(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022129968
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】皮剥補助具
(51)【国際特許分類】
H02G 1/12 20060101AFI20220830BHJP
B26B 27/00 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
H02G1/12 026
B26B27/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021028870
(22)【出願日】2021-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000141060
【氏名又は名称】株式会社関電工
(71)【出願人】
【識別番号】591083772
【氏名又は名称】株式会社永木精機
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】樺澤 猛
(72)【発明者】
【氏名】伊形 竜太
(72)【発明者】
【氏名】木村 昌博
(72)【発明者】
【氏名】大田和 健
(72)【発明者】
【氏名】後藤 政則
(72)【発明者】
【氏名】岩田 伸也
【テーマコード(参考)】
3C061
5G353
【Fターム(参考)】
3C061AA26
3C061EE22
5G353AA01
5G353CA01
5G353DA06
5G353EA09
5G353EA12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】芯線の撚りがほどけるのを抑制可能で、かつ、製品寿命の長い皮剥補助具を提供する。
【解決手段】皮剥補助具1は、被覆線Wを皮剥することにより得られる芯線Cを受け入れる筒部材2と、筒部材に取り付けられる第1ストッパー部材3とを具備する。第1ストッパー部材は、芯線の端面Pに当接する第1接触面31を備える。第1接触面は、筒部材に対して、筒部材の長手方向軸AXまわりに回転自在である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆線を皮剥することにより得られる芯線を受け入れる筒部材と、
前記筒部材に取り付けられる第1ストッパー部材と
を具備し、
前記第1ストッパー部材は、前記芯線の端面に当接する第1接触面を備え、
前記第1接触面は、前記筒部材に対して、前記筒部材の長手方向軸まわりに回転自在である
皮剥補助具。
【請求項2】
前記第1ストッパー部材の全体が、前記筒部材に対して、前記長手方向軸まわりに回転自在である
請求項1に記載の皮剥補助具。
【請求項3】
前記第1ストッパー部材は、
前記筒部材に配置された凸部に摺動可能に係合する環状凹部を備えるか、または、
前記筒部材の第1部分と、前記筒部材の第2部分との間に遊嵌されている
請求項1または2に記載の皮剥補助具。
【請求項4】
前記筒部材に取り付けられる第2ストッパー部材を更に具備し、
前記第2ストッパー部材は、第2接触面を備え、
前記第2接触面は、前記筒部材に対して、前記長手方向軸まわりに回転自在であり、
前記第2ストッパー部材は、前記第1ストッパー部材よりも前記筒部材の基端側または先端側に配置され、
前記第1ストッパー部材または前記第2ストッパー部材は、細径芯線の通過を許容し、大径芯線の通過を制限する貫通孔を有する
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の皮剥補助具。
【請求項5】
前記貫通孔を規定する壁面は、前記筒部材の先端に向かうにつれて内径が小さくなる傾斜面を含む
請求項4に記載の皮剥補助具。
【請求項6】
皮剥器本体から排出される被覆層の落下を防止する落下防止部材を更に具備する
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の皮剥補助具。
【請求項7】
前記落下防止部材は、
第1落下防止部材と、
第2落下防止部材と
を含み、
前記第2落下防止部材は、前記第1落下防止部材よりも前記皮剥器本体から遠い位置に配置される
請求項6に記載の皮剥補助具。
【請求項8】
前記落下防止部材を、前記皮剥器本体に向けて付勢する付勢部材を更に具備し、
前記落下防止部材は、前記被覆線から剥ぎ取られた前記被覆層との当接により、前記付勢部材の付勢力に抗して前記皮剥器本体から離れる方向に位置変更可能である
請求項6または7に記載の皮剥補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮剥補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
被覆線を皮剥して芯線を露出させる被覆線皮剥器が知られている。被覆線は、例えば、高圧引下用架橋ポリエチレン絶縁電線(PDC:Plane transformer Drop wire Crosslinked polyethylene、以下、PD線と記載することがある。)等である。
【0003】
関連する技術として、特許文献1には、被覆線の端末皮剥器が記載されている。特許文献1に記載の端末皮剥器は、被覆排出口に切削刃が固定された皮剥器本体と、皮剥器本体に取付けられるガイド筒とを備える。当該ガイド筒は、被覆線が挿入される被覆線ガイド孔を有する。被覆線の被覆層剥ぎ取り作業に際しては、まず、被覆線の径の大きさに応じたガイド筒が選択され、選択されたガイド筒が皮剥器本体に取り付けられる。その後、被覆線がガイド筒の被覆線ガイド孔に挿入される。挿入された被覆線を回転させながら圧入していくことにより、被覆線の被覆層が、切削刃によって、螺旋状に切削される。切削された切削屑は、被覆排出口から排出される。
【0004】
また、特許文献1に記載の端末皮剥器は、皮剥器本体の出口側に取付けられる芯線用筒体を備え、当該芯線用筒体の内部に円柱状のストッパー本体が配置されている。当該ストッパー本体は、芯線用筒体の軸方向に進退動可能であり、ストッパー本体の位置を調節することにより、露出する芯線の長さが調節される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
芯線は、一般的には、撚り線である。特許文献1に記載の端末皮剥器において、芯線がストッパー本体に対して軸方向まわりに相対回転しつつストッパー本体に当接すると、当該芯線の撚りがほどけて、芯線が径方向に拡がる。芯線が径方向に拡がると、芯線を他の部材(例えば、接続スリーブ)に接続する作業が困難となるおそれがある。また、芯線がストッパー本体に対して軸方向まわりに相対回転しつつストッパー本体に当接すると、芯線とストッパー本体との間の摺動により、ストッパー本体が摩耗する。その結果、ストッパー本体を含む製品の寿命が短くなるおそれがある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、芯線の撚りがほどけるのを抑制可能で、かつ、製品寿命の長い皮剥補助具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下に示す、皮剥補助具に関する。
【0009】
(1)被覆線を皮剥することにより得られる芯線を受け入れる筒部材と、
前記筒部材に取り付けられる第1ストッパー部材と
を具備し、
前記第1ストッパー部材は、前記芯線の端面に当接する第1接触面を備え、
前記第1接触面は、前記筒部材に対して、前記筒部材の長手方向軸まわりに回転自在である
皮剥補助具。
(2)前記第1ストッパー部材の全体が、前記筒部材に対して、前記長手方向軸まわりに回転自在である
上記(1)に記載の皮剥補助具。
(3)前記第1ストッパー部材は、
前記筒部材に配置された凸部に摺動可能に係合する環状凹部を備えるか、または、
前記筒部材の第1部分と、前記筒部材の第2部分との間に遊嵌されている
上記(1)または(2)に記載の皮剥補助具。
(4)前記筒部材に取り付けられる第2ストッパー部材を更に具備し、
前記第2ストッパー部材は、第2接触面を備え、
前記第2接触面は、前記筒部材に対して、前記長手方向軸まわりに回転自在であり、
前記第2ストッパー部材は、前記第1ストッパー部材よりも前記筒部材の基端側または先端側に配置され、
前記第1ストッパー部材または前記第2ストッパー部材は、細径芯線の通過を許容し、大径芯線の通過を制限する貫通孔を有する
上記(1)乃至(3)のいずれか一つに記載の皮剥補助具。
(5)前記貫通孔を規定する壁面は、前記筒部材の先端に向かうにつれて内径が小さくなる傾斜面を含む
上記(4)に記載の皮剥補助具。
(6)皮剥器本体から排出される被覆層の落下を防止する落下防止部材を更に具備する
上記(1)乃至(5)のいずれか一つに記載の皮剥補助具。
(7)前記落下防止部材は、
第1落下防止部材と、
第2落下防止部材と
を含み、
前記第2落下防止部材は、前記第1落下防止部材よりも前記皮剥器本体から遠い位置に配置される
上記(6)に記載の皮剥補助具。
(8)前記落下防止部材を、前記皮剥器本体に向けて付勢する付勢部材を更に具備し、
前記落下防止部材は、前記被覆線から剥ぎ取られた前記被覆層との当接により、前記付勢部材の付勢力に抗して前記皮剥器本体から離れる方向に位置変更可能である
上記(6)または(7)に記載の皮剥補助具。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、芯線の撚りがほどけるのを抑制可能で、かつ、製品寿命の長い皮剥補助具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、第1の実施形態における皮剥補助具の概略断面図である。
【
図2】
図2は、第1変形例における皮剥補助具の概略断面図である。
【
図3】
図3は、第2変形例における皮剥補助具の概略平面図である。
【
図4】
図4は、第3変形例における皮剥補助具の概略断面図である。
【
図5】
図5は、第2の実施形態における皮剥補助具の概略断面図である。
【
図6】
図6は、変形例における皮剥補助具の概略断面図である。
【
図7】
図7は、第3の実施形態における皮剥補助具の概略斜視図である。
【
図8】
図8は、変形例における皮剥補助具の概略側面図である。
【
図9】
図9は、変形例における皮剥補助具の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、実施形態における皮剥補助具1について、詳しく説明する。なお、本明細書において、同種の機能を有する部材には、同一または類似の符号が付されている。そして、同一または類似の符号の付された部材について、繰り返しとなる説明が省略される場合がある。
【0013】
皮剥器本体100は、切断刃によって被覆線Wから被覆層Lを剥ぎ取り、芯線Cを露出させる器具である。実施形態における皮剥補助具1は、皮剥器本体100に取り付けられて使用される。なお、実施形態における皮剥補助具1は、皮剥器本体100に取り外し可能に取り付けられていてもよく、皮剥器本体100に取り外し不能に取り付けられていてもよい。実施形態における皮剥補助具1は、既存の皮剥器本体100に後付けされてもよい。
【0014】
(第1の実施形態)
図1を参照して、第1の実施形態における皮剥補助具1Aについて説明する。
図1は、第1の実施形態における皮剥補助具1Aの概略断面図である。なお、
図1において、皮剥補助具1Aの使用状態を把握しやすくするために、皮剥器本体100が配置される位置の一例が破線で示されている。また、
図1において、被覆線Wを皮剥することにより得られる芯線Cが、皮剥補助具1Aの筒部材2内に挿入される様子が模式的に記載されている。
【0015】
第1の実施形態における皮剥補助具1Aは、被覆線Wを皮剥することにより得られる芯線Cを受け入れる筒部材2と、筒部材2に取り付けられる第1ストッパー部材3とを具備する。第1ストッパー部材3は、芯線Cの端面Pに当接する第1接触面31を備える。
【0016】
第1の実施形態において、第1接触面31は、筒部材2に対して、筒部材2の長手方向軸AXまわりに回転自在である(典型的には、第1接触面31は、筒部材2の長手方向中心軸まわりに回転自在である)。このため、芯線Cが、筒部材2に対して相対回転しつつ第1接触面31に接触すると、第1接触面31は芯線Cとともに、筒部材2に対して相対回転する。換言すれば、第1の実施形態では、第1接触面31の芯線Cに対する相対回転が生じないか、あるいは、当該相対回転が抑制される。このため、芯線Cの撚りがほどけるのが抑制される。また、第1接触面31の芯線Cに対する相対回転が生じないか、あるいは、当該相対回転が抑制されるため、第1接触面31の摩耗量は少ない。よって、皮剥補助具1Aの製品寿命が増加する。
【0017】
図1に記載の例では、第1ストッパー部材3の全体が、筒部材2に対して、長手方向軸AXまわりに回転自在である。この場合、第1ストッパー部材3自体に、第1接触面31を回転させる構造を設ける必要がない。よって、第1ストッパー部材3の構造をシンプルにすることができ、第1ストッパー部材3の製造コストが低減される。なお、
図1に記載の例では、第1ストッパー部材3は、円板である。
【0018】
第1ストッパー部材3は、芯線Cからの軸方向圧力を受ける。このため、第1ストッパー部材3は、強度の高い材料によって構成されることが好ましい。第1ストッパー部材3の材質は、例えば、金属である。
【0019】
図1に記載の例では、第1ストッパー部材3の第1接触面31は、長手方向軸AXに垂直な平面である。第1接触面31が、長手方向軸AXに垂直な平面である場合、芯線の端面Pと第1接触面31との間の接触面積が大きくなる。よって、第1ストッパー部材3に作用する単位面積あたりの押圧力が減少し、第1ストッパー部材3の摩耗量が減少する。
【0020】
図1に記載の例では、第1ストッパー部材3は、筒部材2の第1部分21と、筒部材2の第2部分22との間に遊嵌されている。この場合、筒部材2と第1ストッパー部材3との間の相対回転機構がシンプルとなり、皮剥補助具1Aの製造コストが低減される。
【0021】
なお、
図1に記載の例では、第1部分21は、両端が開放された筒本体21aである。また、第2部分22は、筒本体21aに取り付けられる端部キャップ22aである。そして、筒部材2は、有底筒状体である。
【0022】
第1ストッパー部材3と筒部材2との間の摺動面には、グリース等の潤滑剤が塗布されてもよい。
【0023】
筒本体21aの内側面210の断面形状(長手方向軸AXに垂直な断面における断面形状)は、円であることが好ましい。しかし、内側面210の断面形状は、円に限定されない。
【0024】
筒本体21aは、芯線Cの状態が把握できるように、透明材料(例えば、ポリカーボネート等の透明樹脂)によって構成されることが好ましい。特に、筒本体21aの材質として、ポリカーボネートを使用する場合には、芯線の視認性が確保されるとともに、筒本体21aの耐衝撃性が向上する。
【0025】
図1に記載の例では、第2部分22(端部キャップ22a)は、ねじ等の締結部材23によって、第1部分21(筒本体21a)に固着されている。しかし、第2部分22を、第1部分21に固着する方法は、締結部材23を用いた固着に限定されない。例えば、第1部分21に設けた雄ねじと、第2部分22に設けた雌ねじとによって、第1部分21と第2部分22とを固着してもよい。
【0026】
図1に記載の例では、筒部材2(より具体的には、筒本体21a)は、皮剥器本体100に取り付けるための取付部25を備える。取付部25は、例えば、ねじ等の締結部材26を受け入れる取付孔部である。
図1に記載の例では、皮剥補助具1Aが、ねじ等の締結部材26によって、皮剥器本体100に直接取り付けられているが、皮剥補助具1Aは、ブラケット等を介して、間接的に、皮剥器本体100に取り付けられてもよい。
【0027】
(第1変形例)
図2を参照して、第1の実施形態の第1変形例における皮剥補助具1Bについて説明する。
図2は、第1変形例における皮剥補助具1Bの概略断面図である。
【0028】
第1変形例における皮剥補助具1Bは、第1ストッパー部材3が、筒部材2に配置された凸部27に摺動可能に係合する環状凹部32aを備える点、および、端部キャップ22aが配置されていない点において、
図1に例示される皮剥補助具1Aとは異なる。その他の点では、第1変形例における皮剥補助具1Bは、
図1に例示される皮剥補助具1Aと同様である。よって、第1変形例では、筒部材2の凸部27および第1ストッパー部材3の環状凹部32aを中心に説明し、その他の構成についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0029】
第1変形例における皮剥補助具1Bでは、筒部材2に、筒部材2の内側面210よりも内側に突出する凸部27が配置されている。
図2に記載の例では、凸部27が、筒部材2とは別体であるピン部材(例えば、ねじ部材)の先端部である。代替的に、凸部27は、筒部材2に一体的に設けられていてもよい。また、
図2に記載の例では、凸部27は、ピン状の凸部であるが、凸部27は、筒部材2の周方向に延在する線状の凸部、あるいは、環状の凸部であってもよい。なお、凸部27の個数は、1個であってもよいし、2個以上であってもよい。
【0030】
第1変形例における皮剥補助具1Bの第1ストッパー部材3は、凸部27に摺動可能に係合する環状凹部32aを備える。より具体的には、第1ストッパー部材3の外周面32に環状凹部32aが設けられている。
【0031】
第1変形例においても、第1ストッパー部材3の全体が、筒部材2に対して、長手方向軸AXまわりに回転自在である。よって、
図1に記載の例と同様に、第1ストッパー部材3の構造をシンプルにすることができ、第1ストッパー部材3の製造コストが低減される。
【0032】
また、第1変形例では、第1ストッパー部材3が、端部キャップとして機能する。よって、第1ストッパー部材3とは別に、端部キャップを用意する必要がない。このため、皮剥補助具1Bの部品点数が削減される。ただし、第1変形例において、第1ストッパー部材3とは別に、端部キャップを設けることは排除されない。
【0033】
(第2変形例)
図3を参照して、第1の実施形態の第2変形例における皮剥補助具1Cについて説明する。
図3は、第2変形例における皮剥補助具1Cの概略平面図である。
【0034】
第2変形例における皮剥補助具1Cは、第1ストッパー部材3が、筒部材2の長手方向軸AXに沿ってスライド移動可能である点において、第1変形例における皮剥補助具1Bとは異なる。その他の点では、第2変形例における皮剥補助具1Cは、第1変形例における皮剥補助具1Bと同様である。よって、第2変形例では、第1ストッパー部材3がスライド移動するメカニズムを中心に説明し、その他の構成についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0035】
図3に記載の例では、皮剥補助具1Cの筒部材2は、長手方向軸AXに沿って形成された長孔28aを備える。そして、凸部27(例えば、ピン部材)は、当該長孔28aに沿って位置調整自在である。また、
図3に記載の例では、筒部材2は、長孔28aに連通する位置決め孔28bを備える。よって、凸部27は、位置決め孔28bによって位置決め可能である。
【0036】
第2変形例における皮剥補助具1Cは、第1変形例における皮剥補助具1Bと同様の効果を奏する。加えて、第2変形例における皮剥補助具1Cでは、第1ストッパー部材3が、筒部材2の長手方向軸AXに沿って位置調整可能である。このため、皮剥器本体100によって皮剥されて露出する芯線Cの長さを所望の長さに調整することができる。
【0037】
なお、第1ストッパー部材3を、筒部材2の長手方向軸AXに沿って位置調整するメカニズムは、
図3に記載の例に限定されず任意である。また、第1ストッパー部材3を、筒部材2の長手方向軸AXに沿って位置調整する構成は、他の実施形態または他の変形例において採用されてもよい。
【0038】
(第3変形例)
図4を参照して、第1の実施形態の第3変形例における皮剥補助具1Dについて説明する。
図4は、第3変形例における皮剥補助具1Dの概略断面図である。
【0039】
第3変形例における皮剥補助具1Dは、筒部材2に取り付けられる第1ストッパー部材3の一部のみが、筒部材2に対して、長手方向軸AXまわりに回転自在である点において、第1変形例における皮剥補助具1Bとは異なる。その他の点では、第3変形例における皮剥補助具1Dは、第1変形例における皮剥補助具1Bと同様である。よって、第3変形例では、第1ストッパー部材3を中心に説明し、その他の構成についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0040】
図4に記載の例では、皮剥補助具1Dの第1ストッパー部材3は、筒部材2に回転不能に固定されるベース部33aと、ベース部33aに対して、長手方向軸AXまわりに相対回転自在な、回転部33bとを備える。そして、回転部33bに、芯線Cの端面Pに当接する第1接触面31が設けられている。なお、ベース部33aと筒部材2との間の接続は、ねじ等の締結部材による接続であってもよいし、その他の機構による接続であってもよい。
【0041】
第3変形例における皮剥補助具1Dでは、第1ストッパー部材3自体に、回転部33b(すなわち、第1接触面31)を回転させる構造を設ける必要がある。このため、第1変形例における皮剥補助具1Bと比較して、第1ストッパー部材3の構造が複雑化する。しかし、実施形態において、第3変形例の構成を採用することは排除されない。
【0042】
(第2の実施形態)
図5を参照して、第2の実施形態における皮剥補助具1Eについて説明する。
図5は、第2の実施形態における皮剥補助具1Eの概略断面図である。
【0043】
第2の実施形態における皮剥補助具1Eは、第1ストッパー部材3に加え、筒部材2に取り付けられる第2ストッパー部材4を備える点で、第1の実施形態における皮剥補助具(1A~1D)とは、異なる。その他の点では、第2の実施形態における皮剥補助具1Eは、第1の実施形態における皮剥補助具(1A~1D)と同様である。よって、第2の実施形態では、第2ストッパー部材4を中心に説明し、その他の構成についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0044】
第2ストッパー部材4は、太径芯線の端面の一部に当接する第2接触面41を備える。また、第2ストッパー部材4は、細径芯線の通過を許容し、太径芯線の通過を制限する貫通孔43を備える。なお、細径芯線とは、貫通孔43の最小内径よりも径の小さな芯線を意味する。細径芯線は、例えば、断面積が120スケア(120mm2)の芯線である。他方、太径芯線は、貫通孔43の最小内径よりも径の大きな芯線を意味する。太径芯線は、例えば、断面積が240スケア(240mm2)の芯線である。
【0045】
第2の実施形態では、細径芯線は、貫通孔43を通過可能であり、太径芯線は、貫通孔43を通過不能である。よって、第2の実施形態における皮剥補助具1Eを用いて皮剥作業を行う場合、細径芯線を内部に有する被覆線の皮剥長さ(換言すれば、芯線の露出長さ)と、太径芯線を内部に有する被覆線の皮剥長さ(換言すれば、芯線の露出長さ)とが、自動的に異なる長さに調整される。なお、貫通孔43の最小断面積は、例えば、120mm2より大きく、240mm2より小さい。
【0046】
図3に示される第2変形例における皮剥補助具1Cを用いる場合にも、芯線の露出長さを調整することが可能である。しかし、第2変形例における皮剥補助具1Cでは、事前に、第1ストッパー部材3をスライド移動させて、第1ストッパー部材3の位置を調整する必要がある。これに対し、第2の実施形態における皮剥補助具1Eでは、事前に、第1ストッパー部材3および/または第2ストッパー部材4の位置を調整する必要がない。このため、作業者の負担が軽減される。さらに、第2の実施形態における皮剥補助具1Eでは、第1ストッパー部材3および/または第2ストッパー部材4の位置を調整する機構を省略可能であるため、皮剥補助具1Eが故障しにくい。
【0047】
第2の実施形態において、第2接触面41は、筒部材2に対して、筒部材2の長手方向軸AXまわりに回転自在である(典型的には、第2接触面41は、筒部材2の長手方向中心軸まわりに回転自在である)。このため、太径芯線が、筒部材2に対して相対回転しつつ第2接触面41に接触すると、第2接触面41は太径芯線とともに、筒部材2に対して相対回転する。換言すれば、第2の実施形態では、第2接触面41の太径芯線に対する相対回転が生じないか、あるいは、当該相対回転が抑制される。このため、太径芯線の撚りがほどけるのが抑制される。また、第2接触面41の太径芯線に対する相対回転が生じないか、あるいは、当該相対回転が抑制されるため、第2接触面41の摩耗量は少ない。よって、皮剥補助具1Eの寿命が増加する。
【0048】
第2の実施形態において、貫通孔43を規定する壁面44は、筒部材2の先端に向かうにつれて内径が小さくなる傾斜面44aを含むことが好ましい。壁面44が傾斜面44aを含む場合には、細径芯線の先端部が、貫通孔43の中心軸に対して偏心している場合であっても、細径芯線の先端部が、傾斜面44aにより、筒部材2の先端に向かって効果的に案内される。よって、細径芯線が、より確実に貫通孔43を通過する。
【0049】
また、壁面44が傾斜面44aを含む場合、太径芯線の先端部の一部が傾斜面44aに当接すると、当該先端部は、貫通孔43の中心軸に向かう方向に圧縮力を受ける。換言すれば、太径芯線には、外周面から中心に向かう方向に圧縮力が作用する。このため、太径芯線の撚りがほどけるのが、より一層抑制される。なお、太径芯線の先端部の一部が、傾斜面44aに当接するように構成するのに代えて、太径芯線の先端部の一部が、第2ストッパー部材4の基端側端面45aに当接するように構成してもよい。
【0050】
なお、傾斜面44aは、
図5に示すように、中心軸AXに向けて直線状となる傾斜面であってもよい。この場合、傾斜面44aは、仮想的な円錐の側面の一部に対応する形状となる。代替的に、傾斜面44aは、中心軸AXに向けて曲線となる傾斜面であってもよい。
【0051】
図5に記載の例では、第1ストッパー部材3が筒部材2の先端部に配置され、第2ストッパー部材4が、筒部材2の中間部に配置されている。第1ストッパー部材3が、筒部材2の先端部に配置される場合、第1ストッパー部材3の筒部材2内への挿入深さが浅いため、第1ストッパー部材3を筒部材2に取り付ける作業が容易である。
【0052】
なお、
図5に記載の第1ストッパー部材3は、
図1に例示された第1ストッパー部材3と同様である。代替的に、第2の実施形態における第1ストッパー部材3は、
図2に例示された第1ストッパー部材3と同様の部材であってもよいし、
図4に例示された第1ストッパー部材3と同様の部材であってもよいし、
図2および
図4に例示された第1ストッパー部材3とは異なる形状および/または構造を備えたストッパー部材であってもよい。
【0053】
また、
図5に記載の例では、皮剥補助具1Eの筒部材2に、筒部材2の内側面210よりも内側に突出する凸部27が配置され、皮剥補助具1Eの第2ストッパー部材4に、凸部27に摺動可能に係合する環状凹部42aが設けられている。しかし、第2ストッパー部材4を、筒部材2に対して相対回転可能に支持する機構は、
図5に記載の例に限定されず任意である。
図6を参照して、第2ストッパー部材4を、筒部材2に対して相対回転可能に支持する機構の他の一例について説明する。
【0054】
(変形例)
図6を参照して、第2の実施形態の変形例における皮剥補助具1Fについて説明する。
図6は、変形例における皮剥補助具1Fの概略断面図である。
【0055】
変形例における第2ストッパー部材4は、筒部材2の第1部分21と、筒部材2の第2部分22との間に遊嵌されている。より具体的には、第2ストッパー部材4の基端側端面45aが、第1部分21の摺動案内面に対向配置され、第2ストッパー部材4の先端側端面45bが、第2部分22の摺動案内面に対向配置されている。第1部分21の摺動案内面と第2部分22の摺動案内面との間の距離は、基端側端面45aと先端側端面45bとの間の距離よりも大きい。よって、第2ストッパー部材4は、筒部材2に対して、相対回転可能である。
【0056】
変形例における筒部材2と第2ストッパー部材4との間の相対回転機構も、
図5に記載の例における筒部材2と第2ストッパー部材4との間の相対回転機構と同様にシンプルである。よって、変形例における皮剥補助具1Fにおいても、製造コストが低減され、かつ、故障リスクが低減される。
【0057】
なお、
図6に記載の例では、第2部分22は、第1部分21に、螺合により取り付けられているが、第2部分22と第1部分21との間の接続構造は、螺合に限らず任意である。更に代替的に、第2部分22と第1部分21とが一体的に成形されていても構わない。
【0058】
(第3の実施形態)
図7を参照して、第3の実施形態における皮剥補助具1Gについて説明する。
図7は、第3の実施形態における皮剥補助具1Gの概略斜視図である。なお、
図7において、皮剥補助具1Gの使用状態を把握しやすくするために、皮剥器本体100が配置される位置の一例が破線で示されている。
【0059】
第3の実施形態における皮剥補助具1Gは、皮剥器本体100から排出される被覆層Lの落下を防止する落下防止部材5を備える点で、第1の実施形態における皮剥補助具(1A~1D)、第2の実施形態における皮剥補助具(1E、1F)とは異なる。その他の点では、第3の実施形態における皮剥補助具1Gは、第1の実施形態における皮剥補助具(1A~1D)、または、第2の実施形態における皮剥補助具(1E、1F)と同様である。よって、第3の実施形態では、落下防止部材5を中心に説明し、その他の構成についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0060】
皮剥器本体100は、その排出口から、皮剥によって芯線から分離された被覆層Lを排出する。被覆層Lが、被覆線Wから完全に切り離されると、被覆層Lが落下する可能性がある。高所にある被覆線Wの皮剥を行う場合、被覆層Lが落下すると、被覆線Wの下方にいる通行人が不快に感じるおそれがある。また、散乱した被覆層Lを集める作業が必要となる。
【0061】
そこで、第3の実施形態における皮剥補助具1Gは、皮剥器本体100から排出される被覆層Lの落下を防止する落下防止部材5を備える。
図7に記載の例では、皮剥補助具1Gは、第1落下防止部材51と第2落下防止部材55とを備える。しかし、皮剥補助具1Gが備える落下防止部材5の数は、2個に限定されない。落下防止部材5の数は、1個であってもよいし、3個以上であってもよい。
【0062】
図7に記載の例では、第1落下防止部材51は、被覆層Lが通過する貫通孔52と、被覆層押さえ板53とを備える。皮剥器本体100の排出口から排出される被覆層Lの第1面の一部は、当該被覆層押さえ板53に接触し、被覆層Lの第2面の一部は、皮剥器本体100の外面に接触する。こうして、被覆層Lが、被覆層押さえ板53と、皮剥器本体100の外面との間で保持され、被覆層Lの落下が抑制される。
【0063】
第1落下防止部材51は、ブラケット50等を介して、皮剥補助具1Gの筒部材2に取り付けられる。そして、第1落下防止部材51は、筒部材2の基端部29よりも更に基端側(皮剥器本体100側)に配置される。
【0064】
第2落下防止部材55は、第1落下防止部材51とは異なる形状の落下防止部材である。第2落下防止部材55は、皮剥器本体100(あるいは、第1落下防止部材51)から離間する方向に延在する基部56と、基部56の先端から折り返されて、皮剥器本体100(あるいは、第1落下防止部材51)に向かう方向に延在する先端部57とを備える。
図7に記載の例では、第2落下防止部材55は、1つの棒材を曲げ加工することにより形成されている。
【0065】
図7に記載の例では、第2落下防止部材55は、ブラケット50等を介して、皮剥補助具1Gの筒部材2に取り付けられる。また、第2落下防止部材55は、第1落下防止部材51よりも、皮剥器本体100(あるいは、筒部材2の長手方向中心軸)から遠い位置に配置されている。また、筒部材2の基端から先端に向かう方向を第1方向と定義するとき、第2落下防止部材55の中心は、第1落下防止部材51の中心よりも第1方向側に位置している。
【0066】
第1落下防止部材51の貫通孔52を通過した被覆層Lは、被覆層押さえ板53の下面の下側、かつ、先端部57の上側をとおる。
図7に記載の例では、先端部57の上端57aは、被覆層押さえ板53の下面よりも上方に位置する。このため、被覆層Lは、被覆層押さえ板53の下面と、先端部57とによって拘束保持されて、被覆層Lの落下が抑制される。代替的に、第1落下防止部材51の貫通孔52を通過した被覆層Lは、基部56と先端部57との間で保持されてもよく、あるいは、第1落下防止部材51と、第2落下防止部材55の内側面との間で保持されてもよい。
【0067】
第3の実施形態における皮剥補助具1Gは、皮剥器本体100から排出される被覆層Lの落下を防止する落下防止部材5を備える。このため、皮剥器本体100自体が落下防止部材5を備えていない場合であっても、皮剥器本体100に皮剥補助具1Gを取り付けることにより、皮剥器に被覆層Lの落下防止機能を付加することができる。よって、既存の皮剥器本体100の機能を向上させることが可能である。
【0068】
なお、皮剥補助具1Gが、2個の落下防止部材(51、55)を備える場合には、被覆層Lの落下がより一層効果的に抑制される。
【0069】
(変形例)
図8および
図9を参照して、第3の実施形態の変形例における皮剥補助具1Hについて説明する。
図8および
図9は、第3の実施形態の変形例における皮剥補助具1Hの概略側面図である。
図8には、皮剥が実行される前の状態が示され、
図9には、皮剥を実行中の状態が示されている。なお、
図8および
図9において、皮剥補助具1Hの使用状態を把握しやすくするために、皮剥器本体100が配置される位置の一例が破線で示されている。
【0070】
第3の実施形態の変形例における皮剥補助具1Hは、落下防止部材5の形状および構造が、第3の実施形態における皮剥補助具1Gとは異なる。その他の点では、第3の実施形態の変形例における皮剥補助具1Hは、第3の実施形態における皮剥補助具1Gと同様である。よって、第3の実施形態の変形例では、落下防止部材5を中心に説明し、その他の構成についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0071】
図8に記載の例では、皮剥補助具1Hは、落下防止部材5を、皮剥器本体100に向けて付勢する付勢部材61(例えば、コイルばね)を備える。この場合、被覆線Wから剥ぎ取られた被覆層Lは、付勢部材61の付勢力によって落下防止部材5と皮剥器本体100との間で保持される。こうして、被覆層Lの落下が防止される。
【0072】
図8に記載の例では、落下防止部材5は、皮剥補助具1Hの筒部材2(より具体的には、筒部材2の基端部29)に取り付けられている。
【0073】
落下防止部材5は、
図8に示される第1位置と
図9に示される第2位置との間で位置変更可能である。
図8に記載の例では、被覆線Wの皮剥が実行される前の状態において、落下防止部材5は、デフォルト位置である第1位置に位置する。
図9に記載の例では、被覆線Wから剥ぎ取られた被覆層Lが落下防止部材5に当接すると、落下防止部材5は、第1位置から第2位置に位置変更される。
【0074】
より具体的には、落下防止部材5は、被覆線Wから剥ぎ取られた被覆層Lとの当接により、付勢部材61の付勢力に抗して皮剥器本体100から離れる方向に位置変更される。こうして、被覆層Lが落下防止部材5と皮剥器本体100との間で詰まること(換言すれば、スタックすること)が防止される。その結果、被覆層Lが、被覆層排出口101、および、落下防止部材5と皮剥器本体100との間の領域を通って、円滑に排出される。
【0075】
被覆層Lの厚さが、落下防止部材5と皮剥器本体100との間の間隔よりも大きいと、被覆層Lが落下防止部材5と皮剥器本体100との間で詰まる場合がある。これに対し、落下防止部材5が、付勢部材61の付勢力に抗して皮剥器本体100から離れる方向に位置変更される場合、剥ぎ取られた被覆層Lの厚さに応じて、落下防止部材5と皮剥器本体100との間の間隔が自動調整される。より具体的には、剥ぎ取られた被覆層Lの厚さが相対的に薄い場合には、付勢部材61の付勢力によって、落下防止部材5と皮剥器本体100との間の間隔が相対的に小さな間隔に維持される。他方、剥ぎ取られた被覆層Lの厚さが相対的に厚い場合には、付勢部材61の付勢力に抗して落下防止部材5の位置が皮剥器本体100から離れる方向に位置変更され、落下防止部材5と皮剥器本体100との間の間隔が相対的に大きくなる。
【0076】
以上のとおり、皮剥補助具1Hが、落下防止部材5を付勢する付勢部材61を備え、落下防止部材5が、被覆線Wから剥ぎ取られた被覆層Lとの当接により、付勢部材61の付勢力に抗して皮剥器本体100から離れる方向に位置変更可能である場合には、被覆層Lの厚さ如何に関わらず被覆線Wから剥ぎ取られた被覆層Lが落下防止部材5と皮剥器本体100との間で詰まることが防止される。また、皮剥補助具1Hが、落下防止部材5を付勢する付勢部材61を備える場合、被覆線Wから剥ぎ取られた被覆層Lが落下防止部材5と皮剥器本体100との間で好適に保持されつつ、落下防止部材5と皮剥器本体100との間の領域を通って円滑に排出される。
【0077】
図9に記載の例では、落下防止部材5は、皮剥器本体100の被覆層排出口101を覆うように配置されている。この場合、皮剥器本体100の切削刃102によって被覆線から剥ぎ取られた被覆層Lは、被覆層排出口101を介して皮剥器本体100から排出され、皮剥器本体100から排出された被覆層Lは、皮剥器本体100の表面のうちの落下防止部材5に対向する部分と、落下防止部材5の表面のうちの皮剥器本体100に対向する部分とによって保持される。
【0078】
図9に例示されるように、落下防止部材5は、硬質部511(例えば、金属製の部分)と、硬質部511を覆う軟質部512(例えば、ゴム製の部分)とを有していてもよい。落下防止部材5が軟質部512を有することにより、軟質部512と接触する被覆層Lがより安定的に保持される。
図9に記載の例では、落下防止部材5は、被覆層押さえ板53Aによって構成されている。なお、落下防止部材5は、板形状以外の形状(例えば、棒形状、あるいは、ブロック形状)を有していてもよい。
【0079】
図9に記載の例では、落下防止部材5の基端部5aは、落下防止部材5が傾動可能なように、ねじ部材等の取付具62を介して、筒部材2に取り付けられている。被覆線Wの皮剥が実行される前の状態において、筒部材2に対する落下防止部材5の角度をデフォルト角度と定義するとき、落下防止部材5は、筒部材2に対して、デフォルト角度から、1度以上、3度以上、あるいは、5度以上傾動可能であることが好ましい。換言すれば、筒部材2に対する落下防止部材5の最大傾動角度(デフォルト角度からの最大傾動角度)は、1度以上、3度以上、あるいは、5度以上であることが好ましい。また、筒部材2に対する落下防止部材5の最大傾動角度(デフォルト角度からの最大傾動角度)は、例えば、30度以下、20度以下、あるいは、10度以下であることが好ましい。
図9に記載の例では、筒部材2に対する落下防止部材5の最大傾動角度α(デフォルト角度からの最大傾動角度)は、6度程度(換言すれば、2度以上10度以下)である。
【0080】
筒部材2に対する落下防止部材5の最大傾動角度が十分に大きいことにより、被覆層Lの厚さの違いに対応して、落下防止部材5と皮剥器本体100との間の間隔が効果的に自動調整される。
【0081】
図9に記載の例では、付勢部材61は、コイルばねである。また、当該コイルばねは、取付具62の軸部の周囲に配置されている。代替的に、付勢部材61は、板ばねであってもよい。更に代替的に、付勢部材61は、磁石であってもよい。
【0082】
上述の落下防止部材5の構成(第3の実施形態における落下防止部材の構成、あるいは、変形例における落下防止部材の構成)は、第1の実施形態における皮剥補助具(1A~1D)、または、第2の実施形態における皮剥補助具(1E、1F)において採用されてもよい。
【0083】
本発明は上記各実施形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施形態は適宜変形または変更され得ることが明らかである。また、各実施形態または各変形例で用いられる任意の構成要素を、他の実施形態または他の変形例に組み合わせることが可能であり、また、各実施形態または各変形例において任意の構成要素を省略することも可能である。
【0084】
例えば、第2の実施形態では、筒部材2に、第1ストッパー部材3と第2ストッパー部材4とが配置される例が説明された。代替的に、筒部材2に、第1ストッパー部材3および第2ストッパー部材4に加えて、第3ストッパー部材が配置されてもよい。例えば、第3ストッパー部材を、第2ストッパー部材4よりも基端側に配置する場合には、当該第3ストッパー部材に、第2ストッパー部材4の貫通孔43よりも大径の貫通孔を設ければよい。この場合、径の大きな芯線が第3ストッパー部材によって移動制限され、径が中程度の芯線が第2ストッパー部材4によって移動制限され、径が小さな芯線が第1ストッパー部材3によって移動制限される。こうして、被覆線の径(芯線の径)に応じて、芯線の露出長さが、3段階で調整される。なお、筒部材2に配置されるストッパー部材の数は、4個以上であってもよい。
【0085】
また、実施形態において、各ストッパー部材の位置は、筒部材2の長手方向軸に沿う方向におけるどの位置に設けられていてもよい。例えば、第1ストッパー部材3は、筒部材2の先端部に位置していてもよいし、筒部材2の中間部に位置していてもよい。さらに、各ストッパー部材は、筒部材2の長手方向軸に沿う方向に位置調整自在であってもよいし、位置調整不能であってもよい。皮剥補助具が、複数のストッパー部材を備える場合には、複数のストッパー部材のうちの少なくとも1つが筒部材2の長手方向軸に沿う方向に位置調整自在であり、複数のストッパー部材のうちの少なくとも他の1つが筒部材2の長手方向軸に沿う方向に位置調整不能であってもよい。
【0086】
実施形態では、皮剥補助具1が皮剥器本体100とともに被覆線Wに対して相対回転されることにより、被覆線Wの皮剥が実行される。当該相対回転は、手動で実行されてもよいし、モータ等を用いて自動的に実行されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明の皮剥補助具を用いると、芯線の撚りがほどけるのが抑制される。したがって、皮剥器を用いて皮剥作業を行う業者にとって有用である。
【符号の説明】
【0088】
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H…皮剥補助具、2…筒部材、3…第1ストッパー部材、4…第2ストッパー部材、5…落下防止部材、5a…基端部、21…第1部分、21a…筒本体、22…第2部分、22a…端部キャップ、23…締結部材、25…取付部、26…締結部材、27…凸部、28a…長孔、28b…位置決め孔、29…基端部、31…第1接触面、32…外周面、32a…環状凹部、33a…ベース部、33b…回転部、41…第2接触面、42a…環状凹部、43…貫通孔、44…壁面、44a…傾斜面、45a…基端側端面、45b…先端側端面、50…ブラケット、51…第1落下防止部材、52…貫通孔、53、53A…被覆層押さえ板、55…第2落下防止部材、56…基部、57…先端部、57a…上端、61…付勢部材、62…取付具、100…皮剥器本体、101…被覆層排出口、102…切削刃、210…内側面、511…硬質部、512…軟質部、AX…長手方向軸、C…芯線、L…被覆層、P…端面、W…被覆線