(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022130241
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】缶体スタンド
(51)【国際特許分類】
B65D 25/20 20060101AFI20220830BHJP
B01F 31/00 20220101ALI20220830BHJP
【FI】
B65D25/20 S
B01F11/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021029320
(22)【出願日】2021-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】513298608
【氏名又は名称】株式会社広島精機
(74)【代理人】
【識別番号】100194478
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 文彦
(74)【代理人】
【識別番号】100187838
【弁理士】
【氏名又は名称】黒住 智彦
(72)【発明者】
【氏名】柳原 邦典
(72)【発明者】
【氏名】三沢 敦
【テーマコード(参考)】
3E062
4G036
【Fターム(参考)】
3E062AA04
3E062AB01
3E062AB04
3E062CA06
3E062KA10
4G036AB11
4G036AB18
(57)【要約】
【課題】比較的小さな力によって、液体の攪拌時に缶体を大きく揺動させ、かつ、液体を注ぐ際の缶体の傾きを微調整することが可能な缶体スタンドの提供。
【解決手段】缶体スタンド1は、架台2と、架台2に回転可能に取り付けられ、一斗缶CBを載置可能な台座3と、台座3を架台2に対して回転させるためのハンドル4とを備える。台座3の回転支軸である回転部材21R,22Rは、台座3の回転時に、台座3に載置される一斗缶CBの注ぎ口SPを中心として一斗缶CBの底側が円弧を描く位置に配置される。ハンドル4は、一対のアーム部41,42と、把持部43とを有する。一対のアーム部41,42は、台座3に載置される缶体の左右側方にそれぞれ配置され、回転部材21R,22Rから缶体の底側とは反対に向かって略平行に延伸する。把持部43は、一対のアーム部41,42のうち延伸端部側を横架する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
架台と、
前記架台に回転可能に取り付けられ、缶体を載置可能な台座と、
前記台座に固定され、前記台座を前記架台に対して回転させるためのハンドルと、
を備え、
前記台座の回転支軸は、前記台座の回転時に、前記台座に載置される前記缶体の注ぎ口を中心として前記缶体の底側が円弧を描く位置に配置され、
前記ハンドルは、
前記台座に載置される前記缶体の左右側方にそれぞれ配置され、前記回転支軸から前記缶体の底側とは反対に向かって略平行に延伸する一対のアーム部と、
前記一対のアーム部のうち延伸端部側を横架する把持部と、
を有することを特徴とする缶体スタンド。
【請求項2】
前記注ぎ口は、前記缶体の上面に設けられ、
前記台座は、前記注ぎ口が水平方向よりも上側を向く装着位置と前記注ぎ口が略真下を向く倒立位置との間を前記ハンドルの操作に伴って回転し、
前記台座が前記倒立位置に回転した状態において、前記把持部は、前記注ぎ口の液体流出方向から外れた位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載の缶体スタンド。
【請求項3】
前記台座は、前記缶体の底面を支持する底面支持部と、前記缶体の側面を支持する側面支持部と、前記缶体の上面を支持する上面支持部とを有し、
前記底面支持部と前記上面支持部との少なくとも一方には、前記台座が前記倒立位置に回転した状態において、前記缶体の側面に当接して前記缶体の水平方向の移動を阻止する係止突起が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の缶体スタンド。
【請求項4】
前記架台の高さを変更するための高さ調整機構を更に備えることを特徴とする請求項1から3のうち何れかに記載の缶体スタンド。
【請求項5】
前記高さ調整機構は、
前記架台の左側面と対向するように前記左側面の外側に近接配置される左縦板と、
前記架台の右側面と対向するように前記右側面の外側に近接配置される右縦板と、
を有し、
前記左側面の下部には、左側方に突起する左突起部が設けられ、
前記右側面の下部には、右側方に突起する右突起部が設けられ、
前記左縦板には、前記左突起部を上下方向に摺動移動可能な左長穴が形成され、
前記右縦板には、前記右突起部を上下方向に摺動移動可能な右長穴が形成され、
前記左長穴の上端側は、前記左突起部を係合可能に鉤状に屈曲しており、
前記右長穴の上端側は、前記右突起部を係合可能に鉤状に屈曲していることを特徴とする請求項4に記載の缶体スタンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一斗缶やペール缶などの缶体を保持する缶体スタンドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一斗缶やペール缶などの缶体から意図した量の液体を小出しにするための技術が提案されている。例えば、特許文献1では、注ぎ口が上に位置するように缶体を横置き固定する缶体反転倒立台座(1)が開示されている。
【0003】
特許文献1の缶体反転倒立台座(1)は、缶置台(2)と、缶置台(2)に設けられる支持軸(2-a)と、ハンドル(3-a)を含む変速機(3)とを備えている(特許文献1の
図2)。そして、ハンドル(3-a)を所定方向に回転させると、缶置台(2)に固定された缶体が注ぎ口を中心に缶底側が円を描くように缶置台(2)が回転し、缶体が持ち上げられるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、塗料を格納する缶体(一斗缶やペール缶)では、缶体内部の塗料を攪拌した上で注ぎ口から受けに注ぐことがある。缶体内部の塗料を素早く攪拌しようとすると、缶体を比較的大きく揺動させる必要がある。
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1は、意図した量の液体を小出しにすることを目的とした技術である。そのため、ハンドルの回転に伴って缶置台が比較的ゆっくりと回転する構成が採用されている。したがって、特許文献1に記載の発明では、缶体を大きく揺動させることが構成上難しく、缶体内部の塗料(液体)を攪拌するのに適しているとは言えない。
【0007】
そこで、本発明は、比較的小さな力によって、液体の攪拌時に缶体を大きく揺動させ、かつ、液体を注ぐ際の缶体の傾きを微調整することが可能な缶体スタンドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、架台と、前記架台に回転可能に取り付けられ、缶体を載置可能な台座と、前記台座に固定され、前記台座を前記架台に対して回転させるためのハンドルと、を備え、前記台座の回転支軸は、前記台座の回転時に、前記台座に載置される前記缶体の注ぎ口を中心として前記缶体の底側が円弧を描く位置に配置され、前記ハンドルは、前記台座に載置される前記缶体の左右側方にそれぞれ配置され、前記回転支軸から前記缶体の底側とは反対に向かって略平行に延伸する一対のアーム部と、前記一対のアーム部のうち延伸端部側を横架する把持部と、を有することを特徴とする缶体スタンドを提供している。
【0009】
ここで、前記注ぎ口は、前記缶体の上面に設けられ、前記台座は、前記注ぎ口が水平方向よりも上側を向く装着位置と前記注ぎ口が略真下を向く倒立位置との間を前記ハンドルの操作に伴って回転し、前記台座が前記倒立位置に回転した状態において、前記把持部は、前記注ぎ口の液体流出方向から外れた位置に配置されるのが好ましい。
【0010】
また、前記台座は、前記缶体の底面を支持する底面支持部と、前記缶体の側面を支持する側面支持部と、前記缶体の上面を支持する上面支持部とを有し、前記底面支持部と前記上面支持部との少なくとも一方には、前記台座が前記倒立位置に回転した状態において、前記缶体の側面に当接して前記缶体の水平方向の移動を阻止する係止突起が設けられているのが好ましい。
【0011】
また、前記架台の高さを変更するための高さ調整機構を更に備えるのが好ましい。
【0012】
更に、前記高さ調整機構は、前記架台の左側面と対向するように前記左側面の外側に近接配置される左縦板と、前記架台の右側面と対向するように前記右側面の外側に近接配置される右縦板と、を有し、前記左側面の下部には、左側方に突起する左突起部が設けられ、前記右側面の下部には、右側方に突起する右突起部が設けられ、前記左縦板には、前記左突起部を上下方向に摺動移動可能な左長穴が形成され、前記右縦板には、前記右突起部を上下方向に摺動移動可能な右長穴が形成され、前記左長穴の上端側は、前記左突起部を係合可能に鉤状に屈曲しており、前記右長穴の上端側は、前記右突起部を係合可能に鉤状に屈曲しているのが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明による缶体スタンドは、回転支軸から缶体の底側とは反対に延伸する一対のアーム部と、一対のアーム部の先端側を横架する把持部とを有するハンドルを備えている。そのため、比較的小さな力によって、液体の攪拌時に缶体を大きく揺動させることが可能であり、かつ、液体を注ぐ際の缶体の傾きを微調整することが可能である。また、本発明の缶体スタンドでは、ハンドルが一対のアーム部と把持部とによりコ字状を形成しているため、扱い易く、また、比較的重量の大きい缶体をバランス良く安定的に回転させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態による缶体スタンドを左前方上部から見た斜視図(A)及び左前方下部から見た斜視図(B)。
【
図3】
図2のIII矢視図(缶体スタンドを上から見た平面図)。
【
図5】缶体スタンドに一斗缶が装着された状態を示す斜視図(A)及び正面図(B)
【
図6】一斗缶を缶体スタンドに装着する際の取付手順を示した概略図。
【
図7】
図6のSTEP1~STEP3の状態に対応する斜視図(A)~(C)。
【
図8】ハンドル操作に伴って台座及び一斗缶が回転する様子を示す模式図(A)~(D)。
【
図9】倒立位置に回転した一斗缶が台座からの脱落するのを防止する係止突起を示す図。
【
図10】缶体スタンドによる攪拌効果を説明するための概念図。
【
図11】変形例による高さ調整機構を説明するための斜視図(A)及び側面図(B)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<1.実施形態>
本発明の実施形態による缶体スタンドについて
図1から
図10に基づき説明する。以下では、缶体を保持する缶体スタンドの一例として、
図1に示す缶体スタンド1を例示する。また、缶体の一例として、
図5に示す一斗缶CBを例示する。
【0016】
本実施形態に係る缶体スタンド1は、単に一斗缶CBを保持する機能だけでなく、一斗缶CBに格納された液体(例えば塗料)を攪拌する機能をも備えているため、「塗料撹拌機」とも称される。
【0017】
図1に示すように、缶体スタンド1は、架台2と、架台2に対して回転可能に取り付けられる台座3と、台座3を架台2に対して回転させるハンドル4とを備えて構成される。
【0018】
図1(B)に示すように、架台2は、左右方向に長尺な矩形状の底板20と、底板20のうち左端上面に立設する左側板21と、底板20のうち右端上面に立設する右側板22とを有する。
【0019】
左側板21のうち下端側一部は、左右方向の内側に向けて屈曲し、底板20の左端上面に面接触した状態でボルトによって底板20に固定されている。
【0020】
同様に、右側板22のうち下端側一部は、左右方向の内側に向けて屈曲し、底板20の右端上面に面接触した状態でボルトによって底板20に固定されている。
【0021】
また、左側板21及び右側板22の中央やや上側には、それぞれ、持ち手穴21H,22Hが形成されている。持ち手穴21H,22Hは、缶体スタンド1を持ち運ぶ際に作業者が手指を挿入するための穴である。
【0022】
更に、
図2及び
図3に示すように、左側板21及び右側板22には、それぞれ、回転部材21R,22Rが上端側に設けられている。回転部材21Rは、左側板21に対して回転する部材である。また、回転部材22Rは、右側板22に対して回転する部材である。
【0023】
回転部材21R,22Rには、いずれも、台座3及びハンドル4が固定されている。つまり、回転部材21R,22Rは、台座3及びハンドル4と共に一体的に回転する。
【0024】
図1に示すように、架台2の下面には、脚部24A,24B,25A,25Bが前後左右4箇所に設けられている。
【0025】
図2及び
図3に示すように、台座3は、一斗缶CB(
図5参照)の底面を支持する底面支持部31と、一斗缶CBの側面を支持する側面支持部32と、一斗缶CBの上面を支持する上面支持部33とからなる。
【0026】
図3及び
図4に示すように、底面支持部31、側面支持部32及び上面支持部33によって仕切られる空間は、一斗缶CBを装着して保持するための保持領域HAとして機能する。
【0027】
図4に示すように、底面支持部31は、ガイド面311と、ガイド面311に対して屈曲した支持面312とを備えている。
【0028】
ガイド面311は、保持領域HAに一斗缶CBを装着する直前に一斗缶CBを一時的に載置するための面であり、ガイドテーブルなどとも称される。また、支持面312は、保持領域HAに保持された一斗缶CBの底面を支持する面である。
【0029】
図2及び
図3に示すように、側面支持部32は、左右方向に離間して設けられる一対の板部材で構成されている。
図5(B)に示すように、側面支持部32を構成する一対の板部材は、一斗缶CBのうち2つの側面にそれぞれ当接するように内側に向けて傾斜している。
【0030】
図3に示すように、上面支持部33は、正面視U字状に形成されている。これは、一斗缶CBを保持領域HAに装着する際(詳細には一斗缶CBをガイド面311から保持領域HAに倒す際)、直方体形状を有する一斗缶CBの上面角部が接触しないようにするためである。
【0031】
図6では、一斗缶CBを上述した台座3に作業者が手動で装着する手順が示されている。まず、台座3の底面支持部31の一部であるガイド面311に一斗缶CBを載置する(STEP1)。
図7(A)において、ガイド面311に一斗缶CBが載置された状態の斜視図が示されている。
【0032】
次に、ガイド面311に載置された一斗缶CBの上端側を保持領域HAに向けて押すことで、一斗缶CBを傾ける(STEP2)。
図7(B)において、一斗缶CBが保持領域HAに向けて傾いている状態の斜視図が示されている。
【0033】
そして、一斗缶CBが保持領域HAの側に更に傾き、台座3を構成する底面支持部31の一部である支持面312を摺動しながら、保持領域HAに嵌合する(STEP3)。
図7(C)において、一斗缶CBが保持領域HAに嵌合した状態の斜視図が示されている。
【0034】
再度、
図1を参照する。
図1に示すように、ハンドル4は、左右一対のアーム部41,42と、作業者によって把持される把持部43とを備えて構成される。
【0035】
アーム部41,42は、保持領域HAにおいて保持された一斗缶CBの左右側方にそれぞれ配置されている。
図1に示すように、アーム部41,42は、回転部材21R,22R、ひいては、台座3やハンドル4の回転支軸から一斗缶CBの底側とは反対に向かって略平行に延伸している。
【0036】
把持部43は、アーム部41,42の延伸端部を横架するように左右方向に延伸する棒状の部材である。作業者は、一斗缶CB内の液体(塗料など)を攪拌する場合や一斗缶CB内の液体(塗料など)を受けRC(
図5参照)に注ぐ場合に把持部43を把持して操作する。
【0037】
ハンドル4は、左右一対のアーム部41,42及び把持部43の3つの部材によってコ字状を形成している。
【0038】
図3に示すように、台座3及びハンドル4は、回転部材21R,22Rの各々に対してボルトで固定されている。そのため、ハンドル4の把持部43が上げ下げされると、ハンドル4に固定された台座3が回転部材21R,22Rを回転支軸として回転するように構成されている。なお、一斗缶CBが台座3に装着されている場合には、台座3の回転に応じて一斗缶CBも回転部材21R,22Rを回転支軸として回転する。
【0039】
また、回転部材21R,22Rは、台座3の回転時に、台座3に載置される一斗缶CBの注ぎ口SPを中心として一斗缶CBの底側が円弧を描く位置に配置されている。
【0040】
続いて、
図8を参照しながら、ハンドル4の上げ下げ操作に伴う、缶体スタンド1の動作について詳細に説明する。
【0041】
上述した缶体の取付手順(
図6)に従って一斗缶CBが装着された時点では、
図8(A)に示すように、台座3は、一斗缶CBの注ぎ口SPが水平方向よりも上側を向く位置(以下、単に「装着位置」とも称する)に配置される。
【0042】
台座3が装着位置に配置された状態でハンドル4の把持部43が徐々に下げられると、
図8(B)及び(C)に示すように、台座3及び一斗缶CBが回転部材21R,22Rを回転支軸として回転する。
【0043】
その後、更にハンドル4の把持部43を更に下げられると、
図8(D)に示すように、台座及び一斗缶CBは、注ぎ口SPが略真下を向く(以下、単に「倒立位置」とも称する)まで回転する。なお、ここでは、倒立位置において、台座及び一斗缶CBが水平方向から110度ほど回転しているものとする。
【0044】
他方、台座3が
図8(D)に示す位置に回転した状態でハンドル4の把持部43が徐々に上げられると、ハンドル4の把持部43が下げられた場合とは逆向きに台座3が回転する。そして、
図8(C)、
図8(B)の状態を経て、
図8(A)の装着位置に戻る。
【0045】
本実施形態では、一斗缶CB内の塗料を受けRCに移注する前に、一斗缶CB内の塗料を攪拌して混ぜる。一斗缶CB内の塗料を撹拌する場合、
図8(A)に示す装着位置と、
図8(C)に示す位置(ハンドル4の把持部43が水平方向よりもやや下側に配置される位置)との間でハンドル4の把持部43を比較的大きく上げ下げさせる。これに伴い、一斗缶CBが大きく揺動し、一斗缶CBに格納された塗料がしっかりと攪拌される。
【0046】
また、
図8(D)に示すように、台座3の倒立位置に回転した状態において、ハンドル4を構成する把持部43は、一斗缶CBの注ぎ口SPの液体流出方向から外れた位置に配置されている。そのため、注ぎ口SPから移注される塗料が把持部43にかからずに済む。
【0047】
図9に示すように、台座3を構成する底面支持部31及び上面支持部33には、台座3が倒立位置に回転した状態において一斗缶CBの水平方向の移動を阻止する係止突起(ストッパーとも称する)31S,33Sが設けられている。
【0048】
上述した実施形態に係る缶体スタンド1では、回転部材21R,22R(回転支軸)から一斗缶CBの底側とは反対に延伸する一対のアーム部41,42と、一対のアーム部41,42の先端側を横架する把持部43とを含むハンドル4が設けられている。
【0049】
そのため、梃子の原理に基づく比較的小さな力によって、塗料の攪拌時に一斗缶CBを大きく揺動させることが可能であり、かつ、塗料を注ぐ(移注する)際の一斗缶CBの傾きを微調整することが可能である。
【0050】
特に、上述した実施形態では、一対のアーム部41,42及び把持部43によってハンドル4がコ字状を形成しているため、作業者にとって扱い易く、比較的重量の大きい一斗缶CBを正面側からバランス良く安定的に回転操作することが可能である。
【0051】
また、上述した実施形態によれば、
図4に示すように、台座3を構成する底面支持部31がガイド面311と支持面312とを備えて構成されている。そして、
図6に示すように、一斗缶CBを台座3に取り付ける際に、一斗缶CBがガイド面311を介して保持領域HAに装着される。そのため、作業者は一斗缶CBを比較的小さな力(片手)で台座3に装着することが可能である。
【0052】
また、上述した実施形態によれば、
図5に示すように、直方体状の一斗缶CBが約45度傾けられた状態(一斗缶CBの上面の対角線の一方が地面と平行になる状態)で台座3に設置される。
【0053】
その結果、
図10に示すように、一斗缶CBに格納された液体(塗料)が3次元的に攪拌される。そのため、比較例の状態で台座3に設置される場合に比べて、一斗缶CB内の液体(塗料)全体を確実に混ぜることが可能である。
【0054】
また、上述した実施形態によれば、
図9に示すように、台座3を構成する底面支持部31及び上面支持部33の双方に、一斗缶CBの水平方向の移動を阻止する係止突起31S,33Sが設けられている。そのため、一斗缶CBにバンドや落下防止装置を別途設ける必要がない。また、ハンドル4を勢いよく操作し、一斗缶CBが大きく揺動した場合であっても一斗缶CBが台座3から脱落せずに済む。
【0055】
また、上述した実施形態によれば、
図8(D)に示すように、台座3が水平方向から110度の旋回角度を有しており、一斗缶CBを倒立位置まで回転させることができる。そのため、一斗缶CBに格納された液体(塗料)を缶内に残すこと無く、受けRCにすべて移注することが可能である。
【0056】
また、上述した実施形態によれば、回転部材21R,22Rは、台座3の回転時に、台座3に載置される一斗缶CBの注ぎ口SPを中心として一斗缶CBの底側が円弧を描く位置に配置されている。そのため、注ぎ口SPから流出する液体(塗料)を前後方向に関してほぼ同じ位置に落とすことが可能である。
【0057】
また、上述した実施形態によれば、
図1及び
図2に示すように、比較的複雑な形状を有する台座3が複数のパーツをネジ止めされる構成となっている。そのため、台座3が一体物で構成される場合に比べて製作コストを低減することが可能である。
【0058】
また、上述した実施形態によれば、
図1に示すように、架台2を構成する左側板21及び右側板22がハンドル4のアーム部41,42に対して前後方向に幅広に構成されている。そのため、ハンドル4の操作時において、アーム部41と左側板21の間やアーム部42と右側板22との間に手を挟む可能性が低い。
【0059】
また、上述した実施形態によれば、架台2の下面において脚部24A,24B,25A,25Bが前後左右4箇所に設けられているため、缶体スタンド1をより安定的に設置することが可能である。
【0060】
<2.変形例>
本発明による缶体スタンドは上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
【0061】
例えば、上述した実施形態では、缶体スタンド1を構成する架台2の高さが変更できない場合を例示したが、これに限定されず、架台2の高さを変更できるようにしてもよい。具体的には、
図11に示すように、架台2の高さを調整する高さ調整機構5を缶体スタンド1に設けるようにしてもよい。
【0062】
図11に示すように、高さ調整機構5は、左側板21の外側において対向するように近接配置される左縦板5Lと、右側板22の外側において対向するように近接配置される右縦板5R(図示せず)とを備えて構成される。
【0063】
左縦板5Lには、左側板21に設けられた左突起部211,212を上下方向に摺動移動可能な左長穴51L,52Lが形成されている。同様に、右縦板5Rには、右側板22に設けられた右突起部221,222(図示せず)を上下方向に摺動移動可能な右長穴51R,52R(図示せず)が形成されている。
【0064】
左長穴51L,52Lの上端側は、左突起部211,212を係合可能な鉤状に屈曲している。また、右長穴51R,52Rの上端側は、右突起部221,222を係合可能な鉤状に屈曲している。
【0065】
上述したような構成により、高さ調整機構5を有する缶体スタンド1では、架台2を低位置又は高位置に切り替え、架台2の高さを調整することが可能である。なお、低位置とは、左突起部211,212を左長穴51L,52Lの下端、右突起部221,222を右長穴51R,52Rの下端に配置した位置である。また、高位置とは、
図11に示すように、左突起部211,212を左長穴51L,52Lの上端側の屈曲部分に係合させ且つ右突起部221,222を右長穴51R,52Rの上端側の屈曲部分に係合させた位置である。
【0066】
また、上述した実施形態では、缶体の一例として一斗缶CBを例示したが、これに限定されず、ペール缶などを缶体として用いるようにしてもよい。
【0067】
また、上述した実施形態では、台座3を構成する底面支持部31及び上面支持部33に係止突起(ストッパー)31S,33Sが設けられている場合を例示したが、これに限定されず、係止突起31S,33Sを設けることなく、一斗缶CBの脱落を防止するためのバンドや落下防止装置を別途設けるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
以上のように本発明による缶体スタンドは、一斗缶やペール缶などの缶体に格納された塗料を撹拌した上で移注するのに適している。
【符号の説明】
【0069】
1 缶体スタンド
2 架台
3 台座
4 ハンドル
5 高さ調整機構
5L 左縦板
5R 右縦板
20 底板
21 左側板
21H,22H 持ち手穴
21R,22R 回転部材
22 右側板
24A,24B,25A,25B 脚部
31 底面支持部
32 側面支持部
33 上面支持部
31S,33S 係止突起(ストッパー)
41,42 アーム部
43 把持部
51L,52L 左長穴
51R,52R 右長穴
211,212 左突起部
221,222 右突起部
311 ガイド面
312 支持面
CB 一斗缶
HA 保持領域
SP 注ぎ口