IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フジフイルム エレクトロニック マテリアルズ ユー.エス.エー., インコーポレイテッドの特許一覧

特開2022-130361半導体基板の残渣を除去するための洗浄用調合物
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022130361
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】半導体基板の残渣を除去するための洗浄用調合物
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20220830BHJP
   C11D 7/26 20060101ALI20220830BHJP
   C11D 7/32 20060101ALI20220830BHJP
   C11D 7/06 20060101ALI20220830BHJP
   C11D 7/34 20060101ALI20220830BHJP
   C11D 1/04 20060101ALI20220830BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20220830BHJP
   C11D 3/30 20060101ALI20220830BHJP
   C11D 3/28 20060101ALI20220830BHJP
   C11D 3/26 20060101ALI20220830BHJP
   C11D 3/34 20060101ALI20220830BHJP
   C11D 3/04 20060101ALI20220830BHJP
   C11D 1/06 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
H01L21/304 647Z
C11D7/26
C11D7/32
C11D7/06
C11D7/34
C11D1/04
C11D3/20
C11D3/30
C11D3/28
C11D3/26
C11D3/34
C11D3/04
C11D1/06
【審査請求】有
【請求項の数】34
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022081185
(22)【出願日】2022-05-17
(62)【分割の表示】P 2019518922の分割
【原出願日】2017-10-05
(31)【優先権主張番号】62/404,852
(32)【優先日】2016-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/431,620
(32)【優先日】2016-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514251329
【氏名又は名称】フジフイルム エレクトロニック マテリアルズ ユー.エス.エー., インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】パク、キヨン
(72)【発明者】
【氏名】クニール、エミル エー.
(72)【発明者】
【氏名】ドリー、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】高橋智威
(57)【要約】      (修正有)
【課題】基板材料を腐食せず、プラズマエッチング残渣及びプラズマアッシング残渣を除去する洗浄組成物を提供する。
【解決手段】洗浄組成物は、少なくとも1種のレドックス剤と、水溶性アルコール類、水溶性ケトン類、水溶性エステル類及び水溶性エーテル類からなる群より選択される少なくとも1種の有機溶媒と、少なくとも1種の金属含有添加剤と、水と、を含む。また、半導体基板から残渣を洗浄する方法は、エッチング後の残渣又はアッシング後の残渣を含む半導体基板を、前記洗浄組成物と接触させることを含み、エッチング後の残渣及び/又はアッシング後の残渣を含む半導体基板を提供する工程と、半導体基板を、前記洗浄組成物と接触させる工程と、半導体基板を、適切なリンス溶媒でリンスする工程と、所望により、リンス溶媒を除去し半導体基板の品質を損なわない何らかの手段によって、半導体基板を乾燥させる工程と、を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)少なくとも1種のレドックス剤;
2)水溶性アルコール類、水溶性ケトン類、水溶性エステル類、及び水溶性エーテル類からなる群より選択される少なくとも1種の有機溶媒;
3)少なくとも1種の金属含有添加剤;並びに
4) 水、
を含む、洗浄組成物。
【請求項2】
約7~約11のpHを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1種のレドックス剤は、ヒドロキシルアミンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1種のレドックス剤は、前記組成物の約5重量%~約20重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1種の有機溶媒は、2種の有機溶媒を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記2種の有機溶媒は、それぞれ独立して、アルキレングリコール類及びアルキレングリコールエーテル類からなる群より選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1種の有機溶媒は、前記組成物の約60重量%~約95重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1種の金属含有添加剤は、金属ハロゲン化物、金属水酸化物、金属ホウ化物、金属アルコキシド、金属酸化物、又は金属含有アンモニウム塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1種の金属含有添加剤は、第2A族金属、第3B族金属、第4B族金属、第5B族金属、又はランタニド金属を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1種の金属含有添加剤は、Ca、Ba、Ti、Hf、Sr、La、Ce、W、V、Nb、又はTaを含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記少なくとも1種の金属含有添加剤は、ホウ化タングステン、Ca(OH)、BaCl、SrCl、LaCl、CeCl、(NHTiF、BaTiO、Ti(OEt)、Ti(OCH(CH、HfO、V、Nb、又はTaFを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記少なくとも1種の金属含有添加剤は、前記組成物の約0.001重量%~約0.5重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記水は、前記組成物の約5%~約28%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
pH調整剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記pH調整剤は、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセンである、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
少なくとも1種の洗浄添加剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記少なくとも1種の洗浄添加剤は、硫黄含有添加剤である、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記硫黄含有添加剤は、チオール又はチオエーテルを含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記硫黄含有添加剤は、3-アミノ-5-メルカプト-1H-1,2,4-トリアゾール、β-メルカプトエタノール、3-アミノ-5-メチルチオ-1H-1,2,4-トリアゾール、1-フェニル-1H-テトラゾール-5-チオール、4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-チオール、2-ピリジンチオール、又は3-メルカプトプロピオン酸を含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記硫黄含有添加剤は、前記組成物の約0.01重量%~約0.15重量%である、請求項17に記載の組成物。
【請求項21】
前記少なくとも1種の洗浄添加剤は、アミノ酸を含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項22】
前記アミノ酸は、グリシンである、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記アミノ酸は、前記組成物の約0.01重量%~約0.15重量%である、請求項21に記載の組成物。
【請求項24】
少なくとも1種の有機酸をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
前記少なくとも1種の有機酸は、カルボン酸又はスルホン酸を含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記少なくとも1種の有機酸は、前記組成物の約0.1重量%~約0.5重量%である、請求項24に記載の組成物。
【請求項27】
水酸化第四級アンモニウム類、第四級アンモニウム塩類、及びイミダゾリウム塩類からなる群より選択される少なくとも1種の導電性向上剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項28】
前記導電性向上剤は、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、又は1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムメタンスルホネートである、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記少なくとも1種の導電性向上剤は、前記組成物の約1重量%~約10重量%である、請求項27に記載の組成物。
【請求項30】
エッチング後の残渣又はアッシング後の残渣を含む半導体基板を、請求項1~請求項29のいずれか1項に記載の洗浄組成物と接触させることを含む、方法。
【請求項31】
前記半導体基板は、Cu、Co、W、AlOx、AlN、AlOxNy、Ti、TiN、Ta、TaN、TiOx、ZrOx、HfOx、及びTaOxからなる群より選択される材料を含む層をさらに有する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記接触工程の後に、前記半導体基板をリンス溶媒でリンスすることをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記リンス工程の後に、前記半導体基板を乾燥させることをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記半導体基板から半導体デバイスを形成することをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本出願は、2016年12月8日に出願された米国仮特許出願第62/431,620号及び2016年10月6日に出願された米国仮特許出願第62/404,852号の優先権を主張するものであり、それらの全体が参照により本明細書に取り込まれる。
【0002】
1.本開示の分野
本開示は、半導体基板のための新規な洗浄組成物及び半導体基板を洗浄する方法に関する。具体的には、本開示は、半導体基板に配置された金属層又は誘電体材料層がプラズマエッチングされ、プラズマアッシングプロセスによりレジスト全体が除去された後に前記基板上に残る残渣を除去するための洗浄組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
2.背景技術の考察
集積回路デバイスの製造において、一連のフォトリソグラフィ及びプラズマエッチング工程によりレチクルの原マスクパターンをウェハ基板に転写するための中間マスクとして、フォトレジストが用いられる。集積回路デバイスの製造プロセスにおける必須工程の1つは、パターニングされたフォトレジト膜をウェハ基板から除去することである。この工程は一般に、以下2つの方法のうちの1つによって行われる。
【0004】
1つの方法は、フォトレジストで被覆された基板を、主に有機溶媒及びアミンからなるフォトレジスト剥離剤溶液と接触させる湿式剥離工程を含む。しかしながら、剥離剤溶液は、とりわけ製造プロセス中にフォトレジスト膜にUV放射及びプラズマ処理を行った場合、フォトレジスト膜を完全に且つ確実に除去することができない。フォトレジスト膜にはそのような処理により高度に架橋されるものがあり、剥離剤溶液に溶解させることがより難しくなる。加えて、これらの従来の湿式剥離法に用いられる化学物質は、ハロゲン含有ガスを用いる金属又は酸化物層のプラズマエッチング中に形成される無機又は有機金属残留物を除去するのに効果がないことがある。
【0005】
フォトレジスト膜を除去するための別の方法は、プラズマアッシングとして知られるプロセスにおいて、フォトレジストで被覆された基板を酸素系プラズマに曝してレジスト膜を基板から除去(burn)することを含む。しかしながら、プラズマアッシングも、上述のプラズマエッチング副生物を除去するのに充分に効果的というわけではない。一般的にこれらのプラズマエッチング副生物の除去は、処理された金属及び誘電体薄膜を洗浄用溶液に曝すことにより達成される。
【0006】
金属基板は一般的に腐食を受けやすい。例えば、従来の洗浄化学物質を用いると、アルミニウム、銅、アルミニウム-銅合金、窒化タングステン、タングステン(W)、コバルト(Co)、酸化チタン、他の金属、及び金属窒化物などの基板は腐食しやすく、誘電体[ILD、ULK]がエッチングされてしまうことがある。更に、集積回路デバイスの製造業者に許容される腐食の量は、デバイスが縮小されるに伴いますます少なくなっている。
【0007】
また、残渣の除去がより困難になってきており、腐食のレベルをますます低く抑えなければならないことから、洗浄用溶液は安全に使用でき、環境にやさしいものであるべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって洗浄用溶液は、プラズマエッチング残渣及びプラズマアッシング残渣を除去するのに効果的であるべきであり、且つすべての露出している基板材料を腐食させるものであってはならない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、多工程製造プロセスにおける中間工程として半導体基板から残渣(例えば、プラズマエッチング残渣及び/又はプラズマアッシング残渣)を除去するのに有用な非腐食性洗浄組成物に関する。これらの残渣は:残留フォトレジストなどの有機化合物;有機金属化合物;(露出している金属に由来する反応副生物として形成される)酸化アルミニウム(AlOx)、酸化チタン(TiOx)、酸化ジルコニウム(ZrOx)、酸化タンタル(TaOx)、及び酸化ハフニウム(HfOx)などの金属酸化物;アルミニウム(Al)、アルミニウム/銅合金、銅(Cu)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、及びコバルト(Co)などの金属;窒化アルミニウム(AlN)、酸化窒化アルミニウム(AlOxNy)、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、及び窒化タングステン(WN)などの金属窒化物;これらの合金;並びに他の材料の、種々の比較的不溶性の混合物を含む。本明細書に記載の洗浄組成物の利点は、発生する種々の残渣を洗浄することが可能であり、露出している基板材料(例えば、露出している金属(アルミニウム、アルミニウム/銅合金、銅、チタン、タンタル、タングステン、及びコバルトなど)、金属窒化物(窒化チタン、窒化タンタル、及び窒化タングステンなど)、並びにこれらの合金)に対して一般的に非腐食性であり得ることである。
【0010】
本開示は、ある態様では、
1)少なくとも1種のレドックス剤;
2)水溶性アルコール類、水溶性ケトン類、水溶性エステル類、及び水溶性エーテル類からなる群より選択される少なくとも1種の有機溶媒;
3)少なくとも1種の金属含有添加剤;並びに
4) 水、
を含む、洗浄組成物に関する。
【0011】
本開示はまた、半導体基板から残渣を洗浄する方法に関する。前記方法は、エッチング後の残渣又はアッシング後の残渣を含む半導体基板を、本明細書に記載の洗浄組成物と接触させることを含む。前記方法は、例えば:
(A)エッチング後の残渣及び/又はアッシング後の残渣を含む半導体基板を提供する工程;
(B)前記半導体基板を、本明細書に記載の洗浄組成物と接触させる工程;
(C)前記半導体基板を、適切なリンス溶媒でリンスする工程;並びに
(D)所望により、前記リンス溶媒を除去し前記半導体基板の品質を損なわない何らかの手段によって、前記半導体基板を乾燥させる工程、
を含んでいてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書において、特に断りのない限り、記載されているすべてのパーセントは、洗浄組成物の総重量を基準とした重量パーセントであるとして理解されるべきである。特に断りのない限り、周囲温度とは、摂氏約16度(℃)から約27度(℃)(例えば25℃)として定義する。
【0013】
「層」及び「膜」との用語は互いに置き換え可能である。
【0014】
本明細書において、「水溶性」物質(例えば、水溶性アルコール、水溶性ケトン、水溶性エステル、又は水溶性エーテル)とは、25℃での水に対する溶解度が5重量%以上である物質を意味する。
【0015】
本開示のある実施形態は、
1)少なくとも1種のレドックス剤;
2)水溶性アルコール類、水溶性ケトン類、水溶性エステル類、及び水溶性エーテル類からなる群より選択される少なくとも1種の有機溶媒;
3)少なくとも1種の金属含有添加剤;並びに
4) 水、
を含む、非腐食性洗浄組成物に関する。
【0016】
本開示の組成物は、少なくとも1種のレドックス剤を含有するものであるが、このことが半導体表面のフォトレジスト残渣、金属残渣、及び金属酸化物残渣などの残渣の溶解の助けになるものと考えられる。本明細書において「レドックス剤」との用語は、半導体洗浄プロセスにおいて酸化及び/又は還元を引き起こすことが可能な化合物を意味する。適切なレドックス剤としては、ヒドロキシルアミンが挙げられる。ある実施形態では、本明細書に記載のレドックス剤又は洗浄組成物は過酸化物(例えば、過酸化水素)を含まない。
【0017】
ある実施形態では、本開示の組成物は、約0.5重量%以上(例えば、約1重量%以上、約2重量%以上、約3重量%以上、又は約5重量%以上)、及び/又は約20重量%以下(例えば、約17重量%以下、約15重量%以下、約12重量%以下、又は約10重量%以下)のレドックス剤を含む。
【0018】
本開示の組成物は、水溶性アルコール類、水溶性ケトン類、水溶性エステル類、及び水溶性エーテル類(例えば、グリコールジエーテル類)からなる群より選択される少なくとも1種(例えば、2種、3種、4種、又はそれ以上)の有機溶媒を含有する。
【0019】
水溶性アルコール類としては、アルカンジオール類(アルキレングリコール類が挙げられるが、これに限定されない)、グリコール類、アルコキシアルコール類(グリコールモノエーテル類が挙げられるが、これに限定されない)、飽和脂肪族一価アルコール類、不飽和非芳香族一価アルコール類、及び環構造を有する低分子量アルコール類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
水溶性アルカンジオール類としては、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ピナコール、及びアルキレングリコール類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
水溶性アルキレングリコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、へキシレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、及びテトラエチレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
水溶性アルコキシアルコール類としては、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-1-ブタノール、1-メトキシ-2-ブタノール、及び水溶性グリコールモノエーテル類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
水溶性グリコールモノエーテル類としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn-プロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノn-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、1-メトキシ-2-プロパノール、2-メトキシ-1-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、2-エトキシ-1-プロパノール、プロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、及びジエチレングリコールモノベンジルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
水溶性飽和脂肪族一価アルコール類としては、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、2-ペンタノール、t-ペンチルアルコール、及び1-ヘキサノールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
水溶性不飽和非芳香族一価アルコール類としては、アリルアルコール、プロパルギルアルコール、2-ブテニルアルコール、3-ブテニルアルコール、及び4-ペンテン-2-オールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
環構造を有する水溶性低分子量アルコール類としては、テトラヒドロフルフリルアルコール、フルフリルアルコール、及び1,3-シクロペンタンジオールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
水溶性ケトン類としては、アセトン、プロパノン、シクロブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、2-ブタノン、2,5-ヘキサンジオン、1,4-シクロヘキサンジオン、3-ヒドロキシアセトフェノン、1,3-シクロヘキサンジオン、及びシクロヘキサノンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
水溶性エステル類としては:酢酸エチル;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテートなどのグリコールモノエステル類;並びにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、及びエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのグリコールモノエーテルモノエステル類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
ある実施形態では、本開示の洗浄組成物は、約60重量%以上(例えば、約65重量%以上、約70重量%以上、又は約75重量%以上)、及び/又は約95重量%以下(例えば、約90重量%以下、約85重量%以下、又は約80重量%以下)の少なくとも1種の有機溶媒を含む。
【0030】
本開示の洗浄組成物は水を更に含む。水は、脱イオンされた超純水であり、有機汚染物を含有せず、抵抗率の最小値が約4~約17メガオームであることが好ましい。水の抵抗率は、17メガオーム以上であることがより好ましい。
【0031】
ある実施形態では、本開示の組成物は、約5重量%以上(例えば、約8重量%以上、約12重量%以上、又は約16重量%以上)、及び/又は約28重量%以下(例えば、約24重量%以下、約20重量%以下、又は約18重量%以下)の水を含む。
【0032】
本開示の洗浄組成物への使用が検討される金属含有添加剤は、第2A族金属、第3B族金属、第4B族金属、第5B族金属、及びランタノイド金属から選択される金属を含む。ある実施形態では、金属はCa、Ba、Ti、Hf、Sr、La、Ce、W、V、Nb、又はTaである。ある実施形態では、金属は第4B族金属(Ti又はHfなど)から選択される。
【0033】
金属含有添加剤は、金属ハロゲン化物、金属水酸化物、金属ホウ化物、金属アルコキシド、金属酸化物、又は金属含有アンモニウム塩であってもよい。ある実施形態では、金属含有添加剤は、アンモニウム塩である。アンモニウム塩は、以下の式(I)で表される塩であってもよい:
(NHMX 式(I)
式(I)中、mは、1、2、3、又は4であり;nは、1、2、3、4、5、又は6であり;Mは、金属イオン(第2A族金属、第3B族金属、第4B族金属、第5B族金属、又はランタノイド金属のイオンなど)であり;Xは、ハロゲン化物イオン(例えば、F、Cl、Br、又はI)である。
【0034】
ある実施形態では、金属含有添加剤は、アンモニウムヘキサフルオロチタネートである。金属含有添加剤としては、ホウ化タングステン、Ca(OH)、BaCl、SrCl、LaCl、CeCl、(NHTiF、BaTiO、Ti(OEt)、Ti(OCH(CH、HfO、V、Nb、又はTaFが挙げられる。
【0035】
ある実施形態では、金属含有添加剤は、組成物に対して、約0.001重量%以上(例えば、約0.002重量%以上、約0.004重量%以上、約0.006重量%以上、約0.008重量%以上、又は約0.01重量%以上)、及び/又は約0.5重量%以下(例えば、約0.4重量%以下、約0.3重量%以下、約0.2重量%以下、約0.1重量%以下、約0.08重量%以下、約0.06重量%以下、約0.04重量%以下、約0.02重量%以下、又は約0.01重量%以下)の量であってもよい。洗浄組成物が上述の量で金属含有添加剤を含むことにより、組成物の腐食作用を低減することが可能となる、すなわち、洗浄プロセス中に除去されることを意図しない露出した基板材料(例えば、露出した金属又は誘電体材料)に対する洗浄組成物のエッチレートが低減されるものと考えられるが、理論に束縛されるものではない。
【0036】
本開示の洗浄組成物は、その洗浄力(例えば、エッチング又はアッシング残渣の除去)を改善する、及び/又はその腐食作用を低減するために、所望により、少なくとも1種の洗浄添加剤を含有していてもよい。ある実施形態では、洗浄添加剤は、硫黄含有添加剤又はアミノ酸であってもよい。ある実施形態では、洗浄組成物は、硫黄含有添加剤及びアミノ酸を両方とも含んでいてもよい。
【0037】
本開示の洗浄組成物への使用が検討される硫黄含有添加剤は、特に限定されない。ある実施形態では、硫黄含有添加剤は、チオール部分(すなわち、SH)又はチオエーテル部分(例えば、SR:ここで、RはC-C10アルキルである)を有する分子である。ある実施形態では、硫黄含有添加剤は、チオール部分又はチオエーテル部分を有する、アルコール、酸、アミン、又はヘテロ環式化合物であってもよい。硫黄含有添加剤としては、3-アミノ-5-メルカプト-1H-1,2,4-トリアゾール;β-メルカプトエタノール;3-アミノ-5-メチルチオ-1H-1,2,4-トリアゾール;1-フェニル-1H-テトラゾール-5-チオール;4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-チオール;2-ピリジンチオール;3-メルカプトプロピオン酸などが挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態では、硫黄含有添加剤は、硫黄含有有機酸を含まないものであってもよい。
【0038】
ある実施形態では、硫黄含有添加剤は、組成物に対して、約0.01重量%以上(例えば、約0.02重量%以上、約0.04重量%以上、約0.05重量%以上、約0.06重量%以上、又は約0.08重量%以上)、及び/又は約0.15重量%以下(例えば、約0.14重量%以下、約0.12重量%以下、約0.1重量%以下、約0.08重量%以下、又は約0.07重量%以下)の量であってもよい。洗浄組成物が上述の量で硫黄含有添加剤を含むことにより、エッチング後の残渣及び/若しくはアッシング後の残渣を除去するための組成物の洗浄力を改善することができる、並びに/又は、洗浄プロセス中に除去されることを意図しない露出した基板材料(例えば、露出した金属又は誘電体材料)に対する洗浄組成物のエッチレートを低減することができるものと考えられるが、理論に束縛されるものではない。
【0039】
ある実施形態では、洗浄添加剤は、少なくとも1種のアミノ酸を含んでいてもよい。適切なアミノ酸としては、グリシンが挙げられる。アミノ酸は、天然アミノ酸であってもよく、非天然アミノ酸(例えば、合成アミノ酸)であってもよい。アミノ酸は、D-アミノ酸であってもよく、L-アミノ酸であってもよい。
【0040】
ある実施形態では、アミノ酸は、組成物に対して、約0.01重量%以上(例えば、約0.02重量%以上、約0.04重量%以上、約0.05重量%以上、約0.06重量%以上、又は約0.08重量%以上)、及び/又は約0.15重量%以下(例えば、約0.14重量%以下、約0.12重量%以下、約0.1重量%以下、約0.08重量%以下、又は約0.07重量%以下)の量であってもよい。洗浄組成物が上述の量でアミノ酸を含むことにより、エッチング後の残渣及び/若しくはアッシング後の残渣を除去するための組成物の洗浄力を改善することができる、並びに/又は、洗浄プロセス中に除去されることを意図しない露出した基板材料(例えば、露出した金属又は誘電体材料)に対する洗浄組成物のエッチレートを低減することができるものと考えられるが、理論に束縛されるものではない。
【0041】
ある実施形態では、本開示の洗浄組成物は、少なくとも1種の有機酸を含有していてもよい。有機酸は、上述の洗浄添加剤(例えば、硫黄含有添加剤又はアミノ酸)の存在下又は非存在下で、洗浄組成物に用いられてもよい。本開示の洗浄組成物への使用が検討される有機酸としては、カルボン酸及びスルホン酸が挙げられる。本開示の組成物への使用が検討されるカルボン酸としては:モノカルボン酸;ビカルボン酸;トリカルボン酸;モノカルボン酸のα-ヒドロキシ酸及びβ-ヒドロキシ酸;ビカルボン酸のα-ヒドロキシ酸及びβ-ヒドロキシ酸;並びに、トリカルボン酸のα-ヒドロキシ酸及びβ-ヒドロキシ酸が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態では、少なくとも1種のカルボン酸としては、クエン酸、マレイン酸、フマル酸、乳酸、グリコール酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、及び安息香酸が挙げられる。スルホン酸としては、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロエタンスルホン酸、ペルフルオロエチルスルホン酸、ペルフルオロ(エトキシエタン)スルホン酸、ペルフルオロ(メトキシエタン)スルホン酸、ドデシルスルホン酸、ペルフルオロドデシルスルホン酸、ブタンスルホン酸、ペルフルオロブタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ペルフルオロプロパンスルホン酸、オクチルスルホン酸、ペルフルオロオクタンスルホン酸、メタンジスルホン酸、2-メチルプロパンスルホン酸、シクロヘキシルスルホン酸、カンファースルホン酸、ペルフルオロヘキサンスルホン酸、エタンジスルホン酸、ベンジルスルホン酸、ヒドロキシフェニルメタンスルホン酸、ナフチルメタンスルホン酸、ノルボルナンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、クロロベンゼンスルホン酸、ブロモベンゼンスルホン酸、フルオロベンゼンスルホン酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸、ニトロベンゼンスルホン酸、2-ヒドロキシ-5-スルホ安息香酸、ベンゼンジスルホン酸、トルエンスルホン酸(例えば、p-トルエンスルホン酸)、メチルクロロベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ブチルベンゼンスルホン酸、シクロヘキシルベンゼンスルホン酸、ピクリルスルホン酸、ジクロロベンゼンスルホン酸、ジブロモベンゼンスルホン酸、及び2,4,5-トリクロロベンゼンスルホン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
ある実施形態では、有機酸は、組成物に対して、約0.1重量%以上(例えば、約0.12重量%以上、約0.14重量%以上、約0.16重量%以上、約0.18重量%以上、又は約0.2重量%以上)、及び/又は約0.5重量%以下(例えば、約0.4重量%以下、約0.3重量%以下、約0.2重量%以下、約0.18重量%以下、又は約0.16重量%以下)の量であってもよい。有機酸は、洗浄組成物中でキレート剤として作用し、エッチング後の残渣及び/又はアッシング後の残渣の除去を促進することができるものと考えられるが、理論に束縛されるものではない。
【0043】
本開示の洗浄組成物は、所望により、少なくとも1種の導電性向上剤を含有していてもよい。適切な導電性向上剤としては、水酸化第四級アンモニウム類、第四級アンモニウム塩類、及びイミダゾリウム塩類が挙げられる。例えば、適切な導電性向上剤は、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、又は1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムメタンスルホネートであってもよい。
【0044】
ある実施形態では、導電性向上剤は、組成物に対して、約1重量%以上(例えば、約2重量%以上、約3重量%以上、約4重量%以上、約5重量%以上、又は約6重量%以上)~約10重量%以下(例えば、約9重量%以下、約8重量%以下、約7重量%以下、約6重量%以下、又は約5重量%以下)であってもよい。導電性向上剤により、洗浄プロセス中のCoの損失(loss)又は腐食を低減することができ、Co腐食防止剤として作用することができるものと考えられるが、理論に束縛されるものではない。
【0045】
本開示の洗浄組成物は、所望により、pHを約7~約11に調整するために少なくとも1種のpH調整剤(例えば、酸又は塩基)を含有していてもよい。ある実施形態では、本開示の組成物は、pHが約7以上(例えば、約7.5以上、約8以上、又は約8.5以上)~約11以下(例えば、約10.5以下、約10以下、約9.5以下、約9以下)であってもよい。洗浄組成物のpHが11よりも高いと、完全に洗浄するには非実用的なレベルにまでプラズマエッチング残渣に対する洗浄レベルを低下させてしまい、pHが7よりも低いと、金属又は誘電体材料に対するエッチレートを望ましくないレベルにまで大きくしてしまうと考えられるが、理論に束縛されるものではない。効果的なpHは、本明細書に記載の組成物に用いられる成分の種類及び量に応じて変化し得る。
【0046】
必要とされるpH調整剤の量は、用いられる場合、特にヒドロキシルアミン及び有機酸といったその他の成分の濃度変化に応じて、及び用いられる当該特定のpH調整剤の分子量に応じて、変化し得る。一般的に、pH調整剤の濃度は、洗浄組成物に対して約0.1重量%~約3重量%の範囲内である。ある実施形態では、本開示の洗浄組成物は、約0.1重量%以上(例えば、約0.5重量%以上、約1重量%以上、又は約1.5重量%以上)、及び/又は約3重量%以下(例えば、約2.5重量%以下、約2重量%以下、又は約1.5重量%以下)のpH調整剤を含む。
【0047】
一般的に、pH調整剤は金属イオンを含まない(ただし、微量の金属イオン不純物を含むことがある)。金属イオンを含まない適切なpH調整剤としては、水酸化アンモニウム、水酸化第四級アンモニウム類、モノアミン類(アルカノールアミン類を含む)、イミン類(1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(DBU)及び1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネンなど)、並びにグアニジン塩類(炭酸グアニジンなど)が挙げられる。
【0048】
適切な水酸化第四級アンモニウム類としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化ジメチルジエチルアンモニウム、コリン、水酸化テトラエタノールアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリエチルアンモニウム、及び水酸化ベンジルトリブチルアンモニウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
適切なモノアミン類としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、及びベンジルアミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
更に、ある実施形態では、本開示の洗浄組成物は所望により、追加のpH調整剤、腐食防止剤(例えば、置換又は無置換のベンゾトリアゾール)、界面活性剤、追加の有機溶媒、殺生物剤、及び消泡剤などの添加剤を含有していてもよい。
【0051】
適切な消泡剤としては、ポリシロキサン消泡剤(例えば、ポリジメチルシロキサン)、ポリエチレングリコールメチルエーテルポリマー類、エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー類、及びグリシジルエーテル封止アセチレン系ジオールエトキシレート類(参照により本明細書に取り込まれる米国特許第6,717,019号明細書に記載のものなど)が挙げられる。
【0052】
ある実施形態では、本開示の洗浄組成物は、添加剤成分の1種又は複数種を特に含まないものであってもよく、2種以上の添加剤成分を特に含まない場合は、任意の組み合わせの添加剤成分群を含まないものであってもよい。そのような成分は:酸素捕捉剤;水酸化第四級アンモニウム類;アミン類;アルカリ金属及びアルカリ土類塩基類(NaOH、KOH、LiOH、水酸化マグネシウム、及び水酸化カルシウムなど);消泡剤以外の界面活性剤;フッ化物含有化合物;酸化剤(例えば、過酸化物、過酸化水素、硝酸第二鉄、ヨウ素酸カリウム、過マンガン酸カリウム、硝酸、亜塩素酸アンモニウム、塩素酸アンモニウム、ヨウ素酸アンモニウム、過ホウ酸アンモニウム、過塩素酸アンモニウム、過ヨウ素酸アンモニウム、過硫酸アンモニウム、亜塩素酸テトラメチルアンモニウム、塩素酸テトラメチルアンモニウム、ヨウ素酸テトラメチルアンモニウム、過ホウ酸テトラメチルアンモニウム、過塩素酸テトラメチルアンモニウム、過ヨウ素酸テトラメチルアンモニウム、過硫酸テトラメチルアンモニウム、過酸化水素尿素、及び過酢酸);研磨剤;シリケート類;ヒドロキシカルボン酸類;アミノ基を有さないカルボン酸類及びポリカルボン酸類;非アゾール腐食防止剤;グアニジン;グアニジン塩類;無機酸(例えば、スルホン酸類、硫酸、亜硫酸、亜硝酸、硝酸、亜リン酸、及びリン酸);ピロリドン;ポリビニルピロリドン;金属ハロゲン化物;式WMXで表される金属ハロゲン化物であって、前記式中、WはH、アルカリ金属又はアルカリ土類金属、及び金属イオンを有さない水酸化物塩基部分から選択され、MはSi、Ge、Sn、Pt、P、B、Au、Ir、Os、Cr、Ti、Zr、Rh、Ru、及びSbからなる群より選択される金属であり、yは4~6であり、zは1、2、又は3である、金属ハロゲン化物;並びに、本明細書に記載の腐食防止剤以外の腐食防止剤からなる群より選択される。
【0053】
ある実施形態では、本開示の洗浄組成物は、半導体基板からフォトレジスト膜全体を除去するように特に設計されない。そうではなく、本開示の洗浄組成物は、乾式又は湿式剥離法によるレジスト全体の除去後にすべての残渣を除去するように設計され得る。したがって、ある実施形態では、本開示の洗浄方法は、乾式又は湿式フォトレジスト剥離プロセスの後に用いられることが好ましい。このフォトレジスト剥離プロセスは、一般的に、エッチング又は注入プロセスなどのパターン転写プロセスの後に行われるか、或いは、パターン転写の前にマスク誤差の修正のために行われる。残渣の化学組成は、洗浄工程の前に行われるプロセスに応じて異なることになる。
【0054】
半導体基板からレジスト全体を除去するために、適切であればいかなる乾式剥離プロセスが用いられてもよい。適切な乾式剥離プロセスとしては:フッ素/酸素プラズマ又はN/Hプラズマなどの酸素系プラズマアッシング;オゾンガス処理;フッ素プラズマ処理、高温Hガス処理(その全体が参照により本明細書に取り込まれる米国特許第5,691,117号明細書に記載のものなど)などが挙げられる。更に、当業者に公知の従来の有機湿式剥離溶液が、半導体基板からレジスト全体を除去するのに用いられてもよい。
【0055】
本開示の洗浄方法と組み合わせて用いられる好ましい剥離プロセスは、乾式剥離プロセスである。この乾式剥離プロセスは、酸素系プラズマアッシングプロセスであることが好ましい。このプロセスでは、真空条件(すなわち、1トル)下、高温(一般的には250℃)で反応性酸素雰囲気とすることにより、フォトレジストのほとんどが半導体基板から除去される。有機材料は、このプロセスにより酸化され、プロセスガスにより除去される。しかしながら、このプロセスでは、半導体基板から無機又は有機金属汚染物が除去されない。これらの残渣を除去するには一般的に、続いて本開示の洗浄組成物により半導体基板を洗浄する必要がある。
【0056】
ある実施形態では、半導体基板から残渣を洗浄する方法が提供される。そのような方法は、例えば、エッチング後の残渣及び/又はアッシング後の残渣を含む半導体基板を、本明細書に記載の洗浄組成物と接触させることにより行われる。前記方法は、前記接触工程の後に前記半導体基板をリンス溶媒でリンスすること、及び/又は前記リンス工程の後に前記半導体基板を乾燥させることを更に含んでいてもよい。ある実施形態では、前記半導体基板は、Cu、Co、W、AlOx、AlN、AlOxNy、Ti、TiN、Ta、TaN、TiOx、ZrOx、HfOx、及びTaOxからなる群より選択される材料(例えば、露出している材料)又は前記材料の層を更に有していてもよい。
【0057】
ある実施形態では、前記洗浄方法は:
(A)エッチング後の残渣及び/又はアッシング後の残渣を含む半導体基板を提供する工程;
(B)前記半導体基板を、本明細書に記載の洗浄組成物と接触させる工程;
(C)前記半導体基板を、適切なリンス溶媒でリンスする工程;並びに
(D)所望により、前記リンス溶媒を除去し前記半導体基板の品質を損なわない何らかの手段によって、前記半導体基板を乾燥させる工程、
を含む。ある実施形態では、前記洗浄方法は、上述の方法により得られた前記半導体基板から半導体デバイス(例えば、半導体チップなどの集積回路デバイス)を形成することを更に含む。
【0058】
この方法で洗浄される半導体基板は、有機残渣及び有機金属残渣を含み得るが、これに加えて、除去されるべき種々の金属酸化物を含み得る。半導体基板は、一般的に、シリコン、シリコンゲルマニウム、GaAsなどの第III~V族化合物、又はこれらのいずれかの組み合わせにより構成される。半導体基板は、相互接続フィーチャなどの露出した集積回路構造(例えば、金属線及び誘電体材料)を更に有していてもよい。相互接続フィーチャに用いられる金属及び金属合金としては、アルミニウム、アルミニウムと銅との合金、銅、チタン、タンタル、コバルト、シリコン、窒化チタン、窒化タンタル、タングステン、及びこれらの合金が挙げられるが、これらに限定されない。半導体基板は、層間誘電体、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化チタン、及び炭素ドープケイ素酸化物の層を更に有していてもよい。
【0059】
半導体基板と洗浄組成物との接触は、(A)洗浄組成物を槽に入れて、半導体基板を洗浄組成物中に浸漬させる及び/若しくは沈めること、(B)半導体基板に洗浄組成物を噴霧すること、(C)半導体基板に洗浄組成物を流すこと、又は(D)これらの組み合わせなど、適切であればいかなる方法により行われてもよい。半導体基板は洗浄組成物中に浸漬されることが好ましい。
【0060】
本開示の洗浄組成物は、最高約90℃の温度(例えば、約25℃~約80℃、約30℃~約60℃、又は約40℃~約60℃)までは効果的に用いることができる。
【0061】
同様に、洗浄時間は、用いられる洗浄方法及び温度に応じて大きく変わってもよい。浸漬バッチタイプのプロセスで洗浄する場合、適切な時間範囲は、例えば、最大約60分(例えば、約1分~約60分、約3分~約20分、又は約4分~約15分)である。
【0062】
1つのウエハの洗浄時間は、約10秒~約5分(例えば、約15秒~約4分、約15秒~約3分、又は約20秒~約2分)の範囲であってもよい。
【0063】
本開示の洗浄組成物の洗浄力を更に向上させるために、機械的撹拌手段が用いられてもよい。適切な撹拌手段としては:基板上での洗浄組成物の循環;基板上での洗浄組成物の流動又は噴霧;及び洗浄プロセス中での超音波又はメガソニック撹拌が挙げられる。半導体基板は、地表面に対していかなる角度で配置してもよい。水平に配置するか、又は垂直に配置することが好ましい。
【0064】
本開示の洗浄組成物は、当業者に公知の従来の洗浄ツールに用いることができる。本開示の組成物の大きな利点は、組成物が、全体的にも部分的にも比較的毒性がなく、非腐食性、及び非反応性の成分を含み、これにより、組成物が広範囲の温度及びプロセス時間において安定であるということである。本開示の組成物は、バッチ及び枚葉式洗浄のための既存の及び提案される半導体ウェハ洗浄プロセスツール構成に用いられる実用上すべての材料と、化学的に相溶する。
【0065】
洗浄に続いて、撹拌手段を用いて又は用いずに、半導体基板を約5秒間から約5分間にわたって適切なリンス溶媒でリンスしてもよい。適切なリンス溶媒としては、脱イオン(ID)水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、N-メチルピロリジノン、ガンマ-ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、乳酸エチル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが挙げられるが、これらに限定されない。別の選択肢として、pHが8より大きい水性リンス剤(希水酸化アンモニウム水溶液など)が用いられてもよい。好ましいリンス溶媒としては、希水酸化アンモニウム水溶液、DI水、メタノール、エタノール、及びイソプロピルアルコールが挙げられるが、これらに限定されない。より好ましいリンス溶媒は、希水酸化アンモニウム水溶液、DI水、及びイソプロピルアルコールである。最も好ましいリンス溶媒は、希水酸化アンモニウム水溶液及びDI水である。溶媒の適用は、本明細書に記載の洗浄組成物の適用に用いる手段に類似する手段を用いて行われてもよい。洗浄組成物は、リンス工程の開始前に半導体基板から除去されていてもよく、リンス工程の開始時に半導体基板と接触したままであってもよい。リンス工程で用いられる温度は、16℃~27℃であることが好ましい。
【0066】
所望により、半導体基板は、リンス工程の後に乾燥される。適切であれば当業界における公知のいかなる乾燥手段が用いられてもよい。適切な乾燥手段としては、スピン乾燥、半導体基板への乾燥ガスの送風、又はホットプレート若しくは赤外線ランプなどの加熱手段による半導体基板の加熱、マランゴニ乾燥、ロタゴニ乾燥、IPA乾燥、又はこれらのいずれかの組み合わせが挙げられる。乾燥時間は、用いられる方法に応じて異なるが、一般的には、30秒間から数分間までのオーダーである。
【0067】
ある実施形態では、本明細書に記載の洗浄組成物を用いた集積デバイスの製造方法は、以下の工程を含んでいてもよい。まず、フォトレジスト層が半導体基板に適用される。こうして得られた半導体基板に、続いてエッチング又は注入プロセスなどのパターン転写プロセスが行われ、集積回路が形成されてもよい。次に、フォトレジスト全体が乾式又は湿式剥離法(例えば、酸素系プラズマアッシングプロセス)により除去されてもよい。次に、半導体基板に残った残渣が、本明細書に記載の洗浄組成物を用いて上述の方法により除去されてもよい。続いて半導体基板は、この基板に1又は複数の更なる回路を形成するために加工されてもよいし、或いは、例えば組み立て(例えば、ダイシング及びボンディング)並びにパッケージング(例えば、チップ封止)によって半導体チップへと形成するために加工されてもよい。
【0068】
本明細書で引用されるすべての刊行物(例えば、特許、特許出願公開、及び論文)は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
【実施例0069】
本開示を、以下の実施例を参照してより詳細に説明するが、これらの実施例は説明のためのものであり、本開示の範囲を限定するものとして解釈してはならない。記載されているパーセントは、特に断りのない限り、重量基準(重量%)である。試験では、特に断りのない限り、1インチの撹拌子を用いて300rpm(revolutions per minute)で撹拌を制御した。
【0070】
<一般手順1>
調合物ブレンド
本開示の組成物を、有機溶媒及び超純粋脱イオン水(DIW)と撹拌しながら混合することにより調製した。均一な溶液が得られた後、残りの成分を添加した。用いた成分はすべて、市販されている高純度のものであった。
【0071】
<一般手順2>
ビーカー試験による洗浄評価
リソグラフィでパターニングされ、プラズマ金属エッチング装置でエッチングし、続いて酸素プラズマアッシングによりフォトレジストのトップ層を完全に除去した、フォトレジスト/TiOx/SiN/Co/ILD(ILD=層間絶縁体)又はフォトレジスト/TiOx/SiN/W/ILDの多層基板を用いて、基板のPER(エッチング後の残渣)を上述の洗浄組成物により洗浄した。
【0072】
試験クーポン(test coupons)を、長さ4インチのプラスチックロッキングピンセットを用いて保持し、本開示の洗浄組成物をおよそ200ミリリットル入れた容量500mlのガラス製ビーカー内にクーポンを吊り下げることができるようにした。クーポンを洗浄組成物中に浸漬させる前に、組成物の撹拌を制御しながら、所望の試験条件温度(通常、述べたように40℃又は60℃)まで予備加熱した。続いて、プラスチックピンセットで保持したクーポンを、加熱した組成物中に、クーポンのPER層を有する側が撹拌子側になるように入れることにより洗浄試験を行った。組成物の撹拌を制御しながら試験温度に維持した状態で、クーポンを一定時間(通常、2~5分間)洗浄組成物中にて静置した。所望の洗浄時間の経過後、クーポンを洗浄組成物から素早く取り出し、周囲温度(約17℃)で緩やかに撹拌したおよそ400mlの脱イオン水を満たした500mlのプラスチックビーカーにクーポンを入れた。クーポンをビーカーの脱イオン水の中でおよそ30秒間放置し、続いて素早く取り出し、周囲温度の脱イオン水流により約30秒間リンスした。手持ち型の窒素ブローガンからの窒素ガス流にクーポンを直ちに曝し、これによりクーポン表面上のあらゆる液滴もクーポンから吹き飛ばし、更に、クーポンデバイス表面を完全に乾燥させた。この最終窒素乾燥工程の後、クーポンをプラスチックピンセットホルダーから取り外し、デバイス側を上にしてカバー付きプラスチックキャリアに入れ、約2時間未満の短時間保存を行った。次に、洗浄した試験クーポンデバイス表面上の主要な構造について、走査型電子顕微鏡(SEM)画像を収集した。
【0073】
<一般手順3>
ビーカー試験による材料相溶性評価
シリコン基板上のブランケットCo、シリコン基板上のW、シリコン基板上のSiO上TiOx、シリコン基板上のSiN、シリコン基板上のILD、シリコン基板上のSiC、及びシリコン基板上のW合金をさいの目に切り、材料相溶性試験用のおよそ1インチ×1インチの正方形試験クーポンにした。まず、試験クーポンについて、金属膜(Co、W)の場合は4点プローブ、CDE Resmap 273により、又は誘電体膜(TiOx、SiN、及びILD)の場合はWoollam M‐2000Xを用いたエリプソメトリにより、厚み又はシート抵抗を測定した。次に、試験クーポンを長さ4インチのプラスチックロッキングピンセットにセットし、クーポンのCo、W、W合金、TiOx、SiN、SiC、又はILD層を有する側が撹拌子側になるようにして、一般手順2の洗浄手順に記載の通りに10分間処理した。
【0074】
最終窒素乾燥工程後、クーポンをプラスチックピンセットホルダーから取り外し、カバー付きプラスチックキャリアに入れた。金属膜(Co、W、及びW合金)の場合は4点プローブ、CDE Resmap 273により、又は誘電体膜(TiOx、SiN、SiC、及びILD)の場合はWoollam M‐2000Xを用いたエリプソメトリにより、処理後の試験クーポン表面における処理後厚み又は処理後シート抵抗を測定した。
【0075】
〔調合例FE-1~FE-7〕
表1に、一般手順1に従って調製した調合物FE-1~FE-7(硫黄含有添加剤を含む)を示す。
【0076】
【表1】

【0077】
〔実施例1~3〕
露出している金属又は誘電体との洗浄剤の相溶性
調合物FE-4、FE-6、及びFE-7を、一般手順2に従い洗浄力について試験し、一般手順3に従って材料相溶性について65℃で4分間試験した。洗浄組成物によるCo、W、W合金、TiOx、SiN、SiC、及びILDのエッチレート(ER)(オングストローム/分)を表2に示す。
【0078】
【表2】

【0079】
表2のデータには、本開示の調合物(すなわち、FE-4、FE-6、及びFE-7)により、半導体デバイスにおいて一般に見られる半導体材料(Co、W、TiOx、SiN、SiC、TEOS、及びILDなど)が実質的にエッチングされることなく、エッチング後の残渣が洗浄されたことが示される。
【0080】
〔調合例FE-8~FE-26、及びCFE-1〕
表3に、一般手順1に従って調製した調合物FE-8~FE-26(いかなる硫黄含有添加剤も含まないか、いかなる酸も含まない)を示す。
【0081】
【表3】

【0082】
〔実施例4~22及び比較例1〕
露出している金属との洗浄剤の相溶性
調合物FE-8~FE-26及びCFE-1を、一般手順3に従い材料相溶性について65℃で4分間試験した。洗浄用調合物によるW合金、TiOx、Co、及びWのエッチレート(ER)(オングストローム/分)を表4に示す。
【0083】
【表4】

【0084】
表4のデータには、本開示の洗浄用調合物(すなわち、FE-8~FE-26)により、半導体デバイスにおいて一般に見られる金属(W、W合金、Co、又はTiOxなど)の少なくとも1種の腐食又はエッチングが、金属含有添加剤をまったく含まない洗浄用調合物と比較して著しく低減されたことが示される。
【0085】
〔調合例FE-27~FE-32〕
表5に、一般手順1に従って調製した調合物FE-27~FE-32(アミノ酸グリシンを含む)を示す。
【0086】
【表5】

【0087】
〔実施例23~28〕
露出している金属との洗浄剤の相溶性
調合物FE-27~FE-32を、一般手順3に従って材料相溶性について65℃で4分間試験した。洗浄用調合物によるW合金、Co、AlOx、及びTiOxのエッチレート(ER)(オングストローム/分)を表6に示す。
【0088】
【表6】

【0089】
表6のデータには、本開示の洗浄用調合物(すなわち、FE-27~FE-32)は半導体デバイスにおいて一般に見られる金属(W合金、Co、AlOx、又はTiOxなど)に対する腐食又はエッチングの程度が比較的低く、この低腐食性は、調合物中の溶媒、金属含有添加剤(すなわち、NHTiF)、及びアミノ酸(すなわち、グリシン)の量が変動しても大きく変化することがなかったことが示される。
【0090】
〔調合例FE-33~FE-40〕
表7に、一般手順1に従って調製した調合物FE-33~FE-40(アミノ酸グリシンを含む)を示す。
【0091】
【表7】

【0092】
〔実施例29~36〕
露出している金属との洗浄剤の相溶性
調合物FE-33~FE-40を、一般手順3に従って材料相溶性について65℃で4分間試験した。洗浄用調合物によるW合金、Co、AlOx、及びTiOxのエッチレート(ER)(オングストローム/分)を表8に示す。
【0093】
【表8】

【0094】
表8のデータには、本開示の洗浄用調合物(すなわち、FE-33~FE-44)は半導体デバイスにおいて一般に見られる金属(W合金、Co、AlOx、又はTiOxなど)に対する腐食又はエッチングの程度が比較的低く、この低腐食性は調合物中の溶媒及び水の量が変動しても大きく変化することがなかったことが示される。
【0095】
〔調合例FE-41~FE-52〕
表9に、一般手順1に従って調製した調合物FE-41~FE-52(FE-41以外は導電性向上剤を含む)を示す。
【0096】
【表9】

【0097】
調合物FE-41~FE-52の導電率を、導電率計を用いて測定した。結果を以下の表10にまとめる。
【0098】
【表10】

【0099】
表10に示されるように、調合物FE-42~FE-52(導電性向上剤を含む)はすべて、調合物FE-41(導電性向上剤を含まない)に比べて著しく高い導電率を有することがわかる。洗浄用調合物の導電率を高めた結果、洗浄プロセス中のCo損失を低減することができると考えられるが、理論に束縛されるものではない。つまり調合物FE-42~FE-52は、調合物FE-41に比べてCo損失を低減したであろうと考えられる。
【0100】
特定の実施形態を参照して本発明を詳細に説明したが、改変及び変更も、本明細書に記載され、特許請求の範囲に記載される事項の趣旨及び範囲の範疇であることは理解される。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)組成物の0.5重量%~20重量%の量である少なくとも1種のレドックス剤;
2)水溶性アルコール類、水溶性ケトン類、水溶性エステル類、及び水溶性エーテル類からなる群より選択される少なくとも1種の有機溶媒であって、組成物の60重量%~95重量%の量である前記少なくとも1種の有機溶媒
3)組成物の0.001重量%~0.5重量%の量である少なくとも1種の金属含有添加剤;並びに
4) 組成物の5重量%~28重量%の量である水、
を含み、
前記少なくとも1種の金属含有添加剤は、金属ハロゲン化物、金属水酸化物、金属ホウ化物、金属アルコキシド、金属酸化物、又は金属含有アンモニウム塩を含み、
前記金属酸化物は、第2A族金属、第3B族金属、又は第5B族金属を含む、
洗浄組成物。
【請求項2】
7~11のpHを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1種のレドックス剤は、ヒドロキシルアミンを含む、請求項1又は請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1種のレドックス剤は、前記組成物の5重量%~20重量%である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1種の有機溶媒は、2種の有機溶媒を含む、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記2種の有機溶媒は、それぞれ独立して、アルキレングリコール類及びアルキレングリコールエーテル類からなる群より選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1種の有機溶媒は、前記組成物の65重量%~95重量%である、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1種の金属含有添加剤は、金属ハロゲン化物、金属水酸化物、金属ホウ化物、金属アルコキシド、又は金属含有アンモニウム塩を含む、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記金属ハロゲン化物、金属水酸化物、金属ホウ化物、金属アルコキシド、又は金属含有アンモニウム塩は、第2A族金属、第3B族金属、第4B族金属、第5B族金属、又はランタニド金属を含む、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1種の金属含有添加剤は、Ca、Ba、Ti、Hf、Sr、La、Ce、W、V、Nb、又はTaを含む、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記少なくとも1種の金属含有添加剤は、前記組成物の0.001重量%~0.4重量%である、請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記水は、前記組成物の8重量~2重量%である、請求項1~請求項11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
pH調整剤をさらに含む、請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
前記pH調整剤は、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン又は1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネンである、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
少なくとも1種の洗浄添加剤をさらに含む、請求項1~請求項14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
前記少なくとも1種の洗浄添加剤は、硫黄含有添加剤を含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記硫黄含有添加剤は、チオール又はチオエーテルを含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記硫黄含有添加剤は、3-アミノ-5-メルカプト-1H-1,2,4-トリアゾール、β-メルカプトエタノール、3-アミノ-5-メチルチオ-1H-1,2,4-トリアゾール、1-フェニル-1H-テトラゾール-5-チオール、4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-チオール、2-ピリジンチオール、又は3-メルカプトプロピオン酸を含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記硫黄含有添加剤は、前記組成物の0.01重量%~0.15重量%である、請求項16~請求項18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
前記少なくとも1種の洗浄添加剤は、アミノ酸を含む、請求項15~請求項19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
前記アミノ酸は、グリシンである、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記アミノ酸は、前記組成物の0.01重量%~0.15重量%である、請求項20又は請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
少なくとも1種の有機酸をさらに含む、請求項1~請求項22のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項24】
前記少なくとも1種の有機酸は、カルボン酸又はスルホン酸を含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記少なくとも1種の有機酸は、前記組成物の0.1重量%~0.5重量%である、請求項23又は請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
水酸化第四級アンモニウム類、第四級アンモニウム塩類、及びイミダゾリウム塩類からなる群より選択される少なくとも1種の導電性向上剤をさらに含む、請求項1~請求項25のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項27】
前記導電性向上剤は、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、又は1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムメタンスルホネートである、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記少なくとも1種の導電性向上剤は、前記組成物の1重量%~10重量%である、請求項26又は請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記pH調整剤は、前記組成物の0.1重量%~3重量%である、請求項14又は15に記載の組成物。
【請求項30】
エッチング後の残渣又はアッシング後の残渣を含む半導体基板を、請求項1~請求項29のいずれか1項に記載の洗浄組成物と接触させることを含む、方法。
【請求項31】
前記半導体基板は、Cu、Co、W、AlOx、AlN、AlOxNy、Ti、TiN、Ta、TaN、TiOx、ZrOx、HfOx、及びTaOxからなる群より選択される材料を含む層をさらに有する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記接触工程の後に、前記半導体基板をリンス溶媒でリンスすることをさらに含む、請求項30又は請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記リンス工程の後に、前記半導体基板を乾燥させることをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記半導体基板から半導体デバイスを形成することをさらに含む、請求項30~請求項33のいずれか1項に記載の方法。

【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0100
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0100】
特定の実施形態を参照して本発明を詳細に説明したが、改変及び変更も、本明細書に記載され、特許請求の範囲に記載される事項の趣旨及び範囲の範疇であることは理解される。
本開示は下記の実施形態<1>~<34>も含む。
<1>
1)少なくとも1種のレドックス剤;
2)水溶性アルコール類、水溶性ケトン類、水溶性エステル類、及び水溶性エーテル類からなる群より選択される少なくとも1種の有機溶媒;
3)少なくとも1種の金属含有添加剤;並びに
4) 水、
を含む、洗浄組成物。
<2>
約7~約11のpHを有する、<1>に記載の組成物。
<3>
前記少なくとも1種のレドックス剤は、ヒドロキシルアミンを含む、<1>に記載の組成物。
<4>
前記少なくとも1種のレドックス剤は、前記組成物の約5重量%~約20重量%である、<1>に記載の組成物。
<5>
前記少なくとも1種の有機溶媒は、2種の有機溶媒を含む、<1>に記載の組成物。
<6>
前記2種の有機溶媒は、それぞれ独立して、アルキレングリコール類及びアルキレングリコールエーテル類からなる群より選択される、<5>に記載の組成物。
<7>
前記少なくとも1種の有機溶媒は、前記組成物の約60重量%~約95重量%である、<1>に記載の組成物。
<8>
前記少なくとも1種の金属含有添加剤は、金属ハロゲン化物、金属水酸化物、金属ホウ化物、金属アルコキシド、金属酸化物、又は金属含有アンモニウム塩を含む、<1>に記載の組成物。
<9>
前記少なくとも1種の金属含有添加剤は、第2A族金属、第3B族金属、第4B族金属、第5B族金属、又はランタニド金属を含む、<1>に記載の組成物。
<10>
前記少なくとも1種の金属含有添加剤は、Ca、Ba、Ti、Hf、Sr、La、Ce、W、V、Nb、又はTaを含む、<9>に記載の組成物。
<11>
前記少なくとも1種の金属含有添加剤は、ホウ化タングステン、Ca(OH) 、BaCl 、SrCl 、LaCl 、CeCl 、(NH TiF 、BaTiO 、Ti(OEt) 、Ti(OCH(CH 、HfO 、V 、Nb 、又はTaF を含む、<1>に記載の組成物。
<12>
前記少なくとも1種の金属含有添加剤は、前記組成物の約0.001重量%~約0.5重量%である、<1>に記載の組成物。
<13>
前記水は、前記組成物の約5%~約28%である、<1>に記載の組成物。
<14>
pH調整剤をさらに含む、<1>に記載の組成物。
<15>
前記pH調整剤は、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセンである、<14>に記載の組成物。
<16>
少なくとも1種の洗浄添加剤をさらに含む、<1>に記載の組成物。
<17>
前記少なくとも1種の洗浄添加剤は、硫黄含有添加剤である、<16>に記載の組成物。
<18>
前記硫黄含有添加剤は、チオール又はチオエーテルを含む、<17>に記載の組成物。
<19>
前記硫黄含有添加剤は、3-アミノ-5-メルカプト-1H-1,2,4-トリアゾール、β-メルカプトエタノール、3-アミノ-5-メチルチオ-1H-1,2,4-トリアゾール、1-フェニル-1H-テトラゾール-5-チオール、4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-チオール、2-ピリジンチオール、又は3-メルカプトプロピオン酸を含む、<18>に記載の組成物。
<20>
前記硫黄含有添加剤は、前記組成物の約0.01重量%~約0.15重量%である、<17>に記載の組成物。
<21>
前記少なくとも1種の洗浄添加剤は、アミノ酸を含む、<16>に記載の組成物。
<22>
前記アミノ酸は、グリシンである、<21>に記載の組成物。
<23>
前記アミノ酸は、前記組成物の約0.01重量%~約0.15重量%である、<21>に記載の組成物。
<24>
少なくとも1種の有機酸をさらに含む、<1>に記載の組成物。
<25>
前記少なくとも1種の有機酸は、カルボン酸又はスルホン酸を含む、<24>に記載の組成物。
<26>
前記少なくとも1種の有機酸は、前記組成物の約0.1重量%~約0.5重量%である、<24>に記載の組成物。
<27>
水酸化第四級アンモニウム類、第四級アンモニウム塩類、及びイミダゾリウム塩類からなる群より選択される少なくとも1種の導電性向上剤をさらに含む、<1>に記載の組成物。
<28>
前記導電性向上剤は、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、又は1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムメタンスルホネートである、<27>に記載の組成物。
<29>
前記少なくとも1種の導電性向上剤は、前記組成物の約1重量%~約10重量%である、<27>に記載の組成物。
<30>
エッチング後の残渣又はアッシング後の残渣を含む半導体基板を、<1>~<29>のいずれか1つに記載の洗浄組成物と接触させることを含む、方法。
<31>
前記半導体基板は、Cu、Co、W、AlOx、AlN、AlOxNy、Ti、TiN、Ta、TaN、TiOx、ZrOx、HfOx、及びTaOxからなる群より選択される材料を含む層をさらに有する、<30>に記載の方法。
<32>
前記接触工程の後に、前記半導体基板をリンス溶媒でリンスすることをさらに含む、<30>に記載の方法。
<33>
前記リンス工程の後に、前記半導体基板を乾燥させることをさらに含む、<32>に記載の方法。
<34>
前記半導体基板から半導体デバイスを形成することをさらに含む、<30>に記載の方法。
【外国語明細書】