IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ トラスティーズ オブ プリンストン ユニバーシティの特許一覧

特開2022-130408高い開路電圧を有する単接合有機光電池デバイスとそのアプリケーション
<>
  • 特開-高い開路電圧を有する単接合有機光電池デバイスとそのアプリケーション 図1A
  • 特開-高い開路電圧を有する単接合有機光電池デバイスとそのアプリケーション 図1B
  • 特開-高い開路電圧を有する単接合有機光電池デバイスとそのアプリケーション 図1C
  • 特開-高い開路電圧を有する単接合有機光電池デバイスとそのアプリケーション 図2
  • 特開-高い開路電圧を有する単接合有機光電池デバイスとそのアプリケーション 図3
  • 特開-高い開路電圧を有する単接合有機光電池デバイスとそのアプリケーション 図4
  • 特開-高い開路電圧を有する単接合有機光電池デバイスとそのアプリケーション 図5
  • 特開-高い開路電圧を有する単接合有機光電池デバイスとそのアプリケーション 図6
  • 特開-高い開路電圧を有する単接合有機光電池デバイスとそのアプリケーション 図7
  • 特開-高い開路電圧を有する単接合有機光電池デバイスとそのアプリケーション 図8
  • 特開-高い開路電圧を有する単接合有機光電池デバイスとそのアプリケーション 図9
  • 特開-高い開路電圧を有する単接合有機光電池デバイスとそのアプリケーション 図10
  • 特開-高い開路電圧を有する単接合有機光電池デバイスとそのアプリケーション 図11
  • 特開-高い開路電圧を有する単接合有機光電池デバイスとそのアプリケーション 図12
  • 特開-高い開路電圧を有する単接合有機光電池デバイスとそのアプリケーション 図13
  • 特開-高い開路電圧を有する単接合有機光電池デバイスとそのアプリケーション 図14
  • 特開-高い開路電圧を有する単接合有機光電池デバイスとそのアプリケーション 図15
  • 特開-高い開路電圧を有する単接合有機光電池デバイスとそのアプリケーション 図16
  • 特開-高い開路電圧を有する単接合有機光電池デバイスとそのアプリケーション 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022130408
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】高い開路電圧を有する単接合有機光電池デバイスとそのアプリケーション
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/46 20060101AFI20220830BHJP
   G02F 1/15 20190101ALN20220830BHJP
   G02F 1/13 20060101ALN20220830BHJP
【FI】
H01L31/04 150
H01L31/04 154A
G02F1/15
G02F1/13 505
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022091426
(22)【出願日】2022-06-06
(62)【分割の表示】P 2018531182の分割
【原出願日】2016-12-19
(31)【優先権主張番号】62/269,609
(32)【優先日】2015-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518148685
【氏名又は名称】ザ トラスティーズ オブ プリンストン ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ロー、 ユー-リン
(72)【発明者】
【氏名】デビー、 ニコラス シー.
(72)【発明者】
【氏名】セゼン エドモンズ、 メルダ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高いVoc値を示す一方で単接合アーキテクチャを用いる単接合有機光電池デバイス及び、エレクトロクロミックアセンブリと電気通信する単接合光電池デバイスとを含むアプリケーションを提供する。
【解決手段】単接合有機光電池デバイスは、アノードと、カソードと、当該アノードとカソードとの間に存在する活性層とを含み、活性層は有機電子供与体及び有機電子受容体を含み、光電池デバイスは少なくとも1.4VのVocを生成する。単接合有機光電池デバイスは、エレクトロクロミックアセンブリと同じ設置面積上に垂直方向に統合される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単接合有機光電池デバイスであって、
アノードと、
カソードと、
前記アノードとカソードとの間に存在する活性層と
を含み、
前記活性層は有機電子供与体及び有機電子受容体を含み、
前記単接合光電池デバイスは、少なくとも1.4Vの開路電圧(Voc)を生成する単接
合有機光電池デバイス。
【請求項2】
前記Vocは少なくとも1.6Vである請求項1の単接合有機光電池デバイス。
【請求項3】
前記Vocは1.4V~4Vの範囲にある請求項1の単接合有機光電池デバイス。
【請求項4】
前記有機電子供与体の最高被占軌道(HOMO)と前記有機電子受容体の最低空軌道(L
UMO)との差は1.7eV~4eVである請求項1の単接合有機光電池デバイス。
【請求項5】
前記HOMOとLUMOとの差は2eV~4eVである請求項4の単接合有機光電池デバ
イス。
【請求項6】
前記活性層は、可視光領域の平均透過率が60パーセント~100パーセントである請求
項1の単接合有機光電池デバイス。
【請求項7】
前記活性層による電磁放射のピーク吸収率は、250nm~450nmの範囲に存在する
請求項1の単接合有機光電池デバイス。
【請求項8】
前記活性層は、300nm~620nmの範囲にある電磁放射を吸収する請求項1の単接
合有機光電池デバイス。
【請求項9】
前記有機電子供与体及び有機電子受容体の一方又は双方は置換コロネンから選択される請
求項1の単接合有機光電池デバイス。
【請求項10】
前記置換コロネンは、ヘテロ芳香族部分により環化されたコロネンコアを含む請求項9の
単接合有機光電池デバイス。
【請求項11】
前記ヘテロ芳香族部分は、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン及びピリジンからなる群から
選択される請求項10の単接合有機光電池デバイス。
【請求項12】
前記置換コロネンは、ハロゲン化芳香族部分により環化されたコロネンコアを含む請求項
9の単接合有機光電池デバイス。
【請求項13】
前記アノードと活性層との間に配置された正孔輸送層をさらに含む請求項1の単接合有機
光電池デバイス。
【請求項14】
前記正孔輸送層は遷移金属酸化物を含む請求項1の単接合有機光電池デバイス。
【請求項15】
前記カソードと活性層との間に配置された電子輸送層をさらに含む請求項13の単接合有
機光電池デバイス。
【請求項16】
前記アノード若しくはカソード又はその双方が、80パーセント~100パーセントの、
可視光領域の平均透過率を示す請求項1の単接合有機光電池デバイス。
【請求項17】
前記アノード若しくはカソード又はその双方が、80パーセント~100パーセントの、
赤外光領域の平均透過率を示す請求項1の単接合有機光電池デバイス。
【請求項18】
前記活性層にはピン孔が存在しない請求項1の単接合有機光電池デバイス。
【請求項19】
エレクトロクロミックデバイスであって、
エレクトロクロミックアセンブリと、
光起電力の印加により前記エレクトロクロミックアセンブリを明状態及び暗状態間で切り
替えるべく、前記エレクトロクロミックアセンブリと電気通信する単接合有機光電池デバ
イスと
を含み、
前記単接合有機光電池デバイスは、
アノードと、
カソードと、
前記アノードとカソードとの間に存在する活性層と
を含み、
前記活性層は有機電子供与体及び有機電子受容体を含み、
前記単接合光電池デバイスは少なくとも1.4Vの開路電圧(Voc)を生成するエレク
トロクロミックデバイス。
【請求項20】
前記Vocは少なくとも1.6Vである請求項19のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項21】
前記有機電子供与体のHOMOと前記有機電子受容体のLUMOとの差は1.7eV~4
eVである請求項19のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項22】
前記エレクトロクロミックアセンブリは、
単数のエレクトロクロミック層と、
電荷バランス層と
を含む請求項19のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項23】
前記エレクトロクロミックアセンブリは複数のエレクトロクロミック層を含む請求項19
のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項24】
前記エレクトロクロミックアセンブリの一以上のエレクトロクロミック層がエレクトロク
ロミック高分子材料を含む請求項19のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項25】
前記エレクトロクロミックアセンブリの一以上のエレクトロクロミック層が金属酸化物又
は混合金属酸化物を含む請求項19のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項26】
前記単接合有機光電池デバイスは、前記エレクトロクロミックアセンブリに垂直方向に統
合される請求項19のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項27】
前記エレクトロクロミックアセンブリに垂直方向に統合された一以上の付加的な単接合有
機光電池デバイスをさらに含む請求項26のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項28】
前記単接合有機光電池デバイスは、前記エレクトロクロミックアセンブリから離間される
請求項19のエレクトロクロミックデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光電池装置に関し、詳しくは、高い開路電圧(Voc)を示す単接合有機光電
池装置に関する。
【0002】
政府の権利に関する声明
本発明は、米国海軍研究局により授与された助成金第N00014-11-1-032
8号に基づく政府の支援によりなされた。政府は本発明に一定の権利を有する。
【0003】
関連出願データ
本願は、米国特許法第119条(e)の定めにより、2015年12月18日に出願さ
れた米国仮特許出願第62/269,609号に基づく優先権を主張する。その全体がこ
こに参照として組み入れられる。
【背景技術】
【0004】
有機材料を使用した光電子デバイスが、一定数の理由により、様々なアプリケーション
で益々望まれている。有機光電子デバイスを構築するのに使用される材料は、無機の対応
デバイスと比べて比較的安価なので、無機材料により製造された光電子デバイスよりもコ
スト面での利点を与える。さらに、有機材料は、可撓性のような所望の物理特性を与える
ので、剛性材料には不向きのアプリケーションにおいての使用が可能である。有機光電子
デバイスの例には、有機光電池セル、有機発光デバイス(OLED)、及び有機光検出器
が含まれる。
【0005】
光電池デバイスは、負荷の両端に接続されて光にさらされるときに光生成電流をもたら
すことにより、電磁放射を電気に変換する。無限負荷のもとで照射を受けると、光電池デ
バイスは、その最大可能電圧である開路電圧すなわちVocを生成する。その電気接点が
短絡されたまま照射を受けると、光電池デバイスは、その最大電流であるI短絡すなわち
scを生成する。動作条件下では、光電池デバイスは有限負荷に接続され、その電力出
力は電流と電圧との積に等しい。光電池デバイスにより生成される最大電力は、Voc
scとの積を超えることができない。負荷値が最大発電量に最適化されると、電流及び
電圧はそれぞれ、値Imax及びVmaxを有する。
【0006】
現在の有機光電池装置に関する構造的な欠点は、高い光起電力を生成する能力がないこ
とである。この能力がないことにより、エレクトロクロミック又は電気化学のアプリケー
ションのような高電圧アプリケーションでは有機光電池デバイスの使用が限られ又は妨げ
られ得る。この欠点に対処するべく、タンデム接合又は多接合の有機光電池デバイスが開
発されている。多接合デバイスは、向上した性能を示す一方、製作するのが難しく、時間
もかかる。かかる製作効率の悪さにより、多接合有機デバイスには、競合する無機光電池
技術と比べて法外なコストがかかり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2015/0280025(A1)号明細書
【発明の概要】
【0008】
一つの側面において、ここに記載される有機光電池デバイスは、単接合アーキテクチャ
を用いながらも高いVoc値を示す。高いVoc値により、有利なことに、デバイスの使
用分野が広がる一方、単接合アーキテクチャにより効率的かつ再現性のある製造が容易に
なる。簡潔には、ここに記載される単接合光電池デバイスは、アノードと、カソードと、
当該アノードとカソードとの間に存在する活性層とを含み、当該活性層は有機電子供与体
及び有機電子受容体を含み、当該光電池デバイスは少なくとも1.4VのVocを生成す
る。いくつかの実施形態において、有機電子供与体の最高被占軌道(HOMO)と有機電
子受容体の最低空軌道(LUMO)との差は1.7eVから4eVである。さらに、いく
つかの実施形態において、活性層は、可視光及び/又は赤外光の高い透過率を必要とする
アプリケーションにとって望ましい吸収曲線を示し得る。例えば、可視光及び/又は赤外
光領域における活性層の平均透過率は、いくつかの実施形態において60パーセントから
100パーセントの範囲となり得る。
【0009】
ここに記載される単接合有機光電池デバイスは、エレクトロクロミックデバイスのよう
な様々なアプリケーションに用途を見出し得る。いくつかの実施形態において、エレクト
ロクロミックデバイスは、エレクトロクロミックアセンブリと、光起電力のアプリケーシ
ョンを介して当該エレクトロクロミックアセンブリを明状態と暗状態との間で切り替える
べく、当該エレクトロクロミックアセンブリと電気通信する単接合光電池デバイスとを含
む。単接合光電池デバイスは、アノードと、カソードと、当該アノードとカソードとの間
に存在する活性層とを含み、当該活性層は有機電子供与体及び有機電子受容体を含み、当
該光電池デバイスは少なくとも1.4VのVocを生成する。ここでさらに記載されるよ
うに、単接合光電池デバイスは、エレクトロクロミックアセンブリに垂直方向に統合する
ことができる。いくつかの実施形態において、単接合光電池デバイスは、同じ設置面積に
おいてエレクトロクロミックアセンブリに垂直方向に統合することができる。代替的に、
光電池デバイスは、エレクトロクロミックアセンブリからは空間的に分離される。
【0010】
ここに記載される単接合光電池デバイスはまた、UVのフィルタリング及び/又は収穫
にもアプリケーションを見出すことができる。いくつかの実施形態において、ここに記載
されるUV吸収単接合光電池デバイスは、既存のシリコン及び/又は他の光電池技術のU
V保護コーティングに取って代わる。ここに記載される単接合光電池デバイスは、日光照
射のUV部分のほとんどを吸収することにより、UVによる劣化を受け易い一方でシリコ
ン及び/又は他の光電池デバイスによる発電量のために可視光及び赤外光を透過させる有
機活性層光電池を含むシリコン及び/又は他の光電池技術のためのUV保護体として作用
する。ここに記載される垂直方向に統合されたUV吸収単接合太陽電池はまた、そうでな
ければ使用されないままとなる発電用UV光を収穫するべく外部のシリコン及び/又は他
の光電池デバイスに接続することができる。
【0011】
ここに記載される単接合光電池デバイスはまた、エネルギー貯蔵アーキテクチャにもア
プリケーションを見出すことができる。いくつかの実施形態において、電池アーキテクチ
ャは、電気化学アセンブリと、当該電気化学アセンブリと電気通信する単接合光電池デバ
イスとを含む。単接合光電池デバイスは、アノードと、カソードと、当該アノードとカソ
ードとの間に存在する活性層とを含み、当該活性層は有機電子供与体及び有機電子受容体
を含み、当該光電池デバイスは少なくとも1.4VのVocを生成する。ここにさらに記
載されるように、単接合光電池デバイスは、電気化学アセンブリに垂直方向に統合するこ
とができる。いくつかの実施形態において、単接合光電池デバイスは、同じ設置面積にお
いて電気化学アセンブリに垂直方向に統合することができる。他の実施形態において、単
接合光電池デバイスは、電気化学アセンブリから空間的に分離又は別個にされる。
【0012】
さらなる側面において、高いVoc値により、ここに記載される単接合光電池デバイス
は、水分解のような太陽光燃料アプリケーションにとって適切となり得る。いくつかの実
施形態において、例えば、水分解デバイスは、酸素(O)発生触媒(OEC)と、水素
(H)発生触媒(HEC)と、単接合光電池デバイスとを含み、当該光電池デバイスは
、アノードと、カソードと、当該アノードとカソードとの間に存在する活性層とを含む。
活性層は有機電子供与体及び有機電子受容体を含み、単接合光電池デバイスは少なくとも
1.4VのVocを生成する。いくつかの実施形態において、水分解デバイスは配線なし
であり、OEC及びHECは単接合光電池デバイスに統合される。OECが、例えば、光
電池デバイスアノードに堆積され得る一方、HECはカソードに堆積される。いくつかの
実施形態において、光電池デバイスのアノード及びカソードはそれぞれ、OEC触媒材料
及びHEC触媒材料から製作され得る。代替的に、水分解デバイスは配線されてもよい。
この場合、OEC及び/又はHECは光電池デバイスに統合されない。
【0013】
以下の詳細な説明に、これらの及び他の実施形態がさらに記載される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A】いくつかの実施形態により活性層の電子供与体及び電子受容体が選択可能なcHBC、及び様々な置換cHBCを例示する。
図1B】いくつかの実施形態により活性層の電子供与体及び電子受容体が選択可能なcHBC、及び様々な置換cHBCを例示する。
図1C】いくつかの実施形態により活性層の電子供与体及び電子受容体が選択可能なcHBC、及び様々な置換cHBCを例示する。
図2】いくつかの実施形態に係る単接合光電池デバイスを例示する。
図3】いくつかの実施形態に係る単接合光電池デバイスのエレクトロクロミックアセンブリへの垂直方向統合を例示する。
図4】開路かつオフ状態にある、いくつかの実施形態に係るエレクトロクロミックデバイスを例示する。
図5】暗状態になるように電力供給された、図4のエレクトロクロミックデバイスを例示する。
図6】透明すなわち脱色状態になるように電力供給された、図5のエレクトロクロミックデバイスを例示する。
図7】いくつかの実施形態に係る、ここに記載される単接合光電池デバイスを垂直方向に統合した電池アーキテクチャを例示する。
図8図8A及び8Bは、いくつかの実施形態に係る、配線なしの水分解デバイスを例示する。
図9図9Aは、8Cl-cHBC(A1)及び12Cl-cHBC(A2)の化学構造を例示する。図9Bは、A1及びA2のHOMO及びLUMOそれぞれの、紫外光電子分光法(UPS)及び逆光電子放出分光法(IPES)により決定されたエネルギー準位を例示する。図9Cは、いくつかの実施形態に係る活性層の有機電子供与体化学種及び有機電子受容体化学種の薄膜に対する吸収スペクトルを例示する。
図10】いくつかの実施形態に係るD/A1活性層を有する光電池デバイス1の両端間のVocのヒストグラムである。
図11】いくつかの実施形態に係る光電池デバイス活性層による可視光及び近赤外光のパーセント透過率を例示する。
図12図12Aは、いくつかの実施形態に係る光電池デバイスのJ-V特性を例示する。図12Bは、いくつかの実施形態に係る光電池デバイスの電力密度曲線を例示する。図12Cは、いくつかの実施形態に係る光電池デバイス発電量と活性面積との直線関係を例示する。
図13】いくつかの実施形態に係る、同じ光電池構造を有する1cmデバイス及び10cmデバイスのJ-V特性を例示する。
図14】いくつかの実施形態に係るエレクトロクロミックアセンブリを例示する。
図15図14のエレクトロクロミックアセンブリの、±1.2V間のサイクル時の暗状態及び明状態の光透過率を例示する。
図16図14のエレクトロクロミックアセンブリの、±1.2V間のサイクル時の透過率コントラストの安定性を例示する。
図17】いくつかの実施形態に係るPANI-PAAMPSA及びPEDOT:PSSの厚さを変えることによるエレクトロクロミックアセンブリの透過率コントラストのチューニング性能を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここに記載される複数の実施形態は、以下の詳細な説明及び例並びにその前後の記載を
参照することにより容易に理解することができる。しかしながら、ここに記載される要素
、装置及び方法は、詳細な説明及び例に提示される特定の実施形態に限られない。認識す
べきことだが、これらの実施形態は、本発明の原理の単なる例示にすぎない。当業者にと
って、本発明の要旨及び範囲から逸脱することのない多くの修正例及び適合例も容易に明
らかとなる。
【0016】
I.単接合光電池デバイス
【0017】
一つの側面において、高いVoc値を示す一方で単接合アーキテクチャを用いる単接合
有機光電池デバイスが与えられる。ここに記載される単接合光電池デバイスは、アノード
と、カソードと、当該アノードとカソードとの間に存在する活性層とを含み、当該活性層
は有機電子供与体及び有機電子受容体を含み、当該光電池デバイスは、少なくとも1.4
VのVocを生成する。いくつかの実施形態において、光電池デバイスは、表Iから選択
される値を有するVocを生成する。
【表1】
特定の部材に目を向けると、光電池デバイスの活性層は、有機電子供与体及び有機電子受
容体を含む。活性層においては、ここに記載される光電池デバイスの性能評価指標に整合
する電子構造を有する任意の化学種の有機電子供与体及び有機電子受容体を用いることが
できる。性能評価指標は、Voc、並びに電磁スペクトルの一以上の領域における吸収率
及び/又は透過率曲線を含むがこれらに限られない。いくつかの実施形態において、有機
電子供与体のHOMOと有機電子受容体のLUMOとの差は1.7eV~4eVである。
さらに、活性層の有機電子供与体及び受容体間のHOMO/LUMOの差すなわちオフセ
ットは、表IIから選択することができる。
【表2】
活性層の有機電子供与体及び有機電子受容体は、本発明の目的に矛盾しない任意の電磁放
射吸収曲線を示し得る。いくつかの実施形態において、有機電子供与体及び受容体は、2
50nm~450nmの範囲においてピーク吸収率を示す。かかる実施形態において、活
性層は、可視及び近赤外の領域の光に対してほぼ透明である。例えば、活性層は一般に、
60パーセント~100パーセントの可視光領域平均透過率を示す。ここに記載される活
性層の平均可視光透過率はまた、表IIIから選択される値を有し得る。
【表3】
ここでさらに記載されるように、前述の透過率値を有する活性層により、光電池デバイス
は、商業及び産業建屋、家庭、並びに車、バス、トラック、列車及び航空機を含む輸送車
両の窓のような、可視光領域及び/又は赤外光領域の透明性が重要な要件となるアプリケ
ーションにとって特に適するようになる。
【0018】
可視光領域の透過率がそれほど重要とはならないいくつかの実施形態において、有機電
子供与体及び有機電子受容体は、300nm~620nmの吸収率を示す。この吸収曲線
は、可視光領域のピーク強度を捕捉しており、高電圧の電力を必要とし又は当該電力から
利益を得る電池及び/又は水分解アプリケーションに対する光電池デバイス性能を向上さ
せ得る。いくつかの実施形態において、活性層の電子供与体及び電子受容体は、1.7e
V~4eVのHOMO/LUMOオフセット又は表IIから選択されるオフセットととも
に、ここに記載される吸収率/透過率曲線のいずれか一つを示す。
【0019】
いくつかの実施形態において、活性層の有機電子供与体及び有機電子受容体は、前述の
HOMO/LUMOオフセット及び/又は透過率の要件を満たす多環芳香族化合物から選
択される。適切な多環芳香族化合物は、置換コロネンを含み得る。コロネンのコアは、例
えば、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ピリジン及び/又は同様の芳香族置換基のよう
な、ハロゲン化フェニル基及び/又は拡張ヘテロ芳香族基を含むがこれらに限られない周
辺芳香族置換基によって環化することができる。いくつかの実施形態において、有機電子
供与体及び有機電子受容体は、ねじ曲げられた(contorted)ヘキサベンゾコロ
ネン(cHBC)および置換cHBCから選択される。図1A~1Cは、いくつかの実施
形態に係るcHBC及び様々な置換cHBCを例示する。これらから、活性層の電子供与
体及び電子受容体が選択され得る。図1Bの非限定的な実施形態A~Hは、コロネンコア
についての様々な置換又は削除を例示する。同様に、図1Cの非限定的な実施形態1~1
2は、コロネンコアについての様々なハロゲン化置換又は複素環置換を例示する。多くの
先行技術の有機活性層構造とは対照的に、有機電子受容体は、いくつかの実施形態におい
て、フラーレンC60若しくはフラーレンC70又はフラーレン誘導体のようなフラーレ
ンではない。
【0020】
様々な有機電子供与体及び有機電子受容体の化学種に加え、活性層は、本発明の目的に
矛盾しない任意のアーキテクチャを有し得る。いくつかの実施形態において、有機電子供
与体及び有機電子受容体の隣接層間には平面ヘテロ接合部が形成される。かかる実施形態
において、有機電子供与体層及び有機電子受容体層の厚さは、活性層による十分な光の吸
収率、及び励起子拡散経路長を含むいくつかの考慮に従って選択することができる。有機
電子供与体層及び有機電子受容体層は一般に、1~450nmの個別厚さを有し得る。い
くつかの実施形態において、有機電子供与体層及び有機電子受容体層のそれぞれの厚さは
1nm~400nmとすることができる。
【0021】
いくつかの実施形態において、活性層は、傾斜ヘテロ接合部アーキテクチャを示す。か
かるアーキテクチャにおいて、有機電子供与体は、活性層のアノード側での100パーセ
ントからカソード側でのゼロパーセントまで次第に減少する。同様に、有機電子受容体は
、活性層のカソード側での100パーセントからアノード側でのゼロパーセントまで次第
に減少する。他の実施形態において、活性層は、混合ヘテロ接合部アーキテクチャを示し
得る。ここで、有機電子供与体及び有機電子受容体は、互いに混合又は分散し合う。いく
つかの実施形態において、有機電子供与体及び有機電子受容体は、溶液中で混合され、活
性層を形成するように堆積される。活性層はその後、アニーリングがされて活性層のスピ
ノーダル分解すなわち相分離が誘発されることにより、混合ヘテロ接合部アーキテクチャ
を形成する。いくつかの実施形態において、有機供与体及び有機電子受容体は、別々の溶
液から又はその気相から同時堆積されて混合活性層を形成する。さらなる実施形態におい
て、活性層は、平面ヘテロ接合部アーキテクチャ、傾斜ヘテロ接合部アーキテクチャ及び
/又は混合ヘテロ接合部アーキテクチャの任意の組み合わせを有し得る。加えて、活性層
はピン孔なしとすることができるので、デバイスの面積拡張性及び製作歩留まりが改善さ
れる。
【0022】
活性層に加え、ここに記載される光電池デバイスは、一以上の電荷輸送層及び/又は励
起子ブロッキング層を含み得る。いくつかの実施形態において、アノードと活性層との間
には、正孔輸送層(HTL)すなわち励起子ブロッキング層が配置される。例えば、HT
Lは、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホネート)P
EDOT:PSS、ポリアニリン-ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパ
ン-スルホン酸)PANI-PAAMPSA及び/又は遷移金属酸化物のような、一以上
の有機層又は無機層を含み得る。適切な遷移金属酸化物は、酸化モリブデンMoOを含
み得る。ここで、xは任意のMo対O比を表す。付加的な遷移金属酸化物は、酸化バナジ
ウム、酸化ニッケル、又は同様の電子構造の酸化物を含む。
【0023】
電子輸送層(ETL)すなわち励起子ブロッキング層は、いくつかの実施形態において
、カソードと活性層との間に配置される。ETLは、バソクプロイン(BCP)、フッ化
カルシウム、フッ化リチウム、ポリ[(9,9-ビス(3-(N,N-ジメチルアミノ)
プロピル)-2,7-フルオレン)-alt-2,7-(9,9-ジオクチルフルオレン
)]PFN、及び/又は遷移金属酸化物のような、一以上の有機層又は無機層を含み得る
。ETLにとって適切な遷移金属酸化物は、酸化チタン(TiO)及び/又は酸化亜鉛
を含み得る。HTL層及び/又はETL層は、本発明の目的に矛盾しない任意の方法によ
って堆積することができる。HTL層及び/又はETL層は、スパッタリング又は熱蒸着
によって堆積することができる。他の実施形態において、HTL層及び/又はETL層は
、スピンコーティング、ブレードコーティング、ナイフコーティング、スロットダイコー
ティング、スクリーン印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷又はスプ
レーコーティングのような、溶液ベースの技術によって堆積させることができる。さらな
る実施形態において、HTL層及び/又はETL層は、積層によって堆積することもでき
る。
【0024】
ここに記載される光電池デバイスのアノード及び/又はカソードは、いくつかの実施形
態において、放射線透過性材料から形成される。アノード及び/又はカソードは、放射線
透過性である場合、太陽光スペクトル放射の電磁スペクトル特性の複数部分に対して透明
又は実質的に透明となる。いくつかの実施形態において、アノード及び/又はカソードは
、放射線透過性金属酸化物から形成される。適切な放射線透過性金属酸化物は、酸化スズ
(ITO)、酸化ガリウムインジウムスズ(GITO)、酸化亜鉛インジウムスズ(ZI
TO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)及び酸化銀亜鉛(AZO)、並びにフッ素ドープ
酸化スズ(FTO)のような酸化金属の化学的機能化バージョンを含み得る。他の実施形
態において、アノード及び/又はカソード用の放射線透過性材料は、導電性高分子種又は
半導電性高分子種のような有機材料を含み得る。適切な高分子種は、ポリアニリン(PA
NI)及びその化学的関連物、例えばPANI-PAAMPSAを含み得る。いくつかの
実施形態において、3,4-ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)が、アノー
ド及び/又はカソード用の適切な放射線透過性高分子材料となり得る。ナノワイヤ構造物
も、アノード及び/又はカソード用の放射線透過性材料として使用することができる。い
くつかの実施形態において、例えば、放射線透過性アノード及び/又はカソードは、高分
子マトリクス内に分散された銀ナノワイヤのような、金属-ナノワイヤメッシュとするこ
とができる。有意な近紫外、可視及び/又は赤外の放射を透過させるのに十分な薄さの金
属膜も、アノード及び/又はカソードとして用いることができる。いくつかの実施形態に
おいて、アノード及び/又はカソードは、可視光領域において80パーセント~100パ
ーセントの平均透過率を示す。他の実施形態において、アノード又はカソードは不透過性
でよい。アノード又はカソードは、例えば、光を反射するか又は光の透過をブロックする
のに十分な厚さのアルミニウム、銀又は銅のような金属から形成され得る。さらに、酸化
モリブデン又はLiFの薄膜層は、可視領域及び/又は赤外領域における光電池デバイス
性能又はデバイス透明性を改善するべく、透過性又は不透過性のアノードアーキテクチャ
及び/又はカソードアーキテクチャに隣接させ又はこれらと混合させて用いることができ
る。
【0025】
図2は、ここに記載されるいくつかの実施形態に係る単接合光電池デバイスを例示する
図2に例示されるように、光電池デバイス20は、近紫外、可視及び赤外の放射に対し
て透明なガラス又は高分子基板21を含む。放射線透過性アノード22が基板21上に堆
積され、続いてHTL23が堆積される。活性層24は、HTL23の上に存在する。図
2の実施形態において、活性層24は、有機電子供与体(D)及び有機電子受容体(A)
により形成された平面ヘテロ接合部を含む。ここに記載されるように、有機電子供与体(
D)及び有機電子受容体(A)は、少なくとも1.7eV又は少なくとも2eVのHOM
O/LUMOオフセットを有し得る。代替実施形態において、活性層24は、傾斜又は混
合ヘテロ接合部アーキテクチャを示し得る。ETL25は、カソード26と活性層24と
の間に配置される。
【0026】
II.エレクトロクロミックデバイス
【0027】
ここに記載される単接合有機光電池デバイスは、高いVoc値ゆえに、エレクトロクロ
ミックデバイスに用途を見出すことができる。照明/遮光の必要性を増やすべく及び/又
はプライバシーを与えるべく建物又は輸送車両の中への可視光の伝送を変調することに加
え、ここに記載される太陽光による電力供給を受けるエレクトロクロミックデバイスはま
た、暖房/冷房の必要性を増やすべく、建物又は輸送車両の中への赤外光の伝送を変調す
ることもできる。単接合光電池デバイスにより与えられるVoc値は、エレクトロクロミ
ックアセンブリにおいて用いられる様々な酸化還元化学反応を駆動するのに十分である。
いくつかの実施形態において、エレクトロクロミックデバイスは、エレクトロクロミック
アセンブリ及び単接合光電池デバイスを含む。単接合光電池デバイスは、光起電力の印加
によりエレクトロクロミックアセンブリを明状態及び暗状態間で切り替えるべく、エレク
トロクロミックアセンブリと電気通信する。単接合光電池デバイスは、アノードと、カソ
ードと、当該アノードとカソードとの間に存在する活性層とを含み、当該活性層は有機電
子供与体及び有機電子受容体を含み、当該光電池デバイスは少なくとも1.4VのVoc
を生成する。ここに記載されるエレクトロクロミックデバイスにおいて用いられる単接合
光電池デバイスは、セクションIにおいて上述した任意のアーキテクチャ、特性及び/又
は性能評価指標を有し得る。
【0028】
さらに、エレクトロクロミックアセンブリは、単数のエレクトロクロミック層を含む。
いくつかの実施形態において、エレクトロクロミックアセンブリは、複数のエレクトロク
ロミック層を含む。アセンブリの一以上のエレクトロクロミック層は、ここに記載される
光電池デバイスにより得られる光起電力により、明/透明及び暗/不透明状態間で切り替
え可能な酸化還元特性を示す。
【0029】
いくつかの実施形態において、例えば、エレクトロクロミックアセンブリは、単数のエ
レクトロクロミック高分子(ECP)材料を含む。ECPは、酸化又は還元されると色変
化を示し得る。例えば、ECPは、酸化されると脱色又は透明状態になり、還元されると
着色状態になる。代替的に、ECPは、還元されると脱色又は透明状態になり、酸化され
ると着色状態になる。単数のECP層が用いられる場合、エレクトロクロミックアセンブ
リはさらに、酸化状態及び還元状態双方において脱色又は透明になる電荷バランス層を含
み得る。電荷バランス層とECPとの間には電解質が配置される。
【0030】
いくつかの実施形態において、エレクトロクロミックアセンブリは、電解質を介して分
離された2つのECP材料を含む。かかる実施形態において、2つのECP材料は、第1
のECP材料が酸化状態において脱色又は透明となり、第2のECP材料が還元状態にお
いて脱色又は透明となる点で相補的である。引き続き還元されると第1のECP材料が着
色となり、引き続き酸化されると第2のECPも着色となる。一つの実施形態において、
例えば、エレクトロクロミックアセンブリは、PEDOT:PSS及びPANI-PAA
MPSAが電解質を介して分離されたエレクトロクロミック層を含み得る。PEDOT:
PSS及びPANI-PAAMPSAは、前者が酸化かつ後者が還元されると透明となる
。同様に、PEDOT:PSSが還元かつPANI-PAAMPSAが酸化されると、双
方の高分子が暗又は着色となる。
【0031】
エレクトロクロミックアセンブリは、いくつかの実施形態において、イオンを介在させ
て色変化を生じさせる一以上のエレクトロクロミック層を用いる。例えば、エレクトロク
ロミックアセンブリは、酸化タングステン(WO)及び/又は酸化モリブデン(MoO
)のような一以上の金属酸化物層を含み得る。バナジア・セリア混合酸化物のような混
合遷移金属酸化物もまた、アセンブリにおけるエレクトロクロミック層として用いること
ができる。介在されるイオン種は一般に、H、並びにLi、Na及びKのアルカ
リ金属イオンを含み得る。セリアのような、色変化を示すことが皆無かそれに近い金属酸
化物を、エレクトロクロミックアセンブリにおける電荷バランス層として用いることがで
きる。
【0032】
いくつかの実施形態において、エレクトロクロミックアセンブリは、液晶の再集合を介
して光を散乱又は透過させる一以上のエレクトロクロミック層を用いる。例えば、エレク
トロクロミックアセンブリは、光硬化性高分子NOA65(Norland(登録商標)
製品)において分散された液晶E7のような、一以上の高分子分散液晶層を含み得る。か
かる実施形態において、エレクトロクロミック層は、高分子マトリクスに液晶がランダム
に配向されたオフ状態において光を散乱させ、印加電圧による液晶の選択的配向ゆえにオ
ン状態において光を透過させる。
【0033】
エレクトロクロミックアセンブリは、いくつかの実施形態において、可視光及び赤外光
を独立的に吸収し又は透過させる一以上のエレクトロクロミック層を用いる。かかる実施
形態は、酸化ニオブ(NbO)ガラスマトリクスに埋め込まれたITOナノ結晶のよう
な、別個の可視及び赤外光変調材料を含み得る。かかる実施形態はまた、異なる酸化状態
において可視光及び/又は赤外光を吸収し及び透過させる、PANI-PAAMPSAの
ようなECP層を含み得る。
【0034】
いくつかの実施形態において、単接合光電池デバイスは可視及び/又は赤外において透
明であり、ひいてはエレクトロクロミックアセンブリに垂直方向に統合することができる
。いくつかの実施形態において、単接合光電池デバイスは、エレクトロクロミックアセン
ブリと同じ設置面積上に垂直方向に統合される。図3は、単接合光電池デバイスの、ここ
に記載されるいくつかの実施形態に係るエレクトロクロミックアセンブリとの垂直方向統
合を例示する。単接合光電池デバイスのエレクトロクロミックアセンブリとの垂直方向統
合により、エレクトロクロミックデバイスを、商業用及び工業用の建物、家屋、並びに車
、バス、トラック、列車及び航空機を含む輸送用車両を含む様々な製品に適用することが
、大幅に簡略化され得る。例えば、エレクトロクロミックデバイスは、環境的な隔離を目
的として窓ガラスに配置することができる。光電池装置の垂直方向統合により、エレクト
ロクロミックデバイスを独立型とすることができるので、先行技術のエレクトロクロミッ
ク装置の設置を複雑にする電気配線を大幅に簡略化することができる。
【0035】
代替的に、ここに記載される単接合光電池デバイスは、エレクトロクロミックアセンブ
リから空間的に分離し又は外部に置かれる。図4~6が例示するのは、いくつかの実施形
態に係る回路又はエネルギー貯蔵部材を介してエレクトロクロミックアセンブリと電気通
信する、ここに記載されるアーキテクチャを有する単接合有機光電池デバイスを含むエレ
クトロクロミックデバイスである。図4が、開路かつオフ状態のエレクトロクロミックデ
バイスを例示する一方、図5は、暗状態になるように電力供給されたエレクトロクロミッ
クデバイスを例示する。図6は、透明又は脱色状態になるように電力供給されたエレクト
ロクロミックデバイスを例示する。
【0036】
III.エネルギー貯蔵アーキテクチャ
【0037】
ここに記載される単接合光電池デバイスはまた、電池及びキャパシタを含むがこれらに
限られないエネルギー貯蔵アーキテクチャにアプリケーションを見出すことができる。い
くつかの実施形態において、電池アーキテクチャは、電気化学アセンブリと、当該電気化
学アセンブリと電気通信する単接合光電池デバイスとを含む。単接合光電池デバイスは、
アノードと、カソードと、当該アノードとカソードとの間に存在する活性層とを含み、当
該活性層は有機電子供与体及び有機電子受容体を含み、当該光電池デバイスは少なくとも
1.4VのVocを生成する。ここにさらに記載されるように、単接合光電池デバイスは
、電気化学アセンブリに垂直方向に統合することができる。他の実施形態において、単接
合光電池デバイスは、電気化学アセンブリから空間的に分離し又は外部に置かれる。ここ
に記載される電池設計に用いられる単接合光電池デバイスは、セクションIにおいて上述
した任意のアーキテクチャ、特性及び/又は性能評価指標を有し得る。図7は、ここに記
載される単接合光電池デバイスを垂直方向に統合した電池アーキテクチャを例示する。こ
の実施形態によれば、電極1と3との間に、及び電極1と2との間に付加回路群を含める
ことができる。
【0038】
いくつかの実施形態において、ここに記載される単接合光電池デバイスは、グーグル(
登録商標)グラスのような様々な光電子デバイスに電力供給又は電力供給補助をするべく
使用することができる。可視光及び/又は赤外光の透過率が高程度であることを前提とす
れば、ここに記載される単接合光電池デバイスは、タブレット、電話機及びコンピュータ
を含む電子デバイスの表示画面に統合することもできる。単接合光電池デバイスは、いく
つかの実施形態において、表示画面の面積に整合する設置面積を有し得る。他の実施形態
において、単接合光電池デバイスは、表示画面の面積の一部分となる設置面積を有し得る
。これらの実施形態において、単接合光電池デバイスにより生成される光電流が、電子デ
バイスに電力供給又は電力供給補助をすることができる。例えば、単接合光電池デバイス
は、電子デバイス電源の一部となり得る。一つの実施形態において、単接合光電池デバイ
スは、電池の充電を与えることができる。
【0039】
IV.太陽光の電力供給を受ける電気化学デバイス
【0040】
さらなる側面において、高いVoc値により、ここに記載される単接合光電池デバイス
は、水分解のような太陽光燃料アプリケーションにとって適切となり得る。いくつかの実
施形態において、例えば、水分解デバイスは、酸素(O)発生触媒(OEC)と、水素
(H)発生触媒(HEC)と、単接合光電池デバイスとを含み、当該光電池デバイスは
、アノードと、カソードと、当該アノードとカソードとの間に存在する活性層とを含む。
活性層は有機電子供与体及び有機電子受容体を含み、単接合光電池デバイスは少なくとも
1.4VのVocを生成する。ここに記載される水分解デバイスにおいて用いられる単接
合光電池デバイスは、セクションIにおいて上述した任意のアーキテクチャ、特性及び/
又は性能評価指標を有し得る。
【0041】
いくつかの実施形態において、水分解デバイスは配線なしであり、OEC及びHECが
単接合光電池デバイスに統合される。例えば、OECが光電池デバイスアノードに堆積さ
れ得る一方、HECはカソードに堆積される。いくつかの実施形態において、光電池デバ
イスのアノード及びカソードはそれぞれ、OEC材料及びHEC材料から製作することが
できる。代替的に、水分解デバイスは配線されてもよい。この場合、OEC及び/又はH
ECは光電池デバイスに統合されない。適切なOEC材料は、酸化コバルトのようなコバ
ルト触媒を含み得る。Co-OECはCo2+へと酸化されると自己組織化するので自己
回復し、室温で純水又は天然水とともに緩衝電解質において動作することができる。リン
酸コバルトもOECとして用いることができる。他の金属酸化物及び/又は水酸化物も、
ニッケル酸化物及び水酸化物Ni(OH)を含むOECとしての役割を果たし得る。適
切なHEC材料は、ニッケルと、NiMo及びNiMoZnのようなニッケル合金とを含
み得る。いくつかの実施形態において、Ni(OH)もまたHEC材料としての役割を
果たし得る。さらに、ここに記載される水分解デバイスとともに用いられる水性電解質は
、中性pH又はわずかに塩基性のpHを有し得る。図8A及び8Bは、いくつかの実施形
態に係る配線なしの水分解デバイスを例示する。
【0042】
いくつかの実施形態において、個々の単接合有機光電池デバイスを互いに積層させ、水
分解アプリケーションのための性能を上げることができる。光電池デバイスの積層はまた
、ここに記載されるエレクトロクロミックデバイス及び電池アーキテクチャにも当てはめ
ることができる。
【0043】
これらの及び他の実施形態がさらに、以下の非限定的な例を介して示される。
【0044】
例1-単接合有機光電池デバイス
【0045】
図2のアーキテクチャを有する単接合有機光電池デバイスが、以下の方法に従って作ら
れた。各クラスの単接合光電池デバイスに対する活性層の組成及びアーキテクチャが表I
Vに与えられる。比較例の単接合光電池デバイスも調製された。比較例のデバイスクラス
の活性層組成及びアーキテクチャも表IVに与えられる。
【表4】
図9Aは、有機電子受容体8Cl-cHBC(A1)及び12Cl-cHBC(A2)の
化学構造を例示する。図9Bは、紫外光電子(UPS)分光法及び逆光電子放出(IPE
S)分光法それぞれによって決定されたA1及びA2のHOMO及びLUMOのエネルギ
ー準位を例示する。Dのエネルギー準位が既に報告され(Loo et al.,Che
m.Mater.28,673-681 2016を参照)、C60のエネルギー準位が
、文献(Benning et al.,Phys.Rev.B.45,6899-69
13 1992を参照)から取得されている。図9Cは、D、A1、A2及びC60の吸
収スペクトルを例示する。
【0046】
材料及び方法
【0047】
分子性半導体D、A1、A2
【0048】
D(すなわちcTBFDBC;ねじ曲げられたテトラベンゾフラニルジベンゾコロネン
;ジベンゾ(3,4:9,10)ベンゾ(4’,5’)フラン(3’,2’:5,6)-
ベンゾ(4’,5’)フラン(2’,3’:7,8)ベンゾ(4’,5’)フラン-(3
’,2’:11,12)コロネノ(1,2-b)ベンゾフラン)が、Loo,et al
.,Chem.Mat.28,673-681(2016)により記載された方法に従っ
て合成された。A1(すなわち8Cl-cHBC;1,3,6,8,13,15,18,
20-オクタクロロトリナフト[1,2,3,4-fgh:1’,2’,3’,4’-p
qr:1”,2”,3”,4”-za1b1]トリナフチレン)及びA2(すなわち12
Cl-cHBC;1,3,6,7,8,13,14,15,18,19,20-ドデカク
ロロトリナプト[1,2,3,4-fgh:1’,2’,3’,4’-pqr:1”,2
”,3”,4”-za1b1]トリナプチレン)が、Loo,et al.,Chem.
Mat.27,1892-1900(2015)により記載される方法に従って合成され
た。
【0049】
薄膜の調製及び特性評価
【0050】
60及びDが一度、Arを不活性搬送ガスとする水平方向の物理的蒸気輸送を使用し
て精製された。A1及びA2が、トルエン中の再結晶化により精製された。C60、D、
A1及びA2の薄膜が、2×10-6Torr(2.7×10-4Pa)未満の圧力のチ
ャンバにおいて1Å/sの速度で熱蒸着された。ガラススライド上のC60、D、A1及
びA2の薄膜の吸収スペクトルが、Agilent(登録商標)Cary(登録商標)5
000UV-Vis-NIR分光光度計上で収集された。図9C及び図11に対する膜厚
は、以下のデバイスで使用された厚さ、すなわち23nm(D)、17nm(A1、A2
)及び40nm(C60)に一致した。紫外光電子分光法(UPS)及び逆光電子分光法
(IPES)による測定が、2×10-10Torr(2.7×10-8Pa)未満のベ
ース圧力の超高真空チャンバにおいて室温で行われた。A1又はA2の10nm厚の膜が
、窒素充填グローブボックス内に配置された熱蒸発器において蒸発させられ、窒素中の測
定真空システムへと輸送された。ヘリウムにより動作して21.22eVのヘリウムI光
子をもたらすSpecs(登録商標)ガス放電ランプを使用してUPSが行われた。自作
セットアップを使用した等色曲線モードでIPESが行われた(Chem.Phys.L
ett.272,43-47を参照)。
【0051】
太陽電池の製作及び試験
【0052】
MoO及びバソクプロイン(BCP)が、受け入れられたままの状態で使用された。
幅7.5mm及び長さ23mm(20Ω/スクエア)のITOストリップによりパターニ
ングされたガラス基板(23mm×27mm)が、脱イオン水、アセトン及びイソプロピ
ルアルコールにおける超音波処理により洗浄され、窒素により乾燥された。その直後に基
板は、デバイス層の連続蒸発を目的として窒素グローブボックスへと送られた。MoO
層及びBCP層はいずれも5nm厚さであり、1Å/sで堆積された。BCPの堆積後、
パターニングされたマスクを通して60nmのAlが1~3Å/sの速度で蒸発させられ
、活性面積が画定された。デバイスは、窒素充填グローブボックスにおいて100mW/
cmのAM1.5G照明下に置かれ、Keithley(登録商標)2400ソース測
定ユニットにより電流密度-電圧(J-V)特性が取得された。Cornerstone
(登録商標)260 1/4M二重格子モノクロメーター(Newport(登録商標)
74125)からのフィルタリングされた単色光を有する300Wキセノンアーク灯(N
ewport(登録商標)Oriel(登録商標))を使用して外部量子効率(EQE)
測定が行われた。
【0053】
A1、A2及びC60をそれぞれが受容体として含む57個、28個及び24個のデバ
イスが製作及び試験された。これらの実験のための各デバイスの活性面積は0.18cm
であった。機能デバイスに関する歩留まりは、3つの受容体すべてに対して100%で
あった。関連デバイス特性の平均及び標準偏差値が表Vにまとめられている。
【表5】
【0054】
表Vに与えられるように、ここに記載される組成及びアーキテクチャを有する光電池デ
バイス1及び2はそれぞれ、1.63V及び1.46Vという高いVocを示した。重要
なことであるが、この高いVocは、製作された複数のデバイスにわたり再現可能であっ
た。図10は、D/A1活性層を有する光電池デバイス1の両端間のVocのヒストグラ
ムを例示する。図10に与えられるように、製作された光電池デバイスは57個すべてが
、1.60V~1.65Vの範囲のVocを示した。加えて、デバイス1及び2を含む光
電池活性層は、図11に例示されるように、電磁スペクトルの可視領域光の、70%を超
える平均透過率を示した。
【0055】
例2-光電池デバイス活性面積の拡張性
【0056】
大きな活性面積を有するセルを製造するべく、寸法23mm×27mmのITO被覆ガ
ラス基板(20Ω/スクエア)が、寸法12mm×27mmのITOストリップによって
パターニングされた。アルミニウム頂部電極の堆積の間、様々なサイズのフォトマスクが
使用されて0.24、0.48、0.96及び2.22cmのデバイス活性面積が画定
された。光電池デバイスの製作は、例1に記載されるように達成された。図12A及び1
2Bは、0.24、0.48、0.96及び2.22cmとして活性面積が増加するに
つれてのD/A1平面ヘテロ接合セルのJ-V特性及びパワー密度曲線を例示する。光電
池デバイスは、活性面積に伴い拡張する光電流をもたらす。図12Cに例示されるように
、一定の光起電力及び曲線因子では、発電量は、光電池セルの活性面積に対して線形的に
増加する。
【0057】
10cmデバイスを調製するべく使用された基板は、マルチステップパターニングプ
ロセスにより得られた。ITO被覆ガラスシート(20Ω/スクエア)が切断されて5c
m×5cmの正方形にされ、セッケン及び脱イオン水における超音波処理により、引き続
いて脱イオン水、アセトン、イソプロパノールにより洗浄され、窒素により乾燥された。
その後、フォトリソグラフィが行われて底部電極及び30nm厚さのAgグリッド集電器
が画定された。デバイス層の滑らかな表面を作るべく、Agグリッド基板が、文献(Me
ng et al.,Nat.Commun.7,10214,2016を参照)に従い
、5体積%のジメチルスルホキシドがドープされたPEDOT:PSS層により増強され
た。PEDOT:PSS層は、パターニングされた基板の頂部に、4000rpm(10
00rpmのランプ)で40秒間スピンコーティングされ、次に、グローブボックスにお
いて140 ℃で30分間アニーリングされ、その後、例1に概略が説明されるデバイス
層の堆積を目的として蒸発器チャンバへと移送された。図13は、同じ光電池構造を有す
る10cmデバイス及び1cmデバイスのJ-V特性を例示する。図13に与えられ
るように、1cm及び10cmのデバイスのJ-V特性は、性能が喪失されることの
ない拡張性を示す点で同じである。図13の結果はまた、ピン孔が存在しない活性層の性
質も示し、これにより面積拡張性が許容される。
【0058】
例3-エレクトロクロミックデバイス
【0059】
図14に例示されるアーキテクチャを有するエレクトロクロミックアセンブリが、以下
のように製作され、以下のように特性評価された。Loo,et al.,J.Mate
r.Chem.17,1268(2007)に記載されるように、PANI-PAAMP
SAが、脱イオン水における単量体対酸モル比が1:1のPAAMPSAに沿ったアニリ
ンのテンプレート重合により合成された。Schwartz et al.,J.Am.
Chem.Soc.125,16074-16080(2003)に記載されるテザリン
グ・バイ・アグリゲーション・アンド・グロース法により、12-(ホスホノドデシル)
ホスホン酸(Sigma-Aldrich(登録商標)、97%)の単分子層が、事前洗
浄済みITO/ガラスに共有結合された。少なくとも10日間撹拌されたPANI-PA
AMPSAの5重量%水性分散液、又は購入されたPEDOT:PSS(Heraeus
(登録商標)、Clevios(登録商標)pH1000)が、ホスホン酸で修飾された
ITO/ガラス基板にスピンコーティングされた。エレクトロクロミック高分子厚さが、
スピンコーティング速度及び堆積層数を変えることにより変化した。これらの膜は、Lo
o,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.107,57
12-7(2010)に記載されるように、ジクロロ酢酸(DCA、Sigma-Ald
rich、99%)において溶媒アニーリングがされた。DCA処理は、イオン輸送の制
限ゆえのエレクトロクロミック切り替えにおける任意のヒステリシスを排除するために行
われる。膜厚は、Dektak(登録商標)3.21表面形状測定装置を使用して測定さ
れた。
【0060】
エレクトロクロミックデバイスを組み立てる前に、PANI-PAAMPSAとPED
OT:PSSとが反対の酸化状態となるように、pH8の100mMリン酸緩衝液におい
て、PEDOT:PSSが0.9V(対Ag/AgCl)で200秒間酸化され、PAN
I-PAAMPSAが-0.6V(対Ag/AgCl)で200秒間還元された。5重量
%のヒュームドシリカ(Sigma-Aldrich、0.007μm)と混合された1
-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(E
MIM TFSI、Sigma-Aldrich、97%超過)を、ゲル電解質として使
用した。エレクトロクロミックアセンブリの透明状態及び暗状態を特性評価するべく、分
光電気化学実験が行われた。
【0061】
2.25cmエレクトロクロミックアセンブリが、上述したように調製された。エレ
クトロクロミックアセンブリの切り替えを駆動するべく、D/A1を活性層として有する
1.38cm太陽電池が使用された。エレクトロクロミックアセンブリの暗状態を達成
するべく、PANI-PAAMPSA電極及びPEDOT:PSS電極がそれぞれ、太陽
電池のカソード及びアノードに接続された。透明状態にアクセスするべく、当該接続は反
転された。
【0062】
図15は、±1.2V間のサイクル時のエレクトロクロミックアセンブリの、暗状態及
び明状態の光透過率を例示する。図16は、±1.2V間のサイクル時のエレクトロクロ
ミックアセンブリの、透過率コントラストの安定性を例示する。図17は、PANI-P
AAMPSA及びPEDOT:PSSの厚さを変えることによる(すべての場合において
印加電圧は±1.2V)、エレクトロクロミックアセンブリの透過率コントラストのチュ
ーニング性能を例示する。
【0063】
本発明の様々な実施形態が、本発明の様々な目的を達成するべく記載されてきた。これ
らの実施形態が、本発明の原理の単なる例示にすぎないことを認識するべきである。その
多数の修正例及び適応例は、本発明の要旨及び範囲から逸脱することなく、当業者にとっ
て容易に明らかとなる。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2022-07-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単接合有機光電池デバイスであって、
アノードと、
カソードと、
前記アノードとカソードとの間に存在する活性層と
を含み、
前記活性層は有機電子供与体及び有機電子受容体を含み、
前記有機電子供与体及び有機電子受容体それぞれが、250nm~450nmの範囲にある電磁放射のピーク吸収率を示し、
前記有機電子供与体及び有機電子受容体の少なくとも一方は多環芳香族化合物を含む、単接合有機光電池デバイス。
【請求項2】
前記活性層は、可視光領域の平均透過率が60パーセント~100パーセントである請求項1の単接合有機光電池デバイス。
【請求項3】
前記有機電子供与体及び有機電子受容体の一方又は双方は置換コロネンから選択される請求項1の単接合有機光電池デバイス。
【請求項4】
前記置換コロネンは、ヘテロ芳香族部分により環化されたコロネンコアを含む請求項の単接合有機光電池デバイス。
【請求項5】
前記ヘテロ芳香族部分は、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン及びピリジンからなる群から選択される請求項の単接合有機光電池デバイス。
【請求項6】
前記置換コロネンは、ハロゲン化芳香族部分により環化されたコロネンコアを含む請求項の単接合有機光電池デバイス。
【請求項7】
前記アノードと活性層との間に配置された正孔輸送層をさらに含む請求項1の単接合有機光電池デバイス。
【請求項8】
前記正孔輸送層は遷移金属酸化物を含む請求項の単接合有機光電池デバイス。
【請求項9】
前記カソードと活性層との間に配置された電子輸送層をさらに含む請求項の単接合有機光電池デバイス。
【請求項10】
前記アノード若しくはカソード又はその双方が、80パーセント~100パーセントの、可視光領域の平均透過率を示す請求項1の単接合有機光電池デバイス。
【請求項11】
前記アノード若しくはカソード又はその双方が、80パーセント~100パーセントの、赤外光領域の平均透過率を示す請求項1の単接合有機光電池デバイス。
【請求項12】
前記活性層にはピン孔が存在しない請求項1の単接合有機光電池デバイス。
【請求項13】
エレクトロクロミックデバイスであって、
エレクトロクロミックアセンブリと、
光起電力の印加により前記エレクトロクロミックアセンブリを明状態及び暗状態間で切り替えるべく、前記エレクトロクロミックアセンブリと電気通信する単接合有機光電池デバイスと
を含み、
前記単接合有機光電池デバイスは、
アノードと、
カソードと、
前記アノードとカソードとの間に存在する活性層と
を含み、
前記活性層は有機電子供与体及び有機電子受容体を含み、
前記有機電子供与体及び有機電子受容体はそれぞれが250nm~450nmの範囲にある電磁放射のピーク吸収率を示し、
前記有機電子供与体及び有機電子受容体の少なくとも一方は多環芳香族化合物を含む、エレクトロクロミックデバイス。
【請求項14】
前記エレクトロクロミックアセンブリは、
単数のエレクトロクロミック層と、
電荷バランス層と
を含む請求項13のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項15】
前記エレクトロクロミックアセンブリは複数のエレクトロクロミック層を含む請求項13のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項16】
前記エレクトロクロミックアセンブリの一以上のエレクトロクロミック層がエレクトロクロミック高分子材料を含む請求項13のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項17】
前記エレクトロクロミックアセンブリの一以上のエレクトロクロミック層が金属酸化物又は混合金属酸化物を含む請求項13のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項18】
前記単接合有機光電池デバイスは、前記エレクトロクロミックアセンブリに垂直方向に統合される請求項13のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項19】
前記エレクトロクロミックアセンブリに垂直方向に統合された一以上の付加的な単接合有機光電池デバイスをさらに含む請求項18のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項20】
前記単接合有機光電池デバイスは、前記エレクトロクロミックアセンブリから離間される請求項13のエレクトロクロミックデバイス。
【外国語明細書】