材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
モルタル等の固化材を充填した杭孔50内に芯材を挿入して小口径場所打ち杭を構築し、複数の小口径場所打ち杭を地山や法面の引張補強材または圧縮補強材として用いる地山補強土工法(例えばルートパイル工法、EPルートパイル工法)が知られている(特許文献1,2)。
【0003】
図6を参照して小口径場所打ち杭に用いる芯材60について説明する。
従来の芯材60は、杭孔50に内挿する異径棒鋼等の棒材20と、棒材20に適宜の間隔を隔てて装着したスペーサ70と、棒材20に適宜の間隔を隔てて装着した螺着した鍔材80とを具備する。
棒材20はその全長に亘っておねじを形成している。
スペーサ70は棒材20に螺着可能な筒部71と、筒部71の外周面の軸方向に沿って矢羽根状に設けた複数の羽根72とを具備する。複数の羽根72が杭孔50に対する棒材20の間隔保持機能を発揮する。
鋳物製の鍔材80は棒材20に螺着可能な筒部81と、筒部1の外周面に径方向に張り出した拡径部82とを有する。
スペーサ70と鍔材80はその中心部にめねじを形成していて、回動操作をすることで棒材20の軸方向に沿って取付位置を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭55-136322号公報
【特許文献2】実開昭61-6531号公報
【特許文献3】特開昭58-17931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
既述した小口径場所打ち杭用芯材はつぎの問題点を内包している。
<1>芯材60の構成部品点数が多く、芯材60のコストが高くつく。
<2>スペーサ70と鍔材80は共にねじ込み式であるため、棒材20の端部から所定位置までねじ込み操作を行ってスペーサ70と鍔材80を取り付けて芯材60を製作しているが、芯材60の製作に多くの手数と時間がかかって芯材60の製作効率が低い。
特に鍔材80は自由な回転を拘束するために、棒材20と鍔材80の間に楔体を打ち込んで固定しなければならず、鍔材80の取り付けに余分に時間がかかる。
<3>耐蝕性を高めるために、棒材20の外周面に亜鉛メッキ等の防錆処理を施すことが望ましい。
しかしながら、棒材20の外周面が平滑面ではなく、ねじ溝が形成されていることからメッキ垂れが生じ易い。
棒材20にメッキ垂れを生じていると鍔材80等のねじ込みができず、芯材60の製作が不能となる。
【0006】
本発明は以上の点に鑑みて成されたもので、その目的とするところは、芯材の構成部品点数を削減し、防錆処理を施した棒材への取り付けも可能な小口径場所打ち杭用芯材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、杭孔内に挿入して使用し、杭構内に充填した固結材と付着する棒材を具備した小口径場所打ち杭用芯材であって、外周面に少なくとも凹部または凸部の何れか一種の要素を有する棒材と、前記棒材の外周面に該棒材の側方から挟み込んで装着可能な複合鍔材とを具備し、前記複合鍔材が棒材に抱持可能な一対の分割筒と、前記各分割筒の外周面で周方向に沿って突設した鍔材と、前記分割筒の外周面の軸方向に沿って放射状に突設した複数の間隔保持部とを具備し、前記複合鍔材を樹脂で一体成形したものである。
本発明の他の形態においては、前記一対の分割筒の内周面に前記棒材の外周面の凹部または凸部と嵌合可能な形状に形成している。
本発明の他の形態においては、前記一対の分割筒の内周面に突条を形成し、該突条を前記棒材の平らな外周面と当接して棒材に対する複合鍔材の自由回転を規制してもよい。
本発明の他の形態においては、前記前記各分割筒の外周面に周方向に沿って突設した一対の分割鍔により鍔材を構成する。
本発明の他の形態においては、前記各分割筒の外周面に突出した鍔材と間隔保持部との交錯部を一体化してある。
本発明の他の形態においては、前記一対の分割筒の軸方向に沿った両端縁に一対のフランジを有し、一方のフランジ間にヒンジを形成している。
本発明の他の形態においては、前記フランジの最大張出寸法を間隔保持部の最大張出寸法と同じ寸法に合わせて形成する。
本発明の他の形態においては、前記複合鍔材が分割筒の開口部を閉合する閉合手段をさらに具備する。
前記複合鍔材の閉合手段は結束ベルトまたは分割筒の他方に形成した他方の一対のフランジに設けた係止爪と係止穴の係止構造の何れか一種、または両方の組合せを採用してもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明は少なくともつぎのひとつの効果を奏する。
<1>本発明では一種類の挟み込み式の複合鍔材により従来のスペーサと鍔材を代用することができる。
したがって、本発明では、芯材の構成部品点数を削減して、芯材の製作作業の効率化を図ることができる。
<2>複合鍔材が挟み込み式であるので、棒材の側方から複合鍔材の開口部を挟み込んで閉じるだけの簡単な作業で以て、複合鍔材をねじ込まずに棒材の任意の位置に取り付けることができる。
<3>複合鍔材は非ねじ込み込み式であるため、亜鉛メッキ等の防錆処理を施した棒材表面にメッキ垂れが生じていても、複合鍔材を棒材の任意の位置に装着することができる。
<4>フランジの最大張出寸法を間隔保持部の最大張出寸法に合わせることで、フランジに間隔保持機能を付与することができる。
<5>一対の分割筒の内周面に形成した突条を棒材の平らな外周面と当接することで、棒材に対する複合鍔材の自由回転を規制することができる。
<6>鍔材と間隔保持部の交錯部を一体化することで、鍔材と間隔保持部の強度を増強することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る小口径場所打ち杭用芯材の説明図
図2】複合鍔材の全体斜視図
図3】展開した複合鍔材の全体斜視図
図4】芯材の製作方法の説明図で、(A)は展開した複合鍔材を棒材に外装する取付時の説明図、(B)は棒材に複合鍔材を棒材に固定した芯材の説明図
図5】展開した複合鍔材の説明図
図6】従来の展開した小口径場所打ち杭用芯材の説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照しながら本発明について詳細に説明する。
【0011】
<1>小口径場所打ち杭用芯材
図1~5を参照して説明すると、小口径場所打ち杭用芯材(以下「芯材」という)10は、杭孔50に内挿する異径棒鋼等の棒材20と、棒材20の外周面に、該棒材20の側方から挟み込んで装着可能な複合鍔材30とを具備する。
【0012】
<2>棒材
棒材20には、例えば公知の節とリブを有する異形鉄筋、異形棒鋼等の棒鋼他に、外周面に段や窪みを有する段付き鋼管、斜め段付き鋼管、ディンプル鋼管等の鋼管を使用できる。棒材20は外周面に少なくとも凹部または凸部の何れか一種の要素を有していれば使用可能である。
本例では棒材20が外周面にらせん状のおねじ21を形成したねじ鋼棒である形態について説明する。
【0013】
棒材20は表面が防錆未処理の鋼材であることの他に、外周面に防錆処理を施した鋼材が使用可能である。
防錆材料としては、亜鉛メッキ等の公知のメッキ材を使用できる。
本発明では複合鍔材30が非螺着式であるため、棒材20の外周面にメッキ垂れを生じていても複合鍔材30の取付けが可能である。
【0014】
<3>複合鍔材
複合鍔材30の説明にあたり、「軸方向」とは棒材20の軸方向と平行な方向を指し、「周方向」とは棒材20の周方向と平行な方向を指す。
【0015】
図2,3を参照して説明すると、複合鍔材30は鍔機能と間隔保持機能を併有した複合材であり、樹脂等で一体成形してある。
複合鍔材30は棒材20に外装して抱持可能な一対の分割筒31,31と、分割筒31,31の中央外周面で周方向に沿って突設した分割鍔23a,32aからなる鍔材32と、分割筒31,31の外周面で軸方向に沿って突設した複数の間隔保持部33と、分割筒31,31の開口部を閉合する閉合手段とを具備する。
【0016】
<3.1>分割筒
分割筒31,31は棒材20の外周面に外装可能な筒体を軸方向に分割した一対の半筒体である。
【0017】
<3.1.1>フランジ
各分割筒31,31の軸方向に沿った両端縁には外方ヘ向けて屈曲したフランジ31a,31bを有し、分割筒31,31を閉じたときに相対向する一対のフランジ31a,31a同士及び一対のフランジ31b,31b同士が接面可能である。
【0018】
<3.1.2>ヒンジ
本例では一方のフランジ31b,31bの間がヒンジ31cを介して一体に連結していて、分割筒31,31はヒンジ31cを中心に開閉可能である。
【0019】
なお、一対の分割筒31,31はヒンジ31cを設けずに各分割筒31,31を分離独立した形態で構成してもよい。
【0020】
<3.1.3>分割筒の内周面
分割筒31,31の内周面は、棒材20の外周面の凹部または凸部の形状と嵌合可能な形状を呈する。
分割筒31,31の内周面を棒材20の外周面の凹凸形状に合わせた形状にするのは、棒材20に外装したときに、複合鍔材30が棒材20の軸方向に向けてスライド不能に取り付けるためである。
本例では、らせん状のおねじ21を形成した棒材20の外周面にあわせて、分割筒31,31の内周面にらせん状のめねじ31dを形成した形態を示している。
【0021】
さらに図5に示すように、分割筒31,31の内周面のめねじ31dの一部に軸方向に沿って突出した突条31h,31hを形成し、この突条31h,31hを図1に示した棒材20の外周面に軸方向に沿って形成した平らな側面22に当接させて挟み込むことで、棒材20に対する複合鍔材30の自由回転を抑止することができる。
【0022】
<3.2>鍔材
各分割筒31,31の中央外周面には、分割鍔32a,32aを突設していて、各分割筒31,31を閉合したときに分割鍔32a,32aにより連続した環状の鍔材32を形成する。
周方向に沿って顎材32は、固結材51に対する付着力を増大させるために機能する突起物である。
【0023】
<3.2.1>鍔材の形状
本例では鍔材32の立体形状が六角ナットを呈する形態について示すが、鍔材32の立体形状は、特に制約はないが、六角形のナット形状以外に円盤形や六角形以外の多角形でもよい。
鍔材32の突出寸法や軸方向の厚さは使途等により適宜選択する。
【0024】
鍔材32の突出寸法は間隔保持部33の突出寸法(または杭孔50の径)より小さい寸法関係にある。これは鍔材32によって杭孔50の空間を閉塞させないためである。
【0025】
<3.3>間隔保持部
分割筒31,31の外周面には軸方向に沿って放射状に突出する複数の間隔保持部33が突設してある。
複数の間隔保持部33は複合鍔材30に間隔保持機能(センタリング機能)を付与するための板状の突条物である。
図1,2に示すように間隔保持部33は杭孔50内での移動がし易いように半円形を呈している。
さらに各フランジ31a,31bの最大張出寸法を、半円形の間隔保持部33の最大張出寸法と同じ寸法に合わせることで、各フランジ31a,31bにも間隔保持機能を付与することができる。
【0026】
<3.4>鍔材と間隔保持部の寸法関係
棒材20の間隔保持機能を有する間隔保持部33および各フランジ31a,31bの最大突出寸法は、杭孔50とほぼ同径である。
間隔保持部33は鍔材32よりも大径である。
【0027】
<3.5>鍔材と間隔保持部の交錯部を一体化した理由
各分割筒31,31の外周面に突出した鍔材32と間隔保持部33との交錯部を一体化している。
鍔材32と間隔保持部33との交錯部を一体化したのは、互いに補強し合って鍔材32と間隔保持部33の強度が増強されるからである。
例えば鍔材32と間隔保持部33とを一体化させずに離隔して交錯させることも可能であるが、鍔材32と間隔保持部33を分離して形成すると、鍔材32と間隔保持部33の相互間での補強効果は得られない。
【0028】
<4>閉合手段
図2,3を参照して説明すると、分割筒31,31の閉合手段としては、例えば公知の樹脂製の結束ベルト34を分割筒31,31の外周に巻き掛けて閉合することができる。
結束ベルト34が複合鍔材30から外れないように、各フランジ31a,31bと間隔保持部33の一部に開設した挿通孔31e内に結束ベルト34を挿通させて結束するとよい。
【0029】
さらに分割筒31,31の閉合手段としては、分割筒31,31の他方に形成した他方の一対のフランジ31b,31bに、係止爪31fと係止穴31gをそれぞれ形成する。
係止爪31fは係止穴31gに挿し込んで係止可能であり、分割筒31,31の間を閉合できる。
【0030】
分割筒31,31の閉合手段としては、上記した閉合手段の何れか一種または複数種を組み合わせて適用することが可能である。
さらに分割筒31,31の閉合手段は、上記の例示手段に限定されず、公知の閉合手段が適用可能である。
【0031】
なお、閉合手段は必須ではなく、市販のビニールテープ等を巻き付けて代用できる場合は、既述した併合手段を省略してもよい。
【0032】
<5>複合鍔材の製作
既述した複合鍔材30は形状および構造が簡単であるため、例えば、樹脂射出成形等の合成樹脂の成形加工により容易に製作することでできる。
【0033】
[複合鍔材の使用方法]
つぎに複合鍔材30の使用方法について説明する。
【0034】
1.芯材の製作
図4を参照して芯材10の製作方法について説明する。
【0035】
<1>複合鍔材の取付け
図4(A)に示すように、本発明では、複合鍔材30が口開き可能な構造になっているので、従来のように棒材20の端部から回転操作してねじ込む作業は一切不要である。
本発明では、ヒンジ31cを中心に分割筒31,31を口開き状態とした複合鍔材30を準備する。棒材20の側方から複合鍔材30を構成する分割筒31,31の開口部を挟み込んで閉じるだけの簡単な作業で以て、複合鍔材30を棒材20の任意の位置に外装することができる。
【0036】
棒材20に挟み込む際に、分割筒31,31の内周面に形成しためねじ31dを棒材20の外周面に形成したおねじ21に嵌合させる。
分割筒31のめねじ31dと棒材20のおねじ21は、回転によりねじ込むためのものではなく、互いに軸方向に沿って変位させずに定位置に位置決めするために機能する。
したがって、本発明では、亜鉛メッキ等の防錆処理を施して棒材20の外周面にメッキ垂れが生じていても、複合鍔材30を棒材20の任意の位置に装着することができる。
【0037】
<2>分割筒の閉合
一対の分割筒31,31を閉じる際に、係止爪31fを係止穴31gに係止させて一対のフランジ31b,31bを接面させて閉合する。
さらに、分割筒31,31の外周に単数または複数の結束ベルト34を巻き付けて分割筒31,31を開口不能に結束する。
【0038】
従来は棒材に対してスペーサと鍔材の2種類の独立部材を個別に取り付けていた。
これに対して、本発明では、鍔材機能とスペーサ機能を併有した複合鍔材30のみで対応でき、しかも複合鍔材30が挟み込み式であるので、棒材20にねじ込む必要がない。
したがって、本発明では、芯材10の構成部品点数を削減できるうえに、芯材の製作コストも削減できる。
最終的に作業員の手数と作業時間を大幅に削減して芯材10の製作(組立て)作業を効率化できる。
【0039】
2.複合鍔材の機能
図1を参照して固結材51に埋設した複合鍔材30の各種機能について説明する。
【0040】
<1>間隔保持機能
複合鍔材30は軸方向に沿った複数の間隔保持部33およびフランジ31a,31bが間隔保持機能を発揮する。
したがって、未硬化の固結材51を充填した杭孔50内に芯材10を内挿したときに複合鍔材30の径方向に突出した間隔保持部33およびフランジ31a,31bが間隔保持機能を発揮して棒材20を杭孔50の軸心に近い位置に配置できる。
【0041】
<2>鍔材による作用
未硬化の固結材51を充填した杭孔50内に芯材10を内挿したときに、複合鍔材30は径方向に張り出した鍔材32が固結材51との付着力を増すため、棒材20と固結材51との間の付着強度が増大する。
【0042】
<3>複合鍔材が口開きをしない理由
複合鍔材30が具備する閉合手段は、複合鍔材30を棒材20に仮固定するためのものである。
複合鍔材30は硬化した固結材51に拘束されることで棒材20に固定するものである。
したがって、芯材10と固結材51との間に離間力が作用しても、硬化した固結材51が複合鍔材30を拘束するので、分割筒31,31が口開きをする心配がない。
【符号の説明】
【0043】
10・・・・・小口径場所打ち杭用芯材(芯材)
20・・・・・棒材
21・・・・・おねじ
22・・・・・側面
30・・・・・複合鍔材
31,31・・分割筒
31a・・・・一方のフランジ
31b・・・・他方のフランジ
31c・・・・ヒンジ
31d・・・・めねじ
31e・・・・挿通孔
31f・・・・係止爪
31g・・・・係止穴
31h・・・・突条
32・・・・・鍔材
33・・・・・間隔保持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6