IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社イーズの特許一覧 ▶ クボタ空調株式会社の特許一覧

<図1>
  • 特開-空気調和装置 図1
  • 特開-空気調和装置 図2
  • 特開-空気調和装置 図3
  • 特開-空気調和装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022130225
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0325 20190101AFI20220830BHJP
   F24F 13/20 20060101ALI20220830BHJP
   F24F 1/028 20190101ALI20220830BHJP
【FI】
F24F1/0325
F24F13/20
F24F1/028
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021029291
(22)【出願日】2021-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】504027657
【氏名又は名称】株式会社イーズ
(71)【出願人】
【識別番号】000104836
【氏名又は名称】クボタ空調株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(72)【発明者】
【氏名】永江 公二
(72)【発明者】
【氏名】関矢 遼一
(72)【発明者】
【氏名】黒川 和哉
(72)【発明者】
【氏名】篠原 正明
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 耕平
【テーマコード(参考)】
3L049
3L051
【Fターム(参考)】
3L049BC01
3L049BD03
3L051BE05
3L051BE06
(57)【要約】
【課題】利用側ユニットの吸い込み空気温度と吹き出し空気温度との温度差が大きくなるようにし、スポット空調用として使用される場合でも、良好な空調効果が得られるとともに、省エネルギーに適した空気調和装置を提供する。
【解決手段】利用側熱交換器12及び利用側ファン13を有する利用側ユニット10と、熱源側熱交換器22、熱源側ファン23及び圧縮機を有する熱源側ユニット20と、を備え、利用側ユニット10及び熱源側ユニット20を配管接続して空調運転を行う空気調和装置1であって、利用側熱交換器12の伝熱管列数が熱源側熱交換器22の伝熱管列数よりも多い。これにより、スポット空調用として使用される場合でも、好適な温度の冷風を吹き出すことが可能で、良好な空調効果が得られるとともに、省エネルギーに適した空気調和装置となる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用側熱交換器及び利用側ファンを有する利用側ユニットと、
熱源側熱交換器、熱源側ファン及び圧縮機を有する熱源側ユニットと、を具備し、
前記利用側ユニット及び前記熱源側ユニットを配管接続して空調運転を行う空気調和装置であって、
前記利用側熱交換器の伝熱管列数が前記熱源側熱交換器の伝熱管列数よりも多いことを特徴とする空気調和装置。
【請求項2】
利用側熱交換器及び利用側ファンを有する利用側ユニットと、
熱源側熱交換器、熱源側ファン及び圧縮機を有する熱源側ユニットと、を具備し、
前記利用側ユニット及び前記熱源側ユニットが、一つの架台上に、且つ、それぞれの吹出口が外向きに吸込口が内向きになるように背中合わせに配置され配管接続された空気調和装置であって、
前記利用側熱交換器の伝熱管列数が前記熱源側熱交換器の伝熱管列数より多いことを特徴とする空気調和装置。
【請求項3】
前記利用側熱交換器の伝熱管列数は、前記熱源側熱交換器の伝熱管列数の2倍以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記利用側ファンの吹き出し風速は、前記熱源側ファンの吹き出し風速よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の空気調和装置。
【請求項5】
前記利用側ファン及び前記熱源側ファンは、プロペラファンであることを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用側ユニットと熱源側ユニットを配管接続して空調運転を行う空気調和装置に関し、特に、利用側ユニットと熱源側ユニットを一体化したスポット空調用の空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、利用側熱交換器及び利用側ファンを有する利用側ユニットと、熱源側熱交換器、熱源側ファン及び圧縮機等を有する熱源側ユニットと、を備え、利用側ユニットと熱源側ユニットを配管接続して冷房等の空調運転を行う空気調和装置が開示されている。
【0003】
また、通常の空気調和装置を設置することが難しい大規模空間、例えば、工場、作業場、倉庫、体育館等を冷房または暖房するために用いられる空気調和装置として、熱源側ユニット及び利用側ユニットを一体的に備え、スポット空調を行うものが知られている。
【0004】
例えば、特許文献2には、熱源側ユニット及び利用側ユニットが一つの架台上に配置された空気調和装置が開示されている。熱源側ユニット及び利用側ユニットは、それぞれの吹出口が外向きに、吸込口が内向きになるように背中合わせに配置されるとともに、利用側ユニットと熱源側ユニットの間には吸込空間が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-200103号公報
【特許文献2】特開2011-94879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、この種の空気調和装置は、スポット空調用に使用されることから、吸い込み空気温度と吹き出し空気温度との温度差を大きくし、好適な温度に冷却された空気をできるだけ遠くまで吹き出す必要がある。
【0007】
しかしながら、従来技術の空気調和装置では、冷房時において、利用側ユニットの吸い込み空気温度、即ち周囲温度、と吹き出し空気温度との温度差が10度(℃)程度である。そのため、周囲温度が高くなると、吹き出し空気を適切な温度まで冷却できない問題があった。例えば、吸い込み空気温度が40度を超える場合には、吹き出し空気温度が30度以下に下げることができない。よって、周囲温度が非常に高くなる夏季等の熱中症対策として十分な空調効果が得られないことがあった。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、利用側ユニットの吸い込み空気温度と吹き出し空気温度との温度差が大きくなるようにし、スポット空調用として使用される場合でも、良好な空調効果が得られるとともに、省エネルギーにも適した空気調和装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の空気調和装置は、利用側熱交換器及び利用側ファンを有する利用側ユニットと、熱源側熱交換器、熱源側ファン及び圧縮機を有する熱源側ユニットと、を具備し、前記利用側ユニット及び前記熱源側ユニットを配管接続して空調運転を行う空気調和装置であって、前記利用側熱交換器の伝熱管列数が前記熱源側熱交換器の伝熱管列数よりも多いことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の空気調和装置は、利用側熱交換器及び利用側ファンを有する利用側ユニットと、熱源側熱交換器、熱源側ファン及び圧縮機を有する熱源側ユニットと、を具備し、前記利用側ユニット及び前記熱源側ユニットが、一つの架台上に、且つ、それぞれの吹出口が外向きに吸込口が内向きになるように背中合わせに配置され配管接続された空気調和装置であって、前記利用側熱交換器の伝熱管列数が前記熱源側熱交換器の伝熱管列数より多いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の空気調和装置によれば、利用側熱交換器及び利用側ファンを有する利用側ユニットと、熱源側熱交換器、熱源側ファン及び圧縮機を有する熱源側ユニットと、を具備し、利用側熱交換器の伝熱管列数は、熱源側熱交換器の伝熱管列数よりも多い。これにより、利用側ユニットに吸い込まれた周囲空気は、利用側熱交換器の風上側から風下側に向けて十分に熱交換を繰り返しながら吹き出されるため、利用側ユニットの吸い込み空気温度と吹き出し空気温度との温度差を大きくできる。
【0012】
よって、空気調和装置は、好適な冷風を吹き出すことができ、スポット空調用として使用される場合でも、良好な空調効果を発揮する。また、熱源側熱交換器は、伝熱管列数が少ないので、優れた熱交換効率が得られる。よって、空気調和装置は、省エネルギー性にも優れている。
【0013】
具体的には、冷房時において、利用側ユニットの吸い込み空気温度と吹き出し空気温度との温度差を15度程度とすることが可能となる。これにより、例えば、吸い込み空気温度が40度を超えるような、例えば夏季等の高気温な状態であっても、利用側ユニットからの吹き出し空気温度を25度以下に下げることができる。よって、空気調和装置によるスポット空調は、熱中症対策としても有効となる。
【0014】
また、本発明の空気調和装置によれば、前記利用側ユニット及び前記熱源側ユニットが、一つの架台上に配置され、且つ、それぞれの吹出口が外向きに吸込口が内向きになるように背中合わせに配置されても良い。このような構成により、工場や倉庫等の大空間において、冷却を必要とする場所近傍に空気調和装置を容易に移動することができる。よって、利用側熱交換器で好適な温度まで冷却された空気を、冷房対象に対して好適に吹き付けることができる。
【0015】
また、本発明の空気調和装置によれば、前記利用側熱交換器の伝熱管列数は、前記熱源側熱交換器の伝熱管列数の2倍以上であっても良い。このような構成により、例えば、猛暑日のような高外気温状態においても、空気調和装置は、利用側熱交換器で熱交換して冷房対象に供給される空気を、好適な温度にすることできる。
【0016】
また、本発明の空気調和装置によれば、前記利用側ファンの吹き出し風速は、前記熱源側ファンの吹き出し風速よりも大きく設定されても良い。これにより、遠く離れた冷房対象に向かって好適な温度に冷却された空気を好適に吹き付けることができる。
【0017】
また、本発明の空気調和装置によれば、前記利用側ファン及び前記熱源側ファンは、プロペラファンであっても良い。これにより、部品の共通化を図りつつ、好適な温度に冷却された大風量の空気を遠くへ吹き出すことができ、工場等の広い空間におけるスポット空調を良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る空気調和装置の概略構成を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る空気調和装置の配管取出口近傍を示す透視図である。
図3】本発明の実施形態に係る空気調和装置の利用側熱交換器の概略構成を示す断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る空気調和装置の熱源側熱交換器の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る空気調和装置を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る空気調和装置1の概略構成を示す図である。
図1に示すように、空気調和装置1は、空調運転を行う装置であり、架台40の上に載置された利用側ユニット10と熱源側ユニット20とを有する。具体的には、空気調和装置1は、利用側ユニット10と熱源側ユニット20を一体化した移動可能な強力スポットエアコンである。
【0020】
利用側ユニット10は、主として利用側の空気を冷却または加熱して供給する装置である。利用側ユニット10は、一般的なパッケージエアコンの室内ユニットに相当する構成を有する。
【0021】
具体的には、利用側ユニット10は、金属板材等から形成された略箱状の筐体であるハウジング11を有し、ハウジング11の内部に冷凍サイクルを構成する部品である利用側熱交換器12と利用側ファン13が設けられている。この利用側ファン13はプロペラファンであり、図示しないモータによって回転駆動される。
【0022】
熱源側ユニット20は、主として排気側の空気に対して放熱または吸熱する装置である。熱源側ユニット20は、一般的なパッケージエアコンの室外ユニットに相当する構成を有する。
【0023】
具体的には、熱源側ユニット20は、金属板材等から形成された略箱状の筐体であるハウジング21を有し、ハウジング21の内部に冷凍サイクルを構成する部品である熱源側熱交換器22と熱源側ファン23が設けられている。この熱源側ファン23もプロペラファンであり、図示しないモータによって回転駆動される。
【0024】
利用側ユニット10と熱源側ユニット20は、ハウジング11、21がともに屋外設置仕様であり、利用側ユニット10は、対候性や防水性において、熱源側ユニット20と略同等な仕様で作られている。
【0025】
利用側ユニット10の利用側熱交換器12は、冷媒配管28を介して熱源側ユニット20の熱源側熱交換器22に連結されている。詳しくは、利用側熱交換器12及び熱源側熱交換器22は、低圧の冷媒を圧縮して高圧にする図示しない圧縮機、高圧の冷媒を膨張させて低圧にする図示しない膨張弁、冷媒配管28及びその他の図示しない冷媒配管等を介して接続されており、蒸気圧縮式の冷凍サイクル回路を構成している。冷凍サイクルで用いられる冷媒としては、例えば、HFC冷媒等が採用される。
【0026】
図2は、空気調和装置1の配管取出口27近傍を示す透視図である。
図2に示すように、熱源側ユニット20のハウジング21には、利用側ユニット10につながる冷媒配管28が挿通される配管取出口27が形成されている。配管取出口27は、例えば、ノックアウトホールである。配管取出口27は、冷媒配管28が挿通された状態で配管取出口閉塞板30によって閉塞されている。
【0027】
図1及び図2を参照して、熱源側ユニット20と同じように、利用側ユニット10のハウジング11には、熱源側ユニット20につながる冷媒配管28が挿通される配管取出口17が形成されている。配管取出口17は、例えば、ノックアウトホールである。配管取出口17は、冷媒配管28が挿通された状態で配管取出口閉塞板30によって閉塞されている。
【0028】
図1を参照して、利用側ユニット10のハウジング11には、周囲空気を吸引する開口部である吸込口15と、空気を吹き出す開口部である吹出口16が形成されている。吸込口15には、周囲から吸い込まれた空気と冷媒との間で熱交換を行う利用側熱交換器12が設けられている。これにより、例えば、冷房運転の際には、周囲から吸い込まれた空気は、利用側熱交換器12内で蒸発する冷媒によって冷却される。
【0029】
また、吹出口16には、利用側ファン13によって送られる空気の流れ方向を調整するための風向ガイド14が設けられている。風向ガイド14は、利用側ファン13の外周を囲む、例えば、略円筒状の形態を成す外周部を有する。
【0030】
風向ガイド14の外周部に囲まれた内部は空気が流れる吹出口16につながる開口となっている。風向ガイド14の内部には空気の流れを調整する図示しない可変式の風向調整板が設けられている。このような構成により、利用側熱交換器12で冷却または加熱された空気を、それを必要とする作業空間に向けて効率良く流すことができる。
【0031】
熱源側ユニット20のハウジング21には、空気を吸引する開口部である吸込口25と、空気を吹き出す開口部である吹出口26が形成されている。吸込口25には、周囲から吸い込まれた空気と冷媒との間で熱交換を行う熱源側熱交換器22が設けられている。これにより、例えば、冷房運転の際には、熱源側熱交換器22内の冷媒は、吸込口25から流入する空気によって冷却され凝縮する。換言すれば、吸込口25から吸い込まれた空気は、熱源側熱交換器22内の冷媒と熱交換して加熱される。
【0032】
また、吹出口26には、熱源側ファン23によって送られる空気の吹き出し方向を調整するための風向ガイド24が設けられている。風向ガイド24は、熱源側ファン23の外周を囲むような、例えば、略四角形状の形態を成す外枠部を有し、金属板材料や樹脂製板材料等から形成されている。
【0033】
架台40は、利用側ユニット10及び熱源側ユニット20を一体的に支える台である。架台40は、例えば、山形鋼、溝形鋼、その他の鋼材等から形成されている。架台40の下部には、外周が上面視で略矩形枠状の形態を成す基台41が形成されている。熱源側ユニット20は、基台41の上部に固定されている。
【0034】
架台40には、利用側ユニット10を設置する利用側ユニット設置台42が形成されている。利用側ユニット設置台42は、利用側ユニット10の底部を熱源側ユニット20の底部よりも高い位置で支持できるよう、基台41の上部から上方に突出するよう形成されている。
【0035】
基台41の上部に利用側ユニット設置台42が設けられることにより、利用側ユニット10は高い位置に固定される。このように利用側ユニット10が高い位置に設けられることにより、利用側ユニット10の吹出口16の位置が高くなり、空調用の冷風や温風を作業空間に対して広く効率的に吹き流すことができる。
【0036】
利用側ユニット設置台42の上部には、ドレンパン43が設けられている。ドレンパン43は、利用側ユニット10の利用側熱交換器12に付着して滴下する水分を受け止めて図示しない配水管に排水するための部材である。ドレンパン43が設けられることにより、利用側ユニット10の利用側熱交換器12から滴下する水分を集めて好適に排水することができ、作業空間に水分が飛散することを防止することができる。
【0037】
基台41の下部の角部近傍には、車輪44が設けられている。車輪44は、例えば、ゴム車輪等を有するキャスタであり、一方の端辺側が所定の一方向に向かって移動可能な固定車、他方の端辺側が方向変更可能な自在車であっても良い。車輪44が設けられることにより、架台40は、利用側ユニット10及び熱源側ユニット20を一体的に支持した状態で移動可能に構成される。
【0038】
利用側ユニット10と熱源側ユニット20は、それぞれが空気を吸引する吸込口15と吸込口25を対向させるよう架台40上に設けられている。即ち、利用側ユニット10と熱源側ユニット20は、利用側熱交換器12側と熱源側熱交換器22側が対向するよう背中合わせに配設されている。
【0039】
換言すれば、利用側ユニット10と熱源側ユニット20は、それぞれが逆方向に空気を吹き出すよう、利用側ユニット10の吹出口16と熱源側ユニット20の吹出口26が外向きになるよう配設されている。
【0040】
上記のように、利用側ユニット10と熱源側ユニット20が、吸込口15と吸込口25を内向きに対向させて、逆方向に空気を吹き出すよう吹出口16と吹出口26が逆方向を向くよう配設されることにより、大規模工場や物流倉庫等に対する効率的な空気調和が実現する。
【0041】
即ち、冷却または加熱された空気を利用側ユニット10の吹出口16から空調対象の作業領域に効率良く吹き付けることができる。そして、利用側ユニット10の吹出口16に対して反対側を向く熱源側ユニット20の吹出口26から、空調用の排熱空気を、空気調和を必要とする空間から離れた空間に吐き出すことができる。
【0042】
図3は、利用側熱交換器12の概略構成を示す断面図である。図4は、熱源側熱交換器22の概略構成を示す断面図である。
図3及び図4を参照して、利用側熱交換器12は、その伝熱管列数が熱源側熱交換器22の伝熱管列数よりも多くなるよう形成されている。例えば、利用側熱交換器12の伝熱管列数は熱源側熱交換器22の伝熱管列数の2倍以上が好ましい。具体的には、本実施形態では、熱源側熱交換器22の伝熱管列数が2列であるのに対し(図4参照)、利用側熱交換器12の伝熱管列数は4列である(図3参照)。
【0043】
具体的には、利用側熱交換器12及び熱源側熱交換器22は、フィンアンドチューブ式の熱交換器であり、所定の間隔で略水平方向に積層されるように並べられた多数の熱交換フィンFを有する。熱交換フィンFには、熱交換フィンFに略直交して水平方向に延在し、上下方向に複数段、熱交換フィンFに略沿った水平方向に複数列の伝熱管が並ぶ伝熱管群Pが形成されている。
【0044】
利用側熱交換器12には、4列の伝熱管群P、即ち伝熱管列P11、伝熱管列P12、伝熱管列P13及び伝熱管列P14、が設けられており、熱源側熱交換器22には、2列の伝熱管群P、即ち伝熱管列P21及び伝熱管列P22、が設けられている。
【0045】
換言すれば、利用側熱交換器12には、矢印で示す送風方向Aに略4列の伝熱管列P11、P12、P13、P14が設けられており、熱源側熱交換器22には、矢印で示す送風方向Bに対して2列の伝熱管列P21、P22が設けられている。
【0046】
利用側熱交換器12に入った冷媒は、先ず、伝熱管列P11において伝熱管群Pの延在方向である水平方向及び上下方向に流れ、次いで、伝熱管列P12~P14に順次流れることになる。なお、利用側熱交換器12は、伝熱管列P11~P14の伝熱管群Pを冷媒が分流して流れるよう形成されても良い。
【0047】
熱源側熱交換器22における冷媒の流れも同様に、先ず、伝熱管列P21において伝熱管群Pの延在方向である水平方向及び上下方向に流れ、次いで、伝熱管列P22を流れることになる。また、熱源側熱交換器22は、伝熱管列P21、P22の伝熱管群Pを冷媒が分流して流れるよう形成されても良い。
【0048】
図1を参照して、上記の構成により、利用側ユニット10に吸い込まれた周囲空気は、利用側熱交換器12の風上側から風下側に向けて十分に熱交換を繰り返しながら吹き出される。これにより、例えば、冷房時において、利用側ユニット10の吸い込み空気温度と吹き出し空気温度との温度差を15度程度とすることが可能となる。
【0049】
その結果、例えば、猛暑日等において吸い込み空気温度が40度を超えるような場合であっても、吹き出し空気温度を25度以下に下げることができる。よって、空気調和装置1は、従来技術の空気調和装置では難しかった熱中症対策としても有効となる、好適な温度の冷風を利用者に送ることができる。
【0050】
また、熱源側熱交換器22の伝熱管列数は少ないので、熱源側熱交換器22の伝熱管列数を多くする場合のように、冷房時の消費電力に影響を与える心配がない。即ち、伝熱管列数の少ない熱源側熱交換器22によって、優れた熱交換効率が得られる。よって、空気調和装置1は、周囲が高温状態であっても好適な温度に冷却された空気を供給することが可能であり、且つ、消費電力が少なく省エネルギー性も優れている。
【0051】
また、本実施形態に係る空気調和装置1では、特に強力な利用側ファン13が装着されている。具体的には、利用側ファン13は、送風能力が熱源側ファン23よりも大きくなるように設置されている。即ち、利用側ファン13の吹き出し風速は、熱源側ファン23の吹き出し風速よりも大きく設定されても良い。例えば、利用側ファン13は、吹出口16から風速5m/sで空気を吹き出す強力な送風能力を有している。
【0052】
また、利用側ファン13が熱源側ファン23と同じくプロペラファンであることから、部品の共通化を図りつつ、工場等の大規模作業場において送風の直進性が強く、周囲空気よりも温度差の大きな冷爆風を遠くまで届けることができる。よって、利用者が作業する空間を狙ってその作業空間のみを効率良く冷房または暖房することができる。
【0053】
以上、本実施形態では、利用側熱交換器12の伝熱管列数が4列、熱源側熱交換器22の伝熱管列数が2列である例について説明したが、利用側熱交換器12及び熱源側熱交換器22の伝熱管列数は、これに限定されるものではない。
【0054】
例えば、熱源側熱交換器22の伝熱管列数が2列の場合、利用側熱交換器12の伝熱管列数は3列以上であれば良い。また例えば、熱源側熱交換器22の伝熱管列数が3列の場合、利用側熱交換器12の伝熱管列数は4列以上であれば良い。
また、利用側熱交換器12の全体について伝熱管列数を増加させる構成に代えて、伝熱管列数を部分的に増加させる構成が採用されても良い。
【0055】
また、以上の説明では、利用側ユニット10のハウジング11が熱源側ユニット20のハウジング21と略同じ室外設置仕様に見て取れるが、ハウジング11とハウジング21の大きさや形状は同一のものに限定されるものではない。また、利用側熱交換器12と熱源側熱交換器22についても、大きさや形状は異なるものでも良い。
【0056】
例えば、省エネルギーの観点から熱源側熱交換器22の伝熱管列数は少ない方が好ましい。そこで、熱源側熱交換器22の熱交換効率を高めるために、送風面積、即ち送風方向Bから見た面積、が大きくなるような構成でも良い。即ち、熱源側熱交換器22の伝熱管列数を増加させることなく、熱源側熱交換器22の風路面積が利用側熱交換器12よりも大きくなっても良い。例えば、送風方向A、Bから見て、熱源側熱交換器22の高さ方向の寸法は、利用側熱交換器12の高さ方向の寸法よりも大きくても良い。
【0057】
また、熱源側ファン23は、利用側ファン13よりも多く設けられても良い。例えば、2個の熱源側ファン23が設けられても良い。このような構成によっても、周囲が高気温状態であっても好適な冷風を吹き出すことが可能であり、且つ、省エネルギー性に優れた空気調和装置1が得られる。
【0058】
また、上述の実施形態に係る空気調和装置1は、利用側ユニット10と熱源側ユニット20が共通の架台40の上に載置され一体化された移動可能な構成であったが、これに限定されるものではない。空気調和装置1は、利用側ユニット10と熱源側ユニット20がそれぞれ別の位置に設置される構成でも良い。
【0059】
利用側ユニット10と熱源側ユニット20が一体化されず、離れた別の位置に設置される構成であっても、利用側熱交換器12の伝熱管列数を熱源側熱交換器22の伝熱管列数より多くする構成により、吸い込み空気を大温度差の低温に冷却することができる。これにより、好適に冷却された低温の空気を冷却対象に効率良く送ることができる空調性能及び省エネルギー性能に優れた空気調和装置1が得られる。
【0060】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更実施が可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 空気調和装置
10 利用側ユニット
11 ハウジング
12 利用側熱交換器
13 利用側ファン
14 風向ガイド
15 吸込口
16 吹出口
17 配管取出口
20 熱源側ユニット
21 ハウジング
22 熱源側熱交換器
23 熱源側ファン
24 風向ガイド
25 吸込口
26 吹出口
27 配管取出口
28 冷媒配管
30 配管取出口閉塞板
40 架台
41 基台
42 利用側ユニット設置台
43 ドレンパン
44 車輪
F 熱交換フィン
P 伝熱管群
P11、P12、P13、P14 伝熱管列
P21、P22 伝熱管列
A 送風方向
B 送風方向
図1
図2
図3
図4