(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022013007
(43)【公開日】2022-01-18
(54)【発明の名称】継式釣竿
(51)【国際特許分類】
A01K 87/00 20060101AFI20220111BHJP
【FI】
A01K87/00 610Z
A01K87/00 620Z
A01K87/00 630A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020115249
(22)【出願日】2020-07-02
(71)【出願人】
【識別番号】399106675
【氏名又は名称】山上 薫譽
(74)【代理人】
【識別番号】100108947
【弁理士】
【氏名又は名称】涌井 謙一
(74)【代理人】
【識別番号】100117086
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典弘
(74)【代理人】
【識別番号】100124383
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一永
(74)【代理人】
【識別番号】100173392
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 貴宏
(74)【代理人】
【識別番号】100189290
【弁理士】
【氏名又は名称】三井 直人
(72)【発明者】
【氏名】山上 薫譽
【テーマコード(参考)】
2B019
【Fターム(参考)】
2B019AA11
2B019AA14
2B019AB01
2B019AB51
(57)【要約】 (修正有)
【課題】竹の感触を維持しつつカーボン素材の軽さ・強度・反発力を併用する釣り竿の提供。
【解決手段】先端の単位竿管、中間の単位竿管A2-1、A2-2手元の単位竿管A3とからなる継式釣竿において、単位竿管A2-1、A2-2は繊維強化樹脂からなる竿本体1の基端側に、竹製の連結具10を接続して構成した。連結具10は、竿本体1の基端3側を摺動可能に嵌挿できる内装穴11を備え、竿本体1を挿入する長さL2のストレート部12と長さL3の連結用のテーパー部15とからなる。連結具10の内装穴11の基端側に寸法調整スペース18を形成した。竿本体1の基端3は、絹糸巻部25の基端26より先端側に位置する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端の単位竿管A1、所定数の中間の単位竿管A2および手元の単位竿管A3を連結して、以下のように構成したことを特徴とする継式釣竿。
(1) 前記単位竿管A1の基端に形成した挿入部B1を、前記中間の単位竿管A2の先端の受け部C2に挿入し、前記中間の単位竿管A2の基端の挿入部B2を、前記単位竿管A3の先端の受け部C3または他の中間の単位竿管A2の受け部C2に挿入した。
(2) 前記中間の単位竿管A2において、先端部に受け部Cを形成し、かつ挿入部B2側の外径を略同一に形成した繊維強化樹脂からなる竿本体を形成し、
前記中間の単位竿管A2は、前記竿本体の基端側に、竹を主な材料とする連結具を接続して構成した。
(3) 前記連結具は、前記中間の単位竿管A2の前記竿本体の基端側を摺動可能に嵌挿できる内面を備える内装穴を形成した。
(4) 前記連結具の前記内装穴内に、前記単位竿管A2の竿本体を、必要強度を確保できる長さL0だけ挿入して、前記連結具の基端と前記内装穴の基端との間に必要長さL4の寸法調整スペースを形成した。
【請求項2】
以下のように構成したことを特徴とする請求項1に記載の継式釣竿。
(1) 連結具は、略ストレート部を形成し、前記略ストレート部の基端側に所定長さL3のテーパー部を形成した。
(2) 前記連結具の略ストレート部の先端側の外面と、前記竿本体の連結具が位置していない外面との間に、接着剤を含侵させた絹糸を巻いた絹糸巻部を形成した。
(3) 前記ストレート部の基端側に非絹糸巻部を形成した。
(4) 前記連結具の長さ方向で、前記竿本体の基端を、前記絹糸巻部の基端の近傍より前記連結具の先端側に位置させた。
【請求項3】
以下のように構成したことを特徴とする請求項1に記載の継式釣竿。
(1) 連結具は、略ストレート部を形成し、前記略ストレート部の基端側に所定長さL3のテーパー部を形成した。
(2) 前記連結具の略ストレート部の外面と、前記竿本体の外面との間に、接着剤を含侵させた絹糸を巻いた絹糸巻部を形成した。
(2) 前記テーパー部を、連結する他の単位竿管の受け部Cを挿入する部分とし、挿入予定の他の単位竿管の受け部Cの先端位置と、前記絹糸巻部の基端位置とを略一致させた。
【請求項4】
以下のように構成したことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の継式釣竿。
(1) 連結具を、先端側に細径部を形成した略ストレート部と、前記略ストレート部の基端側にテーパー部を形成して構成した。
(2) 竿本体の基端側で連結具に挿入しない外面と、前記連結具の略ストレート部に接着剤を含侵させた和紙を複数回巻き、和紙巻部を形成した。
(3)前記和紙巻部は、少なくとも前記連結具の細径部で絹糸巻部を形成する前の外面と、前記絹糸巻部を形成する前の竿本体の外面とが略面一になるように、位置により厚さを変えて形成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の単位竿管を連結して使用する継式釣竿に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、釣竿、とくに「へらぶな」釣り用の釣竿として、古くは竹製であったが、昨今では軽さや反発力を求めてカーボン素材が多く使われていた。また、必要な長さを確保するために、複数の単位竿管を連結して使用する継手式で用いるため、継手部分で、単位竿管が重なっていた。この場合、カーボン素材の場合、継手部分が挿入し難い問題や継手部分が曲がり難く、破損する場合もあった。また、カーボン素材の場合、釣りの醍醐味を求める人々にとっては、竹製に較べてしなりなど微妙な感覚において、釣りの醍醐味を損なうこともあった。
このようなカーボン素材の軽さや反発力を維持しつつ、不十分点を補うために、カーボン素材の単位竿管の挿入側に竹製の継合筒部を形成することにより、実現していた(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の釣竿では、上記のように有効な技術ではあるが、しっかりとした竹素材を必要としていた。近年の良質の竹資源が減少している中で、しなりなどで使用者の要求を満たす素材が少なくなっていた。従来、採用されず、捨てられるような竹素材を使っても、竹の感触を維持しつつカーボン素材の軽さ・強度・反発力を併用した竹竿が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、単位竿管の挿入部で、挿入部側の外径を略同一に形成した繊維強化樹脂からなる竿本体の基端側に、竹を主な材料とする連結具を接続し、さらに連結具に、竿本体を摺動可能に嵌挿できる内面を備える内装穴を形成し、かつ内装穴内に寸法調整スペースを形成したので、前記課題を達成することができた。
【0006】
即ちこの発明は、先端の単位竿管A1、所定数の中間の単位竿管A2および手元の単位竿管A3を連結して、以下のように構成したことを特徴とする継式釣竿である。
(1) 前記単位竿管A1の基端に形成した挿入部B1を、前記中間の単位竿管A2の先端の受け部C2に挿入し、前記中間の単位竿管A2の基端の挿入部B2を、前記単位竿管A3の先端の受け部C3または他の中間の単位竿管A2の受け部C2に挿入した。
(2) 前記中間の単位竿管A2において、先端部に受け部Cを形成し、かつ挿入部B2側の外径を略同一に形成した繊維強化樹脂からなる竿本体を形成し、
前記中間の単位竿管A2は、前記竿本体の基端側に、竹を主な材料とする連結具を接続して構成した。
(3) 前記連結具は、前記中間の単位竿管A2の前記竿本体の基端側を摺動可能に嵌挿できる内面を備える内装穴を形成した。
(4) 前記連結具の前記内装穴内に、前記単位竿管A2の竿本体を、必要強度を確保できる長さL0だけ挿入して、前記連結具の基端と前記内装穴の基端との間に必要長さL4の寸法調整スペースを形成した。
【0007】
また、前記において、以下のように構成したことを特徴とする継式釣竿である。
(1) 連結具は、略ストレート部を形成し、前記略ストレート部の基端側に所定長さL3のテーパー部を形成した。
(2) 前記連結具の略ストレート部の先端側の外面と、前記竿本体の連結具が位置していない外面との間に、接着剤を含侵させた絹糸を巻いた絹糸巻部を形成した。
(3) 前記ストレート部の基端側に非絹糸巻部を形成した。
(4) 前記連結具の長さ方向で、前記竿本体の基端を、前記絹糸巻部の基端の近傍より前記連結具の先端側に位置させた。
【0008】
また、前記において、以下のように構成したことを特徴とする継式釣竿である。
(1) 連結具は、略ストレート部を形成し、前記略ストレート部の基端側に所定長さL3のテーパー部を形成した。
(2) 前記連結具の略ストレート部の外面と、前記竿本体の外面との間に、接着剤を含侵させた絹糸を巻いた絹糸巻部を形成した。
(2) 前記テーパー部を、連結する他の単位竿管の受け部Cを挿入する部分とし、挿入予定の他の単位竿管の受け部Cの先端位置と、前記絹糸巻部の基端位置とを略一致させた。
【0009】
さらに、前記において、以下のように構成したことを特徴とする継式釣竿である。
(1) 連結具を、先端側に細径部を形成した略ストレート部と、前記略ストレート部の基端側にテーパー部を形成して構成した。
(2) 竿本体の基端側で連結具に挿入しない外面と、前記連結具の略ストレート部に接着剤を含侵させた和紙を複数回巻き、和紙巻部を形成した。
(3)前記和紙巻部は、少なくとも前記連結具の細径部で絹糸巻部を形成する前の外面と、前記絹糸巻部を形成する前の竿本体の外面とが略面一になるように、位置により厚さを変えて形成した。
【0010】
前記における「外径を略同一」「内径を略同一」とは、挿入し易さを考慮して、微妙なテーパーを施す場合も含む。
【発明の効果】
【0011】
この発明は、継式釣竿を構成する中間の単位竿管を、基端側に竹製の連結具を形成して、連結具の内装穴内に、繊維強化樹脂からなる竿本体の基端側を挿入連結して構成した。したがって、他の単位竿管の先端の受け部(繊維硬化樹脂の中空穴)に、当該中間の単位竿管の竹製の連結具の基端側が挿入されて連結するので、竹のしなりなどの感触を高めた継式釣竿を構成できる。
さらに、連結具の内装穴内に竿本体の基端を挿入して、必要な連結強度やしなりなどの感触を確保した挿入長さを確保した状態で、竿本体の基端と内装穴の基端との間に寸法調整スペースを確保できるので、竿本体の挿入深さを調整することにより、一つの連結具を用いて使用者が求める感触の単位竿管を容易に作成できる。よって、連結具に使用する竹資源の有効活用ができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】この発明の継竿の各単位竿を表し、(a)は先端の単位竿管A1、(b)は第一の中間の単位竿管A2-1、(c)は第二の中間の単位竿管A2-2、(d)は手元の単位竿管A3、(e)は継竿の全体を表す。
【
図2】(a)(b)は中間の単位竿管の挿入部で、基本構成の拡大断面図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面に基づき、この発明の実施形態を説明する。
【0014】
1.継式釣竿50の全体の構成
【0015】
(1) この発明の実施形態の継式釣竿50は、
・基端部に挿入部B1を備える先端の単位竿管A1(
図1(a))、
・先端部に受け部C2-1、基端部に挿入部B2-1を備える第一の中間の単位竿管A2-1(
図1(b))、
・先端部に受け部C2-2、基端部に挿入部B2-2を備える第二の中間の単位竿管A2-2(
図1(c))、
・先端部に受け部C3を備える手元の単位竿管A3(
図1(d))、
の4本の単位竿管から構成する(
図1(e))。
【0016】
(2) 先端に使用する単位竿管A1の挿入部B1を、第一の中間の単位竿管A-2の受け部C2-1に挿入連結する。また、第一の中間の単位竿管A2-1の挿入部B2-1を、第二の中間の単位竿管A2-2の受け部C2-2に挿入連結する。また、第二の中間単位竿管A2-2の挿入部B2-2を、単位竿管A2-2の受け部C3に挿入連結する。以上のようして、継式釣竿50を構成する(
図1(e))。
【0017】
(3) なお、中間の単位竿管は、第一の単位竿管A2-1および第二の単位竿管A2-2の2本を使用したが、3本以上の中間の単位竿管を使用して継式釣竿30とすることもできる(図示していない)。また、中間の単位竿管は1本で構成することもできる(図示していない)。すなわち、先端の単位竿管A1、手元の単位竿管A、および少なくとも1つの中間の単位竿管A2から継式釣竿40を構成する(図示していない)。
【0018】
(4) また、以下の単位竿管A1、A2-1、A2-2、A3の記載で、連結して継式釣竿40を構成した状態で(
図1(e))、先端に使用する単位竿管A1の釣り糸を垂らす側32を「先端」(
図1(a))、手元の単位竿管A3で、手で持つ側33を「基端」(
図1(d))とする。
【0019】
2.第一の中間単位竿管A2-1の第一の例(
図1(b)、
図2(a)、
図3)
【0020】
(1) 所定長さのカーボンファイバー(繊維強化樹脂)からなる竿本体(パイプ状)1を同一内径で形成し、基端3(単位竿管A2-2、単位竿管A3側)の近傍(連結具10を取り付ける部分)を、基端3に向けてわずかに(微細に)、径が細くなるように形成する。また、竿本体1の基端3の反対側(単位竿管A1側)を先端2とする(
図3)。
なお、竿本体1は、基端3側を径がわずかに(微細に)細くなるように形成せずに、外径を同一径で形成することもできる。
【0021】
(2) 竿本体1の基端3側に、竹材料からなる連結具10を接続して単位竿管A2-1を構成する(
図1(b))。
【0022】
(3) 連結具10は、竿本体1の基端3側を挿入できる内装穴11がほぼ全長に渡って形成されている。また、連結具10は、強度上必要な肉厚を備えるように外径(外周)が決められている。さらに連結具10は、先端10a側の同外径のストレート部12と、基端10bに向けて徐々に外径を小さくしたテーパー部15とを備える。したがって、連結具10の基端10b側の肉厚は基端10bに向けて徐々に小さくなっている。
また、内装穴11は竿本体1を挿入して、挿入した竿本体1を摺動できることが必要であるので、内装穴11の径は、竿本体1の外径よりほんのわずかだけ大きく形成されているので、竿本体1の外径に合わせて、基端3に向けてわずかに(微細に)、径が細くなるように形成されている。なお、竿本体1の外径が同一の場合には、連結具10の先端10a側と基端10b側は同一内径で形成される。
【0023】
(4) この実施形態では、竹製の連結具10は、長さL2のストレート部12と長さL3のテーパー部15とを備え、全体長さL1(=L2+L3)で形成されている(
図2(a))。連結具10の先端10a側(ストレート部12の先端部)は、先端に向けて肉厚が徐々に小さくなるように(内径が同一であるので、徐々に外径が小さくなる)細径部13を形成し、細径部13の先端の肉厚はほぼゼロになっている。図中19は、竹の節であり、連結具10には適宜、節19を含む材料であっても良い。また、連結具10ではストレート部12の長さL2は、テーパー部15の長さL3に較べて、3倍程度に形成してある(L2≒3×L3。
図2(a))。
【0024】
(5) また、竿本体1の全体の長さは、任意であり、必要とする単位竿管A2-1の長さや好みで選定される。竿本体1の基端3を長さL0だけ連結具10の内装穴11に摺動挿入する。したがって、連結具10と竿本体1とは長さL0部分だけ重なっている。また、連結具10のストレート部12の先端10a(=細径部13の先端)は竿本体1の外径とほぼ同じになる。
また、竿本体1と連結具10とは、構造上必要な連結長さL0を確保した上で、竿本体1の基端3と内装穴11の底11aとの間に、長さL4の寸法調整スペース18を確保している(L4≒2×L0)。したがって、この寸法調整スペース18内に竿本体1の基端3を押し込めば、より硬い単位竿管A2-1を形成でき、様々な長さの連結具10を用意することなく、1つの連結具10で使用者の希望するしなり具合などの感触を備える単位竿管A2-1を構成できる。
【0025】
(6) また、竿本体1で、「連結具10に挿入していない部分」の外面5aと連結具10の外面の先端10a側との間には、連結具10の肉厚だけ、段差22が形成される。したがって、この段差22を解消するように、竿本体1の外面5の基端3側で、「連結具10に挿入していない部分」の外面5aと、連結具10の細径部13とを含む範囲に、接着材料を含侵させた和紙を徐々に重ねて巻いて、和紙巻部21を形成する。和紙巻部21は、竿本体1の外面5(5a)と連結具10の外面16との間を径変化が無いように、なめらかに造形する。この場合、和紙巻部21は、連結具10の側では、少なくとも連結具10の細径部13に形成し、さらに細径部13を超えて、ストレート部12の一部を覆ってもよい。
また、ここで使用する和紙は任意であるが、例えば、漆を製造する工程で、漆を漉す際に使用する和紙のように、比較的目が細かく竹素材とのなじみが良い和紙が適する。
続いて、竿本体1の外面5および連結具10の外面16で、「和紙巻部21を含み、和紙巻部21の先端側および基端側に隣接する」連結具10の外面16に、絹糸を巻き、絹糸巻部25を形成する。また、絹糸巻部25の基端26は連結具10のストレート部12の中間部に位置し、ストレート部12の基端側には、非絹糸巻部27が形成される(
図2(a))。
【0026】
(7) また、第一の中間の単位竿管A2-1の先端の受け部C2-1は、従来の受け部と同様で、先端の単位竿管A1の挿入部B1を挿入して、単位竿管A1と単位竿管A2-1とを連結できるような構造で形成されている。したがって、第一の単位竿管A2-1の竿本体1の内径(すなわち竿本体1の先端の内径)は、先端の単位竿管A1の挿入部B1を挿入して連結できるような内径で形成されている(
図1(e)(b))。
【0027】
(8) また、竿本体1の先端側の受け部C2-1の外面には、前記の絹糸と同じ絹糸を巻き、絹糸巻部25aを形成する。また、絹糸巻部25と絹糸巻部25aとの間に、同じ絹糸を巻いて、絹糸巻部25b、25cを形成する(
図3)。絹糸巻部25a、絹糸巻部25b、絹糸巻部25c、絹糸巻部25の間には絹糸を巻いていない非絹糸巻部27、27を形成してある(
図3)。
【0028】
(9) さらに、以上のように形成した竿本体1および連結具10のストレート部12(すなわち、テーパー部15を除く)に、従来と同様の手法により、ウレタンなどの樹脂材料でコーティングを施す。
以上のようにして、第一の中間の単位竿管A2-1を形成する(
図3、
図2(a)、
図1(b))。なお、連結具(竹製)10で、絹糸巻部25を形成していない部分で、「テーパー部15」が、挿入部B2-1を構成する(
図2(a))。
【0029】
(10) また、前記において、竿本体1の基端3は、連結具10で、絹糸巻部25の基端26よりも先端10a側に位置する。なお、ここで、絹糸巻部25の基端26は、基端26の近傍とすることもでき、近傍とは、絹糸巻部25の基端26から連結部10の外径程度の範囲をいう。
【0030】
(11) また、第一の中間の単位竿管A2-1の挿入部B2-1を、第二の中間の単位竿管A2-2の受け部C2-2に挿入した際に、第二の中間の単位竿管A2-2の先端41(すなわち受け部C2-2の先端)は、連結具10で、ストレート部12とテーパ部15の境界付近に位置することになる。したがって、連結具10で、絹糸巻部25の基端26と装着予定の第二の中間の単位竿管A2-2の先端41(または、手元の他に竿管A3の先端41)との間に、長さL5の非絹糸巻部27が形成される(
図2(a))。
よって、単位竿管A2-2の連結具10の先端側は、外面側は絹糸巻部竿25が位置し、内面側には竿本体1(竿本体1の基端3が絹糸巻部25の基端26より先端側に位置する)が位置するので、ややしなりが弱い竹素材であっても、十分な機能を発揮できる。
【0031】
【0032】
(1) 第二の中間の単位竿管A2-2も第一の中間単位竿管A2-1と同様の構造で、内径・外径が大きく形成した、先端に受け部C2-2を、基端に挿入部B2-2を形成して構成する(
図1(c))。
単位竿管A2-2の受け部C2-2は、第一の中間単位竿管A2-1の挿入部B2-1を挿入できる内径を有し、単位竿管A2-2の受け部C2-2は、手元の単位竿管A3の挿入部C3を挿入連結できる内径を有するように形成されている。
なお、上記のように、第二の中間単位竿管A2-2は省略することもできる。
【0033】
4.先端の単位竿管A1(
図1(a))、手元の単位竿管A3(
図1(d))
【0034】
(1) 先端の単位竿管A1、手元の単位竿管A3は従来と同様の構造で形成される(
図1(a)(d))。
【0035】
(2) なお、先端の単位竿管A1の基端側の挿入部B1は、第一の中間の単位竿管A2-1の挿入部B2-1と同様の構造で、グラスファイバーなどからなる樹脂製の竿本体1に竹製の連結具10をつないで構成することもできる。この場合、先端の単位竿管A1に使用する連結具10は、第一の中間の単位竿管A2-1の受け部C2-1に挿入できるように、単位竿管A2-1の連結具10より外径が小さく形成されている。
【0036】
(3) また、手元の単位竿管A3も、受け部C3側が、第一の中間の単位竿管A2-1の受け部C2-1と同様の構造とすることもでき、基端に従来と同様の手で持つ側33が形成される。この場合、手元の単位竿管A3の受け部C3は、第二の中間の単位竿管A2-2の挿入部B2-2を挿入できるような内径で形成されている。
【0037】
5.第一の中間単位竿管A2-1の第二の形態(
図2(b))
【0038】
(1) この実施形態は、第一の単位竿管A2-1の実施形態において、連結具10のストレート部12の全体に絹糸巻部25を形成し、ストレート部12に、長さL5の非絹糸巻部27を省略した実施形態である(
図2(b))。したがって、第一の単位竿管A2-1の連結具10のテーパー部15(すなわち、挿入部B2-1)に、第二の単位竿管A2-2の受け部C2-2(または、手元の単位竿管A3の受け部C3)を装着した際に、第二の単位竿管A2-2(または、手元の単位竿管A3の受け部C3)の先端41が、絹糸巻部25の基端26に当接することになる。なお、第二の単位竿管A2-2の先端41が、絹糸巻部25の基端26に当接せずに、絹糸巻部25の基端26の近傍に位置させることもできる。
また、竿本体1の基端3は、第二の単位竿管A2-2(または、手元の単位竿管A3の受け部C3)が位置する範囲で、内装穴11内で自由に寸法調整できる。
この実施形態は、とりわけ連結具10Aの長さ、すなわちストレート部12の長さL2Aが短い場合に有効である。
【0039】
(2) 前記の第一の単位竿管A2-1(
図2(a))と同様に、全長にわたり、同一外径・同一内径で、カーボンファイバー(繊維強化樹脂)からなる竿本体1の基端3側に、竹材料からなる連結具10Aを接続してなる。この実施形態の連結具10Aも、連結具10と同様に、竿本体1を挿入できる内装穴11が全長に渡って形成され、内装穴11内に、竿本体1を挿入連結して、竿本体1の外面5の基端側で、「連結具10に挿入していない部分」の外面5aと、連結具10Aの細径部13とを含む範囲に、和紙巻部21を形成し、さらに、絹糸巻部25を形成してある。
前記連結具10ではストレート部12の長さL2を、テーパー部15の長さL3の3倍程度で形成したが(長さL3≒3×長さL2)、この実施形態の連結具10Aでは、テーパー部15の長さL3を維持して、ストレート部の長さL2Aをテーパー部の長さL3と同程度で形成されている(L2A≒L3)。
【0040】
(3) したがって、テーパー部15の長さ(長さL3)は連結構造上で決まった長さであり、さらに、竿本体1と連結具10Aとの強度上必要な挿入長さL0を確保したうえで、竿本体1の基端3と内装穴11の底11aとの間に、長さL4Aの寸法調整スペース18を確保したものである。これにより、この実施態様でも、寸法調整スペース18の長さL4Aは、強度上必要な挿入長さL0の半分程度の長さであり、前記実施形態ほどの自由度は無いが、、この寸法調整スペース18内に竿本体1の基端3を押し込めば、より硬い単位竿管A2-1を形成でき、様々な長さの連結具10Aを用意することなく、1つの連結具10Aで使用者の希望するしなりなどの感触を備えた単位竿管A-1を構成できる。
【0041】
(4) 他の和紙巻部21、絹糸巻部25、25a、25b、25cの構成、ウレタンなどの樹脂での表面コーティングなどは、前記実施形態と同様である。以上のようにして、第一の中間の単位竿管A2-1を構成する(
図2(b))。
【0042】
(5) また、前記において、竿本体1の基端3は、連結具10で、絹糸巻部25の基端26より基端10b側に位置する(
図2(b))。したがって、第一の中間の単位竿管A2-1の挿入部B2-1を第二の中間の単位竿管A2-2の受け部C2-2に挿入した際に、第二の中間の単位竿管A2-2の先端41(すなわち受け部C2-2の先端)は第一の中間の単位竿管A2-1の連結具10の絹糸巻部25の基端26に当接する。よって、第二の中間の単位竿管A2-2の先端41は絹糸巻部25の基端26の近傍に位置するので、竹製の連結具10を内面からカーボン製の竿本体1が支え、外面側を絹糸巻部25が支えるので、単位竿管A2-1の挿入部B2-1と単位竿管A2-2の受け部C2-2の一体化を高めて、ややしなりの弱い竹素材であっても、十分な機能を発揮できる。
【0043】
6.他の実施形態
【0044】
(1) 前記実施形態において、連結具10の内装穴11に底11aを設けて閉鎖したが、基端側で一部又は全部が貫通した内装穴11とすることもできる(図示していない)。
【0045】
(2) また、前記実施形態において、第一の中間の単位竿管A2-1、第二の中間の単位竿管A2-2で、一方を第一の実施形態(
図2(a))とし、他方を第二の実施形態(
図2(b))とすることもできる。
【0046】
(3) また、前記実施形態において、竿本体をカーボンファイバーから構成したが、必要な強度および必要なたわみを有した他の繊維強化樹脂材料を使用することもできる。
【符号の説明】
【0047】
A1 先端の単位竿管
A2 中間の単位竿管
A2-1 第一の中間の単位竿管
A2-2 第二の中間の単位竿管
A3 手元の単位竿管
B1 先端の単位竿管の挿入部
32 先端の単位竿管の先端部(釣り糸を垂らす側)
33 基端の単位竿管の基端部(手で持つ側)
B2-1 第一の中間の単位竿管の挿入部
C2-1 第一の中間の単位竿管の受け部
B2-2 第二の中間の単位竿管の挿入部
C2-2 第二の中間の単位竿管の受け部
C3 手元の単位竿管の受け部
1 竿本体
2 竿本体の先端
3 竿本体の基端
5 竿本体の外面
5a 竿本体の外面で連結具が設けられていない部分
10 連結具
10a 連結具の先端
10b 連結具の基端
11 連結具の内装穴
11a 連結具の内装穴の底(基端)
12 連結具のストレート部
13 ストレート部の細径部
15 連結具のテーパー部
16 テーパー部の外面
18 寸法調整スペース
19 節
21 和紙巻部
22 段差
25、25s、25b、25c 絹糸巻部
26 絹糸巻部の基端
27 非絹糸巻部
41 受け部の先端
50 継式釣竿