IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中部電力株式会社の特許一覧 ▶ 学校法人中部大学の特許一覧

<>
  • 特開-導線の導通確認方法 図1
  • 特開-導線の導通確認方法 図2
  • 特開-導線の導通確認方法 図3
  • 特開-導線の導通確認方法 図4
  • 特開-導線の導通確認方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022130009
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】導線の導通確認方法
(51)【国際特許分類】
   F03D 17/00 20160101AFI20220830BHJP
   F03D 80/30 20160101ALI20220830BHJP
【FI】
F03D17/00
F03D80/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021028932
(22)【出願日】2021-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000213297
【氏名又は名称】中部電力株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500433225
【氏名又は名称】学校法人中部大学
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】鹿島 直二
(72)【発明者】
【氏名】山本 和男
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA22
3H178AA43
3H178BB43
3H178BB59
3H178CC02
3H178CC23
3H178DD51X
3H178DD70X
(57)【要約】
【課題】受雷部と電極との接触に起因して受雷部に傷が生じることを抑制できる導通確認方法を提供する。
【解決手段】導線の導通確認方法は、雷を受ける受雷部50とグランドに接地されている接地部としてのタワー20とをつなぐダウンコンダクタ60の導通確認方法であって、タワー20と電源70とを電気的に接続した状態とするとともに、該電源70に接続された電極81を受雷部50との間で放電可能な距離に配置する配置工程と、電源70から電極81に電圧を印加することで、受雷部50と電極81との間で放電させる放電工程と、放電工程において受雷部50と電極81とが通電したときにタワー20へ流れた電流を検出する検出工程とを備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雷を受ける受雷部とグランドに接地されている接地部とをつなぐ導線の導通確認方法であって、
前記接地部と電源とを電気的に接続した状態とするとともに、該電源に接続された電極を前記受雷部との間で放電可能な距離に配置する配置工程と、
前記電源から前記電極に電圧を印加することで、前記受雷部と前記電極との間で放電させる放電工程と、
前記放電工程において前記受雷部と前記電極とが通電したときに前記接地部へ流れる電流を検出する検出工程とを備える導線の導通確認方法。
【請求項2】
前記受雷部は、風力発電装置において風を受けて回転するブレードの表面に設けられ、
前記接地部は、前記風力発電装置において前記ブレードが連結されたナセルを回転可能に支持するとともに地面に立設されているタワーを含んで構成されており、
前記導線は、前記ブレードの内部を前記受雷部から前記接地部まで引き回されている
請求項1に記載の導線の導通確認方法。
【請求項3】
前記電極は、無人で移動可能な無人移動体に設けられており、
前記配置工程では、前記無人移動体を移動させることにより、該無人移動体に設けられた前記電極を前記受雷部との間で放電可能な距離に配置する
請求項1または2に記載の導線の導通確認方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導線の導通確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、風力発電装置に設けられる導線の導通確認方法が開示されている。特許文献1に記載の風力発電装置は、地面に立設されたタワーを有している。タワーは、金属からなり、グランドに接地されている。タワーの上端部には、ナセルが連結されている。ナセルには、風を受けて回転するブレードが連結されている。ブレードは、軽量で腐食等が生じ難い繊維強化プラスチックによって構成されている。ブレードの表面には、雷を受ける金属製の受雷部が設けられている。受雷部には、導線としてのダウンコンダクタの一端が接続されている。ダウンコンダクタは、ブレードの内部に引き回されており、その他端がタワーに接続されている。こうした風力発電装置では、ブレードの受雷部に落雷したときの電流は、ダウンコンダクタを通じてタワーへ流れ、グランドへ放電される。これにより、風力発電装置における落雷に起因した破損を抑制している。
【0003】
特許文献1に記載の導線の導通確認方法では、まず地上に電源を配置するとともに、電極を有する無人飛行体を用意する。電源と電極とは、導電線を介して接続されている。そして、無人飛行体を飛行させて電極をブレードの受雷部に対し接触させる。この状態で、電源から電圧を印加して受雷部に通電する。このときの通電状態を検出することによって、ダウンコンダクタの断線や破損の有無などを確認する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-138261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の導線の導通確認方法は、通電状態を検出するために、電極と受雷部とを接触させる必要が生じる。そのため、こうした構成では、電極と受雷部とが干渉することに起因して、受雷部に傷が生じる虞や、受雷部の表面の塗膜が剥離する虞がある。特許文献1に記載の導通確認方法では、こうした点は考慮されておらず、改善の余地がある。
【0006】
本発明の目的は、受雷部と電極との接触に起因して受雷部に傷が生じることを抑制できる導線の導通確認方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための導線の導通確認方法は、雷を受ける受雷部とグランドに接地されている接地部とをつなぐ導線の導通確認方法であって、前記接地部と電源とを電気的に接続した状態とするとともに、該電源に接続された電極を前記受雷部との間で放電可能な距離に配置する配置工程と、前記電源から前記電極に電圧を印加することで、前記受雷部と前記電極との間で放電させる放電工程と、前記放電工程において前記受雷部と前記電極とが通電したときに前記接地部へ流れる電流を検出する検出工程とを備える。
【0008】
上記構成では、電極から受雷部へ放電することで通電を行う。導線が断線していない場合、受雷部から接地部へ電流が流れる。一方で、導線が断線している場合、受雷部から接地部へ電流が流れない。そのため、放電時にこうした電流の流れを検出することで、受雷部に非接触の状態で導通確認を行うことができる。したがって、上記構成によれば、導通確認の際に、受雷部と電極との接触に起因して受雷部に傷が生じることを抑制できる。
【0009】
また、上記導線の導通確認方法では、前記受雷部は、風力発電装置において風を受けて回転するブレードの表面に設けられ、前記接地部は、前記風力発電装置において前記ブレードが連結されたナセルを回転可能に支持するとともに地面に立設されているタワーを含んで構成されており、前記導線は、前記ブレードの内部を前記受雷部から前記接地部まで引き回されていることが望ましい。
【0010】
上記構成では、風力発電装置における受雷部と接地部との間に設けられて、ブレードの内部を引き回されている導線の導通確認方法として適用している。風力発電装置に設けられる受雷部は、外気に曝されることから、その表面に保護塗膜が設けられていることがある。したがって、上記構成によれば、受雷部と電極とが接触することに起因して受雷部の保護塗膜が剥がれることを抑えつつ、該風力発電装置における導線の導通確認を行うことが可能になる。
【0011】
また、上記導線の導通確認方法では、前記電極は、無人で移動可能な無人移動体に設けられており、前記配置工程では、前記無人移動体を移動させることにより、該無人移動体に設けられた前記電極を前記受雷部との間で放電可能な距離に配置することが望ましい。
【0012】
上記構成では、作業員は受雷部に近づかなくても、無人移動体を移動させることで、電極を受雷部との間で放電可能な位置に配置して導線の導通確認を行うことができる。そのため、作業員が受雷部に近づいて導通確認を行う場合に比して、導通確認作業にかかる作業者の負荷軽減に貢献できる。
【発明の効果】
【0013】
上記導線の導通確認方法によれば、受雷部と電極との接触に起因して受雷部に傷が生じることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】風力発電装置の構成を模式的に示す側面図。
図2】風力発電装置の構成を模式的に示す正面図。
図3】一実施形態の導線の導通確認方法の手順を示すフローチャート。
図4】導線の導通確認方法における配置工程の状態を示す模式図。
図5】導線の導通確認方法における放電工程及び検出工程の状態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
導線の導通確認方法の一実施形態について、図1図5を参照して説明する。なお、本実施形態では、風力発電装置に設けられる導線の導通確認方法を例に説明する。
図1に示すように、風力発電装置10は、地面Gに立設されたタワー20を有している。タワー20は、中空円筒状に形成されており、地面Gに近い下端部側ほど外径が拡がっている。図示を省略しているが、タワー20の内部には、作業者がメンテナンス時に昇降するための昇降機及び梯子、並びに電力変換装置等の発電に供される各種装置が収容されている。タワー20は、金属からなり、図示しない接地線を地面Gに連結することで全体がグランドに接地されている。そのため、本実施形態では、タワー20が接地部を構成している。タワー20の上端部には、ナセル30が連結されている。
【0016】
ナセル30は、タワー20の延伸方向、すなわち鉛直方向に延びる中心軸を中心として回転可能にタワー20に支持されている。ナセル30は、四角箱状に構成されている。ナセル30の内部には、発電機31が収容されている。発電機31のロータ軸31Aは、ナセル30の一端部(図1の左端部)からナセル30の外部に突出している。ロータ軸31Aにおいてナセル30の外部に突出している先端部には、ハブ40が連結されている。
【0017】
ハブ40には、複数のブレード41が固定されている。ブレード41は、例えば繊維強化プラスチック等の樹脂によって構成されており、中空形状に形成されている。ブレード41が風を受けることで、ロータ軸31Aを中心としてブレード41及びハブ40が回転する。このように、ナセル30は、ハブ40及びブレード41を回転可能に支持している。ハブ40及びブレード41と一体にロータ軸31Aが回転することで発電機31において発電が行われる。
【0018】
図2に示すように、各ブレード41の先端には、受雷部50が設けられている。受雷部50は、金属からなる。受雷部50はブレード41の表面に露出している。受雷部50は、外気に曝されることから、その表面には図示しない保護塗膜が塗布されている。また、各ブレード41の内部には、導線としてのダウンコンダクタ60が設けられている。ダウンコンダクタ60は、ブレード41の内部を通じて受雷部50からタワー20まで引き回されており、これら受雷部50とタワー20とをつないでいる。
【0019】
ダウンコンダクタ60は、受雷部50からハブ40の内部に至る複数の分岐線部61と、該ハブ40内において第1連結点C1において各分岐線部61が連結された集合線部62とを有している。集合線部62は、ロータ軸31Aの内部を通じてナセル30内まで至り、第2連結点C2においてタワー20に連結されている。
【0020】
次に、本実施形態の導線の導通確認方法について説明する。
図3のフローチャートに示すように、本実施形態では、配置工程(ステップS31)、放電工程(ステップS32)、及び検出工程(ステップS33)を順に行う。
【0021】
ステップS31の配置工程では、タワー20と電源70とを電気的に接続した状態とするとともに、該電源70に接続された後述する電極81を受雷部50との間で放電可能な距離に配置する。ステップS32の放電工程では、配置工程において電極81を受雷部50との間で放電可能な距離に配置した状態で、電源70から電極81に電圧を印加することで、受雷部50と電極81との間で放電させる。
【0022】
ステップS33の検出工程では、放電工程において受雷部50と電極81とが通電したときにタワー20へ流れる電流を検出する。
すなわち、図4に示すように、ダウンコンダクタ60の導通確認を行う作業者はまず、電源70を地上に配置する。そして、電源70とタワー20とを第1導電線71を介して電気的に接続する。電源70としては、例えば絶縁抵抗計等を採用してもよい。第1導電線71の途中には、該第1導電線71を流れる電流を検出するための電流計75を設ける。電流計75は、例えばクランプメータなどの公知の構成を採用することができる。電源70には、第2導電線72の第1端が接続されている。第2導電線72の第2端は、上述した電極81に接続されている。電極81は、例えば薄い箔形状であってもよいし、細長い針形状であってもよい。電極81は、無人で移動可能な無人移動体としてのドローン80に設けられている。ドローン80は、複数のプロペラ80Aを有しており、各プロペラ80Aの駆動を制御することにより無人で自律飛行可能な公知な構成を有している。
【0023】
作業者は、ドローン80と通信可能な公知な構成を備える携帯端末を所持している。携帯端末としては、例えばタブレットPC等を採用できる。配置工程では、作業者が携帯端末を通じて地上に配置したドローン80の飛行開始操作を行うことで、ドローン80を自律飛行させる。これにより、ドローン80に設けられている電極81を受雷部50に近接した位置に配置する。なお、本実施形態では、ドローン80には、ブレード41の先端の周囲まで飛行した後、電極81を受雷部50との間で放電可能な距離まで接近させつつも電極81と受雷部50とが互いに離間した状態を維持するように、予め飛行制御プログラムが実装されている。また、放電可能な距離は、電極81の形状や電源70の印加電圧などに基づき予め設定されている。
【0024】
その後、放電工程において、作業者が電源70を操作することにより、第2導電線72を介して電源70から電極81に電圧(例えば1kV)を印加する。
図5に示すように、電源70から電極81に電圧を印加すると、受雷部50と電極81との間で放電が生じる。放電時には、受雷部50と電極81とが通電することで、電源70、第2導電線72、電極81、受雷部50、ダウンコンダクタ60、タワー20、及び第1導電線71によって構成される閉回路内を電流が流れる。なお、本実施形態では、電源70から瞬間的に電圧を印加することで、受雷部50と電極81との間の通電時間を短くしている。
【0025】
検出工程では、こうして放電工程において放電させたときに、電流計75によって第1導電線71を流れる電流を検出する。ダウンコンダクタ60が断線していない場合、受雷部50と電極81との間で放電させたときの電流は、ダウンコンダクタ60を通じて受雷部50からタワー20へ流れる。この電流は、タワー20から第1導電線71へ流れる。一方で、ダウンコンダクタ60が断線している場合、受雷部50と電極81との間で放電させたときの電流は受雷部50からタワー20に流れないため、第1導電線71にも電流は流れない。
【0026】
そのため、電流計75によって第1導電線71に流れる電流を検出することで、受雷部50と電極81とが通電したときにタワー20へ流れる電流を検出することができる。これにより、作業者はダウンコンダクタ60の導通状態を確認できる。すなわち、電流計75によって通電時に電流を検出できたときには、作業者は、ダウンコンダクタ60は断線せずに導通していると判断する。また、電流計75によって通電時に電流を検出できないときには、作業者はダウンコンダクタ60に断線が生じていると判断する。
【0027】
作業者は、こうして配置工程、放電工程、及び検出工程を順に行うことにより、ダウンコンダクタ60の導通確認を行うと、導線の導通確認作業を終了する。
本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0028】
(1)本実施形態では、タワー20と電源70とを電気的に接続した状態とするとともに、該電源70に接続された電極81を受雷部50との間で放電可能な距離に配置する。そして、電極81から受雷部50へ放電することでこれらを通電させる。ダウンコンダクタ60が断線していない場合、受雷部50からタワー20へ電流が流れる。この電流は、タワー20から第1導電線71へ流れる。一方で、ダウンコンダクタ60が断線している場合、受雷部50からタワー20へ電流が流れない。そのため、第1導電線71にも電流は流れない。本実施形態では、第1導電線71に流れる電流を検出することで、放電時にタワー20へ流れる電流を検出し、ダウンコンダクタ60の導通確認を行う。本実施形態では、ダウンコンダクタ60の導通確認を、受雷部50と電極81とを非接触とした状態で行っている。したがって、ダウンコンダクタ60の導通確認の際に、受雷部50と電極81との接触に起因して受雷部50に傷が生じることを抑制できる。
【0029】
(2)本実施形態では、風力発電装置10に設けられるダウンコンダクタ60の導通確認を行うために、該風力発電装置10に設けられた受雷部50と、ドローン80に設けられた電極81との間で放電を行うようにしている。受雷部50は、外気に曝されることから、その表面に保護塗膜が設けられている。本実施形態によれば、保護塗膜が設けられている受雷部50に対して電極81を非接触とした状態でダウンコンダクタ60の導通確認を行うことができる。そのため、受雷部50と電極81とが接触することに起因して受雷部50の保護塗膜が剥がれることも抑えることができる。
【0030】
(3)本実施形態では、電極81をドローン80に設け、配置工程では、ドローン80を移動させることにより、電極81を受雷部50との間で放電可能な距離に配置している。そのため、作業員は高所にある受雷部50に近づかなくても、電極81を受雷部50との間で放電可能な位置に配置することができ、ダウンコンダクタ60の導通確認を行うことができる。そのため、作業員が受雷部50に近づいて導通確認を行う場合に比して、導通確認作業にかかる作業者の負荷軽減に貢献できる。
【0031】
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、無人移動体として無人飛行可能なドローン80を用いた例を説明した。無人移動体はドローン80に限らない。例えば、無人移動体として、ブレード41上を這いながら移動可能なロボットを採用することもできる。こうした構成では、ロボットに電極81を設けるとともに、該ロボットをブレード41上に取り付ける。そして、配置工程では、ロボットをブレード41の先端まで無人で移動させることで、電極81を受雷部50との間で放電可能な距離に配置する。こうした構成であっても、作業員は受雷部50に近づかずにダウンコンダクタ60の導通確認を行うことが可能である。そのため、上記(3)に記載の作用及び効果と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0032】
・上記実施形態では、電極81を有する無人移動体を移動させることによって配置工程を行うようにした。こうした構成は変更が可能である。例えば、配置工程では、電源70に接続された電極81を作業員が所持し、該作業員が受雷部50に近づくことで、電極81を受雷部50との間で放電可能な距離に配置するようにしてもよい。こうした構成によれば、導体の導通確認作業を行うときに無人移動体を用意する必要はない。
【0033】
・上記実施形態では、作業者が電源70を操作することによって、受雷部50と電極81との間で瞬間的に放電させる構成を説明した。電圧を印加する時間の長さは適宜変更が可能である。例えば、電源70から電極81へ所定時間電圧を印加するようにして、受雷部50と電極81との間で放電を所定時間継続するようにしてもよい。
【0034】
・上記実施形態では、配置工程において電極81を受雷部50との間で放電可能な距離に配置した後に、放電工程において電源70から電極81に電圧を印加するようにした。電源70から電極81に電圧を印加するタイミングは適宜変更が可能である。例えば、電源70から電極81に電圧を印加した状態でドローン80を飛行させて電極81を受雷部50に近づけるようにしてもよい。この構成では、ドローン80の飛行に伴い電極81が受雷部50に対して放電可能な距離まで近づいたときに、受雷部50と電極81との間で放電が行われる。こうした構成によっても、上記(1)に記載の作用及び効果と同様の作用及び効果を得ることは可能である。
【0035】
・上記実施形態では、風力発電装置10において受雷部50がブレード41の先端に設けられている構成を例に説明したが、受雷部50の位置は適宜変更が可能である。例えば、ブレード41における先端と基端との間の中間位置に受雷部50が設けられている風力発電装置10であっても、上記実施形態と同様の方法によって導線の導通確認を行うことは可能である。また、風力発電装置10において1つのブレード41に設けられる受雷部50の数は1つに限らず複数であってもよい。
【0036】
また、風力発電装置10において、ダウンコンダクタ60を分岐線部61と集合線部62とによって構成したが、ダウンコンダクタ60の構成はこれに限らない。例えば、ダウンコンダクタ60をブレード41の内部に配置された導線部分と、ハブ40の内部に配置された導線部分と、ナセル30の内部に配置された導線部分と、タワー20の内部に配置された導線部分とからなる分割構成とする。そして、各導線部分の接続部分をカーボンブラシ等によって導通する。こうした構成であっても、受雷部50とタワー20とをつなぐ導線を実現することは可能である。なお、上述した導線の構成において、各導線部分の少なくとも2つを1つの導線部として連続した構成とすることも可能である。
【0037】
・上記実施形態において、ナセル30をタワー20に電気的に接続することで、ナセル30とタワー20との双方によって接地部を構成するようにしてもよい。この構成では、ダウンコンダクタ60をナセル30及びタワー20の何れかに連結することで、受雷部50と接地部とをつなぐことができる。
【0038】
・上記実施形態では、電源70を地上に配置した例を説明した。電源70の位置は地上に限らない。例えば、無人移動体に電源70を設けてもよいし、タワー20の内部に電源70を設けてもよい。
【0039】
また、電流計75を第1導電線71の途中に設けるようにしたが、受雷部50と電極81との間以外であれば他の位置に設けてもよい。すなわち、電流計75は、ダウンコンダクタ60の途中や、第2導電線72の途中などに設けることも可能である。こうした構成であっても、タワー20へ流れる電流を検出することができる。
【0040】
・上記実施形態では、受雷部50と電極81とが通電したときにタワー20へ流れる電流を検出する検出器として電流計75を設けた例を説明した。検出器はこれに限らない。例えば、電圧計や磁力計を検出器として採用してもよい。
【0041】
・上記実施形態では、受雷部50の表面に保護塗膜を設けた構成を例に説明したが、受雷部50の表面に保護塗膜を必ずしも設ける必要はない。
・上記実施形態では、風力発電装置10に設けられる導線の導通確認方法を例に説明した。導線の導通確認方法は、風力発電装置10に設けられる導線以外にも適用可能である。例えば、ビルなどの高層建築物においては、屋上に受雷部としての避雷針が設けられ、該避雷針と接地部との間をつなぐ導線がビルの内部に引き回されている場合等がある。こうした構成であっても、接地部と電源とを電気的に接続した状態とするとともに、該電源に接続された電極を避雷針との間で放電可能な距離に配置する配置工程と、電源から電極に電圧を印加することで、避雷針と電極との間で放電させる放電工程とを実行する。また、放電工程において避雷針と電極とが通電したときに接地部に流れる電流を検出する検出工程を実行する。これにより、避雷針と電極とを非接触とした状態で導線の導通確認を行うことができる。このように、上記実施形態と同様の導通確認方法を、高層建築物等に設けられる導線の導通確認方法に適用することによっても、上記(1)に記載の作用及び効果と同様の作用及び効果を得ることは可能である。
【符号の説明】
【0042】
10…風力発電装置
20…タワー(接地部)
30…ナセル
31…発電機
31A…ロータ軸
40…ハブ
41…ブレード
50…受雷部
60…ダウンコンダクタ(導線)
61…分岐線部
62…集合線部
70…電源
71…第1導電線
72…第2導電線
75…電流計
80…ドローン(無人移動体)
80A…プロペラ
81…電極
G…地面
図1
図2
図3
図4
図5