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  • -木質ボード及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022130005
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】木質ボード及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B27N 3/02 20060101AFI20220830BHJP
   C09J 161/24 20060101ALI20220830BHJP
   C09J 161/28 20060101ALI20220830BHJP
   C09J 177/00 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
B27N3/02 D
C09J161/24
C09J161/28
C09J177/00
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021028927
(22)【出願日】2021-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000204985
【氏名又は名称】大建工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 達也
(72)【発明者】
【氏名】下田 智也
(72)【発明者】
【氏名】深谷 剛
(72)【発明者】
【氏名】川邊 伸夫
【テーマコード(参考)】
2B260
4J040
【Fターム(参考)】
2B260AA12
2B260BA02
2B260BA15
2B260BA18
2B260BA26
2B260CB01
2B260CD03
2B260CD06
2B260DA02
2B260DA03
2B260EA05
2B260EB01
2B260EB02
2B260EB06
2B260EB11
2B260EB19
2B260EB24
2B260EC02
4J040EB111
4J040EB131
4J040EG001
4J040MA08
4J040MB05
(57)【要約】
【課題】MDIを用いることなく、木質ボードの強度を向上させる。
【解決手段】木質系構成材料に木質系構成材料同士を結合する接着剤が添加された接着剤添加材料を板状に成形してなる木質ボードであって、接着剤は、ユリア樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤又はユリア・メラミン共縮合樹脂系接着剤と、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂とを混合してなる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質系構成材料に該木質系構成材料同士を結合する接着剤が添加された接着剤添加材料を板状に成形してなる木質ボードであって、
上記接着剤は、ユリア樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤又はユリア・メラミン共縮合樹脂系接着剤と、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂とを混合してなることを特徴とする木質ボード。
【請求項2】
木質ボードを乾式で製造する方法であって、
木質系構成材料に接着剤を噴霧して該接着剤が添加された接着剤添加材料を形成する噴霧工程と、
上記噴霧工程で形成された接着剤添加材料を加熱及び加圧して板状に成形する熱圧成形工程とを備え、
上記接着剤は、ユリア樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤又はユリア・メラミン共縮合樹脂系接着剤と、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂とを混合してなることを特徴とする木質ボードの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木質ボード及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
木質ボードの1つである木質繊維板は、例えば、水に木質繊維と所定の接着剤とを加えて撹拌することで調製されたスラリーを抄造した後に脱水して湿潤マットを形成し、その湿潤マットを乾燥させることにより製造することができる。
【0003】
例えば、特許文献1には、水に木質繊維、ジフェニルメタンジイソシアネート(methylene diphenyl diisocyanate、以下「MDI」とも称する)等のイソシアネート基を含有する接着剤、及びポリアミドエピクロロヒドリン(polyamide-epichlorohydrin、以下「PAE」とも称する)樹脂を加えてスラリーを調製し、そのスラリーを抄造し、脱水プレスにより脱水して湿潤マットを形成し、その湿潤マットを乾燥する木質繊維板の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5918281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に開示された木質繊維板の製造方法では、MDIの木質繊維への定着率及び結合力がPAE樹脂により向上するので、脱水時のスプリングバックを抑制して、高密度で且つ高強度の木質繊維板を得ることができると記載されているものの、湿式の製造方法であるので、脱水する際にスラリー中のMDI及びPAE樹脂が抜け漏れてしまい、改善の余地がある。また、湿式の製造方法において、高密度で高強度の木質繊維板を得るためには、脱水プレスを行うプレス工程への負荷が大きく、生産性が低下するので、改善の余地がある。さらに、MDIは、コスト及び環境の観点から他の材料への置き換えが強く望まれているので、改善の余地がある。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、MDIを用いることなく、木質ボードの強度を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る木質ボードは、木質系構成材料に該木質系構成材料同士を結合する接着剤が添加された接着剤添加材料を板状に成形してなる木質ボードであって、上記接着剤は、ユリア樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤又はユリア・メラミン共縮合樹脂系接着剤と、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂とを混合してなることを特徴とする。
【0008】
上記の構成によれば、木質系構成材料同士を結合する接着剤が、ユリア樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤又はユリア・メラミン共縮合樹脂系接着剤とポリアミドエピクロロヒドリン樹脂とを混合してなるので、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂がユリア樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤又はユリア・メラミン共縮合樹脂系接着剤の窒素原子、及び木質系構成材料を構成する木材パルプ中の水酸基及びカルボキシル基と反応して、架橋構造を形成することになる。これにより、木質ボードを構成する木質系構成材料同士の接合強度が向上するので、MDIを用いることなく、木質ボードの強度を向上させることができる。また、木質系構成材料同士の接合強度が向上するので、木質ボードの耐水性も向上させることができる。さらに、木質ボードが木質系構成材料に接着剤が添加された接着剤添加材料を板状に成形してなるので、湿式の製造方法に懸念される接着剤の抜け漏れが抑制されるため、木質系構成材料同士を結合する接着剤を有効に活用することができる。
【0009】
また、本発明に係る木質ボードの製造方法は、木質ボードを乾式で製造する方法であって、木質系構成材料に接着剤を噴霧して該接着剤が添加された接着剤添加材料を形成する噴霧工程と、上記噴霧工程で形成された接着剤添加材料を加熱及び加圧して板状に成形する熱圧成形工程とを備え、上記接着剤は、ユリア樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤又はユリア・メラミン共縮合樹脂系接着剤と、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂とを混合してなることを特徴とする。
【0010】
上記の方法によれば、噴霧工程において、木質系構成材料に噴霧する接着剤がユリア樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤又はユリア・メラミン共縮合樹脂系接着剤とポリアミドエピクロロヒドリン樹脂とを混合してなるので、熱圧成形工程において、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂がユリア樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤又はユリア・メラミン共縮合樹脂系接着剤の窒素原子、及び木質系構成材料を構成する木材パルプ中の水酸基及びカルボキシル基と反応して、架橋構造を形成することになる。これにより、木質ボードを構成する木質系構成材料同士の接合強度が向上するので、MDIを用いることなく、木質ボードの強度を向上させることができる。また、木質系構成材料同士の接合強度が向上するので、木質ボードの耐水性も向上させることができる。また、木質ボードを乾式で製造するので、湿式の製造方法に懸念される接着剤の抜け漏れが抑制されるため、木質系構成材料同士を結合する接着剤を有効に活用することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、接着剤がユリア樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤又はユリア・メラミン共縮合樹脂系接着剤とポリアミドエピクロロヒドリン樹脂とを混合してなるので、MDIを用いることなく、木質ボードの強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施形態に係る木質ボードの斜視図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る木質ボードについて行った実験結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の各実施形態に限定されるものではない。
【0014】
《第1の実施形態》
図1及び図2は、本発明に係る木質ボード及びその製造方法の第1の実施形態を示している。ここで、図1は、本実施形態の木質ボード10の斜視図である。
【0015】
木質ボード10は、図1に示すように、木質系構成材料5に接着剤が添加された接着剤添加材料を板状に成形してなる木質繊維板であり、例えば、密度0.35~0.85g/cm程度の中密度繊維板(MDF:Medium Density Fiberboard)である。
【0016】
木質系構成材料5は、例えば、木材チップ(バージン材及び解体材を含む)、単板切り屑、合板切り屑、樹皮等の木質系繊維、麻、綱麻、シュロ、ヤシ、ケナフ、コーリャン、竹、麦わら、稲わら、ビートパルプ等の植物系繊維を用いることができ、それらの混合物を用いてもよい。
【0017】
木質系構成材料5同士を結合する接着剤は、ユリア樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤又はユリア・メラミン共縮合(melamine-urea-formaldehyde、以下「MUF」とも称する)樹脂系接着剤と、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂とを混合してなるものである。ここで、ユリア樹脂系接着剤は、ユリア樹脂を主成分とする接着剤である。なお、ユリア樹脂は、尿素(ユリア)とホルムアルデヒドとを反応させて形成される縮合樹脂である。また、メラミン樹脂系接着剤は、メラミン樹脂を主成分とする接着剤である。なお、メラミン樹脂は、メラミンとホルムアルデヒドとを反応させて形成される縮合樹脂である。また、ユリア・メラミン共縮合樹脂系接着剤は、ユリア・メラミン共縮合(melamine-urea-formaldehyde、以下「MUF」とも称する)樹脂を主成分とする接着剤である。なお、MUF樹脂は、メラミンとユリアとの混合物をホルムアルデヒドと反応させて形成される共縮合樹脂である。また、ポリアミドエピクロロヒドリン(PAE)樹脂は、ジカルボン酸(例えば、アジピン酸)と多価アミン(例えば、ジエチレントリアミン)との縮合体にエピクロロヒドリンを付加反応させ、一部を架橋させたカチオン性の重合体である。なお、PAE樹脂は、下記の式のとおり、カルボキシル基や窒素原子と反応するように、カルボキシル基、水酸基、窒素原子等と反応する性質を有し、ユリア樹脂、メラミン樹脂系接着剤又はユリア・メラミン共縮合樹脂系接着剤の窒素原子、及び木質繊維を構成する木材パルプ中の水酸基及びカルボキシル基と反応して、架橋構造を形成するように構成されている。
【0018】
【化1】
【0019】
ここで、ユリア樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤又はユリア・メラミン共縮合樹脂系接着剤は、例えば、100質量部の木質系構成材料5に対して、12~20質量部含有するように構成されている。また、PAE樹脂は、100質量部の木質系構成材料5に対して、例えば、0.5~3質量部含有するように構成されている。なお、100質量部の木質系構成材料5に対して、12質量部未満のユリア樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤又はユリア・メラミン共縮合樹脂系接着剤を含有する場合には、木質ボード10の強度が不足するおそれがある。また、100質量部の木質系構成材料5に対して、20質量部を超えるユリア樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤又はユリア・メラミン共縮合樹脂系接着剤を含有する場合には、木質ボード10の強度が頭打ちになり、接着剤の添加量の増加による強度の向上を図ることが困難になる。また、100質量部の木質系構成材料5に対して、0.5質量部未満のPAE樹脂を含有する場合には、PAE樹脂とユリア樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤又はユリア・メラミン共縮合樹脂系接着剤の窒素原子、及び木質系構成材料を構成する木材パルプ中の水酸基及びカルボキシル基との反応が不足するおそれがある。また、100質量部の木質系構成材料5に対して、3質量部を超えるPAE樹脂を含有する場合には、PAE樹脂とユリア樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤又はユリア・メラミン共縮合樹脂系接着剤の窒素原子、及び木質系構成材料を構成する木材パルプ中の水酸基及びカルボキシル基との反応が頭打ちになり、PAE樹脂の添加量の増加による性能改善の効果が小さくなってしまう。
【0020】
なお、本実施形態では、木質ボード10として、木質繊維同士を接着してなる木質繊維板を例示したが、木質チップ同士を接着してなる木質ボード、木質ストランド同士を接着してなる木質ボード、並びに木質繊維、木質チップ及び木質ストランドの少なくとも2つの混合物を接着してなる木質ボード等であってもよい。
【0021】
次に、本実施形態の木質ボード10を製造する方法について説明する。なお、本実施形態の木質ボード10の製造方法は、木質ボード10を乾式で製造する方法であり、以下の噴霧工程及び熱圧成形工程を備える。
【0022】
<噴霧工程>
まず、MUF樹脂系接着剤及びPAE樹脂を混合して所定の配合量の接着剤を調製する。
【0023】
続いて、予め乾燥させた木質繊維等の木質系構成材料5に上記調製した接着剤を噴霧して、その接着剤が添加された接着剤添加材料を形成する。ここで、接着剤を木質系構成材料5に噴霧する際には、100質量部の木質系構成材料5に対して、12~20質量部のMUF樹脂系接着剤と、0.5~3質量部のPAE樹脂とを含有するように接着剤を調製して噴霧する。なお、接着剤には、撥水剤等の助剤が添加されていてもよい。
【0024】
<熱圧成形工程>
上記噴霧工程で形成された接着剤添加材料をマット状に堆積させ、例えば、ホットプレス等で加熱(例えば、160℃~200℃程度)及び加圧(例えば、2MPa~5MPa程度)して板状に成形する。
【0025】
以上のようにして、本実施形態の木質ボード10を製造することができる。
【0026】
次に、本実施形態の木質ボード10において、具体的に行った実験について説明する。ここで、図2は、木質ボード10について行った実験結果を示す表である。
【0027】
まず、木質系構成材料5としてラジアータパイン繊維を用い、MUF樹脂系接着剤として、株式会社オーシカ製の大鹿レヂンB-203を用い、PAE樹脂として東邦化学工業株式会社製のFL-71を用い、上述した製造方法と同様な方法で、図2の表に示すように、ラジアータパイン繊維100質量部に対して12質量部のMUF樹脂系接着剤と、0、0.5、1.0、1.5及び2.0質量部のPAE樹脂とがそれぞれ添加された厚さ2.7mmで密度0.80g/cm(800kg/m)の木質繊維板を試作した。
【0028】
さらに、試作した木質繊維板に対し、下記の曲げ強さ試験、吸水率試験、吸水厚さ膨張率試験及びホルムアルデヒド放散量試験を行った。
【0029】
~曲げ強さ試験(常態/吸水)~
JIS A5905に規定された曲げ強さ試験に基づいて、常態及び吸水時の曲げ強さを測定した。ここで、吸水(時の)曲げ強さは、70℃の温水に2時間浸漬し、20℃の水に1時間浸漬後、曲げ強さ試験を行って測定した。なお、図2の表中の曲げ強さの数値は、PAE樹脂を添加していない場合(実験例1)の曲げ強さを100とした相対値である。
【0030】
~吸水率試験/吸水厚さ膨張率試験~
JIS A5905に規定された吸水率試験及び吸水厚さ膨張率試験に基づいて、20℃の水に24時間浸漬後、吸水率及び吸水厚さ膨張率をそれぞれ測定した。なお、図2の表中の吸水率及び厚さ膨張の数値は、PAE樹脂を添加していない場合(実験例1)の吸水率及び吸水厚さ膨張率を100とした相対値である。
【0031】
~ホルムアルデヒド放散量試験~
JIS A5905に規定されたホルムアルデヒド放散量試験に基づいて、ホルムアルデヒドの放散量を測定した。なお、図2の表中のホルムアルデヒド放散量の数値は、PAE樹脂を添加していない場合(実験例1)のホルムアルデヒド放散量を100とした相対値である。
【0032】
実験結果としては、図2の表に示すように、ラジアータパイン繊維100質量部に対して、12質量部のMUF樹脂系接着剤と所定量のPAE樹脂とを添加していれば、PAE樹脂を添加していない場合と比較して、常態の曲げ強さが10%程度向上し、吸水の曲げ強さが10%程度向上し、吸水率が85%程度に抑えられ、吸水厚さ膨張率が95%程度に抑えられ、ホルムアルデヒド放散量が90%程度に抑えられることが確認された。
【0033】
なお、本実験例では、MUF樹脂系接着剤を用いて木質繊維板を試作してその特性を評価したが、MUF樹脂系接着剤と同様に分子中に窒素原子を含むユリア樹脂系接着剤やメラミン樹脂系接着剤を用いても同様な効果があると推察され、さらに、MUF樹脂系接着剤、ユリア樹脂系接着剤又はメラミン樹脂系接着剤の代わりに、窒素原子を含む官能基を有する他の接着剤を用いてもよい。
【0034】
以上説明したように、本実施形態の木質ボード10及びその製造方法によれば、噴霧工程において、木質系構成材料5に噴霧する接着剤がユリア樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤又はユリア・メラミン共縮合樹脂系接着剤とポリアミドエピクロロヒドリン樹脂とを混合してなるので、熱圧成形工程において、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂がユリア樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤又はユリア・メラミン共縮合樹脂系接着剤の窒素原子、及び木質系構成材料5を構成する木材パルプ中の水酸基及びカルボキシル基と反応して、架橋構造を形成することになる。これにより、木質ボード10を構成する木質系構成材料5同士の接合強度が向上するので、MDIを用いることなく、木質ボード10の強度を向上させることができる。また、木質系構成材料5同士の接合強度が向上するので、木質ボード10の耐水性も向上させることができる。また、木質ボード10を乾式で製造するので、湿式の製造方法に懸念される接着剤の抜け漏れが抑制されるため、木質系構成材料5同士を結合する接着剤を有効に活用することができる。また、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂によりユリア樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤又はユリア・メラミン共縮合樹脂系接着剤の硬化速度を促進することができるので、ホルムアルデヒドの放散量を少なくすることができる。
【0035】
《その他の実施形態》
上記実施形態では、木質ボードとしてMDFを例示して、木質ボード及びその製造方法を例示したが、本発明は、例えば、ハードボードやインシュレーションボードのような他の木質繊維板、パーティクルボード、配向性ストランドボード等の木質ボードにも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上説明したように、本発明は、MDIを用いることなく、木質ボードの強度を向上させることができるので、極めて有用である。
【符号の説明】
【0037】
5 木質系構成材料
10 木質ボード
図1
図2