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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022129803
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】送風機付寝具
(51)【国際特許分類】
   A47C 21/04 20060101AFI20220830BHJP
   A47G 9/02 20060101ALI20220830BHJP
   A47G 9/10 20060101ALI20220830BHJP
   A47C 27/00 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
A47C21/04 A
A47G9/02 G
A47G9/10 P
A47C27/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021028633
(22)【出願日】2021-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】595084807
【氏名又は名称】株式会社アテックス
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(72)【発明者】
【氏名】横田 慎太郎
【テーマコード(参考)】
3B096
3B102
【Fターム(参考)】
3B096AB03
3B096AC12
3B102AA05
3B102BA04
3B102BA12
(57)【要約】
【課題】 軽量で柔軟性及び快適性に優れた送風機付寝具を提供する。
【解決手段】 寝具本体2と、寝具本体2に設けられた送風機3とを含む送風機付寝具1である。寝具本体2は、少なくとも1つの柱形状の寝具エレメント4を含んでいる。送風機3は、寝具エレメント4の少なくとも1つに設けられている。寝具エレメント4は、送風機3が作動したときに膨張する外カバー部材5を有することで、寝具エレメント4の内部に空気を流通させている。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
寝具本体と、前記寝具本体に設けられた送風機とを含む送風機付寝具であって、
前記寝具本体は、少なくとも1つの柱形状の寝具エレメントを含み、
前記送風機は、前記寝具エレメントの少なくとも1つに設けられ、
前記寝具エレメントは、前記送風機が作動したときに膨張する外カバー部材を有する、
送風機付寝具。
【請求項2】
前記寝具エレメントは、前記外カバー部材の内部に配された中材を有し、
前記中材は、クッション部材と、前記クッション部材の内部に配された空気流通層とを含む、請求項1に記載の送風機付寝具。
【請求項3】
前記外カバー部材は、通気性を有さない布材から形成される、請求項1又は2に記載の送風機付寝具。
【請求項4】
前記寝具エレメントは、前記送風機が設けられない少なくとも1つの第1エレメントと、前記送風機が設けられる少なくとも1つの第2エレメントとを含み、
前記外カバー部材は、前記第1エレメントと前記第2エレメントとを一体的に覆う、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の送風機付寝具。
【請求項5】
前記第1エレメントは、長手方向の端部である一端及び他端の少なくとも一方に、空気を排出する通気部が設けられ、
前記第2エレメントは、長手方向の一方の端部である基端が前記第1エレメントの前記一端と前記他端との間に連結され、かつ、他方の端部である先端に前記送風機が設けられる、請求項4に記載の送風機付寝具。
【請求項6】
前記寝具エレメントは、1つの前記第1エレメントと、2つの前記第2エレメントとを含む、請求項4又は5に記載の送風機付寝具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に空気を流通させる送風機付寝具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、三次元網状構造体により構成された寝具が知られている。例えば、下記特許文献1には、中空線条から構成されたスプリング構造の三次元網状構造体により構成されたマットレスを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-245287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のマットレスは、平板状の三次元網状構造体に熱や湿気が蓄積し、快適性に劣るという問題があった。また、特許文献1のマットレスは、三次元網状構造体の構造上、一定以上の重量を有することから、マットレス以外の寝具として用いることができなかった。さらに、特許文献1のマットレスは、三次元網状構造体の構造上、一定以上の硬度を有することから、柔軟性に関しても改善の余地があった。
【0005】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、軽量で柔軟性及び快適性に優れた送風機付寝具を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、寝具本体と、前記寝具本体に設けられた送風機とを含む送風機付寝具であって、前記寝具本体は、少なくとも1つの柱形状の寝具エレメントを含み、前記送風機は、前記寝具エレメントの少なくとも1つに設けられ、前記寝具エレメントは、前記送風機が作動したときに膨張する外カバー部材を有することを特徴とする。
【0007】
本発明の送風機付寝具において、前記寝具エレメントは、前記外カバー部材の内部に配された中材を有し、前記中材は、クッション部材と、前記クッション部材の内部に配された空気流通層とを含むのが望ましい。
【0008】
本発明の送風機付寝具において、前記外カバー部材は、通気性を有さない布材から形成されるのが望ましい。
【0009】
本発明の送風機付寝具において、前記寝具エレメントは、前記送風機が設けられない少なくとも1つの第1エレメントと、前記送風機が設けられる少なくとも1つの第2エレメントとを含み、前記外カバー部材は、前記第1エレメントと前記第2エレメントとを一体的に覆うのが望ましい。
【0010】
本発明の送風機付寝具において、前記第1エレメントは、長手方向の端部である一端及び他端の少なくとも一方に、空気を排出する通気部が設けられ、前記第2エレメントは、長手方向の一方の端部である基端が前記第1エレメントの前記一端と前記他端との間に連結され、かつ、他方の端部である先端に前記送風機が設けられるのが望ましい。
【0011】
本発明の送風機付寝具において、前記寝具エレメントは、1つの前記第1エレメントと、2つの前記第2エレメントとを含むのが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の送風機付寝具において、寝具本体は、少なくとも1つの柱形状の寝具エレメントを含んでいる。このような寝具本体は、寝具エレメントが柱形状であるので、軽量で柔軟性に優れている。
【0013】
本発明の送風機付寝具において、送風機は、寝具エレメントの少なくとも1つに設けられている。このような送風機は、寝具エレメントの内部に空気を流通させることができ、寝具エレメントの内部に蓄積された熱や湿気を除去することができるので、送風機付寝具の快適性を向上させることができる。
【0014】
本発明の送風機付寝具において、寝具エレメントは、送風機が作動したときに膨張する外カバー部材を有している。このような寝具エレメントは、膨張する外カバー部材により、空気の流通を視覚的に認識することができ、送風機付寝具の快適性をより向上させることができる。また、このような外カバー部材は、膨張して空気を流通させているので、流通抵抗が小さく、小型の送風機で多くの空気を流通させることができ、送風機付寝具の軽量化に役立つ。このため、本発明の送風機付寝具は、軽量で柔軟性及び快適性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の送風機付寝具の一実施形態を示す斜視図である。
図2図1の送風機付寝具の平面図である。
図3】送風機が作動したときの送風機付寝具の斜視図である。
図4図2のA-A線の断面図である。
図5】送風機が作動したときの図4の断面図である。
図6図2のB-B線の断面図である。
図7図2のC-C線の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき詳細に説明される。
図1は、本実施形態の送風機付寝具1を示す斜視図であり、図2は、図1の送風機付寝具1の平面図である。図1及び図2に示されるように、本実施形態の送風機付寝具1は、寝具本体2と、寝具本体2に設けられた送風機3とを含んでいる。
【0017】
本実施形態の寝具本体2は、少なくとも1つの柱形状の寝具エレメント4を含んでいる。このような寝具本体2は、寝具エレメント4が柱形状であるので、軽量で柔軟性に優れている。このため、本実施形態の送風機付寝具1は、全体の重量を低減させることができ、敷布団、掛布団等の布団、枕、抱き枕等、多用途の寝具として使用することができる。
【0018】
図3は、送風機3が作動したときの送風機付寝具1の斜視図である。図1ないし図3に示されるように、本実施形態の送風機3は、寝具エレメント4の少なくとも1つに設けられている。このような送風機3は、寝具エレメント4の内部に空気を流通させることができ、寝具エレメント4の内部に蓄積された熱や湿気を除去することができるので、送風機付寝具1の快適性を向上させることができる。
【0019】
本実施形態の寝具エレメント4は、送風機3が作動したときに膨張する外カバー部材5を有している。このような寝具エレメント4は、膨張する外カバー部材5により、空気の流通を視覚的に認識することができ、送風機付寝具1の快適性をより向上させることができる。また、このような外カバー部材5は、膨張して空気を流通させているので、流通抵抗が小さく、小型の送風機3で多くの空気を流通させることができ、送風機付寝具1の軽量化に役立つ。このため、本実施形態の送風機付寝具1は、軽量で柔軟性及び快適性に優れている。
【0020】
ここで、柔軟性とは、柔らかさを意味し、表面を押したときの硬度で評価される指標であり、快適性とは、就寝時の熱や湿気、圧迫感、肌触り等から使用者により総合的に評価される指標である。
【0021】
より好ましい態様として、外カバー部材5は、通気性を有さない布材から形成されている。通気性を有さない布材としては、例えば、再生繊維、合成樹脂繊維、天然繊維、混紡等を防風加工したものが挙げられる。再生繊維としては、例えば、セルロース、レーヨン等が挙げられる。合成樹脂繊維としては、例えば、ポリエステル、ナイロン等が挙げられる。天然繊維としては、例えば、木綿、絹等が挙げられる。混紡としては、例えば、ポリエステルと木綿との混紡が挙げられる。
【0022】
防風加工としては、例えば、ラミネート加工、ダウンプルーフ加工等が挙げられる。本実施形態の外カバー部材5は、レーヨンをダウンプルーフ加工したものが用いられている。外カバー部材5は、例えば、ポリエステルと木綿との混紡をダウンプルーフ加工したものが用いられてもよい。このような外カバー部材5は、送風機3が作動したときに空気を効率的に流通させることができ、送風機付寝具1の軽量化に役立つ。
【0023】
外カバー部材5は、例えば、伸縮性を有さない布材から形成されている。この場合、外カバー部材5は、例えば、送風機3が作動していないときに、しわやたるみを伴って収縮した状態である。このような外カバー部材5は、送風機3が作動して膨張したときの形状を特定することが容易であり、また、小型の送風機3により容易に膨張することができる。なお、外カバー部材5は、例えば、伸縮性を有する布材から形成されていてもよい。
【0024】
外カバー部材5は、線ファスナ、面ファスナ等の開口部形成手段(図示省略)により着脱自在に構成されるのが望ましい。開口部形成手段は、例えば、寝具エレメント4の長手方向に沿って延びている。このような外カバー部材5は、取り外して洗濯することができ、送風機付寝具1の快適性を向上させることができる。
【0025】
外カバー部材5は、開口部形成手段が線ファスナの場合、開口部形成手段を覆う保護帯片(図示省略)を有するのが望ましい。このような外カバー部材5は、送風機付寝具1の使用時に使用者が線ファスナの硬質部分に接触するおそれがなく、送風機付寝具1の快適性をより向上させることができる。
【0026】
図4は、図2のA-A線の断面図であり、図5は、送風機3が作動したときの図4の断面図である。図4では、外カバー部材5に生じるしわやたるみが模式的に示されている。図4及び図5に示されるように、本実施形態の寝具エレメント4は、外カバー部材5の内部に配された中材14を有している。中材14は、例えば、外カバー部材5に包囲され、寝具エレメント4の芯材を構成している。
【0027】
本実施形態の中材14は、クッション部材6を含んでいる。クッション部材6は、例えば、合成わた、天然わた等から形成されている。合成わたとしては、例えば、ポリエステル製樹脂わた等が挙げられる。天然わたとしては、例えば、木綿等が挙げられる。このようなクッション部材6は、柔軟性及び通気性に優れている。クッション部材6は、このような態様に限定されるものではなく、柔軟性及び通気性を有するものであれば、例えば、発泡ウレタンやビーズ等であってもよい。
【0028】
クッション部材6の外観形状は、例えば、送風機3が作動していないときの寝具エレメント4の外観形状に対して、略同一形状である。クッション部材6の外観形状は、送風機3が作動したときの寝具エレメント4の外観形状に対して、略相似形状であるのが望ましい。本実施形態のクッション部材6は、円筒状に形成されている。このようなクッション部材6は、優れた柔軟性と快適性を提供することができる。
【0029】
本実施形態の中材14は、クッション部材6を覆う内カバー部材7を含んでいる。内カバー部材7は、外カバー部材5とクッション部材6との間に配されるのが望ましい。内カバー部材7は、例えば、ポリエステル、ナイロン等の合成樹脂から形成されている。内カバー部材7は、クッション部材6よりも大きい通気性を有するのが望ましい。このような内カバー部材7は、柔軟性に優れたクッション部材6を保護して耐久性を向上させるとともに、クッション部材6の良好な通気性に影響を及ぼすおそれがない。
【0030】
内カバー部材7は、例えば、繊維製立体構造物等のメッシュ部材により形成されている。繊維製立体構造物としては、例えば、立体構造編物、立体構造織物等が挙げられる。立体構造編物としては、例えば、三次元メッシュ構造、ダブルラッセル構造等が挙げられる。立体構造織物としては、例えば、三次元多層構造織物等が挙げられる。このような内カバー部材7は、クッション部材6の通気性に影響を及ぼすことなく、クッション部材6を保護して耐久性を向上させることに役立つ。
【0031】
本実施形態の中材14は、クッション部材6の内部に配された空気流通層8を含んでいる。空気流通層8は、空気が流通可能な空間又は空気の流通抵抗が小さい材料により形成されるのが望ましい。本実施形態の空気流通層8は、繊維製立体構造物又は三次元網状構造物により形成された空気流通部材15である。
【0032】
繊維製立体構造物としては、例えば、立体構造編物、立体構造織物等が挙げられる。立体構造編物としては、例えば、三次元メッシュ構造、ダブルラッセル構造等が挙げられる。立体構造織物としては、例えば、三次元多層構造織物等が挙げられる。三次元網状構造物は、例えば、三次元状に不規則に絡み合った樹脂線材により形成された構造物である。このような空気流通部材15は、送風機3が作動したときの空気の流路を確保しつつ、適度な自己形状保持力を有し、中材14の形状を保持することができる。
【0033】
本実施形態の空気流通部材15は、中実の円柱状に形成されている。空気流通部材15は、このような態様に限定されるものではなく、例えば、中空の円筒状であってもよく、また、多角柱状や多角筒状等であってもよい。空気流通部材15が中空の場合は、空気流通層8が空間である場合と同様、流通抵抗を小さくすることができる。空気流通部材15は、寝具エレメント4の外観形状に対して、略相似形状であるのが望ましい。
【0034】
空気流通部材15は、例えば、三次元網状構造物を構成する樹脂線材を押出成形することで形成される。空気流通部材15は、三次元状に不規則に絡み合った状態に押し出された樹脂線材を冷却する際に、全体として柱形状に成形されるのが望ましい。空気流通部材15は、例えば、円柱状であれば、押し出された樹脂線材が円柱状に冷却固化される。このような空気流通部材15は、追加工の必要がなく、生産性を向上させることができる。
【0035】
図5に示されるように、本実施形態の外カバー部材5は、送風機3が作動したときに膨張して、送風層9を形成している。このような送風層9は、流通抵抗が小さく、小型の送風機3で多くの空気を流通させることができる。また、この送風層9は、使用者に接触する外カバー部材5により形成されているので、使用者から発する熱や湿気を効率よく排出することができる。
【0036】
なお、本実施形態の送風層9は、送風機3の作動が停止したときに、図4の状態まで収縮するものである。すなわち、本実施形態の外カバー部材5は、送風機3が作動していないときに、しわやたるみを有しており、送風機3の作動により吹流しのように内部に空気が流入することで、しわやたるみが無くなり、送風層9が形成される。
【0037】
送風層9は、内カバー部材7及びクッション部材6を介して空気流通層8と空気の流通が可能な構成であるのが望ましい。このような送風層9は、使用者や外的要因等により部分的に閉塞したとしても、空気流通層8を介して閉塞部分よりも下流側に空気を流通させることができる。このため、本実施形態の寝具エレメント4は、外部から部分的に圧縮されて送風層9が閉塞していたとしても、その下流側の外カバー部材5を膨張させることができ、送風機付寝具1の快適性を向上させることができる。
【0038】
図4及び図5に示されるように、寝具エレメント4は、好ましくは、外カバー部材5が膨張したときの外径d2が膨張していないときの外径d1の105%~125%である。ここで、外カバー部材5が膨張していないときの外径d1は、外カバー部材5と中材14とが接した状態で測定される。
【0039】
膨張したときの外径d2が膨張していないときの外径d1の105%以上であることで、十分な大きさの送風層9を確保することができる。膨張したときの外径d2が膨張していないときの外径d1の125%以下であることで、過度に膨張して使用者を圧迫することを抑制し、また、膨張させる送風機3の小型化にも役立つ。
【0040】
図5に示されるように、本実施形態の寝具エレメント4は、外カバー部材5が膨張したときの内径d3が中材14の外径d4の105%~125%である。この外カバー部材5の内径d3と中材14の外径d4との差が、送風層9の容積に関連する指標である。このような寝具エレメント4は、必要な容積の送風層9を確実に確保することができる。
【0041】
図1ないし図3に示されるように、寝具エレメント4は、少なくとも1つの、本実施形態では1つの第1エレメント10と、少なくとも1つの、本実施形態では2つの第2エレメント11とを含んでいる。これにより、本実施形態の寝具本体2は、全体としてΠ字状に形成されている。
【0042】
このような寝具エレメント4は、第1エレメント10及び第2エレメント11がそれぞれ柱形状であることから、敷布団、掛布団等の布団、枕、抱き枕等、多用途の寝具として使用することができる。なお、本明細書において、第1エレメント10の長手方向を左右方向、第2エレメント11の長手方向を前後方向と呼ぶ場合がある。
【0043】
寝具エレメント4の長手方向の端部は、例えば、第1エレメント10の左右方向の一端10a及び他端10bと、第2エレメント11の前後方向の基端11a及び先端11bとを含んでいる。寝具エレメント4は、第1エレメント10側が使用者の頭部側に、第2エレメント11の先端11b側が使用者の脚部側になるように使用されるのが望ましい。
【0044】
第1エレメント10は、長手方向の端部である一端10a及び他端10bの少なくとも一方に、空気を排出する通気部12が設けられるのが望ましい。このような第1エレメント10は、通気部12を介して内部の空気を排出することができるので、熱や湿気の蓄積を抑制し、優れた快適性を提供することができる。また、この通気部12は、排出された空気が使用者に直接当たることを抑制することができ、送風機付寝具1の快適性をより向上させることができる。
【0045】
図6は、図2のB-B線の断面図である。図6に示されるように、本実施形態の第1エレメント10には、送風機3が設けられていない。本実施形態の第1エレメント10は、一端10a及び他端10bに通気部12が設けられている。このような第1エレメント10は、使用者の頭部の近傍に送風機3が設けられていないため、静音性に優れている。
【0046】
図1ないし図3に示されるように、本実施形態の第2エレメント11は、長手方向の一方の端部である基端11aが第1エレメント10の一端10aと他端10bとの間に一体的に連結され、かつ、他方の端部である先端11bに送風機3が設けられている。
【0047】
このような第2エレメント11は、送風機3から外部の空気を第2エレメント11の内部に送り込むことで、外カバー部材5を膨張させ、空気の流入を可視化することができる。また、この第2エレメント11は、送風機3が使用者の頭部から最も遠い先端11bに設けられるので、静音性に優れている。
【0048】
本実施形態の外カバー部材5は、第1エレメント10と第2エレメント11とを一体的に覆っている。すなわち、本実施形態の外カバー部材5は、第1エレメント10に対応する部分と第2エレメント11に対応する部分とが一体的に連結されている。このため、第1エレメント10の送風層9と第2エレメント11の送風層9とは、互いに連通している。このような外カバー部材5は、第2エレメント11の先端11bに設けられた送風機3から送り込まれる空気により、第1エレメント10の外カバー部材5を膨張させることができ、送風機付寝具1の快適性をより向上させることができる。
【0049】
図7は、図2のC-C線の断面図である。図7に示されるように、外カバー部材5は、例えば、第2エレメント11の先端11bに送風機3を取り付けるため取付ワッシャー5aを有している。取付ワッシャー5aは、洗濯可能な素材で形成されるのが望ましく、例えば、樹脂により形成されている。このような外カバー部材5は、送風機3の取り付け、取り外しが容易であり、また、送風機3を取り外して外カバー部材5を洗濯するときに、外カバー部材5から取付ワッシャー5aを取り外す必要がないので、作業性に優れている。
【0050】
送風機3は、例えば、電動モーターにより回転する送風羽根(図示省略)と、電動モーター及び送風羽根を収容するケース3aと、送風機3を取付ワッシャー5aに取り付けるための固定リング3bとを含んでいる。ケース3aには、例えば、固定リング3bと協働して取付ワッシャー5aを挟持するための鍔状部3cが形成されている。このような送風機3は、取り付け、取り外しが容易であり、外カバー部材5を洗濯するときにも簡単に取り外すことができ、また、メンテナンス性にも優れている。
【0051】
送風機3は、図示省略の電線コード、コントローラ等を介して外部電源に接続されるのが望ましい。本実施形態の送風機3は、外部の空気を寝具エレメント4の内部に送り込む吸込ファンとして構成されている。このような送風機3は、寝具エレメント4の使用形態に応じて、適宜調整することができる。
【0052】
図6及び図7に示されるように、本実施形態のクッション部材6は、第1エレメント10の外カバー部材5の内部に配された第1クッション部材6Aと、第2エレメント11の外カバー部材5の内部に配された第2クッション部材6Bとを含んでいる。
【0053】
第1クッション部材6Aと第2クッション部材6Bとは、同一の材料から形成されるのが望ましい。このようなクッション部材6は、生産性を向上して、生産コストを低減することができる。なお、第1クッション部材6Aと第2クッション部材6Bとは、異なる材料から形成されていてもよい。
【0054】
本実施形態の内カバー部材7は、第1クッション部材6Aを覆う第1内カバー部材7Aと第2クッション部材6Bを覆う第2内カバー部材7Bとを含んでいる。第1内カバー部材7Aと第2内カバー部材7Bとは、例えば、縫製、溶着等の固定手段により、一体的に設けられている。このような内カバー部材7は、第1クッション部材6Aと第2クッション部材6Bとを一体的に取り扱うことができる。
【0055】
第1内カバー部材7Aは、第1クッション部材6Aの長手方向の端部を覆う第1内端7aを有するのが望ましい。本実施形態の第1内端7aは、第1エレメント10の一端10aと他端10bとに設けられている。このような第1内カバー部材7Aは、外カバー部材5が取り外された場合にも、第1クッション部材6Aを一体的にまとめて保護することができる。
【0056】
第1内端7aは、例えば、通気部12に隣接して配されている。これにより、外カバー部材5は、第1エレメント10の一端10a及び他端10bの形状を保持するための部材が不要となり、送風機付寝具1の軽量化に役立つ。
【0057】
第1内端7aの通気性は、第1内カバー部材7Aのその他の部分の通気性よりも大きいのが望ましい。第1内端7aは、例えば、メッシュ部材により形成されている。このような第1内カバー部材7Aは、第1内端7aでの空気の流通抵抗が小さく、第1内カバー部材7Aの内部に空気をスムーズに流通させることができる。
【0058】
第2内カバー部材7Bは、第2クッション部材6Bの長手方向の端部を覆う第2内端7bを有するのが望ましい。本実施形態の第2内端7bは、第2エレメント11の先端11bに設けられている。また、図示は省略されるが、第2内端7bは、第2エレメント11の基端11a(図1に示す)に設けられていてもよい。このような第2内カバー部材7Bは、外カバー部材5が取り外された場合にも、第2クッション部材6Bを一体的にまとめて保護することができる。
【0059】
第2エレメント11の先端11b側の第2内端7bは、例えば、送風機3の端部に対して距離Lを隔てて配されている。これにより、外カバー部材5は、第2エレメント11の先端11bにチャンバー5bを設けることができ、送風層9(図5に示す)をスムーズに形成することができる。
【0060】
第2内端7bの通気性は、第2内カバー部材7Bのその他の部分の通気性よりも大きいのが望ましい。第2内端7bは、例えば、メッシュ部材により形成されている。このような第2内カバー部材7Bは、第2内端7bでの空気の流通抵抗が小さく、第2内カバー部材7Bの内部に空気をスムーズに流通させることができる。
【0061】
本実施形態の空気流通層8は、第1クッション部材6Aの内部に配される部分と、第2クッション部材6Bの内部に配される部分とを含んでいる。空気流通層8が空気流通部材15で構成される場合、空気流通部材15は、第1クッション部材6Aの内部に配された第1空気流通部材15Aと、第2クッション部材6Bの内部に配された第2空気流通部材15Bとを含むのが望ましい。このような第1空気流通部材15A及び第2空気流通部材15Bは、クッション部材6を介して、又は、直接的に互いに連結されて、空気を流通させることができる。
【0062】
第1空気流通部材15Aと第2空気流通部材15Bとは、同一の材料から形成されるのが望ましい。このような空気流通部材15は、生産性を向上して、生産コストを低減することができる。なお、第1空気流通部材15Aと第2空気流通部材15Bとは、異なる材料から形成されていてもよい。
【0063】
図1ないし図3に示されるように、寝具本体2は、2つの第2エレメント11を連結するための連結部材13を含むのが望ましい。本実施形態の連結部材13は、2つの第2エレメント11の先端11b側を連結している。連結部材13は、例えば、帯状に形成された帯状部13aと、帯状部13aの長手方向の両側に形成されたリング状部13bとを含んでいる。
【0064】
本実施形態の連結部材13は、リング状部13bに第2エレメント11を挿入することで、2つの第2エレメント11を連結している。連結部材13は、非伸縮性の布材により形成されるのが望ましい。連結部材13は、例えば、ボタン、フック、面ファスナ等の固定部材(図示省略)により第2エレメント11に固定されていてもよい。このような連結部材13は、第2エレメント11の先端11bが予め定められた距離以上に離れることを抑制することができる。
【0065】
本実施形態のリング状部13bは、送風機3が作動して外カバー部材5が膨張したときの直径d2(図5に示す)を許容する大きさを有している。このような連結部材13は、送風層9(図5に示す)が小さくなることを抑制し、空気のスムーズな流通を阻害するおそれがない。
【0066】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施され得る。
【0067】
寝具本体2は、例えば、1つの寝具エレメント4から構成されていてもよい。この場合の寝具エレメント4は、例えば、長手方向の一端側に送風機3が設けられ、他端側に通気部12が設けられている。この場合の寝具本体2は、全体としてI字状、U字状、V字状、コの字状等に形成されるのが望ましい。
【0068】
寝具本体2は、例えば、2つの寝具エレメント4から構成されていてもよい。この場合の寝具エレメント4は、例えば、一方の寝具エレメント4に送風機3が設けられ、他方の寝具エレメント4に通気部12が設けられている。この場合の寝具本体2は、全体としてT字状、L字状等に形成されるのが望ましい。
【符号の説明】
【0069】
1 送風機付寝具
2 寝具本体
3 送風機
4 寝具エレメント
5 外カバー部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7