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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022130157
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】回転加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/00 20060101AFI20220830BHJP
   A21B 5/04 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
A47J37/00 Z
A47J37/00 C
A21B5/04
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021029170
(22)【出願日】2021-02-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】512019251
【氏名又は名称】株式会社シオン機械
(74)【代理人】
【識別番号】100160657
【弁理士】
【氏名又は名称】上吉原 宏
(72)【発明者】
【氏名】塩田 均
【テーマコード(参考)】
4B040
【Fターム(参考)】
4B040AA02
4B040AC03
4B040AD04
4B040AD12
4B040AE04
4B040AE08
(57)【要約】
【課題】
本発明は、回転させながら加熱調理する食べ物、主としてバームクーヘンを家庭にある加熱調理器を利用して誰でも簡単に作れる回転加熱調理器の提供を課題とするものである。
【解決手段】
炎口が円周上に並んだ熱源を利用し、被調理物を回転させながら加熱する調理器具であって、フレームと、回転軸と、集熱板と、から成り、前記フレームは、前記回転軸を回転自在に装着するための軸受け部を有し、前記回転軸は、着脱可能なハンドルによる回転機構を介して回転され、前記集熱板は、前記フレームの下方に配置される前記熱源からの熱を前記回転軸の軸方向と平行となるように誘導して集熱し、該集熱した熱を略直線状に放出させる隙間を形成するために、山形形状の傾斜面となる一組の板状部材を配置した構成を採用する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炎口が円周上に並んだ熱源(10)にも利用でき、被調理物(A)を回転させながら加熱する調理器具であって、
フレーム(20)と、
回転軸(30)と、
集熱板(40)と、から成り、
前記フレーム(20)は、前記回転軸(30)を回転自在に装着するための軸受け部(21)を有し、
前記回転軸(30)は、着脱可能なハンドル(32)による回転機構(31)を介して回転され、
前記集熱板(40)は、前記フレーム(20)の下方に配置される前記熱源(10)からの熱を前記回転軸(30)の軸方向と平行となるように誘導して集熱し、該集熱した熱を略直線状に放出させる隙間(41)を形成するために、山形形状の傾斜面(42)となる一組の板状部材(43)を配置したものであることを特徴とする回転加熱調理器(1)。
【請求項2】
前記集熱板(40)の前記隙間(41)側の端辺(44)の形状を、
穏やかな曲線を描くアーチ状とし、
前記隙間(41)の形状が、中央部が狭く両側が広くなるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の回転加熱調理器(1)。
【請求項3】
前記フレーム(20)に、前記回転軸(30)の軸受け位置を段階的に上下に変更し、前記熱源(10)と被調理物(A)との距離を調整可能とする軸受け高さ調整機構(22)を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の回転加熱調理器(1)。
【請求項4】
前記回転機構(31)が、前記ハンドル(32)に代えて、前記回転軸(30)の回転をモーター駆動する電動式(33)であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の回転加熱調理器(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてバームクーヘン(バウムクーヘンともいう)を製造する調理器に関し、詳しくは一般家庭に広く普及している家庭用ガスコンロや簡易で可搬可能なカセットコンロなどを利用して、回転させながら均一に加熱する調理が誰でも簡単にでき、バームクーヘン特有の樹木の年輪のような模様を断面に創出可能な調理器の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
お菓子の人気商品の中には、ケーキや、クッキー、ホットケーキなど多種多様なものがあり、その一つにバームクーヘンがある。バームクーヘンは中心にドーナツ状の穴があり断面に樹木の年輪のような同心円状の模様が浮き出たドイツ生まれのお菓子である。しかしながら、このバームクーヘンはその人気の割には、ケーキやクッキーのようにハンドメイドのお菓子として手軽に家庭では作ることができないといった問題がある。
【0003】
係る問題は、製造する過程において生地を何層にも重ねて繰り返し焼形するといった他のお菓子にはない手間のかかる工程があるからである。また、家庭用ガスコンロでは燃焼炎が円周方向に出るため、これに対して直線方向に配置される筒状のバームクーヘンでは均等に熱を与えることができず、焼き斑が生じてしまうという問題点もある。更に、バームクーヘンでは、調理の過程において同心円に生地を焼成しながら重ねて積層していくため、径方向に徐々に大きくなり、熱源との距離が変化し、火力調整も容易ではなく、専用装置が必要であった。従って、一般家庭においてバームクーヘンの調理は困難といえる。そこで、身近に存在するカセットコンロ(卓上用の可搬型簡易熱源)等の加熱調理器を利用し、老若男女問わず、楽しみながら、既成のバームクーヘンのような美しい年輪状の焼き色を再現可能な調理器具の登場が待たれるところである。
【0004】
そこで、このような問題に鑑み、従来より、種々の技術提案がなされてきた。例えば、発明の名称を「バームクーヘン製造用指示棒ユニット及びバームクーヘンの製造方法」とする技術が開示されている(特許文献1参照)。具体的には、「バームクーヘンの空回りを防止し、且つ、剥離紙を容易に取り除くことができるようにして作業効率を高めると共に、丸棒の木片の混入を防止したバームクーヘン製造用支持棒ユニットを提供する。」ことを課題とし、解決手段として、「バームクーヘンの生地巻き付け用の丸棒と、丸棒よりも小径に形成され、丸棒の両端から延びる回転シャフトとを具備し、丸棒の外周面には、縦溝が刻設されると共に、縦溝よりも浅く形成された環状溝が軸方向に所定本数刻設されたバームクーヘン製造用支持棒と、バームクーヘン製造用支持棒に巻きつけられる剥離紙と、剥離紙の巻き方向始端部を縦溝内に押し込むことにより、剥離紙を丸棒に固定する縦紐と、剥離紙を固定する終端用テープと、端部用テープとを備えているバームクーヘン製造用支持棒ユニット」という発明が公開され公知技術となっている。係る特許文献1に記載された技術は、本発明に係る回転加熱調理器の課題と同様にバームクーヘンを回転させて加熱調理をするに適した器具を提供する点において共通する。しかしながら、特許文献1に記載された技術は、バームクーヘン製造用支持棒の操作性や機能性に特化したものである。また、オーブンを熱源とするものであり、従って、簡易なカセットコンロ等の加熱器具でも斑なく綺麗な年輪状の積層焼成を可能とする本発明とは、解決課題が相違しており、また、本発明の課題を解決するに至っていない。
【0005】
また、発明の名称を「バームクーヘン製造装置」とする技術が開示されている(特許文献2参照)。具体的には、「小型・軽量で、自動車等に搭載することも可能 なバームクーヘン製造装置を提供する。」ことを課題とし、解決手段として、「右円盤が回転すると、コロがカム片に当接し、レバー部材は時計回りに回転し始める。これにより、揺動軸と共に接続部材が時 計回りに回転して、生地皿が可動環と共にガイド棒に沿って上昇し始める。そして、生地皿は最も高い位置となると、右円盤の回転が所定時間停止される。一方、麺棒は、生地皿が接近している位置で自転するので、生地液が麺棒に巻き付き塗布される。次いで、右円盤の回転が回転を始めると、レバー部材は反時計回りに回転を始め、揺動軸及び接続部材も反時計回りに回転して、生地皿はガイド棒に沿って下降を始め、麺棒の公転を妨げない位置に退避する。」という発明が公開され公知技術となっている。しかしながら、係る特許文献2に記載された技術は、「小型・軽量で、自動車等に搭載することも可能なバームクーヘン製造装置を提供する。」ことを課題としているものの、本発明に係る回転加熱調理器と比較すると、構造が極めて複雑であり、係る課題を十分に解決していないと考えられる。また、加熱装置にガスを用いる構成も記載されているが、専用の加熱装置が必要となり、カセットコンロ等の簡易な熱源を利用できるものではない。したがって、特許文献2に記載された技術は、前記特許文献1に記載された技術と同様に、本発明の課題を解決するに至っていない。
【0006】
また、発明の名称を「パイナップルとバームクーヘンを組み合わせた菓子の製造方法と該菓子」とする技術が開示されている(特許文献3参照)。具体的には、「パイナップルの味とバームクーヘンの味が調和した風味のあるお菓子を得る。」ことを課題とし、解決手段として、「パイナップルの果肉部を筒形にくりぬいて果肉筒体を形成し、該果肉筒体の中心穴に軸棒を差し込み、該軸棒を回転させ乍ら付着させ、パイナップルの外径に類似した形状にしたパイナップルとバームクーヘンを組み合わせた菓子の製造方法。」という考案が公開され公知技術となっている。特許文献3に記載の技術は、製造方法に関するもの及びその成果物であり、本発明の調理器とはカテゴリーが相違するものの、回転させながら生地を焼成し、これを繰り返し行う事でバームクーヘンを製造する方法という点の技術的要素において共通する。しかしながら、特許文献3に記載された技術内容には、焼成させるための熱源や加熱手段等について何ら言及されていない。従って、特許文献3には、特許文献1及び2と同様、円周上に並んだ炎口からの熱を集熱し、且つ直線状に放出させるという技術は開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008-295402号
【特許文献2】実用新案登録第3159762号
【特許文献3】特開平2-291224号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、回転させながら加熱調理する食べ物、主としてバームクーヘンを、一般家庭にある簡易な加熱調理器を利用して誰でも簡単に作れる回転加熱調理器の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
また、本発明は、炎口が円周上に並んだ熱源にも利用でき、被調理物を回転させながら加熱する調理器具であって、フレームと、回転軸と、集熱板と、から成り、前記フレームは、前記回転軸を回転自在に装着するための軸受け部を有し、前記回転軸は、着脱可能なハンドルによる回転機構を介して回転され、前記集熱板は、前記フレームの下方に配置される前記熱源からの熱を前記回転軸の軸方向と平行となるように誘導して集熱し、該集熱した熱を略直線状に放出させる隙間を形成するために、山形形状の傾斜面となる一組の板状部材を配置した構成を採用する。
【0010】
本発明は、前記集熱板の前記隙間側の端辺の形状を、穏やかな曲線を描くアーチ状とし、前記隙間の形状が、中央部が狭く両側が広くなるようにした構成を採用することもできる。
【0011】
また、本発明は、前記フレームに、前記回転軸の軸受け位置を段階的に上下に変更し、前記熱源と被調理物との距離を調整可能とする軸受け高さ調整機構を備えた構成を採用することもできる。
【0012】
また、本発明は、前記回転機構が、前記ハンドルに代えて、前記回転軸の回転をモーター駆動する電動式である構成を採用することもできる。
【0013】
また、本発明は、前記集熱板の前記隙間側の端辺に集熱した熱をさらに拡散する凹凸部が連続形成されている構成を採用することも好適である。
【0014】
また、本発明は、前記回転軸の軸受け部にべアリングを設ける構成を採用することも好適である。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る回転加熱調理器によれば、被調理物を回転させながら熱を与えること、及び集熱板が、フレームの下方に配置される熱源からの熱を回転軸の軸方向と平行となるように誘導して集熱し、該集熱した熱を略直線状に放出させる隙間を形成するための山形形状の傾斜面となる一組の板状部材を配置したものであることから、回転軸に平行な長手方向に均一に熱を当てることができ、焼き斑が生じ難く、被調理物を満遍なく均等に加熱できるという優れた効果を発揮する。
【0016】
本発明に係る回転加熱調理器において、調理過程において被調理物の径が段々大きくなるバームクーヘンの調理に適するとともに、従来、専用の調理機が必要であったバームクーヘンを家庭用のカセットコンロ等でも容易に製造できるという優れた効果を発揮する。
【0017】
また、本発明に係る回転加熱調理器において、フレームに軸受け高さ調整機構を備えた構成を採用した場合には、回転軸の軸受け位置を段階的に上下に変更して熱源と被調理物との距離を調整可能となり、より均一な加熱調理を可能にするという優れた効果を発揮し、特にバームクーヘンの加熱調理では徐々に外径が大きくなるため好適である。
【0018】
また、本発明に係る回転加熱調理器において、集熱板の隙間側端辺の形状を穏やかな曲線を描くアーチ状として、隙間の形状を中央部が狭く両側が広くなるようにした構成を採用した場合、炎口が周方向に並んだ熱源でも熱を隙間から均等に放出するようになり、より焼き斑を少なくできるという優れた効果を発揮する。
【0019】
また、本発明に係る回転加熱調理器において、集熱版の片側端辺に凹凸が形成される構成を採用した場合には、集熱した熱が更に拡散されて焼き斑等を少なくすることが可能になるという優れた効果を発揮するものである。
【0020】
また、本発明に係る回転加熱調理器において、回転軸の軸受け部にベアリングを用いた構成を採用した場合には、回転軸の回転がよりスムーズになるという優れた効果を発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る回転加熱調理器と熱源にカセットコンロを用いた実施例の基本構成を説明する基本構成説明図である。
図2】本発明に係る回転加熱調理器本体の基本構成を示す基本構成斜視図である。
図3】本発明に係る回転加熱調理器と熱源にカセットコンロを用いた実施例の基本構成を説明する基本構成説明投影二面図である。
図4】本発明に係る高さ調整機構を設けた構成と集熱板の端辺をアーチ状に形成した他の実施例を説明する実施例説明斜視図である。
図5】本発明に係る高さ調整機構を設けた構成と集熱板の端辺をアーチ状に形成し熱源にカセットコンロを用いた本体における他の実施例を説明する実施例説明斜視図である。
図6】本発明に係る高さ調整機構を設けた構成と集熱板の端辺をアーチ状に形成し熱源にカセットコンロを用いた本体における他の実施例を説明する実施例説明投影二面図である。
図7】本発明に係る回転軸に多角形形状を用いた構成及び回転機構にモーター駆動による電動式を採用した場合の実施例説明斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、炎口が円周上に並んだ熱源にも利用でき、被調理物を回転させながら加熱する調理器具であって、フレームと、回転軸と、集熱板と、から成り、前記フレームは、前記回転軸を回転自在に装着するための軸受け部を有し、前記回転軸は、着脱可能なハンドルによる回転機構を介して回転され、前記集熱板は、前記フレームの下方に配置される前記熱源からの熱を前記回転軸の軸方向と平行となるように誘導して集熱し、該集熱した熱を略直線状に放出させる隙間を形成するために、山形形状の傾斜面となる一組の板状部材を配置したことを最大の特徴とするものである。以下、図面に基づいて説明する。但し、係る図面に記載された形状や構成に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の創作として発揮する効果の得られる範囲内で変更可能である。
【0023】
図1は、本発明に係る回転加熱調理器と熱源にカセットコンロを用いた実施例の基本構成を説明する基本構成説明図であり、図2は、本発明に係る回転加熱調理器本体の基本構成を示す基本構成斜視図であり、図3は、本発明に係る回転加熱調理器1と熱源10にカセットコンロを用いた実施例の基本構成を説明する基本構成説明投影二面図であり、図3(a)は平面図、図3(b)は正面図を示している。
【0024】
回転加熱調理器1は、図1ではカセットコンロ上に載置された状態を示し、図2では、本体のみを示し、図3ではカセットコンロ上に載置された状態を投影図により示したが、最も特徴的なのは、集熱板40が山形状に形成されることによって、フレーム20の下方に配置される熱源10からの熱を回転軸の軸方向と平行となるように誘導して集熱した熱を略直線状に放出させる隙間を形成する点である。
【0025】
熱源10は、炎口が円周上に並んだガスコンロやカセットコンロなどの一般の家庭で利用可能な加熱器具を意味するが、炉(囲炉裏、火鉢、七輪、焜炉、等々)、ガス、炭、薪、アルコールなど燃料の種類を問わず熱源10となる。
【0026】
五徳11は、炭火などの熱源の上に設置し、鍋やヤカンなどを置くための器具である。具体的には炉(囲炉裏、火鉢、七輪、焜炉、等々)の熱源上に置いて、鍋、やかん、土瓶、鉄瓶、焼き網などを乗せるために用いられる支持具であるが、本発明では、家庭用のガスコンロやカセットコンロのように、炎口が周方向に連続する熱源の上に配置される四つ爪若しくは六つ爪で構成される五徳を主な対象としている。なお、図1図2、及び図3(a)では五徳11に本発明に係る回転加熱調理器1を安定させるため、僅かな凸部を設けて係止している状態を示しているが、これは、通常のカセットコンロが四つ爪であって、配置の構成がほぼ同一であることから係る五徳の位置に適応する配置として、安定させるものであればよい。
【0027】
フレーム20は、回転軸30を回転自在に軸受けするための骨格であり、ガスコンロ又はガスコンロの五徳上に設置するための基台である。なお、五徳のない例えばバーべキューコンロの金網や魚焼き機等を利用する場合にはフレーム20の底部を平面部に載置すればよいので、多種多様の熱源10に対応することが可能である。
【0028】
受け部21は、フレーム20において回転軸30を回転自在に軸受けする部分である。
また、図面には示していないが、受け部21にベアリングを用いる構成を採用した場合には、回転軸の回転がよりスムーズになるという優れた効果を発揮するものとなる。
【0029】
軸受け高さ調整機構22は、炎口から被調理物Aまでの距離を調整可能とするためにフレーム20に設けられる軸受け部21の位置を段階的に上下に変更するものである。
また、本発明に係る回転加熱調理器において、回転機構にベアリングを用いた構成を採用した場合には、回転軸の回転がよりスムーズになるという優れた効果を発揮するものである。
【0030】
回転軸30は、被調理物A、特にバームクーヘン等を回転させながら加熱するための中心軸となるものである。なお、調理の過程において回転軸30と被調理物Aから引き抜くことが必要となるため、アルミホイール等を回転軸30に巻き付けて使用することが考え得るが、その場合において空回りし難いように回転軸30の外径を多角形とすることも有効的である。
【0031】
回転機構31は、回転軸30を回転駆動する機構を意味し、具体的にはハンドル32、又は、電動式33によることが考えられる。
【0032】
ハンドル32は、回転機構31において、回転軸に着脱自在に設けられ、係るハンドル32を回転することによって回転軸30を手動により駆動するものである。
【0033】
電動式33は、回転機構31においてモーターを用いて回転軸30を電動駆動するものである。なお、電動駆動する電動式33を採用した場合には回転速度を制御するなどが望ましい。
【0034】
集熱板40は、円周上に並んだ炎口の熱であっても回転軸30の軸方向と平行となるように誘導して集熱し、その集熱した熱を略直線状に放熱させる隙間41を形成するために山形形状の傾斜面42となる一組の板状部材によって構成されるものである。
【0035】
隙間41は、山形形状となる傾斜面を有する一組の板状部材43から構成される集熱板40において、回転軸側端辺44同士から構成される山の尾根部にできる隙間のことである。係る隙間41からは、熱源から放出された熱が山の尾根部に誘導されて集熱し、該集熱した熱を回転軸30の軸方向と平行な略直線方向へと向かうようにするものである。また、集熱板40の隙間41側の端辺44の形状を、穏やかな曲線を描くアーチ状とし、隙間41の形状が、中央部が狭く両側が広くなるようにする構成を採用した場合には、炎口が円周上に並ぶ熱源を用いてもより均一な加熱調理が可能となる。
【0036】
傾斜面42は、一組の集熱板40が熱源に対し山形形状となるような角度を備えて配置可能とするための傾斜であり、山形の尾根部に熱を誘導して集熱する板状部材によって構成されるものである。
【0037】
板状部材43は、集熱板40を構成する板状の部材であって、具体的には、例えば、耐熱性と軽量化を考慮して薄肉のステンレス素材等を用いることが考えられる。
【0038】
端辺44は、板状部材43によって構成される一組の集熱板40において、回転軸30側の縁部によって形成される隙間41の形状を決定するものであり、特に係る端辺44を穏やかな曲線を描くアーチ状とし、隙間41の形状は中央部が狭く両側が広くなるような形状とすることがより望ましい。また、図面には示していないが、集熱版40の片側端辺に凹凸が連続して形成される切り欠き形状部を備える構成を採用した場合には、集熱した熱が更に多方向に拡散され、焼き斑等を少なくするという優れた効果を発揮するものとなる。
【0039】
被調理物Aは、主としてバームクーヘンを対象としているが、これに限定されるものではなく、用途の応用として他にも焼き鳥や、魚等の櫛にさして回転させて焼くものであれば対象となり得るものである。
【0040】
図4は、本発明に係る高さ調整機構を設けた構成と集熱板の端辺をアーチ状に形成した他の実施例を説明する実施例説明斜視図であり、図5は、本発明に係る高さ調整機構を設けた構成と集熱板の端辺をアーチ状に形成し熱源にカセットコンロを用いた本体における他の実施例を説明する実施例説明斜視図であり、図6は、本発明に係る高さ調整機構を設けた構成と集熱板の端辺をアーチ状に形成し熱源にカセットコンロを用いた本体における他の実施例を説明する実施例説明投影二面図である。
【0041】
図4から図6に示すとおり、集熱板40の回転軸30側の端辺44を穏やかな曲線を描くアーチ状として隙間41の形状が中央部が狭く、両外側は広くなるようにすることにより、炎口が円周上に並んだ熱源10、例えば、図4、及び図6に示すようなカセットコンロや、ガスコンロ等を用いる場合、中心に熱が集中することによる焼き斑を回避して均等な熱を与える構成である。また、高さ調整機構22を設けることにより、火力を調整することが可能となり、特にバームクーヘンの場合では、調理の過程において徐々にその径が大きくなるため、隙間44から放出される熱との距離が近付いてしまう。そこで、バームクーヘンを主とする被調理物Aの径変化に応じて、段階的に熱源10の距離を調整可能とする構成を採用した場合を示した。なお、図4から図6にはカセットコンロを用いる実施例で示した五徳11と集熱板40の関係において集熱板40に突起を設けて五徳11に係止することが好適であります。
【0042】
図7は、本発明に係る回転軸に多角形形状を用いた構成及び回転機構にモーター駆動による電動式を採用した場合の実施例説明斜視図であり、回転軸30に直接バームクーヘンの素材となる生地の素を直接塗布して加熱すると回転軸が焦げてしまう。実際の使用においてはアルミホイール等を巻き付けて使用することが考えられるが、そうすると、アルミホイールと、回転軸30との間で空転するという問題が生じ得る。そこで、係る空転を防止するために回転軸30の外形を断面視において多角形状とすれば、空転しにくくなるといえる。また、図7では、回転機構31にモーターを用いた回転軸の駆動手段を用いた実施例を示した。係るモーターの種類は、サーボモーターやステッピングモーターなど多種多様なものが考えられるが、回転速度の制御しやすいものを選択すればよい。
【0043】
また、図7では、集熱板の外側端辺に溝を設け、係る溝に五徳11を引っ掛けて保持の安定を図る構成を示している。
【0044】
また、図面には示していないが、他の応用実施例として、回転軸30に網筒状の容体を設け、係る容体が回転する構成とすることも有用である。例えば珈琲豆の焙煎やピーナッツを煎るなどの調理が可能となるからである。これ等の調理においては個々の粒状物に均一な熱を加えることが必要であり、炎口が円周上に並んだコンロ等を用いて調整すると焼き斑が生じてしまうという問題があった。しかし、本発明に係る回転加熱調理器1を用いればこの問題も解決することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明に係る回転加熱調理器によれば、既存のカセットコンロ等を用いて、従来調理が難しかったバームクーヘンを一般家庭でも手軽に作ることが可能となることから産業上利用可能性は高いと思慮されるものである。
【符号の説明】
【0046】
1 回転加熱調理器
10 熱源
11 五徳
20 フレーム
21 受け部
22 軸受け高さ調整機構
30 回転軸
32 着脱可能なハンドル
31 回転機構
33 電動式
40 集熱板
41 隙間
42 傾斜面
43 板状部材
44 端辺
A 被調理物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7