(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022130246
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】配線基板及び配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20220830BHJP
H05K 3/00 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
H05K3/46 Q
H05K3/00 N
H05K3/46 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021029330
(22)【出願日】2021-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】谷口 普崇
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA43
5E316CC04
5E316CC08
5E316CC09
5E316CC32
5E316DD25
5E316EE09
5E316FF15
5E316GG15
5E316HH31
5E316JJ06
(57)【要約】
【課題】キャビティに収容された電子部品を封止し易くすることが可能な配線基板及びその製造方法の提供。
【解決手段】配線基板10は、配線基板10の表裏の一方の面である第1面10Fに開口するキャビティ19を有する配線基板10であって、キャビティ19の内側面に含まれ、キャビティ19の底面30に対して起立する第1の内側面51と、キャビティ19の内側面に含まれ、第1の内側面51と少なくとも一部が対向し、キャビティ19の底面30から離れるにつれてキャビティ19を広げるように傾斜する第2の内側面52と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板の表裏の一方の面である第1面に開口するキャビティを有する配線基板であって、
前記キャビティの内側面に含まれ、前記キャビティの底面に対して起立する第1の内側面と、
前記キャビティの内側面に含まれ、前記第1の内側面と少なくとも一部が対向し、前記キャビティの底面から離れるにつれて前記キャビティを広げるように傾斜する第2の内側面と、を有する。
【請求項2】
請求項1に記載の配線基板であって、
前記第1の内側面は、前記配線基板の厚み方向に対する交差角が5度未満になるように形成され、
前記第2の内側面は、前記厚み方向に対する交差角が5度以上になるように形成されている。
【請求項3】
請求項2に記載の配線基板であって、
前記第2の内側面は、前記厚み方向に対する交差角が25度以下になるように形成されている。
【請求項4】
請求項1から3の何れか1の請求項に記載の配線基板であって、
前記キャビティの底面のうち、前記第1と第2の内側面の対向方向で前記第1の内側面寄りの部分に形成され、電子部品を搭載するための電子部品搭載領域を有する。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1の請求項に記載の配線基板であって、
前記キャビティの底面のうち、前記第1と第2の内側面の対向方向で前記第1の内側面寄りの位置に露出し、電子部品を実装するためのパッドを有する。
【請求項6】
請求項1から5の何れか1の請求項に記載の配線基板であって、
前記キャビティの開口縁のうち、前記第1と第2の内側面の対向方向で前記第1の内側面と隣り合う部分に露出し、電子部品を実装するためのパッドを有する。
【請求項7】
請求項1から6の何れか1の請求項に記載の配線基板であって、
前記キャビティの底面の外縁部において、前記第1の内側面と隣接する部分に延びる溝を有する。
【請求項8】
請求項1から7の何れか1の請求項に記載の配線基板であって、
前記キャビティは、平面視四角形状になっていて、
前記第1の内側面が、前記キャビティの4辺部のうち3辺部の内側面に設けられ、
前記第2の内側面が、前記キャビティの残りの1辺部の内側面に設けられている。
【請求項9】
請求項1から8の何れか1の請求項に記載の配線基板であって、
前記キャビティは、平面視四角形状になっていて、
前記第1の内側面が、前記キャビティの4辺部のうち1辺部の内側面に設けられ、
前記第2の内側面が、前記キャビティの残りの3辺部の内側面に設けられている。
【請求項10】
配線基板の表裏の一方の面である第1面の特定領域の周囲を前記配線基板の厚み方向の途中位置まで切断しかつその切断面より内側部分を除去して、前記切断面を内側面とするキャビティを形成する配線基板の製造方法であって、
前記特定領域の周囲を切断する工程には、
前記特定領域の周囲の一部を、前記切断面が前記キャビティの底面に対して起立する第1の内側面になるように切断する第1工程と、
前記特定領域の周囲の前記一部と少なくとも対向する部分を、前記切断面が前記キャビティの底面に近づくにつれて前記キャビティを狭めるように傾斜する第2の内側面になるように切断する第2工程と、が含まれる。
【請求項11】
請求項10に記載の配線基板の製造方法であって、
前記第1工程の前記切断は、前記配線基板の厚み方向が回転軸方向となるドリルで行われ、
前記第2工程の前記切断は、前記厚み方向が光軸方向となるレーザーで行われる。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の配線基板の製造方法であって、
前記第1工程で、前記第1の内側面を、前記配線基板の厚み方向に対する交差角が5度未満になるように形成することと、
前記第2工程で、前記第2の内側面を、前記厚み方向に対する交差角が5度以上となるように形成することと、を含む。
【請求項13】
請求項12に記載の配線基板であって、
前記第2工程で、前記第2の内側面を、前記厚み方向に対する交差角が25度以下に収まるように形成することを含む。
【請求項14】
請求項10から13の何れか1の請求項に記載の配線基板の製造方法であって、
前記厚み方向の途中位置に配置され、前記厚み方向で前記特定領域に重なる剥離層を形成することと、
前記特定領域の周囲の切断を、前記剥離層に到達する深さまで行うことと、
前記切断面より内側部分の除去を、前記剥離層から前記第1面側の部分の剥離により行うことと、を含む。
【請求項15】
請求項14に記載の配線基板の製造方法であって、
前記剥離層を、導電層の上に積層することと、
前記第2工程で、レーザーにより前記キャビティの底面に前記導電層を露出させることと、
前記第1工程で、ドリル加工を前記導電層よりも深い位置まで行うことと、を含む。
【請求項16】
請求項10から15の何れか1の請求項に記載の配線基板の製造方法であって、
前記キャビティを平面視四角形状に形成し、
前記第1工程で、ドリルにより、前記第1の内側面を、前記キャビティの4辺部のうち3辺部の内側面に形成することと、
前記第2工程で、レーザーにより、前記第2の内側面を、前記キャビティの残りの1辺部の内側面に形成することと、を含む。
【請求項17】
請求項10から15の何れか1の請求項に記載の配線基板の製造方法であって、
前記キャビティを平面視四角形状に形成し、
前記第1工程で、ドリルにより、前記第1の内側面を、前記キャビティの4辺部のうち1辺部の内側面に形成することと、
前記第2工程で、レーザーにより、前記第2の内側面を、前記キャビティの残りの3辺部の内側面に形成することと、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子部品が収容されるキャビティを有する配線基板が知られている(例えば、特許文献1参照)。キャビティに収容された電子部品は、封止材で封止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-245530号公報(段落[0054]、
図4C等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の配線基板に対して、電子部品を封止し易くする配線基板の開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた配線基板は、配線基板の表裏の一方の面である第1面に開口するキャビティを有する配線基板であって、前記キャビティの内側面に含まれ、前記キャビティの底面に対して起立する第1の内側面と、前記キャビティの内側面に含まれ、前記第1の内側面と少なくとも一部が対向し、前記キャビティの底面から離れるにつれて前記キャビティを広げるように傾斜する第2の内側面と、を有する。
【0006】
また、上記課題を解決するためになされた配線基板の製造方法は、配線基板の表裏の一方の面である第1面の特定領域の周囲を前記配線基板の厚み方向の途中位置まで切断しかつその切断面より内側部分を除去して、前記切断面を内側面とするキャビティを形成する配線基板の製造方法であって、前記特定領域の周囲を切断する工程には、前記特定領域の周囲の一部を、前記切断面が前記キャビティの底面に対して起立する第1の内側面になるように切断する第1工程と、前記特定領域の周囲の前記一部と少なくとも対向する部分を、前記切断面が前記キャビティの底面に近づくにつれて前記キャビティを狭めるように傾斜する第2の内側面になるように切断する第2工程と、が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施形態]
図1及び
図2には、本開示の第1実施形態の配線基板10が示されている。配線基板10は、
図2に示されるように、コア基板11に第1ビルドアップ部15Aと第2ビルドアップ部15Bが積層されている構造を有する。具体的には、第1ビルドアップ部15Aは、コア基板11の表裏の一方の面である第1面11F上に配置され、第2ビルドアップ部15Bは、コア基板11の表裏の他方の面である第2面11S上に配置されている。
【0009】
コア基板11は、絶縁性基材11K上に、表裏の両側から(即ち、第1面11F側と第2面11S側とから)、導電層12が積層されている構造になっている。第1面11F側の導電層12と、第2面11S側の導電層12とは、それぞれ所定パターンに形成され、絶縁性基材11Kを貫通するスルーホール導体14によって接続されている。
【0010】
第1ビルドアップ部15Aと第2ビルドアップ部15Bは、それぞれコア基板11側から層間絶縁層21と導電層22とが交互に積層されている構造を有する。層間絶縁層21は、複数のビア導体25に貫通されている。導電層22は、所定パターンに形成され、ビア導体25によって、隣り合う導電層22同士が接続されている。また、ビア導体25により、第1ビルドアップ部15A及び第2ビルドアップ部15Bにおいて、最も内側の(即ち、コア基板11に最も近い)導電層22が、コア基板11の各導電層12に接続されている。ビア導体25は、コア基板11に近づくにつれて縮径されるテーパー状になっている。
【0011】
なお、層間絶縁層21は、例えば、プリプレグ(ガラスクロス等の繊維からなる心材を樹脂含浸してなるBステージのシート)又はビルドアップ基板用の絶縁フィルム(心材を有さず例えば無機フィラーを含む熱硬化性樹脂からなるフィルム)で構成されている。
【0012】
第1ビルドアップ部15A及び第2ビルドアップ部15Bの導電層22のうち最も外側(最もコア基板11から離れた側)に配置される最外の導電層22上には、ソルダーレジスト層27が形成されている。ソルダーレジスト層27は、第1ビルドアップ部15Aと第2ビルドアップ部15Bの最外層を構成する。ソルダーレジスト層27には、開口部27Aが形成され、上記最外の導電層22のうち開口部27Aによってソルダーレジスト層27から露出する部分により、電子部品を実装するためのパッド28が形成されている。
【0013】
配線基板10の表裏の面のうち、第1ビルドアップ部15A側の第1面10Fには、キャビティ19が開口している。本実施形態の例では、キャビティ19は、第1ビルドアップ部15Aを貫通し、キャビティ19の底面30には、コア基板11の第1面11Fの導電層12に形成されているパッド18が露出する。
【0014】
図1及び
図2に示されるように、キャビティ19の内側面のうち周方向の一部には、キャビティ19の底面30に対して起立する第1の内側面51が形成されている。また、キャビティ19の内側面のうち周方向の他の一部には、キャビティ19の底面30から離れるにつれて(第1面10Fに向かうにつれて)、キャビティ19を広げるように傾斜する第2の内側面52が形成されている。
【0015】
本実施形態の例では、配線基板10の厚み方向に対する第1の内側面51の交差角は、5度未満となっている。また、本実施形態の例では、配線基板10の厚み方向に対する第2の内側面52の交差角は、5度以上になっていて、例えば、25度以下になっている。なお、配線基板10の厚み方向は、配線基板10の表裏の面である第1面10Fと第2面10Sに対して、垂直な方向である。本実施形態の例では、キャビティ19の底面30は、第1面10Fと平行に形成されている。従って、キャビティ19の第1の内側面51と、底面30とのなす角θ1は、85度より大きくかつ95度未満になっている。また、キャビティ19の第2の内側面52と、底面30とのなす角θ2は、95度以上115度以下になっている。
【0016】
本実施形態では、キャビティ19は、平面視四角形状になっている。第1の内側面51は、キャビティ19の4辺部のうち3辺部の内側面に設けられている。第2の内側面52は、キャビティ19の4辺部のうち残りの1辺部の内側面に設けられている。具体的には、
図1及び
図2に示されるように、キャビティ19の互いに対向する2辺部の内側面である第1壁面31と第2壁面32のうち、第1壁面31の全体が第1の内側面51になっていると共に、第2壁面32の全体が第2の内側面52になっている。また、
図1及び
図3に示されるように、キャビティ19の互いに対向する残りの2辺部の内側面である第3壁面33と第4壁面34との全体が、第1の内側面51になっている。
【0017】
図1~
図3に示されるように、キャビティ19の底面30の外縁部のうち、第1の内側面51と隣り合う部分には、溝35が形成されている。本実施形態では、溝35は、キャビティ19の底面30のうち、第1壁面31、第3壁面33、第4壁面34に隣接する3辺部に延びている。なお、本実施形態の例では、溝35は、その深さ方向でコア基板11の第1面11F側の導電層12を貫通し、溝35の溝底は、コア基板11の絶縁性基材11Kの途中に配置されている。なお、溝35の溝底が、第2ビルドアップ部15B側に配置されていてもよい。
【0018】
図2に示されるように、キャビティ19の底面30の外縁部のうち、第2の内側面52と隣り合う部分(即ち、第2壁面32と隣接する1辺部)には、溝35が形成されておらず、本実施形態では、コア基板11の第1面11F側の導電層12が露出した平坦面が設けられている。
【0019】
なお、後述するように、キャビティ19の底面30に対して起立する第1の内側面51(第1壁面31)は、ドリル加工により容易に形成することができる。また、キャビティ19の底面30に対して傾斜する第2の内側面52(第2壁面32、第3壁面33及び第4壁面34)は、レーザー加工により容易に形成することができる。
【0020】
図2に示されるように、キャビティ19の底面30のうち、第1と第2の内側面51,52の対向方向において第1の内側面51寄りの位置(即ち、第1壁面31寄りの位置)には、電子部品を実装するための上述のパッド18が配置されている。また、
図1に示されるように、キャビティ19の底面30には、電子部品を搭載するための部品搭載領域30Eが設けられている。部品搭載領域30Eは、パッド18を含む平坦面になっていて、キャビティ19の底面30のうち上記対向方向で第1の内側面51寄りの部分に設けられている。なお、本実施形態の例では、パッド18は、上記対向方向において溝35に隣接している。
【0021】
図2に示されるように、本実施形態の例では、配線基板10の第1面10Fのパッド28として、キャビティ19の開口縁に、第1パッド28Aが設けられている。第1パッド28Aは、キャビティ19の開口縁のうち上記対向方向で第1壁面31と隣り合う1辺部に配置されている。第1パッド28Aは、第1面10Fのパッド28の中でキャビティ19に最も近い位置に設けられている。
【0022】
図4には、配線基板10に実装される電子部品の例が示されている。この例では、配線基板10のキャビティ19には、第1の電子部品81が収容される。例えば、第1の電子部品81は、キャビティ19の底面30のパッド18に、端子を第1面10F側に向けて接着材87を介して搭載される。また、第1の電子部品81は、上述の部品搭載領域30E上に搭載され、第1壁面31側に寄った位置に配置される。このため、第1の電子部品81と第1壁面31との間隔は、第1の電子部品81と第2壁面32との間隔よりも狭くなる。
【0023】
本実施形態の配線基板10は、例えば、以下のようにして製造される。
(1)
図5(A)に示されるコア基板11が用意される。コア基板11は、絶縁性基材11Kの表裏の両面に導電層12が積層されてなり、絶縁性基材11Kは、表裏の導電層12同士を接続するスルーホール導体14に貫通されている。絶縁性基材11Kは、例えば、エポキシ樹脂又はBT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂と、ガラスクロスとを含んでいる。
【0024】
(2)
図5(B)に示されるように、コア基板11の表裏の一方の面である第1面11Fの一部の上に、剥離層16が敷設される。剥離層16は、例えば剥離フィルム等で構成される。剥離層16は、コア基板11の第1面11Fにおいて、キャビティ19の底面30として露出する部分の上に積層される。なお、第1面11Fの導電層12は、剥離層16の外縁部全体の下にも配置されるように形成しておく。
【0025】
(3)
図5(C)に示されるように、コア基板11の第1面11Fの導電層12と、第2面11Sの導電層12との上に、層間絶縁層21としてのプリプレグと、銅箔26と、が積層される。そして、その積層体が、加熱プレスされる。すると、コア基板11の両面上に層間絶縁層21が形成される。なお、上記加熱プレスの際、コア基板11の表裏の両面において、導電層12のパターンの非形成部分がプリプレグの樹脂により埋められる。また、コア基板11の第1面11F側の層間絶縁層21により、剥離層16の全体が覆われる。なお、層間絶縁層21として、プリプレグの代わりにビルドアップ基板用の絶縁フィルムを用いてもよい。この場合は、ビルドアップ基板用の絶縁フィルムの上に、銅箔26を積層することなく、直接、後述の(5)における無電解めっき処理により無電解めっき膜を形成することができる。
【0026】
(4)
図6(A)に示されるように、銅箔26にレーザーが照射されて、銅箔26及び層間絶縁層21を貫通するテーパー状のビアホール25Hが形成される。そして、過マンガン酸塩等の酸化剤でそれらビアホール25H内が洗浄(デスミア処理)される。
【0027】
(5)無電解めっき処理が行われ、銅箔26上とビアホール25Hの内面とに無電解めっき膜(図示せず)が形成される。次いで、この無電解めっき膜上に、所定パターンのめっきレジスト40が形成される(
図6(B)参照)。この際、めっきレジスト40は、剥離層16の全体に外側から重ねられる。
【0028】
(6)電解めっき処理が行われ、電解めっきがビアホール25H内に充填されてビア導体25が形成されると共に、無電解めっき膜(図示せず)のうちめっきレジスト40から露出している部分の上に電解めっき膜22Dが形成される(
図7(A)参照)。
【0029】
(7)めっきレジスト40が除去されると共に、めっきレジスト40の下方の無電解めっき膜(図示せず)及び銅箔26が除去される。そして、残された電解めっき膜22D、無電解めっき膜及び銅箔26により、層間絶縁層21上に導電層22が形成される(
図7(B)参照)。このとき、導電層22と導電層12とが、ビア導体25によって接続される。
【0030】
(8)上記した(3)~(7)と同様の工程が繰り返され、コア基板11上の導電層12の上に、層間絶縁層21と導電層22とが交互に所定の層数ずつ積層される(
図8参照)。また、積層方向で隣り合う導電層22同士が、層間絶縁層21を貫通するビア導体25によって接続される。これにより、コア基板11の第1面11F上に、第1ビルドアップ部15Aが形成されると共に、コア基板11の第2面11S上に、第2ビルドアップ部15Bが形成される。
【0031】
(9)
図9に示されるように、コア基板11から表裏の両側で最も離れている最外の導電層22上に、それぞれソルダーレジスト層27が積層される。
【0032】
(10)次いで、
図10に示されるように、コア基板11の表裏の両側のソルダーレジスト層27の所定箇所に、例えば、レーザー加工やフォトレジスト処理等により、開口部27Aが形成される。そして、最外の導電層22のうち開口部27Aによりソルダーレジスト層27から露出した部分でパッド28が形成される。
【0033】
(11)第1面10Fのソルダーレジスト層27の上から、ドリル加工とレーザー加工とが行われる。具体的には、
図11(B)及び
図12に示されるように、第1面10Fの特定領域R1の周囲が配線基板10の厚み方向の途中位置まで切断され、枠状凹部17が形成される。特定領域R1は、キャビティ19が形成されるときに除去される四角形状の領域である。特定領域R1の全体が剥離層16と配線基板10の厚み方向で重なり、ドリル加工とレーザー加工は、剥離層16の外縁部をなぞるように行われる。まず、
図11(A)に示されるように、枠状凹部17のうち3辺部17A,17C及び17Dが、ドリル加工により形成される(第1工程)。次いで、
図11(B)に示されるように、枠状凹部17のうち残りの1辺部17Bが、レーザー加工により形成される(第2工程)。枠状凹部17は、第1ビルドアップ部15Aを貫通し、枠状凹部17の底面には、コア基板11が露出する。なお、ドリル加工が行われる第1工程が、レーザー加工が行われる第2工程の後に行われてもよい。
【0034】
図12に示されるように、第1工程のドリル加工では、ドリル71は、ドリル71の回転軸の方向が配線基板10の厚み方向となるように配置される。これにより、枠状凹部17の3辺部17A,17C及び17Dの切断面である内壁面51Aが、枠状凹部17の底面に対して起立する。また、ドリル加工は、コア基板11の第1面11Fの導電層12よりも深い位置まで行われる。これにより、上記導電層12よりも深くドリル加工された部分により、溝35が形成される。
【0035】
図13に示されるように、第2工程のレーザー加工では、レーザー(例えば、CO
2レーザー等)の光軸方向が配線基板10の厚み方向となるようにレーザー照射装置72が配置され、レーザーの照射位置が特定領域R1の外周に沿って所定間隔ずつずらされながら行われる。これにより、枠状凹部17の1辺部17Bの底面に、コア基板11の第1面11Fの導電層12が露出する。このとき、枠状凹部17の1辺部17Bの切断面である内壁面52Aは、枠状凹部17の底面に向かうにつれて枠状凹部17の1辺部17Bの幅を狭めるように第1面10Fに対して傾斜する。
【0036】
(12)第1ビルドアップ部15A(剥離層16も含む。)における、枠状凹部17より内側に配置される部分が剥離されることで除去されて、第1ビルドアップ部15Aを貫通するキャビティ19(
図1~
図3参照)が形成される。このとき、コア基板11の第1面11Fのうち枠状凹部17よりも内側に配置されていた部分が露出する。これにより、キャビティ19の底面30が形成され、第1面11Fの導電層12のパッド18が露出する。また、枠状凹部17の残された切断面である内壁面51Aと内壁面52Aとが、それぞれ第1の内側面51(即ち、第1壁面31、第3壁面33及び第4壁面34)と、第2の内側面52(即ち、第2壁面32)となる。
【0037】
(13)パッド18に、例えば、有機保護膜(OSP)の形成やNi/Pd/Auめっき等の表面処理がなされる。以上により、配線基板10(
図1~
図3参照)が完成する。
【0038】
本実施形態の配線基板10の構造及び製造方法に関する説明は以上である。次に配線基板10の作用効果について説明する。本実施形態の配線基板10では、キャビティ19の第1の内側面51がキャビティ19の底面30に対して起立する。一方、第2の内側面52は、キャビティ19の底面30から離れるにつれてキャビティ19を広げるように第1面10Fに対して傾斜する。このように第2の内側面52を有することで、キャビティ19に収容された電子部品(例えば、第1の電子部品81等)を封止する封止材を、キャビティに流し込み易くすることが可能となり、電子部品の封止を容易にすることが可能となる。また、第2の内側面52がキャビティ19の開口を広げるように傾斜していることで、キャビティ19内に電子部品を入れ易くすることが可能となる。
【0039】
また、第1の内側面51が、キャビティの底面に対して起立しているので、キャビティ19の内側面が全周に亘って第2の内側面52と同じように傾斜している場合に比べて、キャビティ19の開口を小さくすることができる。これにより、キャビティ19のコンパクト化を図ることが可能となると共に、キャビティ19に収容された電子部品を封止する封止材の量を少なくすることが可能となる。また、キャビティ19のコンパクト化が可能となることで、配線基板10の回路の高密度化を図ることが可能となる。
【0040】
本実施形態の配線基板10では、キャビティ19の底面30に対して起立した第1の内側面51に寄った位置に、キャビティ19の底面30のパッド18が設けられている。従って、キャビティ19内に実装される第1の電子部品81(
図4参照)を、キャビティ19の開口縁に寄せて配置することができる。
【0041】
本実施形態の配線基板10の製造方法では、配線基板10の厚み方向に延びる回転軸を有するドリル71を用いることで、キャビティ19の底面30に対して起立する第1の内側面51(例えば、厚み方向に対する交差角が5度未満のもの)を容易に形成することができる。また、配線基板10の厚み方向に延びる光軸を有するレーザーを用いることで、キャビティ19の底面30に対して傾斜する第2の内側面52(例えば、厚み方向に対する交差角が5度以上かつ25度以下のもの)を容易に形成することができる。
【0042】
また、枠状凹部17の内壁面52Aが、枠状凹部17の1辺部17Bの幅を第1面10F側に広げるように傾斜するので、枠状凹部17の内側部分を剥離するためのピンセット等の道具を挿入し易くなる。これにより、枠状凹部17の内側部分の剥離を容易にすることが可能となる。
【0043】
[第2実施形態]
図14~
図16には、第2実施形態の配線基板10Vが示されている。配線基板10Vは、上記第1実施形態の配線基板10とは、キャビティ19の第3壁面33と第4壁面34に、第2の内側面52が設けられている点が異なる。具体的には、第3壁面33と第4壁面34の全体が、第2の内側面52になっている。従って、キャビティ19の4辺部のうち3辺部の内側面(第1壁面31、第3壁面33及び第4壁面34)が第2の内側面52となっていて、キャビティ19の残りの1辺部の内側面(第2壁面32)が第1の内側面51となっている。溝35は、キャビティ19の底面30の外縁部うち第2壁面32と隣接する一辺部にのみ形成されている。また、キャビティ19の底面30の外縁部のうち残りの3辺部には、導電層12が露出している。本実施形態の配線基板10Vのその他の構成については、上記第1実施形態と同様である。
【0044】
本実施形態の配線基板10Vの製造方法では、第1面10Fの特定領域R1の周囲を配線基板10の厚み方向の途中位置まで切断して枠状凹部17を形成するにあたり(
図17(B)参照)、枠状凹部17のうち第1壁面31を構成する1辺部17Aが、ドリル加工により形成され(
図17(A)及び
図18参照)、枠状凹部17の他の3辺部17B,17C及び17Dが、レーザー加工により形成される(
図18及び
図19参照)。なお、本実施形態においても、ドリル加工とレーザー加工の何れを先に行ってもよい。本実施形態の配線基板10Vの製造方法のその他の点は、上記第1実施形態と同様である。
【0045】
本実施形態の配線基板10Vによっても、第1実施形態の配線基板10と同様の効果を奏することが可能となる。
【0046】
[他の実施形態]
(1)上記実施形態において、キャビティ19は、1つのみ設けられていてもよいし、複数設けられていてもよい。後者の場合、キャビティ19が、配線基板10の表裏の一方側にのみ開口していてもよいし、配線基板10の表裏の両側に開口していてもよい。また、キャビティ19は、平面視四角形状に限定されるものではない。
【0047】
(2)第1の内側面51と第2の内側面52が、キャビティ19の2辺部ずつに設けられていてもよい。例えば、キャビティ19の隣り合う2辺部に、第1の内側面51が設けられ、キャビティ19の残りの隣り合う2辺部に、第2の内側面52が設けられていてもよい。
【0048】
(3)キャビティ19の底面30の外縁部のうち、第1の内側面51と隣接する部分に、溝35が形成されていなくてもよく、例えば、この部分が平坦であってもよい。
【0049】
(4)上記実施形態では、キャビティ19の底面30を形成するにあたり、第1ビルドアップ部15Aのうち枠状凹部17より内側になる部分が、コア基板11から剥離されていたが、レーザー加工又はドリル加工により除去されてもよい。この場合、第1ビルドアップ部15Aのうち枠状凹部17より内側となる部分を先に除去してから、特定領域R1の周囲を枠状凹部17を形成するときと同様に除去してもよい。
【0050】
(5)上記実施形態では、キャビティ19が第1ビルドアップ部15Aを貫通していたが、キャビティ19の深さが、第1ビルドアップ部15Aの途中までであってもよいし、コア基板11の途中までであってもよいし、第2ビルドアップ部15Bの途中までであってもよい。
【0051】
(6)上記実施形態において、第2の内側面52を形成するにあたり、レーザーの照射位置を所定間隔ずつずらしながら照射することで、第2の内側面52を、キャビティ19の外側に膨出する平面視円弧状の円弧面が所定ピッチで連なる形状としてもよい。
【0052】
(7)第1面10Fにおけるキャビティ19の開口縁に、パッド28が配置されていなくてもよい。
【0053】
(8)キャビティ19の底面30において、パッド18が、第1と第2の内側面51,52の対向方向で、第1の内側面51寄りの位置にのみ配置されていてもよいし、第2の内側面52寄りの位置にのみ配置されていてもよい。また、パッド18が、キャビティ19の底面30の全体に設けられていてもよいし、底面30のうち溝35を除く部分全体に設けられていてもよい。
【0054】
(9)上記実施形態において、コア基板11が設けられていなくてもよい。
【0055】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0056】
10,10V 配線基板
10F 第1面
10S 第2面
11 コア基板
12 導電層
16 剥離層
17 枠状凹部
18 パッド
19 キャビティ
28 パッド
28A 第1パッド
30 底面
30E 部品搭載領域
31 第1壁面
32 第2壁面
33 第3壁面
34 第4壁面
35 溝
51 第1の内側面
52 第2の内側面
71 ドリル
81 第1の電子部品
R1 特定領域