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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022129921
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】朝顔の昇降機構
(51)【国際特許分類】
   E04G 5/00 20060101AFI20220830BHJP
   E04G 3/28 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
E04G5/00 301C
E04G3/28 303D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021028803
(22)【出願日】2021-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】520358645
【氏名又は名称】株式会社SysaPlanning
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183276
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 裕三
(72)【発明者】
【氏名】杉本 澄雄
【テーマコード(参考)】
2E003
【Fターム(参考)】
2E003EB03
2E003EB05
(57)【要約】
【課題】現場での設置状況に即して朝顔を容易かつ安全に設置することができる朝顔の昇降機構を提供すること。
【解決手段】足場に設置される朝顔を昇降させる昇降機構は、朝顔を取り付けた枠材を支持し、棒状に延びるスライダー部材と、スライダー部材をスライド移動させるための通路を内部に形成し、所定の取付角度で足場に取り付けられるレール部材と、を備え、レール部材の前面には、スライダー部材の一部を通過させるための開口が通路に沿って形成されており、レール部材はさらに、スライダー部材の下降を規制するストッパー機構を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
足場に設置される朝顔を昇降させる昇降機構であって、
朝顔を取り付けた枠材を支持し、棒状に延びるスライダー部材と、
スライダー部材をスライド移動させるための通路を内部に形成し、所定の取付角度で足場に取り付けられるレール部材と、を備え、
レール部材の前面には、スライダー部材の一部を通過させるための開口が通路に沿って形成されており、
レール部材はさらに、スライダー部材の下降を規制するストッパー機構を有する、朝顔の昇降機構。
【請求項2】
レール部材は、足場の高さ方向に間隔を空けて複数設けられる、請求項1に記載の朝顔の昇降機構。
【請求項3】
レール部材は、通路および開口を形成する本体部を備え、
レール部材のストッパー機構は、
本体部の前面に沿って回転可能に設けられ、開口を幅方向に塞ぐ位置と開放する位置の間で回転可能な回転部と、
開口を幅方向に塞ぐ位置の回転部に対して下方から当接するように本体部の前面から突出した第1突出部と、を備える、請求項1又は2に記載の朝顔の昇降機構。
【請求項4】
レール部材のストッパー機構はさらに、
本体部の前面で第1突出部とは異なる位置にて突出し、開口を開放する位置の回転部に当接可能な第2突出部を備え、
第2突出部の位置は、第2突出部に当接する回転部が自重による回転トルクで第1突出部に当接する方向へ回転するような位置に設定される、請求項3に記載の朝顔の昇降機構。
【請求項5】
レール部材は、通路および開口を左右に一対ずつ備え、
回転部は、一方の開口を開閉する第1回転部と、他方の開口を開閉する第2回転部とを備え、
第1突出部は、第1回転部と第2回転部に共通して当接する、請求項1から4のいずれか1つに記載の朝顔の昇降機構。
【請求項6】
レール部材は、通路および開口を形成する本体部を足場に固定する固定部と、本体部を足場に引っ掛ける引っ掛け部とを有する、請求項1から5のいずれか1つに記載の朝顔の昇降機構。
【請求項7】
引っ掛け部は、本体部の後面に設けられ、
固定部は、本体部の上端において、本体部の後面を含む平面に対して後面側と前面側の間で回転可能に設けられる、請求項6に記載の朝顔の昇降機構。
【請求項8】
引っ掛け部は、一端が本体部の後面に固定され、一端から他端に向けて足場の鉛直単管に沿うように湾曲して延び、他端と本体部との間には、鉛直単管を内側の空間へ案内するための隙間が形成される、請求項6又は7に記載の朝顔の昇降機構。
【請求項9】
引っ掛け部は、一端から他端に向かって、本体部の下端に近付くように傾斜して延びる、請求項8に記載の朝顔の昇降機構。
【請求項10】
引っ掛け部に引っ掛けられた鉛直単管に関する抜け止め部を、本体部の後面に設けた、請求項6から9のいずれか1つに記載の朝顔の昇降機構。
【請求項11】
抜け止め部は、本体部の後面から突出した第1突出部と、第1突出部からさらに突出した第2突出部とを備え、第2突出部は、引っ掛け部に引っ掛けられた鉛直単管が引っ掛け部と本体部との隙間に向かう方向に対向する位置に設けられる、請求項10に記載の朝顔の昇降機構。
【請求項12】
固定部は、単クランプを有する、請求項6から11のいずれか1つに記載の朝顔の昇降機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足場に設置される朝顔を昇降させる昇降機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、建築現場等の仮設足場において、資材や工具等の落下物を受け止めるように仮設足場から斜め上方に張り出して設置される朝顔が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平7-42843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の朝顔の組立・設置は足場上で行う必要があり、高所での作業となるため危険を伴う。また、固定用のボルト等の部品点数が多く、設置作業が複雑化するとともに部品の落下リスクもあり、作業性や安全性に課題があった。本発明の課題は、これらの課題を解決することにあって、現場での設置状況に即して朝顔を容易かつ安全に設置することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の朝顔の昇降機構は、足場に設置される朝顔を昇降させる昇降機構であって、朝顔を取り付けた枠材を支持し、棒状に延びるスライダー部材と、スライダー部材をスライド移動させるための通路を内部に形成し、所定の取付角度で足場に取り付けられるレール部材と、を備え、レール部材の前面には、スライダー部材の一部を通過させるための開口が通路に沿って形成されており、レール部材はさらに、スライダー部材の下降を規制するストッパー機構を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、現場での設置状況に即して朝顔を容易かつ安全に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態に係る朝顔の昇降機構を設けた足場を示す概略正面図
図2】実施形態に係る足場の概略側面図
図3】実施形態に係る朝顔の周辺構成を示す斜視図
図4】実施形態に係る枠材の斜視図
図5】実施形態に係る枠材の前端部を拡大した斜視図
図6】実施形態に係る枠材の後端部を拡大した斜視図
図7】実施形態に係るスライダー部材の概略正面図
図8】実施形態に係るスライダー部材の中間部分の斜視図
図9】実施形態に係るスライダー部材の端部部分の斜視図
図10A】実施形態に係る取付金具が設けられていない位置のスライダー部材の断面図
図10B】実施形態に係る取付金具が設けられた位置のスライダー部材の断面図
図11】実施形態に係る取付金具がスライダー部材の所定位置に取り付けられた状態を示す斜視図
図12】実施形態に係る取付金具がスライダー部材の所定位置に取り付けられた状態を示す斜視図
図13】実施形態に係る取付金具がスライダー部材の所定位置に取り付けられた状態を示す斜視図
図14】実施形態に係る取付金具に持ち上げ部材が取り付けられた状態を示す概略正面図
図15】実施形態に係るレール部材の前面側の斜視図
図16】実施形態に係るレール部材の後面側の斜視図
図17】実施形態に係る回転部が閉じた状態を示す概略正面図
図18】実施形態に係る回転部が開いた状態を示す概略正面図
図19】実施形態に係るストッパー機構の周辺構成を示す概略断面図
図20A】実施形態に係るレール部材にスライダー部材を通過させたときの一連の状態を示す概略正面図
図20B】実施形態に係るレール部材にスライダー部材を通過させたときの一連の状態を示す概略正面図
図20C】実施形態に係るレール部材にスライダー部材を通過させたときの一連の状態を示す概略正面図
図20D】実施形態に係るレール部材にスライダー部材を通過させたときの一連の状態を示す概略正面図
図20E】実施形態に係るレール部材にスライダー部材を通過させたときの一連の状態を示す概略正面図
図21】実施形態に係るスライダー固定部を前面側から見た斜視図
図22】実施形態に係るスライダー固定部を後面側から見た斜視図
図23A】実施形態に係るスライダー固定部の使用方法を説明するための概略断面図
図23B】実施形態に係るスライダー固定部の使用方法を説明するための概略断面図
図23C】実施形態に係るスライダー固定部の使用方法を説明するための概略断面図
図24】実施形態に係る固定部材がレール部材の前面側にある状態を示す概略側面図
図25】実施形態に係る固定部材がレール部材の後面側にある状態を示す概略側面図
図26】実施形態に係る引っ掛け部によりレール部材を鉛直単管に引っ掛けた状態を示す概略側面図
図27】実施形態に係る朝顔の概略構成を示す斜視図
図28】実施形態に係る朝顔の概略構成を示す分解斜視図
図29】実施形態に係る本体シートの概略側面図
図30】実施形態に係る取付部材の一部拡大斜視図(型材とスライド金具を接続する前の状態)
図31】実施形態に係る取付部材の一部拡大斜視図(型材とスライド金具を接続した状態)
図32】実施形態に係るスライド金具の取付位置を表す概略正面図(スライド金具が右側にスライドした状態)
図33】実施形態に係るスライド金具の取付位置を表す概略正面図(スライド金具が左側にスライドした状態)
図34】実施形態に係る取付部材の一部拡大斜視図(型材とスライド金具を接続する前の状態)
図35】実施形態に係る取付部材の一部拡大斜視図(型材とスライド金具を接続した状態)
【発明を実施するための形態】
【0008】
(実施形態)
以下、実施形態の朝顔の昇降機構について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態の朝顔8の昇降機構Sを設けた足場2を示す概略正面図であり、図2は、足場2の概略側面図であり、図3は、朝顔8の周辺構成を示す斜視図である。
【0009】
図1図2に示す足場2は、工事現場などに設置される仮設足場である。足場2は、複数の足場板4と、複数の鉛直単管6と、複数の朝顔8とを備える。足場板4は、作業者が作業を行うための板状の部材であり、図示しない水平単管の上に設置される。鉛直単管6は、鉛直方向に延びて設置される単管であり、図示しない水平単管に直交クランプ等で固定される。朝顔8は、落下物を受け止めるように斜め上方に張り出して設置される落下防止用の部材である。
【0010】
足場2には、朝顔8を上下方向Zに昇降させるための昇降機構Sが設けられる。図1図3に示すように、1つの朝顔8に対して1つの昇降機構Sが設けられる。以下、朝顔8および昇降機構Sの構成について説明する。
【0011】
図1図3に示すように、昇降機構Sは、朝顔8を取り付けた枠材12と、一対のスライダー部材14A、14Bと、持ち上げ部材16A、16Bと、複数のレール部材18とを備える。
【0012】
枠材12は、朝顔8を取り付けて支持する部材である。本実施形態では、図3に示すようにシート状の朝顔8を枠材12に張設して取り付ける。
【0013】
図1図2に示すように、一対のスライダー部材14A、14Bは、枠材12を支持する部材である。スライダー部材14A、14Bのそれぞれは、足場2の上下方向Zに延びる棒状の形状を有する。
【0014】
持ち上げ部材16A、16Bは、昇降機構Sを作業者が持ち上げるための棒状の部材である。持ち上げ部材16A、16Bはともに、一対のスライダー部材14A、14Bの間に取り付けられており、互いに異なる高さ位置に設けられる。
【0015】
レール部材18は、スライダー部材14A、14Bを上下方向Zに通過させるための部材である。レール部材18は鉛直単管6のそれぞれに設けられるとともに、足場2の上下方向Zに間隔を空けて複数設けられ、所定の取付角度で鉛直単管6に固定される。レール部材18には、スライダー部材14A、14Bを所定の高さ位置で停止させるためのストッパー機構が設けられている。ストッパー機構については後述する。
【0016】
以降の説明では、スライダー部材14A、14Bを単に「スライダー部材14」と称し、持ち上げ部材16A、16Bを単に「持ち上げ部材16」と称する場合がある。他の構成についても同様である。
【0017】
上述した昇降機構Sの各構成要素の詳細について、図4以降を用いて説明する。
【0018】
図4図6は、枠材12に関する図である。図4は、枠材12の斜視図であり、図5は、枠材12の前端部を拡大した斜視図であり、図6は、枠材12の後端部を拡大した斜視図である。
【0019】
図4に示すように、枠材12は、一対の枠材12A、12Bを有する。枠材12A、12Bは左右に間隔を空けて設けられ、朝顔8を下方から支持する。枠材12A、12Bはそれぞれ、2本の横材20、22と、2本の縦材24、26と、複数の張設ピン28と、複数の固定ピン30とを有する。
【0020】
横材20、22はともに横方向に延びる部材である。横材20が上側に配置され、横材22が下側に配置される。横材20、22は縦材24、26によって互いに連結される。縦材24、26は縦方向に延びる部材であり、縦材24よりも縦材26の方が足場2に近い位置に設けられる。
【0021】
張設ピン28は、シート状の朝顔8を張設するためのピンである。横材20の上面に複数の張設ピン28が設けられる(図4に示す例では横材20ごとに張設ピン28が5つ設けられる)。張設ピン28は例えば、先折れ式のグラビティピンであってもよい。
【0022】
固定ピン30は、枠材12の前端部をスライダー部材14A、14Bに固定するためのピンである。固定ピン30には紐状部材(図示せず)等が引っ掛けられ、紐状部材がスライダー部材14A、14Bに設けられた取付金具36(図7)等に取り付けられることで枠材12の前端部がスライダー部材14A、14Bに固定される。
【0023】
図5に示すように、固定ピン30のそれぞれは、第1固定ピン30Aと第2固定ピン30Bとを有する。固定ピン30Aは下方に湾曲し、固定ピン30Bは上方に湾曲する。2種類の固定ピン30A、30Bを設けることで、前述した紐状部材を上方に延ばしたり、下方に延ばしたりして固定ピン30A、30Bに引っ掛けることができる。
【0024】
図6に示すように、枠材12の後端部には2つの貫通孔32、34が形成される。貫通孔32は横材20に形成され、貫通孔34は横材22に形成される。貫通孔32、34はそれぞれ、枠材12の後端部をスライダー部材14に取り付けるための貫通孔であり、図示しない棒状部材が挿通される。
【0025】
次に、スライダー部材14A、14Bについて、図7図10Bを用いて説明する。
【0026】
図7は、スライダー部材14A、14Bの概略正面図である。図7に示すように、スライダー部材14A、14Bはそれぞれ、長さ方向H1に延びる棒状の部材である。スライダー部材14A、14Bはそれぞれ、長さ方向H1に間隔を空けた位置に、複数の取付金具36、38、40、42、44、46、48を有する。
【0027】
上端に位置する取付金具36および下端に位置する取付金具48は、前述した固定ピン30(図4図5)に取り付けた紐状部材の他端を取り付けるための金具である。下端に位置する取付金具48は特に、後述するレール部材18のストッパー機構に支持される金具として利用できる。
【0028】
取付金具38、46はそれぞれ、持ち上げ部材16A、16Bを取り付けるための金具である。取付金具38の下方に位置する取付金具40は、前述したシート状の朝顔8の他端(図2)を取り付けるための金具である。取付金具40の下方に位置する取付金具42、44はそれぞれ、前述した枠材12の後端部(図6)を貫通孔32、34を介して取り付けるための金具である。
【0029】
スライダー部材14A、14Bはさらに、長さ方向H1の両端部にキャップ部材50、52をそれぞれ有する。キャップ部材50は上端部に設けられ、キャップ部材52は下端部に設けられる。キャップ部材50、52はともに、スライダー部材14A、14Bをレール部材18に挿入する際の案内用の部材であり、先端が窄まったテーパ形状を有する。キャップ部材50、52は例えば、ゴムなどの加工性に優れた材料から形成される。
【0030】
図8は、スライダー部材14の一部として取付金具40、42、44を含む中間部分の斜視図であり、図9は、スライダー部材14の上端部である取付金具36を含む端部部分の斜視図である。
【0031】
図8図9に示すように、スライダー部材14の前面には凹部54が形成されている。凹部54は、前述した取付金具36、38、40、42、44、46、48を取り付けるための空間であり、スライダー部材14の長さ方向H1に延在する。
【0032】
図10Aは、取付金具が設けられていない位置のスライダー部材14の断面図であり、図10Bは、取付金具36が設けられた位置のスライダー部材14の断面図である。図11は、取付金具36がスライダー部材14の所定位置に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【0033】
図10Aに示すように、スライダー部材14は凹部54に加えて、中空空間56を形成する。凹部54および中空空間56は壁部55によって互いに隔てられており、中空空間56は凹部54よりも後面側に設けられる。凹部54はスライダー部材14の前面に開口57を形成する。
【0034】
図10B図11に示すように、凹部54には、取付金具36等の各種取付金具が配置される。本実施形態の取付金具36は、ベース部58と、取付部60と、リベット62とを備える。
【0035】
ベース部58は、凹部54に挿入される部分であり、ベース部58の中央から取付部60が突出している。取付部60は、前述した紐状部材等を取り付けるための部分であり、スライダー部材14A、14Bの幅方向W1に延びる貫通孔64を形成している。リベット62は、ベース部58を凹部54に固定するための固定部材である。図10Bに示すように、リベット62はベース部58を貫通して壁部55の裏側まで延びている。凹部54にベース部58を挿入した後にリベット62で固定することで、取付金具36がスライダー部材14の所定位置に固定される。
【0036】
次に、枠材12を取り付けるための取付金具42、44について、図12を用いて説明する。図12は、取付金具42、44がスライダー部材14の所定位置に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【0037】
図12に示すように、取付金具42、44のそれぞれは、ベース部66と、取付部68と、複数のリベット70とを備える。
【0038】
ベース部66は、凹部54に挿入される部分であり、ベース部66の中央から取付部68が突出している。取付部68は、幅方向W1に間隔を空けて二股に別れた形状を有し、第1取付部68Aと第2取付部68Bとを有する。取付部68A、68Bのそれぞれには幅方向W1に延びる貫通孔72A、72Bが形成される。幅方向W1に沿って見たときに、貫通孔72A、72Bは互いに重なる位置に形成されており、前述した枠材12の貫通孔32、34(図6)に挿通される棒状部材(図示せず)が配置される。これにより、枠材12が取付金具42、44に固定され、水平面に対して所定角度傾斜した状態で維持される。
【0039】
次に、持ち上げ部材16A、16Bを取り付けるための取付金具38、46について、図13図14を用いて説明する。図13は、取付金具38、46がスライダー部材14A、14Bの所定位置に取り付けられた状態を示す斜視図であり、図14は、取付金具38、46に持ち上げ部材16A、16Bが取り付けられた状態を示す概略正面図である。
【0040】
図13に示すように、取付金具38、46のそれぞれは、ベース部74と、取付部76と、ボルト取付部78と、複数のリベット80とを備える。
【0041】
ベース部74は、凹部54に挿入される部分であり、ベース部74の中央から取付部76が突出している。取付部76は、幅方向W1に貫通する貫通孔82を形成し、取付部76の側面にはボルト取付部78が設けられる。ボルト取付部78は、長さ方向H1に沿ってボルト穴84を形成した部材であり、図14に示すボルト86が螺合する。ボルト取付部78は貫通孔82に対して上方に配置される。
【0042】
図14に示すように、取付部76の貫通孔82に持ち上げ部材16A、16Bが挿入された状態で、ボルト取付部78にボルト86が配置される。ボルト86を下方に向けて回転させると、ボルト86の先端が持ち上げ部材16A、16Bに当接し、持ち上げ部材16A、16Bの端部を下方に押し付ける。左右のスライダー部材14A、14Bの両方でボルト86を持ち上げ部材16A、16Bの端部に押し付けることで、持ち上げ部材16A、16Bが強固に固定される。
【0043】
次に、レール部材18に関して、図15以降を用いて説明する。
【0044】
図15は、レール部材18の前面側の斜視図であり、図16は、レール部材18の後面側の斜視図である。
【0045】
図15図16に示すように、レール部材18は、一対のレール90A、90Bと、ストッパー機構92と、スライダー固定部94と、レール固定部96と、引っ掛け部98(図16)と、抜け止め部100(図16)とを備える。
【0046】
一対のレール90A、90Bは、レール部材18の長さ方向H2に延在する板状の部材であり、レール部材18の「本体部」に相当する。一対のスライダー部材14A、14Bのうち、レール90Aはスライダー部材14Aを通過させ、レール90Bはスライダー部材14Bを通過させる。レール90A、90Bはそれぞれ、スライダー部材14A、14Bを通過させるための通路102A、102Bを内部に形成する。通路102A、102Bはともに長さ方向H2に延びる空間であり、レール部材18を長さ方向H2に貫通している。本実施形態における通路102A、102Bの水平断面は略矩形状である。
【0047】
一対のレール90A、90Bはそれぞれ前面91A、91Bを有し、前面91A、91Bに開口104A、104Bを形成する。開口104A、104Bは通路102A、102Bに沿って形成された開口であり、前面91A、91Bを幅方向W2に部分的に開放する。
【0048】
レール90A、90Bの長さ方向H2の端部106A、106B、108A、108Bは、開口104A、104Bを外側に広げるようにテーパ形状を有する。このようなテーパ形状を設けることで、スライダー部材14A、14Bの両端部であるキャップ部材50、52(図7)がレール90A、90Bの中に挿入されやすくなり、作業性および安全性が向上する。
【0049】
ストッパー機構92は、レール90A、90Bに案内されたスライダー部材14A、14Bの下降を規制してストッパーとして機能する部材である。ストッパー機構92は、2つの回転部109A、109Bと、第1突出部110と、2つの第2突出部112A、112Bとを備える。
【0050】
ストッパー機構92の各構成要素について、図17図19を用いて説明する。図17は、回転部109A、109Bが閉じた状態を示す概略正面図であり、図18は、回転部109A、109Bが開いた状態を示す概略正面図であり、図19は、ストッパー機構92の周辺構成を示す概略断面図である。
【0051】
回転部109A、109Bはそれぞれ、レール90A、90Bの前面91A、91Bに沿って回転可能に設けられた部材である(図17の矢印R1、R2)。回転部109A、109Bにはそれぞれ回転軸114A、114Bが取り付けられており、回転軸114A、114Bを中心として回転可能である。回転軸114A、114Bは、レール90A、90Bの側面に設けられた取付部116A、116B(図19図15図16)に回転可能な状態で挿通されている。
【0052】
図17は、回転部109A、109Bが第1突出部110に接触し、開口104A、104Bをそれぞれ幅方向W2に塞いだ状態を示す。図18は、回転部109A、109Bが第1突出部110から離れた位置まで回転して第2突出部112A、112Bに接触し、開口104A、104Bをそれぞれ開放した状態を示す。
【0053】
第1突出部110は、レール90A、90Bの前面91A、91Bから突出する突出部である。図17図18に示すように、第1突出部110は、開口104Aと開口104Bの間においてレール90A、90Bの両方にまたがるように形成される。図17に示すように、第1突出部110は2つの回転部109A、109Bの両方に共通して接触する。
【0054】
第1突出部110は、開口104A、104Bを幅方向W2に塞ぐ回転位置にある回転部109A、109Bに対して下方から当接し、回転部109A、109Bの更なる回転を規制する。第1突出部110に接触した回転部109A、109Bはそれぞれ、スライダー部材14A、14Bの下降を規制して所定高さに位置決めするストッパーとして機能する。
【0055】
第2突出部112A、112Bは、第1突出部110よりも上方に位置する突出部である。第2突出部112A、112Bはそれぞれ、レール90A、90Bの側面から前面側に突出している。第2突出部112A、112Bは第1突出部110とともに、回転部109A、109Bの回動範囲を制限する部材として機能する。
【0056】
図18に示すように、第2突出部112A、112Bの位置は、第2突出部112A、112Bに接触する回転部109A、109Bが、自重による回転トルクで第1突出部110に接触する方向(矢印R3、R4)へ回転するような位置に設定されている。これにより、回転部109A、109Bの回動範囲を第1突出部110と第2突出部112A、112Bの間に制限しながら、回転部109A、109Bが自重による回転トルクで第1突出部110へ当接する状態(図17)まで自動的に戻るようにすることができる。
【0057】
ストッパー機構92の動作について、図20A図20Eを用いて説明する。図20A図20Eはそれぞれ、左側のレール90Bにスライダー部材14Bを通過させたときの一連の状態を示す概略正面図である。スライダー部材14Bに設けた複数の取付金具のうち、最も下方に位置する取付金具48を通過させる場合を例示する。レール90Aにスライダー部材14Aを通過させる場合も同様の動作であるため、説明を省略する。
【0058】
図20Aに示すように、スライダー部材14Bの上端(キャップ部材50(図示せず))をレール90Bの通路102Bに下方から挿入し、スライダー部材14Bを通路102Bに沿って上昇させる。スライダー部材14とともに取付金具48が一体的に上昇する。
【0059】
図20Bに示すように、取付金具48は回転部109Bに下方から接触する。回転部109Bは上方には回転可能であるため、取付金具48の上昇に伴ってレール90Bの開口104Bを開放する方向へ回転する(矢印R5)。
【0060】
図20Cに示すように、回転部109Bは取付金具48の側面に接触した状態で最も開いた状態となる。最も開いた状態の回転部109Bは第2突出部112Bとはわずかに間隔を空けた位置にあり、第2突出部112Bと接触しない。回転部109Bは開口104Bを幅方向W2に開放し、取付金具48およびスライダー部材14Bはさらに上昇する。
【0061】
図20Dに示すように、取付金具48がストッパー機構92を通過すると、回転部109Bは自由状態となり、自重による回転トルクで第1突出部110に当接する方向に回転する(矢印R6)。回転部109Bは第1突出部110に当接し、開口104Bを幅方向W2に閉じる。
【0062】
図20Eに示すように、スライダー部材14Bを下降させると、取付金具48が回転部109Bの上面に当接する。第1突出部110に支持された回転部109Bによって取付金具48の更なる下降が規制され、取付金具48は回転部109Bの上面に乗った状態で停止する。このようにして、スライダー部材14Bの下降を規制して停止させるストッパー機構92を実現することができる。
【0063】
図15図16に戻ると、スライダー固定部94は、レール部材18に挿通された状態のスライダー部材14A、14Bを固定するための部材である。スライダー固定部94は、固定ピン117A、117Bと、支持部118A、118Bと、付勢部材120A、120Bとを備える。
【0064】
スライダー固定部94について、図21図22および図23A図23Cを用いて説明する。図21は、スライダー固定部94を前面側から見た斜視図であり、図22は、スライダー固定部94を後面側から見た斜視図である。図23A図23Cは、スライダー固定部94の使用方法を説明するための概略断面図である。
【0065】
固定ピン117A、117Bはそれぞれ、スライダー部材14A、14Bを固定するためのピンである。固定ピン117A、117Bはそれぞれ先端が湾曲した形状を有し、レール90A、90Bの側面に設けられた貫通孔122A、122B(図23A図23C)に挿入可能である。
【0066】
支持部118A、118Bは、固定ピン117A、117Bを回転可能な状態で支持する部材である。支持部118A、118Bは、レール90A、90Bの後面130に固定されており、固定ピン117A、117Bとともに付勢部材120A、120Bを支持する。
【0067】
付勢部材120A、120Bはそれぞれ、固定ピン117A、117Bを横方向に付勢する部材である。付勢部材120A、120Bはそれぞれ一端が固定ピン117A、117Bに取り付けられ、他端が支持部118A、118Bの側面に取り付けられている。図22に示すように、付勢部材120A、120Bは固定ピン117A、117Bを内側に向けて付勢するように作用する(矢印P)。
【0068】
スライダー固定部94の使用方法に関して、図23A図23Cを用いて説明する。図23A図23Cでは、左側の固定ピン117Aが貫通孔122Aに既に挿入されており、右側の固定ピン117Bを新たに貫通孔122Bに挿入する過程を例示する。
【0069】
図23Aに示すように、右側の固定ピン117Bは先端がレール90A、90Bの後面130側に位置した状態にあり(図22)、付勢部材120Bによってその位置が維持されている。付勢部材120Bの付勢力に反して作業者が固定ピン117Bを右側に引っ張ると、固定ピン117Bは後面130から横方向に離れた位置で回転可能となる。図23Bに示すように、固定ピン117Bの先端は貫通孔122Bと同軸となる位置まで回転できる。この状態で付勢部材120Bの付勢力に伴って固定ピン117Bを左側に戻すと、図23Cに示すように、固定ピン117Bの先端部が貫通孔122Bに挿通される。固定ピン117Bの先端は図示しないスライダー部材14Bの貫通孔にも挿通され、スライダー部材14Bが所定の高さ位置に固定される。
【0070】
ストッパー機構92がスライダー部材14A、14Bの下降を規制するのに対して、スライダー固定部94はスライダー部材14A、14Bの上昇と下降の両方を規制する。これにより、特に朝顔8を高所に設置したときに風の吹き上げによって昇降機構Sが上昇することを抑制することができ、安全性を向上させることができる。
【0071】
図15に戻ると、レール固定部96は、レール部材18を足場2に固定するための部材である。レール固定部96は、固定部材124と、回転軸126と、回転軸受け部128とを備える。
【0072】
固定部材124は、足場2の鉛直単管6を把持することでレール部材18を足場2に固定する部材である。本実施形態の固定部材124は単クランプである。固定部材124には回転軸126が取り付けられており、回転軸126を中心として回転可能である。回転軸126は、レール90A、90Bの上端に固定された回転軸受け部128に回転可能な状態で挿通されている。
【0073】
レール固定部96の機能について、図24図25を用いて説明する。図24は、固定部材124がレール部材18の前面側にある状態を示す概略側面図であり、図25は、固定部材124がレール部材18の後面側にある状態を示す概略側面図である。
【0074】
前述したように、固定部材124は回転軸126を中心として回転可能であり、図24に示す第1の回転位置と、図25に示す第2の回転位置との間で回転可能である(矢印R7)。
【0075】
図24に示す第1の回転位置にある固定部材124は、レール90A、90Bの後面130を含む平面132に対して前面側P1に位置する。図25に示す第2の回転位置にある固定部材124は、レール90A、90Bの後面130を含む平面132に対して後面側P2に位置する。固定部材124がレール90A、90Bの前面側P1と後面側P2の間で回転可能であることで、下方に位置する引っ掛け部98を利用してレール部材18を足場2の鉛直単管6に引っ掛ける際に、固定部材124を干渉しない位置(図24)に配置しながら作業することができる。
【0076】
図16に戻ると、引っ掛け部98は、レール部材18を足場2の鉛直単管6に引っ掛けるための部材である。引っ掛け部98は、一端134と他端136とを有する棒状の部材であり、一端134から他端136に向かって湾曲した形状を有する。引っ掛け部98は一端134から他端136に向かってレール部材18の下端部に向かう方向に傾斜している。一端134はレール90A、90Bの後面130に固定されており、他端136は後面130に対して間隔を空けた位置で終端している。他端136と後面130との間には隙間138が形成される。
【0077】
図16に示す抜け止め部100は、引っ掛け部98に引っ掛けた鉛直単管6の抜け止めとして作用する部材である。抜け止め部100は、レール90A、90Bの後面130から突出する第1突出部140と、第1突出部140からさらに突出する第2突出部142とを備える。第2突出部142は、第1突出部140の幅方向W2の一部をさらに伸ばした形状を有し、引っ掛け部98に引っ掛けた鉛直単管6が隙間138を介して抜けようとする移動(矢印Q)に対して対向する位置に設けられる。
【0078】
上記構成によれば、引っ掛け部98を用いてレール部材18を鉛直単管6に引っ掛けた状態としてから、固定部材124による固定を行うことができる。このため、レール部材18を足場2に固定する際の作業性および安全性を向上させることができる。
【0079】
図26に示すように、固定部材124で固定された鉛直単管6は引っ掛け部98に引っ掛かっており、隙間138を介して抜けようとする方向には抜け止め部100の第2突出部142が対向している。これにより、鉛直単管6の抜け止め機能を実現することができる。
【0080】
ここで、朝顔8の詳細な構成について、図27図33を用いて説明する。
【0081】
図27は、朝顔8の概略構成を示す斜視図であり、図28は、朝顔8の概略構成を示す分解斜視図である。図29は、本体シート144の概略側面図である。
【0082】
図27図28に示すように、朝顔8は、本体シート144と、2枚のサイドシート146、148と、バックシート150と、2つの取付部材152、154(図28)とを備える。図27では、取付部材152、154の図示を省略するとともに、枠材12A、12Bの上面に設けた複数の張設ピン28(図4)の図示も省略する。
【0083】
本体シート144は、朝顔8の本体部分を構成するシートである。図28図29に示すように、本体シート144は1枚のシートを巻回して構成されている。本体シート144は、前方側に開口部156を形成し、後方側に開口部158を形成する。開口部156には取付部材152が配置され、開口部158には取付部材154が配置される。
【0084】
図29に示すように、本体シート144には、リベット176とリベット186が設けられる。前方側のリベット176は、本体シート144を取付部材152に接合するための部材であり、後方側のベット186は、本体シート144を取付部材154に接合するための部材である。後方側のリベット186は、本体シート144の一端部144Aと他端部144Bを接合する機能を兼ねる。
【0085】
サイドシート146、148およびバックシート150はいずれも、本体シート144の上面に取り付けられるシートである。サイドシート146、148は、本体シート144の幅方向の一方側と他方側に接合される(図27の点線参照)。バックシート150は、本体シート144の長さ方の後端部に接合される(一点鎖線参照)。
【0086】
図27図28に示すように、サイドシート146、148はそれぞれ、複数の貫通孔を形成する。サイドシート146は、最も前方側に貫通孔146Aを形成し、最も後方側に貫通孔146Bを形成し、貫通孔146Aと貫通孔146Bの間に3つの貫通孔146Cを形成する。いずれの貫通孔146A、146B、146Cも枠材12Aの張設ピン28が通される。同様に、サイドシート148は、最も前方側に貫通孔148Aを形成し、最も後方側に貫通孔148Bを形成し、貫通孔148Aと貫通孔148Bの間に3つの貫通孔148Cを形成する。いずれの貫通孔148A、148B、148Cも前述した枠材12Bの張設ピン28が通される。
【0087】
バックシート150も同様に、複数の貫通孔150A、150Bを形成する。貫通孔150Aは、バックシート150の後方側に2つ設けられ、貫通孔150Bは、バックシート150の前方側に2つ設けられる。貫通孔150Aには、前述したスライダー部材14A、14Bの取付金具40(図7)が挿通される。貫通孔150Bは、サイドシート146、148の貫通孔146B、148Bに重ねて配置される。
【0088】
図28に示す取付部材152、154は、本体シート144を前述した枠材12A、12Bに取り付けるための部材である。取付部材152は、型材160と、固定金具162と、スライド金具164とを有する。同様に、取付部材154は、型材166と、固定金具168と、スライド金具170とを有する。
【0089】
型材160、166はそれぞれ、開口部156、158に挿通されて、本体シート144の幅方向に延びる。型材160、166のそれぞれの端部には、固定金具162、168と、スライド金具164、170とが取り付けられる。
【0090】
固定金具162、168はそれぞれ、型材160、166の一端部に固定される金具である。スライド金具164、170はそれぞれ、型材160、166の他端部にスライド可能(矢印参照)に固定される金具である。金具162、164、168、170はそれぞれ、貫通孔162A、164A、168A、170Aを形成する。
【0091】
固定金具162の貫通孔162Aは、サイドシート148の貫通孔148Aの下方に重ねて配置され、枠材12Bの最も前方に設けられた張設ピン28が挿通される。スライド金具164の貫通孔164Aは、サイドシート146の貫通孔146Aの下方に重ねて配置され、枠材12Aの最も前方に設けられた張設ピン28が挿通される。
【0092】
固定金具168の貫通孔168Aは、バックシート150の貫通孔150Bとサイドシート148の貫通孔148Bの下方に重ねて配置され、枠材12Bの最も後方に設けられた張設ピン28が挿通される。スライド金具170の貫通孔170Aは、バックシート150の貫通孔150Bとサイドシート146の貫通孔146Bの下方に重ねて配置され、枠材12Aの最も後方に設けられた張設ピン28が挿通される。
【0093】
上記の通り、複数の張設ピン28と取付部材152、154を用いて、各シート144、146、148、150を枠材12A、12Bに支持させることで、図27に示すように一体的な朝顔8が組み立てられる。
【0094】
本実施形態では特に、取付部材152、154にスライド金具164、170を設けることで、足場2の仕様に応じて枠材12A、12B同士の間隔が変化する場合も対応することができる。例えば、インチ単位で設計される足場とメートル単位で設計される足場の両方に対応することができる。
【0095】
図30図31は、取付部材152の一部拡大斜視図である。図30は、型材160とスライド金具164を接続する前の状態を示し、図31は、型材160とスライド金具164を接続した後の状態を示す。
【0096】
図30に示すように、型材160は複数の丸孔172を形成し、スライド金具164は複数の長孔174を形成する。実施形態の丸孔172および長孔174は4つずつ設けられる。
【0097】
図31に示すように、型材160の開口にスライド金具164を挿通させた状態では、それぞれの丸孔172とそれぞれの長孔174とが重なる。この状態で丸孔172のそれぞれにリベット176を挿通して接合することで、型材160とスライド金具164が互いに固定される。
【0098】
図32図33は、型材160に対するスライド金具164の取付位置を表す概略正面図である。図32図33ではリベット176の図示を省略している。
【0099】
図32の取付位置では、スライド金具164は右側にスライドした位置で型材160に固定されている。型材160の丸孔172は、スライド金具164の長孔174における最も左側の領域に対向する。この状態で型材160の周囲に本体シート144(図示せず)が巻かれ、本体シート144もリベット176(図29)によって型材160に接合される。
【0100】
図33の取付位置では、スライド金具164は左側にスライドした位置で型材160に固定されている。型材160の丸孔172は、スライド金具164の長孔174における最も右側の領域に対向する。この状態で型材160の周囲に本体シート144が巻かれ、本体シート144もリベット176によって型材160に接合される。
【0101】
上記構成によれば、型材160に対するスライド金具164の取付位置を調整することで、枠材12A、12B同士の間隔が変化する場合にも対応することができる。図33に示すようにスライド金具164を左側にスライドさせた状態では、図27に示すサイドシート146が延びた状態となるのに対し、図32に示すようにスライド金具164を右側にスライドさせた状態では、サイドシート146が横方向に撓んだ状態となる。型材160自体の位置は変化しないため、型材160にリベット止めされる本体シート144の状態は変化しない。サイドシート146とバックシート150の端部部分のみが横方向に伸び縮みするだけで済む。
【0102】
なお、取付部材152のスライド金具164について説明したが、取付部材154のスライド金具170も同様の構造を有する。図34図35は、取付部材154の一部拡大斜視図である。図34は、型材166とスライド金具170を接続する前の状態を示し、図35は、型材166とスライド金具170を接続した後の状態を示す。
【0103】
図34に示すように、型材166は複数の丸孔182を形成し、スライド金具170は複数の長孔184を形成する。実施形態の丸孔182および長孔184は4つずつ設けられる。
【0104】
図35に示すように、型材166の開口にスライド金具170を挿通させた状態では、それぞれの丸孔182とそれぞれの長孔184とが重なる。この状態で丸孔182のそれぞれにリベット186を挿通して接合することで、型材166とスライド金具170が互いに固定される。この状態で型材166の周囲に本体シート144が巻かれ、本体シート144もリベット186によって型材166に接合される。リベット186は、本体シート144の一端部144Aと他端部144Bを接合する機能を有する(図29)。
【0105】
型材166に対するスライド金具170の取付位置を調整することで、枠材12A、12B同士の間隔が変化する場合にも対応することができる。
【0106】
図28に示す固定部材162、168は、型材160、166に対してスライド固定する機能はなく(例えば丸孔同士をリベット止めする)、型材160、166に対する取付位置は一定である。固定部材162、168の詳細な説明については省略する。
【0107】
上述した昇降機構Sの構成によれば、図1に示すように複数のレール部材18を足場2に設置することで、朝顔8を支持したスライダー部材14A、14Bをレール部材18に通過させて朝顔8を昇降させることができる。また、スライダー部材14A、14Bが通過した後のレール部材18は異なる高さ位置に付け替えることができ、レール部材18の転用が可能である。朝顔8を昇降させる際には、作業者は持ち上げ部材16A、16bを把持して持ち上げることができる。
【0108】
レール部材18にはストッパー機構92を設けているため、朝顔8を支持したスライダー部材14A、14Bを所定の高さ位置で停止させて、朝顔8を所望の高さ位置に設置することができる。図1では、3つの昇降機構Sのうち、左側の2つの昇降機構Sが所定の高さ位置で停止した状態が示される。
【0109】
スライダー部材14A、14Bには複数の取付金具36、38、40、42、44、46、48を設けているが、取付金具48に限らず、任意の取付金具をストッパー機構92に支持させることができる。このため、朝顔8の設置高さを柔軟に選択できる。
【0110】
特に、昇降式を採用することで、枠材12A、12Bに朝顔8を取り付けて昇降機構Sを組み立てる作業を地上で行うことできる。これにより、朝顔8の組立作業を足場上の高所で行う必要がなくなり、安全性が飛躍的に向上する。枠材12A、12Bに朝顔8を取り付ける際には、図4などに示した張設ピン28に通すだけでよいため、ボルト等の部品を用いた固定作業が必要なくなり、朝顔8を容易に組み立てることができる。朝顔8の組立のための部品が簡素化されることで、作業者の熟練度が低い場合であっても朝顔8を容易かつ確実に組み立てることが可能となり、安全性も向上する。
【0111】
上述したように、本実施形態の足場2に設置される朝顔8の昇降機構Sは、スライダー部材14A、14Bと、レール部材18とを備える。スライダー部材14A、14Bは、朝顔8を取り付けた枠材12を支持し、棒状に延びる部材である。レール部材18は、スライダー部材14A、14Bをスライド移動させるための通路102A、102Bを内部に形成する部材であり、所定の取付角度で足場2に取り付けられる。レール部材18の前面91A、91Bには、スライダー部材14A、14Bの一部(本実施形態では取付金具)を通過させるための開口104A、104Bが通路102A、102Bに沿って形成されている。レール部材18はさらに、スライダー部材14A、14Bの下降を規制するストッパー機構92を有する。
【0112】
このような構成によれば、朝顔8を昇降させることで様々な高さ位置に朝顔8を設置することができ、朝顔8の昇降前の組立作業も地上で行うことが可能となる。これにより、現場での設置状況に即して朝顔8を容易かつ安全に設置することができる。
【0113】
また、本実施形態の朝顔8の昇降機構Sでは、レール部材18は、足場の上下方向Zに間隔を空けて複数設けられる。このような構成によれば、複数のレール部材18でスライダー部材14A、14Bを連続的に昇降させることが可能となる。また、スライダー部材14A、14Bを通過させた後のレール部材18を別の場所に付け替えれば、レール部材18を転用していくことができる。
【0114】
また、本実施形態の朝顔8の昇降機構Sでは、レール部材18は、通路102A、102Bおよび開口104A、104Bを形成するレール90A、90Bを備え、レール部材18のストッパー機構92は、回転部109A、109Bと、第1突出部110とを備える。回転部109A、109Bは、レール90A、90Bの前面91A、91Bに沿って回転可能に設けられた部材であり、開口104A、104Bを幅方向W2に塞ぐ位置と開放する位置の間で回転可能である。第1突出部110は、開口104A、104Bを幅方向W2に塞ぐ位置の回転部109A、109Bに対して下方から当接するようにレール90A、90Bの前面91A、91Bから突出する部材である。
【0115】
このような構成によれば、開口104A、104Bを幅方向W2に塞ぐ位置の回転部109A、109Bに対してスライダー部材14A、14Bの一部を下方から当接させると、回転部109A、109Bが上方に回転してスライダー部材14A、14Bを通過させることができる。その後、回転部109A、109Bが元の位置に戻ると第1突出部110によって下方への回転が規制されるため、スライダー部材14A、14Bの下降を規制するストッパーとして機能することができる。
【0116】
また、本実施形態の朝顔8の昇降機構Sでは、レール部材18のストッパー機構92はさらに、レール90A、90Bの前面91A、91Bで第1突出部110とは異なる位置にて突出し、開口104A、104Bを開放する位置の回転部109A、109Bに当接可能な第2突出部112A、112Bを備える。第2突出部112A、112Bの位置は、第2突出部112A、112Bに当接する回転部109A、109Bが自重による回転トルクで第1突出部110に当接する方向へ回転するような位置に設定される。
【0117】
このような構成によれば、回転部109A、109Bを重力の作用で第1突出部110に向けて回転させることができ、回転部109A、109Bを元の位置に自動的に戻すことができる。
【0118】
また、本実施形態の朝顔8の昇降機構Sでは、レール部材18は、通路102A、102Bおよび開口104A、104Bを左右に一対ずつ備え、回転部109A、109Bは、一方の開口104Aを開閉する回転部(第1回転部)109Aと、他方の開口104Bを開閉する回転部(第2回転部)109Bとを備える。第1突出部110は、回転部109Aと回転部109Bに共通して当接する。
【0119】
このような構成によれば、1つの第1突出部110を2つの回転部109A、109Bに兼用することができる。
【0120】
また、本実施形態の朝顔8の昇降機構Sでは、レール部材18は、レール固定部96と、引っ掛け部98とを備える。レール固定部96は、レール90A、90B(本体部)を足場2に固定する部材であり、引っ掛け部98は、レール90A、90Bを足場2に引っ掛ける部材である。
【0121】
このような構成によれば、レール90A、90Bを足場2に引っ掛けた状態としてから足場2の鉛直単管6に固定する等、レール部材18を足場2に固定する際の作業性および安全性を向上させることができる。
【0122】
また、本実施形態の朝顔8の昇降機構Sでは、引っ掛け部98は、レール90A、90Bの後面130に設けられ、レール固定部96は、レール90A、90Bの上端においてレール90A、90Bの後面130を含む平面132に対して、前面側P1と後面側P2の間で回転可能に設けられる。
【0123】
このような構成によれば、引っ掛け部98を用いてレール90A、90Bを足場2に引っ掛ける際に、レール固定部96はレール90A、90Bの前面側P1に配置して干渉しない位置としながら引っ掛け作業を行うことができる。これにより、作業性および安全性を向上させることができる。
【0124】
また、本実施形態の朝顔8の昇降機構Sでは、引っ掛け部98は、一端134がレール90A、90Bの後面130に固定され、一端134から他端136に向けて足場の鉛直単管6に沿うように湾曲して延び、他端136とレール90A、90Bとの間には、鉛直単管6を内側の空間へ案内するための隙間138が形成される。
【0125】
このような構成によれば、引っ掛け部98を簡単な構成で実現することができる。
【0126】
また、本実施形態の朝顔8の昇降機構Sでは、引っ掛け部98は、一端134から他端136に向かって、レール90A、90Bの下端に近付くように傾斜して延びる。
【0127】
このような構成によれば、鉛直単管6を引っ掛け部98の内側の空間に挿入するときと挿入後で、鉛直単管6とレール90A、90Bの相対的な角度を変えることができる。これにより、例えば挿入後に鉛直単管6とレール90A、90Bの隙間を小さくすることができ、レール部材18を精度良く位置決めすることができる。
【0128】
また、本実施形態の朝顔8の昇降機構Sでは、引っ掛け部98に引っ掛けられた鉛直単管6に関する抜け止め部100をレール90A、90Bの後面130に設けている。このような構成によれば、鉛直単管6をより精度良く位置決めすることができる。
【0129】
また、本実施形態の朝顔8の昇降機構Sでは、抜け止め部100は、レール90A、90Bの後面130から突出した第1突出部140と、第1突出部140からさらに突出した第2突出部142とを備える。第2突出部142は、引っ掛け部98に引っ掛けられた鉛直単管6が隙間138に向かう方向に対向する位置に設けられる。
【0130】
このような構成によれば、鉛直単管6の脱落を精度良く防止することができる。
【0131】
また、本実施形態の朝顔8の昇降機構Sでは、レール固定部96は、固定部材124としての単クランプを備える。このような構成によれば、レール固定部96を簡単な構成で実現することができる。
【0132】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。
【0133】
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した特許請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。また、実施形態における要素の組み合わせや順序の変化は、本発明の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明は、足場に設置される朝顔の昇降機構に有用である。
【符号の説明】
【0135】
2 足場
4 足場板
6 鉛直単管
8 朝顔
12、12A、12B 枠材
14、14A、14B スライダー部材
16、16A、16B 持ち上げ部材
18 レール部材
20 横材
22 横材
24 縦材
26 縦材
28 張設ピン
30 固定ピン
32 貫通孔
34 貫通孔
36、38、40、42、44、46、48 取付金具
50 キャップ部材
52 キャップ部材
54 凹部
55 壁部
56 中空空間
57 開口
58 ベース部
60 取付部
62 リベット
64 貫通孔
66 ベース部
68 取付部
68A 第1取付部
68B 第2取付部
70 リベット
72A、72B貫通孔
74 ベース部
76 取付部
78 ボルト取付部
80 リベット
82 貫通孔
84 ボルト穴
86 ボルト
90A、90B レール(本体部)
91A、91B 前面
92 ストッパー機構
94 スライダー固定部
96 レール固定部(固定部)
98 引っ掛け部
100 抜け止め部
102A、102B 通路
104A、104B 開口
106A、106B、108A、108B 端部
109A 回転部(第1回転部)
109B 回転部(第2回転部)
110 第1突出部
112A、112B 第2突出部
114A、114B 回転軸
116A、116B 取付部
117A、117B 固定ピン
118A、118B 支持部
120A、120B 付勢部材
122A、122B 貫通孔
124 固定部材
126 回転軸
128 回転軸受け部
130 後面
132 平面
134 一端
136 他端
138 隙間
140 第1突出部
142 第2突出部
144 本体シート
146 サイドシート
146A、146B、146C 貫通孔
148 サイドシート
148A、148B、148C 貫通孔
150 バックシート
150A、150B 貫通孔
152 取付部材
154 取付部材
156 開口部
158 開口部
160 型材
162 固定金具
162A 貫通孔
164 スライド金具
164A 貫通孔
166 型材
168 固定金具
168A 貫通孔
170 スライド金具
170A 貫通孔
172 丸孔
174 長孔
176 リベット
182 丸孔
184 長孔
186 リベット
S 昇降機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20A
図20B
図20C
図20D
図20E
図21
図22
図23A
図23B
図23C
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35