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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022130357
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】検知装置、検知方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20220830BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20220830BHJP
   G07C 5/00 20060101ALI20220830BHJP
   B60W 40/09 20120101ALI20220830BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20220830BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20220830BHJP
   G16Y 40/20 20200101ALI20220830BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/16 A
G08G1/16 F
G07C5/00 Z
B60W40/09
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041859
(22)【出願日】2022-03-16
(62)【分割の表示】P 2021028383の分割
【原出願日】2021-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】595140170
【氏名又は名称】東京海上日動火災保険株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】598059572
【氏名又は名称】東京海上ディーアール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】伊東 健
(72)【発明者】
【氏名】駒田 悠一
【テーマコード(参考)】
3D241
3E138
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA70
3D241DA13Z
3D241DA39Z
3D241DA52Z
3D241DB02Z
3D241DB05Z
3D241DD02Z
3D241DD04Z
3D241DD05Z
3D241DD07Z
3E138AA01
3E138MA01
3E138MB01
3E138MB10
3E138MB12
3E138MB13
3E138MB15
3E138MD02
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB13
5H181BB15
5H181BB20
5H181EE02
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL06
5H181LL09
5H181LL20
5H181MC04
5H181MC12
5H181MC27
(57)【要約】
【課題】ドライバーの運転の傾向が変化したことを検知することを可能とする技術を提供
すること。
【解決手段】車両の運転データを取得する取得部と、運転データに基づいて、運転者の運
転時間に関する運転時間モデルと、運転者が車両を運転する範囲を示す走行範囲モデルと
、運転者が車両を運転する方法に関する運転方法モデルとを決定する決定部と、運転時間
モデルの変化、走行範囲モデルの変化及び運転方法モデルの変化のうち少なくとも1つに
基づいて、運転者の運転傾向が変化したことを検知する検知部と、を有する検知装置を提
供する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転データを取得する取得部と、
前記運転データに基づいて、運転者の運転時間に関する運転時間モデルと、前記運転者
が前記車両を運転する範囲を示す走行範囲モデルと、前記運転者が前記車両を運転する方
法に関する運転方法モデルとを決定する決定部と、
前記運転時間モデルの変化、前記走行範囲モデルの変化及び前記運転方法モデルの変化
のうち少なくとも1つに基づいて、前記運転者の運転傾向が変化したことを検知する検知
部と、
を有する検知装置。
【請求項2】
前記決定部は、前記運転時間モデルと、前記走行範囲モデルと、前記運転方法モデルと
を、時間と対応付けて記録し、
前記検知部は、
第1時間における前記運転時間モデルと、前記走行範囲モデルと、前記運転方法モデ
ルと、第2時間における前記運転時間モデルと、前記走行範囲モデルと、前記運転方法モ
デルとを比較することで、前記運転者の短期的な運転傾向が変化したことを検知し、
第1時間における前記運転時間モデルと、前記走行範囲モデルと、前記運転方法モデ
ルと、前記第2時間よりも過去の時間である第3時間おける前記運転時間モデルと、前記
走行範囲モデルと、前記運転方法モデルとを比較することで、前記運転者の長期的な運転
傾向が変化したことを検知する、
請求項1に記載の検知装置。
【請求項3】
前記運転者の運転傾向が変化したことが検知された場合、前記運転者の運転傾向の変化
の内容に応じた所定の制御を行う制御部、を有する、
請求項1又は2の検知装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記所定の制御として、前記運転者に対して所定の通知を行う、
請求項3に記載の検知装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記所定の制御として、前記車両に搭載された運転サポート装置の設定
を変更する、
請求項3又は4に記載の検知装置。
【請求項6】
検知装置が行う検知方法であって、
車両の運転データを取得するステップと、
前記運転データに基づいて、運転者の運転時間に関する運転時間モデルと、前記運転者
が前記車両を運転する範囲を示す走行範囲モデルと、前記運転者が前記車両を運転する方
法に関する運転方法モデルとを決定するステップと、
前記運転時間モデルの変化、前記走行範囲モデルの変化及び前記運転方法モデルの変化
のうち少なくとも1つに基づいて、前記運転者の運転傾向が変化したことを検知するステ
ップと、
を含む、検知方法。
【請求項7】
車両の運転データを取得するステップと、
前記運転データに基づいて、運転者の運転時間に関する運転時間モデルと、前記運転者
が前記車両を運転する範囲を示す走行範囲モデルと、前記運転者が前記車両を運転する方
法に関する運転方法モデルとを決定するステップと、
前記運転時間モデルの変化、前記走行範囲モデルの変化及び前記運転方法モデルの変化
のうち少なくとも1つに基づいて、前記運転者の運転傾向が変化したことを検知するステ
ップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知装置、検知方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、車両を運転するドライバーの安全等を確保するために、ADAS(Advanced Dri
ver Assistance Systems)と呼ばれる機能の開発が進められている。ADASには様々な
機能が含まれており、例えば、前方に障害物があることの警告、衝突が避けられないと判
定された場合の自動ブレーキ及び車線を逸脱した場合の警告などが挙げられる。また、特
許文献1には、車両やドライバーから取得した情報に基づいてドライバーの眠気度を予測
する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-68935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
事故が生じる要因は様々であるが、必ずしも運転中に生じる要因に限られない。ドライ
バーに疲労が蓄積していたり、精神的なストレスを抱えていたり等の理由で乱暴な運転を
した結果事故を起こしたなど、正常時とは異なる状態であることが事故を引き起こす一因
となるケースがある。そのため、ドライバーの運転の傾向を把握することは、事故を未然
に防止するために必要であると考えられる。
【0005】
ADASは、自動車を運転中のドライバーに生じる一瞬の不注意を捉えて、自動的にブ
レーキをかけたり、警告を発したりといった何らかのアクションを行うことは可能である
。しかしながら、ADASは、ドライバーの精神状態が徐々に悪化しており、その結果運
転が徐々に乱暴になってきているなど、ドライバーの運転の傾向の変化を捉えることはで
きない。
【0006】
そこで、本発明は、ドライバーの運転の傾向が変化したことを検知することを可能とす
る技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る検知装置は、車両の運転データを取得する取得部と、運転データ
に基づいて、運転者の運転時間に関する運転時間モデルと、運転者が車両を運転する範囲
を示す走行範囲モデルと、運転者が車両を運転する方法に関する運転方法モデルとを決定
する決定部と、運転時間モデルの変化、走行範囲モデルの変化及び運転方法モデルの変化
のうち少なくとも1つに基づいて、運転者の運転傾向が変化したことを検知する検知部と
、を有する検知装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ドライバーの運転の傾向が変化したことを検知することを可能とする
技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る検知システムの一例を示す図である。
図2】検知装置のハードウェア構成例を示す図である。
図3】検知装置の機能ブロック構成例を示す図である。
図4】ドライバーの運転モデルを決定及び更新する処理手順の一例を示すフローチャートである。
図5】運転時間クラスタの一例を示す図である。
図6】運転時間の頻度の一例を示す図である。
図7】走行範囲クラスタの一例を示す図である。
図8】走行場所の頻度の一例を示す図である。
図9】運転方法クラスタの一例を示す図である。
図10】ドライバーの運転モデルの変化を検知する際の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図11】ドライバーの運転傾向の変化の内容に応じた所定の制御の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、各図において、同一
の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0011】
<システム構成>
図1は、本実施形態に係る検知システム1の一例を示す図である。検知システム1は、
ドライバーの運転の傾向が変化したことを検知し、変化の内容に応じたアクションを行う
システムである。変化の内容に応じたアクションには、事故を未然に防止するためにドラ
イバーに対し注意を促すことも含まれる(つまり事故予兆検知を行う)。検知システム1
は、検知装置10及び1以上の車両20を含む。検知装置10と車両20は、無線による
通信ネットワークを介して接続され、相互に通信を行うことができる。
【0012】
検知装置10は、車両20から運転データを取得し、取得した運転データに基づいてド
ライバー(運転者)の運転モデルを決定する。ここで、運転モデルとは、ドライバーが自
動車を運転する際の傾向を表す指標や型である。また、本実施形態における運転モデルは
、少なくとも、運転時間モデル、走行範囲モデル及び運転方法モデルの3種類のモデルを
含む。
【0013】
「運転時間モデル」は、ドライバーが自動車を運転する時間帯の傾向(例えば朝に運転
することが多い、朝と夜に運転することが多いなど)を表している。「走行範囲モデル」
は、ドライバーが自動車を運転する範囲の広さの傾向(例えば、近距離を運転することが
多いのか長距離を運転することが多いのか等)を表している。「運転方法モデル」は、ド
ライバーの運転方法の傾向(平均的な車速はどのくらいなのか、アクセル操作やハンドル
操作は丁寧なのか又は乱暴なのか等)を表している。
【0014】
例えば、近所の買い物などで午前中に運転することが多く、かつ、慎重に運転するドラ
イバーの場合、運転時間モデルは「午前中に運転」であり、走行範囲モデルは「自宅を中
心とした10km圏内を運転」であり、運転方法モデルは「アクセル操作及びハンドル操
作が丁寧」であるといったように、モデル化される。
【0015】
車両20には、検知装置10とデータの送受信を行う車載装置が搭載されている。車載
装置は、車両20又は車載装置が備える各種センサにより取得された各種データを検知装
置10に送信する。また、車載装置は、検知装置10からの指示に応じて車両20のAD
AS機能の設定を変更することや、検知装置10から受信したメッセージ等を表示する機
能を備える。
【0016】
検知装置10は、ドライバーの運転モデルが変化したことを検知した場合、運転モデル
の変化の内容に基づいて、例えば、ドライバーが運転する車両20又はドライバーが所有
する端末に所定の通知を行ったり、車両20に搭載されたADAS機能の設定を変更した
りといった制御を行う。
【0017】
<ハードウェア構成>
図2は、検知装置10のハードウェア構成例を示す図である。検知装置10は、CPU
(Central Processing Unit)、GPU(Graphical processing unit)等のプロセッサ1
1、メモリ、HDD(Hard Disk Drive)及び/又はSSD(Solid State Drive)等の記
憶装置12、有線又は無線通信を行う通信IF(Interface)13、入力操作を受け付け
る入力デバイス14、及び情報の出力を行う出力デバイス15を有する。入力デバイス1
4は、例えば、キーボード、タッチパネル、マウス及び/又はマイク等である。出力デバ
イス15は、例えば、ディスプレイ、タッチパネル及び/又はスピーカ等である。
【0018】
検知装置10は、1又は複数の物理的なサーバ等から構成されていてもよいし、ハイパ
ーバイザー(hypervisor)上で動作する仮想的なサーバを用いて構成されていてもよいし
、クラウドサーバを用いて構成されていてもよい。
【0019】
<機能ブロック構成>
図3は、検知装置10の機能ブロック構成例を示す図である。検知装置10は、取得部
101と、決定部102と、検知部103と、制御部104と、記憶部105とを含む。
記憶部105は、検知装置10が備える記憶装置12を用いて実現することができる。ま
た、取得部101と、決定部102と、検知部103と、制御部104とは、検知装置1
0のプロセッサ11が、記憶装置12に記憶されたプログラムを実行することにより実現
することができる。また、当該プログラムは、記憶媒体に格納することができる。当該プ
ログラムを格納した記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体(Non-
transitory computer readable medium)であってもよい。非一時的な記憶媒体は特に限
定されないが、例えば、USBメモリ又はCD-ROM等の記憶媒体であってもよい。
【0020】
取得部101は、複数の車両20から、車両20の運転データを取得し、記憶部105
の運転データDB(DataBase)に格納する。
【0021】
決定部102は、検知対象のドライバーの運転データに基づいて、運転モデルを決定し
、決定した検知対象のドライバーの運転モデルを、運転モデル履歴DBに格納する。より
詳細には、決定部102は、検知対象のドライバーの運転データに基づいて、ドライバー
の運転時間に関する運転時間モデルと、ドライバーが車両20を運転する範囲を示す走行
範囲モデルと、ドライバーが車両20を運転する方法に関する運転方法モデルとを決定し
、決定した運転時間モデルと、走行範囲モデルと、運転方法モデルとを運転モデル履歴D
Bに格納する。
【0022】
決定部102は、運転モデルをどのように決定してもよいが、所定期間(例えば1週間
前から現在まで等)の運転データを分析し、当該所定期間において所定回数以上現れるデ
ータ(例えば高頻度に現れるデータ)に従って運転モデルを決定するようにしてもよい。
【0023】
検知部103は、ドライバーの運転モデルの変化の有無に基づいて、ドライバーの運転
傾向が変化したことを検知する。より詳細には、検知部103は、運転時間モデルの変化
、走行範囲モデルの変化及び運転方法モデルの変化のうち少なくとも1つに基づいて、ド
ライバーの運転傾向が変化したことを検知する。
【0024】
制御部104は、検知部103によりドライバーの運転傾向が変化したことが検知され
た場合、ドライバーの運転傾向の変化の内容に応じた所定の制御を行う。所定の制御は、
ドライバーに対して運転傾向が変化していることを示す通知を行うことであってもよい。
運転傾向が変化していることを示す通知を行うことは、例えば、メッセージをディスプレ
イに表示することであってもよいし、アラーム音を鳴らすことやバイブレータを振動させ
ることあってもよい。また、所定の制御は、車両20に搭載されたADAS(運転サポー
ト装置)の設定を変更することであってもよい。
【0025】
記憶部105は、運転データDBと運転モデル履歴DBとを記憶する。
【0026】
<処理手順>
(運転モデルの決定)
図4は、ドライバーの運転モデルを決定及び更新する処理手順の一例を示すフローチャ
ートである。
【0027】
ステップS10で、取得部101は、複数の車両20から運転データを取得し、運転デ
ータDBに格納する。
【0028】
運転データは、どのようなデータであってもよいが、例えば、車両20の位置情報(G
PSの出力情報)、速度、加速度、進行方向、アクセル開度、ブレーキの強さ及びハンド
ル角度等を含んでいてもよい。また、運転データは、ドライバーの心拍数や、ドライバー
の表情を表す顔画像等を含んでいてもよい。運転データには、いつ計測されたデータであ
るのかを示す時刻データが含まれている。
【0029】
ステップS11で、決定部102は、検知対象のドライバーの運転データに基づいて、
運転方法モデルと、走行範囲モデルと、運転方法モデルとを決定する。また、決定部10
2は、決定した、検知対象のドライバーの運転方法モデルと、走行範囲モデルと、運転方
法モデルとを、いつの時点の運転モデルなのかを示す日付情報(例えば、2020年1月
20日~1月26日の1週間の運転データを用いて決定した運転モデルなど)と対応づけ
て運転モデル履歴DBに記録する。
【0030】
検知対象のドライバーは、どのように選択されたドライバーであってもよいが、例えば
、検知システム1を用いて事故予兆サービスを提供する企業等により選択されたドライバ
ー(例えば事故予兆サービスに加入しているドライバーなど)であってもよい。
【0031】
決定部102は、運転方法モデルと、走行範囲モデルと、運転方法モデルとをどのよう
に決定してもよいが、所定期間(例えば1ヵ月分など)の運転データを分析し、当該所定
期間において所定回数以上現れるデータ(例えば高頻度に現れるデータ)が、予め定めら
れたクラスタのうちどのクラスタに属するのかを判定することで運転モデルを決定するよ
うにしてもよい。
【0032】
図5は、運転時間クラスタの一例を示す図である。図5の例では、運転時間クラスタと
して、「1.夜間移動(18時~3時)」、「2.午後移動(13時~18時)」、「3
.午前移動(6時~12時)」、「4.早朝(3時~6時)及び夕方(15時~18時)
移動」及び「5.朝(6時~9時)及び夜間(18時~3時)移動」の5つのクラスタが
定められている。
【0033】
図6は、運転時間の頻度の一例を示す図である。図6は、5人のドライバーの各々のあ
る1ヵ月分の運転データを、1週間単位で集計したデータを示している。グラフにおいて
明るい部分は運転頻度が多い時間帯である。例えばドライバーAは、ある1ヵ月間におい
て夜間に多く運転していることが分かる。従って、決定部102は、ドライバーAの運転
時間モデルを、「1.夜間移動」であると決定する。同様に、ドライバーDは、早朝及び
夕方に多く運転していることが分かる。従って、決定部102は、ドライバーDの運転モ
デルを、「4.早朝及び夕方移動」であると決定する。
【0034】
図7は、走行範囲クラスタの一例を示す図である。図7の例では、走行範囲クラスタと
して、「1.近距離(4km未満)」、「2.中距離(4km以上~50km未満)」及
び「3.長距離(4km以上~50km未満)」の3つのクラスタが定められている。
【0035】
図8は、走行場所の頻度の一例を示す図である。図8は、地図上の各メッシュについて
、各メッシュをドライバーが走行した頻度を示している。凡例において走行頻度の数字が
大きいほど、走行頻度が高いことを意味している。決定部102は、走行頻度が所定の値
以上(例えば走行頻度が4以上)である全てのメッシュを含む範囲の大きさに基づいて、
走行範囲モデルを決定するようにしてもよい。例えば、決定部102は、全メッシュを含
む最小の円を描いた場合における当該円の半径を、ドライバーの走行範囲とするようにし
てもよい。例えば、当該円の半径が10kmであったとする。この場合、決定部102は
、ドライバーの走行範囲モデルは、「2.中距離」を運転するモデルであると決定するよ
うにしてもよい。
【0036】
図9は、運転方法クラスタの一例を示す図である。図9の例では、運転方法クラスタと
して、「1.低速域(30km/h未満)」、「2.中速域(30km/h以上70km
/h未満)」、「3.高速域(70km/h以上)」、・・・、「7.中速域+急減速停
止+急発進」等が定められている。
【0037】
例えば、決定部102は、所定期間の運転データを、定速走行中、加速中及び減速中に
分類する。また、決定部102は、定速走行中について、低速域(30km/h未満)で
の走行、中速域(30km/h以上70km/h未満)での走行、及び高速域(70km
/h以上)での走行に分類する。また、決定部102は、加速中については、通常の加速
度なのか、急加速なのかに分類し、減速中については、通常の減速度なのか、急減速(急
ブレーキ)なのか、更に急減速して停止したのかに分類する。続いて、決定部102は、
分類分けした場面のうち出現頻度が最も多い場面がどの運転方法クラスタに属するのかを
判定することで、ドライバーの運転方法モデルを決定する。
【0038】
図4に戻り説明を続ける。決定部102は、ステップS10及びステップS11の処理
手順を所定期間ごとに繰り返すことで、ドライバーの所定期間ごとの運転モデルを決定す
る(S12-NO)。また、決定部102は、運転モデルの変化を検知する必要がなくな
ったドライバーについては処理を終了する(S12-YES)。つまり、ドライバーの運
転モデルは、所定期間の単位で決定されていく。所定期間は、例えば1週間単位や1ヵ月
単位などであってもよい。これにより、運転モデル履歴DBには、検知対象のドライバー
の運転モデルが所定期間ごとに順に記録されていくことになる。例えば、所定期間が1ヵ
月単位である場合、2020年1月の運転モデル(より正確には1月1日~1月31日ま
での運転データに基づく運転モデル)、2020年2月の運転モデル(より正確には2月
1日~2月29日までの運転データに基づく運転モデル)、2020年3月の運転モデル
、・・・、2020年12月の運転モデルといったように、運転モデルが記録されていく
ことになる。
【0039】
なお、図4に示す処理手順は、蓄積された過去の運転データに対してバッチ処理として
実行されるようにしてもよいし、新たな運転データが蓄積される度にリアルタイムに実行
されるようにしてもよい。
【0040】
例えば、決定部102は、過去数ヵ月の運転データを所定期間ごとに区切った運転デー
タの各々に対して運転モデルを決定することで、過去数ヵ月の運転データについての所定
期間ごとの運転モデルをまとめて決定するようにしてもよい。
【0041】
若しくは、決定部102は、新たな運転データが蓄積される度に、運転モデルを決定す
るようにしてもよい。例えば、決定部102は、運転モデルを決定してから所定期間が経
過し、所定期間分の運転データが新たに蓄積された時点で、当該新たに蓄積された所定期
間分の運転データに対して運転モデルを決定するようにしてもよい。
【0042】
(運転モデルの変化の検知)
図10は、ドライバーの運転モデルの変化を検知する際の処理手順の一例を示すフロー
チャートである。
【0043】
ステップS20で、検知部103は、運転モデル履歴DBから、検知対象のドライバー
の運転モデルのデータを取得する。
【0044】
ステップS21で、検知部103は、運転方法モデルに短期的な変化があるのか否かを
判定する。具体的には、検知部103は、第1時間における運転時間モデルと、走行範囲
モデルと、運転方法モデルと、第2時間における運転時間モデルと、走行範囲モデルと、
運転方法モデルとを比較することで、運転モデルに短期的な変化があるのか否かを判定す
る。運転モデルに短期的な変化があった場合(S21-YES)、検知部103は、ドラ
イバーの短期的な運転傾向が変化したことを検知する(S22)。
【0045】
ステップS23で、検知部103は、運転方法モデルに長期的な変化があるのか否かを
判定する。具体的には、検知部103は、第1時間における運転時間モデルと、走行範囲
モデルと、運転方法モデルと、第2時間よりも過去の時間である第3時間おける運転時間
モデルと、走行範囲モデルと、運転方法モデルとを比較することで、運転モデルに長期的
な変化があるのか否かを判定する。運転モデルに長期的な変化があった場合(S23-Y
ES)、検知部103は、ドライバーの長期的な運転傾向が変化したことを検知する(S
24)。
【0046】
ここで、運転モデル履歴DBに、検知対象のドライバーの運転モデルが1ヵ月ごとに記
録されていると仮定する。例えば、運転モデル履歴DBには、2020年1月の運転モデ
ル、2020年2月の運転モデル、2020年3月の運転モデル、・・・、2020年1
2月の運転モデルが記録されていると仮定する。短期的な変化とは、例えば最新の運転モ
デルと、1ヵ月前の運転モデルと比較することを意味していてもよい。すなわち、第1時
間における運転モデルは、最新の運転モデル(つまり2020年12月の運転モデル)で
あり、第2時間における運転モデルは、最新の運転モデルの1ヵ月前の運転モデル(20
20年11月の運転モデル)であってもよい。また、長期的な変化とは、例えば最新の運
転モデルと、半年前の運転モデルと比較することを意味していてもよい。すなわち、第3
時間における運転モデルは、例えば1最新の運転モデルの半年前の運転モデル(2020
年6月の運転モデル)であってもよい。なお、短期的な変化及び長期的な変化について、
比較対象とする運転モデルのタイミングは上記の例に限られない。
【0047】
検知部103により、ドライバーの短期的又は長期的な運転傾向が変化したことが検知
された場合(S22、S24)、制御部104は、ドライバーの運転傾向の変化の内容に
応じた所定の制御を行う。
【0048】
図11は、ドライバーの運転傾向の変化の内容に応じた所定の制御の一例を示す図であ
る。図11において、「変化なし」は、変化していない場合を意味し、「-」は、変化の
有無を問わないことを意味する。また、図11において、「成績悪化」とは、運転方法モ
デルがより危険な運転に変化したことを意味し、「成績良化」とは、運転方法モデルが改
善されたことを意味する。図9の例において、どのクラスタからどのクラスタに移動した
場合に「成績悪化」と判定され、どのクラスタからどのクラスタに移動した場合に「成績
良化」と判定されるのかについては、予め設定情報として記憶部105に格納されていて
もよい。検知部103は、当該設定情報を参照することで、運転方法モデルが「成績悪化
」したのか又は「成績良化」したのかを判定することとしてもよい。
【0049】
例えば、ドライバーの運転時間モデルが「2.午後移動」から「1.夜間移動」に短期
的に変化し、運転方法モデルは変化していないと仮定する。この場合、短期的な残業など
により帰宅が遅くなったことで運転モデルが変化したことが考えられる。そこで、制御部
104は、所定の制御として、ADASの設定を強化したり(例えば自動ブレーキの感度
を上げる)、夜間の運転に注意すべきとのメッセージを、ドライバーが運転する車両20
の車載装置又はドライバーが所有する携帯端末等に表示させたりしてもよい。
【0050】
また、ドライバーの運転時間モデル及び走行範囲モデルは変化せず、運転方法モデルが
、長期的に「1.低速域」から「5.低速域+急減速停止+発信」に変化したと仮定する
。この場合、ストレス等により注意力が散漫になっていることで運転モデルが変化したこ
とが考えられる。そこで、制御部104は、所定の制御として、ADASの設定を強化し
たり(例えば自動ブレーキの感度を上げる)、ストレス解消を促すコメントや心身をねぎ
らうコメントを、ドライバーが運転する車両20の車載装置又はドライバーが所有する携
帯端末等に表示させたりしてもよい。
【0051】
<補足事項>
図5図7及び図9に示す運転方法クラスタ、走行範囲クラスタ及び運転方法クラスタ
はあくまで一例に過ぎず、図示したクラスタ以外に分類されていてもよい。また、検知装
置10は、運転データDBに格納された大量の運転データを、機械学習技術(例えばk-
means法など)を用いてクラスタリングすることで、運転方法クラスタ、走行範囲ク
ラスタ及び運転方法クラスタを定義するようにしてもよい。
【0052】
また、決定部102は、曜日の観点を加えて運転時間モデルを決定することとしてもよ
い。例えば、「1.夜間移動(平日)+移動なし(休日)」、「2.夜間移動(平日)+
夜間移動(休日)」、「3.夜間移動(平日)+午後移動(休日)」、「4.夜間移動(
平日)+午前移動(休日)」、「5.夜間移動(平日)+早朝及び夕方移動(休日)」、
「6.夜間移動(平日)+朝及び夜間移動(休日)」、「7.午後移動(平日)+移動な
し(休日)」、・・・、「XX.朝及び夜間移動(平日)+朝及び夜間移動(休日)」な
どといったように詳細に分類されていてもよい。
【0053】
また、決定部102は、出発地の観点を加えて走行範囲モデルを決定することとしても
よい。例えば、「1.住所XXを中心に近距離」、「2.住所XXを中心に中距離」、「
3.住所XXを中心に長距離」などといったように走行範囲モデルを決定することとして
もよい。これにより、短期又は長期の運転モデルの変化が、引っ越しを起因することによ
る変化であるといったことを検知することが可能になる。
【0054】
また、制御部104は、運転モデルの変化に加えて、ドライバーの年齢に基づいて、所
定の制御の内容を決定するようにしてもよい。例えば、運転方法モデルが長期的に「成績
悪化」に該当する方向に変化した場合において、ドライバーが高齢である場合、制御部1
04は、ドライバー以外の第三者(例えば親族等)が所有する端末等に、注意喚起を促す
通知メッセージを送信するようにしてもよい。
【0055】
また、運転方法モデルは、道路種別、エリア及び/又は時間帯ごとに細分化されていて
もよい。例えば、運転方法モデルを道路種別ごとに細分化する場合、決定部102は、高
速道路を運転する際の運転方法モデル、一般道を運転する際の運転方法モデルといったよ
うに、ドライバーの運転方法モデルを、道路種別ごとに決定するようにしてもよい。また
、運転方法モデルをエリアごとに細分化する場合、決定部102は、日常的に運転するエ
リア(例えば走行範囲モデルにより決定されたエリア)を運転する際の運転方法モデル、
日常的に運転するエリア以外のエリア(例えば走行範囲モデルにより決定されたエリア以
外のエリア)を運転する際の運転方法モデルといったように、ドライバーの運転モデルを
、所定のエリアごとに決定するようにしてもよい。また、運転方法モデルを時間帯ごとに
細分化する場合、決定部102は、早朝、朝、午前中、午後、夕方、夜間、深夜などのよ
うに、ドライバーの運転モデルを、所定の時間帯ごとに決定するようにしてもよい。なお
、時間帯の区切り方はどのような区切りであってもよい。2つの時間帯(第1時間帯、第
2時間帯など)であってもよいし、3つ以上の時間帯(第1時間帯、第2時間帯、第3時
間帯など)であってもよい。なお、運転方法モデルを、道路種別、エリア及び/又は時間
帯ごとに細分化する場合、検知部103は、同一の道路種別、同一のエリア及び/又は同
一の時間帯における運転方法モデル同士を比較することで、運転方法モデルの変化を検知
するようにしてもよい。ドライバーの中には、一般道と高速道路では運転方法が異なるよ
うなドライバーや、出勤時と帰宅時とでは運転方法が異なるようなドライバーが存在する
と考えられる。運転方法モデルを道路種別、エリア及び/又は時間帯ごとに細分化するこ
とで、ドライバーの運転方法の変化を、より詳細に捉えることが可能になる。
【0056】
また、上述の説明では、決定部102は、所定期間の運転データを、定速走行中、加速
中及び減速中に分類し、分類分けした場面のうち出現頻度が最も多い場面がどの運転方法
クラスタに属するのかを判定することで、ドライバーの運転方法モデルを決定することと
したが、これに限定されない。例えば、決定部102は、分類分けした場面のうち出現頻
度が所定の閾値以上である場面に基づいて、ドライバーの運転方法モデルを決定すること
としてもよい。この場合において、出現頻度が所定の閾値以上である場面が複数存在する
場合、決定部102は、複数の場面の各々がどの運転方法クラスタに属するのかに基づい
て、運転方法モデルを決定することとしてもよい。例えば、運転データの出現頻度のうち
所定の閾値以上である場面に対応する運転方法クラスタが「1.低速域」と「11.高速
域+急減速+加速」に属する場合、決定部102は、ドライバーの運転方法モデルを、「
1.低速域」と「11.高速域+急減速+加速」の両方であると決定することが考えられ
る。なお、検知部103は、複数の運転方法クラスタにより表現された運転方法モデルの
場合、いずれか1つの運転方法クラスタが変化した場合に、運転方法モデルが変化したと
判定するようにしてもよい。ドライバーの運転方法の変化を、より詳細に捉えることが可
能になる。
【0057】
<まとめ>
以上説明した実施形態によれば、ドライバーの運転データに基づいて運転モデルを決定
し、運転モデルの変化を検知するようにした。これにより、ドライバーの運転の傾向が変
化したことを検知することが可能になる。また、運転モデルの変化について、短期的な変
化及び長期的な変化を検知するようにした。これにより、ドライバーの運転モデルの変化
を詳細に検知することが可能になり、変化に応じたより適切なアクションを行うことが可
能になる。
【0058】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定
して解釈するためのものではない。実施形態で説明したフローチャート、シーケンス、実
施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したもの
に限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構
成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【0059】
例えば、検知装置10が備える機能の全部又は一部は、車載装置に搭載されることとし
てもよい。一例として、ドライブレコーダ等の車載装置に、検知装置10が備える機能を
搭載することとしてもよい。ドライバーの運転傾向の変化を検知して通知する機能を備え
たドライブレコーダ等を提供することが可能になる。
【符号の説明】
【0060】
1…検知システム、10…検知装置、11…プロセッサ、12…記憶装置、13…通信
IF、14…入力デバイス、15…出力デバイス、20…車両、101…取得部、102
…決定部、103…検知部、104…制御部、105…記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11