(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022130422
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】フォトクロミック二色性化合物および二色性化合物を含むディスプレイデバイス
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20220830BHJP
G02B 5/23 20060101ALI20220830BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220830BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20220830BHJP
H05B 33/02 20060101ALI20220830BHJP
G02F 1/17 20190101ALI20220830BHJP
G09F 9/00 20060101ALN20220830BHJP
【FI】
G02B5/30
G02B5/23
H05B33/14 A
H01L27/32
H05B33/02
G02F1/17
G09F9/00 313
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092363
(22)【出願日】2022-06-07
(62)【分割の表示】P 2020521997の分割
【原出願日】2018-10-19
(31)【優先権主張番号】62/574,398
(32)【優先日】2017-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/144,491
(32)【優先日】2018-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】399074983
【氏名又は名称】ピーピージー・インダストリーズ・オハイオ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PPG Industries Ohio,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】アニル クマール
(72)【発明者】
【氏名】ケビン ダブリュー. シーバート
(57)【要約】
【課題】 フォトクロミック二色性化合物および二色性化合物を含むディスプレイデバイスを提供すること
【解決手段】 本発明は、フォトクロミック二色性化合物と、二色性化合物とを含む、ディスプレイ要素を対象とし、ディスプレイ要素は、第1の吸収状態と、第2の吸収状態とを有し、化学線に応答して第1の吸収状態から第2の吸収状態に切り替わるため、かつ化学線および/または熱エネルギーに応答して第1の吸収状態に戻るように動作可能であり、第1の吸収状態は、50%~80%の透過率を有し、第2の吸収状態は、10%~50%の透過率を有する。本発明はさらに、ディスプレイ要素を備えるディスプレイデバイス、およびディスプレイ要素を作製する方法を対象とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、フォトクロミック二色性化合物と、二色性化合物とを含む、ディスプレイ要素およびデバイスを対象とする。
【背景技術】
【0002】
背景情報
モバイルデバイス、ATM、および屋外で使用され得る他の機械上のディスプレイ画面は、多くの場合、日光可読性、紫外線劣化、耐久性、動作温度範囲、および耐用期間に関する問題を有する。日光可読性は、いくつかの方法で改良され得る。1つの解決策は、より多くの冷陰極蛍光ランプ(CCFL)バックライト管を追加することによって、バックライト強度を能動的に増加させることである。残念ながら、本アプローチは、バッテリ枯渇、より大きいデバイスサイズ、発熱、および重量の考慮事項により、殆どのモバイルデバイス用途で欠点を有する。第2のアプローチは、輝度向上膜をディスプレイ画面の光学スタックに追加することによって、バックライト強度を受動的に増加させることである。能動的アプローチの欠点の殆どを回避するが、本解決策は、輝度を約2倍増加させるのみであり、これは、日光可読性問題を解決するためには不十分である。第3の解決策は、反射防止コーティングおよび膜ならびに円偏光子の使用を通したもの等の反射光の最小限化である。これらの解決策はそれぞれ、所望の効果を最適化するように他のものと組み合わせられ得る。
【0003】
現在の殆どのモバイルデバイスは、円偏光子を使用する。円偏光子は、従来の直線偏光要素および4分の1波長リターダのアセンブリである。リターダの軸は、直線偏光子の軸に対して45度に配向される。入射光がアセンブリを通過すると、円偏光に変換される。円偏光子は、従来的に、それらの反射防止性質のために使用されてきた。そのような用途では、光がリターダを通して鏡面から戻るように反射されるとき、偏光面が最初の配向に対して90度回転されるため、直線偏光子は、戻ってくる反射光を遮断する。しかしながら、日光可読性を達成するために、円偏光子は、大量の透過される放射を吸収しなければならず、典型的には、透過される放射の約60%が、吸収される。そのような高レベルの光吸収が、日光可読性のために必要であるが、大量の光吸収は、屋内では必要ではない。しかしながら、円偏光子の光吸収の量は、固定され、したがって、高レベルの輝度が、電話のディスプレイが可視であり、円偏光子の光吸収を克服するために、発光源から放射されなければならない。これは、バッテリエネルギーの著しい無駄をもたらす。
【0004】
明るいおよび暗い条件で良好な可読性を提供し、ディスプレイデバイスのバッテリ寿命を改良する、ディスプレイを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の要旨
フォトクロミック二色性化合物と、二色性化合物とを含む、ディスプレイ要素が、本明細書に開示され、ディスプレイ要素は、第1の吸収状態と、第2の吸収状態とを有し、化学線に応答して第1の吸収状態から第2の吸収状態に切り替わるため、かつ化学線および/または熱エネルギーに応答して第1の吸収状態に戻るように動作可能であり、第1の吸収状態は、50%~80%の透過率を有し、第2の吸収状態は、10%~50%の透過率を有する。
【0006】
また、フォトクロミック二色性化合物と、二色性化合物とを含む、ディスプレイ要素を備える、ディスプレイデバイスが、本明細書に開示され、ディスプレイ要素は、第1の吸収状態と、第2の吸収状態とを有し、化学線に応答して第1の吸収状態から第2の吸収状態に切り替わるため、かつ化学線および/または熱エネルギーに応答して第1の吸収状態に戻るように動作可能であり、第1の吸収状態は、50%~80%の透過率を有し、第2の吸収状態は、10%~50%の透過率を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施例1による、ディスプレイ要素の層スタッキング構成である。ガラス板が、光整列層および液晶コーティング調合物(LCCF-1)でコーティングされる。
【0008】
【
図2】
図2は、実施例2による、ディスプレイ要素の層スタッキング構成である。ガラス板が、光整列層、液晶コーティング調合物(LCCF-2)、第2の光整列層、および第2の液晶コーティング調合物(LCCF-1)でコーティングされる。
【0009】
【
図3】
図3は、実施例3による、ディスプレイ要素の層スタッキング構成である。ガラス板が、光整列層および液晶コーティング調合物(LCCF-3)でコーティングされる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
発明の詳細な説明
上記のように、本発明は、フォトクロミック二色性化合物と、二色性化合物とを含む、ディスプレイ要素を対象とし、ディスプレイ要素は、第1の吸収状態と、第2の吸収状態とを有し、化学線に応答して第1の吸収状態から第2の吸収状態に切り替わるため、かつ化学線および/または熱エネルギーに応答して第1の吸収状態に戻るように動作可能であり、第1の吸収状態は、50%~80%の透過率を有し、第2の吸収状態は、10%~50%の透過率を有する。
【0011】
本発明によると、ディスプレイ要素は、フォトクロミック二色性化合物を含む。フォトクロミック二色性化合物は、第1の吸収状態と、第2の吸収状態とを有し、フォトクロミック二色性材料は、化学線に応答して第1の状態から第2の状態に切り替わり、化学線および/または熱エネルギーに応答して第1の状態に戻り、第1の状態および第2の状態の両方の直線偏光を実証し得る。本明細書で使用されるように、用語「フォトクロミック二色性」は、ある条件下でフォトクロミックおよび二色(すなわち、直線偏光)性質の両方を示すことを意味し、その性質は、少なくとも計装によって検出可能である。故に、「フォトクロミック二色性化合物」は、ある条件下でフォトクロミックおよび二色(すなわち、直線偏光)性質の両方を示す化合物であり、その性質は、少なくとも計装によって検出可能である。本明細書で使用されるように、用語「直線偏光させる」は、光波の電気ベクトルの振動を1つの方向に限定することを意味する。したがって、フォトクロミック二色性化合物は、少なくとも化学線に応答して変動する、少なくとも可視光放射の吸収スペクトルを有し、少なくとも透過される放射の2つの直交面偏光成分のうちの一方を他方よりも強く吸収することが可能である。故に、ディスプレイ要素は、少なくとも化学線に応答して変動する、少なくとも可視光放射の吸収スペクトルを有し得、少なくとも透過される放射の2つの直交面偏光成分のうちの一方を他方よりも強く吸収することが可能であり得る。
【0012】
ディスプレイ要素のフォトクロミック二色性化合物は、第1の状態では非偏光であり(すなわち、フォトクロミック二色性化合物は、光波の電気ベクトルの振動を1つの方向に限定しない)、第2の状態では透過される放射を直線偏光させ得る。本明細書で使用されるように、用語「透過される放射」は、対象の少なくとも一部を通過される放射を指す。本明細書では、限定ではないが、透過される放射は、紫外線放射、可視光放射、またはそれらの組み合わせであり得る。したがって、フォトクロミック二色性材料は、第1の状態では非偏光であり、第2の状態では、透過される紫外線放射、透過される可視光放射、またはそれらの組み合わせを直線偏光させ得る。
【0013】
加えて、本明細書に開示されるフォトクロミック二色性化合物は、熱可逆性であり得る。すなわち、フォトクロミック二色性化合物は、化学線に応答して第1の状態から第2の状態に切り替わり、熱エネルギーに応答して第1の状態に戻ることができる。
【0014】
本明細書に開示されるディスプレイ要素で使用するために好適なフォトクロミック二色性化合物の非限定的実施例は、下記に列挙される化合物、すなわち、
(1)3-フェニル-3-(4-(4-(3-ピペリジン-4-イル-プロピル)ピペリジノ)フェニル)-13,13-ジメチル-インデノ[2’,3’:3,4]-ナフト[1,2-b]ピラン、
(2)3-フェニル-3-(4-(4-(3-(1-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-4-イル)プロピル)ピペリジノ)フェニル)-13,13-ジメチル-インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2-b]ピラン、
(3)3-フェニル-3-(4-(4-(4-ブチル-フェニルカルバモイル)-ピペリジン-1-イル)フェニル)-13,13-ジメチル-6-メトキシ-7-(4-フェニル-ピペラジン-1-イル)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2-b]ピラン、
(4)3-フェニル-3-(4-([1,4’]ビピペリジニル-1’-イル)フェニル)-13,13-ジメチル-6-メトキシ-7-([1,4’]ビピペリジニル-1’-イル)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2-b]ピラン、
(5)3-フェニル-3-(4-(4-フェニル-ピペラジン-1-イル)フェニル)-13,13-ジメチル-6-メトキシ-7-(4-(4-ヘキシルベンゾイルオキシ)-ピペリジン-1-イル)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2-b]ピラン、および
(6)3-フェニル-3-(4-(4-フェニル-ピペラジン-1-イル)フェニル)-13,13-ジメチル-6-メトキシ-7-(4-(4’-オクチルオキシ-ビフェニル-4-カルボニルオキシ)-ピペリジン-1-イル)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2-b]ピラン
を含む化合物、および米国特許第7,256,921号の第19欄、第26行から第22欄、第47行に説明される化合物を含む。
【0015】
より一般的には、フォトクロミック二色性化合物は、(a)ピラン、オキサジン、およびフルギドから選定される少なくとも1つのフォトクロミック基(PC)と、(b)フォトクロミック基に付着した少なくとも1つの延長剤とを含んでもよく、延長剤(L)は、以下の式I(下記で詳細に説明される)によって表される。
-[S1]c-[Q1-[S2]d]d’-[Q2-[S3]e]e’-[Q3-[S4]f]f’-S5-P 式I
【0016】
本明細書で使用されるように、用語「付着した」は、別の基に直接結合される、または別の基を通して間接的に結合されることを意味する。したがって、例えば、Lは、PC上の置換基としてPCに直接結合されることができる、またはLは、PCに直接結合される別の基(下記に議論されるR1によって表される基等)の上の置換基であり得る(すなわち、Lは、PCに間接的に結合される)。本明細書では、限定ではないが、Lは、拡張されたPC(すなわち、フォトクロミック化合物)の吸光比がPC単独と比較して向上され
るように、活性化された状態でPCを拡張または延長するようにPCに付着されることができる。本明細書では、限定ではないが、PC上のLの付着の場所は、Lが、PCの活性化された形態の理論的遷移双極子モーメントと平行な方向および垂直な方向のうちの少なくとも1つでPCを延長するように、選定され得る。本明細書で使用されるように、用語「理論的遷移双極子モーメント」は、分子との電磁放射の相互作用によって生成される過渡双極子偏光を指す。例えば、IUPAC Compendium of Chemical Technology, 2nd Ed., International Union of Pure and Applied Chemistry (1997)を参照されたい。
【0017】
上記の式Iを参照すると、Q1、Q2、およびQ3はそれぞれ、発生毎に、非置換または置換芳香族基、非置換または置換脂環式基、非置換または置換複素環式基、およびそれらの混合物から選定される、二価基から独立して選定され得、置換基は、Pによって表される基(下記に記載されるような)、液晶メソゲン、ハロゲン、ポリ(C1-C18アルコキシ)、C1-C18アルコキシカルボニル、C1-C18アルキルカルボニル、C1-C18アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、ペルフルオロ(C1-C18)アルコキシ、ペルフルオロ(C1-C18)アルコキシカルボニル、ペルフルオロ(C1-C18)アルキルカルボニル、ペルフルオロ(C1-C18)アルキルアミノ、ジ-(ペルフルオロ(C1-C18)アルキル)アミノ、ペルフルオロ(C1-C18)アルキルチオ、C1-C18アルキルチオ、C1-C18アセチル、C3-C10シクロアルキル、C3-C10シクロアルコキシ、シアノ、ハロ、またはC1-C18アルコキシと一置換される、もしくはハロと多置換される、直鎖または分岐C1-C18アルキル基、および以下の式のうちの1つ、すなわち、-M(T)(t-1)および-M(OT)(t-1)によって表される基であって、Mは、アルミニウム、アンチモン、タンタル、チタン、ジルコニウム、およびシリコンから選定され、Tは、有機官能基、有機官能炭化水素基、脂肪族炭化水素基、および芳香族炭化水素基から選定され、tは、Mの原子価である、基から選定される。本明細書で使用されるように、接頭語「ポリ」は、少なくとも2つを意味する。
【0018】
上記で議論されるように、Q1、Q2、およびQ3はそれぞれ、発生毎に、非置換または置換芳香族基、非置換または置換複素環式基、および非置換または置換脂環式基等の二価基から独立して選定され得る。有用な芳香族基の実施例は、ベンゾ、ナフト、フェナントロ、ビフェニル、テトラヒドロナフト、テルフェニル、およびントラセノを含む。
【0019】
本明細書で使用されるように、用語「複素環式基」は、原子の環を有する化合物を意味し、環を形成する少なくとも1つの原子は、環を形成する他の原子と異なる。さらに、本明細書で使用されるように、用語「複素環式基」は、縮合複素環式基を具体的に除外する。Q1、Q2、およびQ3が選定され得る、好適な複素環式基の実施例は、イソソルビトール、ジベンゾフロ、ジベンゾチエノ、ベンゾフロ、ベンゾチエノ、チエノ、フロ、ジオキシノ、カルバゾロ、アンスラニリル、アゼニピニル、ベンゾオキサゾリル、ジアゼピニル、ジオアズリル、イミダゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、インダゾリル、インドレニニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、インドキサジニル、イソベンズアゾリル、イソインドリル、イソオキサゾリル、イソオキサジル、イソピロリル、イソキノリル、イソチアゾリル、モルホリノ、モルホリニル、オキサジアゾリル、オキサチアゾリル、オキサチアジル、オキサチオリル、オキサトリアゾリル、オキサゾリル、ピペラジニル、ピペラジル、ピペリジル、プリニル、ピラノピロリル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピラジル、ピリダジニル、ピリダジル、ピリジル、ピリミジニル、ピリミジル、ピリデニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピロール、キノリジニル、キヌクリジニル、キノリル、チアゾリル、トリアゾリル、トリアジル、N-アリールピペラジノ、アジリジノ、アリールピペリジノ、チオモルホリノ、テトラヒドロキ
ノリノ、テトラヒドロイソキノリノ、ピリル、非置換、一または二置換C4-C18スピロ二環式アミン、および非置換、一または二置換C4-C18スピロ三環式アミンを含む。
【0020】
上記で議論されるように、Q1、Q2、およびQ3は、一または二置換C4-C18スピロ二環式アミンおよびC4-C18スピロ三環式アミンから選定され得る。好適な置換基の実施例は、アリール、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、またはフェニル(C1-C6)アルキルを含む。一または二置換スピロ二環式アミンの具体的実施例は、2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル、3-アザビシクロ[3.2.1]オクト-3-イル、2-アザビシクロ[2.2.2]オクト-2-イル、および6-アザビシクロ[3.2.2]ノナン-6-イルを含む。一または二置換三環式アミンの具体的実施例は、2-アザトリシクロ[3.3.1.1(3,7)]デカン-2-イル、4-ベンジル-2-アザトリシクロ[3.3.1.1(3,7)]デカン-2-イル、4-メトキシ-6-メチル-2-アザトリシクロ[3.3.1.1(3,7)]デカン-2-イル、4-アザトリシクロ[4.3.1.1(3,8)]ウンデカン-4-イル、および7-メチル-4-アザトリシクロ[4.3.1.1(3,8)]ウンデカン-4-イルを含む。Q1、Q2、およびQ3が選定され得る、脂環式基の実施例は、限定ではないが、シクロヘキシル、シクロプロピル、ノルボルネニル、デカリニル、アダマンタニル、ビシクロオクタン、ペルヒドロフルオレン、およびキュバニルを含む。
【0021】
式Iを継続して参照すると、ヘテロ原子を含む2つのスペーサ単位がともに連結されるとき、スペーサ単位は、ヘテロ原子が相互に直接連結されないように連結され、S1およびS5が、それぞれPCおよびPに連結されるとき、それらは、2つのヘテロ原子が相互に直接連結されないように連結されることを前提として、各S1、S2、S3、S4、およびS5は、発生毎に、
(1)gが、発生毎に、1~20から独立して選定され、hが、1~16から選定される、-(CH2)g-、-(CF2)h-、-Si(CH2)g-、-(Si[(CH3)2]O)h-、
(2)Zが、発生毎に、水素、C1-C18アルキル、C3-C10シクロアルキルおよびアリールから独立して選択され、Z’が、発生毎に、C1-C18アルキル、C3-C10シクロアルキルおよびアリールから独立して選択される、-N(Z)-、-C(Z)=C(Z)-、-C(Z)=N-、-C(Z’)-C(Z’)-、または単結合、
(3)-O-、-C(O)-、-C≡C-、-N=N-、-S-、-S(O)-、-S(O)(O)-、-(O)S(O)O-、-O(O)S(O)O-、または直鎖もしくは分岐C1-C24アルキレン残基であって、非置換、シアノまたはハロによる一置換、もしくはハロによる多置換である、該C1-C24アルキレン残基、
から選定される、スペーサ単位から独立して選定されることができる。本明細書で使用されるように、用語「ヘテロ原子」は、炭素または水素以外の原子を意味する。
【0022】
さらに、式Iでは、c、d、e、およびfはそれぞれ、1~20を含む範囲の整数から独立して選定され得、d’、e’およびf’はそれぞれ、d’+e’+f’の合計が少なくとも1であることを前提として、0、1、2、3、および4から独立して選定され得る。本発明によると、c、d、e、およびfはそれぞれ、0~20を含む範囲の整数から独立して選定され得、d’、e’およびf’はそれぞれ、d’+e’+f’の合計が少なくとも2であることを前提として、0、1、2、3、および4から独立して選定され得る。本発明によると、c、d、e、およびfはそれぞれ、1~20を含む範囲の整数から独立して選定され得、d’、e’、およびf’はそれぞれ、d’+e’+f’の合計が少なくとも3であることを前提として、0、1、2、3、および4から独立して選定され得る。本発明によると、c、d、e、およびfはそれぞれ、1~20を含む範囲の整数から独立して選定され得、d’、e’、およびf’はそれぞれ、d’+e’+f’の合計が少なく
とも1であることを前提として、0、1、2、3、および4から独立して選定され得る。
【0023】
さらに、式Iでは、Pは、ヒドロキシ、アミノ、C2-C18アルケニル、C2-C18アルキニル、アジド、シリル、シロキシ、シリルヒドリド、(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ、チオ、イソシアネート、チオイソシアネート、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ、2-(アクリロイルオキシ)エチルカルバミル、2-(メタクリロイルオキシ)エチルカルバミル、アジリジニル、アリルオキシカルボニルオキシ、エポキシ、カルボン酸、カルボン酸エステル、アクリロイルアミノ、メタクリロイルアミノ、アミノカルボニル、C1-C18アルキルアミノカルボニル、アミノカルボニル(C1-C18)アルキル、C1-C18アルキルオキシカルボニルオキシ、ハロカルボニル、水素、アリール、ヒドロキシ(C1-C18)アルキル、C1-C18アルキル、C1-C18アルコキシ、アミノ(C1-C18)アルキル、C1-C18アルキルアミノ、ジ-(C1-C18)アルキルアミノ、C1-C18アルキル(C1-C18)アルコキシ、C1-C18アルコキシ(C1-C18)アルコキシ、ニトロ、ポリ(C1-C18)アルキルエーテル、(C1-C18)アルキル(C1-C18)アルコキシ(C1-C18)アルキル、ポリエチレンオキシ、ポリプロピレンオキシ、エチレニル、アクリロイル、アクリロイルオキシ(C1-C18)アルキル、メタクリロイル、メタクリロイルオキシ(C1-C18)アルキル、2-クロロアクリロイル、2-フェニルアクリロイル、アクリロイルオキシフェニル、2-クロロアクリロイルアミノ、2-フェニルアクリロイルアミノカルボニル、オキセタニル、グリシジル、シアノ、イソシアネート(C1-C18)アルキル、イタコン酸エステル、ビニルエーテル、ビニルエステル、スチレン誘導体、主鎖型および側鎖型液晶ポリマー、シロキサン誘導体、エチレンイミン誘導体、マレイン酸誘導体、フマル酸誘導体、非置換桂皮酸誘導体、メチル、メトキシ、シアノ、およびハロゲンのうちの少なくとも1つで置換される桂皮酸誘導体、またはステロイド基、テルペノイド基、アルカロイド基、およびそれらの混合物から選定択される置換または非置換キラルもしくは非キラル一価または二価基から選定されることができ、置換基は、C1-C18アルキル、C1-C18アルコキシ、アミノ、C3-C10シクロアルキル、C1-C18アルキル(C1-C18)アルコキシ、フルオロ(C1-C18)アルキル、シアノ、シアノ(C1-C18)アルキル、シアノ(C1-C18)アルコキシ、またはそれらの混合物から独立して選択される、またはPは、2~4つの反応基を有する構造である、もしくはPは、非置換または置換開環メタセシス重合前駆体である。
【0024】
さらに、本明細書では、限定ではないが、Pが重合性基であるとき、重合性基は、重合反応に関与するように適合される任意の官能基であり得る。重合反応の実施例は、Hawley’s Condensed Chemical Dictionary Thirteenth Edition, 1997, John Wiley & Sons、901-902ページ(その開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる)の「重合」の定義に説明されるものを含む。例えば、本明細書では、限定ではないが、重合反応は、フリーラジカルが、片側に付加し、同時に反対側で新しい自由電子を生成することによって、モノマーの二重結合と反応する開始剤である、「付加重合」、2つの反応性分子が合体し、水分子等の小分子の除去を伴ってより大きい分子を形成する、「縮合重合」、および「酸化カップリング重合」を含む。さらに、重合性基の実施例は、ヒドロキシ、アクリルオキシ、メタクリルオキシ、2-(アクリルオキシ)エチルカルバミル、2-(メタクリルオキシ)エチルカルバミル、イソシアネート、アジリジン、アリルカーボネート、およびエポキシ、例えば、オキシラニルメチルを含む。
【0025】
また、Pは、主鎖型または側鎖型液晶ポリマーおよび液晶メソゲンから選定され得る。本明細書で使用されるように、用語「液晶メソゲン」は、剛性棒様または円盤様液晶分子を意味する。さらに、本明細書で使用されるように、用語「主鎖型液晶ポリマー」は、ポリマーの骨格(すなわち、主鎖)構造内に液晶メソゲンを有するポリマーを指す。本明細
書で使用されるように、用語「側鎖型液晶ポリマー」は、側鎖においてポリマーに付着した液晶メソゲンを有するポリマーを指す。本明細書では、限定ではないが、概して、メソゲンは、液晶ポリマーの移動を制限する2つまたはそれを上回る芳香族環で構成される。好適な棒様液晶メソゲンの実施例は、限定ではないが、置換または非置換芳香族エステル、置換または非置換線状芳香族化合物、および置換または非置換テルフェニルを含む。本発明によると、Pは、ステロイド、例えば、限定ではないが、コレステロール系化合物から選定され得る。
【0026】
フォトクロミック基PCが選定され得る、熱可逆性フォトクロミックピランの実施例は、ベンゾピラン、ナフトピラン、例えば、ナフト[1,2-b]ピラン、ナフト[2,1-b]ピラン、米国特許第5,645,767号に開示されるもの等のインデノ縮合ナフトピラン、米国特許第5,723,072号、第5,698,141号、第6,153,126号、ならびに第6,022,497号(参照することによって本明細書に組み込まれる)に開示されるもの等の複素環縮合ナフトピラン、スピロ-9-フルオレノ[1,2-b]ピラン、フェナントロピラン、キノピラン、フルオロアンテノピラン、スピロピラン、例えば、スピロ(ベンズインドリン)ナフトピラン、スピロ(インドリン)ベンゾピラン、スピロ(インドリン)ナフトピラン、スピロ(インドリン)キノピラン、およびスピロ(インドリン)ピランを含む。ナフトピランおよび補完的有機フォトクロミック物質のより具体的な実施例は、米国特許第5,658,501号(参照することによって本明細書に具体的に組み込まれる)に説明されている。スピロ(インドリン)ピランもまた、テキスト、Techniques in Chemistry, Volume III, “Photochromism”, Chapter 3, Glenn H. Brown, Editor, John Wiley and Sons, Inc.,
New York, 1971(参照することによって本明細書に組み込まれる)に説明されている。
【0027】
PCが選定され得る、フォトクロミックオキサジンの実施例は、ベンズオキサジン、ナフトオキサジン、およびスピロオキサジン、例えば、スピロ(インドリン)ナフトオキサジン、スピロ(インドリン)ピリドベンズオキサジン、スピロ(ベンズインドリン)ピリドベンズオキサジン、スピロ(ベンズインドリン)ナフトオキサジン、スピロ(インドリン)ベンズオキサジン、スピロ(インドリン)フルオランテンオキサジン、およびスピロ(インドリン)キノキサジン)を含む。PCが選定され得る、フォトクロミックフルギドの実施例は、米国特許第4,931,220号(参照することによって本明細書に具体的に組み込まれる)に開示されるフルギミド、および3-フリルならびに3-チエニルフルギドおよびフルギミド、ならびに前述のフォトクロミック材料/化合物のうちのいずれかの混合物を含む。
【0028】
さらに、フォトクロミック二色性化合物が少なくとも2つのPCを含む場合、PCは、個々のPC上の連結基置換基を介して相互に連結されることができる。例えば、PCは、重合性フォトクロミック基またはホスト材料と適合性であるように適合されるフォトクロミック基(「適合化フォトクロミック基」)であり得る。PCが選定され得る、重合性フォトクロミック基の実施例は、米国特許第6,113,814号(参照することによって本明細書に具体的に組み込まれる)に開示されるものを含む。PCが選定され得る、適合化フォトクロミック基の実施例は、米国特許第6,555,028号(参照することによって本明細書に具体的に組み込まれる)に開示されるものを含む。
【0029】
他の好適なフォトクロミック基および補完的フォトクロミック基は、米国特許第6,080,338号の第2欄、第21行から第14欄、第43行、第6,136,968号の第2欄、第43行から第20欄、第67行、第6,296,785号の第2欄、第47行から第31欄、第5行、第6,348,604号の第3欄、第26行から第17欄、第1
5行、第6,353,102の第1欄、第62行から第11欄、第64行、および第6,630,597号の第2欄、第16行から第16欄、第23行(前述の特許の開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に説明されている。
【0030】
少なくとも1つの延長剤(L)に加えて、フォトクロミック化合物はさらに、PCに直接結合されるR1によって表される、少なくとも1つの基を含んでもよい。要求されないが、前述で議論されたように、少なくとも1つの延長剤(L)は、R1によって表される少なくとも1つの基を通して、PCに間接的に結合されることができる。すなわち、Lは、PCに結合される少なくとも1つの基R1の上の置換基であり得る。本発明によると、R1は、発生毎に、米国特許第7,256,921号の第26欄、第60行から第30欄、第64行に開示される置換基から独立して選定され得る。本発明のフォトクロミック二色性化合物は、米国特許第7,256,921号の第30欄、第65行から第66欄、第60行(その引用された部分は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に開示される、化合物および調製の方法を含む。
【0031】
さらに、より詳細に下記で議論されるように、フォトクロミック二色性化合物は、少なくとも部分的に整列され得る。
【0032】
本発明によると、本発明のフォトクロミック二色性化合物は、複数のフォトクロミック二色性化合物を含んでもよい。本明細書では、限定ではないが、2つまたはそれを上回るフォトクロミック二色性化合物が組み合わせて使用されるとき、フォトクロミック二色性化合物は、相互に補完し、所望の色または色相を生じるように選定され得る。例えば、混合物のフォトクロミック二色性化合物は、ほぼ中間色の灰色またはほぼ中間色の茶色等のある活性化された色を達成するために使用されてもよい。例えば、中間色の灰色および茶色を定義するパラメータを説明する、米国特許第5,645,767号、第12欄、第66行から第13欄、第19行(その開示は、参照することによって本明細書に具体的に組み込まれる)を参照されたい。加えて、または代替として、フォトクロミック二色性化合物は、補完的直線偏光状態を有するフォトクロミック二色性化合物の混合物を含んでもよい。例えば、フォトクロミック二色性化合物は、所望の波長範囲にわたって光を偏光させることが可能であるディスプレイ要素を生産するために、所望の波長範囲にわたって補完的直線偏光状態を有するように選定され得る。なおもさらに、同一の波長において本質的に同一の偏光状態を有する補完的フォトクロミック二色性化合物の混合物が、達成される全体的直線偏光を強化または向上させるように選定され得る。例えば、フォトクロミック二色性化合物は、少なくとも2つの少なくとも部分的に整列されたフォトクロミック二色性化合物から成ってもよく、フォトクロミック二色性化合物は、補完的な色および/または補完的直線偏光状態を有する。
【0033】
本発明によると、ディスプレイ要素は、二色性化合物を含む。本明細書で使用されるように、用語「二色性」は、透過される放射の2つの直交面偏光成分のうちの一方を他方よりも強く吸収することが可能であることを意味する。フォトクロミック二色性化合物と対照的に、二色性化合物は、固定吸収状態と、化学線への暴露に応答して変動しない固定直線偏光度とを有する。本発明によると、二色性化合物は、複数の二色性化合物を含んでもよい。加えて、より詳細に下記で議論されるように、二色性化合物は、少なくとも部分的に整列されてもよい。
【0034】
二色性化合物は、アゾメチン、インジゴイド、チオインジゴイド、メロシアニン、インダン、キノフタロン系染料、ペリレン、フタロペリン、トリフェノジオキサジン、インドロキノキサリン、イミダゾトリアジン、テトラジン、アゾおよび(ポリ)アゾ染料、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントロキノンおよび(ポリ)アントロキノン、アントロピリミジノン、ヨウ素、ならびにヨウ素酸塩を含んでもよい。二色性化合物は、重合性二色性
化合物であってもよい。すなわち、二色性化合物は、重合されることが可能である少なくとも1つの基(すなわち、「重合性基」)を含んでもよい。例えば、本明細書では、限定ではないが、二色性化合物は、少なくとも1つの重合性基を末端に伴う、少なくとも1つのアルコキシ、ポリアルコキシ、アルキル、またはポリアルキル置換基を含んでもよい。二色性化合物はまた、複数のこれらの化合物を含んでもよい。
【0035】
好適な市販のアントロキノン染料は、それぞれがNematel GmbH & Co. KG.から入手可能である、青色染料Blue AB2、Blue AB3、およびBlue AB4、黄色染料Yellow AG1、橙色染料Orange AO1、赤色染料Red AR1、ならびにシアン色染料Cyan AC1を含む。好適な市販のアゾ染料は、Nematel GmbH & Co. KG.から入手可能である、橙色染料Orange AZO1を含む。
【0036】
上記で議論されるように、本発明のディスプレイ要素は、第1の吸収状態と、第2の吸収状態とを有し、化学線に応答して第1の吸収状態から第2の吸収状態に切り替わるため、かつ化学線および/または熱エネルギーに応答して第1の吸収状態に戻るように動作可能である。本発明によると、用語「状態」を修飾するために本明細書で使用されるように、用語「第1の」および「第2の」は、いずれの特定の順序または年代も指すことを意図しておらず、代わりに、2つの異なる条件または性質を指す。例えば、本明細書では、限定ではないが、ディスプレイ要素の第1の状態および第2の状態は、限定ではないが、可視光および/または紫外線放射の吸収/透過もしくは直線偏光等の少なくとも1つの光学性質に関して異なり得る。したがって、ディスプレイ要素は、第1および第2の状態のそれぞれで異なる吸収スペクトルを有するように適合されてもよい。例えば、本明細書では、限定ではないが、ディスプレイ要素は、第1の状態では第1の色、第2の状態では第2の色を有するように適合されることができる。さらに、ディスプレイ要素は、第1の状態では第1のレベルの透過率、第2の状態では低減したレベルの透過率を有するように適合されてもよい。
【0037】
ディスプレイ要素の第1の吸収状態の性質は、概して、二色性化合物によって決定付けられる。ディスプレイ要素に存在するフォトクロミック二色性化合物は、第1の吸収状態では透過される放射を直線偏光させ得るが、フォトクロミック二色性化合物によって提供される任意の量の直線偏光は、第1の吸収状態で二色性化合物によって提供される、より強力な吸収/直線偏光を補完する。対照的に、ディスプレイ要素の第2の吸収状態の性質は、概して、フォトクロミック二色性化合物によって決定付けられ、二色性化合物によって補完される。ディスプレイ要素の第2の吸収状態を達成するためのフォトクロミック二色性化合物の活性化に応じて、フォトクロミック二色性化合物によって提供される吸収/直線偏光は、二色性化合物よりも強力である。
【0038】
第1の吸収状態は、少なくとも55%等、少なくとも60%等の少なくとも50%の透過率(%T)を有してもよく、75%以下等、70%以下等の80%以下の透過率を有してもよい。第1の吸収状態は、55%~75%等、60%~70%等の50%~80%の透過率を有してもよい。
【0039】
第2の吸収状態は、少なくとも12%等、少なくとも15%等の少なくとも10%の透過率を有してもよく、45%以下等、40%以下等の50%以下の透過率を有してもよい。第2の吸収状態は、12%~45%等、15%~40%等の10%~50%の透過率を有してもよい。
【0040】
本明細書で使用されるように、用語「透過率」および「%T」は、明所視透過を指し、具体的には、100%で乗算される、ディスプレイ要素等の本体を通して透過される可視
スペクトル(390nm~700nmの波長)内の入射電磁力の割合を指す。透過率は、光を本体に通過させ、分光光度計を使用して強度を記録し、その値を、分光光度計によって測定されるような空白(すなわち、本体なし)を通過されたときの光の強度で除算し、その値を100%で乗算することによって、測定され得る。透過率%Tは、以下の方程式1によって表され得る。
%T=P/P0
*100% (方程式1)
式中、Pは、本体を通過した後の光の強度であり、P0は、空白を通過するときの光の強度である。実施例は、透過率を測定するための方法を提供する。
【0041】
第1の吸収状態は、少なくとも10%等、少なくとも15%等の少なくとも5%の直線偏光効率を有してもよく、60%以下等、50%以下等の70%以下の直線偏光効率を有してもよい。第1の吸収状態は、10%~60%等、15%~50%等の5%~70%の直線偏光効率を有してもよい。
【0042】
第2の吸収状態は、少なくとも65%等、少なくとも70%等の少なくとも55%の直線偏光効率を有してもよく、90%以下等、80%以下等の99.9%以下の直線偏光効率を有してもよい。第2の吸収状態は、65%~90%等、70%~80%等の55%~99.9%の直線偏光効率を有してもよい。
【0043】
本明細書で使用されるように、用語「直線偏光効率」は、意図された偏光状態でディスプレイ要素等の本体が透過させる、入射電磁放射の割合を指す。例えば、99%の直線偏光効率を有する本体は、意図された偏光状態(例えば、pまたはs偏光)で入射電磁放射の99%、反対偏光状態で入射電磁放射の1%を透過させる。
【0044】
二色性化合物対フォトクロミック二色性化合物の重量比は、少なくとも0.010:1等、少なくとも0.015:1等の少なくとも0.005:1であってもよく、0.120:1以下等、0.090:1以下等の0.150:1以下であってもよい。二色性化合物対フォトクロミック二色性化合物の重量比は、0.010:1~0.120:1等、0.015:1~0.090:1等の0.005:1~0.150:1であってもよい。
【0045】
本発明によると、ディスプレイ要素は、基板、シート、コーティング、またはそれらの任意の組み合わせを備えてもよい。ディスプレイ要素は、フォトクロミック二色性化合物と、二色性化合物とを含む、単一の基板またはシートを備えてもよい。ディスプレイ要素はまた、少なくとも1つの基板および/または少なくとも1つのシートを備えてもよく、基板または少なくとも1つのシートは、随意に、少なくとも1つのコーティングを含み、基板、シート、および/またはコーティングのうちの少なくとも1つは、存在する場合、フォトクロミック二色性化合物を含み、基板、シート、および/またはコーティングのうちの少なくとも1つは、存在する場合、二色性化合物を含む。ディスプレイ要素の基板、シート、および/またはコーティングのうちのいずれかは、フォトクロミック二色性化合物、二色性化合物、またはフォトクロミック二色性化合物および二色性化合物の両方を含んでもよい。加えて、ディスプレイ要素の複数の基板、シート、および/またはコーティングは、フォトクロミック二色性化合物、二色性化合物、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。さらに、ディスプレイ要素は、フォトクロミック二色性化合物または二色性化合物を含有しない、他の層を備えてもよい。概して、基板、シート、およびコーティングはそれぞれ、個別に「層」と称され得る。
【0046】
故に、ディスプレイ要素は、フォトクロミック二色性化合物と、二色性化合物とを含む、基板を備えてもよい。ディスプレイ要素はまた、基板に結合される少なくとも1つのシートを備えてもよく、基板および/またはシートのうちの少なくとも1つは、フォトクロミック二色性化合物ならびに/もしくは二色性化合物のうちの少なくとも1つを含む。デ
ィスプレイ要素は、基板上に少なくとも1つのコーティングを備えてもよく、基板および/またはコーティングのうちの少なくとも1つは、フォトクロミック二色性化合物ならびに/もしくは二色性化合物のうちの少なくとも1つを含む。ディスプレイ要素は、基板および/またはシートのうちの少なくとも1つの上に少なくとも1つのコーティングをさらに備える、少なくとも1つのシートに結合される基板を備えてもよく、基板、シート、および/またはコーティングのうちの少なくとも1つは、フォトクロミック二色性化合物ならびに/もしくは二色性化合物のうちの少なくとも1つを含む。加えて、本段落に説明されるディスプレイ要素のうちのいずれかは、1つを上回る基板を備えてもよい。
【0047】
ディスプレイ要素は、フォトクロミック二色性化合物と、二色性化合物とを含む、シートを備えてもよい。ディスプレイ要素は、複数のシートを備えてもよく、シートのうちの少なくとも1つは、フォトクロミック二色性化合物と、二色性化合物とを含む。ディスプレイ要素は、少なくとも1つのシート上に少なくとも1つのコーティングをさらに備える、少なくとも1つのシートを備えてもよく、シートおよび/またはコーティングのうちの少なくとも1つは、フォトクロミック二色性化合物と、二色性化合物とを含む。
【0048】
本明細書で使用されるように、用語「シート」は、概して、一様な厚さを有する、事前形成された膜を指し、自立が可能である。ディスプレイ要素で使用され得るポリマーシートの実施例は、限定ではないが、延伸ポリマーシート、規則液晶ポリマーシート、および光配向ポリマーシートを含む。ポリマーシートを形成する際に使用され得る、液晶材料および光配向材料以外のポリマー材料の実施例は、限定ではないが、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリアクリレート、およびポリカプロラクタムを含む。
【0049】
本明細書で使用されるように、用語「コーティング」は、一様な厚さを有する場合とそうではない場合があり、ポリマーシートを具体的に除外する、流動性組成物に由来する支持された膜を意味する。コーティングは、少なくとも部分的に秩序付けられた異方性材料を含んでもよい。本明細書で使用されるように、用語「異方性」は、少なくとも1つの異なる方向に測定されたときに値が異なる、少なくとも1つの性質を有することを意味する。したがって、「異方性材料」は、少なくとも1つの異なる方向に測定されたときに値が異なる、少なくとも1つの性質を有する材料である。本発明で使用するために好適である異方性材料の実施例は、限定ではないが、液晶材料を含む。
【0050】
さらに、本明細書で使用されるように、用語「~に結合される」または「~の上」は、物体との直接接触、またはそのうちの少なくとも1つが物体と直接接触している、1つまたはそれを上回る他の構造もしくは材料を通した物体との間接接触を意味する。したがって、コーティングまたはシートは、基板の少なくとも一部と直接接触してもよい、またはこれは、1つまたはそれを上回る他の構造もしくは材料を通して基板の少なくとも一部と間接接触してもよい。例えば、本明細書では、限定ではないが、コーティングまたはシートは、そのうちの少なくとも1つが基板の少なくとも一部と直接接触している、1つまたはそれを上回る他の少なくとも部分的なコーティング、ポリマーシート、もしくはそれらの組み合わせと接触してもよい。
【0051】
ディスプレイ要素で使用するために好適である基板は、限定ではないが、有機材料、無機材料、またはそれらの組み合わせ(例えば、複合材料)から形成される基板を含む。基板の非限定的実施例は、下記でより詳細に説明される。
【0052】
本明細書に開示される基板を形成するために使用され得る、有機材料の具体的実施例は、ポリマー材料、例えば、米国特許第5,962,617号および米国特許第5,658,501号の第15欄、第28行から第16欄、第17行(その米国特許の開示は、参照
することによって本明細書に具体的に組み込まれる)に開示されるモノマーおよびモノマーの混合物から調製される、ホモポリマーおよびコポリマーを含む。例えば、そのようなポリマー材料は、熱可塑性または熱硬化性ポリマー材料であり得、透明または光学的に透明であり得、要求される任意の屈折率を有し得る。そのような開示されるモノマーおよびポリマーの実施例は、ポリオール(アリルカーボネート)モノマー、例えば、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)等のアリルジグリコールカーボネートであって、(そのモノマーは、PPG Industries, Inc.によって商標CR-39の下で販売されている)、例えば、ポリウレタンプレポリマーおよびジアミン硬化剤の反応によって調製される、ポリ尿素-ポリウレタン(ポリ尿素-ウレタン)ポリマー(1つのそのようなポリマーのための組成物は、PPG Industries, Inc.によって商標TRIVEXの下で販売されている)、ポリオール(メタ)アクリロイル末端カーボネートモノマー、ジエチレングリコールジメタクリレートモノマー、エトキシル化フェノールメタクリレートモノマー、ジイソプロペニルベンゼンモノマー、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマー、エチレングリコールビスメタクリレートモノマー、ポリ(エチレングリコール)ビスメタクリレートモノマー、ウレタンアクリレートモノマー、ポリ(エトキシル化ビスフェノールAジメタクリレート)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリチオウレタン、ビスフェノールAおよびホスゲン由来のカーボネート連結樹脂等の熱可塑性ポリカーボネート(1つのそのような材料は、商標LEXANの下で販売されている)、商標MYLARの下で販売されている材料等のポリエステル、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリビニルブチラール、商標PLEXIGLASの下で販売されている材料等のポリ(メチルメタクリレート)、および単独重合されるか、またはポリチオール、ポリイソシアネート、ポリイソチオシアネート、随意に、エチレン性不飽和モノマーもしくはハロゲン化芳香族含有ビニルモノマーと共重合および/または三量体化されるかのいずれかである、多官能性イソシアネートをポリチオールまたはポリエピスルフィドモノマーと反応させることによって調製されるポリマーを含む。また、例えば、ブロックコポリマーまたは相互貫入網生成物を形成するために、そのようなモノマーのコポリマー、および他のポリマーとの説明されるポリマーならびにコポリマーの混合物も考慮される。
【0053】
基板を形成する際に使用するために好適な有機材料の他の実施例は、限定ではないが、不透明または半透明ポリマー材料、天然および合成織物、ならびに紙および木材等のセルロース系材料を含む、合成および天然有機材料の両方を含む。
【0054】
基板を形成する際に使用するために好適な無機材料の実施例は、ガラス、鉱物、セラミック、および金属を含む。例えば、基板は、ガラスを含んでもよい。基板は、反射表面、例えば、研磨されたセラミック基板、金属基板、または鉱物基板を有してもよい。基板は、それを反射性にする、またはその反射率を向上させるように、無機または有機基板の表面に堆積もしくは別様に付与される、反射コーティングまたは層を備えてもよい。
【0055】
さらに、基板は、それらの外部表面上に、限定ではないが、「ハードコート」等の耐摩耗性コーティング等の保護コーティングを有してもよい。
【0056】
なおもさらに、基板は、随意に、薄く着色されていない、薄く着色された、直線偏光性、円偏光性、楕円偏光性、フォトクロミック、または着色されたフォトクロミック基材であってもよい。例えば、上記で議論されるように、基板は、フォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物から成ってもよく、故に、第1の状態ならびに/もしくは第2の状態で直線偏光性である。基板に関して本明細書で使用されるように、用語「薄く着色されていない」は、着色剤添加(限定ではないが、従来の染料等)を本質的に含まず、化学線に応答して有意に変動しない可視光放射の吸収スペクトルを有する、基板を意味
する。さらに、基板を参照して、用語「薄く着色された」は、着色剤添加(限定ではないが、従来の染料等)を有し、化学線に応答して有意に変動しない可視光放射の吸収スペクトル有する、基板を意味する。
【0057】
本明細書で使用されるように、基板に関する用語「直線偏光性」は、放射を直線偏光させるように適合される基板を指す。本明細書で使用されるように、基板に関する用語「円偏光性」は、放射を円偏光させるように適合される基板を指す。本明細書で使用されるように、基板に関する用語「楕円偏光性」は、放射を楕円偏光させるように適合される基板を指す。本明細書で使用されるように、基板に関する用語「フォトクロミック」は、少なくとも化学線に応答して変動する可視光放射の吸収スペクトルを有する基板を指す。さらに、基板に関して本明細書で使用されるように、用語「薄く着色されたフォトクロミック」は、着色剤添加ならびにフォトクロミック材料を含有し、少なくとも化学線に応答して変動する可視光放射の吸収スペクトルを有する、基板を指す。したがって、例えば、限定ではないが、薄く着色されたフォトクロミック基板は、化学線に暴露されたときに、着色剤に特徴的である第1の色と、着色剤およびフォトクロミック材料の組み合わせに特徴的である第2の色とを有することができる。
【0058】
前述で議論されたように、フォトクロミック二色性化合物および二色性化合物は、第1および/または第2の状態で直線偏光性であり得るが、フォトクロミック二色性化合物または二色性化合物に起因する正味の直線偏光効果を達成するために、フォトクロミック二色性化合物または二色性化合物の分子を好適に位置付ける、もしくは配列することが、概して必要である。したがって、上記で議論されるように、フォトクロミック二色性化合物は、少なくとも部分的に整列されてもよく、二色性化合物は、少なくとも部分的に整列されてもよい。二色性化合物は、随意に、フォトクロミック二色性化合物と少なくとも部分的に整列されてもよい、または化合物は、独立して整列されてもよい。
【0059】
本発明によると、ディスプレイ要素は、少なくとも1つの少なくとも部分的に秩序付けられた整列層を備えてもよい。整列層は、フォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物を少なくとも部分的に整列させる、もしくは秩序付けてもよい。本明細書で使用されるように、用語「整列させる」または「整列された」は、別の材料、化合物、または構造との相互作用によって、好適な配列または位置に至らせることを意味する。例えば、整列層との相互作用によって少なくとも部分的に整列される、部分的に整列されたフォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物の一部は、活性化状態時のフォトクロミック二色性化合物ならびに/もしくは二色性化合物の長軸が、整列層の第1の一般的方向と略平行であるように、少なくとも部分的に整列されてもよい。加えて、整列層の一部との相互作用によって少なくとも部分的に整列される、部分的に整列されたフォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物の一部は、整列層の一部に結合される、もしくはそれと反応されてもよい。材料または構造の順序または整列を参照して本明細書で使用されるように、用語「一般的方向」は、材料、化合物、または構造の主要配列もしくは配向を指す。さらに、材料、化合物、または構造は、材料、化合物、または構造が少なくとも1つの主要配列を有することを前提として、材料、化合物、または構造の配列内にある程度の変動があるにしても、一般的方向を有し得ることが、当業者によって理解される。
【0060】
整列層の実施例は、少なくとも部分的に秩序付けられた整列媒体、少なくとも部分的に秩序付けられたポリマーシート、少なくとも部分的に処理された表面、ラングミュア-ブロジェット膜、およびそれらの組み合わせを備える、少なくとも部分的なコーティングを含む。
【0061】
整列層は、少なくとも部分的に秩序付けられた整列媒体を含む、コーティングを備えて
もよい。使用され得る好適な整列媒体の実施例は、光配向材料、摩擦配向材料、および液晶材料を含む。整列媒体の少なくとも一部を秩序付ける方法が、詳細に下記で本明細書に説明される。
【0062】
上記で議論されるように、整列媒体は、液晶材料であってもよい。液晶材料は、それらの構造により、概して、一般的方向をとるように秩序付けられる、または整列されることが可能である。より具体的には、液晶分子が棒または円盤様構造、剛性長軸、および強い双極子を有するため、液晶分子は、分子の長軸が共通軸と略平行である配向をとるように、外力または別の構造との相互作用によって秩序付けられる、または整列されることができる。例えば、液晶材料の分子は、磁場、電場、直線偏光赤外線放射、直線偏光紫外線放射、直線偏光可視光放射、または剪断力を使用することによって、整列されてもよい。また、液晶分子を配向される表面と整列させることも可能である。すなわち、液晶分子は、例えば、摩擦、溝切り、または光整列方法によって配向された表面に付与され、続いて、液晶分子のそれぞれの長軸が、表面の配向の一般的方向と略平行である配向をとるように、整列されてもよい。整列媒体として使用するために好適な液晶材料の実施例は、液晶ポリマー、液晶プレポリマー、液晶モノマー、および液晶メソゲンを含む。本明細書で使用されるように、用語「プレポリマー」は、部分的に重合された材料を意味する。
【0063】
本発明で使用するために好適な液晶モノマーは、単ならびに多官能性液晶モノマーを含む。さらに、液晶モノマーは、架橋性液晶モノマーであってもよく、さらに、光架橋性液晶モノマーであってもよい。本明細書で使用されるように、用語「光架橋性」は、化学線への暴露に応じて架橋され得るモノマー、プレポリマー、またはポリマー等の材料を意味する。例えば、光架橋性液晶モノマーは、重合開始剤の使用の有無のいずれかを伴って、紫外線放射および/または可視光放射への暴露に応じて架橋性である、これらの液晶モノマーを含む。
【0064】
本発明で使用するために好適な架橋性液晶モノマーの実施例は、アクリレート、メタクリレート、アリル、アリルエーテル、アルキン、アミノ、無水物、エポキシド、水酸化物、イソシアネート、ブロック化イソシアネート、シロキサン、チオシアネート、チオール、尿素、ビニル、ビニルエーテル、およびそれらの混合物から選定される官能基を有する、液晶モノマーを含む。整列層のコーティングで使用するために好適な光架橋性液晶モノマーの実施例は、アクリレート、メタクリレート、アルキン,エポキシド、チオール、およびそれらの混合物から選定される官能基を有する、液晶モノマーを含む。
【0065】
本発明で使用するために好適である液晶ポリマーおよびプレポリマーは、主鎖型液晶ポリマーおよびプレポリマー、ならびに側鎖型液晶ポリマーおよびプレポリマーを含む。主鎖型液晶ポリマーおよびプレポリマーでは、棒または円盤様液晶メソゲンが、主にポリマー骨格内に位置する。側鎖型ポリマーおよびプレポリマーでは、棒または円盤様液晶メソゲンが、主にポリマーの側鎖内に位置する。加えて、液晶ポリマーまたはプレポリマーは、架橋性であり得、さらに光架橋性であり得る。
【0066】
本発明で使用するために好適である液晶ポリマーおよびプレポリマーの実施例は、限定ではないが、アクリレート、メタクリレート、アリル、アリルエーテル、アルキン、アミノ、無水物、エポキシド、水酸化物、イソシアネート、ブロック化イソシアネート、シロキサン、チオシアネート、チオール、尿素、ビニル、ビニルエーテル、およびそれらの混合物から選定される官能基を有する、主鎖型および側鎖型ポリマーならびにプレポリマーを含む。整列層のコーティングで使用するために好適である光架橋性液晶ポリマーおよびプレポリマーの実施例は、アクリレート、メタクリレート、アルキン、エポキシド、チオール、およびそれらの混合物から選定される官能基を有する、これらのポリマーおよびプレポリマーを含む。
【0067】
本発明で使用するために好適である液晶メソゲンは、サーモトロピック液晶メソゲンおよびリオトロピック液晶メソゲンを含む。さらに、本発明で使用するために好適である液晶メソゲンの実施例は、柱状(または棒様)液晶メソゲンおよびディスコティック(または円盤様)液晶メソゲンを含む。
【0068】
整列媒体として使用するために好適である光配向材料の実施例は、光配向性ポリマー網を含む。好適な光配向性ポリマー網の具体的実施例は、アゾベンゼン誘導体、桂皮酸誘導体、クマリン誘導体、フェルラ酸誘導体、およびポリイミドを含む。例えば、整列層は、アゾベンゼン誘導体、桂皮酸誘導体、クマリン誘導体、フェルラ酸誘導体、およびポリイミドから選定される、少なくとも部分的に秩序付けられた光配向性ポリマー網を含む、少なくとも1つの少なくとも部分的なコーティングを備えてもよい。整列媒体として使用され得る桂皮酸誘導体の具体的実施例は、桂皮酸ポリビニルおよびパラメトキシ桂皮酸のポリビニルエステルを含む。
【0069】
本明細書で使用されるように、用語「摩擦配向材料」は、材料の表面の少なくとも一部分を、別の好適にテクスチャ加工された材料で摩擦することによって、少なくとも部分的に秩序付けられ得る、材料を意味する。例えば、本明細書では、限定ではないが、摩擦配向材料は、好適にテクスチャ加工された布またはベルベットブラシで摩擦されることができる。整列媒体として使用するために好適である摩擦配向材料の実施例は、(ポリ)イミド、(ポリ)シロキサン、(ポリ)アクリレート、および(ポリ)クマリンを含む。したがって、例えば、本明細書では、限定ではないが、整列媒体を含むコーティングは、ポリイミドの表面の少なくとも一部分を少なくとも部分的に秩序付けるようにベルベットまたは布で摩擦されたポリイミドを含む、コーティングであってもよい。
【0070】
上記で議論されるように、少なくとも部分的に秩序付けられた整列層は、少なくとも部分的に秩序付けられたポリマーシートを備えてもよい。例えば、本明細書では、限定ではないが、ポリビニルアルコールのシートは、シートを延伸することによって、少なくとも部分的に秩序付けられることができ、その後、シートは、整列層を形成するように、基板の表面の少なくとも一部に接合されることができる。代替として、秩序付けられたポリマーシートは、加工中にポリマー鎖を少なくとも部分的に秩序付ける方法によって、例えば、限定ではないが、押出によって、作製されてもよい。さらに、少なくとも部分的に秩序付けられたポリマーシートは、液晶材料のシートを鋳造または別様に形成し、その後、例えば、シートを少なくとも部分的に秩序付けるが、シートを磁場、電場、または剪断力のうちの少なくとも1つに暴露することによって、形成されることができる。なおもさらに、少なくとも部分的に秩序付けられたポリマーシートは、光配向方法を使用して、作製されることができる。例えば、限定ではないが、光配向材料のシートは、例えば、鋳造によって形成され、その後、直線偏光紫外線放射への暴露によって、少なくとも部分的に秩序付けられることができる。少なくとも部分的に秩序付けられたポリマーシートを形成するなおも他の方法が、下記で本明細書に説明される。
【0071】
なおもさらに、整列層は、少なくとも部分的に処理された表面を備えてもよい。本明細書で使用されるように、用語「処理された表面」は、表面の少なくとも一部の上に少なくとも1つの秩序付けられた領域を作成するように物理的に改変された、表面の少なくとも一部を指す。少なくとも部分的に処理された表面の実施例は、少なくとも部分的に摩擦された表面、少なくとも部分的にエッチングされた表面、および少なくとも部分的にエンボス加工された表面を含む。さらに、少なくとも部分的に処理された表面は、例えば、フォトリソグラフィまたはインターフェログラフィプロセスを使用して、パターン化されることができる。少なくとも部分的に処理された表面の実施例は、化学的にエッチングされた表面、プラズマエッチングされた表面、ナノエッチングされた表面(走査型トンネル顕微
鏡または原子間力顕微鏡を使用してエッチングされた表面等)、レーザエッチングされた表面、および電子線エッチングされた表面を含む。
【0072】
整列層はまた、金属塩(金属酸化物または金属フッ化物等)を表面の少なくとも一部上に堆積させ、その後、堆積物をエッチングして少なくとも部分的に処理された表面を形成することによって形成される、少なくとも部分的に処理された表面を備えてもよい。金属塩を堆積させるために好適な技法の実施例は、プラズマ蒸着、化学蒸着、およびスパッタリングを含む。エッチングプロセスの実施例は、上記に記載される。
【0073】
本明細書で使用されるように、用語「ラングミュア-ブロジェット膜」は、表面上の1つまたはそれを上回る少なくとも部分的に秩序付けられた分子膜を意味する。例えば、本明細書では、限定ではないが、ラングミュア-ブロジェット膜は、少なくとも部分的に分子膜によって被覆されるように、1回またはそれを上回って基板を液体中に浸漬し、次いで、液体および基板の相対表面張力に起因して、分子膜の分子が一般方向に少なくとも部分的に秩序付けられるように、液体から基板を除去することによって、形成されてもよい。本明細書で使用されるように、用語「分子膜」は、単分子膜(すなわち、単層)ならびに1つを上回る単層を備える膜を指す。
【0074】
加えて、シートおよび/またはコーティングはさらに、膜またはコーティングの処理、性質、もしくは性能のうちの1つまたはそれを上回るものを促進し得る、少なくとも1つの添加剤を含んでもよい。そのような添加剤の実施例は、染料、整列促進剤、運動向上添加剤、光開始剤、熱開始剤、重合阻害剤、溶媒、光安定剤(限定ではないが、紫外線吸収剤およびヒンダードアミン系光安定剤(HALS)等の光安定剤等)、熱安定剤、離型剤、レオロジー制御剤、レベリング剤(限定ではないが、界面活性剤等)、フリーラジカルスカベンジャ、自己集合材料、ゲル化剤、および接着促進剤(ヘキサンジオールジアクリレートおよび結合剤等)を含む。これらの材料は、当業者に公知である。
【0075】
なおもさらに、シートまたはコーティングは、少なくとも1つの従来のフォトクロミック化合物を含んでもよい。本明細書で使用されるように、用語「従来のフォトクロミック化合物」は、熱可逆性および非熱可逆性(または光可逆性)フォトクロミック化合物の両方を含み、フォトクロミック二色性化合物を除外する。
【0076】
本発明によるディスプレイ要素は、随意に、基板の少なくとも一部に結合される、従来のフォトクロミックコーティング、反射防止コーティング、直線偏光コーティング、円偏光コーティング、楕円偏光コーティング、遷移コーティング、プライマコーティング、および防曇性コーティング、酸素障壁コーティング、ならびに紫外線吸収コーティング等の保護コーティングから選定される、少なくとも1つの付加的コーティングをさらに備えてもよい。本明細書で使用されるように、用語「遷移コーティング」は、2つのコーティングの間で性質の勾配を生成することを補助する、コーティングを意味する。例えば、本明細書では、限定ではないが、遷移コーティングは、比較的に硬質のコーティングと比較的に軟質のコーティングとの間で硬度の勾配を生成することを補助し得る。遷移コーティングの実施例は、放射線硬化アクリレート系薄膜を含む。
【0077】
上記に説明される整列層に加えて、本発明によるディスプレイ要素はさらに、整列層とフォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物(もしくは同化合物を含む膜またはコーティング)との間に間置される、少なくとも部分的に秩序付けられた整列移送材料を含む、少なくとも1つのコーティングを備えてもよい。なおもさらに、ディスプレイ要素は、整列層とフォトクロミック二色性化合物との間に間置される整列移送を備える、複数のコーティングを備えてもよい。例えば、本明細書では、限定ではないが、ディスプレイ要素は、基板に結合される、少なくとも部分的に秩序付けられた整列媒体を含むコ
ーティングと、整列層に結合される、少なくとも部分的に秩序付けられた整列移送材料を含むコーティングとを備える、少なくとも1つの整列層を備えてもよい。さらに、フォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物は、整列移送材料との相互作用によって、少なくとも部分的に整列されてもよい。ディスプレイ要素で使用するために好適である整列移送材料の実施例は、限定ではないが、本明細書に開示される整列媒体に関連して上記に説明される、これらの液晶材料を含む。
【0078】
本明細書では、限定ではないが、整列層は、最終用途および/または採用される処理機器に応じて広く変動する、例えば、0.5~1,000ナノメートル等、2~500ナノメートル等、100~500ナノメートル等の少なくとも0.5ナノメートル~10,000ナノメートルの厚さを有してもよい。
【0079】
整列移送材料を含むシートまたはコーティングは、最終用途および/または採用される処理機器に応じて広く変動する、例えば、1~25ミクロン等、5~20ミクロン等の0.5ミクロン~1,000ミクロンの厚さを有してもよい。
【0080】
フォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物を含むシートもしくはコーティングは、最終用途および/または採用される処理機器に応じて広く変動する、例えば、1~25ミクロン等、5~20ミクロン等の0.5ミクロン~1,000ミクロンの厚さを有してもよい。
【0081】
本発明のディスプレイ要素はさらに、複屈折層を備えてもよい。複屈折層は、透過される放射を円または楕円偏光させるように動作可能である。円偏光要素が所望されるとき、複屈折層は、4分の1波長板を備える。補正板または層もしくは遅延板または層とも呼ばれる、複屈折層は、1枚のシートを含んでもよい、または2つまたはそれを上回るシートの多重層構造であってもよい。
【0082】
複屈折層は、層に所望のパターンを形成するように、第1の一般的方向を有する、第1の秩序付けられた領域と、第1の一般的方向と同一である、または異なる第2の一般的方向を有する、第1の秩序付けられた領域に隣接する少なくとも1つの第2の秩序付けられた領域とを有する、層を備えてもよい。
【0083】
複屈折層を調製するために使用される材料は、特に限定されず、当技術分野で公知である任意の複屈折材料であってもよい。例えば、ポリマー膜、液晶膜、自己集合材料、または液晶材料が整列される膜が、使用されてもよい。特定の複屈折層の実施例は、米国特許第6,864,932号の第3欄、第60行から第4欄、第64行、米国特許第5,550,661号の第4欄、第30行から第7欄、第2行、米国特許第5,948,487号の第7欄、第1行から第10欄、第10行(それぞれは、参照することによって本明細書に組み込まれる)に説明されるものを含む。
【0084】
具体的複屈折膜の実施例は、Nitto Corporation(Japan)またはNitto Denko America, Inc.(New Brunswick, N.J.)から入手可能である、膜型番NRF-140の正複屈折一軸膜を含む。また、GRAFIX, Inc.(Cleveland, Ohio)の部門であるGRAFIX Plasticsから入手可能である、OPTIGRAFIX円偏光子膜も好適である。
【0085】
複屈折層を調製するために使用される具体的ポリマーシートは、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ(C1-C12)アルキルメタクリレート、ポリオキシ(アルキレンメタクリレート)、ポリ(アルコキシ化フェノールメタクリレート)、酢酸セルロー
ス、三酢酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ((メタ)アクリルアミド)、ポリ(ジメチルアクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ((メタ)アクリル酸)、熱可塑性ポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリチオウレタン、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリスチレン、ポリ(アルファメチルスチレン)、コポリ(スチレン-メチルメタクリレート)、コポリ(スチレン-アクリロニトリル)、ポリビニルブチラール、およびポリオール(炭酸アリル)モノマー、単官能性アクリレートモノマー、単官能性メタクリレートモノマー、多官能性アクリレートモノマー、多官能性メタクリレートモノマー、ジエチエレングリコールジメタクリレートモノマー、ジイソプロペニルベンゼンモノマー、アルコキシ化多価アルコールモノマー、ならびにジアリリデンペンタエリトリトールモノマーを含む群の構成要素のポリマー、特に、自己集合材料、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリ(メタ)アクリレート、多環アルケン、ポリウレタン、ポリ(尿素)ウレタン、ポリチオウレタン、ポリチオ(尿素)ウレタン、ポリオール(炭酸アリル)、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ポリアルケン、ポリアルキレン-酢酸ビニル、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(ビニルホルマール)、ポリ(ビニルアセタール)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリエステル、ポリスルホン、ポリオレフィン、それらのコポリマー、および/またはそれらの混合物を含んでもよい。
【0086】
複屈折層は、複屈折層の遅軸方向(屈折率が平面内で最大である方向)が、所望の結果として生じる偏光、すなわち、円または楕円偏光を生じさせるために、偏光子の整列方向に対して配向されるような方法で、ディスプレイ要素の中に組み込まれてもよい。例えば、4分の1波長板が、45°+/-3°等のフォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物によって生成される偏光の整列方向に対して45°+/-5°の角度で配向される。
【0087】
代替として、ディスプレイ要素の結果として生じた偏光は、複屈折層の厚さを設定することによって判定され得る。例えば、円偏光要素を生じさせるために、複屈折層の厚さは、出現する屈折光線が4分の1波長だけ位相外であるようなものである。
【0088】
本発明によると、ディスプレイ要素を作製する方法もまた、開示される。ディスプレイ要素を作製する方法は、基板または膜上に、少なくとも部分的に整列されたフォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物を含むコーティングを形成するステップを含んでもよい。ディスプレイ要素を作製する方法は、基板または膜上に、少なくとも部分的に整列されたフォトクロミック二色性化合物を含む第1のコーティングを形成するステップと、少なくとも部分的に整列された二色性化合物を含む第2のコーティングを形成するステップとを含んでもよい。ディスプレイ要素を作製する方法は、基板または膜上に、少なくとも部分的に整列された二色性化合物を含む第1のコーティングを形成するステップと、少なくとも部分的に整列されたフォトクロミック二色性化合物を含む第2のコーティングを形成するステップとを含んでもよい。
【0089】
本発明によると、フォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物を含むコーティングを形成するステップは、フォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物ならびに異方性材料を基板もしくは膜上に付与するステップと、異方性材料を少なくとも部分的に秩序付けるステップと、フォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物を異方性材料と少なくとも部分的に整列させるステップとを含んでもよい。本発明の方法と併せて使用され得る、フォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物ならびに異方性材料を基板もしくは膜に付与する方法は、限定ではないが、スピン
コーティング、スプレーコーティング、スプレーおよびスピンコーティング、カーテンコーティング、フローコーティング、浸漬コーティング、射出成形、鋳造、ロールコーティング、ワイヤコーティング、およびオーバーモールディングを含む。
【0090】
本発明によると、フォトクロミック二色性化合物および異方性材料を基板に付与するステップは、離型材料で処理され得る金型の上に異方性材料のコーティングを形成するステップを含んでもよい。その後、異方性材料は、(以下でより詳細に議論されるように)少なくとも部分的に秩序付けられ、少なくとも部分的に固化されてもよい。その後、基板は、例えば、基板形成材料を金型内で鋳造することによって、コーティングにわたって形成されることができる(すなわち、オーバーモールディング)。基板形成材料は、次いで、基板を形成するように少なくとも部分的に固化されることができる。続いて、基板および異方性材料のコーティングは、金型から離型されることができる。さらに、フォトクロミック二色性化合物は、異方性材料とともに金型に付与されることができる、または異方性材料が金型に付与された後、異方性材料が少なくとも部分的に秩序付けられた後、もしくは秩序付けられた異方性材料のコーティングを伴う基板が金型から離型された後に、異方性材料の中に吸収されることができる。
【0091】
本発明によると、フォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物を含むコーティングを形成するステップは、異方性材料を基板または膜に付与するステップと、フォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物を異方性材料の中に吸収させるステップと、異方性材料を少なくとも部分的に秩序付けるステップと、フォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物を異方性材料と少なくとも部分的に整列させるステップとを含んでもよい。フォトクロミック二色性化合物を種々のコーティングの中に吸収させる方法は、より詳細に下記で本明細書に説明される。
【0092】
異方性材料を秩序付ける方法は、異方性材料を、磁場、電場、直線偏光紫外線放射、直線偏光赤外線放射、直線偏光可視光放射、および剪断力のうちの少なくとも1つに暴露するステップを含む。さらに、異方性材料は、異方性材料を別の材料または構造と整列させることによって、少なくとも部分的に秩序付けられてもよい。例えば、本明細書では、限定ではないが、異方性材料は、異方性材料を、限定ではないが、前述で議論されたこれらの整列層等の整列層と整列させることによって、少なくとも部分的に秩序付けられることができる。
【0093】
前述で説明されたように、異方性材料の少なくとも一部を秩序付けることによって、異方性材料内に含有される、または別様にそれに結合されるフォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物を少なくとも部分的に整列させることが可能である。さらに、フォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物ならびに異方性材料を基板に付与するステップは、異方性材料を秩序付けるステップ、ならびに/もしくはフォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物を整列させるステップと本質的に同時に、それに先立って、もしくはその後に、起こり得る。
【0094】
コーティング材料を付与するステップは、(随意に、溶媒または担体内の)フォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物ならびに異方性材料の溶液もしくは混合物を基板上にスピンコーティングするステップを含んでもよい。その後、異方性材料は、例えば、異方性材料を、磁場、電場、直線偏光紫外線放射、直線偏光赤外線放射、直線偏光可視光放射、または剪断力に暴露することによって、少なくとも部分的に秩序付けられてもよい。さらに、異方性材料は、異方性材料を別の材料または構造、例えば、整列層と整列させることによって、少なくとも部分的に秩序付けられてもよい。
【0095】
本発明によると、フォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物ならびに
異方性材料の(随意に、溶媒または担体内の)溶液もしくは混合物は、コーティングを形成するように、秩序付けられたポリマーシートに付与されることができる。その後、異方性材料は、ポリマーシートと整列することを可能にされ得る。ポリマーシートは、続いて、例えば、限定ではないが、ラミネート加工または接合によって、基板に付与されてもよい。代替として、コーティングは、限定ではないが、ホットスタンピング等の当技術分野で公知の方法によって、ポリマーシートから基板に移送されてもよい。
【0096】
本発明によると、フォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物ならびに異方性材料を基板に付与するステップは、液晶材料を含むマトリクス相形成材料と、異方性材料ならびにフォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物を含むゲスト相形成材料とを含む、相分離性ポリマー系を付与するステップを含んでもよい。相分離性ポリマー系を付与した後、マトリクス相の液晶材料およびゲスト相の異方性材料は、フォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物が、ゲスト相の異方性材料と整列されるように、少なくとも部分的に秩序付けられてもよい。相分離性ポリマー系のマトリクス相形成材料およびゲスト相形成材料を少なくとも部分的に秩序付ける方法は、相分離性ポリマー系を含むコーティングを、磁場、電場、直線偏光赤外線放射、直線偏光紫外線放射、直線偏光可視光放射、および剪断力のうちの少なくとも1つに暴露するステップを含む。さらに、マトリクス相形成材料およびゲスト相形成材料を少なくとも部分的に秩序付けるステップは、これらの部分を整列層と少なくとも部分的に整列させるステップを含んでもよい。
【0097】
マトリクス相形成材料およびゲスト相形成材料を少なくとも部分的に秩序付けた後、ゲスト相形成材料は、重合誘導型相分離および/または溶剤誘導型相分離によって、マトリクス相形成材料から分離されてもよい。明確にするために、マトリクスおよびゲスト相形成材料の分離は、ゲスト相形成材料がマトリクス相形成材料から分離するステップに関して本明細書に説明されるが、本文言は、2つの相形成材料間の任意の分離を網羅することを意図していることを理解されたい。すなわち、本文言は、ゲスト相形成材料のマトリクス相形成材料からの分離、およびマトリクス相形成材料のゲスト相形成材料からの分離、ならびに両方の相形成材料の同時分離、およびそれらの任意の組み合わせを網羅することを意図している。
【0098】
マトリクス相形成材料は、液晶モノマー、液晶プレポリマー、および液晶ポリマーから選定される、液晶材料を含んでもよい。さらに、ゲスト相形成材料は、液晶メソゲン、液晶モノマー、および液晶ポリマーならびにプレポリマーから選定される、液晶材料を含んでもよい。
【0099】
本発明によると、フォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物を含むコーティングを形成するステップは、異方性材料を基板または膜に付与するステップと、フォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物を異方性材料の中に吸収させるステップと、異方性材料を少なくとも部分的に秩序付けるステップと、フォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物を異方性材料と少なくとも部分的に整列させるステップとを含んでもよい。さらに、異方性材料を少なくとも部分的に秩序付けるステップは、フォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物をその中に吸収させるステップの前に起こり得る。
【0100】
例えば、フォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物は、例えば、担体内のフォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物の溶液もしくは混合物を異方性材料の一部に付与し、加熱の有無のいずれかを伴って、フォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物が異方性材料の中に拡散することを可能にすることによって、異方性材料の中に吸収されてもよい。さらに、異方性材料は、上記で説明されるよ
うな相分離ポリマーコーティングの一部であってもよい。
【0101】
ディスプレイ要素を作製する方法はまた、少なくとも1つの整列層を基板に付与するステップと、続いて、整列層上に少なくとも部分的に整列されたフォトクロミック二色性化合物を含むコーティングを形成するステップと、少なくとも1つの整列層を形成されたコーティング上に付与するステップと、続いて、整列層上に少なくとも部分的に整列された二色性化合物を含むコーティングを形成するステップとを含んでもよい。整列層を基板に付与するステップは、基板上に少なくとも部分的に秩序付けられた整列媒体を含むコーティングを形成するステップ、少なくとも部分的に秩序付けられたポリマーシートを基板に付与するステップ、基板を処理するステップ、および基板上にラングミュア-ブロジェット膜を形成するステップのうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0102】
要求されないが、整列層を付与するステップは、少なくとも部分的に秩序付けられた整列媒体のコーティングを形成するステップを含んでもよく、整列媒体は、少なくとも部分的に固化されてもよい。さらに、整列媒体を固化させるステップは、整列媒体を整列させるステップと本質的に同時に起こり得る、または整列媒体を整列させた後に起こり得る。なおもさらに、整列媒体を固化させるステップは、触媒または開始剤の有無別に、重合性成分の重合反応または架橋を開始するように、媒体を、赤外線、紫外線、ガンマ、マイクロ波、または電子放射に暴露することによって、それを少なくとも部分的に硬化させるステップを含んでもよい。所望または要求される場合、これは、後に加熱ステップが続いてもよい。
【0103】
上記で議論されるように、整列層を基板上に付与するステップに続いて、少なくとも部分的に整列されたフォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物を含むコーティングが、整列層上に形成されてもよい。
【0104】
さらに、相互貫入ポリマー網を含むコーティングに関して前述で議論されたように、重合性組成物は、フォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物を含むコーティングが全体として異方性であることを前提として、等方性材料または異方性材料であってもよい。
【0105】
本発明によると、シートを形成するステップは、液晶材料を含むマトリクス相形成材料と、液晶材料を含むゲスト相形成材料と、少なくとも1つのフォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物とを含む、相分離性ポリマー系を、基材上に付与するステップを含んでもよい。その後、マトリクス相形成材料およびゲスト相形成材料は、少なくとも部分的に秩序付けられてもよく、フォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物は、ゲスト相形成材料と少なくとも部分的に整列されてもよい。整列後、ゲスト相形成材料は、重合誘導型相分離および/または溶剤誘導型相分離によって、マトリクス相形成材料から分離されてもよく、相分離ポリマーコーティングは、シートを形成するように基板から除去されることができる。
【0106】
代替として、相分離性ポリマー系は、基板上に付与され、上記で議論されるように、秩序付けられて整列され、その後、相分離ポリマーシートを形成するように基板から除去されてもよい。続いて、フォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物が、シートの中に吸収されてもよい。代替として、加えて、フォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物が、基板からコーティングを除去してシートを形成することに先立って、コーティングの中に吸収されてもよい。
【0107】
本発明によると、シートを形成するステップは、少なくとも部分的に秩序付けられた液晶ポリマーシートを形成するステップと、液晶メソゲンならびにフォトクロミック二色性
化合物および/または二色性化合物を液晶ポリマーシートの中に吸収させるステップとを含んでもよい。例えば、液晶ポリマーを含むシートが、形成され、形成中に液晶ポリマーを少なくとも部分的に秩序付けるポリマーシートを形成する方法によって、例えば、押出によって、少なくとも部分的に秩序付けられてもよい。代替として、液晶ポリマーが、基板上に鋳造され、上記に記載される液晶材料を秩序付ける方法のうちの1つによって、少なくとも部分的に秩序付けられることができる。例えば、本明細書では、限定ではないが、液晶材料は、磁場または電場に暴露されてもよい。少なくとも部分的に秩序付けられた後、液晶ポリマーが、少なくとも部分的に固化され、少なくとも部分的に秩序付けられた液晶ポリマーマトリクスを含むシートを形成するように基板から除去されてもよい。なおもさらに、液晶ポリマーシートが、鋳造され、少なくとも部分的に固化され、続いて、少なくとも部分的に秩序付けられた液晶ポリマーを含むシートを形成するように延伸されてもよい。
【0108】
少なくとも部分的に秩序付けられた液晶ポリマーを含むシートを形成した後、液晶メソゲンならびにフォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物が、液晶ポリマーマトリクスの中に吸収されてもよい。例えば、本明細書では、限定ではないが、液晶メソゲンならびにフォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物は、担体内の液晶メソゲンならびにフォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物の溶液もしくは混合物を液晶ポリマーに付与し、その後、加熱の有無のいずれかを伴って、液晶メソゲンならびにフォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物が液晶ポリマーシートの中に拡散することを可能にすることによって、液晶ポリマーの中に吸収されてもよい。代替として、液晶ポリマーを含むシートは、担体内の液晶メソゲンならびにフォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物の溶液もしくは混合物の中に浸漬されてもよく、液晶メソゲンならびにフォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物は、加熱の有無のいずれかを伴って、拡散によって液晶ポリマーシートの中に吸収されてもよい。
【0109】
本発明によると、シートを形成するステップは、液晶ポリマーシートを形成するステップと、(例えば、上記で議論されるように)液晶ポリマーシートに液晶メソゲンならびにフォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物を吸収させるステップと、その後、液晶ポリマー、液晶メソゲン、ならびにその中に分配されたフォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物を少なくとも部分的に秩序付けるステップとを含んでもよい。本明細書では、限定ではないが、例えば、液晶ポリマーシート、液晶メソゲン、ならびにその中に分配されたフォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物は、液晶ポリマーシートを延伸することによって、少なくとも部分的に秩序付けられることができる。さらに、液晶ポリマーシートは、限定ではないが、押出および鋳造等の従来のポリマー処理技法を使用して、形成されてもよい。
【0110】
本発明によると、異方性材料ならびにフォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物のコーティングを備える、光配向されたポリマーシートが、基板に付与されてもよい。例えば、光配向されたポリマーシートは、光配向性ポリマー網の層を剥離層上に付与し、続いて、光配向性ポリマー網を秩序付け、少なくとも部分的に硬化させるステップ、光配向性ポリマー網を含む層上に、異方性材料ならびにフォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物のコーティングを形成するステップ、異方性材料ならびにフォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物を光配向性ポリマー網と少なくとも部分的に整列させるステップ、および異方性材料を硬化させるステップによって、形成されてもよい。剥離層は、次いで、除去されてもよく、異方性材料ならびにフォトクロミック二色性化合物のコーティングを備える、光配向性ポリマー網の層は、秩序付けられたポリマーシートを形成するように剥離層から除去されてもよい。
【0111】
さらに、フォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物を含むポリマーシートを基板に結合するステップは、例えば、ラミネート加工、融合、インモールド成型、およびポリマーシートを基板に接着接合するステップのうちの少なくとも1つを含んでもよい。本明細書で使用されるように、インモールド成型は、限定ではないが、シートが金型内に設置され、基板がシートの少なくとも一部にわたって(例えば、鋳造によって)形成される、オーバーモールディング、および基板がシートの周囲に形成される、射出成形等の種々の鋳造技法を含む。
【0112】
上記で議論されるように、ディスプレイ要素は、随意に、複屈折層を備えてもよい。複屈折層は、例えば、ラミネート加工または接着接合によって付与されてもよい。代替として、複屈折層は、ホットスタンピング等の当技術分野で公知の方法によって付与されてもよい。複屈折層を結合するための好適な接着剤は、米国特許第6,864,932号の第4欄、第65行から第60欄(参照することによって本明細書に組み込まれる)に開示されるものを含む。
【0113】
前述で議論されたように、本発明は、ディスプレイ要素およびデバイスを対象とする。さらに、前述で議論されたように、本明細書で使用されるように、用語「ディスプレイ」は、言葉、数字、シンボル、デザイン、または図面での情報の可視表現を意味する。ディスプレイデバイスの実施例は、画面およびモニタを含む。
【0114】
本発明のディスプレイデバイスは、上記に説明されるディスプレイ要素を含む。ディスプレイデバイスは、有機発光ダイオード(OLED)、発光ダイオード(LED)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネセントディスプレイ(ELD)、陰極線管(CRT)を備えてもよい。
【0115】
ディスプレイデバイスは、発光層等の発光源と、本発明のディスプレイ要素とを備えてもよい。ディスプレイデバイスは、随意に、発光源からディスプレイ要素を通してディスプレイデバイスの外に発生される放射を指向することを支援する、反射バッキング層をさらに備えてもよい。ディスプレイ要素は、フォトクロミック二色性化合物、二色性化合物、またはそれらの組み合わせを含む、少なくとも1つの層を備える。ディスプレイデバイスはさらに、複屈折層を備えてもよい。複屈折層は、4分の1波長板(4分の1波長リターダとしても公知である)を備えてもよい。
【0116】
発光源によって発生される光は、ディスプレイライトと称され得る。ディスプレイ要素の二色性化合物および/またはフォトクロミック二色性化合物は、ディスプレイライトの一部がディスプレイ要素を通過するにつれて、それを直線偏光させ、吸収する。上記で議論されるように、ディスプレイ要素は、ディスプレイ要素の第1の状態および第2の状態で異なる割合(%T)において放射を透過させる。
【0117】
ディスプレイライトに加えて、周囲または環境光が、ディスプレイ要素を通してディスプレイデバイスの中に透過されてもよい。周囲または環境光が、ディスプレイ要素を通過すると、光の少なくとも一部は、二色性化合物および/またはフォトクロミック二色性化合物によって直線偏光ならびに/もしくは吸収される。フォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物を含む層を通過した後、周囲または環境光は、直線偏光を円偏光に変換する、4分の1波長板等の複屈折層を通過してもよい。4分の1波長板の軸は、フォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物を含む直線偏光層の軸に対して45度で配向されてもよい。したがって、周囲または環境直線偏光が4分の1波長板を通過すると、これは、円偏光に変換される。円偏光の少なくとも一部は、発光源を通過してもよく、反射バッキング層によって反射されてもよく、円偏光の伝搬は、反対方向である(例えば、右側円偏光から左側円偏光)。反射された円偏光は、再び発光源を通して4
分の1波長板の中に通過してもよい。円偏光が2回目に4分の1波長板を通過すると、これは、その偏光面が直線偏光された周囲または環境光の最初の配向に対して90度回転される、直線偏光に変換され、フォトクロミック二色性化合物および/または二色性化合物を含む直線偏光層は、戻ってくる反射光がディスプレイ要素を通して再び透過されないように効果的に吸収または遮断する。結果として生じた反射光は、したがって、本発明のディスプレイ要素を通過した周囲または環境光の初期強度と比較して、強度が低減される。周囲または環境光は、多くの異なる入射角からディスプレイデバイスに向かって指向され、周囲または環境光の全ての角度が、このようにディスプレイ要素を通過するわけではない。しかしながら、ディスプレイ要素を通した反射光の透過は、ディスプレイ要素を1回だけ通過する発光源から発生される光の透過と比較して低減される。これは、明るいまたは晴れた条件で、ディスプレイデバイスの改良された可読性をもたらす。
【0118】
さらに、上記で議論されるように、ディスプレイ要素の透過率は、変動する。例えば、第1の状態では、全てではないにしても殆どのフォトクロミック二色性化合物は、活性化されておらず、放射を直線偏光または吸収しない。故に、放射の任意の直線偏光または吸収が、二色性化合物によって提供され、ディスプレイ要素は、より大きい割合の放射を透過させる。フォトクロミック二色性化合物が活性化されると、フォトクロミック二色性化合物は、放射を直線偏光または吸収する。故に、放射の直線偏光および吸収が、向上され、ディスプレイ要素は、第1の状態と比較して、低減した割合の放射を透過させる。ディスプレイ要素の第1および第2の状態に関する適切な透過率は、上記で議論される。
【0119】
詳細な説明の目的のために、本発明は、そうではないと明示的に規定される場合を除いて、種々の代替変形例およびステップ順序を仮定し得ることを理解されたい。また、任意の動作実施例以外に、または別様に指示される場合、値、量、割合、範囲、部分範囲、および分数を表すもの等の全ての数字は、用語が明示的に表出しない場合でも、用語「約」が前置された場合のように読まれ得る。故に、そうではないと示されない限り、以下の明細書および添付の請求項に記載される数値パラメータは、本発明によって取得されるべき所望の性質に応じて変動し得る、近似値である。少なくとも、均等論の適用を特許請求の範囲に限定する試行としてではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効数字の数を踏まえて、通常の丸め技法を適用することによって解釈されるべきである。閉鎖または非制約数値範囲が本明細書に説明される場合、数値範囲内である、またはそれによって包含される全ての数、値、量、割合、部分範囲、および分数は、これらの数、値、量、割合、部分範囲、および分数がそれらの全体として明示的に書き出された場合のように、本願の最初の開示に具体的に含まれ、それに属するものとして解釈されるものである。
【0120】
本発明の広義の範囲を記載する数値範囲およびパラメータが近似値であるにもかかわらず、具体的実施例に記載される数値は、可能な限り精密に報告される。しかしながら、任意の数値は、本質的に、それらの個別の試験測定で見出される標準偏差に必然的に起因する、ある誤差を含有する。
【0121】
本明細書で使用されるように、別様に指示されない限り、複数形の用語は、別様に指示されない限り、その単数の対応物を包含することができ、その逆も同様である。例えば、本明細書では、「a(1つの)」フォトクロミック二色性化合物、「a(1つの)」二色性化合物、「a(1つの)」基板、「a(1つの)」シート、および「a(1つの)」コーティングが参照されるが、これらの構成要素の組み合わせ(すなわち、複数)も、使用されることができる。加えて、本願では、「または」の使用は、「および/または」が、ある事例で明示的に使用され得るとしても、別様に具体的に記述されない限り、「および/または」を意味する。
【0122】
本明細書で使用されるように、「including(~を含む)」、「containing(~を含有する)」、および同様の用語は、本願の文脈では「comprising(~を備える)」と同義であると理解され、したがって、非制約的であり、付加的な説明されていない、または記載されていない要素、材料、原料、もしくは方法ステップの存在を除外しない。本明細書で使用されるように、「consisting of(~を含む)」は、本願の文脈では、任意の規定されていない要素、原料、または方法ステップの存在を除外すると理解される。本明細書で使用されるように、「consisting
essentially of(本質的に~を含む)」は、本願の文脈では、規定された要素、材料、原料、または方法ステップ、および説明されているものの「基本ならびに新規の特性に物質的に影響を及ぼさないもの」を含むと理解される。
【0123】
本明細書で使用されるように、用語「on(~の上)」、「onto(~の上に)」、「applied on(~の上に付与される)」、「applied onto(~の上に付与される)」、「formed on(~の上に形成される)」、「deposited on(~の上に堆積される)」、「deposited onto(~の上に堆積される)」は、表面上に形成、重層、堆積、または提供されるが、必ずしもそれと接触していないことを意味する。例えば、基板「の上に堆積される」コーティングは、コーティングと基板との間に位置する同一または異なる組成物の1つまたはそれを上回る他の介在コーティング層の存在を排除しない。
【0124】
本発明の具体的実施形態が詳細に説明されたが、これらの詳細への種々の修正および代替物が、本開示の全体的教示を踏まえて開発され得ることが、当業者によって理解される。故に、開示される特定の配列は、添付される請求項およびそれらの全ての均等物の全範疇が与えられるものである、本発明の範囲に関して、限定的ではなく例証的にすぎないことが意図される。
(実施態様)
【0125】
本発明は、したがって、とりわけ、以下の非限定的側面1-17に関する。
1. フォトクロミック二色性化合物と、二色性化合物とを含む、ディスプレイ要素であって、ディスプレイ要素は、第1の吸収状態と、第2の吸収状態とを有し、化学線に応答して第1の吸収状態から第2の吸収状態に切り替わるため、かつ化学線および/または熱エネルギーに応答して第1の吸収状態に戻るように動作可能であり、第1の吸収状態は、50%~80%の透過率を有し、第2の吸収状態は、10%~50%の透過率を有する、ディスプレイ要素。
2. 第1の吸収状態は、60%~70%の透過率を有し、第2の吸収状態は、15%~40%の透過率を有する、側面1に記載のディスプレイ要素。
3. 第1の吸収状態は、5%~70%の直線偏光効率を有し、第2の吸収状態は、50%~99.9%の直線偏光効率を有する、側面1または側面2に記載のディスプレイ要素。
4. フォトクロミック二色性化合物は、ピランフォトクロミック基を含み、ピランフォトクロミック基は、好ましくは、ナフトピランを含む、前記側面のいずれか1つに記載のディスプレイ要素。
5. 二色性化合物は、アントラキノン染料、アゾ染料、またはそれらの組み合わせを含む、前記側面のいずれか1つに記載のディスプレイ要素。
6. ディスプレイ要素は、フォトクロミック二色性化合物と、二色性化合物とを含む、シートを備える、またはフォトクロミック二色性化合物を含む、第1のシートと、二色性化合物を含む、第2のシートとを備える、前記側面のいずれか1つに記載のディスプレイ要素。
7. 基板をさらに備える、前記側面のいずれか1つに記載のディスプレイ要素。
8. 基板に結合されるコーティングであって、フォトクロミック二色性化合物と、二色
性化合物とを含む、コーティングをさらに備え、コーティングは、好ましくは、液晶材料、ブロックコポリマー、およびそれらの組み合わせを含む自己集合材料等の少なくとも1つの自己集合材料を含む、側面7に記載のディスプレイ要素。
9. 整列層、例えば、光整列層を備える整列層と、フォトクロミック二色性化合物および二色性化合物を含むコーティングとをさらに備え、コーティングは、整列層に結合される、側面7に記載のディスプレイ要素。
10. 基板に結合される、第1のコーティングであって、フォトクロミック二色性化合物を含む、第1のコーティングと、基板に結合される、第2のコーティングであって、二色性化合物を含む、第2のコーティングとをさらに備える、側面7に記載のディスプレイ要素。
11. 複屈折層をさらに備え、複屈折層は、好ましくは、4分の1波長板を備える、前記側面のいずれか1つに記載のディスプレイ要素。
12. 二色性化合物対フォトクロミック二色性化合物の重量比は、0.005:1~0.150:1である、前記側面のいずれか1つに記載のディスプレイ要素。
13. 前記側面1-12のいずれか1つに記載のディスプレイ要素を備える、ディスプレイデバイス。
14. ディスプレイデバイスはさらに、有機発光ダイオード、発光ダイオード、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル、エレクトロルミネセントディスプレイ、または陰極線管を備える、側面13に記載のディスプレイデバイス。
15. 発光層と、
反射バッキング層と、
4分の1波長リターダと、
フォトクロミック二色性化合物、二色性化合物、またはそれらの組み合わせを含む、少なくとも1つの層と、
をさらに備える、側面13に記載のディスプレイデバイス。
16. 発光層は、発光ダイオードまたは有機発光ダイオードを備える、側面15に記載のディスプレイデバイス。
17. ディスプレイデバイスは、第1の層と、第2の層とを備え、第1の層は、フォトクロミック二色性化合物を含み、第2の層は、二色性化合物を含み、好ましくは、4分の1波長リターダは、第1の層に結合され、第1の層は、第2の層に結合される、側面15または16のいずれか1つに記載のディスプレイデバイス。
【0126】
本発明は、以下の実施例を例証するが、しかしながら、これは、本発明をそれらの詳細に限定すると見なされるものではない。別様に指示されない限り、以下の実施例内、ならびに本明細書の全体を通した、全ての部分および割合は、重量比である。
【実施例0127】
(実施例A)液晶コーティング成分および調合物
液晶モノマー組成物
【0128】
以下の液晶モノマー(「LCM」)組成物が、調製された。
【0129】
LCM-1は、米国特許第7,910,019号(その液晶モノマーの開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる)の実施例17に説明される手順に従って調製された、1-(6-(8-(4-(4-(4-(8-アクリロイルオキシヘキシル)オキシ)ベンゾイルオキシ)フェニルオキシカルボニル)フェノキシ)オクチルオキシ)-6-オキソヘキシルオキシ)-6-オキソヘキシルオキシ)-6-オキソヘキシルオキシ)-6-オキソヘキシルオキシ)-6-オキソヘキシルオキシ)-6-オキソヘキシルオキシ)-6-オキソヘキシルオキシ)-6-オキソヘキサン-1-オールであった。
【0130】
LCM-2は、C33H32O10の分子式を有する、EMD Chemicals,
Inc.から入手可能である、4-(3-アクリロイルオキシプロピルオキシ)-安息香酸2-メチル-1,4-フェニレンエステルであると報告された市販のRM257であった。
【0131】
LCM-3は、n=0であることを除いて、米国特許第7,910,019号(その開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる)の実施例1の手順に従って調製された、1-(6-(4-(4-(トランス-4-ペンチルシクロヘキシル)フェノキシカルボニル)フェノキシ)ヘキシルオキシ)-2-メチルプロプ-2-エン-1-オンであった。
【0132】
LCM-4は、米国特許第7,910,019号(その開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる)の手順に従って調製された、1-(6-(6-(6-(6-(6-(6-(6-(8-(4-(4-(4-ヘキシルオキシベンゾイルオキシ)フェノキシカルボニル)-フェノキシ)オクチルオキシ)-6-オキソヘキシルオキシ)-6-オキソヘキシルオキシ)-6-オキソヘキシルオキシ)-6-オキソヘキシルオキシ)-6-オキソヘキシルオキシ)-6-オキソヘキシルオキシ)-6-オキソヘキシルオキシ)-2-メチルプロプ-2-エン-1-オンであった。
【0133】
LCM-5は、EMD Chemicals, Incから入手可能な市販のRM105であり、C23H26O6の分子式を有することが報告されている。
【0134】
フォトクロミック二色性グレー着色合物(Grey-1)
【0135】
本明細書ではGrey-1と称される、フォトクロミック二色性グレー着色調合物が、下記の表Aに列挙されるフォトクロミック二色性(「PC」)染料を組み合わせることによって調製された。
【表1-1】
【0136】
液晶コーティング調合物(「LCCF」)
【0137】
LCCF-1は、以下のように調製された。アニソール(3.99g)およびBYK Chemie(USA)から入手可能なアラルキル修飾ポリ-メチル-アルキル-シロキサンであることが報告されたBYK-322添加剤(0.004g)の混合物を含有する、好適なフラスコに、LCM-1(1.08g)、LCM-2(2.4g)、LCM-3(1.08g)、LCM-4(1.44g)、Grey-1(0.72g)、4-メトキシフェノール(0.006g)、およびIRGACURE(登録商標)819(0.09g、Ciba-Geigy Corporationから入手可能な光開始剤)が、添加された。Cytec Industriesから入手可能な光吸収剤である、CYASORB(登録商標) UV-24もまた、1:4(UV-24:Grey-1)のモル比において添加された。結果として生じる混合物は、80℃において2時間にわたって撹拌され、約26℃まで冷却された。
【0138】
LCCF-2は、以下のように調製された。
アニソール(3.99g)およびBYK Chemie(USA)から入手可能なアラルキル修飾ポリ-メチル-アルキル-シロキサンであることが報告されたBYK-322添加剤(0.004g)の混合物を含有する、好適なフラスコに、LCM-2(3.0g)、LCM-5(3.0g)、Nematel GmbH & Co. KGからの二色性染料Blue AB2 Batch 3(0.06g)、Nematel GmbH &
Co. KGからの二色性染料Orange AZ01 Batch 1(0.06g)、4-メトキシフェノール(0.06g)、およびIRGACURE(登録商標)819(0.09g、Ciba-Geigy Corporationから入手可能な光開始剤)が、添加された。結果として生じる混合物は、80℃において2時間にわたって撹拌され、約26℃まで冷却された。
【0139】
LCCF-3は、以下のように調製された。アニソール(3.99g)およびBYK Chemie(USA)から入手可能なアラルキル修飾ポリ-メチル-アルキル-シロキサンであることが報告されたBYK-322添加剤(0.004g)の混合物を含有する、好適なフラスコに、LCM-1(1.08g)、LCM-2(2.4g)、LCM-3(1.08g)、LCM-4(1.44g)、Grey-1(0.72g)、Nematel GmbH & Co. KGから入手可能な二色性染料Blue AB2 Batch 3(0.012g)、Nematel GmbH & Co. KGから入手可能な二色性染料Orange AZ01 Batch 1(0.06g)、4-メトキシフェノール(0.006g)、およびIRGACURE(登録商標)819(0.09g、Ciba-Geigy Corporationから入手可能な光開始剤)が、添加された。Cytec Industriesから入手可能な光吸収剤である、CYASORB(登録商標) UV-24もまた、1:4(UV-24:Grey-1)のモル比において添加された。結果として生じる混合物は、80℃において2時間にわたって撹拌され、約26℃まで冷却された。
【0140】
(実施例B)光整列コーティング溶液の調製
光整列材料、すなわち、ポリ[(E)-2-メトキシ-4-(3-メトキシ-3-オキサプロプ-1-エニル)フェニル4-(6-(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾエート]の溶液が、溶液の全重量に基づいて、光整列材料の6重量パーセントをシクロペンタノンに添加することによって、調製された。
【0141】
(実施例C)基板を調製およびコーティングするために使用される手順
基板
【0142】
Corning 2947-75×50mmガラス板マイクロスライドが、基板として使用された。板は、0.96~1.06mmの厚さを伴って、75×50mmの寸法を有
した。各基板は、Windex(登録商標)で浸されたティッシュで拭うことによって清浄化され、空気流で乾燥された。
【0143】
各基板は、高圧変圧器を伴うTantec EST Systemsのシリアル番号020270、Power Generator HV 2000シリーズコロナ処理機器内のコンベヤベルト上を通過することによって、コロナ処理された。基板は、3フィート/分のベルト速度でコンベヤ上を進行しながら、53.99KV、500ワットによって発生されたコロナに暴露された。
【0144】
光整列材料のためのコーティング手順
【0145】
実施例Bで調製された光整列コーティング溶液は、約1.0mLの溶液を分注し、800毎分回転数(rpm)において3秒にわたって、その後に続いて1,000rpmにおいて7秒にわたって、その後に続いて2,500rpmにおいて4秒にわたって、基板を回転させることによって、試験基板の表面の一部の上にスピンコーティングすることによって試験基板に付与された。Laurell Technologies Corp.からのスピンプロセッサ(WS-400B-6NPP/LITE)が、スピンコーティングに使用された。その後、コーティングされた基板は、120℃に維持されたオーブンの中に30分にわたって設置された。コーティングされた基板は、約26℃まで冷却された。
【0146】
基板のそれぞれの上の乾燥した光整列層は、400ワット電力供給源を有する、DYMAX(登録商標) Corp.によるDYMAX(登録商標) UVC-6UV/コンベヤシステムを使用した、直線偏光紫外線放射への暴露によって、少なくとも部分的に秩序付けられた。光源は、放射線が基板の表面と垂直な平面内で直線偏光されるように配向された。各光整列層が暴露された紫外線放射の量は、EIT IncからのUV Power PuckTM高エネルギー放射計(シリアル番号2066)を使用して測定され、以下の通り、すなわち、UVA 0.126W/cm2および5.962J/cm2、UVB 0.017W/cm2および0.078J/cm2、UVC 0W/cm2および0J/cm2、ならびにUVV 0.046W/cm2および2.150J/cm2であった。光配向性ポリマー網の少なくとも一部を秩序付けた後、基板は、約26℃まで冷却され、被覆された状態で保たれた。
【0147】
液晶コーティング調合物のためのコーティング手順
【0148】
実施例Aで調製された液晶コーティング調合物(「LCCF」)はそれぞれ、400毎分回転数(rpm)の速度において6秒にわたって、その後に続いて800rpmにおいて4秒にわたって、試験基板上に上記で説明されるように調製された、少なくとも部分的に秩序付けられた光整列材料上にスピンコーティングされた。各コーティングされた基板は、65℃におけるオーブンの中に30分にわたって設置された。その後、基板は、UVAの0.445ワット/cm2およびUWの0.179ワット/cm2のピーク強度、ならびにUVAの2.753ジュール/cm2およびUWの1.191ジュール/cm2の紫外線量において、2フィート/分でコンベヤベルト上を流れながら、窒素雰囲気内で、Belcan Engineeringによって設計および構築されたUV Curing Oven Machine内の2つの紫外線ランプの下で硬化された。硬化された層は、上記に説明されるコロナ処理機器を使用して、3フィート/分のベルト速度でコンベヤ上を進行しながら、53.00KV、500ワットによって発生されたコロナに暴露された。
【0149】
(実施例1)
実施例1の対照サンプルは、実施例Cの手順に従って、実施例Bの光整列層および実施
例AのLCCF-1コーティングでコーティングされた。実施例1のディスプレイ要素は、フォトクロミック二色性染料を含有したが、固定された色合いの二色性染料を含有しなかった。層スタッキング構成は、
図1に示される。
【0150】
(実施例2)
実施例2は、実施例Cの手順に従って、実施例AおよびBの光整列コーティング/LCCF-2コーティング/光整列コーティング/LCCF-1コーティングの多層スタックでコーティングされた。実施例2のディスプレイ要素は、フォトクロミック二色性染料および二色性染料を両方とも含有した。層スタッキング構成は、
図2に示される。
【0151】
(実施例3)
実施例3は、実施例Cの手順に従って、実施例Bの光整列層および実施例AのLCCF-3コーティングでコーティングされた。実施例3のディスプレイ要素は、フォトクロミック二色性染料および二色性染料を両方とも含有した。層スタッキング構成は、
図3に示される。
【0152】
ディスプレイ要素の評価
サンプル試験:光学ベンチが、ディスプレイ要素の光学性質を測定し、透明・偏光および透明・円偏光性質に関して試験されたときに、ディスプレイ要素毎に吸光比を導出するために、使用された。試験に先立って、サンプルはそれぞれ、Spectronics Corp.によって供給された4本のUV管BLE-7900Bのバンクから15センチメートル(cm)の距離において10分にわたって活性化放射(UVA)に暴露され、次いで、40℃において1時間にわたって設置された。続いて、サンプルは、General Electricによって供給された4本のUVIess管F4OGOのバンクから15cmの距離において1時間にわたって暴露され、最終的に、1時間にわたって暗所で保持された。その後、ディスプレイ要素は、光学ベンチ上の(23°C±0.1°C)における温度制御されたエアセル内に設置された。活性化光源(Newport/Orielモデル67005 300ワットキセノンアークランプ筐体、Uniblitz VS25を装備した(VMM-D4シャッタドライバを伴う)69911電力供給源および68945デジタル暴露コントローラ、迷光がデータ収集プロセスに干渉しないようにデータ収集中に一時的に閉鎖した高速コンピュータ制御シャッタ、短波長放射を除去したSchott 3mm KG-2帯域通過フィルタ、強度減衰のための減光フィルタ、およびビームコリメーションのための集光レンズ)は、サンプル側の表面に対する30°~35°入射角において指向された。
【0153】
応答測定を監視するための広帯域光源が、ディスプレイ要素の表面と垂直な方式で位置付けられた。より短い可視波長の増加した信号が、分割端部の分岐光ファイバケーブルを伴う100ワットタングステンハロゲンランプ(Lambda UP60-14定電圧電力供給源によって制御される)から別個にフィルタ処理された光を集光し、組み合わせることによって、取得された。タングステンハロゲンランプの片側からの光は、熱を吸収するためのSchott KG1フィルタおよびより短い波長の通過を可能にするためのHoya B-440フィルタを用いてフィルタ処理された。光の反対側は、Schott
KG1フィルタを用いてフィルタ処理されるか、フィルタ処理されていないかのいずれかであった。光は、分割端部の分岐光ファイバケーブルの別個の端部上のランプの各側面から光を集束することによって、集光され、続いて、ケーブルの単一の端部から出現する1つの光源に組み合わせられた。4インチ光パイプが、適切な混合を確保するように、ケーブルの単一の端部に取り付けられた。
【0154】
光源の偏光は、ケーブルの単一の端部から、コンピュータ駆動型電動回転ステージ(Polytech(PI)からのモデルM-061-PDまたはM-660.55)内に保
持されたMoxtek、Proflux偏光子に光を通過させることによって、達成された。監視ビームは、1つの偏光面(0°)が光学ベンチテーブルの平面と垂直であり、第2の偏光面(90°)が光学ベンチテーブルの平面と平行であるように設定された。
【0155】
紫外線活性化に先立って、ディスプレイ要素は、以下のように整列された。電気暗、基準、および暗スペクトルが、0および90度の偏光方向の両方において集光された。偏光サンプルの整列は、15分にわたってサンプルを活性化し、次いで、590nmにおける最大光吸収が達成されるまでMoxtek分析器偏光子に対してサンプルを回転させることによって、遂行された。本位置で、サンプルは、+/-0.25度まで分析器偏光子に対して90度に整列される。いったん整列されると、0/90度の吸収スペクトルが、5秒間隔で120秒にわたって集光され、次いで、Xeアークランプシャッターが、閉鎖され、サンプルは、Moxtek偏光子が回転し、時間の関数として0および90度で吸収スペクトルを集光し続けている間に、フェードすることを可能にされる。
【0156】
透明・直線測定を行うために、ディスプレイ要素は、フォトクロミック二色性染料を活性化するように、15分にわたって活性化光源からの6.7W/m2のUVAに暴露された。検出器システム(モデルSED033検出器、Bフィルタ、およびディフューザ)を伴うInternational Light Research Spectrorradiometer(モデルLT950)が、毎日の始まりに暴露を検証するために使用された。0°偏光面に偏光された監視源からの光が、次いで、コーティングされたサンプルを通過され、単一機能光ファイバケーブルを使用してOcean Optics 2000分光光度計に結合された、1インチ積分球上に集束された。サンプルを通過した後のスペクトル情報が、Ocean Optics SpectraSuiteおよびPPGプロパティソフトウェアを使用して収集された。フォトクロミック二色性染料が活性化されている間に、Moxtek偏光子の位置は、監視光源からの光を90°偏光面に偏光させ、かつ戻すように、前後に回転された。データが、活性化中に5秒間隔で、かつフェード中に3秒毎に、約15分にわたって収集された。試験毎に、偏光子の回転は、偏光面の以下のシーケンス、すなわち、0°、90°、90°、0°等でデータを収集するように調節された。
【0157】
吸収スペクトルが、Igor Proソフトウェア(Wave Metricsから入手可能)を使用して、ディスプレイ要素毎に取得および解析された。ディスプレイ要素毎の各偏光方向への光吸収の変化が、試験された各波長におけるディスプレイ要素の0時間(すなわち、未活性化)吸収測定値を減算することによって、計算された。明所視応答測定が、複数のフォトクロミック二色性化合物がディスプレイ要素で使用された以降に収集された。平均光吸収値は、フォトクロミック応答が飽和またはほぼ飽和した、活性化プロファイルの明所視領域(すなわち、測定された光吸収が経時的に増加しなかった、または有意に増加しなかった領域)内で、ディスプレイ要素毎に、本領域内で各時間間隔における光吸収を平均することによって、取得された。λmax-vis+/-5nmに対応する所定の波長範囲内の平均光吸収値が、0°および90°偏光に関して抽出され、本範囲内の波長毎の吸光比が、大きい方の平均光吸収を小さい方の平均光吸収で除算することによって計算された。抽出される波長毎に、5~100個のデータ点が、平均された。フォトクロミック二色性染料の平均吸光比が、次いで、これらの個々の吸光比を平均することによって計算された。サンプルの平均吸光比が、次いで、これらの個々の吸光比を平均することによって計算された。
【0158】
結果が、下記に報告され、第1のフェード半減期(「T1/2」)値は、サンプル内のフォトクロミック二色性染料の活性化された形態のΔODが、活性化光源の除去後に、73.4°F(23°C)における最大ΔODの半分に到達するための秒単位の時間間隔である。
【0159】
%T値が、灰色/茶色レンズのCIEY透過に基づいて計算された。初期および最終の平均透過率(%T)値ならびに偏光効率が、以下の式に従って取得された。
初期%T=(%Tparallel+%Tcrossed)/2 (「初期」は、未活性化を意味する)
最終%T=(%Tparallel+%Tcrossed)/2 (「最終」は、完全活性化を意味する)
%PE=100*((%Tparallel-%Tcrossed)/(%Tparallel+%Tcrossed))
【0160】
サンプル毎に、上記に説明される手順が、少なくとも2回実行された。透明・線形偏光試験の結果は、下記の表Iに提示される。
【表1-2】
【0161】
透明・円偏光研究が、下記に説明される修正を除いて、透明・直線研究と同様に行われた。Moxtek偏光子が、PI回転ステージ上で膜アセンブリの反対側まで移動された。円偏光測定を行うために、円偏光子は、4分の1波長板が相互に面しているように、相互に面する必要がある。システムを整列させるために、既知のMelles Griot(MG)偏光子が、セルアセンブリに先立って定位置に設置され、レーザ光(コヒーレント超低雑音レーザダイオードモジュール-635nm)の最大透過のために0度で配向された。Moxtek偏光子が、次いで、ヌル位置を達成するようにステージ上で回転された。(Melles Griotからの)4分の1波長板が、Moxtek偏光子の直前に光学経路に追加された。4分の1波長板(上部板から76mm離れた回転中心点を有した、Opto-Sigmaからのゴニオメータ上に搭載され、本アセンブリは、Melles Griotからの1.5インチ減衰ロッド上に搭載された)が、レーザのヌル信号を達成するように回転された。これは、4分の1波長板の速または遅軸のいずれかがMoxtek偏光子の透過方向と整列されたことを確実にした。
【0162】
次に、Moxtek偏光子が、45度回転され、MG偏光子が、除去された。Moxtek偏光子は、ここで、MG4分の1波長板の速および遅軸を二等分し、左側または右側のいずれかの円偏光を生成した。電気暗、基準、および暗基準スペクトルが、Moxtek偏光子を90度回転させる(代替として、MG4分の1波長板の速および遅軸を、速軸から遅軸に、次いで、遅軸から速軸に二等分する)ことによって、左側および右側の両方の円偏光に関して収集された。
【0163】
基準スペクトルが集光されると、サンプルは、温度制御されたエアセルの中に挿入された。Moxtek偏光子は、水平であるように45度回転され、MG偏光子(0度における)は、交差偏光子構成を生成するようにビーム経路内に設置された。ディスプレイ要素
は、ビーム経路内に設置され、レーザは、交差偏光子およびサンプルを通して指向された。偏光サンプルの整列は、15分にわたってサンプルを活性化し、次いで、590nmにおける最大光吸収が達成されるまでMoxtek分析器偏光子に対してサンプルを回転させることによって、遂行された。本位置で、サンプルは、+/-0.25度まで分析器偏光子に対して90度に整列される。いったん整列されると、0/90度の吸収スペクトルが、5秒間隔で120秒にわたって集光され、次いで、Xeアークランプシャッターが、閉鎖され、サンプルは、Moxtek偏光子が回転し、時間の関数として0および90度で吸収スペクトルを集光し続けている間に、フェードすることを可能にされる。
【0164】
実施例2に関して、(屈折率分散に起因する)サンプルの低品質の4分の1波長板は、正しい「交差偏光」スペクトルが使用されるように、データが手動で分析されることを要求したことに留意されたい。光学ベンチによって生成される未加工データテーブルから、交差偏光における最大暗度が見出された角度(+/-2.5度まで)における漂白光学密度が、漂白CIEY透過(%T)および完全活性化透過を逆算するために使用された。これは、380~780nmを横断する4分の1波長板の低品質に起因する(それらは560nmに関して設計される)、交差円偏光子の間のあるレベルの角度依存があるため、行われた。
【0165】
データ入手は、以前のように行われた(120秒遅延、5秒間隔データ収集における15分の活性化、30分のフェード、または3秒間隔における第2の半減期)。Moxtek偏光子は、データ収集の全体を通して+/-90度回転された。Moxtek偏光子の透過軸が4分の1波長板(MG)を二等分したため、次いで、Moxtek偏光子の回転は、速・遅軸を二等分することから遅・速軸を二等分することに進み、一方の配向で右側円偏光、他方の配向で左側円偏光を生成した。
【0166】
4分の1波長板を伴うコーティングされたサンプルを測定することは、レーザ光強度が1.0および0.5NDフィルタを使用することによって低減されたことを除いて、本質的に同一のプロセスであった。透明・円偏光研究の結果は、表2で下記に列挙される。
【表2】
【0167】
多数の修正および変形例が、本明細書に説明および例示される広義の発明の概念から逸脱することなく、上記の開示を踏まえて可能であることが、当業者によって理解される。故に、したがって、前述の開示は、本願の種々の例示的側面の例証にすぎず、本願および付随する請求項の精神および範囲内である多数の修正および変形例が、当業者によって容易に行われ得ることを理解されたい。
【0168】
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1)
フォトクロミック二色性化合物と、二色性化合物とを含む、ディスプレイ要素であって、前記ディスプレイ要素は、第1の吸収状態と、第2の吸収状態とを有し、化学線に応答して前記第1の吸収状態から前記第2の吸収状態に切り替わるため、かつ化学線および/または熱エネルギーに応答して前記第1の吸収状態に戻るように動作可能であり、前記第1の吸収状態は、50%~80%の透過率を有し、前記第2の吸収状態は、10%~50%の透過率を有する、ディスプレイ要素。
(項2)
前記第1の吸収状態は、60%~70%の透過率を有し、前記第2の吸収状態は、15%~40%の透過率を有する、上記項1に記載のディスプレイ要素。
(項3)
前記第1の吸収状態は、5%~70%の直線偏光効率を有し、前記第2の吸収状態は、50%~99.9%の直線偏光効率を有する、上記項1に記載のディスプレイ要素。
(項4)
前記フォトクロミック二色性化合物は、ピランフォトクロミック基を含む、上記項1に記載のディスプレイ要素。
(項5)
前記ピランフォトクロミック基は、ナフトピランを含む、上記項4に記載のディスプレイ要素。
(項6)
前記二色性化合物は、アントラキノン染料、アゾ染料、またはそれらの組み合わせを含む、上記項1に記載のディスプレイ要素。
(項7)
前記ディスプレイ要素は、前記フォトクロミック二色性化合物と、前記二色性化合物とを含む、シートを備える、上記項1に記載のディスプレイ要素。
(項8)
前記ディスプレイ要素は、前記フォトクロミック二色性化合物を含む、第1のシートと、前記二色性化合物を含む、第2のシートとを備える、上記項1に記載のディスプレイ要素。
(項9)
基板をさらに備える、上記項1に記載のディスプレイ要素。
(項10)
前記基板に結合されるコーティングであって、前記フォトクロミック二色性化合物と、前記二色性化合物とを含む、コーティングをさらに備える、上記項9に記載のディスプレイ要素。
(項11)
前記コーティングは、少なくとも1つの自己集合材料を含む、上記項10に記載のディスプレイ要素。
(項12)
前記自己集合材料は、液晶材料、ブロックコポリマー、およびそれらの組み合わせを含む、上記項11に記載のディスプレイ要素。
(項13)
整列層と、前記フォトクロミック二色性化合物および前記二色性化合物を含むコーティングとをさらに備え、前記コーティングは、前記整列層に結合される、上記項9に記載のディスプレイ要素。
(項14)
前記整列層は、光整列層を備える、上記項13に記載のディスプレイ要素。
(項15)
前記基板に結合される、第1のコーティングであって、前記フォトクロミック二色性化合物を含む、第1のコーティングと、前記基板に結合される、第2のコーティングであって、前記二色性化合物を含む、第2のコーティングとをさらに備える、上記項9に記載のディスプレイ要素。
(項16)
前記二色性化合物対前記フォトクロミック二色性化合物の重量比は、0.005:1~0.150:1である、上記項1に記載のディスプレイ要素。
(項17)
複屈折層をさらに備える、上記項1に記載のディスプレイ要素。
(項18)
前記複屈折層は、4分の1波長板を備える、上記項17に記載のディスプレイ要素。
(項19)
上記項1に記載のディスプレイ要素を備える、ディスプレイデバイス。
(項20)
前記ディスプレイデバイスはさらに、有機発光ダイオード、発光ダイオード、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル、エレクトロルミネセントディスプレイ、または陰極線管を備える、上記項19に記載のディスプレイデバイス。
(項21)
発光層と、
反射バッキング層と、
4分の1波長リターダと、
前記フォトクロミック二色性化合物、前記二色性化合物、またはそれらの組み合わせを含む、少なくとも1つの層と、
をさらに備える、上記項19に記載のディスプレイデバイス。
(項22)
前記発光層は、発光ダイオードまたは有機発光ダイオードを備える、上記項21に記載のディスプレイデバイス。
(項23)
前記ディスプレイデバイスは、第1の層と、第2の層とを備え、前記第1の層は、前記フォトクロミック二色性化合物を含み、前記第2の層は、前記二色性化合物を含む、上記項22に記載のディスプレイデバイス。
(項24)
前記ディスプレイデバイスはさらに、前記第1の層に結合される4分の1波長板を備え、前記第1の層は、前記第2の層に結合される、上記項23に記載のディスプレイデバイス。