(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022130348
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】大鋏用指環
(51)【国際特許分類】
B26B 13/20 20060101AFI20220830BHJP
【FI】
B26B13/20
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022027423
(22)【出願日】2022-02-25
(31)【優先権主張番号】17/184,935
(32)【優先日】2021-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/674,735
(32)【優先日】2022-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】522027242
【氏名又は名称】パノシアン,マイケル エイチ.
(71)【出願人】
【識別番号】522027253
【氏名又は名称】キーラー,ジョシュア エム.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】パノシアン,マイケル エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】キーラー,ジョシュア エム.
【テーマコード(参考)】
3C065
【Fターム(参考)】
3C065AA06
(57)【要約】
【課題】 大鋏用指環を提供する。
【解決手段】 大鋏の上部指環は、切断面に実質的に直角な横断面に配置された下部の実質的に平坦な内部表面を有し、親指の中手骨を右側面から実質的に完全に挿入できるように寸法化されて構成され、親指を切断面に実質的に平行な配向に左側面上の位置に動かすことができ、手の母指球を平坦な内部表面に対して当接して位置付ける一方で、母指球及び掌を下部指環に作用する指によって加えられた力に反抗させることができるように、上部指環の少なくとも右外側部を掌に対して当接し、手の母指球皮線を越えて手の掌皮線の少なくとも1つの領域の中に入るように位置付けるために、親指の腹を受領するためのものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大鋏を作動中に使用者の親指へのストレスを低減するための前記大鋏であって、
第1のレバー及び前記第1のレバーにピボットで枢動可能に連結された第2のレバーであって、各レバーは、開位置から閉位置に枢動可能であり、刃は各レバー上に形成され、前記刃は前記閉位置において長手方向軸を画定する、第1のレバー及び第2のレバーと、
前記第1のレバー上に形成された第1の指環、及び前記第2のレバー上に形成された第2の指環であって、前記第1の指環は、前記使用者の前記親指の母指球を受領するように適合された実質的に平坦な内部側面を含み、前記第2の指環は、前記使用者の少なくとも1指を受領するように適合された第2の内部表面を画定するので、前記実質的に平坦な内部表面に対する前記母指球と、前記第2の内部表面に対する前記少なくとも1指との組み合わせた圧力は、前記第1のレバー及び前記第2のレバーをそれらの対応する閉位置に付勢する、第1の指環及び第2の指環とを含み、
前記実質的に平坦な内部表面及び前記第2の内部表面の両方は、前記長手方向軸の同じ側面上に位置付けられる、大鋏。
【請求項2】
前記第1の指環は、前記親指の前記掌面が作動中に前記実質的に平坦な内部表面に位置付けられるように、前記親指が第1の開口を通って延在することができるように適合された前記第1の開口を画定する、請求項1に記載の大鋏。
【請求項3】
前記第1の開口は、前記第1の指環の環状ループによって形成され、前記実質的に平坦な内部表面は前記環状ループ上に形成される、請求項2に記載の大鋏。
【請求項4】
前記第1の指環は、前記使用者の掌に対して当接し、前記手の掌皮線に向かって前記手の母指球皮線を越えて適合される、右外側部を更に含む、請求項3に記載の大鋏。
【請求項5】
前記第1の指環は、下部を更に含み、前記実質的に平坦な内部表面は前記下部から形成され、前記第2の指環は、第2の内部表面を含み、前記実質的に平坦な内部表面及び前記第2の内部表面は、前記第1のレバー及び前記第2のレバーが、それらの閉位置に動いた時に互いに概ね平行である、請求項2に記載の大鋏。
【請求項6】
前記第1の指環は、前記大鋏の作動中に前記親指と人差し指との間の前記手の皮膜を受領するように適合された凹んだ湾曲表面を有する、請求項3に記載の大鋏。
【請求項7】
前記第1のレバーの前記閉位置及び前記第2のレバーの前記閉位置は、前記第2の指環に対して前記第1の指環を当接することによって画定される、請求項2に記載の大鋏。
【請求項8】
前記開口は、前記開口を通って前記親指の前記中手骨を挿入できる、請求項2に記載の大鋏。
【請求項9】
前記第2の指環は、前記大鋏の作動中に少なくとも1指が前記第2の開口を通って延在し、第2の内部表面上に位置付けることができるように適合された第2の開口を画定する、請求項2に記載の大鋏。
【請求項10】
第2の内部表面は、第2の環状ループの一部として形成される、請求項9に記載の大鋏。
【請求項11】
前記第1の指環は、前記長手方向軸から50°~60°の範囲内の角度で延在する、請求項1に記載の大鋏。
【請求項12】
前記第1の指環は、平坦な底部表面を更に含み、前記第1の指環の前記実質的に平坦な内部表面は、前記平坦な底部表面に対して一定の傾斜角度で傾斜する、請求項2に記載の大鋏。
【請求項13】
前記傾斜角度は、10°~20°である、請求項12に記載の大鋏。
【請求項14】
前記傾斜角度は、15°~17°である、請求項13に記載の大鋏。
【請求項15】
大鋏を作動中に使用者の親指へのストレスを低減するための前記大鋏であって、
第1のレバー及び前記第1のレバーにピボットで枢動可能に連結された第2のレバーであって、各レバーは、開位置から閉位置に枢動可能であり、刃は各レバー上に形成され、前記刃は前記閉位置において長手方向軸を画定する、第1のレバー及び第2のレバーと、
前記第1のレバー上に形成された第1の指環、及び前記第2のレバー上に形成された第2の指環であって、前記第1の指環は、前記使用者の前記親指の母指球を受領するように適合された実質的に平坦な内部側面を含み、前記第2の指環は、前記使用者の少なくとも1指を受領するように適合された第2の内部表面を画定するので、前記実質的に平坦な内部表面に対する前記母指球と、前記第2の内部表面に対する前記少なくとも1指との組み合わせた圧力は、前記第1のレバー及び前記第2のレバーをそれらの対応する閉位置に付勢する、第1の指環及び第2の指環とを含み、
前記実質的に平坦な内部表面及び前記第2の内部表面の両方は、前記長手方向軸の同じ側面上に位置付けられ、
前記第1の指環は、下部を更に含み、前記実質的に平坦な内部表面は前記下部から形成され、前記第2の指環は、第2の内部表面を含み、前記実質的に平坦な内部表面及び前記第2の内部表面は、前記第1のレバー及び前記第2のレバーが、それらの閉位置に動いた時に互いに概ね平行である、大鋏。
【請求項16】
前記第1の指環は、前記親指の前記掌面が作動中に前記実質的に平坦な内部表面に位置付けられるように、前記親指が第1の開口を通って延在することができるように適合された前記第1の開口を画定し、
前記第2の指環は、前記大鋏の作動中に少なくとも1指が前記第2の開口を通って延在し、第2の内部表面上に位置付けることができるように適合された第2の開口を画定する、請求項15に記載の大鋏。
【請求項17】
前記第1の開口は、前記第1の指環の環状ループによって形成され、前記実質的に平坦な内部表面は前記環状ループ上に形成され、
前記第1の指環は、前記使用者の掌に対して当接し、前記手の掌皮線に向かって前記手の母指球皮線を越えて適合される、右外側部を更に含み、
前記第1の指環は、下部を更に含み、前記実質的に平坦な内部表面は前記下部から形成され、前記第2の指環は、第2の内部表面を含み、前記実質的に平坦な内部表面及び前記第2の内部表面は、前記第1のレバー及び前記第2のレバーが、それらの閉位置に動いた時に互いに概ね平行であり、
前記第1の指環は、前記大鋏の作動中に前記親指と人差し指との間の前記手の皮膜を受領するように適合された凹んだ湾曲表面を有する、請求項16に記載の大鋏。
【請求項18】
前記第2の指環は、前記大鋏の作動中に少なくとも1指が前記第2の開口を通って延在し、第2の内部表面上に位置付けることができるように適合された第2の開口を画定し、第2の内部表面は、第2の環状ループの一部として形成される、請求項17に記載の大鋏。
【請求項19】
前記第1の指環は、前記長手方向軸から50°~60°の範囲内の角度で延在する、請求項17に記載の大鋏。
【請求項20】
前記第1の指環は、平坦な底部表面を更に含み、前記第1の指環の前記実質的に平坦な内部表面は、前記平坦な底部表面に対して一定の傾斜角度で傾斜する、請求項17に記載の大鋏。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年2月25日に「大鋏用指環」の名称で出願された(特許文献1)の分割出願であり、その利益を主張し、その内容は米国特許法第120条の下でその全体を参照により本明細書に組み込む。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
1.発明の分野
本発明は、一般に手動切断工具に関し、より詳細には、大鋏、手鋏及び紙鋏などの切断工具用の指環構造に関する。
【0003】
2.先行技術の説明
紙鋏、大鋏及び手鋏などの多くの手動工具は、軽い又は柔らかい材料から板金などの重い材料に至るまでの様々な材料の切断を促進するために、多数の構成で長年にわたって提案されてきた。これらの切断工具のほとんどは、工具を快適に使用できることを目標に設計されてきたが、ほとんどの設計は使用者にストレス、負担及び疲労をもたらすことが多い。
【0004】
手の全指の力は大体同じ又は等しいと概して理解されるが、紙鋏、大鋏又は手鋏のハンドルを把持する又は握ることは、一般的に親指1本が一方の上部指環に作用する一方で、残りの4指が親指によって加えられた力に対抗するために他方すなわち反対の指環に作用するものである。従って親指は、残りの4指によって加えられた集合的な反対の力に対抗するために、1指で不均衡な力を加えなければならない。これにより、親指の屈筋へのストレスが増加する。その結果として、これは、特に長時間の使用、並びにボール紙、板金及び同種のものなどのより重い材料の切断で使用者に疲労をもたらす。
【0005】
Heinischによる(特許文献2)は、掌の外側に延在し、大鋏を使用する時に手の一部がその上に載る、広く外方及び後方に延在する座部又は台を含む、大鋏を開示している。その上に親指及び親指の腹が載る拡張部は座部又は台から延在し、掌全体を利用して大鋏を作動する時に本体の重量を支える。しかし延在した座部又は台は、切断中に力を加えるために親指に依存し続ける。また拡張部及び種止め部の形状は凸状であり、1つ又は複数の山形があるため、1つ又は複数の圧力点を掛ける可能性があり、過剰なストレス点をもたらし、長時間使用すると使用者に痛み及び疲労を与えることになる。類似構造は、関連した(特許文献3)に開示されている。
【0006】
Wheelerによる(特許文献4)は、長時間の使用で操作者の疲労が少ないように設計された大鋏を開示している。大鋏は、親指を手首に合わせて弓部に挿入し、弓部を通過した後、親指の弓部をオフセットすることによってシャンクに重みがかかるように、指の弓部の平面に対して45°の角度の平面内にある斜めの親指ループを含む。親指の弓部を作動するために加えられた力は、親指のほぼ横方向及び親指の第2関節の上に加えられる。親指の弓部の配向は弓部をより人間工学的にするが、残りの4指の力に対抗又は反抗するために加えられる力は、依然として親指によって加えられる。
【0007】
Chapinによる(特許文献5)は、中心平面又は軸Bから45°未満の角度だけオフセットした中心軸Aを有するリングを含む、手動切断工具を開示している。従来の大鋏と同様に、他の設計より人間工学的であるが、他の指によって加えられた力に対抗するために、親指の屈曲に引き続き依存する。
【0008】
Linによる(特許文献6)は、1組の紙鋏のための環構造を開示している。親指を受領するための上部環部は、親指の付け根の一部を支持するように構成され、従来の設計におけるように刃に対して斜角で親指を受領するように構成されている。設計は、紙鋏の2つの刃の望ましくない偏向を避け、切断工程中に2つの刃を最良の垂直状態に保ち、切断の質及び安全性を効果的に改善することによって、紙鋏を開閉中に安定性を向上させることを主に意図する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願第17/184,935号
【特許文献2】米国特許第454,735号
【特許文献3】米国特許第760,204号
【特許文献4】米国特許第968,219号
【特許文献5】米国特許第4,635,363号
【特許文献6】米国特許出願公開第2011/0131813号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
発明の概要
従ってほとんどの既存の切断工具に固有の不都合を克服する紙鋏、手鋏又は大鋏などの切断工具を提供することが、本発明の目的である。
【0011】
使用が容易で便利である切断工具を提供することが、本発明の別の目的である。
【0012】
工具を作動するためにレバーの力を増強し、同時に作動を促進し、使用者への快適さを増すために切断工具を提供することが、本発明の依然として別の目的である。
【0013】
使用者が手、特に親指にあまりストレスを受けずに、より厚い又はより固い材料を切断できる切断工具を提供することが、本発明の尚別の目的である。
【0014】
操作が容易な検討中の型の切断工具を提供することが、本発明の更なる目的である。
【0015】
より長時間使用することができ、操作者をあまり疲労させない、前述のような切断工具を提供することが、本発明の依然として更なる目的である。
【0016】
使い心地が良いだけでなく、切断作動の精度及び制御も増す、人間工学的に設計された切断工具を提供することが、本発明の尚更なる目的である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上の目的、並びに以下で明らかになる他の目的を達成するために、本発明による1組の紙鋏又は大鋏用の把持構造は、ピボットポイントで枢動可能に連結された2つのレバーを含み、前記レバーの遠位端に実質的に平行な刃を形成する。刃は、中間切断面を画定し、前記切断面内で開位置と閉位置との間で前記ピボットポイントを中心に枢動可能に動くことができ、閉位置では前記ピボットポイントで線又は長手方向軸を画定する。各レバーは、前記ピボットポイントに対して近位端に指環が形成され、第1の指環は、前記線又は軸の上に形成された上位又は上部指環であり、前記刃の前記閉位置において前記線又は軸に最も近く、前記線又は軸に概ね平行な方向に沿って長手方向に延在し、前記切断面に実質的に直角な横断面内に配置された、実質的に平坦な内部表面が形成された下部を有する。上部指環は、親指を前記切断面に実質的に平行な配向に左側面の位置に動かすことができ、手の母指球を前記第1の指環の前記概ね平坦な内部表面に対して当接するように位置付ける一方で、前記ループの少なくとも右外側部が、掌と当接又は接触して、手の母指球皮線を超えて手掌皮線の少なくとも1つの領域の中に入るように位置付けるために、親指の腹を受領するための前記上部指環を通って右側面から親指の中手骨を実質的に完全に挿入できるように寸法化されて構成される。第2の指環、下部指環は、前記第1の指環の下に位置付けられ、手の他の4指の少なくとも一部によって把持されるように構成されて寸法化される。このようにして、第1の指環により、母指球及び掌が前記第2の指環に作用する指によって加えられた力に対抗することができ、母指球に対して加えられた力は、母指球筋に対して均一に加えられ、親指が切断方向を案内することができるように掌面に移送される一方で、他の指によって前記第2の指環に加えられた力に対抗して加える屈曲又は把持力を最小にし、それによって親指の屈筋のストレス又は疲労を除去し又は最小にする。
【0018】
本発明の上記及び他の態様、特徴並びに利点は、添付図面と併せて見ると以下の記述からより明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図面の簡単な説明
【
図1】完全に閉じた状態で示された、本発明による紙鋏又は大鋏の左斜視図である。
【
図2】通常使用中の手の指の位置の仮想外形を示す、
図1に示された紙鋏又は大鋏の左側面図である。
【
図3】紙鋏又は大鋏が少し開いた状態である時の
図2に類似している。
【
図4】
図1~3に示された紙鋏又は大鋏の平面図である。
【
図5】親指を最初に挿入中で、ハンドルを把持する前の手の位置の仮想外形を示す、
図1~4に示された紙鋏又は大鋏の底面図である。
【
図6】上部指環の構成の詳細を示すために、右側面から見た際の拡大断片図である。
【
図7】7-7線に沿って切り取った、
図6に示された上部指環の断面図である。
【
図8】上部指環の下部構成、並びに手の母指球及び掌面に関連して配置される方法を示すために引き離した、先の図に示された紙鋏又は大鋏の底面図である。
【
図9】
図2に類似しており、両方の指環を軸の上に位置付けるために両方の指環が軸から角度を付けてオフセットされた、大鋏の別の実施形態を示す。
【
図10】
図2及び
図9に類似しており、両方の指環を軸の上に位置付けるために両方の指環が軸から直線的にオフセットされた、大鋏の依然として更なる実施形態を示す。
【
図11】11-11線に沿って切り取った、
図2に示された指環の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
詳細な説明
次に図を詳細に参照すると、同一又は類似の部分は全体を通して同じ参照番号によって示されており、まず
図1を参照すると、紙鋏、大鋏、手鋏又は他の同様の切断器具は、概ね参照10によって示されている。全てのこのような切断工具は、本明細書では集合的に「大鋏」と呼ばれる。
【0021】
大鋏10は、ピボットポイントを形成するピボット16で互いに連結された2つのレバー12、14を含む。レバーは、実質的に平行な刃12a、14aを形成する。刃12a、14aは、中間切断面CPを画定し、切断面内の開位置と閉位置との間でピボット16を中心に枢動可能に動くことができる。閉位置では、刃12a、14aは、ピボット16で線又は長手方向軸Aを画定する。
【0022】
各レバーは、ピボット16に対して近位端に指環が形成される。第1の指環12bは、線又は軸Aの上に形成された上位又は上部指環である。第1又は上部指環は、線又は軸Aの上に形成され、刃が閉じた時に線又は軸Aに最も近く、線又は軸Aに概ね平行な方向に沿って長手方向に延在する実質的に平坦な内部表面12dで形成された下部12cを有する。
【0023】
第1又は上部指環12bは、親指を切断面CPに実質的に平行な配向に左側面の位置に動かすことができ、手の母指球TEを上部指環12bの概ね平坦な内部表面12dに対して当接するように位置付ける一方で、指環の少なくとも外右側部12eが、
図8に最も良く示されたように掌Pと当接又は接触し、手の母指球皮線TCを超えて手掌皮線PC1及びPC2の少なくとも1つの領域の中に入るように位置付けるために、右側面から指環12bを通って、
図5及び
図8に最もよく示されたように親指の腹又は母指球TEを受領するため、及び親指の腹を受領するための上部指環12bを通って右側面から親指の中手骨を実質的に完全に挿入できるように寸法化されて構成される。
【0024】
第2又は下部指環14bは、
図1~
図8に示された実施形態では、線又は軸Aの下に配置され、
図2及び
図3に示されたように、手のその他の4指又はその他の4指の少なくとも一部によって把持されるように構成されて寸法化される。しかし軸Aに対する指環の位置は重要ではなく、軸から角度を付けて又は直線的にオフセットすることができる。例えば両方の指環が、軸の上に両方の指環を位置付けるために軸から角度を付けてオフセットされた
図9、及びやはり両方の指環を軸の上に位置付けるために、両方の指環が軸から直線的にオフセットされた
図10を参照されたい。オフセットは、指環を軸の下に位置付けることもでき、
図9及び
図10に示されたオフセットと反対のオフセットから生じることができ、直線的及び角度が付いたオフセットの組み合わせも含むことができる。
【0025】
第1又は上部指環12bは、親指が刃12a、14aと実質的に位置合わせされた時に、親指と人差し指との間の母指球の指間腔又は皮膜を収容するために、左側面上に平坦な内部表面12dが連続している先端又は遠位端に凹んだ湾曲表面12fが好ましくは形成された環状ループとして構成される。
【0026】
図4を参照すると、上部指環12bは、中心軸A’を画定し、中心軸A’は、切断面CP又は軸Aから50°~60°の範囲内の角度θだけ傾け又は角度を付けてオフセットされる。好ましくは、角度θはほぼ55°に等しい。
【0027】
内部表面12dは、母指球又は親指の腹及び母指球筋にわたって均一に力を分配するために、
図11に示されたように実質的に平坦である。この表面12dにいかなる有意の湾曲又は山もなく、母指球筋上への力の集中が回避され、使用者への大きな痛みの可能性を防止する。また工具により人間工学性及び使用の快適性を提供するために、平面12dは、上部指環12bと把持係合する間に手の形状に合わせるために、右側面から左側面に向かって上方に若干傾斜してもよい。平面の傾斜は、
図11に最も良く示されており、ここでは平面は、切断面CPに実質的に直角な面NPに対して左から右側面に下方に傾斜して示されている。傾斜角度γは、10°~20°の範囲内、好ましくは15°~17°の範囲内である。
【0028】
大鋏の使用に備えて、
図5を参照すると、親指は、母指球TEが実質的に平面12dの上に載り、親指が刃12a、14aと実質的に位置合わせされた
図8に示された位置に親指が動くことができるように、上部指環12bの中に完全に挿入される。一旦指が把持位置に曲げられると、右外側部又は縁部12eは、掌面PSと当接し、母指球皮線TCを超えて手掌皮線PC1及び/又はPC2と接触して置かれる。重要なことに、親指は、一旦
図3に示された位置に付くと、主に切断方向を安定させて導く働きをする一方で、下部指環14bに作用する他の4指を握る力に反対又は対抗する親指によって加えられた屈曲力を除去又は実質的に低減し、それらの力は掌によって吸収又は逆転される。このようにして母指球筋は、大鋏の作動中に曲げる必要はなく、実質的に静止したままであることが可能であり、親指へのストレス及び負担を実質的に低減する。設計は人間工学的であるだけでなく、特に長時間の使用の疲労を回避しながら、又はより固い材料を切断しながら、大鋏をより快適で使いやすくさせる。
【0029】
図1~
図8に示された大鋏10は、上部指環12bが概ね軸Aの上に置かれ、下部指環14bが軸の下に位置付けられた大鋏を示すが、本発明は他の構成の大鋏、紙鋏又は手鋏に使用されてもよい。このようにして、
図9及び
図10を参照すると、大鋏の他の一般的な構成は、上部指環及び下部指環の両方が、軸Aの上に位置付けられて示されている。全ての場合に、上部指環12bに対する前述の構成は実質的に同じである。
【0030】
前述は、本発明の原理のみを例示すると考えられる。更に多くの修正及び変更が当業者には容易に思いつくので、本発明をまさに示され記載された構造及び作動に限定することが望ましいのではなく、従って本発明の範囲内に収まる全ての適切な修正及び等価物が、利用されてもよい。
【符号の説明】
【0031】
10 大鋏
12 レバー
12a 刃
12b 第1又は上部指環
12c 下部
12d 実質的に平坦な内部表面
12e 右外側部
12f 凹んだ湾曲表面
14 レバー
14a 刃
14b 第2又は下部指環
16 ピボット
A 長手方向軸
A’ 中心軸
CP 切断面
NP 平面
PC1 手掌皮線
PC2 手掌皮線
PS 掌面
TC 母指球皮線
TE 母指球
【外国語明細書】