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特開2022-130267MRIシステム及びRF送信アンテナ構成
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  • 特開-MRIシステム及びRF送信アンテナ構成 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022130267
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】MRIシステム及びRF送信アンテナ構成
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20220830BHJP
   G01R 33/34 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
A61B5/055 350
G01R33/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021085819
(22)【出願日】2021-05-21
(31)【優先権主張番号】2102685.1
(32)【優先日】2021-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】521191414
【氏名又は名称】テスラ ダイナミック コイルズ ベーフェー
(71)【出願人】
【識別番号】521191425
【氏名又は名称】フーツラ コンポジッツ ベー.フェー.
(71)【出願人】
【識別番号】514116305
【氏名又は名称】ユーエムセー・ユトレヒト・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カレル コスティン ファン ルーベン
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンデル ヤン エベルハルト ラーイメイカーズ
(72)【発明者】
【氏名】バルト ロムケ ステーンスマ
(72)【発明者】
【氏名】マルティーノ ボルゴ
(72)【発明者】
【氏名】カタリナ ソフィア アルテアガ デ カストロ
(72)【発明者】
【氏名】コルネリス アントニウス テオドルス ファン デン ベルク
(72)【発明者】
【氏名】デニス ヴィルヘルムス ヨハネス クロンプ
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AD10
4C096CC01
4C096CC14
(57)【要約】
【課題】MRIシステムRF送信アンテナ構成、並びに、そのようなMRIシステムRF送信アンテナ構成を含むMRIシステム及び併用療法及び/又はイメージング・システムを提供すること。
【解決手段】導電性芯線52及び芯線が中を通って延在する導電性外側シールド53を有する一定長の同軸ケーブル51を備えるアンテナ5を備えるMRIシステムRF送信アンテナ構成3であって、芯線は、RF源への電気接続のために構成されている供給点52aと、導電性外側シールド53を少なくとも2つの軸方向に離間されたシールド部分に分割し、結果、RF源が供給点52aに接続されるときにシールド部分のうちの少なくとも1つが放射素子として作用するように、一定長の同軸ケーブルに沿って導電性外側シールド内に部分的に設けられている少なくとも1つの中断部53aとを有する、MRIシステムRF送信アンテナ構成3。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性芯線及び前記芯線が中を通って延在する導電性外側シールドを有する一定長の同軸ケーブルを備えるアンテナを備えるMRIシステムRF送信アンテナ構成であって、前記芯線は、RF源への電気接続のために構成されている供給点と、前記導電性外側シールドを少なくとも2つの軸方向に離間されたシールド部分に分割し、結果、RF源が前記供給点に接続されるときに前記シールド部分のうちの少なくとも1つが放射素子として作用するように、前記一定長の同軸ケーブルに沿って前記導電性外側シールド内に部分的に設けられている少なくとも1つの中断部とを有する、MRIシステムRF送信アンテナ構成。
【請求項2】
前記アンテナは、前記一定長の同軸ケーブルが、前記供給点の一方の側の第1の同軸ケーブル部分と、前記供給点の反対の第2の側の第2の同軸ケーブル部分とを有するように、前記一定長の同軸ケーブルの中間点に向かって前記供給点が設けられている、ダイポール・アンテナとして構成される、請求項1に記載のMRIシステムRF送信アンテナ構成。
【請求項3】
前記第1の同軸ケーブル部分内の前記シールドは、前記第2の同軸ケーブル部分内の前記シールドに、電気的に、典型的にはガルバニックに接続され、前記第1の同軸ケーブル部分内の前記芯線及び前記第2の同軸ケーブル部分内の前記芯線は、前記RF源が、前記供給点において間に接続されるように構成されている、請求項2に記載のMRIシステムRF送信アンテナ構成。
【請求項4】
前記一定長の同軸ケーブルの前記導電性外側シールドを少なくとも3つの軸方向に離間されたシールド部分に分割し、結果、RF源が前記供給点に接続されるときに前記シールド部分のうちの少なくとも1つが放射素子として作用するように、少なくとも1つの中断部が前記一定長の前記第1の同軸ケーブル部分に沿って前記導電性外側シールド内に部分的に設けられ、少なくとも1つの中断部が前記一定長の前記第2の同軸ケーブル部分に沿って前記導電性外側シールド内に部分的に設けられる、請求項2又は3に記載のMRIシステムRF送信アンテナ構成。
【請求項5】
前記アンテナは、前記供給点から外方に延出する3つ以上の同軸ケーブル部分を備え、少なくとも1つの中断部が、前記一定長の各同軸ケーブル部分に沿って前記導電性外側シールド内に部分的に設けられ、結果、前記アンテナ構成の各放射素子は、それぞれの同軸ケーブル部分の少なくとも1つのシールド部分によって設けられ、前記少なくとも1つのシールド部分は、前記それぞれの同軸ケーブル部分の前記伝導性外側シールド内の軸方向中断部によって、前記それぞれの同軸ケーブル部分の別のシールド部分から離間される、請求項1に記載のMRIシステムRF送信アンテナ構成。
【請求項6】
前記アンテナは、前記一定長の同軸ケーブルの一端の領域内に前記供給点が設けられている、モノポール・アンテナとして構成される、請求項1に記載のMRIシステムRF送信アンテナ構成。
【請求項7】
前記アンテナ構成の電気的特性を制御するために、前記一定長の同軸ケーブルの前記導電性外側シールド及び前記導電性芯線のうちの少なくとも1つに接続されている少なくとも1つの電気構成要素を備える、請求項1から6までのいずれか一項に記載のMRIシステムRF送信アンテナ構成。
【請求項8】
前記供給点から外方にある端部に向かって、前記一定長の同軸ケーブルの前記導電性外側シールドと前記導電性芯線との間に電気的に接続される少なくとも1つの接続電気構成要素を備える、請求項1から7までのいずれか一項に記載のMRIシステムRF送信アンテナ構成。
【請求項9】
前記少なくとも1つの接続電気構成要素は、インダクタを含む、請求項8に記載のMRIシステムRF送信アンテナ構成。
【請求項10】
前記少なくとも1つの接続電気構成要素は、所定のRF源周波数において駆動されている間に動作するために前記アンテナ構成を調整するように選択される、請求項8又は9に記載のMRIシステムRF送信アンテナ構成。
【請求項11】
第1のインダクタが、前記同軸ケーブルの第1の部分の遠位端に向かって設けられ、前記遠位端に向かっている位置において、前記外側シールドと内側芯線との間に電気的に接続され、第2のインダクタが、前記第2の同軸ケーブル部分の遠位端に向かって設けられ、前記遠位端に向かっている位置において、前記外側シールドと前記内側芯線との間に電気的に接続される、請求項2に直接的に又は間接的に従属するときの請求項7から10までのいずれか一項に記載のMRIシステムRF送信アンテナ構成。
【請求項12】
それを介して電源が前記アンテナ構成に接続可能である前記供給点に設けられている整合回路を備える、請求項1から11までのいずれか一項に記載のMRIシステムRF送信アンテナ構成。
【請求項13】
前記少なくとも1つの一定長の同軸ケーブルは、10cm~100cmの範囲内、好ましくは20cm~60cmの範囲内の長さを有する、請求項1から12までのいずれか一項に記載のMRIシステムRF送信アンテナ構成。
【請求項14】
前記放射素子は、8cm~75cmの範囲内、好ましくは10cm~30cmの範囲内の長さを有する、請求項1から13までのいずれか一項に記載のMRIシステムRF送信アンテナ構成。
【請求項15】
前記放射素子の長さと前記同軸ケーブルの全長との比は、0.2:1~0.9:1の範囲内、好ましくは0.4:1~0.8:1の範囲内である、請求項1から14までのいずれか一項に記載のMRIシステムRF送信アンテナ構成。
【請求項16】
前記アンテナ構成は、身体部分特有のアンテナ構成として構成され、それぞれの身体部分を走査するために選択される構成において、前記少なくとも1つの一定長の同軸ケーブルを支持するための支持構造を備える、請求項1から15までのいずれか一項に記載のMRIシステムRF送信アンテナ構成。
【請求項17】
少なくとも1つのRF受信コイルを備える、請求項1から16までのいずれか一項に記載のMRIシステムRF送信アンテナ構成。
【請求項18】
請求項1から17までのいずれか一項に記載のMRIシステムRF送信アンテナ構成を備える、MRIシステム。
【請求項19】
請求項18に記載のMRIシステムと、医療線形加速器システムとを備える、MR-Linacシステム。
【請求項20】
請求項18に記載のMRIシステムと、陽電子放出断層撮影システムとを備える、PET-MRシステム。
【請求項21】
請求項18に記載のMRIシステムと、温熱療法システムとを備える、温熱療法MRシステム。
【請求項22】
請求項2に記載のMRIシステムRF送信アンテナ構成を製造する方法であって、前記MRIシステムRF送信アンテナ構成は、2つの同軸ケーブル部分を有するダイポール・アンテナを備え、前記2つの同軸ケーブル部分は各々、それぞれの前記同軸ケーブル部分の長さに沿って外側シールド内に部分的にそれぞれの中断部を設けられており、前記方法は、
a)前記外側シールド内のそれぞれの前記中断部の間の距離に対応する、前記アンテナの放射素子の所望の長さLを選択するステップと、
b)各々が供給点から距離L/2にある前記外側シールド内の中断部及びそれぞれの前記中断部を越えた長さXの同軸ケーブルの端部を有する前記2つの同軸ケーブル部分と、前記供給点に接続されている供給源と、第1の前記同軸ケーブル部分の遠位端に向かって設けられている少なくとも1つの第1の接続電気構成要素と、第2の前記同軸ケーブル部分の遠位端に向かって設けられている少なくとも1つの第2の接続電気構成要素とを含む、前記アンテナをモデル化するステップと、
c)長さXの値並びに少なくとも1つの前記第1の接続電気構成要素及び少なくとも1つの前記第2の接続電気構成要素の特性を決定するステップであって、前記値並びに特性は、
i)前記放射素子上の電流分布の平坦性、
ii)内側芯線及び接続構成要素における損失最小化、並びに
iii)前記供給源における望ましい入力インピーダンスを最適化する、決定するステップと、
d)前記送信アンテナ構成を前記設計にするステップとを含む、方法。
【請求項23】
前記少なくとも1つの第1の接続電気構成要素は、インダクタを含み、前記少なくとも1つの第2の接続電気構成要素は、インダクタを含み、長さXの値並びに前記少なくとも1つの第1の接続電気構成要素及び前記少なくとも1つの第2の接続電気構成要素の特性を決定する前記ステップは、長さXの値及び各インダクタのインダクタンスの値を決定するステップを含む、請求項22に記載のMRIシステムRF送信アンテナ構成を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RF送信アンテナ構成を含むMRIシステム(MRSIシステムを含む)及びMRIシステム(MRSIシステムを含む)内で使用するためのRF送信アンテナ構成、並びに、いくつかの実施例において、別のシステムと組み合わせて使用されるMRIシステムが存在する、MR-Linac及びPET-MRシステムなどの組み合わせシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
MRIシステムは、典型的には、メインMRIスキャナ構成と、走査中に患者が横たわる患者支持体又はベッドと、少なくとも一部の事例において、走査することが所望される特定の身体部分の領域内の位置に配置される別個のローカルRF(無線周波数)構成(又は身体部分特有のRF構成)とを備える。
【0003】
メインMRIスキャナ構成は、典型的には、メイン磁石と、傾斜磁場コイルと、RF送信アンテナ/コイルと、受信コイルとを備え、これらはすべて、患者が走査中に位置付けられるボアを有するメイン・ユニット内に配置されている。存在する場合、身体部分特有のRF構成も、典型的には走査中にボア内に位置付けられる。身体部分特有のRF構成は、少なくとも1つの受信コイル及び/又は少なくとも1つのRF送信アンテナ/コイルを備え得る。
【0004】
周知されているように、MRI(磁気共鳴イメージング)システムは、被検体をイメージングするために広く使用されており、MR-Linac、PET-MRシステムなどの組み合わせシステム、及び、MRI誘導レーザ間質熱療法などのMRI温熱療法において使用することもできる。これらは、例えばMR-Linac、MRI温熱療法における処置のために、又は、例えばPET-MRにおいて機能的イメージングを提供するために、磁気共鳴イメージングを他の技法と組み合わせる。MRIシステムのさらなるサブセットは、空間的に局所化したスペクトルを試料又は患者内から得ることができるMRSI(磁気共鳴スペクトロスコピー・イメージング)システムである。
【0005】
MRI動作において、磁石は、大規模な静磁場Bを生成し、RF送信アンテナ/コイルは、交流磁場Bを生成し、受信コイルは、メイン・ユニット内に設けられるか又は身体部分特有の受信コイル内に設けられるかにかかわらず、磁気共鳴信号を収集する(すなわち、磁気共鳴データを取得する)ように構成される。傾斜磁場コイルは、B磁場上での空間的符号化が断層イメージングを可能にすることができるように使用される。
【0006】
走査装置のメイン・ユニット内に設けられている受信コイルを使用してMRIシステムが動作されるとき、結果の分解能及び精度は、場合によって制限される可能性がある。これによって、選択された位置/身体部分のイメージングを改善することを目的とする、別個の、言わばローカル受信コイル、例えば、上述したような身体部分特有のコイルが使用されることになる。少なくとも一部の事例において、ローカル受信コイルとともに、又は、これとは独立して、ローカル又は身体部分特有のRF構成内にRF送信アンテナ/コイルを設けることが可能であることが有益であり得る。
【0007】
従来のRF送信アンテナ/コイルは、特定の身体部分の形状に近密に一致するように構成されている身体部分特有のRF構成に含めるには不適切である可能性があるため、ローカルRF送信アンテナ/コイルを設けることは、少なくとも一部の事例において問題である可能性がある。
【0008】
考慮すべきさらなる課題は,所望のB磁場を生成するために被検体に信号が印加されることに起因して、イメージングされている被検体に見られるSAR(比吸収率)(加熱効果)である。典型的には、加熱効果は、所望のB磁場を生成する副産物として被検体内で生成される電場によって引き起こされる。一般に、任意の所与の強度のB磁場について生成されるSARレベルを最小限に抑えることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】DE202007015620U1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、これらの課題のうちの少なくとも1つに対処することを目的としたMRIシステムRF送信アンテナ構成、並びに、そのようなMRIシステムRF送信アンテナ構成を含むMRIシステム及び併用療法及び/又はイメージング・システムを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様によれば、導電性芯線及び芯線が中を通って延在する導電性外側シールドを有する一定長の同軸ケーブルを備えるアンテナを備えるMRIシステムRF送信アンテナ構成が提供され、芯線は、RF源への電気接続のために構成されている供給点と、導電性外側シールドを少なくとも2つの軸方向に離間されたシールド部分に分割し、結果、RF源が供給点に接続されるときにシールド部分のうちの少なくとも1つが放射素子として作用するように、一定長の同軸ケーブルに沿って導電性外側シールド内に部分的に設けられている少なくとも1つの中断部とを有する。
【0012】
そのような構成は、効果的であるとともに柔軟でもあるアンテナを提供することを容易にし、結果、それらを所望に応じてより容易に成形することができる。これによって、例えば、調査されるべき被検体又は被検体の一部分に、より近密に一致するように成形されるそのようなアンテナを構成に含めることが可能になる。その上、そのような構成は、被検体内で生成される所与の大きさのB磁場について観測されるSARレベルを最小限に抑えるアンテナを提供することを容易にする。これは、被検体内で生成される所与の大きさのB磁場の、被検体内で生成される電場の最小化の結果であると考えることができる。
【0013】
アンテナは、一定長の同軸ケーブルの一端の領域内に供給点が設けられている、モノポール・アンテナとして構成することができる。
【0014】
好ましくは、アンテナは、一定長の同軸ケーブルが、供給点の一方の側の第1の同軸ケーブル部分と、供給点の反対の第2の側の第2の同軸ケーブル部分とを有するように、一定長の同軸ケーブルの中間点に向かって供給点が設けられている、ダイポール・アンテナとして構成される。
【0015】
第1の同軸ケーブル部分内のシールドは、第2の同軸ケーブル部分内のシールドに、電気的に、典型的にはガルバニックに接続することができる。第1の同軸ケーブル部分内の芯線及び第2の同軸ケーブル部分内の芯線は、RF源が、供給点においてそれらの間に接続されるように構成することができる。
【0016】
アンテナがダイポール・アンテナとして構成される1セットの実施例において、一定長の同軸ケーブルの導電性外側シールドを少なくとも3つの軸方向に離間されたシールド部分に分割し、結果、RF源が供給点に接続されるときにシールド部分のうちの少なくとも1つが放射素子として作用するように、少なくとも1つの中断部が一定長の第1の同軸ケーブル部分に沿って導電性外側シールド内に部分的に設けられ、少なくとも1つの中断部が一定長の第2の同軸ケーブル部分に沿って導電性外側シールド内に部分的に設けられる。
【0017】
これによって、特に単純で効果的なアンテナを提供することができる。典型的には、導電性外側シールドの中間部分は、そのような構成内の放射素子として作用する。この中間部分は、第1の同軸ケーブル部分の外側シールドの一部分及び第2の同軸ケーブル部分の外側シールドの一部分から構成され、外側シールドのそれぞれの中断部によって規定される端部を有する。この中間部分の長さが、使用中に走査される被検体領域の視野を画定する傾向にある。したがって、場合によっては、この中間部分の長さは、所望の視野に応じて選択することができる。
【0018】
代替形態において、アンテナは、供給点から外方に延出する3つ以上の同軸ケーブル部分を備えることができる。そのような事例においては、少なくとも1つの中断部が、一定長の各同軸ケーブル部分に沿って導電性外側シールド内に部分的に設けられ得る。
【0019】
場合によっては、マルチポール・アンテナが設けられてもよい。
【0020】
一般的に、アンテナ構成のその放射素子又は各放射素子は、同軸ケーブル部分の少なくとも1つのシールド部分によって設けることができ、上記少なくとも1つのシールド部分は、同軸ケーブル部分の伝導性外側シールド内の軸方向中断部によって、同軸ケーブル部分の別のシールド部分から離間される。
【0021】
アンテナ構成は、アンテナ構成の電気的特性を制御するために、一定長の同軸ケーブルの導電性外側シールド及び導電性芯線のうちの少なくとも1つに接続されている少なくとも1つの電気構成要素を備えることができる。
【0022】
少なくとも1つの電気構成要素は、インダクタ、抵抗器、コンデンサのうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0023】
少なくとも1つの電気構成要素は、所定のRF源周波数において駆動されている間に動作するためにアンテナ構成を調整するように選択することができる。
【0024】
少なくとも1つの電気構成要素は、所定の複数のRF源周波数において及び/又は所定のRF源周波数範囲内で駆動されている間に動作するためにアンテナ構成が調整されるか又は調整可能であるように選択することができる。
【0025】
少なくとも1つの電気構成要素は、供給点から外方にある端部に向かって、その同軸ケーブル部分又は各同軸ケーブル部分の導電性外側シールドと導電性芯線との間に電気的に接続されている少なくとも1つの接続電気構成要素を含むことができる。少なくとも1つの電気構成要素は、それを介して電源がアンテナ構成に接続可能である供給点に設けられている整合回路内に設けることができる。
【0026】
少なくとも1つの接続電気構成要素は、供給点から外方にある端部に向かって、その同軸ケーブル部分又は各同軸ケーブル部分の導電性外側シールドと導電性芯線との間に電気的に接続することができる。
【0027】
少なくとも1つの接続電気構成要素は、インダクタ、抵抗器、コンデンサのうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0028】
好ましい実施例のセットにおいて、少なくとも1つの接続電気構成要素は、インダクタを含む。
【0029】
そのような位置に(又は複数のそのような位置に)少なくとも1つの接続電気構成要素を設けることは、導電性外側シールド及び導電性芯線内に流れる電流の相対レベルを制御することを助けることによって、損失を低減することを助けることができる。
【0030】
少なくとも1つの接続電気構成要素は、所定のRF源周波数において駆動されている間に動作するためにアンテナ構成を調整するように選択することができる。
【0031】
少なくとも1つの接続電気構成要素は、所定の複数のRF源周波数において及び/又は所定のRF源周波数範囲内で駆動されている間に動作するためにアンテナ構成が調整されるか又は調整可能であるように選択することができる。
【0032】
少なくとも1つの接続電気構成要素は、LC共振回路内に配置された少なくとも1つのインダクタ及び少なくとも1つのコンデンサを含んでもよい。少なくとも1つの接続電気構成要素は、所定の複数のRF源周波数の中から、又は、所定のRF源周波数範囲の中からアンテナ構成の調整された周波数を選択するための少なくとも1つのスイッチを含むことができる。
【0033】
代替形態において、供給点から外方にある端部に向かって、その同軸ケーブル部分又は各同軸ケーブル部分の導電性外側シールドと導電性芯線との間に開回路があってもよい。
【0034】
他の代替形態において、供給点から外方にある端部に向かって、その同軸ケーブル部分又は各同軸ケーブル部分の導電性外側シールドと導電性芯線との間に短絡があってもよい。
【0035】
アンテナ構成は、それを介して電源がアンテナ構成に接続可能である供給点に設けられている整合回路を備えることができる。
【0036】
整合回路は、少なくとも1つの整合電気構成要素を備えることができる。整合回路は、インダクタ、抵抗器、コンデンサのうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0037】
好ましい実施例において、整合回路は、コンデンサを備える。
【0038】
現在最も好ましい実施例において、接続電気構成要素は、インダクタを含み、整合回路はコンデンサを備える。さらにより好ましくは、少なくとも1つの接続電気構成要素は、それぞれの単一のインダクタを含み、整合回路は単一のコンデンサを備える。
【0039】
これによって、同軸ケーブル部分内の損失が最小限に抑えられ、少なくとも1つの電気構成要素及び整合回路内の損失が最小限に抑えられる効率的な設計をもたらすことができる。
【0040】
少なくとも1つの一定長の同軸ケーブルは、10cm~100cmの範囲内、好ましくは20cm~60cmの範囲内の長さを有することができる。良好に機能する1つの長さは30cmである。
【0041】
放射素子は、8cm~50cm又はさらには8cm~75cmの範囲内、ただし好ましくは10cm~30cmの範囲内の長さを有することができる。
【0042】
放射素子の長さと同軸ケーブルの全長との比は、0.2:1~0.9:1の範囲内であり得る。したがって、これらの極において、放射素子は、ケーブルの長さの1/5及びケーブルの長さの9/10になる。好ましくは、放射素子の長さと同軸ケーブルの長さとの比は、0.4:1~0.8:1の範囲内である。良好に機能する比は2:3程度であり、したがって、放射素子は、ケーブルの全長の2/3である。
【0043】
一般的に、上記で定義されているものとしてのダイポール・アンテナ内のシールドの中断部間の間隔を増大させることによって、放射素子上のより平坦な電流分布が促進されるが、対照的に、これによって、少なくとも一部の事例において、内部導体上で定常波において流れる電流が増大する傾向にあり得ることが分かっている。上記で言及したように、接続電気構成要素を設けることによって、これを制御することを助けることができる。
【0044】
それぞれの同軸ケーブル部分の供給点と外側導電性シールド内の中断部との間の距離は、アンテナが駆動されることになる周波数と組み合わせて、上記距離が放射素子上に見られるような波長の3/4以下であるように、選択することができる。
【0045】
本発明の別の態様によれば、上記で定義されているようなMRIシステムRF送信アンテナ構成を製造する方法が提供され、MRIシステムRF送信アンテナ構成は、2つの同軸ケーブル部分を有するダイポール・アンテナを備え、2つの同軸ケーブル部分は各々、それぞれの同軸ケーブル部分の長さに沿って外側シールド内に部分的にそれぞれの中断部を設けられており、本方法は、
a)外側シールド内のそれぞれの中断部の間の距離に対応する、アンテナの放射素子の所望の長さLを選択するステップと、
b)各々が供給点から距離L/2にある外側シールド内の中断部及びそれぞれの中断部を越えた長さXの同軸ケーブルの端部を有する2つの同軸ケーブル部分と、供給点に接続されている供給源と、第1の同軸ケーブル部分の遠位端に向かって設けられている少なくとも1つの第1の接続電気構成要素と、第2の同軸ケーブル部分の遠位端に向かって設けられている少なくとも1つの第2の接続電気構成要素とを含むアンテナをモデル化するステップと、
c)長さXの値並びに少なくとも1つの第1の接続電気構成要素及び少なくとも1つの第2の接続電気構成要素の特性を決定するステップであって、当該値並びに特性は、
i)放射素子上の電流分布の平坦性、
ii)内側芯線及び接続構成要素における損失最小化、並びに
iii)供給源における望ましい入力インピーダンスを最適化する、決定するステップと、
d)送信アンテナ構成を上記設計にするステップとを含む。
【0046】
少なくとも1つの第1の接続電気構成要素は、インダクタを含んでもよく、又は、インダクタで構成されてもよい。少なくとも1つの第2の接続電気構成要素は、インダクタを含んでもよく、又は、インダクタで構成されてもよい。
【0047】
長さXの値並びに少なくとも1つの第1の接続電気構成要素及び少なくとも1つの第2の接続電気構成要素の特性を決定するステップは、長さXの値及び各インダクタのインダクタンスの値を決定するステップを含んでもよく、又は、当該ステップで構成されてもよい。
【0048】
本発明の別の態様によれば、上記で定義されているようなMRIシステムRF送信アンテナ構成を製造する方法が提供され、MRIシステムRF送信アンテナ構成は、2つの同軸ケーブル部分を有するダイポール・アンテナを備え、2つの同軸ケーブル部分は各々、それぞれの同軸ケーブル部分の長さに沿って外側シールド内に部分的にそれぞれの中断部を設けられており、本方法は、
a)外側シールド内のそれぞれの中断部の間の距離に対応する、アンテナの放射素子の所望の長さLを選択するステップと、
b)各々が供給点から距離L/2にある外側シールド内の中断部及びそれぞれの中断部を越えた長さXの同軸ケーブルの端部を有する2つの同軸ケーブル部分と、供給点に接続されている供給源と、第1の同軸ケーブル部分の遠位端に向かって設けられている接続電気構成要素としての第1のインダクタと、第2の同軸ケーブル部分の遠位端に向かって設けられている接続電気構成要素としての第2のインダクタとを含むアンテナをモデル化するステップと、
c)長さXの値及び各インダクタのインダクタンスの値を決定するステップであって、当該値は、
i)放射素子上の電流分布の平坦性、
ii)内側芯線及び接続構成要素における損失最小化、並びに
iii)供給源における望ましい入力インピーダンスを最適化する、決定するステップと、
d)送信アンテナ構成を上記設計にするステップとを含む。
【0049】
電流分布の平坦性は、標準偏差を放射素子に沿った電流振幅の平均で除算した値として計算される、放射素子に沿った電流の変動の係数として測定することができる。
【0050】
典型的な長さL(例えば20cm程度)を有する実例として、放射素子に沿った電流の変動の係数の目標は、0.2未満、好ましくは0.15未満、さらにより好ましくは0.10未満にすべきであり得る。
【0051】
損失は、無駄にされる入力電力の百分率として測定することができる。好ましくは、無駄にされる入力電力の百分率は、20%未満であり、より好ましくは10%以下であり、より好ましくはさらに5%以下である。
【0052】
望ましい入力インピーダンスは、供給源が整合するのが容易であるもの、及び、任意選択的に、任意の整合回路における損失を最小限に抑えるものである。インピーダンスの実数部は、最適な動作を達成しようとする上で重要である。好ましくは、入力インピーダンスの実数部は、少なくとも5オーム、より好ましくは少なくとも10オームである。好ましくは、入力インピーダンスの実数部は、供給源のインピーダンスの150%以下である。理想的には、入力インピーダンスの実数部は、少なくとも10オームであり、結果、整合回路には単一の電気構成要素があれば十分である。
【0053】
方法は、使用時にアンテナが駆動されるべき動作周波数又は動作周波数範囲を選択するステップと、選択されている動作周波数又は動作周波数範囲を考慮に入れながら、ステップa)、b)、及びc)のうちの少なくとも1つを実行するステップとを含むことができる。
【0054】
アンテナ構成は、各々が上記で定義されているようなそれぞれの一定長の同軸ケーブルを備える、アンテナのアレイを備えることができる。例えば、アンテナ構成は、8つのアンテナを備えることができる。
【0055】
アンテナ構成は、少なくとも1つの一定長の同軸ケーブルを支持するための支持構造を備えることができる。
【0056】
アンテナ構成は、身体部分特有のアンテナ構成として構成することができ、それぞれの身体部分を走査するために選択される構成において、少なくとも1つの一定長の同軸ケーブルを支持するための支持構造を備えることができる。
【0057】
アンテナ構成は、少なくとも1つのRF受信コイルを備えることができる。
【0058】
支持構造は、少なくとも1つのRF受信コイルを支持するように構成することができる。
【0059】
身体部分特有のアンテナ構成は、それぞれの身体部分を走査するために選択される構成において、支持構造上で支持されている少なくとも1つのRF受信コイルを備えることができる。少なくとも1つのRF受信コイルは、ループ状に構成されているそれぞれの一定長の同軸ケーブルを備えることができる。
【0060】
本発明の別の態様によれば、上記で定義されているようなMRIシステムRF送信アンテナ構成と、供給点に接続されているRF源とを備えるMRIシステムRF送信アンテナ装置が提供される。
【0061】
アンテナ構成は、所定のRF源周波数において動作するように調整することができ、RF源は、上記所定の周波数においてアンテナ構成を駆動するように構成することができる。
【0062】
アンテナ構成は、所定の複数のRF源周波数において及び/又は所定のRF源周波数範囲内で動作するように調整することができるか又はそのように調整可能であり得、RF源は、上記所定の複数のRF源周波数において及び/又は所定のRF源周波数範囲内でアンテナ構成を駆動するように構成することができる。
【0063】
本発明の別の態様によれば、上記で定義されているようなMRIシステムRF送信アンテナ構成を備えるMRIシステムが提供される。
【0064】
本発明の別の態様によれば、メインMRIスキャナ構成と、患者支持体と、メインMRIスキャナ構成に電気的に接続される、上記で定義されているようなMRIシステムRF送信アンテナ構成を備えるMRIシステムとを備えるMRIシステムが提供される。
【0065】
本発明の別の態様によれば、上記で定義されているようなMRIシステムと、医療線形加速器システムとを備えるMR-Linacシステムが提供される。
【0066】
本発明の別の態様によれば、上記で定義されているようなMRIシステムと、陽電子放出断層撮影システムとを備えるPET-MRシステムが提供される。
【0067】
本発明の別の態様によれば、上記で定義されているようなMRIシステムと、温熱療法システムとを備える温熱療法MRシステムが提供される。
【0068】
一般的に、また任意の必要な文言の修正を加えて、上記の本発明の任意の態様に従う上記で定義されているさらなる特徴のすべては、上記で定義されている本発明のすべての他の態様のさらなる特徴として適用可能であることに留意されたい。これらのさらなる特徴は、簡潔にすることのみを目的として、本発明の各態様の後に再び述べられない。
【0069】
ここで単なる実例として、付随の図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0070】
図1】RF送信アンテナ構成を含むMRIシステムの概略図である。
図2】アンテナの長さに沿った、図1に示すMRIシステムのRF送信アンテナ構成のアンテナの概略断面図である。
図3】供給ケーブルに接続されている図2のアンテナの概略図である。
図4】アンテナに含まれるインダクタが異なる値を有する、図2及び図3に示すタイプのアンテナに流れる総電流レベルを示すプロット図である。
図5】アンテナに含まれるインダクタが異なるインダクタンス値を有する、図2及び図3に示すタイプのアンテナの芯線上の電流を示すプロット図である。
図6】従来技術の分割ダイポール・アンテナと比較した、図2及び図3に示すタイプのアンテナを使用してサンプル内で達成されるBの大きさを示すプロット図である。
図7】従来技術の分割ダイポール・アンテナを使用したときに見られる加熱効果と比較した、図2及び図3に示すタイプのアンテナを使用してサンプルにB磁場が印加されるときに、サンプル内で観察される位置による加熱効果を示すプロット図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
図1は、メイン・スキャナ構成1と、スキャナ構成1内にあるときに患者を支持するように構成されている患者支持体2と、メイン・スキャナ構成から分離されており、この実施例においては身体部分特有のRF送信アンテナ構成3であるRF送信アンテナ5のアレイ31を含むMRIシステムRF送信アンテナ構成3とを備えるMRIシステムを示す。本種類のRF送信アンテナ5は、単独で使用され得るが、より一般的には、アンテナ5は本実施例にあるようなアレイ31において提供される。実例として、8つのアンテナ5がアレイ31において提供されてもよい。各RF送信アンテナ5のさらなる詳細は下記にさらに説明される。最も単純には、RF送信アンテナ構成3は、アンテナ5のみを備え得る。しかしながら、本実施例において、RF送信アンテナ構成3は、他の構成要素部分も有する。
【0072】
本実施例において、身体部分特有のRF送信アンテナ構成3はまた、ローカル受信コイル32も備え、身体部分特有のRF構成3と考えることができる。より一般的には、そのようなRF送信アンテナ構成3(又はRF構成)は、ローカルRF送信アンテナ構成(又はローカルRF構成)と称される場合がある。
【0073】
上記で示唆されているように、場合によっては、MRIシステムは、例えば、MRIシステムと医療線形加速器システムとを備えるMR-Linacシステムを提供するように、又は、別の実例においては、MRIシステムと、陽電子放出断層撮影システムとを備えるPET-MRシステムを提供するように、又は、別の実例においては、MRIシステムと、温熱療法システムとを備える温熱療法MRシステムを提供するように、他のシステムと組み合わせて使用される。そのような事例において、図1に示すMRIシステムは、図1においては高度に概略的な形態で点線でのみ示す、線形加速器システム、陽電子放出断層撮影システム、又は温熱療法システムSによって補完することができる。
【0074】
メインMRIスキャナ構成1は、典型的には超伝導電磁石である主磁石11と、メイン・ユニットRF送信コイル12と、傾斜磁場コイル13と、メイン・ユニット受信コイル14とを備える、完全に従来型のメインMRIスキャナ構成であってもよい。これらの構成要素は、患者支持体2が中に設けられるか、又はより典型的には、手術位置に達するまで患者を搬送する患者支持体2をそこへと動かすことができる主ボアBを有するMRIスキャナ構成1の本体内に設けられる。
【0075】
少なくとも使用中、身体部分特有のRF構成3もまた、この主ボアB内に設けられる。存在する場合、医療線形加速器システム、陽電子放出断層撮影システム、又は温熱療法システムSのうちの少なくとも一部もまた、動作中にこの主ボア内に位置することができる。
【0076】
動作中にメインMRIスキャナ1の主ボアB内に位置するとともに、RF構成3はメイン・スキャナ構成1に電気的に接続され、結果、受信コイル32によって拾われる磁気共鳴信号を、処理のためにメイン・スキャナ構成1に供給することができる。RF駆動信号もまた、動作中にアンテナ5を駆動するためにメインMRIスキャナ1からRF構成3に提供することができ、又は、RF駆動信号は、別個の信号源(図示せず)から提供されてもよい。
【0077】
受信コイル32によって拾われる信号は、画像の処理及び生成において、単独で、又は、メイン・ユニット受信コイル14によって拾われる信号と組み合わせて使用することができる。場合によっては、それ自体の、メイン・ユニット受信コイル14を有しないメインMRIスキャナ構成1は、本タイプのRF構成3とともに使用することができる。
【0078】
より詳細には、代替形態において、本種類の少なくとも1つのアンテナ5、より典型的には、本種類のアンテナ5のアレイは、ローカルRF構成3内に設けることができ、それ自体のメイン・ユニットRF送信コイル12のいずれをも用いずに、MRIシステム・メイン・スキャナとともに使用することができる。他の代替形態において、本種類の少なくとも1つのアンテナ5は、MRIシステム・メイン・スキャナ構成内のメインRF送信コイル12として作用するように提供することができる。そのような代替的な構成は、このとき、所望に応じてローカルRF構成3を有しなくてもよい。
【0079】
MRIスキャナ構成の構造及び動作は十分に開発及び理解されており、本実施例における本着想は、そのようなMRIスキャナ構成とともに使用するためのRF構成3に関し、より詳細には、本種類のアンテナ5の構造及び動作に関する。それゆえ、MRIスキャナ構成1の構造及び動作のさらなる説明は必要なく、本明細書の残りの部分は、RF構成3、特に、そのアンテナ又は各アンテナ5に関する。
【0080】
RF構成3は、アンテナ5のアレイを支持する支持構造33、及びまた、ローカル受信コイル32も備え、走査される被検体の一部分の周りに配置するために適切に成形されている。受信コイル32のうちの少なくともいくつかは、本質的に可撓性であり得、これらが走査される被検体の関心領域の周りで成形されることを可能にする。これらの受信コイル32は、場合によっては、同軸ケーブルのループから作成される受信コイルを含んでもよい。
【0081】
本実施例のアンテナ5の各々は、可撓性であり、支持構造33上に設けられたときに、走査される被検体の一部分と一致するような形状設計に構成することができるように、構成される。
【0082】
他の事例において、各アンテナ5は、走査される被検体の特定の部分と一致するように成形されなくてもよく、ただし、依然として走査される領域に近接近してRF構成3内に設けられる。そのアンテナ又は各アンテナ5を、走査される被検体の部分の領域内に有すること、及び/又は、走査される被検体の部分の形状に近密に一致するようにすることによって、被検体の関心領域内に所望のB磁場を生成するのに必要な電力の量を低減するのを助けることができる。
【0083】
図2は、本実施例のアレイ31に含まれるアンテナ5のうちの1つの概略断面を示す。アンテナ5は、本実施例においては300mmの全長を有する一定長の同軸ケーブル51を備える。一定長の同軸ケーブル51は、導電性芯線52と、これを囲む導電性シールド53とを備える。一定長の同軸ケーブル自体は、単に、標準的な長さ、例えば50オーム又は75オーム同軸ケーブルとすることができ、そのようなケーブルは、典型的には、シールド53の上の外側絶縁ケーシングと、芯線52とシールド53との間の内側絶縁スペーサとを有し、典型的には、これらはプラスチック材料から成ってもよい。
【0084】
RF駆動源を接続することができる供給点52aが、芯線52上に設けられる。本実施例において、供給点52aは、芯線52の中間点に向かって設けられ、アンテナ5はダイポール・アンテナとして構成される。
【0085】
供給源が一定長の同軸ケーブルの芯線の中間の供給点に接続され、他に何も行われない場合、シールド53が芯線52を遮蔽し、放射を大いに妨げるため、同軸ケーブルはアンテナとして作用しないことが予測され得る。
【0086】
しかしながら、選択された位置において外側シールド53内に間隙(又は中断部)が設けられる場合、実効的なアンテナを実現することができることが、本発明者らによって究明された。本実施例において、2つの中断部53aが、一定長の同軸ケーブル51に沿った途中の位置において、外側シールド53内に設けられている。本実施例において、シールド53内の各中断部53aは、一定長の同軸ケーブル51の中間点から100mmの距離に設けられている。したがって、本実施例において、外側シールド53内の2つの中断部53aの間には200mmの距離がある。中断部53aの正確な長さは、一般的に特に重要とは考えられないが、それらは、例えば3mm程度であってもよい。同軸ケーブル51の任意の外側絶縁ケーシング及び内側絶縁スペーサはまた、中断部53a内になくてもよく、又は例えば、便宜上、外側ケーシングは中断部になくてもよく、内側スペーサが中断部53aに存在してもよい。機能的に重要なのは、外側導電性シールド53内の中断部53aである。
【0087】
一定長の同軸ケーブル51は、2つの部分、すなわち、供給点52aの第1の側の第1の部分51a及び供給点52aの第2の側の第2の部分51bを含むと考えることができる。このように、第1の中断部53aが第1の同軸ケーブル部分51a内に設けられ、第2の中断部53aが第2の同軸ケーブル部分51b内に設けられる。第1の同軸ケーブル部分51a内の外側シールド53は、第2の同軸ケーブル部分51b内の外側シールド53に電気的に接続され、結果、2つの中断部53aの間で電気的に連続しているシールドの中央部分53bが存在する。シールドのこの中央部分53bは、アンテナの動作時に放射素子として作用する。中央部分53bを越えてシールド53の2つの端部53cが存在するが、これらは典型的には電流を搬送するが、典型的には有用な放射素子ではない。
【0088】
本実施例において、第1のインダクタ54aが、同軸ケーブルの第1の部分51aの遠位端に向かって設けられ、且つ、この遠位端に向かっている位置において、外側シールド53(特に端部53c)と内側芯線52との間に電気的に接続される。第2のインダクタ54bが、第2の同軸ケーブル部分51bの遠位端に向かって設けられ、且つ、この遠位端に向かっている位置において、外側シールド53(特に端部53c)と内側芯線52との間に電気的に接続される。
【0089】
他の実施例において、異なる形態のアンテナが提供されてもよい。例えば、アンテナは、一定長の同軸ケーブルの一端に向かって供給点が設けられている、モノポール・アンテナとして構成することができ、又は、複数のアンテナが提供されてもよい。任意のそのような事例において、その一定長の同軸ケーブル又は各一定長の同軸ケーブルは、シールド内にそれぞれの中断部を設けられる。
【0090】
動作時、供給源からのRF駆動電圧が、供給点52aにおいて印加されると、すなわち、この電圧源が第1の同軸ケーブル部分51a内の芯線と第2の同軸ケーブル部分51b内の芯線との間に接続されると、電流が芯線52及び外側シールド53内で、並びにインダクタ54a及び54bを通じて流れる。外側シールド53の中央部分53bはRF信号をアンテナ5から外方に、走査される被検体に向かって送信するための放射素子として作用する。
【0091】
同軸ケーブル自体、インダクタ54a、54bの特性、中央区画53bの長さ及び外側シールドの各端部区画53cの長さは、アンテナ5にとって望ましい送信特性を与えるように選択することができる。
【0092】
図3は再び、図2に示すダイポール・アンテナを概略的に示す。ここでは、整合回路55を介して内側芯線52に接続されている供給ケーブル6が示されている。
【0093】
インダクタ54a、54bに対して適切な値が選択されている本実施例において、整合回路は、供給ケーブル6と並列に接続されている単一のコンデンサを含むことができる。
【0094】
他の実施例において、整合回路55は、さらなる又は異なる構成要素を含んでもよい。同様に、一定長の同軸ケーブルの端部に設けられているインダクタ54a、54bに加えて又はその代わりに、他の構成要素がこれらの領域に設けられてもよい。1つの代替形態において、同軸ケーブル51の端部は開回路のままであってもよい。別の代替形態において、同軸ケーブル51の端部は短絡されてもよい。さらなる実例において、抵抗器、コンデンサなどのような他の構成要素が、芯線52及びシールド53のそれぞれの端部の間に接続して設けられてもよい。
【0095】
少なくとも一部の状況において、同軸ケーブル51の端部に設けられている各構成要素、すなわち、インダクタ54a、54b又はそれらの場所において使用される異なる構成要素は、アンテナ5を、特定の駆動周波数で使用するために調整するために選択することができる。一部の状況において、これらの構成要素は、異なる時点において複数の異なる周波数のうちの選択される周波数において駆動されるときに調整を可能にするか、又は、所定の周波数範囲内の周波数において駆動されるときに調整を促進するために選択することができる。場合によっては、これらの構成要素は、第1の所定の周波数において動作するようにアンテナ5を調整するのに適した構成と、第2の駆動周波数において動作するようにアンテナ5を調整するのに適した構成との間でアンテナ5を切り替えることができるような切り替え回路を含むように構成することができ、又は、各々が、アンテナ5がそれぞれの駆動周波数において駆動されるように調整されるように構成されている、3つ以上の異なる構成の間で切り替えることを可能にするように構成することができる。同様に、当然ながら、メインMRIスキャナ1内のものであるか又は別個に設けられる駆動源は、選択された1つ又は複数の駆動周波数において駆動するように構成することができる。
【0096】
インダクタ54a、54b及びアンテナ5の他の特性は、入力インピーダンスを生じさせる。整合回路55内の単一のコンデンサなどの単一の構成要素を使用することを可能にするように、この入力インピーダンスが選択されることが特に好都合である。インダクタ54a、54b、すなわち、これらのインダクタのインダクタンス値を適切に選択することによって、アンテナ5の入力インピーダンスの実数部は、少なくとも10オームになるように、場合によっては50オームに可能な限り近くなるように選択することができ、ここで、供給ケーブルは50オーム同軸ケーブルである。入力インピーダンスの実数部が例えば少なくとも10オームであり、好ましくは50オームの領域内である場合、これは、アンテナにおける安定性の増強に対応することができ、整合回路55内の単一の構成要素の使用を促進することができる。
【0097】
一般的に、インダクタ54a、54bのインダクタンスの値(又はこれらの端部位置に設けられる他の構成要素の特性)は、アンテナ5の通電特性、したがってその放射特性を制御するために使用することができる。
【0098】
図4は、図2及び図3に示すタイプのアンテナ5の一定長の同軸ケーブル51に沿った総電流を示す、すなわち、その長さに沿った異なる点においてアンテナ5を流れる総電流を示すプロットである。プロットには3つのトレースが存在し、各々が、インダクタ54a、54bの異なるインダクタンス値に対応し、生成されるそれぞれの異なる電流プロファイルを示す。第1のトレース401は、インダクタンス値が10.6nHである電流を示す。第2のトレース402は、インダクタンス値が27.8nHである電流を示す。第3のトレース403は、インダクタンス値が33.4nHである電流を示す。
【0099】
損失のない良好な送信特性を促進し、走査される被検体の望ましくない加熱を最小限に抑えるために、外側シールド53上の電流プロファイルを相対的に平坦にすることが好ましい。
【0100】
図5は、図2及び図3に示すタイプのアンテナ5の同軸ケーブル51の芯線52に沿った位置による電流レベルを示すプロットである。ここでも、プロットは、各々がインダクタ54a、54bの異なるインダクタンス値のものである、3つのトレースを示す。第1のトレース501は、インダクタンス値が10.6nHである芯線電流を示す。第2のトレース502は、インダクタンス値が27.8nHである芯線電流を示す。第3のトレース503は、インダクタンス値が33.4nHである芯線電流を示す。ここで、一部のインダクタ値において、はるかに多い電流が芯線53内を流れることが分かり、これは、B磁場生成を駆動しているシールド53内の電流であるような、より大きい損失に対応する。
【0101】
適切にモデル化することによって、損失を最小限に抑えながら良好な送信特性を与えるために、芯線52内の電流の最小化も同時に呈しながら、相対的に平坦な総電流をもたらす、インダクタ54a、54bのインダクタンスの好ましい値を選択することができる。
【0102】
本実例において、300mmの全長、及び、中央から100mmに設けられている外側シールド53内の中断部53aを有するアンテナについて、28nH程度のインダクタンス値が、芯線電流を低減した上で外側での相対的に平坦な電流をもたらすことが分かった。さらに、この構成は、整合回路55内で10pFの単一のコンデンサを使用することを容易にする、50オーム程度の実数部を有する入力インピーダンスをもたらした。
【0103】
一般的に言えば、外側シールド53内の中断部53aを一定長の同軸ケーブル51の中央から外方に動かすことによって、より平坦な電流分布がもたらされることが分かっている。しかしながら、何らかの改善策(一定長の同軸ケーブル51の端部にインダクタ54a、54bなどの構成要素を導入することなど)をとらなければ、シールド53内の中断部53の間の間隙の増大が芯線電流を増大させる働きをし得る。
【0104】
他のサイズのアンテナ5の適切な特性を決定するために、モデル化/シミュレーション・ソフトウェアを利用して下記のラインに沿ったプロセスに従うことができる。このプロセスは、以下のステップを含むことができる。
1)中央区画53bをどの程度の長さにすべきかを決定する。一般的に、これは、イメージングすることを所望する視野に依存する。汎用MRIアンテナについて、20cm/200mmが、ほとんどの器官をカバーするのに十分に大きいため、良好な長さである。これを長さLと呼ぶこととする。
2)中央において芯線52に接続されている供給源と、各々が中央からL/2の距離に位置付けられている外側シールド53内の2つの中断部53aと、一定長の同軸ケーブル51の各端部にあり、芯線52をシールド53に接続する2つのインダクタとを有する、Lよりも長い同軸ケーブルの区画をシミュレートする。各中断部53aからケーブル部分のそれぞれの端部までの端部区画53cの長さをXと呼ぶこととし、そのため、総アンテナ長はL+2Xである。
3)以下の3つの有益な特性をもたらす、長さXとインダクタ54a、54bのインダクタンス値との組み合わせを求める。
i.中断部53a間のシールド53の外側の「平坦な」電流分布、
ii.不要な電流に起因する最小量の損失、
iii.供給ケーブル(例えば、典型的には50オーム同軸ケーブル)に容易に整合することができる供給源における入力インピーダンス。
【0105】
上記のプロセスの実行における使用時にアンテナ5が駆動されるべきである周波数又は周波数範囲も熟慮され得る。
【0106】
望ましい測定基準に関連して以下を考慮することができる。
i.平坦な電流分布。
電流分布の平坦性は、標準偏差を長さLに沿った電流振幅の平均で除算した変動の係数を使用して記述することができる。この数は、小さいほどよい。
【0107】
いくつかの例示的な値は、以下のとおりである。中断部において0である三角形の電流分布(本当に不良であると考えられ得る)について、この値は0.58である。300MHzにおける30cmの長さを有するプレーン・ダイポールの電流分布について、長さLにわたるCoVは0.22である。30cmである従来の分割ダイポール・アンテナについて、中央20cmのCoVは0.17である。L=20cm及びX=5cmである、上述したタイプの同軸ダイポール・アンテナ5の場合、中央20cmにわたるCoVは0.11である(これは非常に許容可能な値として特性化することができる)。可能性として最良な値は、実際に達成不可能である0である。
【0108】
例えば20cmの、本タイプのアンテナの放射素子部分の典型的な長さをとる場合、0.2よりも高いCoVが不良であると考えられる。0.15未満であればどんな値も良好であり、0.10未満であればどんな値も非常に良好である。
【0109】
ii.最小の損失。
無駄にされる入力電力の百分率によって、損失を定量化することができる。芯線52上の電流が高い場合、それらは銅を加熱する傾向にあり、これによって、電力が失われる。5cmを大きく上回るように、長さXを増大させることができる。これは、芯線52内の電流を低減する役割を果たし得るが、これらのより長いケーブル長においてエネルギーを無駄にする。試験において、250mmの視野を与えるように125mmにおいて中断部を有し、ケーブルの端部にインダクタが接続されていない、長さ300mmのケーブルを使用して作成されるアンテナは、入力電力の33%を無駄にすることが分かり、これは相当に望ましくない。間隙が100mmにおいて設けられ、インダクタが設けられない場合、電力の11%が無駄にされ、一方、インダクタ54a、54bを含めることによって、無駄になる電力は6.5%まで下がった。一般的に、入力電力の20%を上回る損失は許容不可能である可能性があり、一方で、20%を下回り10%程度までである損失は不良であるが、状況によっては許容可能である可能性がある。10%を下回り、例えば5%に迫る損失は良好と考えられる。
【0110】
iii.好適な入力インピーダンス。
入力インピーダンスを完全なものにするには、数回の試行錯誤が必要である。入力インピーダンスの実数部は、最適な動作の達成を試行する上で重要なファクタであり、供給ケーブルが、50オーム程度の入力インピーダンスの実数部を有する、50オーム同軸ケーブルである状況を考慮することが理想的であり、一方、10オームを上回るどんな値も、有効である可能性がある。10オームを下回る入力インピーダンスでは、問題が発生する可能性がより高い。少なくとも一部の状況において、単一の構成要素のみが整合回路55において必要とされることが有益であるが、全体的に、最も重要なことは、アンテナ5の性能及び存在し得る損失である。したがって、整合回路55内の電流が低い場合、たとえ整合回路55内に複数の構成要素があったとしても、これは問題になり得ない。
【0111】
一般的に、入力インピーダンスの実数部は、少なくとも5オーム、より好ましくは少なくとも10オームであることが望ましい。さらに、入力インピーダンスの実数部が50オームに近いか、又は、より一般的にはアンテナに供給するために使用されている供給ケーブルのインピーダンスに近いことが好ましい場合があり、1つのみの整合要素が整合回路55内で必要とされることが望ましい可能性がある。
【0112】
適切な値をモデル化及び選択した後、アンテナを製造することができ、これは、1つ又は複数の一定長の同軸ケーブルをとることと、シールド内に適切な中断部を作成することと、供給点を作成することと、接続構成要素及び整合回路を追加することとを含むことができる。所望に応じて、所与の入力電力について生成されるB磁場、及び、SARのプロキシとしてのサンプル/ファントムにおける結果としての加熱効果も確認するために、試験を実行することができる。
【0113】
無論、インダクタ以外の接続構成要素が選択される場合も、同様のプロセスに従うことができる。
【0114】
本種類のアンテナ5、例えば、図2及び図3に示すタイプのダイポール・アンテナは、動作時における、従来技術の分割ダイポール・アンテナよりも優れた性能を生じることができることが分かっている。例示的な従来技術の分割アンテナは、例えば、DE202007015620U1に見ることができる。
【0115】
この性能改善は、生成され得るB磁場、及び、それらの使用からもたらされる関連するSARに関して観察可能である。図6は、図2及び図3に示すタイプの同軸ダイポール・アンテナ5によって生成されるものと比較した、従来技術の分割ダイポール・アンテナによって生成され得るB磁場の実例を示し、ここで、生成されるB磁場は同様であることが分かる。利点が見られる場合は、各タイプのアンテナの加熱効果を示す、すなわち、2つのアンテナ5によって生じるSARの差の効果を示す、図7に示すプロットを考慮することによるものである。第1のトレース701は、従来技術の分割ダイポールによって引き起こされる温度上昇を示し、第2のトレース702は、上述したタイプの同軸ダイポールの使用によって引き起こされる温度上昇を示す。ここで、被検体内の一定範囲の位置にわたって分割ダイポールによって与えられる加熱効果は、図2及び図3に示すタイプの同軸ダイポールを使用して生じるものよりも大幅に大きいことが分かる。
【0116】
さらに、本タイプのアンテナは、単純に構築され、1つ又は複数の一定長の同軸ケーブル、及び、任意選択的に最小数の追加の電気構成要素から作成されて、本質的に可撓性である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】