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特開2022-130150適正在庫管理装置、適正在庫管理方法、および、適正在庫管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022130150
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】適正在庫管理装置、適正在庫管理方法、および、適正在庫管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20120101AFI20220830BHJP
【FI】
G06Q10/08 330
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021029158
(22)【出願日】2021-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 猛
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC52
(57)【要約】      (修正有)
【課題】適正在庫係数や受注残数に応じて大口在庫から小口在庫に自動的に在庫補充数を算出して移動処理を行う適正在庫管理装置を提供する。
【解決手段】適正在庫管理装置100において、制御部102は、商品のケース出荷予定数及びバラ出荷予定数を含む出荷予定数を設定した受注データを取得し、受注データに基づいて、商品毎のバラ出荷予定数を集計した集計数を取得し、品目マスタ及び在庫データに基づいて、バラ在庫数と商品の集計数とを比較して、ケース在庫からバラ在庫へのケースの移動数を取得する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部と制御部とを備えた適正在庫管理装置であって、
前記記憶部は、
商品のケースあたりの入数を設定した品目マスタを記憶する品目記憶手段と、
前記商品のケース在庫のケース在庫数、および、バラ在庫のバラ在庫数を設定した在庫データを記憶する在庫記憶手段と、
を備え、
前記制御部は、
前記商品のケース出荷予定数、および、バラ出荷予定数を含む出荷予定数を設定した受注データを取得する受注取得手段と、
前記受注データに基づいて、前記商品毎の前記バラ出荷予定数を集計した集計数を取得する集計手段と、
前記品目マスタ、および、前記在庫データに基づいて、前記バラ在庫数と前記商品の前記集計数とを比較して、前記ケース在庫から前記バラ在庫への前記ケースの移動数を取得する移動数取得手段と、
を備えたことを特徴とする適正在庫管理装置。
【請求項2】
前記品目マスタは、
更に、補充判定の基準となる前記商品の補充在庫基準数、および、在庫補充時の前記ケースの補充数が設定され、
前記制御部は、
前記品目マスタ、および、前記在庫データに基づいて、前記補充在庫基準数が前記商品の前記バラ在庫数よりも多いか否かを判定する補充判定手段と、
前記補充判定手段により前記補充在庫基準数が前記商品の前記バラ在庫数よりも多いと判定された場合、前記在庫データ、および、前記品目マスタに基づいて、前記ケース在庫から前記バラ在庫へ補充する前記補充数を取得する補充数取得手段と、
を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の適正在庫管理装置。
【請求項3】
前記在庫データは、
更に、ロット番号が設定され、
前記受注取得手段は、
更に、前記商品の指定ロット番号、ならびに、当該商品の前記ケース出荷予定数および前記バラ出荷予定数を含む前記出荷予定数を設定したロット指定受注データを取得し、
前記集計手段は、
更に、前記ロット指定受注データに基づいて、前記指定ロット番号の前記商品の前記バラ出荷予定数を集計したロット指定集計数を取得し、
前記移動数取得手段は、
更に、前記品目マスタ、および、前記在庫データに基づいて、前記指定ロット番号の前記バラ在庫数と前記ロット指定集計数とを比較して、前記ケース在庫から前記バラ在庫への前記指定ロット番号の前記ケースの移動数であるロット指定移動数を取得することを特徴とする請求項1または2に記載の適正在庫管理装置。
【請求項4】
前記集計手段は、
更に、前記受注データ、および、前記ロット指定受注データに基づいて、前記指定ロット番号以外の前記商品の前記バラ出荷予定数を集計した残集計数を取得し、
前記制御部は、
前記品目マスタ、および、前記ロット指定移動数に基づいて、前記在庫データに設定された前記バラ在庫数を追加更新し、当該バラ在庫数から前記ロット指定集計数を差し引いた残バラ在庫数を取得する在庫更新手段、
を更に備え、
前記移動数取得手段は、
更に、前記品目マスタに基づいて、前記残バラ在庫数と前記残集計数とを比較して、前記ケース在庫から前記バラ在庫への前記ケースの移動数である残移動数を取得することを特徴とする請求項3に記載の適正在庫管理装置。
【請求項5】
前記記憶部は、
前記商品の前記ケース在庫、および、前記バラ在庫のロケーションを設定したロケーションマスタを記憶するロケーション記憶手段、
を更に備え、
前記移動数取得手段は、
前記ロケーションマスタ、前記品目マスタ、および、前記在庫データに基づいて、前記バラ在庫数と前記商品の前記集計数とを比較して、前記ケース在庫から前記バラ在庫への前記ケースの移動数を取得することを特徴とする請求項1または2に記載の適正在庫管理装置。
【請求項6】
前記在庫データは、
更に、ロット番号が設定され、
前記補充数取得手段は、
前記補充判定手段により前記補充在庫基準数が前記商品の前記バラ在庫数よりも多いと判定された場合、前記在庫データ、および、前記品目マスタに基づいて、前記ケース在庫から前記バラ在庫へ補充する前記補充数の前記ケースを前記ロット番号順に特定することを特徴とする請求項2に記載の適正在庫管理装置。
【請求項7】
前記商品は、
食品、電気部品、電子部品、または、機械部品であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の適正在庫管理装置。
【請求項8】
記憶部と制御部とを備えた適正在庫管理装置に実行させるための適正在庫管理方法であって、
前記記憶部は、
商品のケースあたりの入数を設定した品目マスタを記憶する品目記憶手段と、
前記商品のケース在庫のケース在庫数、および、バラ在庫のバラ在庫数を設定した在庫データを記憶する在庫記憶手段と、
を備え、
前記制御部で実行させる、
前記商品のケース出荷予定数、および、バラ出荷予定数を含む出荷予定数を設定した受注データを取得する受注取得ステップと、
前記受注データに基づいて、前記商品毎の前記バラ出荷予定数を集計した集計数を取得する集計ステップと、
前記品目マスタ、および、前記在庫データに基づいて、前記バラ在庫数と前記商品の前記集計数とを比較して、前記ケース在庫から前記バラ在庫への前記ケースの移動数を取得する移動数取得ステップと、
を含むことを特徴とする適正在庫管理方法。
【請求項9】
記憶部と制御部とを備えた適正在庫管理装置に実行させるための適正在庫管理プログラムであって、
前記記憶部は、
商品のケースあたりの入数を設定した品目マスタを記憶する品目記憶手段と、
前記商品のケース在庫のケース在庫数、および、バラ在庫のバラ在庫数を設定した在庫データを記憶する在庫記憶手段と、
を備え、
前記制御部において、
前記商品のケース出荷予定数、および、バラ出荷予定数を含む出荷予定数を設定した受注データを取得する受注取得ステップと、
前記受注データに基づいて、前記商品毎の前記バラ出荷予定数を集計した集計数を取得する集計ステップと、
前記品目マスタ、および、前記在庫データに基づいて、前記バラ在庫数と前記商品の前記集計数とを比較して、前記ケース在庫から前記バラ在庫への前記ケースの移動数を取得する移動数取得ステップと、
を実行させるための適正在庫管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、適正在庫管理装置、適正在庫管理方法、および、適正在庫管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バラ在庫が総出荷数より多い場合、バラ在庫のみを出荷に充当し、バラ在庫が総出荷数より少ない場合、バラ在庫を出荷に充当した後、ケース在庫を残数の出荷に充当する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-205810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の発明においては、ケースの入数を加味して、各品目の出荷数における端数となるバラ数に対してのみ、バラ在庫を出荷に充当することができないという課題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、適正在庫係数や受注残数に応じて大口在庫から小口在庫に自動的に在庫補充数を算出して移動処理を行うことができる適正在庫管理装置、適正在庫管理方法、および、適正在庫管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る適正在庫管理装置は、記憶部と制御部とを備えた適正在庫管理装置であって、前記記憶部は、商品のケースあたりの入数を設定した品目マスタを記憶する品目記憶手段と、前記商品のケース在庫のケース在庫数、および、バラ在庫のバラ在庫数を設定した在庫データを記憶する在庫記憶手段と、を備え、前記制御部は、前記商品のケース出荷予定数、および、バラ出荷予定数を含む出荷予定数を設定した受注データを取得する受注取得手段と、前記受注データに基づいて、前記商品毎の前記バラ出荷予定数を集計した集計数を取得する集計手段と、前記品目マスタ、および、前記在庫データに基づいて、前記バラ在庫数と前記商品の前記集計数とを比較して、前記ケース在庫から前記バラ在庫への前記ケースの移動数を取得する移動数取得手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る適正在庫管理装置において、前記品目マスタは、更に、補充判定の基準となる前記商品の補充在庫基準数、および、在庫補充時の前記ケースの補充数が設定され、前記制御部は、前記品目マスタ、および、前記在庫データに基づいて、前記補充在庫基準数が前記商品の前記バラ在庫数よりも多いか否かを判定する補充判定手段と、前記補充判定手段により前記補充在庫基準数が前記商品の前記バラ在庫数よりも多いと判定された場合、前記在庫データ、および、前記品目マスタに基づいて、前記ケース在庫から前記バラ在庫へ補充する前記補充数を取得する補充数取得手段と、を更に備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る適正在庫管理装置において、前記在庫データは、更に、ロット番号が設定され、前記受注取得手段は、更に、前記商品の指定ロット番号、ならびに、当該商品の前記ケース出荷予定数および前記バラ出荷予定数を含む前記出荷予定数を設定したロット指定受注データを取得し、前記集計手段は、更に、前記ロット指定受注データに基づいて、前記指定ロット番号の前記商品の前記バラ出荷予定数を集計したロット指定集計数を取得し、前記移動数取得手段は、更に、前記品目マスタ、および、前記在庫データに基づいて、前記指定ロット番号の前記バラ在庫数と前記ロット指定集計数とを比較して、前記ケース在庫から前記バラ在庫への前記指定ロット番号の前記ケースの移動数であるロット指定移動数を取得することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る適正在庫管理装置において、前記集計手段は、更に、前記受注データ、および、前記ロット指定受注データに基づいて、前記指定ロット番号以外の前記商品の前記バラ出荷予定数を集計した残集計数を取得し、前記制御部は、前記品目マスタ、および、前記ロット指定移動数に基づいて、前記在庫データに設定された前記バラ在庫数を追加更新し、当該バラ在庫数から前記ロット指定集計数を差し引いた残バラ在庫数を取得する在庫更新手段、を更に備え、前記移動数取得手段は、更に、前記品目マスタに基づいて、前記残バラ在庫数と前記残集計数とを比較して、前記ケース在庫から前記バラ在庫への前記ケースの移動数である残移動数を取得することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る適正在庫管理装置において、前記記憶部は、前記商品の前記ケース在庫、および、前記バラ在庫のロケーションを設定したロケーションマスタを記憶するロケーション記憶手段、を更に備え、前記移動数取得手段は、前記ロケーションマスタ、前記品目マスタ、および、前記在庫データに基づいて、前記バラ在庫数と前記商品の前記集計数とを比較して、前記ケース在庫から前記バラ在庫への前記ケースの移動数を取得することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る適正在庫管理装置において、前記在庫データは、更に、ロット番号が設定され、前記補充数取得手段は、前記補充判定手段により前記補充在庫基準数が前記商品の前記バラ在庫数よりも多いと判定された場合、前記在庫データ、および、前記品目マスタに基づいて、前記ケース在庫から前記バラ在庫へ補充する前記補充数の前記ケースを前記ロット番号順に特定することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る適正在庫管理装置において、前記商品は、食品、電気部品、電子部品、または、機械部品であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る適正在庫管理方法は、記憶部と制御部とを備えた適正在庫管理装置に実行させるための適正在庫管理方法であって、前記記憶部は、商品のケースあたりの入数を設定した品目マスタを記憶する品目記憶手段と、前記商品のケース在庫のケース在庫数、および、バラ在庫のバラ在庫数を設定した在庫データを記憶する在庫記憶手段と、を備え、前記制御部で実行させる、前記商品のケース出荷予定数、および、バラ出荷予定数を含む出荷予定数を設定した受注データを取得する受注取得ステップと、前記受注データに基づいて、前記商品毎の前記バラ出荷予定数を集計した集計数を取得する集計ステップと、前記品目マスタ、および、前記在庫データに基づいて、前記バラ在庫数と前記商品の前記集計数とを比較して、前記ケース在庫から前記バラ在庫への前記ケースの移動数を取得する移動数取得ステップと、を含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る適正在庫管理プログラムは、記憶部と制御部とを備えた適正在庫管理装置に実行させるための適正在庫管理プログラムであって、前記記憶部は、商品のケースあたりの入数を設定した品目マスタを記憶する品目記憶手段と、前記商品のケース在庫のケース在庫数、および、バラ在庫のバラ在庫数を設定した在庫データを記憶する在庫記憶手段と、を備え、前記制御部において、前記商品のケース出荷予定数、および、バラ出荷予定数を含む出荷予定数を設定した受注データを取得する受注取得ステップと、前記受注データに基づいて、前記商品毎の前記バラ出荷予定数を集計した集計数を取得する集計ステップと、前記品目マスタ、および、前記在庫データに基づいて、前記バラ在庫数と前記商品の前記集計数とを比較して、前記ケース在庫から前記バラ在庫への前記ケースの移動数を取得する移動数取得ステップと、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、物流倉庫でのピッキング、荷造を効率的に実施することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、大口在庫(パレット)、小口在庫(バラ)を別ロケーションで管理することで、フォークリフトと手作業でのピッキング作業を同時刻に分担して実施することが可能となるという効果を奏する。また、本発明によれば、通常、倉庫内で受注状況に応じケースからバラへの展開数を手動で計算している場合が多いが、受注数からケースからバラへの展開数をロジカルに算出することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、小ロットサイズの出荷予定に対する不足分の在庫を大きいロットサイズのものから補充することができ、更に、小ロットサイズの安全在庫(マスタ設定)に対する不足分の在庫を大きいロットサイズのものから補充することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、ケース/ボール、または、ボール/バラでも有用であり、ケース/バラに限らず有効に活用することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、バラの荷姿管理が要件として非常に多い食品業界だけでなく、他ベンダーでも適用可能であるという効果を奏する。また、本発明によれば、荷姿管理ができるという点のみでなく、同一コードでケースバラ管理をできるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本実施形態における適正在庫管理処理の一例を示す図である。
図2図2は、本実施形態における適正在庫管理処理の一例を示す図である。
図3図3は、本実施形態における適正在庫管理装置の構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、本実施形態における適正在庫管理装置の処理の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、本実施形態における適正在庫管理処理の一例を示す図である。
図6図6は、本実施形態における適正在庫管理処理の一例を示す図である。
図7図7は、本実施形態における適正在庫管理処理の一例を示す図である。
図8図8は、本実施形態における適正在庫管理処理の一例を示す図である。
図9図9は、本実施形態における適正在庫管理処理の一例を示す図である。
図10図10は、本実施形態における適正在庫管理処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0018】
[1.概要]
まず、図1および図2を参照して、本発明の概要を説明する。図1および図2は、本実施形態における適正在庫管理処理の一例を示す図である。
【0019】
従来、大ロット、および、小ロット荷姿両方の出荷作業を行う運用では、フォークリフトでのピッキングと手作業でのピッキングとが混在するため、当日の出荷数が決定した時点で、フォークリフトでのピッキングと手作業でのピッキングとを同時並行で行う必要があり、フォークリフトでのケース出荷作業が始まる前までに、手作業のバラ出荷作業場所へ在庫補充を行う必要があった。
【0020】
そのため、従来、総バラ数での在庫管理では、大口出荷のためのパレット単位の在庫と小口出荷のためのボール在庫との実態が把握できず、現場担当者が裁量で補充を行っていたため、複数担当者、または、複数場所でのピッキング作業分担において、作業の待ち時間が発生することが多かった。
【0021】
そこで、本実施形態においては、システム内で、ケース在庫とバラ在庫とをロケーションを分けて管理し、バラの適正在庫数、および、本日の出荷予定数に応じてケースロケーションからバラロケーションへの在庫払出数を自動算出する仕組みを提供している。
【0022】
例えば、図1に示すように、本実施形態においては、品目マスタの設定に応じて、バラ棚にケース棚から在庫補充を行う一次補充処理を実行している。すなわち、図1に示すように、本実施形態においては、現在庫数と品目マスタに設定された適正小口在庫数設定とを比較して、バラ棚在庫が下回っている場合、ケース棚からバラ棚へ在庫移動を行うことで、自動的に不足数をロケーション移動している。
【0023】
また、図2に示すように、本実施形態においては、出荷予定数に応じて、ケース棚からバラ棚に在庫補充を行う二次補充処理を実行している。すなわち、図2に示すように、本実施形態においては、現在庫数と出荷予定数のバラピッキング数(端数バラ数)とを比較して、バラ棚在庫が下回っている場合、ケース棚からバラ棚へ在庫移動を行い、自動的に不足数をロケーション移動することで、出荷前に事前に補充作業を実施することを可能としている。また、図2に示すように、本実施形態においては、出荷データ作成時、ケース分・端数バラ分をそれぞれのロケーションから在庫を引き落としている。
【0024】
[2.構成]
本実施形態に係る適正在庫管理装置100の構成の一例について、図3を参照して説明する。図3は、本実施形態における適正在庫管理装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0025】
図3に示すように、適正在庫管理装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、適正在庫管理装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0026】
適正在庫管理装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。適正在庫管理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0027】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、適正在庫管理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、適正在庫管理装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0028】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(タッチパネルを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114またはプリンタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0029】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、およびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。記憶部106は、品目マスタ106aとロケーションマスタ106bと在庫データベース106cとを備えている。
【0030】
品目マスタ106aは、商品のケースあたりの入数を設定したマスタである。ここで、品目マスタ106aは、補充判定の基準となる商品の補充在庫基準数、および、在庫補充時のケースの補充数が設定されていてもよい。また、商品は、食品、電気部品、電子部品、または、機械部品であってもよい。
【0031】
ロケーションマスタ106bは、商品の在庫のロケーションを設定したマスタである。ここで、ロケーションマスタ106bは、商品のケース在庫、および、バラ在庫のロケーションが設定されていてもよい。
【0032】
在庫データベース106cは、商品の在庫データを記憶する。ここで、在庫データベース106cは、商品のケース在庫のケース在庫数、および、バラ在庫のバラ在庫数を設定した在庫データを記憶していてもよい。また、在庫データは、ロット番号が設定されていてもよい。
【0033】
制御部102は、適正在庫管理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に、補充判定部102aと補充数取得部102bと受注取得部102cと集計部102dと移動数取得部102eと在庫更新部102fとを備えている。
【0034】
補充判定部102aは、品目マスタ106a、および、在庫データに基づいて、商品の補充在庫基準数が商品のバラ在庫数よりも多いか否かを判定する。
【0035】
補充数取得部102bは、ケース在庫からバラ在庫へ補充するケースの補充数を取得する。ここで、補充数取得部102bは、補充判定部102aにより商品の補充在庫基準数が商品のバラ在庫数よりも多いと判定された場合、在庫データ、および、品目マスタ106aに基づいて、ケース在庫からバラ在庫へ補充するケースの補充数を取得してもよい。また、補充数取得部102bは、補充判定部102aにより商品の補充在庫基準数が商品のバラ在庫数よりも多いと判定された場合、在庫データ、および、品目マスタ106aに基づいて、ケース在庫からバラ在庫へ補充する補充数のケースをロット番号順に特定してもよい。
【0036】
受注取得部102cは、商品の受注データを取得する。ここで、受注取得部102cは、商品のケース出荷予定数、および、バラ出荷予定数を含む出荷予定数を設定した受注データを取得してもよい。また、受注取得部102cは、商品の指定ロット番号、ならびに、当該商品のケース出荷予定数およびバラ出荷予定数を含む出荷予定数を設定したロット指定受注データを取得してもよい。
【0037】
集計部102dは、受注データに基づいて、商品毎のバラ出荷予定数を集計した集計数を取得する。ここで、集計部102dは、ロット指定受注データに基づいて、指定ロット番号の商品のバラ出荷予定数を集計したロット指定集計数を取得してもよい。また、集計部102dは、受注データ、および、ロット指定受注データに基づいて、指定ロット番号以外の商品のバラ出荷予定数を集計した残集計数を取得してもよい。
【0038】
移動数取得部102eは、ケース在庫からバラ在庫へのケースの移動数を取得する。ここで、移動数取得部102eは、品目マスタ106a、および、在庫データに基づいて、商品のバラ在庫数と商品の集計数とを比較して、ケース在庫からバラ在庫へのケースの移動数を取得してもよい。また、移動数取得部102eは、品目マスタ106a、および、在庫データに基づいて、指定ロット番号のバラ在庫数とロット指定集計数とを比較して、ケース在庫からバラ在庫への指定ロット番号のケースの移動数であるロット指定移動数を取得してもよい。また、移動数取得部102eは、品目マスタ106aに基づいて、残バラ在庫数と残集計数とを比較して、ケース在庫からバラ在庫へのケースの移動数である残移動数を取得してもよい。また、移動数取得部102eは、ロケーションマスタ106b、品目マスタ106a、および、在庫データに基づいて、商品のバラ在庫数と商品の集計数とを比較して、ケース在庫からバラ在庫へのケースの移動数を取得してもよい。
【0039】
在庫更新部102fは、商品の在庫データを更新する。ここで、在庫更新部102fは、品目マスタ106a、および、ロット指定移動数に基づいて、在庫データに設定されたバラ在庫数を追加更新し、当該バラ在庫数からロット指定集計数を差し引いた残バラ在庫数を取得してもよい。
【0040】
[3.具体例]
本実施形態の具体例について、図4から図10を参照して説明する。
【0041】
[適正在庫管理処理]
ここで、図4を参照して、本実施形態における適正在庫管理処理の一例について説明する。図4は、本実施形態における適正在庫管理装置100の処理の一例を示すフローチャートである。
【0042】
図4に示すように、補充判定部102aは、品目マスタ106a、および、在庫データベース106cに記憶されている在庫データに基づいて、商品の補充在庫基準数が商品のバラ在庫数よりも多いか否かを判定する(ステップSA-1)。
【0043】
そして、補充判定部102aは、商品の補充在庫基準数が商品のバラ在庫数よりも多くないと判定した場合(ステップSA-1:No)、処理をステップSA-4に移行させる。
【0044】
一方、補充判定部102aは、商品の補充在庫基準数が商品のバラ在庫数よりも多いと判定した場合(ステップSA-1:Yes)、処理をステップSA-2に移行させる。
【0045】
そして、補充数取得部102bは、在庫データベース106cに記憶されている在庫データ、および、品目マスタ106aに基づいて、ケース在庫からバラ在庫へ補充するケースの補充数を取得する(ステップSA-2)。
【0046】
そして、在庫更新部102fは、補充数のケースがケース在庫からバラ在庫へ補充された場合、在庫データベース106cに記憶されている在庫データを更新する(ステップSA-3)。
【0047】
そして、受注取得部102cは、商品のケース出荷予定数、および、バラ出荷予定数を含む出荷予定数を設定した受注データを取得する(ステップSA-4)。
【0048】
そして、集計部102dは、受注データに基づいて、商品毎のバラ出荷予定数を集計した集計数を取得する(ステップSA-5)。
【0049】
そして、移動数取得部102eは、在庫データベース106cに記憶されている在庫データに基づいて、商品のバラ在庫数が商品の集計数よりも少ないか否かを判定する(ステップSA-6)。
【0050】
そして、移動数取得部102eは、商品のバラ在庫数が商品の集計数よりも少なくない場合(ステップSA-6:No)、処理をステップSA-7に移行させる。
【0051】
そして、在庫更新部102fは、ケース在庫からケース出荷予定数がピックアップされ、バラ在庫から集計数の商品がピックアップされた場合、在庫データベース106cに記憶されている在庫データを更新し(ステップSA-7)、処理を終了する。
【0052】
一方、移動数取得部102eは、商品のバラ在庫数が商品の集計数よりも少ない場合(ステップSA-6:Yes)、処理をステップSA-8に移行させる。
【0053】
そして、移動数取得部102eは、ロケーションマスタ106b、品目マスタ106a、および、在庫データに基づいて、ケース在庫からバラ在庫へのケースの移動数を取得する(ステップSA-8)。
【0054】
そして、在庫更新部102fは、移動数のケースがケース在庫からバラ在庫へ移動され、ケース在庫からケース出荷予定数がピックアップされ、バラ在庫から集計数の商品がピックアップされた場合、在庫データベース106cに記憶されている在庫データを更新し(ステップSA-9)、処理を終了する。
【0055】
ここで、図5から図10を参照して、本実施形態における適正在庫管理処理の一例について説明する。図5から図10は、本実施形態における適正在庫管理処理の一例を示す図である。
【0056】
バラロケーションにある現在庫数と品目マスタ106aの補充処理設定とを比較し、適正な在庫数となるようにバラロケーションに補充する、本実施形態における1次バラ補充処理として、図5に示すように、品目マスタ106aおよびロケーションマスタ106bが設定され、在庫データベース106cに倉庫Aの在庫データが記憶されている場合、図6に示すように、品目マスタ106aに設定された補充在庫基準数=2ケースに対して、現在庫数=1ケースで不足しているため、品目マスタ106aに設定された補充在庫基準数=2ケースがケースロケーションからバラロケーションへ在庫移動するように制御される。ここで、本実施形態においては、図6に示すように、ケースロケーション(CS00000001)からバラロケーション(PC00000001)に補充在庫基準数=2ケースが補充される場合、古いロット番号順に引当られる。
【0057】
そして、1次バラ補充処理実行当日の出荷予定数(受注残数)の端数バラ数に対して、バラロケーションの在庫数を比較し、不足分をケースロケーションから補充する、本実施形態における2次バラ補充処理として、図7に示すように、受注データが取得され、ロケーションマスタ106bが設定されている場合、図8に示すように、指定ロット番号毎に受注データの端数バラ数が集約され、ロット指定が無い場合、ロット指定無として受注データの端数バラ数が集約され、在庫データが参照される。
【0058】
そして、本実施形態におけるロット指定処理として、図9に示すように、集約された受注データにおいて、指定ロット番号の補充が必要であるかチェックされ、バラロケーションの指定ロット番号の在庫数が不足しているため、ケースロケーション(CS00000002)からバラロケーション(PC00000002)に指定ロット番号の在庫が補充される。
【0059】
そして、本実施形態におけるロット指定無処理として、図10に示すように、ロット番号指定で減算・加算が反映された在庫データについて、総バラ数が集約され、指定ロット番号の引当済数が減算されることで有効数(残バラ在庫数)が算出され、残バラ在庫数と残集計数との比較に基づいて、ケースロケーションからバラロケーションに在庫が補充される。
【0060】
[4.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0061】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0062】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0063】
[5.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0064】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0065】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0066】
また、適正在庫管理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0067】
例えば、適正在庫管理装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて適正在庫管理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0068】
また、このコンピュータプログラムは、適正在庫管理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0069】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0070】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、本実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0071】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0072】
また、適正在庫管理装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、適正在庫管理装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0073】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、ケースおよびバラで在庫を出荷する運用がある食品、電気、電子部品、または、機械部品等の業界において有用である。
【符号の説明】
【0075】
100 適正在庫管理装置
102 制御部
102a 補充判定部
102b 補充数取得部
102c 受注取得部
102d 集計部
102e 移動数取得部
102f 在庫更新部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 品目マスタ
106b ロケーションマスタ
106c 在庫データベース
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10