(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022129949
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】計測装置
(51)【国際特許分類】
G01D 11/24 20060101AFI20220830BHJP
G01H 17/00 20060101ALI20220830BHJP
G01K 1/143 20210101ALI20220830BHJP
H01M 50/247 20210101ALI20220830BHJP
H01M 50/244 20210101ALI20220830BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20220830BHJP
【FI】
G01D11/24 B
G01H17/00 D
G01K1/143
H01M50/247
H01M50/244 A
H01M50/204 101
G01D11/24 W
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021028843
(22)【出願日】2021-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000137889
【氏名又は名称】株式会社ミヤワキ
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【弁理士】
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】吉川 成雄
【テーマコード(参考)】
2F056
2G064
5H040
【Fターム(参考)】
2F056CA06
2F056CA08
2G064AA01
2G064AA11
2G064AB02
2G064BA02
2G064BD02
5H040AA03
5H040AS22
5H040AT01
5H040AY05
5H040CC05
5H040CC13
5H040DD08
5H040DD09
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】製造時およびメインテナンス時のコスト上昇を抑えながら、高い耐候性を有する計測装置を提供する。
【解決手段】計測装置は、プローブ部と本体部とを備える。プローブ部は、振動プローブと温度プローブとを有する。本体部は、振動プローブおよび温度プローブと信号接続された回路基板と、回路基板に電力を供給する電池ユニット110と、回路基板および電池ユニット110を収容する本体ケースを有する。本体ケースは、回路基板が収容される領域と電池ユニット110が収容される領域とを仕切る仕切壁を有する。電池ユニットは、4つの電池110bと、電池110bを液密状態で収容する電池ケースと、電池ケースの内壁面に形成された断熱層123,124とを有する。断熱層123は、電池ケースを構成するケース部材110cの内壁面に形成され、断熱層124は、電池ケースを構成する蓋部材110dの内壁面に形成されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測対象物の振動の強度および表面温度の少なくとも一方を検出するプローブと、
前記プローブと信号接続された回路基板、当該回路基板に電力を供給する電池ユニット、および前記回路基板と前記電池ユニットとを収容する本体ケースを有する本体部と、
を備え、
前記本体ケースは、前記回路基板が収容される領域と前記電池ユニットが収容される領域とを仕切る仕切壁を有し、
前記電池ユニットは、電池、前記電池を液密状態で収容する電池ケース、および前記電池ケースの内壁面に形成された断熱層を有する、
計測装置。
【請求項2】
請求項1に記載の計測装置において、
前記電池ユニットにおいて、前記断熱層は、前記電池の周囲全体を覆うように形成されている、
計測装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の計測装置において、
前記本体部は、前記本体ケース内において、前記電池ユニットが収容される領域を塞ぐように配設される電池収容領域蓋部材をさらに有する、
計測装置。
【請求項4】
請求項3に記載の計測装置において、
前記回路基板が収容される領域と前記電池ユニットが収容される領域とは、前記仕切壁を挟んだ状態で水平方向に隣接しており、
前記電池収容領域蓋部材と、前記仕切壁および前記本体ケースの内壁面との間には、パッキンが介挿されており、
前記パッキンにおける鉛直方向の上部には、前記電池ユニットから前記回路基板への電力供給経路である配線を通すための溝部が形成されている、
計測装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れかに記載の計測装置において、
前記断熱層を第1断熱層とするとき、
前記本体部は、前記回路基板が収容される領域と前記電池ユニットが収容される領域との周囲全体を覆うように形成された第2断熱層をさらに有する、
計測装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れかに記載の計測装置において、
前記本体ケースは、前記回路基板が収容される領域において、内壁面から突設された柱状のボス部をさらに有し、
前記回路基板は、前記ボス部の先端に取り付けられることで、前記本体ケースの前記内壁面から離間している、
計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測装置に関し、特に蒸気や復水が流れるスチームトラップやスチーム配管等を計測対象とする計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気が流通する配管設備から復水(ドレン)のみを排出する用途に用いられるスチームトラップが知られている。また、当該スチームトラップの振動の強度および表面温度を計測し、それらの相互関係から蒸気漏れの有無を診断することが行われている。このような診断には、スチームトラップ等の振動の強度を計測するための振動プローブと、スチームトラップ等の表面温度を計測するための温度プローブとを備える計測装置が用いられる。
【0003】
ここで、計測装置としては、作業者が携帯する可搬タイプのものと、スチームトラップ等に振動プローブや温度プローブが固定された設置タイプのものとがある。特許文献1には、設置タイプの計測装置が開示されている。
【0004】
設置タイプの計測装置は、振動プローブや温度プローブの他に、スチームトラップ等から離間した場所に配置される本体部を備える。本体部の本体ケースには、振動プローブおよび温度プローブで計測された各信号を演算処理する回路基板、および電源となる電池ユニットが収容されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
設置タイプの計測装置は、屋内に限らず屋外に配設されたスチームトラップやスチーム配管に取り付けられる場合もある。このため、計測装置は、屋外のスチームトラップ等に固定される場合には、外気温や湿度などの環境変化の影響を受けることになる。このような環境変化は、本体部のケースに収容された電池にも影響を及ぼす。例えば、電池では、環境変化により電解液漏れを生じたり、劣化が早まったりすることが考えられる。
【0007】
電池から電解液が漏れた場合には、同じ本体ケースに収容されている回路基板に電解液が付着してしまうこともあり、当該場合には回路基板でパーシャルショートが発生することとなる。また、電池の劣化が早まると、電池交換の頻度が上がり、メインテナンスに係るコストが上昇してしまうことになる。
【0008】
従来においては、上記のような問題に対して、高い耐候性を有する特殊な電池を用いるなどがなされていた。
【0009】
しかしながら、高い耐候性を有する特殊な電池を用いる場合には、計測装置を導入する際のイニシャルコストの上昇を招くばかりではなく、電池交換でのランニングコストの上昇も招いてしまうことになる。
【0010】
本発明は、上記のような問題の解決を図ろうとなされたものであって、製造時およびメインテナンス時のコスト上昇を抑えながら、高い耐候性を有する計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様に係る計測装置は、プローブと本体部とを備える。前記プローブは、計測対象物の振動の強度および表面温度の少なくとも一方を検出する。前記本体部は、前記プローブと信号接続された回路基板、当該回路基板に電力を供給する電池ユニット、および前記回路基板と前記電池ユニットとを収容する本体ケースを有する。前記本体ケースは、前記回路基板が収容される領域と前記電池ユニットが収容される領域とを仕切る仕切壁を有する。前記電池ユニットは、電池、前記電池を液密状態で収容する電池ケース、および前記電池ケースの内壁面に形成された断熱層を有する。
【0012】
上記態様に係る計測装置では、本体ケースが仕切壁を有する。このため、本体ケース内は、仕切壁により回路基板が収容される領域と電池ユニットが収容される領域とが仕切られている。この構成を採用することにより、上記態様に係る計測装置では、仮に電池ユニットに含まれる電池から液漏れが生じたとしても、漏れた電解液が回路基板が収容された領域へと侵入するのを抑制することができる。
【0013】
また、上記態様に係る計測装置では、電池ユニットにおける電池ケースの内壁面に断熱層が形成されている。このため、電池ケース内に収容された電池は、外部環境の変化の影響を受け難い。よって、上記態様に係る計測装置では、高い耐候性を有する特殊な電池を採用しなくても、外部環境の変化による電池からの電解液が漏れ出すような事態の発生を抑制することができる。
【0014】
従って、上記態様に係る計測装置では、製造時およびメインテナンス時のコスト上昇を抑えながら、高い耐候性を有する。
【0015】
上記態様に係る計測装置において、前記電池ユニットにおいて、前記断熱層は、前記電池の周囲全体を覆うように形成されている、ことにしてもよい。
【0016】
上記態様に係る計測装置では、電池ケースにおいて、収容されている電池の周囲全体を覆うように断熱層が形成されている。このため、上記態様に係る計測装置では、電池ユニットにおける全ての電池について、外部環境の変化による影響を抑えることができる。よって、上記態様に係る計測装置では、電池ユニットに含まれる全ての電池が外部環境の影響を受け難い。
【0017】
上記態様に係る計測装置において、前記本体部は、前記本体ケース内において、前記電池ユニットが収容される領域を塞ぐように配設される電池収容領域蓋部材をさらに有する、ことにしてもよい。
【0018】
上記態様に係る計測装置では、本体ケース内の電池ユニットが収容される領域を塞ぐ電池収容領域蓋部材を有する。このため、仮に電池ユニットに含まれる電池から電解液が漏れたとしても、漏れ出した電解液が回路基板が収容された領域へと侵入するのを電池収容領域蓋部材によって確実に抑制することができる。よって、上記態様に係る計測装置では、仮に電池から電解液が漏れ出しても、回路基板に付着することが抑制され、回路基板でのパーシャルショートの発生を抑制することができる。
【0019】
上記態様に係る計測装置において、前記回路基板が収容される領域と前記電池ユニットが収容される領域とは、前記仕切壁を挟んだ状態で水平方向に隣接しており、前記電池収容領域蓋部材と、前記仕切壁および前記本体ケースの内壁面との間には、パッキンが介挿されており、前記パッキンにおける鉛直方向の上部には、前記電池ユニットから前記回路基板への電力供給経路である配線を通すための溝部が形成されている、ことにしてもよい。
【0020】
上記態様に係る計測装置では、電池収容領域蓋部材と仕切壁および本体ケースの内壁面との間にパッキンが介挿されている。このため、本体ケース内における電池ユニットが収容された領域は、高い密閉性が確保されている。よって、上記態様に係る計測装置では、電池ユニットが収容された領域に対して外部から水分が侵入するのを抑制することができるとともに、仮に電池から電解液が漏れ出したとしても、回路基板が収容された領域に対して電解液が侵入するのを抑制することができる。
【0021】
また、上記態様に係る計測装置では、電池ユニットと回路基板との間の電力供給経路である配線が、パッキンにおける鉛直方向の上部に設けられた溝部を通って配されている。このため、仮に電池から電解液が漏れ出したとしても当該電解液は電池ユニットを収容する領域の鉛直方向の下部に落下するため、パッキンに設けられた溝部から回路基板が収容された領域へと侵入するのを抑制することができる。
【0022】
上記態様に係る計測装置において、前記断熱層を第1断熱層とするとき、前記本体部は、前記回路基板が収容される領域と前記電池ユニットが収容される領域との周囲全体を覆うように形成された第2断熱層をさらに有する、ことにしてもよい。
【0023】
上記態様に係る計測装置では、本体部が第2断熱層を有する。第2断熱層は、回路基板が収容された領域と電池ユニットが収容された領域との周囲全体を覆うように形成されている。よって、上記態様に係る計測装置では、回路基板の周囲が第2断熱層で覆われ、外部環境の変化によって回路の動作が阻害されることが防がれる。また、回路基板が結露などによってパーシャルショートすることも抑制される。
【0024】
また、上記態様に係る計測装置では、電池ユニットの電池は2重の断熱層(断熱層、第2断熱層)で周囲が覆われている。このため、上記態様に係る計測装置では、高い耐候性を有する特殊な電池を採用しなくても、外部環境の変化による電池からの電解液が漏れ出すような事態の発生を抑制するのにさらに優位である。
【0025】
上記態様に係る計測装置において、前記本体ケースは、前記回路基板が収容される領域において、内壁面から突設された柱状のボス部をさらに有し、前記回路基板は、前記ボス部の先端に取り付けられることで、前記本体ケースの前記内壁面から離間している、ことにしてもよい。
【0026】
上記態様に係る計測装置では、回路基板が本体ケースの内壁面から離間して配置されている。よって、仮に電池から漏れ出した電解液が回路基板が収容された領域へと侵入したとしても、電解液は仕切壁から内壁面を伝うので、電解液が回路基板に付着するのを効果的に抑制することができる。また、外部環境の変化、特に気温の変化に伴って本体ケースの内壁面で結露が生じたとしても、結露による水分が回路基板に付着するのを抑制することができる。よって、上記態様に係る計測装置では、回路基板のパーシャルショートの発生をより効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0027】
上記の各態様に係る計測装置では、製造時およびメインテナンス時のコスト上昇を抑えながら、高い耐候性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の実施形態に係る計測装置の構成を示す斜視図である。
【
図3】(a)は本体部の外観構成を示す斜視図、(b)は蓋体を取り外した状態で本体部を示す斜視図である。
【
図4】蓋体および電池収容部蓋体を取り外した状態で本体部を示す斜視図である。
【
図5】
図3(a)のV-V線断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下では、本発明の実施形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明の一例であって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
【0030】
以下の説明で用いる図において、「Up」は鉛直方向の上方、「Lo」は鉛直方向の下方をそれぞれ示す。
【0031】
1.計測装置1の構成
本発明の実施形態に係る計測装置1の構成について、
図1を用いて説明する。
【0032】
図1に示すように、計測装置1は、本体部10と、プローブ部11と、フレキシブルチューブ12と、ブラケット13と、U字ボルト14と、ナット15とを備える。プローブ11は、振動プローブおよび温度プローブを有し、それぞれのプローブの先端(下端)がスチーム配管500の表面500aに直に当接している。
【0033】
本体部10は、プローブ部11に対して上方に配置されており、フレキシブルチューブ12によってプローブ部11に接続されている。フレキシブルチューブ12は、金属材料(例えば、ステンレス鋼)によって形成されている。プローブ部11に対してフレキシブルチューブ12によって接続された本体部10は、フレキシブルチューブ12の屈曲状態により任意の位置および姿勢を維持することができる。
【0034】
ブラケット13は、スチーム配管500の管軸Ax500および鉛直方向の双方に対して略直交する方向に延びるように形成されている。ブラケット13は、プローブ部11の下部に固定されている。
【0035】
プローブ部11は、略柱状の外観形状を有し、鉛直方向の上向きに延びるように配設されている。
【0036】
なお、本実施形態に係る計測装置1が取り付けられるスチーム配管500は、スチームトラップの入り口部分に配置されている。
【0037】
2.プローブ部11の構成
プローブ部11の構成について、
図2を用いて説明する。
【0038】
図2に示すように、プローブ部11は、円筒形状を有するケース部材111と、ケース部材111の上部開口を塞ぐように配設された蓋部材112と、ケース部材111の下部開口を塞ぐように配設された底壁部材113とからなるプローブケースを有する。プローブケース内には、センサケース114と、振動プローブ115と、温度プローブ116とが収容されている。振動プローブ115は、先端(下端)115aが底壁部材113の開口を挿通してスチーム配管500の表面500aに直に当接している。温度プローブ116も、先端(下端)116aが底壁部材113の開口を挿通してスチーム配管500の表面500aに直に当接している。
【0039】
振動プローブ115と温度プローブ116とは、スチーム配管500の管軸Ax500に沿って互いに間隔を空けた状態で並設されており、それぞれの下端115a,116aが管軸Ax500を指向するように配設されている。
【0040】
センサケース114は、プローブケース内の空間における鉛直方向の上部に配置されている。センサケース114には、振動プローブ115および温度プローブ116の各上部が挿入されている。そして、振動プローブ115および温度プローブ116は、センサケース114に固定されている。振動プローブ115は、センサケース114内に振動センサ115bを有する。
【0041】
振動プローブ115および温度プローブ116の各上部からは、配線117,118が延出されている。配線117,118は、フレキシブルチューブ12内を通り本体部10まで延びている。
【0042】
3.本体部10の構成
本体部10の構成について、
図3から
図5を用いて説明する。
【0043】
図3(a)に示すように、本体部10は、ケーブ部材101と蓋部材102とによって形成された本体ケースを有する。ケース部材101と蓋部材102とは、4本のビス103により液密に結合されている。
図3(b)に示すように、ケース部材101は、四隅にビス103と螺合する雌ネジ部101cを有する。また、ケース部材101の開口縁には、パッキン104が配設されている。パッキン104は、ケース部材101に蓋部材102を重ね、ビス103で結合させた場合に、ケース部材101と蓋部材102との間で弾性変形してケース部材101と蓋部材102との間の隙間を塞ぐ。
【0044】
図3(b)および
図4に示すように、ケース部材101では、外周壁101aと内周壁101bとの2重壁構造で周壁が構成されている。外周壁101aと内周壁101bとの間には隙間が空いており、当該隙間には断熱層(第2断熱層)108が挿設されている。また、
図5に示すように、ケース部材101では、外底壁101gと内底壁101hとの2重壁構造で底壁が構成されている。外底壁101gと内底壁101hとの間にも隙間が空いており、当該隙間には断熱層(第2断熱層)121が挿設されている。
【0045】
さらに、
図5に示すように、蓋部材102の内側にも断熱層(第2断熱層)120が形成されている。即ち、本実施形態では、本体ケースの内方空間は、周囲全体が断熱層(第2断熱層)108,120,121により覆われている。
【0046】
図3(b)、
図4、および
図5に示すように、ケース部材101は、本体ケースの内方空間を仕切る仕切壁101dを有する。
図4および
図5に示すように、本体ケースの内方空間における仕切壁101dで仕切られた一方の領域には、回路基板105が収容され、他方の領域には電池ユニット110が収容されている。仕切壁101dを挟んで隣接する回路基板105が収容された領域と、電池ユニット110が収容された領域とは略水平方向に隣接している。
図3(b)および
図5に示すように、本体ケースにおける電池ユニット110が収容された領域は、電池収容領域蓋部材106により開口が塞がれている。
図4および
図5に示すように、ケース部材101における仕切壁101dおよび内周壁101bには、電池ユニット110が収容された領域の開口縁にパッキン109が配設されている。電池収容領域蓋部材106は、パッキン109を間に介挿した状態で電池ユニット110が収容された領域の開口縁を塞ぐように配され、
図3(b)に示すように、2本のビス107で固定されている。これによって、電池ユニット110が収容された領域の液密状態が構成される。
【0047】
なお、
図3(b)および
図4に示すように、電池ユニット110が収容される領域の開口縁よりもケース部材101の開口縁に近い部分には、内周壁101bから開口側に突出した凸部101eが形成されている。電池収容領域蓋部材106は、ケース部材101の内周壁101b側において、凸部101eとパッキン107との間で挟持される。このような構造を採用することにより、電池収容領域蓋部材の固定に際して、四隅をビス止めするのではなく、2箇所のビス止めでよいので、作業性の向上を図ることができる。
【0048】
図5に示すように、電池ユニット110が収容される領域に対しては、仕切壁101dおよび内周壁101bから突出するリブ部101iが形成されている。電池ユニット110は、電池110bを収容するケース部材110cが仕切壁101dから突出するリブ部101iと内周壁101bから突出するリブ部101iとで挟持される。これにより、本体部10に対して振動などが作用した場合にあっても、本体ケース内での電池ユニット110の動きが制限される。
【0049】
図4および
図5に示すように、電池ユニット110からは、配線110aが延出されている。配線110aは、電池110bから回路基板105への電力供給経路である。配線110aは、回路基板105に対してコネクタ105aで接続されている。パッキン109には、計測装置1の設置時に鉛直方向の上部となる部分に溝部109aが形成されている。配線110aは、溝部109aを通過してパッキン109を横断するように配策されている。
【0050】
図5に示すように、ケース部材101の内底壁101hからは、ケース部材101の開口側に向けて2本のボス部122が立設されている。2本のボス部122は、互いに同じ高さをもって形成されている。回路基板105は、2本のボス部122の先端(頂部)にビスなどで固定されている。
【0051】
4.電池ユニット110の構成
電池ユニット110の構成について、
図6を用いて説明する。
【0052】
図6に示すように、電池ユニット110の外装を構成する電池ケースは、ケース部材110cと蓋部材110dとによって構成されている。
【0053】
ケース部材110cの開口縁には、パッキン125が配設されている。ケース部材110cと蓋部材110dとの結合において、パッキン125は弾性変形した状態で間に介挿される。これにより、ケース部材110cと蓋部材110dとは、液密状態で結合される。
【0054】
ケース部材110cの内側には断熱層(第1断熱層)123が形成され、蓋部材110dの内側には断熱層(第1断熱層)124が形成されている。ケース部材110cと蓋部材110dとの結合により構成される電池ケースの内方空間は、周囲全体が断熱層123,124により覆われる。
【0055】
図6の拡大部分に矢印A,Bで示すように、断熱層123と断熱層124とが突き合わされる部分では、断熱層123も断熱層124も圧縮された状態となっている(圧縮部123a,124a)。これにより、高い断熱性を得ることができる。
【0056】
電池ケースの内方には、複数の(一例として4本の)電池110bが収容されている。電池110bは、例えば、LR20(単一型アルカリマンガン一次電池)である。4本の電池110bは、図示を省略する接続リードにより直列または並列、あるいは直並列に接続されている。なお、電池110bは、断熱層123,124に対して略隙間ない状態で電池ケース内に収容されている。
【0057】
5.効果
本実施形態に係る計測装置1では、本体部10におけるケース部材101が仕切壁101dを有する。このため、ケース部材101と蓋部材102との組み合わせで構成される本体ケースの内方空間は、仕切壁101dにより回路基板105が収容される領域と電池ユニット110が収容される領域とが仕切られている。よって、計測装置1では、仮に電池ユニット110に含まれる電池110bから液漏れが生じたとしても、漏れた電解液が回路基板105が収容された領域へと侵入するのを抑制することができる。
【0058】
また、計測装置1では、電池ユニット110におけるケース部材110cおよび蓋部材110dの内側に断熱層123,124が形成されている。このため、ケース部材110cと蓋部材110dとの組み合わせで構成される電池ケースの内方空間に収容された電池110bは、外部環境の変化の影響を受け難い。よって、計測装置1では、高い耐候性を有する特殊な電池を採用しなくても、外部環境の変化による電池110bからの電解液が漏れ出すような事態の発生を抑制することができる。
【0059】
計測装置1では、電池ユニット110において、電池ケースの内方空間に収容されている電池110bの周囲の略全体を覆うように断熱層123,124が形成されている。このため、計測装置1では、電池ユニット110における全ての電池110bについて、外部環境の変化による影響を抑えることができる。よって、計測装置1では、電池ユニット110に含まれる全ての電池110bが外部環境の影響を受け難い。
【0060】
計測装置1では、本体ケース内における電池ユニット110が収容される領域を塞ぐ電池収容領域蓋部材106を有する。このため、仮に電池ユニット110に含まれる電池110bから電解液が漏れたとしても、漏れ出した電解液が回路基板105が収容された領域へと侵入するのを電池収容領域蓋部材106によって確実に抑制することができる。よって、計測装置1では、仮に電池110bから電解液が漏れ出しても、回路基板105に付着することが抑制され、回路基板105でのパーシャルショートの発生を抑制することができる。
【0061】
計測装置1では、電池収容領域蓋部材106と仕切壁101dおよびケース部材101の内壁面101bとの間にパッキン109が介挿されている。このため、本体ケース内における電池ユニット110が収容された領域は、高い密閉性(液密性)が確保されている。よって、計測装置1では、電池ユニット110が収容された領域に対して外部から水分が侵入するのを抑制することができるとともに、仮に電池110bから電解液が漏れ出したとしても、回路基板105が収容された領域に対して電解液が侵入するのを抑制することができる。
【0062】
また、計測装置1では、電池ユニット110と回路基板105との間の電力供給経路である配線110aが、パッキン109における鉛直方向の上部に設けられた溝部109aを通って配されている。このため、仮に電池110bから電解液が漏れ出したとしても当該電解液は電池ユニット110を収容する領域の鉛直方向の下部に落下するため、パッキン109に設けられた溝部109aから回路基板105が収容された領域へと侵入するのを抑制することができる。
【0063】
計測装置1では、本体部10のケース部材101および蓋部材102の各内側に断熱層108,120,121が形成されている。断熱層108,120,121は、回路基板105が収容された領域と電池ユニット110が収容された領域との周囲全体を覆うように形成されている。よって、計測装置1では、回路基板105の周囲全体が断熱層108,120,121で覆われ、外部環境の変化によって回路の動作が阻害されることが防がれる。また、回路基板105が結露などによってパーシャルショートすることも抑制される。
【0064】
また、計測装置1では、電池ユニット110の電池110bは電池ケースに形成された断熱層123,124と本体ケースに形成された断熱層108,120,121との2重の断熱層123,124,108,120,121で周囲が覆われている。このため、計測装置1では、高い耐候性を有する特殊な電池を採用しなくても、外部環境の変化による電池110bからの電解液が漏れ出すような事態の発生を抑制するのにさらに優位である。
【0065】
計測装置1では、本体ケースのケース部材101の内底壁101hからボス部122が立設され、当該ボス部122の頂部に回路基板105が固定されている。このため、計測装置1では、回路基板105がケース部材101の内底壁101hおよび内周壁101bから離間して配置されている。よって、仮に電池110bから漏れ出した電解液が回路基板105が収容された領域へと侵入したとしても、電解液は仕切壁101dを伝って内周壁101bへ落下するので、電解液が回路基板105に付着するのを効果的に抑制することができる。また、外部環境の変化、特に気温の変化に伴って本体ケースにおける内周壁101bや内底壁101hの内壁面で結露が生じたとしても、結露による水分が回路基板105に付着するのを抑制することができる。よって、計測装置1では、回路基板105のパーシャルショートの発生をより効果的に抑制することができる。
【0066】
以上のように、本実施形態に係る計測装置1では、製造時およびメインテナンス時のコスト上昇を抑えながら、高い耐候性を有する。
【0067】
[変形例]
上記実施形態では、本体ケースを構成するケース部材101および蓋部材102のそれぞれの内側にも断熱層108,120,121を形成することとしたが、本発明は、これら断熱層108,120,121は必須の構成ではない。
【0068】
上記実施形態では、回路基板105をボス部122の頂部に固定することで、回路基板105をケース部材101の内底壁101hなどから離間して配置することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、回路基板をケース部材の内周壁や内底壁に直に固定することにしてもよいし、蓋部材に固定することにしてもよい。
【0069】
上記実施形態では、電池ユニット110に4本の電池(LR20)110bを有する構成としたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、電池の数については、3本以下でもよいし、5本以上でもよい。また、電池の種類については、LR14やLR6などを採用することや、充電可能な二次電池を用いることも可能である。
【0070】
上記実施形態では、電池ユニット110から演出された配線110aがパッキン109に形成された溝部109aを通るように配策された構成を採用したが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、仕切壁の両主面間を挿通するようにリードを設け、その両端部のそれぞれにコネクタを設けることとしてもよい。この場合には、一方のコネクタに電池ユニットから延出された配線を接続し、他方のコネクタに回路基板から延出された配線を接続することになる。よって、このような構成を採用する場合には、パッキンに溝部を形成する必要がなく、仮に電池から電解液が漏れ出したとしても、当該電解液が回路基板が収容された領域へと侵入するのをより確実に防ぐことができる。
【0071】
また、上記実施形態では、配線110aがパッキン109の溝部109aを通過する部分に特に防水対策を施していないが、例えば、配線における溝部を通過する部分に別途のパッキンを取り付けることにしてもよい。
【0072】
上記実施形態では、電池ケースや本体ケースの各嵌合部分にパッキン104,125を介挿することで防水性の向上を図ることとしたが、本発明は、これに加えて、所謂、ラビリンスシール構造を、それぞれのケースを構成するケース部材と蓋部材との嵌合部分に適用することにしてもよい。
【0073】
上記実施形態では、プローブ部11をスチーム配管500に固定することとしたが、スチームトラップに固定することにしてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 計測装置
10 本体部
11 プローブ部
101 ケース部材
101a 外周壁
101b 内周壁
101d 仕切壁
101g 外底壁
101h 内底壁
102 蓋部材
104,109,125 パッキン
108,120,121,123,124 断熱層
109a 溝部
110 電池ユニット
110a 配線
110b 電池
110c ケース部材
110d 蓋部材
123a,124a 圧縮部