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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022129904
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】モータ装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 11/33 20160101AFI20220830BHJP
   H02K 5/14 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
H02K11/33
H02K5/14 Z
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021028774
(22)【出願日】2021-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000106944
【氏名又は名称】シナノケンシ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100135622
【弁理士】
【氏名又は名称】菊地 挙人
(72)【発明者】
【氏名】平地 栄二
(72)【発明者】
【氏名】吉田 尚正
(72)【発明者】
【氏名】小谷 雅幸
【テーマコード(参考)】
5H605
5H611
【Fターム(参考)】
5H605AA08
5H605BB05
5H605CC01
5H605EA09
5H605EC04
5H611BB01
5H611TT01
(57)【要約】
【課題】組付け作業性が向上したモータ装置を提供することを課題とする。
【解決手段】モータ本体と、前記モータ本体を収納したケースと、前記モータ本体の駆動を制御し、前記ケースに支持されたプリント基板と、前記モータ本体と前記プリント基板の間に配置され、前記モータ本体と前記プリント基板のグランドを接続するグランドバスバーと、を備え、前記グランドバスバーは、弾性を有した金属製の板状の棒体であり、前記モータ本体に固定された第1被接続部と、前記プリント基板に固定された第2被接続部と、前記第1被接続部から前記第2被接続部に延びた延在部と、を有し、前記プリント基板は、グランド接続用のスルーホールを有し、前記第1被接続部は、前記モータ本体にネジ止めされており、前記第2被接続部は、前記スルーホールに挿入されており、前記スルーホール内で弾性変形して係止している、モータ装置。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ本体と、
前記モータ本体を収納したケースと、
前記モータ本体の駆動を制御し、前記ケースに支持されたプリント基板と、
前記モータ本体と前記プリント基板の間に配置され、前記モータ本体と前記プリント基板のグランドを接続するグランドバスバーと、を備え、
前記グランドバスバーは、弾性を有した金属製の板状の棒体であり、前記モータ本体に固定された第1被接続部と、前記プリント基板に固定された第2被接続部と、前記第1被接続部から前記第2被接続部に延びた延在部と、を有し、
前記プリント基板は、グランド接続用のスルーホールを有し、
前記第1被接続部は、前記モータ本体にネジ止めされており、
前記第2被接続部は、前記スルーホールに挿入されており、前記スルーホール内で弾性変形して係止している、モータ装置。
【請求項2】
前記第2被接続部は、弾性変形可能であり互いに反対方向に膨出した第1膨出部及び第2膨出部を含み、
前記スルーホールは、長孔状であって、長手方向に延びて互いに対向した第1長縁及び第2長縁を有しており、
前記第1膨出部及び第2膨出部は、弾性復元力により、それぞれ前記第1長縁及び第2長縁を押圧している、請求項1のモータ装置。
【請求項3】
前記第1膨出部及び第2膨出部の一方は、前記第1膨出部及び第2膨出部の他方を、前記長手方向から挟むように2つ設けられている、請求項2のモータ装置。
【請求項4】
前記第1長縁及び第2長縁は、前記モータ本体の中心軸心の径方向に沿って延び、
前記第1膨出部及び第2膨出部は、前記モータ本体の中心軸心周りの周方向に沿って弾性変形可能である、請求項2又は3のモータ装置。
【請求項5】
前記延在部は、前記第1被接続部と前記第2被接続部の間に位置して前記ケースに部分的に保持された被保持部を有している、請求項1乃至4の何れかのモータ装置。
【請求項6】
前記被保持部は、弾性変形可能な第1係合片及び第2係合片を有し、
前記ケースは、互いに対向した2つの壁部を含む凹状部を有し、
前記被保持部は、前記第1係合片及び第2係合片が2つの前記壁部の間で弾性変形した状態で保持されている、請求項5のモータ装置。
【請求項7】
前記被保持部は、前記第1被接続部よりも前記第2被接続部に近い、請求項5又は6のモータ装置。
【請求項8】
前記延在部は、前記第1被接続部から前記モータ本体の径方向に沿って延びた第1連続部と、前記被保持部から前記モータ本体の周方向に沿って前記第2被接続部とは反対側に延びた第2連続部と、前記第1連続部と前記第2連続部の間で連続した折曲部と、を有し、
前記第1連続部及び第2連続部と前記折曲部は、前記モータ本体及び前記ケースには固定されておらず、
前記折曲部は、前記第1連続部及び第2連続部に対して立ち上がるように折り曲げられており、
前記折曲部と前記第1連続部の境界線と、前記折曲部と前記第2連続部の境界線とは、前記モータ本体の中心軸心を中心とする径方向に交差している、請求項5乃至7の何れかのモータ装置。
【請求項9】
前記第1連続部は、前記モータ本体の中心軸心を中心とする径方向に沿って延びており、
前記第2連続部は、前記モータ本体の中心軸心の周方向に沿って延びており、
前記第2連続部が延びた方向の長さは、前記第1連続部が延びた方向の長さよりも長い、請求項8のモータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モータ本体とプリント基板のグランドとを導通接続する手法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-017929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えばグランドバスバーを用いて、モータ本体とプリント基板のグランドとを導通接続することが考えられる。この場合、グランドバスバーとプリント基板の接続を、例えばネジ等を用いて行うと、組付け作業性が低下する可能性がある。
【0005】
そこで本発明は、組付け作業性が向上したモータ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、モータ本体と、前記モータ本体を収納したケースと、前記モータ本体の駆動を制御し、前記ケースに支持されたプリント基板と、前記モータ本体と前記プリント基板の間に配置され、前記モータ本体と前記プリント基板のグランドを接続するグランドバスバーと、を備え、前記グランドバスバーは、弾性を有した金属製の板状の棒体であり、前記モータ本体に固定された第1被接続部と、前記プリント基板に固定された第2被接続部と、前記第1被接続部から前記第2被接続部に延びた延在部と、を有し、前記プリント基板は、グランド接続用のスルーホールを有し、前記第1被接続部は、前記モータ本体にネジ止めされており、前記第2被接続部は、前記スルーホールに挿入されており、前記スルーホール内で弾性変形して係止している、モータ装置によって達成できる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、組付け作業性が向上したモータ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施例の送風装置の断面図である。
図2図2は、ケースを取り外した状態でのプリント基板周辺の斜視図である。
図3図3は、プリント基板を取り外した状態のグランドバスバー周辺の斜視図である。
図4図4A及び図4Bは、グランドバスバーの説明図である。
図5図5A及び図5Bは、グランドバスバーの説明図である。
図6図6は、グランドバスバーとプリント基板との組付け作業の説明図である。
図7図7は、グランドバスバーとプリント基板との組付け作業の説明図である。
図8図8は、グランドバスバーとプリント基板との組付け作業の説明図である。
図9図9は、第2被接続部が挿入されたスルーホールの拡大図である。
図10図10は、第2被接続部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本実施例の送風装置Aの断面図である。図1は、後述する回転軸42の中心軸心を含む断面を示している。送風装置Aは、ケース10及び20、モータM、モータMにより回転されるファンI、モータMに電気的に接続されたプリント基板PB等を含む。ファンIは、図1において簡略化して示してある。ケース10の一方側にモータM及びファンIが位置し、ケース10の他方側にケース20が取り付けられている。ケース10及び20は、それぞれ半ケース状に形成され、互いに組み付けられることにより、ケース10及び20内にプリント基板PBが収納されている。ケース10及び20は合成樹脂製であるが、これに限定されず、金属製であってもよい。
【0010】
モータMについて説明する。モータMは、ファンIとケース10との間に位置している。モータMは、コイル30と、ロータ40、ステータ50、ターミナル60、ハウジング80等を有している。ステータ50は、金属製であり詳しくは後述する。ステータ50の各ティース部には、それぞれコイル30が巻回されている。コイル30は、ステータ50に導通不能に支持されたターミナル60を介して、プリント基板PBと電気的に接続されている。プリント基板PBには、コイル30の通電状態を制御するための部品が実装されている。
【0011】
ロータ40は、回転軸42、ヨーク44、1つまたは複数の永久磁石46、を有している。回転軸42は、ハウジング80を貫通して回転可能に支持されており、具体的には、ハウジング80内で保持された軸受BBにより回転軸42は回転可能に支持されている。ヨーク44は、ハウジング80の外側で回転軸42に固定されており、略円筒状であり金属製である。ハウジング80は、略円筒形状の円筒部81と、円筒部81のプリント基板PB側の端部に円筒部81よりも外径が大きい円板状のフランジ部85とを有している。フランジ部85には、ターミナル60がゴム製のシール部SRを介して貫通している。また、ターミナル60は、プリント基板PBに設けられた逃げ孔を貫通し、導通部材65を介してプリント基板PBに導通接続されている。ヨーク44の内周側面には、1つまたは複数の永久磁石46が固定されている。永久磁石46は、ステータ50のティース部の外側に対向している。コイル30が通電されることにより、ステータ50のティース部が励磁され、これにより永久磁石46とティース部との間に磁気的吸引力及び反発力が作用し、ヨーク44、即ち、ロータ40はステータ50に対して回転する。このように、モータMはロータ40が回転するアウターロータ型のモータである。
【0012】
図2は、ケース20を取り外した状態でのプリント基板PB周辺の斜視図である。プリント基板PBは、フランジ部85と所定の距離を空けてケース10にネジPSにより固定されている。ターミナル60は、プリント基板PBの逃げ孔から貫通しており、ターミナル60の先端には、導通部材65の一端が溶接されている。導通部材65の他端は、プリント基板PBの導電パターンと導通接続している。また、プリント基板PBにはコネクタCが実装されている。ケース10とプリント基板PBとの間、詳細には、フランジ部85とプリント基板PBとの間には、グランドバスバー90が配置されている。
【0013】
図3は、プリント基板PBを取り外した状態のグランドバスバー90周辺の斜視図である。グランドバスバー90の一端は、ネジS9によりフランジ部85の底面に導通固定されている。グランドバスバー90の他端は、図2に示すように、プリント基板PBのスルーホールPhに挿入されてプリント基板PBのグランドに導通接続されている。グランドバスバー90は、弾性を有した金属製の板状の棒体であって、金属板をプレス加工することにより成形されており、弾性変形可能な厚みに成形されている。
【0014】
図4A図5Bは、グランドバスバー90の説明図である。尚、図5Aは、図4Bの矢印Aの方向から見たグランドバスバー90を示しており、図5Bは、図4Bの矢印Bの方向から見たグランドバスバー90を示している。グランドバスバー90は、第1被接続部91、第1連続部92、折曲部93、第2連続部94、被保持部95、第2被接続部96を含む。第1連続部92、折曲部93、第2連続部94、及び被保持部95は、延在部に相当する。
【0015】
第1被接続部91は薄い円板状であり、中央にネジS9が貫通する孔91hが形成されている。第1連続部92は、第1被接続部91から所定方向に直線状であって一定の幅で延びている。尚、図5Bに示すように、第1被接続部91と第1連続部92との境界には、段部91dが形成されており、第1連続部92は第1被接続部91よりも僅かに高い位置にある。
【0016】
折曲部93は、第1連続部92から異なる方向に連続しており、且つ第1連続部92及び第2連続部94に対して略90度に折り曲げられている。図4A及び図4Bには、折曲部93の折曲線L93を示している。折曲線L93は、第1連続部92と折曲部93との境界線上と、第2連続部94と折曲部93との境界線上に位置する。第2連続部94は、折曲部93から異なる方向に直線状に延びている。
【0017】
被保持部95は、第2連続部94から同一方向に直線状に一定の幅で延びている。被保持部95は、第2連続部94側から順に突出縁95a、係合片95b、嵌合孔95c、及び係合孔95dが設けられている。2つの突出縁95aは、被保持部95の両側の縁から僅かに外側に突出しており、被保持部95の長手方向に平行に延びている。2つの係合片95bは、被保持部95の両側の縁から斜め上方に延びている。具体的には、2つの係合片95bは根元部よりも先端部の方が互いに離れるように斜め上方に延びている。係合片95bの先端縁は、谷状に形成されているがこれに限定されない。嵌合孔95cは、円状であるがこれに限定されない。係合孔95dは、矩形状であるがこれに限定されない。第2被接続部96は、被保持部95から上方側に折り曲げられて直線状に延びている。係合孔95dは、被保持部95と第2被接続部96との境界に形成されている。
【0018】
図3に示すように、突出縁95a及び係合片95bは、ケース10のフランジ部85近傍に設けられた凹状部15aに係合している。凹状部15aは、対向した2つの壁部を有し、突出縁95a及び係合片95bは2つの壁部の間で係合している。具体的には、突出縁95aは、凹状部15aの対向した2つの壁部の一方の内側面の根元部近傍に当接している。凹状部15aの内面側には、係合片95bの先端が係合する窪み部が形成されている。詳細には、2つの係合片95bの先端が互いに接近するように、凹状部15aの2つの壁部によって弾性変形した状態で、係合片95bは凹状部15aに収容されている。2つの係合片95bは、自身の弾性復元力により、凹状部15aの2つの壁部を互いに引き離すように押圧する。これにより、係合片95bは凹状部15aから脱落しないように保持されている。
【0019】
嵌合孔95cには、ケース10の凹状部15aの近傍に設けられた円柱状の嵌合突起15cが嵌合している。また、係合孔95dには、ケース10の嵌合突起15cの近傍に設けられた直方体状の係合突起15dが係合している。このようにして、被保持部95は、ケース10に固定され、ケース10に対するグランドバスバー90の位置ずれを抑制している。
【0020】
第2被接続部96は、膨出部96aと、膨出部96aを幅方向から挟む2つの膨出部96bと、を含む、所謂プレスフィットに相当する。膨出部96aは第2被接続部96の厚み方向の一方側に突出し、膨出部96bは第2被接続部96の厚み方向の反対側に突出している。膨出部96aは、膨出部96aが突出した方向とは反対方向に弾性変形可能であり、同様に、膨出部96bも膨出部96bが突出した方向とは反対方向に弾性変形可能である。膨出部96aと2つの膨出部96bの一方との間には、第2被接続部96の幅方向に隙間がある。膨出部96aと他方の膨出部96bとの間にも同様に隙間がある。即ち、膨出部96aと2つの膨出部96bとの合計の幅は、第2被接続部96全体の幅よりも狭い。即ち、膨出部96a及び96bのそれぞれの幅は細い。これにより、膨出部96a及び96bは弾性変形か容易となっている。尚、第2被接続部96の先端は、半円形の薄板状である。
【0021】
次に、グランドバスバー90とプリント基板PBとの組付け作業について説明する。図6図7、及び図8は、グランドバスバー90とプリント基板PBとの組付け作業の説明図である。最初に、図3に示すように、グランドバスバー90の突出縁95a及び係合片95bを凹状部15aの2つの壁部の間に挿入して保持させつつ、嵌合孔95c及び係合孔95dのそれぞれに嵌合突起15c及び係合突起15dを挿入させる。このようにグランドバスバー90の被保持部95をケース10に保持させるためには、特別な治具などは不要であるため、組付け作業性が向上している。
【0022】
次に、ネジS9により第1被接続部91をフランジ部85に固定する。次に、プリント基板PBを、プリント基板PBの貫通穴にターミナル60を挿入し、プリント基板PBのスルーホールPhに第2被接続部96を挿入して、プリント基板PBをグランドバスバー90の上部に配置する。ここで、第2被接続部96の膨出部96a及び96bが弾性復元力により、スルーホールPhの内面を押圧することにより、膨出部96a及び96bはスルーホールPhの内側面に露出したグランドと導通接続することができる。このように、第2被接続部96とプリント基板PBのグランドとの導通接続の際にも、ネジ等の固定部材が不要であり、組付け作業性が向上している。
【0023】
次に、プリント基板PBとグランドバスバー90との導通接続性の確認試験を行い、問題がない場合には、図6に示すように、他端がプリント基板PBに予め取り付けられた導通部材65の一端と、ターミナル60の先端とを溶接する。次に、プリント基板PBと導通部材65との導通接続性の確認試験を行い、問題がない場合には、図7に示すようにプリント基板PBをネジPSによりケース10に固定する。その後に、ケース10にケース20を組み付ける。図8は、ケース10にケース20を組み付けた後のグランドバスバー90及びプリント基板PB周辺を示した断面図である。
【0024】
例えば、第2被接続部96とプリント基板PBのグランドとの導通接続の確認試験において、プリント基板PBに何らかの異常があった場合、グランドバスバー90からプリント基板PBを容易に取り外すことができ、プリント基板PBの交換作業性も向上している。
【0025】
次に、グランドバスバー90の振動吸収性について説明する。送風装置Aでは、モータMの振動がグランドバスバー90にも伝わる。ここで、モータMの振動は、主に回転軸42の中心軸心の方向の振動と、回転軸42の中心軸心を中心とした周方向の振動から構成される。例えば図4Aに示すように、回転軸42の軸心方向ADにフランジ部85が振動すると、第1被接続部91はフランジ部85に固定されているため、軸心方向ADの振動が第1被接続部91から第2被接続部96にまで伝達して、第2被接続部96とスルーホールPhとの導通接続性に影響を与えるおそれがある。
【0026】
しかしながら本実施例では、折曲部93の折曲線L93は、図4Bに示すように回転軸42の中心軸心を中心とした場合の径方向RDに対して交差しており、詳細には略直交している。このため、第1被接続部91の軸心方向ADでの振動を、折曲線L93を中心とした折曲部93に対する第1連続部92の弾性変形、及び第2連続部94に対する折曲部93の弾性変形として吸収することができ、振動が第2被接続部96にまで伝達することが抑制されている。
【0027】
図4Bに示すように、第2連続部94の長さL94は、第1連続部92の長さL92よりも長く形成されており、第2連続部94と第1連続部92は厚みや幅は同じであるため、第2連続部94は第1連続部92よりも撓みやすい。また、第2連続部94は、回転軸42の中心軸心周りの周方向CDに沿っている。このため第2連続部94では、周方向CDでの振動を第2連続部94が僅かに撓むことにより吸収することができる。
【0028】
また、モータMの振動が、仮に第1被接続部91、第1連続部92、折曲部93、第2連続部94の順に伝達したとしても、被保持部95はケース10に保持されているため、被保持部95がケース10に対してがたつくことが抑制されている。ここで、被保持部95は、図4Bに示すように、第1被接続部91よりも第2被接続部96に近い。このため、第2被接続部96に近い位置で被保持部95がケース10に保持されていることにより、第2被接続部96がケース10に対してがたつくことを抑制でき、これにより第2被接続部96が、ケース10に固定されているプリント基板PBのスルーホールPhに対して、がたつくことを抑制できる。これにより、第2被接続部96とプリント基板PBの導通接続性を確保することができる。
【0029】
図9は、第2被接続部96が挿入されたスルーホールPhの拡大図である。スルーホールPhは、径方向RDに沿って延びた長孔状であり、互いに対向して直線状の長縁Pha及びPhbを有している。換言すれば、長縁Pha及びPhbは、周方向CDに交差するように延びている。膨出部96a及び96bは、それぞれ長縁Pha及びPhbを押圧している。例えば、周方向CDの振動が第2被接続部96にまで伝わった場合であっても、膨出部96a及び96bは、それぞれ周方向CDに弾性変形が可能であって、長縁Pha及びPhbに追従するようにして常に押圧することができる。このようにして、第2被接続部96とプリント基板PBの導通接続性が確保されている。
【0030】
図9に示すように、2つの膨出部96bは、膨出部96aをスルーホールPhの長手方向から挟むように設けられている。このように、第2被接続部96は、合計3か所でスルーホールPhの内側面に接続しているため、第2被接続部96とプリント基板PBの導通接続性が確保されている。
【0031】
また、図9に示すように、長縁Pha及びPhbは直線状であり、膨出部96a及び96bはそれぞれ長縁Pha及びPhbに面接触している。このため、例えば径方向RDの振動が第2被接続部96にまで伝わり、第2被接続部96がスルーホールPh内でスルーホールPhの長手方向に位置がずれたとしても、上記の面接触を維持することができる。これにより、第2被接続部96とプリント基板PBの導通接続性が確保されている。
【0032】
図10は、第2被接続部96の拡大図である。図10には、第2被接続部96をスルーホールPhに挿入している最中のプリント基板PBを示している。膨出部96aは、被保持部95側から順に根元傾斜部96a1、平坦部96a2、及び先端傾斜部96a3を有している。同様に、膨出部96bは、被保持部95側から順に根元傾斜部96b1、平坦部96b2、及び先端傾斜部96b3を有している。根元傾斜部96a1及び96b1は、被保持部95側から互いに反対方向に傾斜している。平坦部96a2及び96b2は、互いに平行に延びている。先端傾斜部96a3及び96b3は、それぞれ平坦部96a2及び96b2から互いに接近するように傾斜している。図10に示すように、プリント基板PBがグランドバスバー90に組付けられる前の平坦部96a2及び96b2の厚み方向での距離T9は、スルーホールPhの短手方向の長さThよりも長い。このため、スルーホールPhに膨出部96a及び96bが挿入されて、平坦部96a2及び96b2がそれぞれ長縁Pha及びPhbに接触した状態で、膨出部96a及び96bの弾性復元力を長縁Pha及びPhbに及ぼすことができ、これにより平坦部96a2及び96b2がそれぞれ長縁Pha及びPhbを押圧する。
【0033】
また、図10に示すように、先端傾斜部96a3の平坦部96a2に対する角度α3、及び先端傾斜部96b3の平坦部96b2に対する角度β3のそれぞれは、根元傾斜部96a1の平坦部96a2に対する角度α1、及び根元傾斜部96b1の平坦部96b2に対する角度β1よりも小さい。従って、第2被接続部96をスルーホールPhに挿入する際に、先端傾斜部96a3及び96b3がそれぞれ長縁Pha及びPhbに接触して圧縮されるように弾性変形するが、このような弾性変形が容易である。このため、組付け作業性が向上している。
【0034】
上記実施例では、送風装置Aに組み込まれたモータ装置を一例として説明したが、このようなモータ装置に限定されず、例えばポンプ装置に組み込まれたモータ装置であってもよいし、モータ装置単体であってもよい。また、上記実施例では、アウターロータ型のモータを例に説明したが、これに限定されず、インナーロータ型のモータであってもよい。
【0035】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0036】
M モータ
10 ケース
15a 凹状部
85 フランジ部
90 グランドバスバー
91 第1被接続部
92 第1連続部
93 折曲部
94 第2連続部
95 被保持部
96 第2被接続部
96a、96b 膨出部
PB プリント基板
Ph スルーホール
Pha、Phb 長縁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10