(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022129909
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】空気浄化装置
(51)【国際特許分類】
A61L 9/18 20060101AFI20220830BHJP
F24F 7/003 20210101ALI20220830BHJP
F24F 8/20 20210101ALI20220830BHJP
F24F 8/80 20210101ALI20220830BHJP
【FI】
A61L9/18
F24F7/003
F24F8/20
F24F8/80 150
F24F8/80 160
F24F8/80 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021028780
(22)【出願日】2021-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】520326806
【氏名又は名称】杉原 修
(74)【代理人】
【識別番号】100090985
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100093506
【弁理士】
【氏名又は名称】小野寺 洋二
(72)【発明者】
【氏名】杉原 修
【テーマコード(参考)】
4C180
【Fターム(参考)】
4C180AA07
4C180DD05
4C180HH05
4C180KK04
4C180LL14
(57)【要約】
【課題】屋内などの閉じられた空間のウイルスや細菌等の有害物を減滅し、頻繁な換気を不要とした空気浄化装置を提供する。
【解決手段】両端が開放した縦長の中空筐体1の内部に設置されたアプリケータ20とマイクロ波発生器3を備え、アプリケータ20に導入される空気に前記マイクロ波発生器3から導入されるマイクロ波を照射して当該空気に含まれる感染性構造体や微小生物を減滅するための作用チャンバー2と、中空筐体1の端部近傍内部に設置されて作用チャンバー2に室内の空気を流通させる送風機5とを備え、人感センサー12の人間有検知に基づいて室内の上方領域の空気を吸入して作用チャンバー2内を下降する方向に流通させる如く送風機5を制御すると共に、人感センサー12の人間無検知に基づいて室内の下方領域の空気を吸入して作用チャンバー2内を上昇する方向に流通させる如く送風機5を制御することで室内の空気中に存在する感染性構造体、微小生物を減滅する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の空気中に存在する感染性構造体、微小生物を減滅するための空気浄化装置であって、
両端が開放した縦長の中空筐体と、
前記中空筐体の内部にアプリケータとマイクロ波発生器を備え、アプリケータに導入される空気にマイクロ波発生器から導入されるマイクロ波を照射して当該空気に含まれる前記感染性構造体や微小生物を減滅するための作用チャンバーと、
前記中空筐体の端部近傍内部に設置されて前記作用チャンバーに前記室内の空気を流通させる送風機と、
前記室内の人間の有無を感知する人感センサーと、
前記人感センサーの検知信号に基づいて前記送風機による前記室内空気の流通方向の切換制御を含む装置の動作制御プログラムが格納された制御回路とを有し、
前記制御回路に備える動作制御プログラムは、前記人感センサーの人間有検知に基づいて前記室内の上方領域の空気を吸入して前記作用チャンバー内を下降する方向に流通させる如く前記送風機を制御すると共に、前記人感センサーの人間無検知に基づいて前記室内の下方領域の空気を吸入して前記作用チャンバー内を上昇する方向に流通させる如く前記送風機を制御することを特徴とする空気浄化装置。
【請求項2】
前記中空筐体の周壁は、外部へのマイクロ波の漏洩を防止するマイクロ波遮蔽能を有し、その上端および下端のそれぞれを覆って前記作用チャンバーから室内空間へのマイクロ波の漏洩を防止するための金属板からなるシールドで構成したことを特徴とする請求項1に記載の空気浄化装置。
【請求項3】
前記中空筐体の外壁に操作パネルを有し、前記制御回路に格納されている制御プログラムとタイマー機能用いて、前記人感センサーの検知信号と前記送風機による前記室内空気の流通方向の切換と稼働開始タイミングを設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の空気浄化装置。
【請求項4】
前記送風機はコアンダ効果ファンであることを特徴とする請求項1に記載の空気浄化装置。
【請求項5】
前記送風機はプロペラファンであることを特徴とする請求項1に記載の空気浄化装置。
【請求項6】
前記送風機はシロッコファンであることを特徴とする請求項1に記載の空気浄化装置。
【請求項7】
前記中空筐体との底部に基台を有し、この基台にキャスターを取り付けたことを特徴とする請求項1に記載の空気浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気清浄技術に係り、特に、室内空気中に存在するウイルスなどの感染性構造体や細菌等の微小生物を減滅して安全な居住環境を得るための空気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気中に存在するウイルスなどの感染性構造体、種々の細菌等の微小生物などの有害物を除去するための手段として、消毒・殺菌剤の使用以外に、ストリーマ放電(電撃ストリーマ)で発生させたイオンやラジカルを用いる方法が知られている(特許文献1)。また、高エネルギー電磁波の共鳴吸収で細菌やウイルスを破壊する方法も提案されている(特許文献2)。
【0003】
さらに、病原体を媒介する生物(ハマダラ蚊、ツエツエバエなど)が飛翔している空気中に電磁波(マイクロウエーブ)を照射し、その蛋白質を加熱破壊して無害化する方法も提案されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005- 21319号公報
【特許文献2】特開2000-245813号公報
【特許文献3】特開2009-297008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ストリーマ放電を用いる特許文献1に記載の空気浄化装置は、高電圧放電により高速電子を発生させて、空中に浮遊している細菌、ウイルスなどのDNA、RNAを破壊して除去する構成としている。高圧放電を行う電極対は空気の流通路に交差するような放電場を形成し、この放電領域を空気流が通過する際に当該空気中に含まれる最近、ウイルスなどを破壊するものである。
【0006】
また、特許文献2に開示の技術は、細菌やウイルスの固有振動周波数に同調する電磁波を照射することで共鳴吸収させ、共鳴吸収容量を超過させることで当該細菌やウイルスの組織を破壊して減滅するものである。
【0007】
特許文献3は、2GHz~10GHz前後の電磁波(マイクロ波)を、人体に影響を与えない程度の出力で空気中に放射することで、当該空気中を飛翔しているハマダラ蚊やツエツエバイを加熱して死滅させる方法と装置を開示する。
【0008】
上記した先行技術の何れも環境に対する電磁波の漏れ、人体に対する電磁波の影響を防止する具体的な手段を開示しない。また、構成も複雑である。
【0009】
さらに、このところ社会的に大問題となっている新型コロナウイルス(COVIT-19)について、建物の屋内や交通機関の車内(以下、室内)での感染抑止には頻繁な換気が採り得る対策の一つとされている。しかしながら、寒い季節、酷暑環境での頻繁な換気は、防寒の観点、熱中症の回避、省エネルギーの観点からみても極めて消極的な対応と言わざるを得ない。
【0010】
本発明の目的は、屋内などの閉じられた空間のウイルスや細菌等の有害物を減滅し、頻繁な換気を不要とした空気浄化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は、下記に記載する代表的な構成とした。なお、ここでは、本発明を明確にするため、各構成に後述する実施例の図面で使用される参照符号を付すが、本発明はこの参照符号を付した構成に限定されるものではない。
【0012】
本発明は、感染性構造体であるウイルスや細菌などの微小生物を減滅し、感染を抑止した安全な空気を得るための空気浄化装置であって、次の構成を有する。すなわち、
【0013】
本発明は、室内の空気中に存在する感染性構造体、微小生物を減滅するための空気浄化装置であって、両端が開放した縦長の中空筐体1と、この中空筐体1の内部に設置されて、マイクロ波発生器3を備えたアプリケータ20に導入される空気にマイクロ波を照射して、当該空気に含まれる感染性構造体や微小生物を減滅するための作用チャンバー2とを備える。
【0014】
また、中空筐体1の端部近傍内部に設置されて作用チャンバー2に室内の空気を流通させる送風機5と、室内の人間の有無を検知する人感センサー12と、人感センサー12の検知信号に基づいて送風機5による室内空気の流通方向の切換制御を含む装置の動作制御プログラムが格納された制御回路4とを有している。制御回路には本装置に必要な電源を生成する電源回路も備えている。
【0015】
制御回路4に備える切換制御プログラムは、人感センサー12の人間有検知に基づいて室内の上方領域(概ね、床から天井までの半ばから天井までの領域)の空気を吸入して作用チャンバー2内を下降する方向に流通させる如く送風機5を稼働制御すると共に、人感センサー12の人間無検知に基づいて室内の下方領域(概ね、床に極く近い領域)の空気を吸入して作用チャンバー2内を上昇する方向に流通させる如く送風機5を稼働制御する構成とした。
【0016】
中空筐体1の周壁は、外部へのマイクロ波の漏洩を防止する金属板等で形成しいたマイクロ波遮蔽能を有する。そして、中空筐体1の上端および下端の開口部それぞれを覆って前記作用チャンバー2から室内空間(外部環境)へのマイクロ波の漏洩を防止するための多数の細孔を有する金属板7,8を設けた。
【0017】
中空筐体1の外壁に操作パネル41を有し、制御回路4に格納されている制御プログラムとタイマー機能用いて、人感センサー12の検知信号と送風機5による室内空気の流通方向の切換とそのタイミングを設定できるようにした。
【0018】
送風機5には、コアンダ効果ファン50、ターボファンなどを含む謂プロペラファン60、シロッコファン70、その他の適宜の送風機を用いることができる。なお、空気流の方向を逆にすることができる送風機であれば、中空筐体1の上端あるいは下端に一個のみを設置した構成を採用することもできる。
【0019】
また、中空筐体1との底部に基台10を設け、この基台10にキャスター11を取り付けて移動可能とし、設置場所を自由選ぶことができるようにした。
【0020】
なお、作用チャンバー2を構成するアプリケータとして、
図2で後述する空き箱(オーブン)状に限らず、
図7で後述するような幅広の金属板を一次元方向に渦巻きした螺旋路を備えて空気流とマイクロ波の接触時間を大きく確保する形式も採用できる。
【0021】
本発明は、上記の構成および後述する実施の形態に記載した構成に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、事務所の執務質・会議室、住居の部屋はもとより、学校の教室・講堂や体育館などの空調ボリュウムの大きい空間にも安全に使用可能な空気浄化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明に係る空気浄化装置の基本構造を説明する模式図
【
図2】
図1の作用チャンバーを構成するアプリケータの一例を説明する模式図
【
図3】本発明に係る空気浄化装置の実施例1を説明する模式図
【
図4】本発明に係る空気浄化装置の実施例1の外観を示す斜視図
【
図5】本発明に係る空気浄化装置の実施例2を説明する模式図
【
図6】本発明に係る空気浄化装置の実施例3を説明する模式図
【
図7】本発明に係る空気浄化装置の作用チャンバーを構成するアプリケータの他例を説明する模式図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る空気浄化装置を添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
図1は本発明に係る空気浄化装置の基本構造を説明する模式図である。この空気浄化装置は、両端が開放した縦長の中空筐体1と、この中空筐体1の内部に設置されて、マイクロ波発生器3を備えたアプリケータ20に導入される空気にマイクロ波を照射して、当該空気に含まれる感染性構造体や微小生物を減滅するための作用チャンバー2とを備える。中空筐体1は円筒形として示してあるが、断面が楕円形でも多角形の筒状体であってよい。
【0026】
マイクロ波発生器3は、パワー半導体(ガンダイオード、インパットダイオード、GaAs電界効果トランジスタなど)発振器を用いるのが好ましいが、旧来からのマグネトロンであってもよい。マイクロ波発生器3の発振出力は伝送路(導波管等)32でアプリケータ20に導入される。符号31は冷却フィンを示す。
【0027】
また、中空筐体1の端部近傍内部に設置されて作用チャンバー2に清浄化対象である室内の空気を流通させる送風機5と、室内の人間の有無を検知する人感センサー12を最低一個を備えている。そして、人感センサー12の検知信号に基づいて送風機5による室内空気の流通方向(A方向、B方向)の切換制御や稼働タイミングを含む装置の動作制御プログラムが格納された制御回路4を有している。
【0028】
制御回路4に備える空気流通方向切換えのための動作制御プログラムは、人感センサー12の人間有検知に基づいて当該室内の上方領域(概ね、床から天井までのほぼ半ばから天井までの領域)の空気を吸入して作用チャンバー2内を下降する方向(矢印A)に流通させる如く送風機5を制御する。また、人感センサー12の人間無検知に基づいて当該室内の下方領域(概ね、床に極く近い膝下領域)の空気を吸入して作用チャンバー2内を上昇する方向(矢印B)に流通させる如く送風機5を制御する構成とされている。
【0029】
中空筐体1の周壁は、外部へのマイクロ波の漏洩を防止するマイクロ波遮蔽能を有する。具体的には、アルミニウム(同合金)や鉄板(ステンレス含む鉄合金)などの金属板を用いる。また、中空筐体1の上端および下端の開口部それぞれを覆って前記作用チャンバー2から室内空間(外部環境)へのマイクロ波の漏洩を防止するための多数の細孔を有する金属板からなる遮蔽板7,8が設けられている。中空筐体1の下部には空気の流出・流入のための開口9が設けられている。
【0030】
上記したが、図中の矢印Aは送風機によって室内の上層から床方向に通風される方向を示し、矢印Bは送風機によって室内の床側から上層に通風される方向を示す。図には、送風機が上下にそれぞれ設置されているが、送風方向を逆向きにすることができるものであれば、一台でもよい。
【0031】
遮蔽板7,8の細孔の大きさは、マイクロ波の波長未満で、かつ十分に小さいもの(具体的には、マイクロ波波長の半分程度)とすることで、空気を通過させると共に注入されるマイクロ波の漏洩を安全値以下に低減することができる。
【0032】
中空筐体1の外壁に操作パネル41が設けられている。操作パネル41は、制御回路4に格納されている制御プログラムとタイマー機能用いて、人感センサー12の検知信号と送風機5による室内空気の流通方向の切換とそのタイミングを設定する。標準的な初期設定は製造時で行うが、使用者の手元に設置された後には当該使用者も設定変更の操作することができる。
【0033】
図2は
図1における作用チャンバーを構成するアプリケータの一例を説明する模式図であって、同図(a)は内部構成を示すための縦断面、(b)は上下のシールド22,23を除去して内部にあるスターラ21を示す概略図である。
このアプリケータ20の容器は中空筐体の形状に合わせた中空円筒形としてあるが、箱型やその他の形状でよく、アルミニウム(同合金)板や鉄合金板(ステンレス板含む)などの金属板で形成してある。
【0034】
アプリケータ20の上下の開口端のそれぞれには、シールド22,23が取り付けてある。これらのシールドには微小な細孔が形成されており、この開孔を通して空気が流通する。空気流の速度は早い必要がないので、細孔が空気流大きな抵抗を及ぼす可能性は低い。この細孔はマイクロ波発生器3から伝送路32を通して注入されたマイクロ波Cがアプリケータ20から外部への漏れを規制値以下となるようにされている。
【0035】
アプリケータ20には、スターラ21が設置されている。このスターラ21はマイクロ波発生器3から伝送路32を通してマイクロ波導入口から注入されたマイクロ波Cをアプリケータ20の内部にまんべんなく反射させて振り撒き、マイクロ波が入ってくる空気に触れる機会(ウイルスや細菌と出会う確率)を増大させる機能を有する。これにより、空気中に含まれる感染性構造体や微小生物の減滅効率を向上させる。なお、アプリケータ20の内壁面にも凹凸を形成してマイクロ波を乱反射させるようにしてもよい。
【0036】
この構成とした空気浄化装置に室内の空気を循環させることで、当該空気中に含まれる感染性構造体や微小生物を減滅して安全な居住空間を得ることができる。
【0037】
次に、本発明に係る空気浄化装置の具体例について、実施例の図面を参照して説明する。
【実施例0038】
図3は本発明に係る空気浄化装置の実施例1を説明する模式図、
図4は
図3に示した空気浄化装置の外観を示す斜視図である。
図1と同一符号は同一機能部分に対応する。なお、中空筐体1は金属製のシールド1bの上を化粧外装1aで覆ったものとしたが、化粧外装1aは省略することもできる。中空筐体1の最上部にはホッパー6が取り付けられ、その上に細孔71を形成した上部シールド7が設置されている。なお、
図4には図示されていない下部シールド8(
図3)も上部シールド7と同様の構造である。
【0039】
本実施例では、送風機5にコアンダ効果を利用した送風装置(以下、コアンダ効果ファン)50を用いた。このコアンダ効果ファン50は粘性流体のジェットが近接する壁面に引き寄せられる効果(すなわち、コアンダ効果)を利用するものである。少ない初期風量で比較的大量の送風が得られる。
【0040】
人感センサー12(実施例では、検知範囲を広くするために人感センサー12を二個設置してある)が人間を検知して室内の上層にある空気を装置に送り込む第1モードでは、中空筐体1の上側に設置されたコアンダ効果ファン50は、
図3と
図4に示したように、中空環状体の内側で空気流の下流出口付近の内側縁に沿って環状スリット51を形成した環状体の一部に起風器52が設けてある。起風機は小型のプロペラファンかターボファンが用いられる。
【0041】
コアンダ効果ファン50は、空気が噴出するスリット51が空気流の下流側に向いて空気が噴出するように形成してある。起風器52からの空気はこのスリット51から
図3の軸方向下側(作用チャンバー方向)に向かって噴出することで、中空環状体の周囲の空気を巻き込んで作用チャンバー2の方向に送風する。したがって、このコアンダ効果ファンは逆方向への送風はスリットの向きを変えない限りできない。
【0042】
この実施例では、第1モードにおいて、
図3の上方から空気を取り込んでダクト21から作用チャンバー2に導入する。中空環状体の内側で空気流の下流出口に形成された環状スリット51から空気がジェット流となって噴出する。このジェット流は中空環状体の周囲(中空環状体の内側領域を含む)の空気を巻き込んで大量の空気流となって上側のダクト21を通って作用チャンバー2に導入される。
【0043】
作用チャンバー2に導入された空気流は、
図2に示したようなアプリケータ20の内部を通過する間に、含まれる感染性構造体や微小生物が減滅され、浄化空気として下側のダクト21から中空筐体1の下側に設置されている同様のコアンダ効果ファン50(動作は停止している)をスルーして開口9を通して室内の床領域に排気される。
【0044】
上記したように、第1モードでは、中空筐体1の下側に設置されたもう一つのコアンダ効果ファン50は回転を停止しており、作用チャンバー2から排出される空気をスルーして下側シールド8を通り、開口9から床方向に放出される。この空気流の循環を繰り返すことで室内空気に含まれるウイルスや細菌などを減滅する。
【0045】
オプションとして、中空筐体1の底部に基台10を設け、この基台10にキャスター11を取り付けて移動可能とし、設置場所を簡単に移動とすることができる。また、基台10にリチウムーイオンバッテリなどの大容量バッテリ14を収蔵して商用電源のみに頼らないで装置が稼働できるようにすることもできる。
【0046】
人感センサー12が人間無検知をしたことによる第2モードのスタートは、室内の空気の動きが収まって残留ウイルス等(ウイルス等が付着した微小水胞や微小塵埃)などが床側に沈降する所定の時間経過後が好ましい。このタイミングは操作パネル41から設定できるようになっている。例えば、事務所などの執務室の終業時間が午後6時ならその2時間後から午前6時迄の10時間など、部屋の広さ(非処理空間のボリュウム)に応じて第2モードの稼働時間と循環する空気量を設定することができるようになっている。
【0047】
本実施例の構成としたことで、室内に人間がいるときには室内空間のほぼ上方領域、すなわち主として人間の呼吸やお話しに使用される空気に含まれるウイルスや細菌を優先的に減殺・浄化した空気を部屋の床側に放出するように循環させる。床側に放出された空気に残留したウイルスや細菌は、第2モードでの繰り返し処理でほとんどが減滅される。これにより、当該空気中に含まれる感染性構造体(ウイルス)や微小生物(細菌等)による感染の惧れを低減して快適な居住空間(執務空間)を得ることができる。
本実施例の構成としたことでも、室内に人間がいるときには室内空間のほぼ上方で中間の空気、すなわち主として人間の呼吸やお話しに使用された空気が浮遊する空気ボリュウムに含まれるウイルスや細菌を減殺し浄化した空気を部屋の床側に放出するように循環させることで、当該空気中に含まれる感染性構造体や微小生物による感染の惧れを低減して快適な居住空間(執務空間)を得ることができる。さらに、この空気循環に一個の送風機を用いることで、装置の軽量化、低コスト化が図られる。