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特開2022-13024宿泊施設収支分析装置、宿泊施設収支分析システム、宿泊施設収支分析方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022013024
(43)【公開日】2022-01-18
(54)【発明の名称】宿泊施設収支分析装置、宿泊施設収支分析システム、宿泊施設収支分析方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/12 20120101AFI20220111BHJP
   G06Q 30/02 20120101ALI20220111BHJP
   G06Q 40/00 20120101ALI20220111BHJP
【FI】
G06Q50/12
G06Q30/02 480
G06Q30/02 312
G06Q40/00 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020115296
(22)【出願日】2020-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】517417739
【氏名又は名称】株式会社サクラクオリティマネジメント
(74)【代理人】
【識別番号】110002055
【氏名又は名称】特許業務法人iRify国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北村 剛史
【テーマコード(参考)】
5L049
5L055
【Fターム(参考)】
5L049BB02
5L049BB08
5L049CC25
5L055BB64
(57)【要約】
【課題】参考事例との比較により、ホテルや旅館等の宿泊施設の収支を適正に分析する。
【解決手段】本発明は、宿泊施設の収支を分析する収支分析部11cと、宿泊施設に格付け評価に基づいて、参考事例を特定する事例特定部11dと、宿泊施設の収支と参考事例の収支の特徴を抽出し、類似あるいは乖離している収支項目を特定する特徴抽出部11eと、収支の分析結果を、参考事例の収支と併せて、類似あるいは乖離している収支項目を目視可能に可視化に出力する出力部(11c)と、を有する宿泊施設収支分析装置である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
宿泊施設の収支を分析する収支分析部と、
前記宿泊施設に格付け評価に基づいて、参考事例を特定する事例特定部と、
前記宿泊施設の収支と前記参考事例の収支の特徴を抽出し、類似あるいは乖離している収支項目を特定する特徴抽出部と、
前記収支の分析結果を、前記参考事例の収支と併せて、前記類似あるいは乖離している収支項目を目視可能に可視化に出力する出力部と、を有する
宿泊施設収支分析装置。
【請求項2】
端末装置と通信自在な宿泊施設収支分析装置において、
宿泊施設に係るアンケートの調査結果を受け付ける入出力制御部と、
前記アンケートの調査結果に基づいて前記宿泊施設を格付け評価する評価部と、
前記宿泊施設の収支を分析する収支分析部と、
前記宿泊施設に格付け評価に基づいて、参考事例を特定する事例特定部と、
前記宿泊施設の収支と前記参考事例の収支の特徴を抽出し、類似あるいは乖離している収支項目を特定する特徴抽出部と、
前記収支の分析結果を、前記参考事例の収支と併せて、前記類似あるいは乖離している収支項目を目視可能に可視化した表示データを生成する表示データ生成部と、
前記表示データを前記端末装置に送信する送受信制御部と、を有する
宿泊施設収支分析装置。
【請求項3】
端末装置と宿泊施設収支分析装置とからなる宿泊施設収支分析システムにおいて、
前記宿泊施設収支分析装置は、
宿泊施設に係るアンケートの調査結果を受け付ける入出力制御部と、
前記アンケートの調査結果に基づいて前記宿泊施設を格付け評価する評価部と、
前記宿泊施設の収支を分析する収支分析部と、
前記宿泊施設に格付け評価に基づいて、参考事例を特定する事例特定部と、
前記宿泊施設の収支と前記参考事例の収支の特徴を抽出し、類似あるいは乖離している収支項目を特定する特徴抽出部と、
前記収支の分析結果を、前記参考事例の収支と併せて、前記類似あるいは乖離している収支項目を目視可能に可視化した表示データを生成する表示データ生成部と、
前記表示データを前記端末装置に送信する送受信制御部と、を有し、
前記端末装置は、
前記表示データを受信する受信部と、
前記表示データに基づく表示を行う表示部と、を有する
宿泊施設収支分析システム。
【請求項4】
端末装置と宿泊施設収支分析装置とからなる宿泊施設収支分析システムによる宿泊施設収支分析方法において、
前記宿泊施設収支分析装置では、
入出力制御部が、宿泊施設に係るアンケートの調査結果を受け付け、
評価部が、前記アンケートの調査結果に基づいて前記宿泊施設を格付け評価し、
収支分析部が、前記宿泊施設の収支を分析し、
事例特定部が、前記宿泊施設に格付け評価に基づいて、参考事例を特定し、
特徴抽出部が、前記宿泊施設の収支と前記参考事例の収支の特徴を抽出し、類似あるいは乖離している収支項目を特定し、
表示データ生成部が、前記収支の分析結果を、前記参考事例の収支と併せて、前記類似あるいは乖離している収支項目を目視可能に可視化した表示データを生成し、
送受信制御部が、前記表示データを前記端末装置に送信し、
前記端末装置では、
受信部が、前記表示データを受信し、
表示部が、前記表示データに基づく表示を行う
宿泊施設収支分析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホテルや旅館等の宿泊施設の収支を適正に分析する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ホテルや旅館等の宿泊施設では、他の業種の企業と同様に、B/S、P/L、キャッシュフロー計算書等により、自施設の収支を把握し、改善を図っているのが一般的である。そして、来客数、更には顧客単価を増加させるべく、自施設のサービスの現状の見直し、更なる付加的なサービスの導入を検討しているが、そのような見直しを行うためには、顧客による客観的な評価が極めて参考になる。そこで、多くの宿泊施設では、顧客によるアンケートを実施し、当該アンケート結果に基づいて、自施設の見直し等を行っているのが実情である。
【0003】
この種の技術としては、例えば、特許文献1では、所定属性の宿泊施設に対して専門家が過去実施した評価の各項目と、当該項目に関する評価結果に応じて当該専門家が評価レポートに記載した文章とを対応付けたテーブルを記憶し、ユーザ指定の属性に応じた宿泊施設に係る各評価項目に関してユーザが下した評価結果を取得し、評価レポートを生成する宿泊施設評価支援システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-220193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、アンケート結果に基づいて格付け等がされた参考事例との比較により、ホテルや旅館等の宿泊施設の収支を分析し、当該分析結果に基づいて最適な提案をすることは開示されていない。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、参考事例との比較により、ホテルや旅館等の宿泊施設の収支を適正に分析することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様に係る宿泊施設収支分析装置は、宿泊施設の収支を分析する収支分析部と、前記宿泊施設に格付け評価に基づいて、参考事例を特定する事例特定部と、前記宿泊施設の収支と前記参考事例の収支の特徴を抽出し、類似あるいは乖離している収支項目を特定する特徴抽出部と、前記収支の分析結果を、前記参考事例の収支と併せて、前記類似あるいは乖離している収支項目を目視可能に可視化に出力する出力部と、を有する。
【0008】
本発明の第2の態様に係る宿泊施設収支分析装置は、端末装置と通信自在な宿泊施設収支分析装置において、宿泊施設に係るアンケートの調査結果を受け付ける入出力制御部と、前記アンケートの調査結果に基づいて前記宿泊施設を格付け評価する評価部と、前記宿泊施設の収支を分析する収支分析部と、前記宿泊施設に格付け評価に基づいて、参考事例を特定する事例特定部と、前記宿泊施設の収支と前記参考事例の収支の特徴を抽出し、類似あるいは乖離している収支項目を特定する特徴抽出部と、前記収支の分析結果を、前記参考事例の収支と併せて、前記類似あるいは乖離している収支項目を目視可能に可視化した表示データを生成する表示データ生成部と、前記表示データを前記端末装置に送信する送受信制御部と、を有する。
【0009】
本発明の第3の態様に係る宿泊施設収支分析システムは、端末装置と宿泊施設収支分析装置とからなる宿泊施設収支分析システムにおいて、前記宿泊施設収支分析装置は、宿泊施設に係るアンケートの調査結果を受け付ける入出力制御部と、前記アンケートの調査結果に基づいて前記宿泊施設を格付け評価する評価部と、前記宿泊施設の収支を分析する収支分析部と、前記宿泊施設に格付け評価に基づいて、参考事例を特定する事例特定部と、前記宿泊施設の収支と前記参考事例の収支の特徴を抽出し、類似あるいは乖離している収支項目を特定する特徴抽出部と、前記収支の分析結果を、前記参考事例の収支と併せて、前記類似あるいは乖離している収支項目を目視可能に可視化した表示データを生成する表示データ生成部と、前記表示データを前記端末装置に送信する送受信制御部と、を有し、前記端末装置は、前記表示データを受信する受信部と、前記表示データに基づく表示を行う表示部と、を有する。
【0010】
本発明の第4の態様に係る宿泊施設収支分析方法は、端末装置と宿泊施設収支分析装置とからなる宿泊施設収支分析システムによる宿泊施設収支分析方法において、前記宿泊施設収支分析装置では、入出力制御部が、宿泊施設に係るアンケートの調査結果を受け付け、評価部が、前記アンケートの調査結果に基づいて前記宿泊施設を格付け評価し、収支分析部が、前記宿泊施設の収支を分析し、事例特定部が、前記宿泊施設に格付け評価に基づいて、参考事例を特定し、特徴抽出部が、前記宿泊施設の収支と前記参考事例の収支の特徴を抽出し、類似あるいは乖離している収支項目を特定し、表示データ生成部が、前記収支の分析結果を、前記参考事例の収支と併せて、前記類似あるいは乖離している収支項目を目視可能に可視化した表示データを生成し、送受信制御部が、前記表示データを前記端末装置に送信し、前記端末装置では、受信部が、前記表示データを受信し、表示部が、前記表示データに基づく表示を行う。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、参考事例との比較により、ホテルや旅館等の宿泊施設の収支を適正に分析する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る宿泊施設収支分析システムの構成図である。
図2】同システムの宿泊施設収支分析装置の構成図である。
図3】同システムの情報端末の構成図である。
図4】同システムによる収支分析の処理手順を示すフローチャートである。
図5】画面表示例を示す図である。
図6】画面表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態について説明する。
【0014】
図1には、本発明の一実施形態に係る宿泊施設収支分析システムの構成を示し説明する。
【0015】
同図に示されるように、本発明の一実施形態に係る宿泊施設収支分析システムは、宿泊施設収支分析装置1と、調査員の端末装置2と、ユーザの端末装置3とが、インターネット等の通信網4を介して無線又は有線で接続され、構成されている。ここでいう「ユーザ」とは、評価業務を請け負ったコンサルタントやホテルや旅館等の宿泊施設の経営者等である。但し、これに限定されない。宿泊施設収支分析装置1としては、パーソナルコンピュータやサーバ装置等を採用することができる。また、端末装置2,3としては、スマートフォン、タブレット端末、ノート型パーソナルコンピュータ、デスクトップ型パーソナルコンピュータ等、各種のものを採用することができる。
【0016】
このような構成において、宿泊施設収支分析装置1は、調査員の端末装置2からの調査結果を受信すると、当該調査結果に基づいて、当該宿泊施設について格付け等の評価を行い、その評価結果である格付けをユーザ情報と紐づけて記憶する。さらに、格付けに基づいて、参考事例を特定し、参考事例の収支との比較により、詳細は後述するように宿泊施設の収支分析を行う。そして、収支分析の結果に係る表示データを生成し、ユーザの端末装置3に送信する。ユーザの端末装置3では、可視化された宿泊施設の収支分析の結果を確認することが可能となる。宿泊施設収支分析装置1は、収支分析の結果を上記送信に止まらず、様々な形で出力することが可能である。例えば、宿泊施設の収支分析の結果を可視化してレポート形式に落とし込み、報告書として出力することも可能であり、モニター上に可視化された報告内容を表示することも可能である。
【0017】
図2には、宿泊施設評価システムの宿泊施設収支分析装置の構成を示し説明する。
【0018】
同図に示されるように、宿泊施設収支分析装置1は、全体の制御を司るCPU(Central Processing Unit)等からなる制御部11を備えている。制御部11は、バスライン18を介して、通信部12、記憶部13と接続されている。通信部12は、インターネット等の通信網4を介して、調査員の端末装置2やユーザの端末装置3と通信するための通信インタフェースである。
【0019】
そして、記憶部13は、例えば、RAM(Random Access Memory)RAM(Read Only Memory)等のメモリやハードディスクドライブ(HDD;Hard Disc Drive)等で構成されており、制御部11で実行されるプログラムを記憶している。記憶部13は、ユーザ情報記憶部14、調査結果記憶部15、事例記憶部16、及び分析結果記憶部17を少なくとも有している。
【0020】
より詳細には、ユーザ記憶部14は、ユーザIDと紐づけて、ユーザであるホテルや旅館等の宿泊施設の名称、住所、電話番号、担当者名、電子メールアドレス等を記憶している。評価された格付けについても、ユーザIDと紐づけてユーザ情報記憶部14に記憶される。調査結果記憶部15は、ユーザIDと紐づけて調査員によるアンケートの調査結果を記憶している。事例記憶部16は、収支分析のときに参照する事例(宿泊施設、格付け、収支情報等)を記憶している。そして、分析結果記憶部17は、収支分析の結果を記憶している。
【0021】
このような構成において、制御部11は、記憶部13のプログラム14を実行することで、入出力制御部11a、評価部11b、収支分析部11c、事例特定部11d、特徴抽出部11e、表示データ生成部11f、送受信制御部11g、及び学習部11hとして機能する。以下、各部の機能について詳述する。
【0022】
入出力制御部11aは、調査員の端末装置2から送信されたアンケートの調査結果等の入出力を受け付ける。本実施形態では、調査員による調査項目は2140項目に及び、受付けからチェックアウト等に至るまでの時系列的に並ぶサービスシーン別、及びサービス要素別にカテゴライズされている。但し、これに限定されない。入力された調査結果は、記憶部13の調査結果記憶部15に適宜記憶される。入出力制御部11bは、また、収支分析部11cによる分析結果を出力する役割も担っている。
【0023】
評価部11bは、調査結果記憶部15に記憶されている調査結果に基づいて調査対象を格付け評価する。この格付けは、ユーザ情報記憶部14に記憶される。
【0024】
収支分析部11cは、ホテルや旅館等の宿泊施設の収支分析を実行する。詳細には、収支分析部11cは、事例特定部11dが、格付けの類似度に基づいて特定した参考事例の収支データとの比較により、収支を分析する。このとき、特徴抽出部11eは、調査対象の収支項目と、参考事例の収支項目の特徴を抽出し、類似している項目、乖離している項目を特定することも可能である。
【0025】
表示データ生成部11fは、分析結果についてHTML等で表示データを生成する。そして、送受信制御部11gは、このHTML等で生成された表示データをユーザの端末装置3に送信するよう制御する。学習部11hは、分析が繰り返される中で蓄積される収支データ等について機械学習を実施し、その学習結果に基づいて事例記憶部16の事例の重要度を適宜更新することで、分析の精度を高める役割を担っている。
【0026】
図3には、端末装置の構成を示し説明する。端末装置2,3は、同一構成であることから、ここでは端末装置2を例示して、構成及び作用を説明する。
【0027】
同図に示されるように、端末装置2(3も同様)は、制御部21と、通信部22と、操作部23と、表示部24と、記憶部25とを有する。各部21~25は、バスライン26を介して通信自在に接続されている。通信部22は、例えば、NIC等により実現されるもので、インターネット等の通信網4と有線又は無線で接続され、宿泊施設収支分析装置1等との間で通信を行う通信インタフェースである。
【0028】
操作部23は、マウスやキーボード等で実現され、ユーザによる各種操作入力を受け付ける。表示部24は、液晶ディスプレイ等により実現され、各種表示を行う。尚、操作部23と表示部24とをタッチパネルとして一体に構成してもよい。記憶部25は、RAMやフラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、HDD、または光ディスク装置等で実現されるもので、制御部21で実行されるプログラムを記憶している。
【0029】
制御部21は、CPUやMPU等で実現され、記憶部25に記憶されているプログラムを実行することで、受信部21a、閲覧部21b、送信部1cとして機能する。なお、制御部21は、ASICやFPGA等の集積回路で構成されてよい。
【0030】
受信部21aは、宿泊施設収支分析装置1から送られていた表示データ等を、通信部22を介して、受信する。閲覧部21bは、表示データに基づく表示を表示部24に行い閲覧可能とする。そして、送信部21cは、調査結果に係るデータ等を、通信部22を介して、宿泊施設収支分析装置1に送信する。
【0031】
以下、図4のフローチャートを参照して、本発明の一実施形態に係る宿泊施設収支分析システムによる収支分析の処理手順を示し説明する。
【0032】
前提として、調査対象の宿泊施設のアンケート調査結果(調査員評点)に基づいて、当該調査対象の宿泊施設についてサクラ、スター等の評価がなされており、ユーザ情報記憶部14にユーザIDと紐づけて記憶されている。また、参考事例についても、その格付けと収支データが、事例記憶部16に記憶されている。
【0033】
収支分析部11cは、ホテルや旅館等の宿泊施設の収支分析を実行する(S1)。より詳細には、B/S、P/L、キャッシュフロー計算書等のデータをCSV形式で入出力制御部11aが受付け、当該データに基づいて、各勘定項目について演算を行う。収支分析部11cは、DCFによる売り上げ予測等も行う。また、収支サマリ単価、収支サマリ、及び収支サマリ売上比率等も分析する。
【0034】
続いて、事例特定部11dが、事例記憶部16を参照して、格付けの類似度等に基づいて参考事例を特定する(S2)。各付けは、宿泊施設全体としても、複数のサービス要素ごとにもなされているが、事例特定部11dは、ユーザの設定に基づいて、宿泊施設全体として格付けの類似度、あるいは特定のサービス要素に関わる格付けの類似度に基づいて好適な参考事例を特定する。
【0035】
そして、特徴抽出部11eは、調査対象の収支項目と、特定された参考事例の収支項目の特徴を抽出し、類似している項目、乖離している項目を特定する(S3)。この特定によれば、例えば、売上高について、宿泊部門売上は類似しているか、料飲部門売上が乖離しているなどの比較がなされ、収支が良好な参考事例との比較において、改善すべき収支項目を特定することが可能となる。
【0036】
こうして、収支分析部11cは、収支分析の結果を出力する(S4)。例えば、分析結果を端末装置3に送信する場合には、表示データ生成部11fは、分析結果についてHTML等で表示データを生成し、送受信制御部11gは、このHTML等で生成された表示データをユーザの端末装置3に送信するよう制御する。宿泊施設収支分析装置1の不図示の表示部に、収支分析の結果を表示することも可能である。これら表示に際しては、参考事例と類似する収支項目、乖離している収支項目を色分けしてハイライト表示するようにしてもよいことは勿論である。
【0037】
ここで、図5及び図6には、収支分析の結果の表示例を示し説明する。
【0038】
図5に示される表示例は、収支サマリ単価の分析結果を示している。
【0039】
図5に示される表示では、売上高(宿泊部門売上、料飲部門売上、宴会部門売上、その他部門売上)、原価(宿泊部門原価、料飲部門原価、宴会部門原価、その他部門原価)、人件費(宿泊部門人件費、料飲部門人件費、宴会部門人件費、その他部門人件費)、その他経費(宿泊部門その他経費、料飲部門その他経費、宴会部門その他経費、その他部門その他経費)、部門利益(宿泊部門利益、料飲部門利益、宴会部門利益、その他部門利益)、非配賦費用(一般管理費、宣伝販売促進費、エネルギーコスト、修正維持費、保険料・公租公課)、GOP等が提示される。この各項目については、特定された参考事例の数値も提示され、調査対象については、初年度の各項目の数値に加えて、DCFにより演算された各年度の予測値も提示される。この比較の中で、参考事例と類似している項目と、乖離している項目を区分けして色分けするなどしてハイライト表示できるので、将来予測も含め、ユーザは、改善すべき項目を瞬時に見出すことが可能となる。
【0040】
図6に示される表示例は、収支サマリ売上比率の分析結果を示している。
【0041】
図6に示される表示では、売上高(宿泊部門売上、料飲部門売上、宴会部門売上、その他部門売上)、原価(宿泊部門原価、料飲部門原価、宴会部門原価、その他部門原価)、人件費(宿泊部門人件費、料飲部門人件費、宴会部門人件費、その他部門人件費)、その他経費(宿泊部門その他経費、料飲部門その他経費、宴会部門その他経費、その他部門その他経費)、部門利益(宿泊部門利益、料飲部門利益、宴会部門利益、その他部門利益)、非配賦費用(一般管理費、宣伝販売促進費、エネルギーコスト、修正維持費、保険料・公租公課)、GOP等の売上高比率が提示される。この各項目については、特定された参考事例の数値も提示され、調査対象については、初年度の各項目の売上高比率に加えて、DCFにより演算された各年度の予測値に係る売上高比率も提示される。この比較の中でも、参考事例と類似している項目と、乖離している項目を区分けして色分けするなどしてハイライト表示できるので、将来予測も含め、ユーザは、改善すべき項目を瞬時に見出すことが可能となる。
【0042】
以上説明した本発明の実施形態に係る宿泊施設収支分析システム等によれば、以下の効果が奏される。
【0043】
即ち、宿泊施設の収支を分析する収支分析部11cと、宿泊施設に格付け評価に基づいて、参考事例を特定する事例特定部11dと、宿泊施設の収支と参考事例の収支の特徴を抽出し、類似あるいは乖離している収支項目を特定する特徴抽出部11eと、収支の分析結果を、参考事例の収支と併せて、類似あるいは乖離している収支項目を目視可能に可視化に出力する出力部(11c)と、を有する宿泊施設収支分析装置が提供される。したがって、格付け評価が類似している参考事例の収支との対比で、改善すべき収支項目を把握することが可能となる。
【0044】
さらに、端末装置3と通信自在な宿泊施設収支分析装置において、宿泊施設に係るアンケートの調査結果を受け付ける入出力制御部11aと、アンケートの調査結果に基づいて前記宿泊施設を格付け評価する評価部11bと、宿泊施設の収支を分析する収支分析部11cと、宿泊施設に格付け評価に基づいて、参考事例を特定する事例特定部11dと、宿泊施設の収支と参考事例の収支の特徴を抽出し、類似あるいは乖離している収支項目を特定する特徴抽出部11eと、収支の分析結果を、参考事例の収支と併せて、類似あるいは乖離している収支項目を目視可能に可視化した表示データを生成する表示データ生成部11fと、表示データを端末装置に送信する送受信制御部11gと、を有する宿泊施設収支分析装置が提供される。したがって、調査対象である宿泊施設等のユーザの端末装置3において、収支分析結果が参考事例の収支との対比で表示されるので、改善すべき収支項目を把握することが可能となる。
【0045】
また、端末装置3と宿泊施設収支分析装置1とからなる宿泊施設収支分析システムにおいて、宿泊施設収支分析装置1は、宿泊施設に係るアンケートの調査結果を受け付ける入出力制御部11aと、アンケートの調査結果に基づいて宿泊施設を格付け評価する評価部11bと、宿泊施設の収支を分析する収支分析部11cと、宿泊施設に格付け評価に基づいて、参考事例を特定する事例特定部11dと、宿泊施設の収支と参考事例の収支の特徴を抽出し、類似あるいは乖離している収支項目を特定する特徴抽出部11eと、収支の分析結果を、参考事例の収支と併せて、類似あるいは乖離している収支項目を目視可能に可視化した表示データを生成する表示データ生成部11fと、表示データを端末装置に送信する送受信制御部11gと、を有し、端末装置3は、表示データを受信する受信部21aと、表示データに基づく表示を行う表示部24と、を有する宿泊施設収支分析システムが提供される。従って、調査対象である宿泊施設等のユーザの端末装置3において、収支分析結果が参考事例の収支との対比で表示されるので、改善すべき収支項目を把握することが可能となる。
【0046】
さらに、端末装置3と宿泊施設収支分析装置1とからなる宿泊施設収支分析システムによる宿泊施設収支分析方法において、宿泊施設収支分析装置1では、入出力制御部11aが、宿泊施設に係るアンケートの調査結果を受け付け、評価部11bが、アンケートの調査結果に基づいて宿泊施設を格付け評価し、収支分析部11cが、宿泊施設の収支を分析し、事例特定部11dが、宿泊施設に格付け評価に基づいて、参考事例を特定し、特徴抽出部11eが、宿泊施設の収支と参考事例の収支の特徴を抽出し、類似あるいは乖離している収支項目を特定し、表示データ生成部11fが、収支の分析結果を、参考事例の収支と併せて、類似あるいは乖離している収支項目を目視可能に可視化した表示データを生成し、送受信制御部11gが、表示データを端末装置に送信し、端末装置では、受信部21aが、表示データを受信し、表示部24が、表示データに基づく表示を行う宿泊施設収支分析方法が提供される。したがって、調査対象である宿泊施設等のユーザの端末装置3において、収支分析結果が参考事例の収支との対比で表示されるので、改善すべき収支項目を把握することが可能となる。
【0047】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなくその趣旨を逸脱しない範囲で種々の改良・変更が可能であることは勿論である。
【0048】
例えば、図5図6に示した表示例は一連であって、多面的な収支分析の結果を参考事例の数値との併せて提示することで、収支の改善点について、多面的な気づきを与えることが可能である。
【0049】
本発明の産業上の利用可能性としては、ホテルのほか、旅館についても適用可能であることは勿論である。共通となる安心感に関する各基準について、それぞれホテルでの解釈と旅館での解釈とを使い分けることで、全国の様々な旅館、例えば、伝統的な旅館から一部客室はホテルである旅館等、全国の旅館すべてに対応が適用可能である。
【符号の説明】
【0050】
1…宿泊施設収支分析装置、2…情報端末、3…情報端末、4…通信網、11…制御部、11a…入出力制御部、11b…評価部、11c…収支分析部、11d…事例特定部、11e…特徴抽出部、11f…表示データ生成部、11g…送受信制御部、11h…学習部、12…通信部、13…記憶部、14…ユーザ情報記憶部、15…調査結果DB、16…事例記憶部、17…分析結果記憶部、21…制御部,21a…受信部、21b…閲覧部、21c…送信部、22…通信部、23…操作部、24…表示部、25…記憶部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6