IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パロ アルト リサーチ センター インコーポレイテッドの特許一覧

特開2022-130313最適化されたノズル設計を有するドロップオンデマンドプリンタ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022130313
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】最適化されたノズル設計を有するドロップオンデマンドプリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/035 20060101AFI20220830BHJP
   B41J 2/04 20060101ALI20220830BHJP
   B41J 2/135 20060101ALI20220830BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
B41J2/035
B41J2/04
B41J2/135
B41J2/175 121
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022014260
(22)【出願日】2022-02-01
(31)【優先権主張番号】17/185,840
(32)【優先日】2021-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504407000
【氏名又は名称】パロ アルト リサーチ センター インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】クリストフォロス・ソマラキス
(72)【発明者】
【氏名】スヴィヤトスラフ・コルニーブ
(72)【発明者】
【氏名】サイゴパル・ネラトゥリ
(72)【発明者】
【氏名】エイドリアン・リュウ
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056FD01
2C056HA22
2C056KB37
2C057AG11
2C057AG68
2C057AH15
2C057BD02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】緩和時間及び液滴特性を同時に制御することができるノズルを有するドロップオンデマンド(DOD)プリンタを提供する。
【解決手段】ノズルを含み得るエジェクタを有するドロップオンデマンドプリンタのノズルは、印刷材料の供給源と連通するタンクと、タンクと連通する狭窄散逸区間であって、細長い内部チャネルを含み得る、狭窄散逸区間と、狭窄散逸区間と連通する整形先端部であって、出口オリフィスを含むことができる、整形先端部と、を含む。プリンタは、1つ以上の電力パルスをエジェクタに供給するように構成された電源であって、印刷材料の1つ以上の液滴をノズルから噴出させる、電源も含む。プリンタは、流体流を遮断するように構成された狭窄散逸区間を含み得、この狭窄散逸区間は、円筒形又は軸対称であり、タンクの直径よりも小さくかつ整形先端部の直径よりも小さい直径を有する。プリンタは、ノズル又はノズルのアレイを含み得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドロップオンデマンド(DOD)プリンタであって、
ノズルを備えるエジェクタであって、前記ノズルが、
印刷材料の供給源と連通するタンクと、
前記タンクと連通する狭窄散逸区間であって、細長い内部チャネルを備える、狭窄散逸区間と、
出口オリフィスを備える前記狭窄散逸区間と連通する整形先端部であって、出口オリフィスを備える、整形先端部と、を備える、エジェクタと、
前記エジェクタに1つ以上の電力パルスを供給するように構成された電源であって、前記印刷材料の1つ以上の液滴を前記ノズルから排出させる、電源と、を備える、DODプリンタ。
【請求項2】
前記ノズルの前記狭窄散逸区間が、流体流を遮断するように構成されている、請求項1に記載のDODプリンタ。
【請求項3】
前記細長い内部チャネルが、円筒形である、請求項1に記載のDODプリンタ。
【請求項4】
前記ノズルの前記狭窄散逸区間が軸対称であり、前記タンクの直径よりも小さい直径を有する、請求項1に記載のDODプリンタ。
【請求項5】
前記ノズルの前記狭窄散逸区間が軸対称であり、前記整形先端部の直径よりも小さい直径を有する、請求項1に記載のDODプリンタ。
【請求項6】
前記ノズルの前記狭窄散逸区間が、少なくとも3つの内部円筒形チャネルを備える、請求項1に記載のDODプリンタ。
【請求項7】
前記少なくとも3つの内部円筒形チャネルが、実質的に同じ直径を有する、請求項6に記載のDODプリンタ。
【請求項8】
前記狭窄散逸区間が、互いに実質的に垂直である少なくとも2つの交差するチャネルを備える、請求項1に記載のDODプリンタ。
【請求項9】
前記ノズルの前記狭窄散逸区間が、多孔質媒体を更に含む、請求項1に記載のDODプリンタ。
【請求項10】
前記ノズルが、前記狭窄散逸区間と前記整形先端部との間にテーパ状移行部を更に備える、請求項1に記載のDODプリンタ。
【請求項11】
前記ノズルの前記整形先端部の前記出口オリフィスが、円筒形である、請求項1に記載のDODプリンタ。
【請求項12】
前記出口オリフィスの曲率半径が、前記出口オリフィスの直径の10パーセント未満である、請求項11に記載のDODプリンタ。
【請求項13】
前記ノズルが、液滴生成事象、続いて液滴排出事象を操作することによって液滴を排出するように構成されている、請求項1に記載のDODプリンタ。
【請求項14】
前記印刷材料が、ポリマー、ポリマー複合体、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のDODプリンタ。
【請求項15】
前記印刷材料が、金属、金属合金、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のDODプリンタ。
【請求項16】
前記印刷材料が、アルミニウム、アルミニウム合金、又はこれらの組み合わせを含む、請求項15に記載のDODプリンタ。
【請求項17】
ドロップオンデマンド(DOD)プリンタであって、
ノズルを備えるエジェクタであって、前記ノズルが、
印刷材料の供給源と連通するタンクと、
前記タンクと連通し、流体流を遮断するように構成された狭窄散逸区間であって、細長い内部チャネルを備える、狭窄散逸区間と、
前記狭窄散逸区間と連通する整形先端部であって、出口オリフィスを備える、整形先端部と、を備える、エジェクタと、
前記エジェクタに1つ以上の電力パルスを供給するように構成された電源であって、前記印刷材料の1つ以上の液滴を前記ノズルから噴出させる、電源と、を備え、
前記ノズルが、生成事象、続いて排出事象を操作することによって液滴を排出するように構成されている、DODプリンタ。
【請求項18】
前記散逸区間が、
軸対称部分と、
前記タンクの直径よりも小さい直径と、
前記整形先端部の直径よりも小さい直径と、を備える、請求項17に記載のノズル。
【請求項19】
前記ノズルの前記散逸区間が、少なくとも3つの内部円筒形チャネルを備え、実質的に同じ直径を有する、請求項17に記載のノズル。
【請求項20】
ドロップオンデマンド(DOD)プリンタであって、
ノズルのアレイを備えるエジェクタであって、前記ノズルのアレイが、
複数のノズルであって、各ノズルが、
印刷材料の供給源と連通するタンクと、
前記タンクと連通し、流体流を遮断するように構成された狭窄散逸区間であって、細長い内部チャネルを備える、狭窄散逸区間と、
出口オリフィスを備える前記狭窄散逸区間と連通する整形先端部であって、出口オリフィスを備える、整形先端部と、を備える、エジェクタと、
前記エジェクタに1つ以上の電力パルスを供給するように構成された電源であって、前記印刷材料の1つ以上の液滴を前記ノズルから噴出させる、電源と、を備え、
前記ノズルが、生成事象、続いて排出事象を操作することによって液滴を排出するように構成されている、DODプリンタ。
【請求項21】
前記印刷材料が、金属、金属合金、又はこれらの組み合わせを含む、請求項20に記載のDODプリンタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態又は実装形態は、ドロップオンデマンド印刷システムのためのエネルギー散逸性ノズル及びそのための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット又は液体メタルジェットなどのドロップオンデマンド(Drop-On-Demand、DOD)印刷システムは、代替技術よりも大きな利点を達成し、そのうちの2つは、追加の印刷後処理ステップ及び相対的なアフォーダンスの欠如である。残念ながら、DOD基本性能メトリック(例えば、印刷速度、精度)は、他の技術よりも平均して、製品の幾何学的形状に敏感である。液体金属DOD技術で製造された複雑な幾何学的形状を有する製品は、数百又は数百万個の液滴を必要とし得、かつそれを構築するのにより長い時間をかかる可能性がある。印刷された部品はまた、堆積された液滴当たりの公称幾何学的形状から誤差を累積するため、計画されたコンピュータ支援設計(computer aided designs、CAD)から逸脱し得る。更に、速度及び精度は、基本的なトレードオフと相関する。印刷速度は、精度のコストである。したがって、液滴速度、形状、及び容積は、印刷品質メトリクスにおいて重要な役割を果たす。
【0003】
DOD噴射システムでは、この基本的なトレードオフの焦点は、流体流を制御し、形状、容積、速度などの一貫した特性を持つ液滴を排出するように設計された装置である射出ノズルの中にあり、単位時間当たりに射出される質量で表される要求されたスループットを満たすようになっている。ノズルが設計されているアプリケーションは、所望の液滴特性を駆動する。例えば、3D印刷システムにおいて、複雑な幾何学的物体を印刷するのに必要な敏捷性のために、大きな/かさばる液滴は望ましくない場合があるが、液体投与量の用途では、より大きな液滴が望ましい場合がある。スループット要件は、液滴排出システムを用途にとって経済的に魅力的となるように設定される。
【0004】
理論的及び実験証拠の両方が、設計によって予想される一定の公称値の代わりに、ノズルによって生成される液滴の予測不可能な速度、形状、及び容積に起因して、印刷不規則性が発生し得ることを示唆している。それぞれの新しい液滴が生成される初期条件及び圧力信号を変更するため、これらの不規則性は、ノズルを供給するタンク内の液体のダイナミクス及びノズル内の液体が静止状態になるのにかかる時間の両方に起因する。
【0005】
次に、スループット及び液滴特性の要件は、ノズルが一貫した液滴を排出しなければならない周波数に対する要件を意味する。実験証拠は、安定した落下行動の発射周波数が、メニスカス(ノズルオリフィスでの流体と雰囲気との間の境界)が液滴排出後に沈降する時間によって影響を受けること、すなわち、メニスカスが静止しているときに滴が理想的に排出されるべきであることを示す。メニスカスが静止している後に発射される液滴は、一貫した特性を示し、一方、沈降時間の逆数よりも速い周波数で液滴を排出すると、著しい落下変動をもたらし得る。したがって、ノズルは、緩和時間とも呼ばれる液滴排出後のメニスカスの沈降時間が所望の発射周波数を可能にするのに十分小さくなるように設計されなければならない。
【0006】
緩和時間及び液滴特性を同時に制御することができる設計を有するノズルが望ましく、特に緩和時間を制御する問題は、液滴を整形する問題から分離され得る。必要とされるのは、印刷媒体の適応及び用途並びにそれを設計するための方法を可能にしながら、前述の基準に同時に対処するノズル設計である。
【発明の概要】
【0007】
以下は、本教示の1つ以上の実施形態のいくつかの態様の基本的な理解を提供するために、簡略化された概要を提示する。この概要は、広範な概略ではなく、本教示の主要又は重要な要素を特定することも、本開示の範囲を明示することも意図していない。むしろ、その主な目的は、単に、後に提示される詳細な説明の前置きとして、1つ以上の概念を簡略化された形式で提示するだけである。
【0008】
ノズルを含み得るエジェクタを有するドロップオンデマンド(DOD)プリンタが開示され、このノズルは、印刷材料の供給源と連通するタンクと、タンクと連通する散逸区間であって、細長い内部チャネルを含み得る、散逸区間と、狭窄散逸区間と連通する整形先端部であって、出口オリフィスを含むことができる整形先端部と、を含む。ドロップオンデマンド(DOD)プリンタはまた、エジェクタに1つ以上の電力パルスを供給するように構成された電源であって、印刷材料の1つ以上の液滴をノズルから噴出させる、電源を備える。
【0009】
実施形態は、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。DODプリンタは、流体流を遮断するように構成されたノズルの狭窄散逸区間を含み得る。細長い内部チャネルは、タンクの直径よりも小さい直径を有する円筒形又は軸対称であり得る。ノズルの狭窄散逸区間は、軸対称であり得、また、整形先端部の直径よりも小さい直径を有する。ノズルの狭窄散逸区間は、実質的に同じ直径を有する少なくとも3つの内部円筒形チャネルを含み得る。狭窄散逸区間のある特定の実施形態は、互いに実質的に垂直である少なくとも2つの交差するチャネルを含み得る。ノズルの狭窄散逸区間は、狭窄散逸区間と整形先端部との間の多孔質媒体又はテーパ状移行部を更に含み得る。ノズルの整形先端部の出口オリフィスは、円筒形であり得、出口オリフィスの曲率半径は、出口オリフィスの直径の10パーセント未満であり得る。ノズルの実施形態は、液滴生成事象、続いて液滴排出事象を操作することによって液滴を排出するように構成され得る。ノズル実施形態で使用するための印刷材料は、ポリマー、ポリマー複合体、又はそれらの組み合わせを含み得る。ノズル実施形態で使用するための印刷材料は、金属、金属合金、又はそれらの組み合わせを含み得る。印刷材料は、アルミニウム、アルミニウム合金、又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0010】
ノズルを含み得るエジェクタを有するドロップオンデマンド(DOD)プリンタの別の実施形態が開示され、ノズルは、印刷材料の供給源と連通するタンクと、タンクと連通し、流体流を遮断するように構成された狭窄散逸区間であって、ある特定の実施形態では細長い内部チャネルを含む、狭窄散逸区間と、狭窄散逸区間と連通する整形先端部であって、出口オリフィスを含み得る、整形先端部と、を含む。DODプリンタはまた、エジェクタに1つ以上の電力パルスを供給するように構成された電源であって、印刷材料の1つ以上の液滴をノズルから噴出させる電源も含み得、ノズルは、生成事象、続いて排出事象を操作することによって液滴を排出するように構成されている。ある特定の実施形態は、散逸区間が、タンクの直径よりも小さい直径と、整形先端部の直径よりも小さい直径と、を有する、軸対称部分を含み得る、ノズルを含み得る。ノズルの散逸区間は、少なくとも3つの内部円筒形チャネルを含み得、実質的に同じ直径を有し得る。
【0011】
ノズルのアレイを含み得るエジェクタを有するドロップオンデマンド(DOD)プリンタの別の実施形態が開示され、ノズルのアレイが、複数のノズルを含み、各ノズルが、印刷材料の供給源と連通するタンクと、タンクと連通し、流体流を遮断するように構成された狭窄散逸区間であって、細長い内部チャネルを含み得る、狭窄散逸区間と、狭窄散逸区間と連通する整形先端部であって、出口オリフィスを含む、整形先端部と、を有する。DODプリンタは、コイルに1つ以上の電力パルスをエジェクタに供給するように構成された電源であって、印刷材料の1つ以上の液滴をノズルから噴出させる電源を更に含み得る。DODプリンタは、生成事象、続いて排出事象を操作することによって液滴を排出するように構成されている1つ以上のノズルを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付図面は、本教示の実施形態を例解する。本開示の実施形態におけるこれら及び/又は他の態様及び利点は、添付の図面と併せて以下の様々な実施形態の説明から明らかになり、より容易に理解されるであろう。
【0013】
図1】開示され1つ以上の実施形態による、ノズル設計を組み込んだ例示的な積層造形層形成デバイス又は3Dプリンタの概略断面図を例解する。
【0014】
図2A】従来技術の従来のノズル設計の概略断面図を例解する。
【0015】
図2B】開示された1つ以上の実施形態による、例示的なノズル設計の概略断面図を例解する。
【0016】
図3】開示された1つ以上の実施形態による、ノズル設計の一部分の概略断面図を例解する。
【0017】
図4A】開示された1つ以上の実施形態によるいくつかの多断面ノズルを例解する。
図4B】開示された1つ以上の実施形態によるいくつかの多断面ノズルを例解する。
図4C】開示された1つ以上の実施形態によるいくつかの多断面ノズルを例解する。
図4D】開示された1つ以上の実施形態によるいくつかの多断面ノズルを例解する。
【0018】
図5A】開示された1つ以上の実施形態による、それぞれ、狭窄なし及び狭窄ノズル設計の概略断面側面図を例解する。
図5B】開示された1つ以上の実施形態による、それぞれ、狭窄なし及び狭窄ノズル設計の概略断面側面図を例解する。
【0019】
図6A】開示された1つ以上の実施形態による、様々な時間的瞬間に提示された、それぞれ標準的かつ狭窄軸対称ノズル設計を使用して生成された模擬実験の概略断面側面図を例解する。
図6B】開示された1つ以上の実施形態による、様々な時間的瞬間に提示された、それぞれ標準的かつ狭窄軸対称ノズル設計を使用して生成された模擬実験の概略断面側面図を例解する。
【0020】
図7】開示された1つ以上の実施形態による、ノズルの実施形態の前面に対するメニスカス変位の概念を示す断面側面図である。
【0021】
図8図6A及び図6Bの狭窄され、構築されていないノズル実施形態からの1つの液滴の排出のための時間の関数としての模擬メニスカス変位を示すプロットである。
【0022】
図9】プリンタ実施形態のノズル及び基板部分の基本的な抽象図を例解する。
【0023】
図10】本明細書の実施形態による、ノズルの上部境界に印加された圧力パルスを表す波形のプロットを例解する。
【0024】
図11A】本明細書の実施形態による3つの噴出周波数について、狭窄あり及び非狭窄ノズルの複数の液滴模擬実験を示す一連のプロットである。液滴の容積及び容積平均速度を、液滴数に対してプロットする。
図11B】本明細書の実施形態による3つの噴出周波数について、狭窄あり及び非狭窄ノズルの複数の液滴模擬実験を示す一連のプロットである。液滴の容積及び容積平均速度を、液滴数に対してプロットする。
図11C】本明細書の実施形態による3つの噴出周波数について、狭窄あり及び非狭窄ノズルの複数の液滴模擬実験を示す一連のプロットである。液滴の容積及び容積平均速度を、液滴数に対してプロットする。
図11D】本明細書の実施形態による3つの噴出周波数について、狭窄あり及び非狭窄ノズルの複数の液滴模擬実験を示す一連のプロットである。液滴の容積及び容積平均速度を、液滴数に対してプロットする。
図11E】本明細書の実施形態による3つの噴出周波数について、狭窄あり及び非狭窄ノズルの複数の液滴模擬実験を示す一連のプロットである。液滴の容積及び容積平均速度を、液滴数に対してプロットする。
図11F】本明細書の実施形態による3つの噴出周波数について、狭窄あり及び非狭窄ノズルの複数の液滴模擬実験を示す一連のプロットである。液滴の容積及び容積平均速度を、液滴数に対してプロットする。
【0025】
図12】開示された1つ以上の実施形態によるノズル設計の一部分の概略断面図であり、狭窄軸対称ノズル設計のパラメータ化を例解する。
【0026】
図13A】それぞれ、狭窄直径の関数としての排出された液滴容積平均速度、及び狭窄直径の関数として排出した液滴容積のプロットである。
図13B】それぞれ、狭窄直径の関数としての排出された液滴容積平均速度、及び狭窄直径の関数として排出した液滴容積のプロットである。
【0027】
図14】一実施形態による、その正及び負の成分を示す特徴的な波形の時空間的にスケーリングされたプロットである。
【0028】
図15A】一実施形態による、図14の波形の正の部分のパラメトリック模擬実験及び液滴速度及び容積に対する波形効果の結果を示す一連の4つのプロットである。
図15B】一実施形態による、図14の波形の正の部分のパラメトリック模擬実験及び液滴速度及び容積に対する波形効果の結果を示す一連の4つのプロットである。
図15C】一実施形態による、図14の波形の正の部分のパラメトリック模擬実験及び液滴速度及び容積に対する波形効果の結果を示す一連の4つのプロットである。
図15D】一実施形態による、図14の波形の正の部分のパラメトリック模擬実験及び液滴速度及び容積に対する波形効果の結果を示す一連の4つのプロットである。
【0029】
図16A】それぞれ、4つのチャネル及び5つのチャネルを有するマルチチャネルノズルにおける散逸区間の上面図を例解する。
図16B】それぞれ、4つのチャネル及び5つのチャネルを有するマルチチャネルノズルにおける散逸区間の上面図を例解する。
【0030】
図17】標準的な非狭窄ノズル設計実施形態と比較して、図16A及び図16Bのマルチチャネルノズルの実施形態からの液滴の排出の時間の関数としての模擬メニスカス変位を示すプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
様々な典型的な態様の以下の説明は、本質的に単なる例示であり、本開示、その用途、又は使用を限定することを意図するものではない。
【0032】
全体にわたって使用されるように、範囲は、その範囲内にある各値及びすべての値を説明するために、省略として使用される。範囲内の任意の値は、範囲の終点として選択され得る。更に、本明細書に引用されるすべての参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本開示における定義と引用された参考文献との矛盾の場合には、本開示が制御する。
【0033】
加えて、すべての数値は、示された値の「約」又は「およそ」であり、当業者によって期待されるであろう実験誤差及び変動を考慮する。本明細書に開示されるすべての数値及び範囲は、「約」がそれとともに使用されるかどうかに関わらず、近似値及び範囲であることを理解されたい。本明細書で使用するとき、「約」という用語は、数字とともに、その数字の±0.01%(境界値を含む)、±0.1%(境界値を含む)、±0.5%(境界値を含む)、その数字の±1%(境界値を含む)、その数字の±2%(境界値を含む)、その数字の±3%(境界値を含む)、その数字の±5%(境界値を含む)、その数字の±10%(境界値を含む)、又はその数字の±15%(境界値を含む)であり得る値を指すことも理解されたい。数値範囲が本明細書に開示されるとき、その範囲内に入る任意の数値もまた具体的に開示されることが更に理解されるべきである。
【0034】
本明細書で使用するとき、「又は」という用語は、包括的な操作者であり、文脈上別段の明確な指示がない限り、「及び/又は」という用語と同等である。「に基づく」という用語は、排他的ではなく、文脈がそうでないことを明確に指示しない限り、記載されていない追加の要因に基づくことを可能にする。本明細書において、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」の記載は、A、B、若しくはC、A、B、若しくはCの複数の例、又はA/B、A/C、B/C、A/B/B/B/C、A/B/Cなどの組み合わせを含む実施形態を含む。加えて、本明細書全体を通して、「a」、「an」、及び「the」の意味は、複数の参考文献を含む。「in」の意味は、「in」及び「on」を含む。
【0035】
ここで、本教示の例示の実施形態を詳細に参照し、この実施例を添付図面に示す。可能な限り、同じ参照番号が、同じ、類似、又は同様の部分を指すように図面全体にわたって使用される。
【0036】
本開示は、付加製造デバイス又は3Dプリンタ及びその方法を対象とする。特に、本開示は、3Dプリンタ用の標的加熱システム及びその方法を対象とする。溶融金属液滴を有する構造体を形成することは、再溶融、合体、冷却、及び凝固を伴う複雑な熱流体プロセスである。空隙及びコールドラップ(溶融の欠如)は、溶融金属液滴と以前に堆積した材料又は基板(例えば、液滴)との間に形成されている界面において不適切な温度下で、不十分な再溶融及び不十分な冶金結合によって引き起こされる。界面温度は、主に、以前に堆積した材料又は基板の液滴温度及び表面温度によって決定される。正確な部品形状及びz高さを取得及び保持することもまた、同じ要因によって悪影響を受ける。低すぎる界面温度は、不十分な再溶融及び合体から空隙及びコールドラップの形成をもたらす。界面温度が高すぎる場合、新たな液滴は、凝固前に以前に堆積した材料の表面から離れて流れ、これは、部品形状の形状不良及びz高さ誤差をもたらす。界面温度は、初期液滴温度、構築部品表面温度、構築プレート温度、液滴周波数、及び部品z高さによって影響を受ける可能性がある。これは、プロセスパラメータの最適化によってある程度のレベルで制御することができるが、関与する熱プロセスは、許容できない界面温度をもたらす可能性がある部品印刷中に生じる変化及び力学により、過度に遅い場合がある。本明細書に更に記載されるように、標的加熱システムは、前述の問題に対処するために3Dプリンタによって調製された物品を形成する金属の粒径、成長、及び/又は構造を制御するために、基板及び/又は基板の近位の面積の界面温度及び/又は温度勾配を修正することが可能であり得るか、又はそのように構成され得る。例えば、標的加熱システムは、物品を形成する金属の粒径、成長、及び/又は構造を制御するために、溶融プールの界面温度及び/又は温度勾配を修正し、それによって、構築強度、接着力、多孔性、及び/又は表面仕上げを改善し、物品内の亀裂及び破砕を防止することが可能であり得るか、又はそのように構成され得る。
【0037】
図1は、1つ以上の実施形態による、標的加熱システム102を組み込んだ例示的なドロップオンデマンド(DOD)プリンタデバイス又は3Dプリンタ100の概略断面図を例解する。3Dプリンタ100は、磁気流体力学(MHD)プリンタなどの液体金属ジェット印刷システムであり得る。しかしながら、任意のドロップオンデマンド(DOD)印刷デバイスが、本明細書に開示される構成要素及び方法を利用し得ることを理解されたい。3Dプリンタ100は、プリントヘッド104、ステージ106、コンピューティングシステム108、標的加熱システム102、又はこれらの任意の組み合わせを含み得る。コンピューティングシステム108は、3Dプリンタ100の構成要素のうちの任意の1つ以上に動作可能及び/又は通信可能に結合され得る。コンピューティングシステム108は、3Dプリンタ100の構成要素のうちの任意の1つ以上から動作、変調、指示、データの受信などが可能であり得るか、又はそのように構成され得る。プリントヘッド104は、本明細書でポンプチャンバとも称され得る本体110、1つ以上の加熱要素(1つは112で示される)、1つ以上の金属コイル114、又は互いに動作可能に結合された任意の組み合わせを含み得る。図1に例解されるように、加熱要素112は、本体110の周囲に少なくとも部分的に配置され得、金属コイル114は、本体110及び/又は加熱要素112の周囲に少なくとも部分的に配置され得る。本明細書で使用するとき、基板116は、ステージ106の表面、以前に堆積された印刷材料又は金属(例えば、金属液滴)、3Dプリンタ100若しくはその一部分から作製された物品118、ステージ106上に配置された加熱プラテン若しくは構築プレートなどのプラテン128、及び/又はそのそれぞれの表面を指し得る。図1に例解されるように、基板116は、ステージ106の上又は上方に、かつ本体110の下方に配置され得る。本体110は、その内部容積122を画定する内側表面120を有し得る。本体110は、本体110の第1の端部に配置されたノズル124を画定し得る。プリントヘッド104の本体110はまた、互いに連動して動作し得るか、又は代替的に互いに独立して動作可能であり得る2つ以上のノズル124を画定し得る。
【0038】
図1を引き続き参照した3Dプリンタ100の例示的な動作では、ソース126からの構築材料(例えば、金属)は、本体110の内部容積122に方向付けられ得る。加熱要素112は、本体110の内部容積122内に収容されている構築材料を少なくとも部分的に溶融し得る。例えば、構築材料は、中実金属などの固体であってもよく、加熱要素112は本体110を加熱し、それによって、構築材料を固体から液体(例えば、溶融金属)に加熱し得る。金属コイル114は、基板116上への構築材料の堆積を容易にすることが可能な、又はそのように構成されている、電源(図示せず)と結合され得る。例えば、金属コイル114及びそれと結合された電源は、磁場を発生させることが可能であり得るか、又はそれを生成するように構成され得、これは本体110内に起電力を発生させ、それによって、本体110内に配置された溶融金属内に誘導電流を発生させ得る。溶融金属内の磁場及び誘導電流は、ローレンツ力として知られる、液体金属上の半径方向内向きの力を生成し得、これによりノズル124に圧力が生じる。ノズル124における圧力は、ノズル124から基板116及び/又はステージ106に向かって、1つ以上の滴の形態で溶融金属を排出し、それによって物品118の少なくとも一部分を形成し得る。
【0039】
少なくとも1つの実施形態では、構築材料は、1つ以上の金属及び/又はこれらの合金であるか、又はこれらを含み得る。例解的な構築材料は、アルミニウム、アルミニウム合金、真鍮、青銅、クロム、コバルトクロム合金、銅、銅合金、鉄合金(インバー)、ニッケル、ニッケル合金(インコネル)、ニッケルチタン合金(ニチノール)、ステンレス鋼、スズ、チタン、チタン合金、金、銀、モリブデン、タングステンなど、若しくはこれらの合金、又はこれらの任意の組み合わせであるか、又はこれらを含み得るが、これらに限定されない。液滴及び基板温度は、異なる金属に関して異なっていることを理解されたい。
【0040】
別の実施形態では、構築材料は、1つ以上のポリマー材料若しくはポリマー、又はこれらの複合材料であるか、又はこれらを含み得る。ポリマーは、官能性ポリマーであってもよく、又は機能性ポリマーを含み得る。例解的な機能性ポリマーとしては、耐熱性ポリマー、導電性ポリマー、圧電ポリマー、感光性ポリマー、又はこれらの任意の組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。ポリマーはまた、ポリオレフィン系ポリマー、アクリル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、エーテル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、ホルムアルデヒド系ポリマー、シリコーン系ポリマー、又はこれらの任意の組み合わせであるか、又はこれらを含み得るが、これらに限定されない。例えば、ポリマーとしては、ポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)、TORLON(登録商標)、ポリアミドイミド、ポリエチレン(PE)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ(1-ブテン)、ポリ(4-メチルペンテン)、ポリスチレン、ポリビニルピリジン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、スチレン-アクリロニトリルコポリマー、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンターポリマー、エチレン-メタクリル酸コポリマー、スチレン-ブタジエンゴム、テトラフルオロエチレン共重合体、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルカルバゾール、ポリウレタン、ポリアセタール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エポキシ樹脂、ポリフェニレンオキシド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヒドロキシメチルシクロヘキシルテレフタレート、セルロースエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、これらの任意のコポリマー、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。少なくとも1つの実施形態において、ポリマーは、エラストマー、合成ゴム、又はこれらの任意の組み合わせであるか、又はこれらを含み得る。例解的なエラストマー材料及び合成ゴムとしては、VITON(登録商標)、ニトリル、ポリブタジエン、アクリロニトリル、ポリイソプレン、ネオプレン、ブチルゴム、クロロプレン、ポリシロキサン、スチレンブタジエンゴム、ヒドリンゴム、シリコーンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー、これらの任意のコポリマー、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0041】
例示的な実施形態では、ポリマーは、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート(PC)、ポリ乳酸(PLA)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリアミド(ナイロン)、これらの複合物、又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0042】
少なくとも1つの実施形態において、3Dプリンタ100は、3Dプリンタ100の1つ以上の構成要素又は部分、物品118の形成、基板116の1つ以上の部分、基板116の近位の1つ以上の面積、及び/又は液滴の堆積を制御及び/又は監視することが可能であり得るか、又はそのように構成されている監視システム130を含み得る。例えば、監視システム130は、液滴、構築部品、構築プレート、及び基板温度を測定し、構築部品形状及びz高さを測定し、液滴サイズ及び速度を測定するなど、又はこれらの任意の組み合わせが可能であるか、又はそのように構成されている、1つ以上のイルミネータ(図示せず)を含み得る。例解的なイルミネータは、レーザ、LED、様々な種類のランプ、光ファイバ光源など、又はこれらの組み合わせであるか、又はこれらを含み得るが、これらに限定されない。別の例では、監視システム130は、3Dプリンタ100の1つ以上の構成要素又は部分の温度を測定することが可能であり得るか、又は測定するように構成されている、1つ以上のセンサ(図示せず)を含み得る。例解的なセンサは、熱計、サーミスタ、撮像カメラ、フォトダイオードなど、又はこれらの組み合わせであるか、又はこれらを含み得るが、これらに限定されない。監視システム130はまた、フィードバックを提供するか、又はコンピューティングシステム108と通信することが可能であり得るか、又はそのように構成され得る。
【0043】
少なくとも1つの実施形態において、3Dプリンタ100の任意の1つ以上の構成要素は、互いに対して独立して移動し得る。例えば、プリントヘッド104、ステージ106、及びそれと結合されたプラテン128のうちの任意の1つ以上、標的加熱システム102、監視システム130、又はこれらの任意の組み合わせは、3Dプリンタ100の他の構成要素のうちの任意の1つ以上に対して、独立してx軸、y軸、及び/又はz軸に移動し得る。別の実施形態では、3Dプリンタ100の構成要素のうちの任意の2つ以上が互いに結合され得、したがって、互いに移動し得る。例えば、プリントヘッド104及び標的加熱システム102は、x軸、y軸、及び/又はz軸におけるプリントヘッド104の移動又は並進が、それぞれx軸、y軸、及び/又はz軸における標的加熱システム102の対応する移動をもたらすように、マウント(図示せず)を介して互いに結合され得る。同様に、標的加熱システム102及びステージ106は、標的加熱システム102のx軸、y軸、及び/又はz軸における移動が、それぞれx軸、y軸、及び/又はz軸のステージ106における対応する移動をもたらすように、マウント(図示せず)を介して互いに結合され得る。
【0044】
ある特定の実施形態では、様々な構築材料は、特に射出温度で、印刷材料特性及び組成に基づいて特定の設計考慮事項に影響を及ぼし得る。溶融金属及び/又は溶融ポリマーベースの印刷材料は、ノズル設計及び、次回設定、電流設定などのような他の印刷システムのパラメータ、溶融又は液体印刷材料にかかる力に影響する他のパラメータ、並びにノズル124に圧力を作り出すために溶融又は液体印刷材料に加えられる力に影響を及ぼす他のパラメータに影響を与え、影響する射出温度で異なる粘度、表面張力、を有し得る。同様に、水性系材料は、様々なドロップオンデマンド印刷及び落下排出構成での印刷に適したノズル124に圧力を作り出すために、更に他の設計考慮事項を必要とし得る。
パルス液滴排出システムのノズル設計
【0045】
DOD噴射システム又はDODプリンタのある特定の実施形態では、ノズルは、流体流を制御し、一貫した特性(形状/容積/速度)を有する液滴を排出して、必要なスループット(単位時間当たりの質量排出量)を満たすように設計される。ノズルが設計されているアプリケーションは、所望の液滴特性を駆動する。例えば、3D印刷システムにおいて、複雑な幾何学的物体を印刷するのに必要な敏捷性のために、大きい/かさばる液滴は望ましくない場合があるが、液体投与量用途ではより大きな液滴がより好適である。スループット要件は、液滴排出システムを用途にとって経済的に魅力的となるように設定される。
【0046】
設計によって予想される一定の公称値の代わりに、ノズルによって生成される液滴の予測不可能な速度、形状、及び容積に起因して、印刷不規則性が発生し得ることが当業者には既知である。これらの不規則性は、ノズルに供給されるタンク内の液体のダイナミクスと、ノズル内の液体が静止するまでの時間の両方の観点から、印刷材料を排出するためにノズル内で必要とされる力に起因し得る。なぜなら、どちらの属性も、新しい液滴が各々生成される際の初期条件と圧力信号を変化させるからである。
【0047】
ある特定の実施形態では、スループットと液滴特性に関連するシステム入力が、最終的に、ノズルが一貫した液滴を排出しなければならない利用可能な周波数を最終的に決定付け得る。安定した落下行動に必要な発射周波数は、メニスカス、又はノズルオリフィスにおける流体と雰囲気との間の境界が、液滴排出後に沈降するために更に影響され得、したがって、メニスカスが静止しているときに落下が理想的に排出されるべきであることを決定付ける。メニスカスが静止した後に発射される液滴は、より一貫した特性を示し、一方、沈降時間の逆数よりも速い周波数で液滴を排出することは、著しい落下変動をもたらし得る。したがって、ノズルは、液滴排出後のメニスカスの沈降時間が以後緩和時間をラベル付けし、所望の発射周波数を可能にするのに十分に小さくなるように設計されなければならない。排出時の緩和時間及び液滴特性を同時に制御するためにノズルを設計するための方法は、ある特定の実施形態において有利である。最適化されたノズルは、エジェクタノズル内の液滴を整形する問題から緩和時間を制御する問題を分離することによって設計され得る。
【0048】
図2Aは、従来技術の従来のノズル設計の概略断面図を例解する。ノズル200の一般的な構造は、タンク202及び先端204を含む。図2Bは、開示された1つ以上の実施形態による、例示的なノズル設計の概略断面図を例解する。例示的な実施形態では、ノズル206は、3つの連続した区間である、液体材料が貯蔵される上部タンク区間208、液滴が排出され得る所望の最大周波数を可能にするように設計された散逸区間210、及び形状及びサイズに関して一貫した特性を有する液滴を排出することができる整形先端部とも呼ばれる整形区間212から構成される。本明細書に記載のプリンタのある特定の実施形態は、液滴を同時に排出するように配置及び構成された1つ以上のそのようなノズル206の集合を有し得、それにより排出された液滴が組み合わされて単一の液滴を形成する。本明細書に記載の実施形態では、散逸区間を通る流体流を遮断することに基づいてエネルギーを散逸することができる散逸区間210を設計するための方法は、狭窄された通路を有するノズルの幾何学的形状を流体流に整形することと、流体流又はそれらの組み合わせに多孔性障害物を導入することとの組み合わせを決定することによって、用いられ得る。本明細書に記載の実施形態では、散逸区間は、タンクと整形先端部又は整形区間との間のノズルの軸対称部分であり得る。
【0049】
図2Bに示される実施形態では、例示的なノズルは、散逸区間と連通するタンク、及び整形区間とも連通する整形区間を有する。ノズルの散逸区間の機能は、流体エネルギーを消散させ、運動量損失を増加させ、次いでメニスカス減衰速度を増加させ、したがって緩和時間を減少させることである。緩和時間τは、ノズルの前側平面における液体印刷材料のメニスカスの変形が、印刷材料の落下が噴出された後に静止状態に戻る時間として画定される。緩和時間tは、指数関数的に減少する変数、この場合、減衰振動の振幅が初期値からその初期値の1/e又は0.368(eは自然対数の基数である)から減少するのに必要な時間である。この値は、ノズル面のメニスカスが静的平衡に戻る時間を測定するための一貫したインデックスと見なすことができる。整形区間は、生成するのがより単純な細長い液滴と比較して、所定の容積及び重心速度を有する涙滴形状の液滴を生成するように設計される。2つの区間の協調的な設計により、各液滴の重心の速度及びパルスあたりに形成された液滴の数の同時制御が可能になる。パルスは、ノズルから1つ以上の液滴を排出することを意図したノズルの上端上の圧力信号であると理解され得る。
散逸区間の設計
【0050】
ある特定の実施形態では、一定の断面を有する散逸区間は、設計パラメータを確立する目的で考慮され得るが、一定の断面は必要とされない。緩和時間τは、散逸区間の一定の断面積に比例する。したがって、τは、散逸区間における断面積を画定する幾何学的パラメータを適切に選択することによって設定することができる。緩和時間は、散逸区間の長さとは無関係であり、そのため、散逸区間は、製造可能及び剛性であるのために十分な長さであるべきである。ノズルが定常状態で動作しているとき、散逸区間を通って移動して整形区間に到達する流体の量は、少なくとも排出された液滴の質量に等しくなければならない。ある特定の実施形態では、いくつかの追加の流体も同様に流れることができ、その後、ノズルのタンク部分と連通するポンプ又はリザーバに流れ戻る。ある特定の実施形態では、散逸区間設計のために選択されたパラメータは、ノズルの出口オリフィスでのメニスカスの緩和時間を制御するように選択される。
【0051】
ある特定の実施形態では、サテライト液滴に分割されない単一の液滴を排出することが望ましい。これを避けるために、液滴内の速度は、液滴の重心の速度とは異なるべきではない。液滴がそれを担持する運動エネルギーは、重心の二乗の速度の時間の液滴の質量にほぼ比例する。流体が、液滴の予想される速度よりも速く散逸区間を通って移動する場合、それを運ぶ過剰な運動エネルギーは、液滴が排出された後に散逸されるべきである。散逸区間を通る流体速度が大きいほど、散逸される必要があるエネルギーが大きいほど、ノズルを操作するエネルギーコストが大きくなり、メニスカス減衰の振動が許容可能なレベルになる時間が長くなり、したがって動作周波数が低くなる。したがって、散逸区間を通る流体の速度は、排出された液滴の重心の所望の速度よりもはるかに大きくなければならない。更に、定常動作では、すでに整形区間内にある流体は、各パルスの開始時にゼロ近くの速度を有し、排出される液滴の所望の速度に加速されるべきである。散逸区間を通る流体の速度が大きすぎる場合、圧力の増加及び整形区間における粘性力は、その中の流体を加速するのに十分ではなく、これは、排出される複数の液滴、又は排出された直後に、又は単に小さい直径の非常に細長い液滴になる液滴となり得る。同時に、整形区間を通って移動する流体は、メニスカスを膨張させるように十分な速度が大きく、したがって運動エネルギーが発生するため、散逸区間を通る流体の速度は、必然的に液滴の重心の所望の速度よりも大きくなければならない。散逸区間における流体速度間の定性的関係を考慮すると、メニスカス沈降時間、及び液滴速度は、流体ダイナミクスの古典的な考え方を利用して、散逸区間を設計する、すなわち、流体流を遮断することを利用して、圧力降下及び速度変化を制御することができる。本明細書に記載の実施形態では、遮断は、ベンチュリノズルに見られるように、及び/又は代替的に、散逸区間内に透過性媒体を組み込むことによって、流体運動を阻止する又は妨げさせることによって実現され得る。
【0052】
図3は、開示された1つ以上の実施形態による、ノズル設計の一部分の概略断面図を例解する。散逸区間302の出口部分は、整形区間の出口オリフィス304につながるが、出口オリフィスは曲率半径を有し、ρ、306ノズル設計に影響を与える。ある特定の実施形態では、散逸区間と整形区間との間の移行ゾーンの長さ及び寸法は、また、ノズルを通って移動する流体印刷材料内のエネルギーの散逸に影響を及ぼす。ある特定の実施形態では、散逸区間302の断面積は、出口オリフィス304の断面積を小さくする。出口オリフィス304の曲率半径ρ、306は、後で更に詳細に説明するように、メニスカスのダイナミクスを画定する。
【0053】
図4A図4Dは、開示された1つ以上の実施形態によるいくつかの多断面ノズルを例解する。図4Aは、狭窄チャネル散逸区間を有する軸対称ノズル実施形態を示す。散逸区間は、タンクの直径及び整形区間の直径と比較して、狭窄部として設計されている。噴出した流体印刷材料が散逸区間を出た後に減速する必要があるという要件を考慮すると、質量保存は、散逸区間が整形区間内の断面積を増加させるために開く必要があることを示す。圧力パルスがタンクの上部で印刷材料に印加されると、散逸区間内の液体は、速度標的と比較して非常に大きな運動量を達成する。その結果、整形区間内の液体は圧力に供される。速度が高すぎると、散逸区間と整形区間との間の断面積が小さい場合、ノズルから排出される液滴は、その初期速度場で非常に大きく散逸する。したがって、そのような液滴中の粒子は、標的値と比較して、高すぎるとともに、低すぎる異なる速度で移動する。この様式での液滴は、許容できない形状を有しやすい可能性があり、基板に到達する前に破壊する可能性がある。これらの望ましくない効果に対処するためには、かつ液滴均一性を最大化するためには、排出される整形区間内の液体は、散逸区間からの押し出しから等しく加速されなければならない。これを達成するための1つの方法は、断面積、すなわち2つの区間を接続する領域を増加させることである。この断面積を増加させる追加の利点は、散逸区間で生成された望ましくない高速が減速され得ることである。狭窄ノズルは当業者には既知のことではあるが、DOD印刷用途における対応する整形区間と組み合わせた狭窄散逸区間を利用して本明細書に記載のメニスカス振動及び液滴特性を制御することは、有利である。図4Aは、示されるように所与の直径404を有するタンク402を有する軸対称狭窄ノズル400を例解する。タンク402は、この図に含まれていない液体又は溶融印刷材料用のリザーバ又は容器である。タンク402は、この実施形態ではシリンダとして示されている散逸区間406と流体連通している。この円筒形散逸区間406は、タンク402の示された直径404よりも小さい直径408であると示される直径408を画定する。円筒形散逸区間406は、長さl 410を更に画定する。印刷材料は、重力、正圧、又は当業者にとって既知の他の手段を介して、タンク402から円筒形散逸区間406に供給される。円筒形散逸区間406は、整形区間412と流体連通している。整形区間412はまた、円筒形散逸区間406の直径408と比較して、より大きな直径414を有するように示される直径414を画定する。整形区間412は、長さl 416を更に画定する。これにより、タンク402及び整形区間412と比較して、幾何学的な狭窄散逸区間406を有するノズル400が提供される。そのようなノズルによって噴出される印刷材料のメニスカスは、狭窄ノズルでは、狭窄されていないノズルと比較して、速く沈降することが理解される。
【0054】
図4Bは、「シャワーヘッド」チャネル散逸区間を有するノズル実施形態を示す。これはまた、少なくとも2つの複数の内部チャネルを有する散逸チャネルと称され得る。シャワーヘッドチャネルノズル420の例示的な実施形態は、示されるように所与の直径424を有するタンク422を画定する。タンク422は、この図に含まれていない液体又は溶融印刷材料用のリザーバ又は容器である。タンク422は、散逸区間426と流体連通しており、この実施形態では、全体的にシリンダとして示されている。散逸区間426は、3つの個々の内部細長い円筒形チャネルを含む。この実施形態では、3つの内部チャネル426A、426B、426Cが例解されているが、代替の実施形態は、内部チャネルを2つしか含まなくても、内部チャネルを10個も含み得、又、場合によっては、システムパラメータ間の寸法及びバランスによって規定されるノズル設計の要件によって決定付けられる場合がある。各内部円筒形チャネル426A、426B、426Cは、タンク422の示された直径424よりも小さい直径428として示されている、散逸区間428全体の全体の直径よりも小さく(ここには示されていない)示されるチャネル直径d 428を有する。この実施形態に示される3つの内部チャネル426A、426B、426Cは、同じ直径を有することが示されているが、ノズルの代替の実施形態は、システム要件に応じて異なる直径を有し得る。散逸区間426は、長さl 430を更に画定する。印刷材料は、重力、正圧、又は当業者に既知の他の手段を介して、タンク422から散逸区間426に供給される。散逸区間426、特に3つの内部チャネル426A、426B、426Cは、整形区間432と流体連通している。3つの内部チャネルは互いに直接連通していないが、それらは各々、図4Bのノズル420のタンク422と、整形区間432と連通していることに留意されたい。整形区間432はまた、3つの内部チャネル426A、426B、426Cの各々の428が、散逸区間426の個別に又は組み合わされているかどうかに関わらず、散逸区間426の全体直径と比較して、更にチャネル直径d 428よりも大きい同様の直径434であると示される直径434を画定する。整形区間432は、長さl 434を更に画定する。これにより、ノズル420自体の直径に関係なく、タンク422及び整形区間432と比較して、幾何学的に狭窄散逸区間426を有するノズル420が提供される。そのような流体流の遮断は、本明細書に記載の他のノズル実施形態に匹敵する累積断面積を有する狭窄チャネルを有する散逸区間として流れ、散逸区間を分配し、すでに整形区間にある流体の、したがってメニスカスのより均一な押し出しを提供する。これは、圧力信号を選択する点でより大きな柔軟性を有するノズルからの単一の液滴の排出を容易にし得る。ノズル420内のすべてのチャネルが円形断面を有するため、緩和時間は、内部チャネル426A、426B、426Cの面積の合計で増減する。
【0055】
図4Cは、「クロスチャネル」散逸区間を有するノズル実施形態を示す。これはまた、複数の軸対称平行プレートチャネルを有する散逸性チャネルと称され得る。クロスチャネルノズル436のこの実施形態は、示されるように、所与の直径440を有するタンク438を画定する。タンク438は、この図に含まれていない液体又は溶融印刷材料用のリザーバ又は容器である。タンク438は、この実施形態ではシリンダとして全体的に示されている散逸区間442と流体連通している。散逸区間442は、平行プレート444Aの第1の組、並列プレート444Bの第2の組、平行プレートの第3の組444C、及び平行プレートの第4の組444Dを含む。4つの組の平行プレート444A、444B、444C、444Dの各々は、散逸区間442の長さに沿って相互接続され、したがって、4つの相互接続されたチャネルを形成する。この「クロスチャネル」狭窄散逸区間は、互いに実質的に垂直である2つの交差するチャネルを有し、2つの交差するチャネルは、互いに平行な2つの壁を有する。代替の実施形態は、3つ以上の交差するチャネルを有し得、狭窄散逸区間の軸の周りに実質的に45度の角度で配置されている。この実施形態では、不散逸区間442の中心軸の周りに均一に互いに対して90度の角度で離間した4つの組の平行プレート444A、444B、444C、444Dが示されているが、代替の実施形態は、内部チャネルを2つしか含まなくても、内部チャネルを10個も含んでいてよく、又、場合によっては、システムパラメータ間の寸法及びバランスによって規定されるノズル設計の要件による決定付けられる場合がある。更に、代替の実施形態は、互いに約10度から互いに約345度まで中心軸の周りに離間されていればよく、均等に離間される必要はない。平行プレート444A、444B、444C、444Dの4つの組によって画定される各内部チャネルは、本明細書に示されていない平行プレートの組の各々の間で、タンク438の示された直径440よりも小さい距離、並びに全体的な散逸区間442(ここには示されていない)の全体の直径よりも小さい距離を有する。この実施形態に示される平行プレート444A、444B、444C、444Dの4つの組は、組を構成する平行プレートの各々間で同じ距離を有することが示されているが、ノズルの代替の実施形態は、システム要件に応じて、プレートの各組間に異なる距離を有し得る。散逸区間442は、長さlD446を更に画定する。印刷材料は、重力、正圧、又は当業者に知られている他の手段を介して、タンク438から散逸区間442に供給される。散逸区間442及び特に、平行プレート444A、444B、444C、444Dの4つの組は、整形区間448と流体連通している。平行プレート444A、444B、444C、444Dの4つの組もまた、互いに直接連通しており、また、図4Cのノズル436のタンク438と、整形区間448と直接連通していることに留意されたい。整形区間448はまた、不一定区間の直径全体と比較して、まだ散逸区間426の4つの平行プレート444A、444B、444C、444Dの各組間の距離よりも大きい直径である、ここでは示されていない直径を画定する。整形区間448は、長さlS450を更に画定する。これは、ノズル436自体の直径に関係なく、タンク438及び整形区間448と比較して、幾何学的に狭窄散逸区間442を有するノズル436を提供する。ノズル436の一実施形態では、散逸区間426は、十字形状のチャネルを通る流体運動を遮断する。この区間を通る流体は平行プレート間の流れに似ているため、緩和時間はクロスの厚さの二乗として増減する。交差を形成する相互接続されたチャネルに平行な内壁又はプレートのより多くのアーム又は組を追加することにより、例えば、不一致区間426のクロスチャネルの全面積を緩和時間を変更することなく、増加させることができ、流体をより均一に押し出すことができ、流体が散逸区間426を横断しなければならない速度を低減させることが可能であり、したがって、より堅牢でエネルギー的に効率のよいノズルを作製する。いくつかの実施形態では、散逸区間426のクロスチャネルの面積は、整形区間448の出口オリフィスの面積よりも小さいと想定し得る。ある特定の実施形態では、クロスチャネル型ノズルの散逸区間は、6つの相互接続されたチャネル、8つの相互接続されたチャネル、又はそれ以上を有し得る。相互接続されたチャネルに理論的限界は知られていないが、結果として生じる総断面積は、狭窄散逸区間を維持するために整形区間のものを超えてはならない。
【0056】
図4Dは、遮断性媒体散逸区間を有するノズル実施形態を示す。遮断性媒体ノズル452の例示的な実施形態は、示されるように所与の直径456を有するタンク454を画定する。タンク454は、この図に含まれていない液体又は溶融印刷材料用のリザーバ又は容器である。タンク454は、散逸区間458と流体連通し、この実施形態では、全体的にシリンダとして示されている。散逸区間458は、そこを通る複数のランダムな経路又はチャネルを有することによって、散逸区間458を通る流体流を狭める遮断性媒体460を含む。遮断性媒体460を通る経路は、散逸区間458の長さに沿って相互接続され得る。遮断性媒体又は他の多孔質媒体のためのオプションは、印刷媒体の温度及び性質に応じて、ポリマー発泡体、セラミック、又はチタン発泡体などの金属系発泡体などのような発泡体を含み得る。更に、代替の実施形態は、システム要件に応じて、様々な透過性又は多孔度の値を有し得る。散逸区間458は、長さl 462を更に画定する。印刷材料は、重力、正圧、又は当業者にとっては既知の他の手段を介して、タンク454から散逸区間458に供給される。散逸区間458及び特に遮断性媒体460は、整形区間464と流体連通している。遮断性媒体460によって形成された内部チャネルはまた、互いに直接流体連通してもよく、また、図4Dのノズル452のタンク454と、整形区間464と直接流体連通していてもよいことに留意されたい。整形区間464はまた、ここでは示されていない直径を画定しており、これは、不一定区間426内の遮断性媒体460内の任意の組み合わされたチャネルの理論直径よりも更に大きく、散逸区間458の直径と比較して同様の直径である。整形区間464は、長さl 466を更に画定する。これは、ノズル452自体の直径に関係なく、タンク454及び整形区間464と比較して、幾何学的に狭窄散逸区間458を有するノズル452を提供する。図4A図4Cに示される幾何学的な障害物とは異なり、図4Dに示される遮断性媒体を有するノズルは、媒体の透過特性を制御することによってエネルギー散逸を提供し得るノズルを例解する。
【0057】
図5A及び図5Bは、開示された1つ以上の実施形態による、それぞれ、狭窄なし及び狭窄ノズル設計の概略断面側面図を例解する。図5A及び図5Bは、図5Aの標準的な狭窄付きノズル500と、図5Bの狭窄部として設計された散逸区間510を有する狭窄ノズル502との間の区別を例解する。図5Aの狭窄ノズル500は、タンク区間504及び整形区間506からなる。狭窄されていないノズル500では、メニスカス沈降時間及び液滴特性を独立して制御することができない。図5Bはまた、タンク区間508、狭窄散逸区間510、及び整形区間512を画定し、本明細書に記載の例示的な実施形態のより一般化された実施形態を示す。これらの様々な条件下での緩和時間及び液滴の形状に対する狭窄の効果を例示し、確認するために、流体の支配式を解決する高忠実度模擬実験は、下記URLから入手したオープンソースソフトウェアOpenFOAM2を利用して実行され得る。https://ww.openfoam.com。例示的な模擬実験が、実施例に記載され、標準的及び狭窄軸対称の設計について図6A及び図6Bに示されている。
【0058】
図6A及び図6Bは、開示された1つ以上の実施形態による、様々な時間的瞬間に提示された、それぞれ標準的かつ狭窄軸対称ノズル設計を使用して生成された模擬実験の概略断面側面図を例解する。図6Aは、標準的又は狭窄状のチャネルノズルを使用して生成されたOpenFOAM2液滴模擬試験からの一連のスナップショットを示す。示される連続する画像は、t=0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、及び0.9ミリ秒の時間(t)で撮影された、模擬実験の液滴のスナップショットを表す。図6Bは、軸対称又は狭窄チャネルノズルを使用して生成されたOpenFOAM2液滴模擬実験試験からの一連のスナップショットを示す。示される連続する画像は、t=0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、及び0.9ミリ秒の時間(t)で撮影された、模擬実験の液滴のスナップショットを表す。
【0059】
図7は、開示された1つ以上の実施形態による、ノズルの実施形態の前面に対するメニスカス変位の概念を示す断面側面図である。ノズル700は、本明細書に記載の他の実施形態と同様の一般的な構造を有し、ノズル700の整形区間の出口オリフィス704につながる、散逸区間702の出口部分を含む。ノズル700は、ノズル700がノズルのアレイ、プリントヘッドアセンブリ、又は印刷システムに含まれるときにノズル700から噴出され得る印刷材料706で充填されている。ノズル708の前面の平面は、理想的な静止状態でのノズル700内の印刷材料706の位置の基準点として示されている。印刷操作中、印刷材料がノズルから噴出され、液滴が分離すると、メニスカス変位710の位置が示される。メニスカス変位710のこの境界及び位置は、それでもノズル内の印刷材料706が液滴分離後に沈降するときに振動する界面境界を示す。このメニスカス変位及び沈降に関連する時間は、緩和時間を画定し、τ特定のノズル設計に関連している。
【0060】
図8は、図6A及び6Bの狭窄及び構築されていないノズル実施形態からの1つの液滴の排出のための時間の関数としての模擬メニスカス変位を示すプロットである。非狭窄ノズル及び狭窄ノズル曲線は、いずれも、図7に関して示され説明されるように、ノズルの正面の平面に沈降するときにメニスカスのメニスカス変位及び関連する振動を例解している。図8のプロットは、無狭窄ノズル及び狭窄ノズルの時間の関数としてのメニスカス変位を示す。図8のプロットはまた、非狭窄ノズル及び狭窄ノズルの両方について、緩和時間τを画定する、非狭窄ノズル及び狭窄設計ノズルの各曲線に適合された指数関数的減衰を例解する。このプロットは、非狭窄ノズル設計と比較して、狭窄ノズル設計における狭窄散逸区間に起因する緩和時間の低減を明確に示している。また、非狭窄ノズル設計と比較して、狭窄ノズル設計における狭窄散逸区間の振動の大きさの低減も観察可能である。
整形区間を設計する
【0061】
ある特定の実施形態では、ノズル設計の必要な緩和時間は、散逸区間のAδ/Sを画定する。ここで、Aは、散逸区間チャネル断面積であり、δは、散逸区間内の流体境界層の特徴的な長さであり、Sは、散逸区間断面の周囲である。δの値は、断面の最小の特徴寸法よりも常に小さいか、又は等しいため、その上限はまた、幾何学的形状によって画定される。液滴の必要な容積及びその速度は、ノズルの整形区間の出口オリフィスの断面積を画定する。液滴の容積は、Rにほぼ比例する。ここで、Rは、整形区間内の出口オリフィスの半径である。したがって、液滴の重心の速度が、Vであり、その後、散逸区間内の速度は、VπR/Aにほぼ等しくなければならない。Aは、散逸区間の断面を適切なSで選択することによって、VπRに近いように選択することができるので、この速度が重心のそれに非常に近くなるようにノズルを設計することが可能である。例えば、図4Cに示されるようなノズル設計による一実施形態では、クロスチャネル散逸区間を有するノズル実施形態は、追加の組の平行プレートが平行プレートの4~6組に増加した場合、Aが増えるが、A/Sはほぼ一定のままである。次いで、この速度は、本明細書に記載のように設計されたノズルから印刷材料を噴出するときに使用する圧力信号の強度を画定する。
【0062】
ある特定の実施形態における出口オリフィスの形状に関して、楕円形オリフィス又は狭いスリットなどのいくつかの可能な形状を考慮することができるが、円形オリフィスは、一般に、パルスあたり単一の液滴を取得するのに理想的なものとして、当業者に既知であり得る。したがって、以下の考察は、円形の出口オリフィスに基づく。ある特定の実施形態では、整形区間の出口オリフィスの直径は、ノズルから排出された液滴容積及び形状を示す。非常に小さい直径の例では、所与の質量を達成するためにノズルによって長い液滴を生成する必要があり、その質量に達する前にそのような液滴が排出される。大きい直径のノズルがより長い押し出し時間を有する波形を必要とし、許容できない形状の細長い液滴となる可能性があるという点で、同様の議論が、より大きな直径に対しても成り立つ。したがって、液滴のメニスカスの縁部が出口オリフィスの前面の平面を越えて移動するのを防止するための機構が必要である。いくつかの実施形態では、これは、鋭い縁、鋭い表面不規則性、又は印刷材料の接触角特性の修正を使用して実装することができる。出口オリフィスにおける曲率半径ρは、図3に関して示され、説明されるように、メニスカスのダイナミクスを画定する。この曲率半径ρが、出口オリフィスの半径に対して非常に小さい場合には、メニスカスは、出口オリフィスの縁部に主にピン留めされる。曲率半径ρが、出口穴の半径の有意な部分(例えば、10%)を占めている場合には、メニスカスは、液滴がノズルから排出された後に振動するにつれて、出口オリフィスの曲率を上下に移動させる。したがって、曲率半径ρは、ある特定の実施形態では、出口オリフィスでメニスカスの挙動を制御する点で、出口オリフィスの半径の10パーセント未満であり得る。
【0063】
ノズル設計のある特定の実施形態では、整形区間の長さは、いくつかの要因に影響を与える。ノズル内の整形区間が非常に長いと、入来する印刷材料流体によって生成される圧力に起因する遅いものと、散逸区間から整形区間に入る流体の噴出が十分に遅くなっていない、又は消散されていない場合には、一瞬のもの、の2つの液滴の排出となり得る。他の実施形態では、整形区間が中間長さである場合、整形区間設計により、入来する印刷材料流体が整形区間内の圧力を増加させ、プリント材料流体を現在整形区間内に押し出して、より大きな液滴を形成する方法が提供される。十分な粘度の印刷材料流体の場合、出口領域の長さは、液滴を形成する前に流体の速度を均質化するように調整され得る。この設計戦略の実施は、アルミニウム、DOD3d印刷用途における目的の材料では非実用的であり得る。前述のように、ノズルの出口オリフィスは、特に流体の接触角がノズルと接触して湿潤していれば、メニスカスの安定した平衡を提供し得る。更に、散逸区間の断面の面積が出口オリフィスの断面の面積よりも小さい場合、散逸区間の出口は、より小さい電位エネルギーとの第2の安定した平衡を提供することができる。したがって、整形区間の長さは、排出操作中にメニスカスが出口オリフィスから散逸区間の出口まで進行するのを防ぐために、潜在的なエネルギー障壁を提供し得る。この整形区間の設計と、ノズル緩和時間τを最小化するための散逸区間の設計との間の記載のバランスをノズル設計で利用し、活用して、流体が十分に粘性である場合に、渦及び再循環スポットがノズル内に形成されるのを防止してもよい。これは、アルミニウム又は水の場合ではない。金属印刷で使用される水又は合金材料は、非常に粘性がなく、したがって、圧力パルスを印加しながら散逸区間と整形区間との交点で発生する複雑な現象を起こしやすい。1つの現象は、所望の垂直運動を発生させて回転させる二次ベクトル場又は渦である。観察される別の現象は、粘度が低いため、ノズル面でのメニスカスは、排出後、散逸及び整形区間の間の交差部、又はノズル内部の深い位置などの、ノズルの先端部とは異なる位置に収縮及び沈降することができることである。
【0064】
ノズルの緩和時間τは、散逸区間の寸法により増減するので、減衰区間が小さければ小さいほど、緩和時間がより速くなり、その結果、排出中のメニスカスにおける乱れが少なくなる。しかしながら、散逸区間のより小さい直径に対するこの制約もまた、液滴の容積を制限する。本明細書に記載のノズル設計の原理を利用する印刷システムの代替実施形態は、生成された液滴が落下しながら十分に近接して配置された、小さな緩和時間を有する複数のノズルのアレイを含み得、したがって、小さな緩和時間を保持しながら複数のノズルを組み合わせることによって、液滴排出の全体的な容積を増加させることができる。ある特定の実施形態では、落下の間の液滴形状の横方向振動の振幅がノズル間の距離よりも大きい場合、液滴は単一のより大きな液滴に合流し得る。複数のノズルの平行な圧力信号は、変更がほとんど又は全くない単一のノズルのものから適合させることができる。この説明された実施形態は、整形区間を有さない図4Bに示されるようなシャワーヘッドチャネル散逸区間を有するノズルの例に類似している。これは、複数のノズルを使用して平行に排出する例であり、チャネルは互いに十分に近接して配置される。
模擬実験実施例
【0065】
以下は、本開示の様々な種を更に画定するために提出される実施例である。これらの実施例は、例示のみを意図しており、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。多面ノズル設計の高忠実度模擬実験を利用する複数の試験ケースが実施され、結果として生じるノズル排出挙動は、単一及び複数の液滴イベントに関して監視される。2つの焦点の領域は、印刷/噴出スループットにおけるエネルギー散逸の影響を強調し、基本的なパラメトリック分析を評価して、基本ノズル特性に関するスループット測定基準の感度を研究することである。これらの模擬実験に関連する関心のある出力は、目的の液滴特性、すなわち液滴速度、容積及び形状、並びにエネルギー散逸測定基準、すなわちメニスカス変位の緩和時間である。例示的な研究で行われた研究は、図4A及び図4Bにそれぞれ例示されるように、狭窄軸対称チャネルノズル設計及びシャワーヘッドマルチチャネル設計に制限されている。
【0066】
図9は、プリンタ実施形態のノズル及び基板部分の基本的な抽象図を例解する。ノズル900は、タンク902及び狭窄軸対称区間906を画定し、基本寸法、すなわち、タンク902の半径910、ノズル900の長さ912、狭窄軸対称区間906の長さ914、及び模擬実験及び初期化された2つの相、すなわち、モデル液体印刷材料904で構成される液相、及び気相908に対して固定されていると考えられる気相雰囲気908の長さ916を有するように示されている。第1の相は、代表的な印刷材料としての溶融温度で溶融アルミニウム合金のものに似た特性を有する液体である。第2の相は、外部雰囲気、例えば、アルゴン雰囲気と同様の特性を有するガスである。使用した前述の特性の値を表1に示す。最後に、ノズルの壁と液体/ガス界面との間の接触角を均一に想定し、60度に設定する。
【表1】
【0067】
図10は、本明細書の実施形態による、ノズルの上部境界に印加された圧力パルスを表す波形のプロットを例解する。この入力信号は、基板から4.5mmに設定されたノズルの上部境界に印加される圧力パルスである。信号は、図10に示される入来するパルス波形を有する。それは、正圧(押し出し)成分1002及び負圧(吸引)成分1004からなる。波形の正圧成分は、生成事象、又は波形の正の生成部分と呼ばれ得、液滴を生成する一方、排出事象又は波形の負の排出部分とも呼ばれ得、構成要素は、そのオリフィスからの分離を制御する。形の負圧成分、と呼ばれることもある一方で、オリフィスからのその分離を制御する。ノズルを操作し、所定の形状、容積、及び速度で液滴を排出するために、タンクと散逸区間との間の界面での時間的な適切な圧力パルス/信号が必要である。そのような信号は、図10に例示されるように、時間の2つの明確に識別可能な区間、初期のプッシュ信号、続いてプル信号で構成され得る。プッシュ区間は、タンク内の流体を圧縮し、ノズルの散逸性及び整形区間を通してそれを押し出し、整形区間の出口オリフィスでメニスカスを膨張させる。プル区間は、ノズル内の流体を吸引し、それを減速させ得、出口オリフィス近くの流体の速度の急激な変動を生成する。したがって、膨張したメニスカス内の流体は、ノズルから前方に移動するが、ノズル内の流体は、波形の引っ張り成分によって減速される。これにより、液滴が出口オリフィスの近くで分離するブレークアップ点が生成される。メニスカス内の流体の速度が十分に大きい場合、引張区間を必要とせずに液滴が現れ得る。次いで、メニスカスは、低い圧力を有する凹状領域が現れる点まで伸び、液滴がそこから破壊される。シグナルの引っ張り区間により、液滴がノズル内の流体からどのように分離するかの制御の程度を有効化する。範囲内のパルス当たりの液滴の速度、容積、及び数は、圧力信号の各部分の強度及び持続時間を調整することによって較正することができる。
【0068】
模擬実験例において監視された量は、本明細書の実施形態による候補ノズル設計の単一の液滴の生成に関連する観察を含む。ノズルの幾何学的形状及び入力信号を考慮すると、(a)単一の液滴が生成され、液滴が適切な形状(球形に近い)であり、(b)液滴が、その軌道全体を通して単一の液滴のままである(すなわち、より小さい液滴に分割することなく)。液滴質量の代わりとしての液滴容積も同様に定量化する。モデル印刷材料の流体がこの用途に対して非圧縮性であるため、容積は保存された量である。液滴速度は、液滴の重心の速度である容積平均速度として記録される。重力の影響が無視できるため、一定と見なされる。メニスカス緩和時間は、図8に示すように、液滴が排出された後のメニスカス変位の時間変動のエンベロープの指数関数的フィッティングC exp(-t/τ)の中の特徴的な時間τである。緩和時間は、ノズル内の流体の過剰な運動エネルギーが消費されるかどうかの尺度である。計算流体ダイナミクス(computational fluid dynamics、CFD)ソルバを使用して、OpenFOAMプラットフォームで模擬実験を実行し、インターフォームルーチンを実施することができる。このルーチンは、容積の流体の数値近似を使用する2つの非圧縮性の等温不混和性流体のソルバである。
【0069】
狭窄軸対称ノズル設計模擬実験の場合、単一の液滴事象は、上部タンクの上部に印加された1つの圧力パルスを含み、それによって1つの液滴を排出する。図6A及び6Bは、それぞれ、軸対称の仮説を満たす標準的かつ狭窄ノズル設計のスナップショットを示す。図7に例解するように最大変位を時間の関数としてプロットしてインターフェースの軌道を記録することによってシステム応答が監視され、これにより、図8に示されるプロットと同様のプロットが得られる。得られたプロットは、標準的な、及び狭窄ノズル設計の両方について、液滴排出が記録された後の自由メニスカス振動を示す。両方の模擬実験では、初期スパイクは、液滴の生成及び破壊のモーメントを示し、続いてメニスカスが弛緩するときに減衰された振動を示す。非狭窄設計に関連するデータは、標準的(非狭窄)ノズルにおける単一の液滴排出後の自由に振動するメニスカスの実現である。この特定の場合では、ノズル設計は、出口オリフィスの場合、500μmの直径を有する、図5Aに表されるノズル設計と同様である。緩和時間τは、9.82ミリ秒によって上限とされている。図5Bの狭窄軸対称設計に関連するデータは、狭窄部半径170μm及び400μmの狭窄長さを有する狭窄ノズル上での同一の模擬実験実行である。整形区間の長さは、100μmであり、出口オリフィスの半径は、250μmに等しい。この場合、メニスカス沈降は、≦4.95ミリ秒と、著しく速く発生する。緩和時間の比は、前述の式から予想されるように、面積の比率に非常に近い。
異なるパルス周波数でのノズルの挙動
【0070】
次いで、定常状態動作で印刷している間に使用されるものに似た異なる周波数を用いて、圧力パルスを周期的に時間的に繰り返すと、同じ狭窄及び狭窄されていないノズルの挙動を研究した。200Hz、255Hz、及び300Hzの周波数で20液滴が排出される模擬実験を行った。図11A図11Fは、本明細書の実施形態による3つの噴出周波数について、狭窄あり及び非狭窄ノズルの複数の液滴模擬実験を示す一連のプロットである。液滴の容積及び容積平均速度が、液滴数に対してプロットされている。図11A図11C、及び図11Eにでは、20の液滴の滴容積が、それぞれ200Hz、255Hz、及び300Hzについてプロットされている。図11B図11D、及び図11Fでは、20の液滴の容積平均速度が、それぞれ、200Hz、255Hz、及び300Hzについてプロットされている。図11A図11Fにプロットされた20液滴にわたる容積及び容積平均速度の標準偏差を表2に示す。また、非狭窄ノズル設計について、排出された液滴の85%、45%、及び80%が、それぞれ発射周波数200Hz、255Hz、及び300Hzで、基板に到達する前に離れて破壊されることがわかった。狭窄ノズル設計の対応する速度は、発射周波数200Hz、255Hz、及び300Hzでそれぞれ0%、0%、及び10%である。すべての試験された排出周波数では、狭窄ノズルの結果は、非狭窄ノズル設計のより激しい変形例とは対照的に、液滴から液滴への非常に規則的な挙動を表示する。
【表2】
【0071】
図12は、開示された1つ以上の実施形態によるノズル設計の一部分の概略断面図を示し、狭窄軸対称ノズル設計に関連する幾何学的考慮事項を例解する。後続の模擬実験で使用されるノズル1200設計は、狭窄部の直径である散逸区間1202及び整形区間1204の両方の寸法を表す調整可能な設計パラメータを有し、これは、散逸区間1202の狭窄d 1206の直径及び整形区間1204の出口オリフィスd 1220の直径である。図12に例解されるノズル模擬実験設計のための固定パラメータは、散逸区間1202の長さl 1208と、散逸区間1202と整形区間1204の間の遷移長l 1210と、整形区間1204の長さl 1212を含む。他の固定寸法には、出口オリフィス長κ 1214、上部κ 1216及び下部κ 1218が含まれ、マージ部分の遷移長さ、又はノズルの様々な区間を接続する遷移ゾーンを表す。
パラメータ研究I:狭窄直径
【0072】
前述のように、ある特定の実施形態では、ノズルの幾何学的形状は、主に液滴の形状、破断後の液滴軌道、その容積及び速度を制御する。また、幾何学的形状は、エネルギーの散逸を制御するように修正することができる。図12に関して示され説明される研究の結果を図13A及び図13Bに示す。図13A及び図13Bは、それぞれ、狭窄直径dcの関数としての排出された液滴容積平均速度、及び狭窄直径dcの関数として排出した液滴容積のプロットである。狭窄直径が減少するにつれて、排出された質量の速度及び容積も最初に減少する。明らかに、より狭い断面壁は、液体の流れを妨げる。圧力パルスは追加のエネルギーを補償しないため、より少ない材料が排出され、速度が遅くなる結果となる。最後に、狭窄直径dc=0.4、0.3、0.2mmについて、緩和時間は、それぞれ、0.0083秒、0.0049秒、及び0.0039秒を上限とする。これは、予想される関係τ ∝ d2cと一致する。容積平均速度における単調性図13Bでは、dc/deがおよそ78%となる近辺で有意な変化が観察できる。容積平均速度は、それまで、dcで着実に減少し、その後、dcが更に減少すると、急激に増加する。同じdcの値で、排出容積の値のジャンプが見られる。この挙動は、狭窄部の直径が減少するにつれて、その内部の流体の速度が増加するという事実に起因し得る。速い移動流体が整形区間に入ると、流体の粘度及び圧力の増加は、整形区間の外部領域上の流体を加速するのに十分ではない。したがって、散逸区間から来る流体は、周囲の流体への運動量の損失が少なくなり、それをより速い速度でノズルから出る。排出された質量は、多くの場合、著しく異なる速度を有する流体を伴い、これにより、液滴の破壊及び時にはサテライトの排出につながり得る。
パラメータ研究II:入力信号
【0073】
入力信号及び対応する波形は、ノズル/液体システムに入るエネルギーを提供する。それは、主に液滴速度及び容積を制御し、その結果として、時間及び位置のブレークアップ仕様に影響を与える。第2に、入力信号は、ノズル設計模擬実験における液滴形状及びエネルギーの散逸に影響を及ぼす。印刷デバイスでは、図10に示されるものなどの波形は、信号の強度及び負の部分の持続時間を制御するハードウェア回路の出力である。ノズルの幾何学的形状が固定されている場合、圧力信号の形状を画定及び調整して、所望の特性を有する液滴を得ることができる。圧力信号に対する液滴の特徴の感度を探索する1つの方法は、実現された波形を基準として固定し、その強度及び持続時間に影響を及ぼすハードウェアベースのコントローラに、その代わりとして、倍率パラメータを導入することである。図14は、一実施形態による、その正及び負の成分を示す特徴的な波形の時空間的にスケーリングされたプロットである。基準パルス1402の系統的な修正は、パラメータMp(波形の正の生成部分の大きさ)1404、パルスの正の部分を増減するtp(波形の正の生成部分の持続時間)1406、アナログパラメータMn(波形の負の排出部分の大きさ)1408、パルスの負の部分のためのtn(波形の負の排出部分の持続時間)1410の変動によって、図14に示される波長のいくつかのパラメータに対して模擬試験される。この変化は、波長1412によって表される。dc=0.35、de=0.4、及びld=0.05によって画定されたノズルの幾何学的設計に関しては、変化するMp及びtpを有する液滴特性について計算した結果を図15A図15Dに示す。図15A図15Dは、一実施形態による、図14の波形の正の部分のパラメトリック模擬実験及び液滴速度及び容積に対する波形効果の結果を示す一連の4つのプロットである。図15A及び図15Bは、それぞれ、速度対Mp、及び容積対Mpのプロットである。図15C及び図15Dは、それぞれ、速度対tp及び容積対tpのプロットである。圧力パルスの押し出し部分の効果が示される一方で、波形の引っ張り/吸引部分を一定、かつ、基準信号に等しく保っている。液滴特性の強い線形挙動は、押し出しパラメータに関して観察することができる。両方の量の滑らかな変動は、いくつかの範囲内の液滴の容積及び速度を調整するために信号を調整する可能性を例解している。しかしながら、容積のこの滑らかな変動及びパルスパラメータを伴う速度は、それらが液滴形状に有する効果を反映していないが、これは著しく変化し得る。十分な大きさのMpを有し、かつ確かに図15A及び図15Bの範囲内での圧力パルスは、細長すぎ、かつ/又は排出後に破壊する細液滴を生成するのに十分に流体を加速する。したがって、そのような範囲の許容可能な形状の1つの単一の液滴を形成する可能性は低い。Mp及びtp値を変更することとは対照的に、Mn及びtnの値は、複雑な方法で液滴特性に影響を与える。これらの研究の範囲外の他のパラメトリック研究の結果は、Mnとして大きい値を推奨し、tnはダイナミクスにおいて負の影響を及ぼす。これらの負の影響範囲は、ノズル内及び排出された液滴内の流れを遅延させて、部分的により強い吸引による大きな運動エネルギー負荷を誘導し、不必要に長い時間を散逸させる。
【0074】
追加の実験は、図4Bのシャワーヘッドマルチチャネルノズル設計を使用して行われ、散逸区間は、少なくとも2つの複数の狭窄チャネルで構成される。図4Bに関して先に論じたように、このチャネルの緩和時間は、各狭いチャネルの断面の面積の合計と一致する。このマルチチャネルノズル設計の追加の利点は、メニスカスを出口オリフィス上でより分布する様式で押し出すことによって、排出時に複数の液滴を生成することなく、流体が散逸区間を通ってパルス又は排出することができる速度の範囲を増加させることである。図16A及び図16Bは、それぞれ4つのチャネル及び5つのチャネルを有するマルチチャネルノズルにおける散逸区間の上面図を例解する。図16A及び図16Bに示される設計を使用して、液滴排出の追加の研究を研究した。図16Aのマルチチャネルノズル設計1602は、それぞれ直径が160μmの4つの対称的に配置されたチャネル1602A、1602B、1602C、1602Dを含み、図16Bのマルチチャネルノズル設計1604は、各々直径が120μmの5つの対称的に配置されたチャネル1604A、1604B、1604C、1604D、1604Eを含む。図17は、標準的な非狭窄ノズル設計実施形態と比較して、図16A及び図16Bのマルチチャネルノズルの実施形態からの液滴の排出の時間の関数としての模擬メニスカス変位を示すプロットである。図17は、図16Aの4チャネルマルチチャネルノズル設計の単一の液滴事象におけるメニスカス運動と、標準的なノズル設計と比較した図16Bの5チャネルマルチチャネルノズル設計とを例解する。経時的なメニスカス運動の結果、マルチチャネルの散逸区間を持つ4チャネルと5チャネルのノズルデザインは、いずれも標準デザインよりもかなり速くエネルギーを散逸させることを示唆し、上限推定値は標準的な設計で0.0098秒、4チャネルで0.005秒、5チャネルのノズルで0.003秒であった。
【0075】
本開示を、例示的な実施態様を参照して説明してきた。限定された数の実装形態が図示及び説明されてきたが、当業者は、前述の発明を実施するための形態の原理及び趣旨から逸脱することなく、これらの実装形態において変更がなされ得ることが理解されるであろう。本開示は、添付の特許請求の範囲又はその均等物の範囲内にあるような、そのような修正及び変更のすべてを含むものとして解釈されることが意図される。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図11F
図12
図13A
図13B
図14
図15A
図15B
図15C
図15D
図16A
図16B
図17