(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022130097
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3205 20060101AFI20220830BHJP
【FI】
H01L21/88 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021029074
(22)【出願日】2021-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 崇史
【テーマコード(参考)】
5F033
【Fターム(参考)】
5F033HH08
5F033HH11
5F033HH19
5F033HH21
5F033JJ09
5F033JJ11
5F033JJ19
5F033JJ21
5F033KK09
5F033KK11
5F033KK19
5F033KK21
5F033MM05
5F033MM11
5F033MM12
5F033MM13
5F033NN06
5F033NN07
5F033QQ48
5F033VV07
5F033VV16
(57)【要約】
【課題】貼合対象のパッドが周囲の絶縁膜に悪影響を与えることを抑制可能な半導体装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】一の実施形態によれば、半導体装置は、複数の下部配線を含む下部配線層と、前記下部配線上に設けられた複数の下部パッドとを備える。前記装置はさらに、前記下部パッド上に設けられ、前記下部パッドに接する複数の上部パッドと、前記上部パッド上に設けられた複数の上部配線を含む上部配線層とを備える。さらに、前記下部パッドは、複数の第1パッドと、複数の第2パッドとを含む。さらに、前記上部パッドは、前記第2パッドの上面より面積が大きい下面を有し、前記第2パッド上に設けられた複数の第3パッドと、前記第1パッドの上面より面積が小さい下面を有し、前記第1パッド上に設けられた複数の第4パッドとを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の下部配線を含む下部配線層と、
前記下部配線上に設けられた複数の下部パッドと、
前記下部パッド上に設けられ、前記下部パッドに接する複数の上部パッドと、
前記上部パッド上に設けられた複数の上部配線を含む上部配線層とを備え、
前記下部パッドは、複数の第1パッドと、複数の第2パッドとを含み、
前記上部パッドは、前記第2パッドの上面より面積が大きい下面を有し、前記第2パッド上に設けられた複数の第3パッドと、前記第1パッドの上面より面積が小さい下面を有し、前記第1パッド上に設けられた複数の第4パッドとを含む、
半導体装置。
【請求項2】
前記第2パッドの上面の面積は、前記第1パッドの上面の面積より小さく、
前記第4パッドの下面の面積は、前記第3パッドの下面の面積より小さい、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第3パッドの下面の面積は、前記第1パッドの上面の面積と等しく、
前記第4パッドの下面の面積は、前記第3パッドの上面の面積と等しい、
請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記上部パッドは、前記第1パッド上に設けられた前記第3パッドを含んでおらず、かつ、前記第2パッド上に設けられた前記第4パッドを含んでいない、請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記下部パッドおよび前記上部パッドは、前記下部配線に電気的に接続されていない前記下部パッドを含んでおらず、かつ/または、前記上部配線に電気的に接続されていない前記上部パッドを含んでいない、請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記下部パッドは、同一直線上に交互に配置された前記第1および第2パッドを含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記下部パッドは、所定の方向に延びる複数の第1直線上に配置された前記第1パッドと、前記所定の方向に前記第1直線と交互に延びる複数の第2直線上に配置された前記第2パッドとを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記下部配線層と前記下部パッドとを含む下部基板と、
前記上部配線層と前記上部パッドとを含む上部基板とをさらに備え、
前記下部基板と前記上部基板との境界面内の所定の領域では、前記所定の領域内の前記下部パッドの個数に対する前記第1パッドの個数の割合が40~60%となっており、かつ/または、前記所定の領域内の前記上部パッドの個数に対する前記第3パッドの個数の割合が40~60%となっている、
請求項1から7のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
複数の下部配線を含む下部配線層と、前記下部配線上に設けられた複数の下部パッドと、を含む下部基板を形成し、
複数の上部配線を含む上部配線層と、前記上部配線上に設けられた複数の上部パッドと、を含む上部基板を形成し、
前記上部パッドが前記下部パッド上に設けられ前記下部パッドに接するように、前記上部基板と前記下部基板とを貼り合わせる、
ことを含み、
前記下部パッドは、複数の第1パッドと、複数の第2パッドとを含むように形成され、
前記上部パッドは、前記第2パッドの上面より面積が大きい下面を有し、前記第2パッド上に設けられた複数の第3パッドと、前記第1パッドの上面より面積が小さい下面を有し、前記第1パッド上に設けられた複数の第4パッドとを含むように形成される、
半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記下部パッドは、前記下部配線上の下部絶縁膜内に複数の下部開口部を形成し、前記下部開口部内に前記下部パッドの材料を埋め込み、前記下部開口部内の前記材料の表面を平坦化することで形成され、
前記上部パッドは、前記上部配線上の上部絶縁膜内に複数の上部開口部を形成し、前記上部開口部内に前記上部パッドの材料を埋め込み、前記上部開口部内の前記材料の表面を平坦化することで形成される、
請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記下部パッドは、前記下部配線に接するように形成され、かつ/または
前記上部パッドは、前記上部配線に接するように形成される、
請求項9または10に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
あるウェハ内の金属パッドと別のウェハ内の金属パッドとを貼り合わせて半導体装置を製造する場合には、金属パッドが周囲の層間絶縁膜に悪影響を与えるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開US2019/0096842号公報
【特許文献2】米国特許US9230941号公報
【特許文献3】米国特許US10431621号公報
【特許文献4】特開2011-44655号公報
【特許文献5】特開2012-256736号公報
【特許文献6】特開2012-244101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
貼合対象のパッドが周囲の絶縁膜に悪影響を与えることを抑制可能な半導体装置およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態によれば、半導体装置は、複数の下部配線を含む下部配線層と、前記下部配線上に設けられた複数の下部パッドとを備える。前記装置はさらに、前記下部パッド上に設けられ、前記下部パッドに接する複数の上部パッドと、前記上部パッド上に設けられた複数の上部配線を含む上部配線層とを備える。さらに、前記下部パッドは、複数の第1パッドと、複数の第2パッドとを含む。さらに、前記上部パッドは、前記第2パッドの上面より面積が大きい下面を有し、前記第2パッド上に設けられた複数の第3パッドと、前記第1パッドの上面より面積が小さい下面を有し、前記第1パッド上に設けられた複数の第4パッドとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態の半導体装置の構造を示す断面図である。
【
図2】第1実施形態の比較例の半導体装置の構造を示す断面図である。
【
図3】第1実施形態の比較例の半導体装置の構造を示す別の断面図である。
【
図4】第1実施形態の半導体装置の構造を示す別の断面図である。
【
図5】第1実施形態の下部基板と上部基板の構造を示す平面図である。
【
図6】第1実施形態の半導体装置のパッドピッチと占有率との関係を示したグラフである。
【
図7】第1実施形態の第1変形例の下部基板と上部基板の構造を示す平面図である。
【
図8】第1実施形態の第2変形例の下部基板と上部基板の構造を示す平面図である。
【
図9】第1実施形態の第3変形例の下部基板と上部基板の構造を示す平面図である。
【
図10】第1実施形態の第3変形例の半導体装置のパッドピッチと占有率との関係を示したグラフである。
【
図11】第2実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(1/5)である。
【
図12】第2実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(2/5)である。
【
図13】第2実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(3/5)である。
【
図14】第2実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(4/5)である。
【
図15】第2実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(5/5)である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1~
図15において、同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の半導体装置の構造を示す断面図である。
【0009】
本実施形態の半導体装置は、下部基板1と、下部基板1上に設けられた上部基板2とを備えている。本実施形態の半導体装置は例えば、下部基板1と上部基板2とを貼り合わせることで製造される。
図1は、下部基板1と上部基板2との貼合面(境界面)Sを示している。本実施形態の半導体装置は例えば、3次元メモリやイメージセンサである。
【0010】
図1は、互いに垂直なX方向、Y方向、およびZ方向を示している。この明細書では、+Z方向を上方向として取り扱い、-Z方向を下方向として取り扱う。-Z方向は、重力方向と一致していてもよいし、重力方向と一致していなくてもよい。
【0011】
下部基板1は、半導体基板11と、層間絶縁膜12と、複数のビアプラグ13と、配線層14と、絶縁膜15と、層間絶縁膜16と、複数の金属パッド17とを備えている。配線層14内の各配線は、バリアメタル層14aと、配線材層14bとを含んでいる。各金属パッド17は、バリアメタル層17aと、パッド材層17bとを含んでいる。配線層14は下部配線層の例であり、配線層14内の各配線は下部配線の例であり、各金属パッド17は下部パッドの例である。
図1は、例として、5個のビアプラグ13と、配線層14内の5本の配線と、5個の金属パッド17とを示している。
【0012】
上部基板2は、半導体基板21と、層間絶縁膜22と、複数のビアプラグ23と、配線層24と、絶縁膜25と、層間絶縁膜26と、複数の金属パッド27とを備えている。配線層24内の各配線は、バリアメタル層24aと、配線材層24bとを含んでいる。各金属パッド27は、バリアメタル層27aと、パッド材層27bとを含んでいる。配線層24は上部配線層の例であり、配線層24内の各配線は上部配線の例であり、各金属パッド27は上部パッドの例である。
図1は、例として、5個のビアプラグ23と、配線層24内の5本の配線と、5個の金属パッド27とを示している。なお、上部基板2は、半導体基板21を備えていなくてもよい。
【0013】
半導体基板11は、例えばシリコン基板である。層間絶縁膜12は、半導体基板11の上方に形成されている。ビアプラグ13は、半導体基板11の上方にて層間絶縁膜12内に形成されている。配線層14は、層間絶縁膜12内にてビアプラグ13上に形成されている。
図1では、配線層14内の5本の配線がそれぞれ、5個のビアプラグ13上に配置されており、これらのビアプラグ13に接している。配線材層14bは例えば、Al(アルミニウム)層、W(タングステン)層、またはCu(銅)層である。
【0014】
絶縁膜15は、層間絶縁膜12および配線層14上に形成されている。層間絶縁膜16は、絶縁膜15上に形成されている。金属パッド17は、絶縁膜15および層間絶縁膜16内にて配線層14上に形成されている。
図1では、5個の金属パッド17がそれぞれ、配線層14内の5本の配線上に配置されており、これらの配線に接している。パッド材層17bは例えば、Cu層である。金属パッド17の上面や層間絶縁膜16の上面は、貼合面Sを形成している。絶縁膜15は、層間絶縁膜16および絶縁膜15内に金属パッド17用の開口部を形成する際に、エッチングストッパとして使用される。
【0015】
層間絶縁膜26は、層間絶縁膜16および金属パッド17上に形成されている。絶縁膜25は、層間絶縁膜26上に形成されている。金属パッド27は、層間絶縁膜26および絶縁膜25内にて金属パッド17上に形成されている。
図1では、5個の金属パッド27がそれぞれ、5個の金属パッド17上に配置されており、これらの金属パッド17に接している。その結果、上部基板2が下部基板1に電気的に接続されている。パッド材層27bは例えば、Cu層である。金属パッド27の下面や層間絶縁膜26の下面は、貼合面Sを形成している。絶縁膜25は、層間絶縁膜26および絶縁膜25内に金属パッド27用の開口部を形成する際に、エッチングストッパとして使用される。
【0016】
層間絶縁膜22は、絶縁膜25上に形成されている。配線層24は、層間絶縁膜22内にて金属パッド27上に形成されている。ビアプラグ23は、層間絶縁膜22内にて配線層24上に形成されている。半導体基板21は、層間絶縁膜22およびビアプラグ23の上方に形成されている。半導体基板21は、例えばシリコン基板である。
図1では、配線層24内の5本の配線がそれぞれ、5個の金属パッド27上に配置されており、これらの金属パッド27に接している。配線材層24bは例えば、Al層、W層、またはCu層である。
図1ではさらに、5個のビアプラグ23がそれぞれ、配線層24内の5本の配線上に配置されており、これらの配線に接している。
【0017】
本実施形態の金属パッド17、27は、ビアレス構造を採用している。そのため、金属パッド17が、配線層14上にビアプラグを介さずに配置されており、配線層14に接している。さらには、金属パッド27が、配線層24下にビアプラグを介さずに配置されており、配線層24に接している。
【0018】
加えて、本実施形態の金属パッド17、27は、ダミーパッドを含んでいない。ダミーパッドは、配線層やビアプラグに電気的に接続されていない金属パッドである。よって、本実施形態の金属パッド17、27は、配線層14に電気的に接続されていない金属パッド17や、配線層24に電気的に接続されていない金属パッド27を含んでいない。
【0019】
金属パッド17、27がビアレス構造を採用している場合には、金属パッド17、27がダミーパッドを含んでいると、ダミーパッドが、配線層14、24内の配線のレイアウトを決定する際に邪魔になる可能性が高い。そのため、金属パッド17、27がビアレス構造を採用している場合には、金属パッド17、27はダミーパッドを含まないことが望ましい。よって、上述したように、本実施形態の金属パッド17、27はダミーパッドを含んでいない。
【0020】
なお、金属パッド17、27の一方または両方は、ビアレス構造を採用していなくてもよい。この場合、金属パッド17、27の一方または両方は、ダミーパッドを含んでいてもよい。また、配線層14内の各配線や、配線層24内の各配線は、どのような平面形状を有していてもよく、例えば、X方向、Y方向、またはその他の方向に延びる直線形状を有していてもよいし、様々な方向に延びる曲線形状を有していてもよい。
【0021】
次に、引き続き
図1を参照して、本実施形態の金属パッド17、27のさらなる詳細を説明する。
【0022】
本実施形態の金属パッド17は、複数の大型パッド17Lと、複数の小型パッド17Sとを含んでいる。各小型パッド17Sの上面の面積は、各大型パッド17Lの上面の面積よりも小さく設定されている。別言すると、各小型パッド17Sの平面形状のサイズは、各大型パッド17Lの平面形状のサイズよりも小さく設定されている。大型パッド17Lは第1パッドの例であり、小型パッド17Sは第2パッドの例である。
【0023】
また、本実施形態の金属パッド27は、複数の大型パッド27Lと、複数の小型パッド27Sとを含んでいる。各小型パッド27Sの下面の面積は、各大型パッド27Lの下面の面積よりも小さく設定されている。別言すると、各小型パッド27Sの平面形状のサイズは、各大型パッド27Lの平面形状のサイズよりも小さく設定されている。大型パッド27Lは第3パッドの例であり、小型パッド27Sは第4パッドの例である。
【0024】
本実施形態では、各大型パッド27Lの下面の面積が、各大型パッド17Lの上面の面積と等しく設定されており、かつ、各小型パッド17Sの上面の面積より大きく設定されている。本実施形態ではさらに、各小型パッド27Sの下面の面積が、各大型パッド17Lの上面の面積より小さく設定されており、かつ、各小型パッド17Sの上面の面積と等しく設定されている。例えば、金属パッド17、27の平面形状が正方形の場合には、小型パッド17Sの上面の一辺の長さや、小型パッド27Sの下面の一辺の長さが、大型パッド17Lの上面の一辺の長さや、大型パッド27Lの下面の一辺の長さより短く設定されている。
【0025】
本実施形態では、大型パッド27Lが小型パッド17Sと対になっており、小型パッド27Sが大型パッド17Lと対になっている。よって、各大型パッド27Lが1つの小型パッド17S上に配置されており、各小型パッド27Sが1つの大型パッド17L上に配置されている。これらの対を、パッド対と呼ぶことにする。本実施形態の半導体装置は、1つの小型パッド17S上に1つの大型パッド27Lが配置されたパッド対を複数備えており、かつ、1つの大型パッド17L上に1つの小型パッド27Sが配置されたパッド対を複数備えている。
図1は、前者のパッド対として3つのパッド対を示しており、後者のパッド対として2つのパッド対を示している。一方、本実施形態の半導体装置は、大型パッド17L上に大型パッド27Lが配置されたパッド対や、小型パッド17S上に小型パッド27Sが配置されたパッド対は備えていない。
【0026】
以上のように、本実施形態では、大型パッド27Lが小型パッド17Sと対になっており、小型パッド27Sが大型パッド17Lと対になっている。仮に大型パッド27Lが大型パッド17Lと対になっていたり、小型パッド27Sが小型パッド17Sと対になっていたりすると、金属パッド17と金属パッド27との位置ずれが問題となる。例えば、大型パッド17L上に大型パッド27Lを配置する際に位置ずれが起こると、大型パッド17Lの上面と大型パッド27Lの下面との接触面積が小さくなり、大型パッド17Lと大型パッド27Lとの間の接触抵抗が大きくなる。一方、小型パッド17S上に大型パッド27Lを配置する際に位置ずれが起きても、位置ずれが小さければ接触面積は変化しないため、接触抵抗は変化しない。よって、本実施形態によれば、金属パッド17と金属パッド27との位置ずれが起きても、位置ずれに伴う問題を抑制することが可能となる。
【0027】
さらに、本実施形態の半導体装置は、小型パッド17S上に大型パッド27Lが配置されたパッド対を複数備え、かつ、大型パッド17L上に小型パッド27Sが配置されたパッド対を複数備えている。このような構造の利点については、
図2~
図4を参照して説明する。
【0028】
図2は、第1実施形態の比較例の半導体装置の構造を示す断面図である。
【0029】
本比較例の半導体装置は、本実施形態の半導体装置と同じ構成要素を備えている。ただし、本比較例の半導体装置は、小型パッド17S上に大型パッド27Lが配置されたパッド対は備えているが、大型パッド17L上に小型パッド27Sが配置されたパッド対は備えていない。
【0030】
図3は、第1実施形態の比較例の半導体装置の構造を示す別の断面図である。
【0031】
図3の断面図は、
図2の断面図の縮小図に相当する。
図3は、本比較例の半導体装置内の領域として、金属パッド17、27を含む領域R1と、金属パッド17、27を含まない領域R2とを示している。
【0032】
ここで、下部基板1の上面に占める金属パッド17の占有率や、上部基板2の下面に占める金属パッド27の占有率について説明する。下部基板1の上面や、上部基板2の下面は、下部基板1と上部基板2との貼合面Sを形成している。
【0033】
下部基板1の上面に占める金属パッド17の占有率は、領域R1と領域R2で異なっている。領域R1内の占有率は、領域R1内のすべての金属パッド17の上面の面積を、領域R1内の下部基板1の上面の面積で割ることで与えられる。一方、領域R2内の占有率は、領域R2内のすべての金属パッド17の上面の面積を、領域R2内の下部基板1の上面の面積で割ることで与えられる。領域R2は金属パッド17を含んでいないため、領域R2内の金属パッド17の占有率はゼロである。
【0034】
同様に、上部基板2の下面に占める金属パッド27の占有率は、領域R1と領域R2で異なっている。領域R1内の占有率は、領域R1内のすべての金属パッド27の下面の面積を、領域R1内の上部基板2の下面の面積で割ることで与えられる。一方、領域R2内の占有率は、領域R2内のすべての金属パッド27の下面の面積を、領域R2内の上部基板2の下面の面積で割ることで与えられる。領域R2は金属パッド27を含んでいないため、領域R2内の金属パッド27の占有率はゼロである。
【0035】
本比較例では、領域R1内の金属パッド27の占有率は、領域R1内の金属パッド17の占有率よりも大きくなる。理由は、上部基板2の金属パッド27は、大型パッド27Lのみを含んでおり、下部基板1の金属パッド17は、小型パッド17Sのみを含んでいるからである。
【0036】
その結果、上部基板2内では、領域R1内の金属パッド27の占有率と、領域R2内の金属パッド27の占有率との差が大きくなる、すなわち、領域R1と領域R2とで金属パッド27の粗密差が大きくなる。このようなパッド粗密差は、上部基板2の下面を平坦化するためのCMP(Chemical Mechanical Polishing)に悪影響を与える。一般に、下部基板1と上部基板2とを貼り合わせる前には、下部基板1の上面や上部基板2の下面が、CMPにより平坦化される。この際、領域R1と領域R2とで金属パッド27の粗密差が大きいと、領域R2内の上部基板2の下面が、領域R1内の上部基板2の下面に比べて大きく削られてしまい、これらの下面の間に段差が生じてしまう。その結果、下部基板1と上部基板2とを貼り合わせる際、領域R1内の上部基板2の下面にボイドVが生じたり、領域R2内の金属パッド17、27の接合不良が生じたりするおそれがある。
【0037】
この問題は、下部基板1内で、領域R1内の金属パッド17の占有率と、領域R2内の金属パッド17の占有率との差が大きい場合にも生じ得る。よって、領域R1と領域R2との間のパッド粗密差は、上部基板2でも下部基板1でも低減することが望ましい。
【0038】
図4は、第1実施形態の半導体装置の構造を示す別の断面図である。
【0039】
図4の断面図は、
図1の断面図の縮小図に相当する。
図4は、本実施形態の半導体装置内の領域として、
図3と同様に、金属パッド17、27を含む領域R1と、金属パッド17、27を含まない領域R2とを示している。
【0040】
本実施形態では、上部基板2の金属パッド27は、大型パッド27Lと小型パッド27Sとを含み、下部基板1の金属パッド17も、大型パッド17Lと小型パッド17Sとを含んでいる。よって、本実施形態によれば、領域R1内の金属パッド27の占有率も、領域R1内の金属パッド17の占有率も、ある程度小さい値にすることが可能となる。別言すると、本実施形態によれば、領域R1と領域R2との間のパッド粗密差を、上部基板2でも下部基板1でも低減することが可能となる。これにより、上述のボイドVや接合不良を抑制することが可能となる。
【0041】
なお、パッド粗密差は例えば、領域R2内にダミーパッドを配置することで低減可能である。しかしながら、上述したように、金属パッド17、27がビアレス構造を採用している場合には、ダミーパッドを配置することが難しい場合がある。本実施形態によれば、上部基板2の金属パッド27が、大型パッド27Lと小型パッド27Sとを含み、下部基板1の金属パッド17も、大型パッド17Lと小型パッド17Sとを含むことで、ダミーパッドを用いずにパッド粗密差を低減することが可能となる。なお、本実施形態の金属パッド17、27は、ダミーパッドを用いる半導体装置にも、ダミーパッドを用いない半導体装置にも適用可能である。
【0042】
ここで、領域R1内の下部基板1の上面や上部基板2の下面における、大型パッド17Lの割合や、大型パッド27Lの割合について説明する。
【0043】
領域R1内の大型パッド17Lの割合は、領域R1内のすべての大型パッド17Lの個数を、領域R1内のすべての金属パッド17の個数で割ることで与えられる。すなわち、この割合は、領域R1内の金属パッド17の個数に対する、領域R1内の大型パッド17Lの個数の割合を表す。同様に、領域R1内の大型パッド27Lの割合は、領域R1内のすべての大型パッド27Lの個数を、領域R1内のすべての金属パッド27の個数で割ることで与えられる。すなわち、当該割合は、領域R1内の金属パッド27の個数に対する、領域R1内の大型パッド27Lの個数の割合を表す。上述の「占有率」が、ある面積を別の面積で割ることで与えられるのに対し、ここで説明した「割合」は、ある個数を別の個数で割ることで与えられることに留意されたい。
【0044】
本実施形態では、領域R1内の大型パッド27Lの割合を、40~60%(例えば約50%)に設定することが望ましい。同様に、本実施形態では、領域R1内の大型パッド17Lの割合を、40~60%(例えば約50%)に設定することが望ましい。これにより例えば、下部基板1と上部基板2の両方でパッド粗密差を低減することや、下部基板1と上部基板2の両方でボイドVや接合不良を抑制することが可能となる。領域R1は、所定の領域の例である。
【0045】
図5は、第1実施形態の下部基板1および上部基板2の構造を示す平面図である。
【0046】
図5(a)は、下部基板1内の金属パッド17を上から見た様子を示している。本実施形態の金属パッド17は、Y方向に延びる複数の直線とX方向に延びる複数の直線との交点に配置されており、その結果、正方格子状に配置されている。
図5(a)は、前者の直線の例としてA-A’線を示し、後者の直線の例としてB-B’線を示している。
【0047】
A-A’線上では、複数の大型パッド17Lと複数の小型パッド17Sとが交互に配置されている。同様に、B-B’線上では、複数の大型パッド17Lと複数の小型パッド17Sとが交互に配置されている。これは、Y方向に延びるA-A’線以外の直線や、X方向に延びるB-B’線以外の直線でも同様である。このような配置によれば、大型パッド17Lの割合を、領域R1内の下部基板1の上面の各所でおおむね均一にすることが可能となる、すなわち、大型パッド17Lの割合の均一性を高めることが可能となる。
【0048】
図5(a)はさらに、大型パッド17Lの上面のY方向の幅W1と、小型パッド17Sの上面のY方向の幅W2とを示している。本実施形態の大型パッド17Lおよび小型パッド17Sの上面の形状は、例えば正方形である。よって、幅W1は、大型パッド17Lの平面形状である正方形の一辺の長さを表し、幅W2は、小型パッド17Sの平面形状である正方形の一辺の長さを表す。幅W1は、幅W2より長く設定されており(W1>W2)、例えば幅W2の1.1倍以上に設定することが望ましい(W1≧1.1×W2)。幅W1は、例えば400nmである。幅W2は、例えば200nmである。
【0049】
図5(b)は、上部基板2内の金属パッド27を上から見た様子を示している。本実施形態の金属パッド27も、Y方向に延びる複数の直線とX方向に延びる複数の直線との交点に配置されており、その結果、正方格子状に配置されている。
図5(b)は、
図5(a)と同様に、前者の直線の例としてA-A’線を示し、後者の直線の例としてB-B’線を示している。
【0050】
図5(b)に示す金属パッド27の形状や配置は、
図5(a)に示す金属パッド17の形状や配置と同様である。ただし、
図5(b)にて大型パッド27Lが配置されている位置は、
図5(a)にて小型パッド17Sが配置されている位置と対応している。一方、
図5(b)にて小型パッド27Sが配置されている位置は、
図5(a)にて大型パッド17Lが配置されている位置と対応している。その結果、大型パッド27Lが小型パッド17Sと対になっており、小型パッド27Sが大型パッド17Lと対になっている。
【0051】
図6は、第1実施形態の半導体装置のパッドピッチと占有率との関係を示したグラフである。
【0052】
図6にて、曲線Aは、本実施形態の下部基板1または上部基板2のパッドピッチと占有率との関係を示している。曲線B1は、上記比較例の下部基板1のパッドピッチと占有率との関係を示している。曲線B2は、上記比較例の上部基板2のパッドピッチと占有率との関係を示している。
【0053】
図6の横軸のパッドピッチは、金属パッド17、27間のピッチを表す。
図6の縦軸の占有率は、領域R1内の金属パッド17、27の占有率を表す。上記比較例の上部基板2は大型パッド27Lのみを含み、上記比較例の下部基板1は小型パッド17Sのみを含んでいるため、同じパッドピッチにおいて、上記比較例の上部基板2の占有率(B2)は、上記比較例の下部基板1の占有率(B1)よりも大きくなっている。
【0054】
上記比較例の上部基板2では、領域R1内の金属パッド27の占有率(B2)が大きくなり、領域R1内の占有率と領域R2内の占有率(=0%)との差が大きくなる。これは、上記比較例でボイドVや接触不良が生じる原因となる。一方、本実施形態の上部基板2では、領域R1内の金属パッド27の占有率(A)は、上記比較例のそれに比べて小さくなっており、領域R1内の占有率と領域R2内の占有率(=0%)との差が小さくなる。よって、本実施形態によれば、ボイドVや接触不良を抑制することが可能となる。
【0055】
図7は、第1実施形態の第1変形例の下部基板1および上部基板2の構造を示す平面図である。
【0056】
図7(a)は、下部基板1内の金属パッド17を上から見た様子を示している。本変形例の金属パッド17は、Y方向に延びる複数の直線とX方向に延びる複数の直線との交点に配置されており、その結果、正方格子状に配置されている。
図7(a)は、前者の直線の例としてA-A’線およびC-C’線を示しており、後者の直線の例としてB-B’線を示している。
【0057】
図7(a)において、Y方向に延びる直線は、C-C’線のように大型パッド17Lのみを含む複数の直線と、A-A’線のように小型パッド17Sのみを含む複数の直線とを交互に含んでいる。前者の直線は第1直線の例であり、後者の直線は第2直線の例であり、Y方向は所定の方向の例である。一方、B-B’線上では、複数の大型パッド17Lと複数の小型パッド17Sとが交互に配置されている。これは、X方向に延びるB-B’線以外の直線でも同様である。このような正方格子状の配置によれば、大型パッド17Lの割合を、領域R1内の下部基板1の上面の各所でおおむね均一にすることが可能となる、すなわち、大型パッド17Lの割合の均一性を高めることが可能となる。
【0058】
図7(b)は、上部基板2内の金属パッド27を上から見た様子を示している。本変形例の金属パッド27も、Y方向に延びる複数の直線とX方向に延びる複数の直線との交点に配置されており、その結果、正方格子状に配置されている。
図7(b)は、
図7(a)と同様に、前者の直線の例としてA-A’線およびC-C’線を示しており、後者の直線の例としてB-B’線を示している。
【0059】
図7(b)に示す金属パッド27の形状や配置は、
図7(a)に示す金属パッド17の形状や配置と同様である。ただし、
図7(b)にて大型パッド27Lが配置されている位置は、
図7(a)にて小型パッド17Sが配置されている位置と対応している。一方、
図7(b)にて小型パッド27Sが配置されている位置は、
図7(a)にて大型パッド17Lが配置されている位置と対応している。その結果、大型パッド27Lが小型パッド17Sと対になっており、小型パッド27Sが大型パッド17Lと対になっている。
【0060】
図8は、第1実施形態の第2変形例の下部基板1および上部基板2の構造を示す平面図である。
【0061】
図8(a)は、下部基板1内の金属パッド17を上から見た様子を示している。本変形例の金属パッド17は、斜方向に延びる複数の直線とX方向に延びる複数の直線との交点に配置されており、その結果、三角格子状に配置されている。
図8(a)は、前者の直線の例としてD-D’線を示しており、後者の直線の例としてE-E’線およびF-F’線を示している。前者の直線は、後者の直線と同様に、互いに平行に延びている。
【0062】
図8(a)において、X方向に延びる直線は、F-F’線のように大型パッド17Lのみを含む複数の直線と、E-E’線のように小型パッド17Sのみを含む複数の直線とを交互に含んでいる。前者の直線は第1直線の例であり、後者の直線は第2直線の例であり、X方向は所定の方向の例である。一方、D-D’線上では、複数の大型パッド17Lと複数の小型パッド17Sとが交互に配置されている。これは、斜方向に延びるD-D’線以外の直線でも同様である。このような三角格子状の配置によれば、大型パッド17Lの割合を、領域R1内の下部基板1の上面の各所でおおむね均一にすることが可能となる、すなわち、大型パッド17Lの割合の均一性を高めることが可能となる。
【0063】
図8(b)は、上部基板2内の金属パッド27を上から見た様子を示している。本変形例の金属パッド27も、斜方向に延びる複数の直線とX方向に延びる複数の直線との交点に配置されており、その結果、三角格子状に配置されている。
図8(b)は、
図8(a)と同様に、前者の直線の例としてD-D’線を示しており、後者の直線の例としてE-E’線およびF-F’線を示している。前者の直線は、後者の直線と同様に、互いに平行に延びている。
【0064】
図8(b)に示す金属パッド27の形状や配置は、
図8(a)に示す金属パッド17の形状や配置と同様である。ただし、
図8(b)にて大型パッド27Lが配置されている位置は、
図8(a)にて小型パッド17Sが配置されている位置と対応している。一方、
図8(b)にて小型パッド27Sが配置されている位置は、
図8(a)にて大型パッド17Lが配置されている位置と対応している。その結果、大型パッド27Lが小型パッド17Sと対になっており、小型パッド27Sが大型パッド17Lと対になっている。
【0065】
図9は、第1実施形態の第3変形例の下部基板1および上部基板2の構造を示す平面図である。
【0066】
図9(a)は、下部基板1内の金属パッド17を上から見た様子を示している。本変形例の金属パッド17は、Y方向に延びる複数の直線とX方向に延びる複数の直線との交点に配置されており、その結果、正方格子状に配置されている。ただし、本変形例の金属パッド17は、大型パッド17Lと小型パッド17Sがこれらの交点にランダムに配置されるように、正方格子状に配置されている。このような配置によれば、例えば配線層14内の配線のレイアウトの自由度を向上させることが可能となる。例えば、配線の密度が高い領域上に小型パッド17Sを多く配置し、配線の密度が低い領域上に大型パッド17Lを多く配置することで、金属パッド17が配線を配置する邪魔になることを回避することが可能となる。
【0067】
図9(b)は、上部基板2内の金属パッド27を上から見た様子を示している。本変形例の金属パッド27も、Y方向に延びる複数の直線とX方向に延びる複数の直線との交点に配置されており、その結果、正方格子状に配置されている。
【0068】
図9(b)に示す金属パッド27の形状や配置は、
図9(a)に示す金属パッド17の形状や配置と同様である。ただし、
図9(b)にて大型パッド27Lが配置されている位置は、
図9(a)にて小型パッド17Sが配置されている位置と対応している。一方、
図9(b)にて小型パッド27Sが配置されている位置は、
図9(a)にて大型パッド17Lが配置されている位置と対応している。その結果、大型パッド27Lが小型パッド17Sと対になっており、小型パッド27Sが大型パッド17Lと対になっている。
【0069】
本変形例の上部基板2では、領域R1内の大型パッド27Lの割合が、約60%に設定されている。その結果、本変形例の下部基板1では、領域R1内の大型パッド17Lの割合が約40%に設定されている。これにより、配線層14内の配線のレイアウトの自由度を向上させることが可能となる。このような占有率の設定は例えば、配線層14内の配線のレイアウトの自由度を向上させることを、配線層24内の配線のレイアウトの自由度を向上させることよりも優先したい場合に採用される。
【0070】
図10は、第1実施形態の第3変形例の半導体装置のパッドピッチと占有率との関係を示したグラフである。
【0071】
図10にて、曲線A1は、本変形例の下部基板1のパッドピッチと占有率との関係を示し、曲線A2は、本変形例の上部基板2のパッドピッチと占有率との関係を示している。また、曲線B1は、上記比較例の下部基板1のパッドピッチと占有率との関係を示し、曲線B2は、上記比較例の上部基板2のパッドピッチと占有率との関係を示している。
図10の横軸のパッドピッチは、金属パッド17、27間のピッチを表す。
図10の縦軸の占有率は、領域R1内の金属パッド17、27の占有率を表す。
【0072】
本変形例では、領域R1内の大型パッド27Lの割合が約60%に設定されており、領域R1内の大型パッド17Lの割合が約40%に設定されている。よって、同じパッドピッチにおいて、本変形例の上部基板2の大型パッド27Lの占有率(A2)は、本変形例の下部基板1の大型パッド17Lの占有率(A1)よりも大きくなっている。しかしながら、本変形例の上部基板2の領域R1内の占有率と領域R2内の占有率との差は、上記比較例のそれよりは小さく抑えられている。よって、本変形例によれば、ボイドVや接触不良を抑制することが可能となる。
【0073】
以上のように、本実施形態の半導体装置では、大型パッド27Lが小型パッド17Sと対になっており、小型パッド27Sが大型パッド17Lと対になっている。よって、本実施形態によれば、金属パッド17、27が層間絶縁膜16、26に悪影響を与えることを抑制することが可能となり、例えば、層間絶縁膜16、26にボイドVが生じることを抑制することが可能となる。また、本実施形態によれば、金属パッド17、27に接合不良が生じることを抑制することが可能となる。
【0074】
なお、下部基板1は、本実施形態では2種類のサイズの金属パッド17(大型パッド17Lおよび小型パッド17S)を備えているが、3種類以上のサイズの金属パッド17を備えていてもよい。同様に、上部基板2は、本実施形態では2種類のサイズの金属パッド27(大型パッド27Lおよび小型パッド27S)を備えているが、3種類以上のサイズの金属パッド27を備えていてもよい。また、大型パッド27Lのサイズは、大型パッド17Lのサイズと異なっていてもよいし、小型パッド27Sのサイズは、小型パッド17Sのサイズと異なっていてもよい。
【0075】
また、金属パッド17、27の平面形状は、本実施形態では正方形となっているが、その他の形状(例えば長方形や円形)でもよい。
【0076】
(第2実施形態)
図11~
図15は、第2実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図である。本実施形態の方法は、第1実施形態の半導体装置を製造するために行われる。
【0077】
まず、
図11(a)の下部基板1’と、
図11(b)の上部基板2’とを製造する。下部基板1’は、ウェハの状態の基板であり、第1実施形態の下部基板1を製造するために使用される。同様に、上部基板2’は、ウェハの状態の基板であり、第1実施形態の上部基板2を製造するために使用される。
【0078】
図11(a)の下部基板1’は、半導体基板11上に、層間絶縁膜12、ビアプラグ13、配線層14、絶縁膜15、および層間絶縁膜16を形成することで製造される。配線層14は、複数の配線を含むように層間絶縁膜12内に形成される。配線層14は例えば、配線層14下のビアプラグ13を介して、3次元メモリのCMOS回路(不図示)と電気的に接続されている。絶縁膜15と層間絶縁膜16は、層間絶縁膜12および配線層14上に順に形成される。絶縁膜15は例えば、膜厚50nmのシリコン窒化膜である。層間絶縁膜16は例えば、膜厚250nmのシリコン酸化膜である。
【0079】
図11(b)の上部基板2’は、半導体基板21上に、層間絶縁膜22、ビアプラグ23、配線層24、絶縁膜25、および層間絶縁膜26を形成することで製造される。配線層24は、複数の配線を含むように層間絶縁膜22内に形成される。配線層24は例えば、配線層24下のビアプラグ23を介して、3次元メモリのメモリセルアレイ(不図示)と電気的に接続されている。絶縁膜25と層間絶縁膜26は、層間絶縁膜22および配線層24上に順に形成される。絶縁膜25は例えば、膜厚50nmのシリコン窒化膜である。層間絶縁膜26は例えば、膜厚250nmのシリコン酸化膜である。
【0080】
次に、層間絶縁膜16と絶縁膜15とを貫通する複数の開口部18をドライエッチングにより形成し、層間絶縁膜26と絶縁膜25とを貫通する複数の開口部28をドライエッチングにより形成する(
図12(a)および
図12(b))。その結果、各開口部18内に配線層14の1本の配線の上面が露出し、各開口部28内に配線層24の1本の配線の上面が露出する。この際、絶縁膜15、25は、エッチングストッパとして使用される。開口部18は下部開口部の例であり、開口部28は上部開口部の例である。
【0081】
開口部18は、複数の大型開口部18Lと、複数の小型開口部18Sとを含むように形成される。大型開口部18Lは、大型パッド17Lを埋め込むために使用され、小型開口部18Sは、小型パッド17Sを埋め込むために使用される。よって、本実施形態の開口部18は、正方形の平面形状を有するように形成される。一方、開口部18は、円形の平面形状を有するように形成してもよい。例えば、大型開口部18Lの平面形状は、直径600nmの円に設定され、小型開口部18Sの平面形状は、直径200nmの円に設定される。本実施形態の大型開口部18Lおよび小型開口部18Sはそれぞれ、
図5(a)に示す大型パッド17Lおよび小型パッド17Sと同じレイアウトになるように配置される。
【0082】
開口部28は、複数の大型開口部28Lと、複数の小型開口部28Sとを含むように形成される。大型開口部28Lは、大型パッド27Lを埋め込むために使用され、小型開口部28Sは、小型パッド27Sを埋め込むために使用される。よって、本実施形態の開口部28は、正方形の平面形状を有するように形成される。一方、開口部28は、円形の平面形状を有するように形成してもよい。例えば、大型開口部28Lの平面形状は、直径600nmの円に設定され、小型開口部28Sの平面形状は、直径200nmの円に設定される。本実施形態の大型開口部28Lおよび小型開口部28Sはそれぞれ、
図5(b)に示す大型パッド27Lおよび小型パッド27Sと同じレイアウトになるように配置される。
【0083】
次に、層間絶縁膜16、絶縁膜15、および配線層14上に、バリアメタル層17aおよび配線材層17bを順に形成し、層間絶縁膜26、絶縁膜25、および配線層24上に、バリアメタル層27aおよび配線材層27bを順に形成する(
図13(a)および
図13(b))。その結果、バリアメタル層17aおよび配線材層17bが開口部17内に埋め込まれ、バリアメタル層27aおよび配線材層27bが開口部27内に埋め込まれる。バリアメタル層17aおよび配線材層17bは、下部パッドの材料の例であり、バリアメタル層27aおよび配線材層27bは、上部パッドの材料の例である。
【0084】
バリアメタル層17aは、各開口部18の側面や底面に形成される。バリアメタル層17aは例えば、膜厚10nmのTa(タンタル)層である。配線材層17bは、各開口部18内にバリアメタル層17aを介して形成される。配線材層17bは例えば、膜厚500nmのCu層である。
【0085】
バリアメタル層27aは、各開口部28の側面や底面に形成される。バリアメタル層27aは例えば、膜厚10nmのTa層である。配線材層27bは、各開口部28内にバリアメタル層27aを介して形成される。配線材層27bは例えば、膜厚500nmのCu層である。
【0086】
次に、配線材層17bおよびバリアメタル層17aの表面をCMPにより平坦化し、配線材層27bおよびバリアメタル層27aの表面をCMPにより平坦化する(
図14(a)および
図14(b))。これらのCMPは例えば、砥石としてシリカ粒子を含み、酸化剤として過酸化水素を含むスラリーを用いて行われる。
【0087】
下部基板1’のCMPは、開口部18外の余剰な配線材層17bおよびバリアメタル層17aを除去するように行われる。その結果、開口部18内に配線材層17bおよびバリアメタル層17aが残存し、開口部18内に金属パッド17が形成される。金属パッド17は、開口部18内に配線層14に接するように形成される。金属パッド17に含まれる大型パッド17Lおよび小型パッド17Sは、
図5(a)に示すレイアウトをなすように配置される。これにより、CMPにより下部基板1’に、ボイドVの原因となる段差が生じることを抑制することが可能となる。
【0088】
上部基板2’のCMPは、開口部28外の余剰な配線材層27bおよびバリアメタル層27aを除去するように行われる。その結果、開口部28内に配線材層27bおよびバリアメタル層27aが残存し、開口部28内に金属パッド27が形成される。金属パッド27は、開口部28内に配線層24に接するように形成される。金属パッド27に含まれる大型パッド27Lおよび小型パッド27Sは、
図5(b)に示すレイアウトをなすように配置される。これにより、CMPにより上部基板2’に、ボイドVの原因となる段差が生じることを抑制することが可能となる。
【0089】
次に、上部基板2’の上下を逆さまにして、上部基板2’を下部基板1’に貼り合わせる(
図15)。この貼合は、大型パッド27Lが小型パッド17S上に配置され、小型パッド27Sが大型パッド17L上に配置され、層間絶縁膜26が層間絶縁膜16上に配置されるように行われる。その後、下部基板1’および上部基板2’をアニールすることで、大型パッド27Lが小型パッド17Sと接合され、小型パッド27Sが大型パッド17Lと接合され、層間絶縁膜26が層間絶縁膜16と接着される。本実施形態によれば、
図5(a)および
図5(b)に示すレイアウトを採用することで、貼合後にボイドVや接合不良が生じることを抑制することが可能となる。
【0090】
その後、下部基板1’および上部基板2’が、ダイシングにより個々の半導体装置に切断される。このようにして、下部基板1と上部基板2とを備える本実施形態の半導体装置が製造される。なお、ダイシングを行う前に上部基板2’から半導体基板21を除去してもよい。
【0091】
本実施形態では、下部基板1’と上部基板2’とを貼り合わせることで、第1実施形態の半導体装置を製造する。よって、本実施形態によれば、金属パッド17、27が層間絶縁膜16、26に悪影響を与えることを抑制することが可能となり、例えば、層間絶縁膜16、26にボイドVが生じることを抑制することが可能となる。また、本実施形態によれば、金属パッド17、27に接合不良が生じることを抑制することが可能となる。
【0092】
なお、本実施形態の方法は、第1、第2、または第3変形例の半導体装置を製造するために用いることも可能である。この場合、大型開口部18Lおよび小型開口部18Sはそれぞれ、
図7(a)、
図8(a)、または
図9(a)に示す大型パッド17Lおよび小型パッド17Sと同じレイアウトになるように配置される。さらには、大型開口部28Lおよび小型開口部28Sはそれぞれ、
図7(b)、
図8(b)、または
図9(b)に示す大型パッド27Lおよび小型パッド27Sと同じレイアウトになるように配置される。
【0093】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置および方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置および方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0094】
1:下部基板、1A’:下部基板、2:上部基板、2A’:上部基板、
11:半導体基板、12:層間絶縁膜、13:ビアプラグ、14:配線層、
14a:バリアメタル層、14b:配線材層、15:絶縁膜、16:層間絶縁膜、
17:金属パッド、17a:バリアメタル層、17b:パッド材層、
17L:大型パッド、17S:小型パッド、
18:開口部、18L:大型開口部、18S:小型開口部、
21:半導体基板、22:層間絶縁膜、23:ビアプラグ、24:配線層、
24a:バリアメタル層、24b:配線材層、25:絶縁膜、26:層間絶縁膜、
27:金属パッド、27a:バリアメタル層、27b:パッド材層、
27L:大型パッド、27S:小型パッド、
28:開口部、28L:大型開口部、28S:小型開口部