(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022130445
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】フッ化物源を用いる新規ゼオライト合成法
(51)【国際特許分類】
C01B 39/04 20060101AFI20220830BHJP
C01B 39/48 20060101ALI20220830BHJP
B01J 29/40 20060101ALI20220830BHJP
B01J 29/70 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
C01B39/04
C01B39/48
B01J29/40 A
B01J29/70 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022093385
(22)【出願日】2022-06-09
(62)【分割の表示】P 2019517434の分割
【原出願日】2017-09-28
(31)【優先権主張番号】62/402,698
(32)【優先日】2016-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】590004718
【氏名又は名称】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チェン, ハイ-イン
(72)【発明者】
【氏名】フェデイコ, ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ロボ, ラウル
(72)【発明者】
【氏名】ファム, チョン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】純相アルミノケイ酸塩ゼオライトを製造する新規合成技術、並びに金属と組み合わせて純相ゼオライトを含む触媒及びそれを使用する方法を提供する。
【解決手段】少なくとも1つのゼオライト、フッ化物源、構造指向剤、及び任意選択的な追加のシリカ源を含む合成ゲルを、少なくとも100℃の温度で、所望される骨格形態を有するゼオライトの結晶が形成するまで反応させることを含む、アルミノケイ酸塩ゼオライトを製造する方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのゼオライト、フッ化物源、構造指向剤(SDA)、及び任意選択的な追加のシリカ源を含む合成ゲルを、少なくとも100℃の温度で、所望されるゼオライト形態の結晶が形成するまで反応させることを含む、アルミノケイ酸塩ゼオライトを製造する方法。
【請求項2】
前記結晶は、少なくとも約90%純相である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記結晶は、少なくとも約20のシリカ対アルミナモル比(SAR)を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記所望されるゼオライトは、小細孔ゼオライト、中細孔ゼオライト及び大細孔ゼオライトからなる群から選択される、請求項1から3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記所望されるゼオライトは、小細孔ゼオライトである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記小細孔ゼオライトは、AFX、AEI、CHA、LTA、ITW、RTH、LEV、STT、SFW又はIHWである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記小細孔ゼオライトは、CHAである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
SDAカチオンは、トリメチルアダマントアンモニウム、N,N,N-ジメチルエチルシクロヘキシルアンモニウム、ペンタメチルイミダゾリウム、1,2-ジメチル-3-(4-メチルベンジル)イミダゾリウム、1,2,3-トリメチルイミダゾリウム、1,3-ビス(1-アダマンチル)イミダゾリウム、2,6-N,N-ジエチル-cis-2,6-ジメチルピペリジウム又はそれらの組合せである、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記結晶は、約5μm未満の平均結晶サイズを有する、請求項5から8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
CHAの結晶は、約1μm未満の平均結晶サイズを有する、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記結晶は、約20から約500のSARを有する、請求項5から10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記所望されるゼオライトは、中細孔ゼオライトである、請求項4に記載の方法。
【請求項13】
SDAカチオンは、テトラプロピルアンモニウム、2-エチル-1,3,4-トリメチルイミダゾリウム、トリメチルアダマントアンモニウム、ヘキサメチレンイミン、ヘキサメトニウム、テトラブチルアンモニウム又はそれらの組合せである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記中細孔ゼオライトは、MFI、STW、MWW、ITH又はMELである、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記結晶は、約5μm未満の平均結晶サイズを有する、請求項12から14の何れか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記結晶は、約20から約500のSARを有する、請求項12から15の何れか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記所望されるゼオライトは、大細孔ゼオライトである、請求項4に記載の方法。
【請求項18】
前記構造指向剤は、テトラエチルアンモニウム、1,3,3-トリメチル-6-アゾニウムトリシクロ[3.2.1.46,6]ドデカン又はそれらの組合せである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記大細孔ゼオライトは、BEA又はISVである、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記結晶は、約5μm未満の平均結晶サイズを有する、請求項17から19の何れか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記結晶は、約20から約500のSARを有する、請求項17から20の何れか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つのゼオライトのみが、アルミノケイ酸塩ゼオライトを形成するシリカ及びアルミニウムの供給源である、請求項1から21の何れか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記ゼオライトは、ゼオライトYである、請求項1から22の何れか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記ゼオライトYは、約12から約500のシリカ対アルミナ比を有する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記少なくとも1つのゼオライトは、2以上のゼオライトを含む、請求項1から24の何れか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記少なくとも1つのゼオライトは、2以上のゼオライトYを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記合成ゲルは、実質的にアルカリ金属を含まない、請求項1から26の何れか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記アルカリ金属は、Naである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記合成ゲルは、以下のモル組成比:
約12から約500のSiO2/Al2O3、
約3から約125のSDA2O/Al2O3、
約30から約7500のH2O/Al2O3、
約0.4から約0.6のOH-/SiO2及び/又は
約0.4から約0.6のF-/SiO2
のうちの一又は複数を有する、請求項1から28の何れか一項に記載の方法。
【請求項30】
合成は、シーディングされたアルミノケイ酸塩ゼオライト結晶の非存在下で行われる、請求項1から29の何れか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記合成ゲルは、第二のSDAをさらに含む、請求項1から30の何れか一項に記載の方法。
【請求項32】
第二のSDAカチオンは、テトラメチルアンモニウムである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
反応工程は、約120から約180℃の温度で、約1から約15日間行われる、請求項1から32の何れか一項に記載の方法。
【請求項34】
反応工程は、約11未満のpHで行われる、請求項1から33の何れか一項に記載の方法。
【請求項35】
V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、W、Re、Os、Ir、Pt及びAuから選択される金属を担持する、請求項1から34の何れか一項に記載の方法によって得られるアルミノケイ酸塩ゼオライトを含む、排気ガスを処理するための触媒。
【請求項36】
前記金属は、Fe及びCuから選択される、請求項35に記載の触媒。
【請求項37】
前記金属は、Pt、Ru及びPdから選択される、請求項35に記載の触媒。
【請求項38】
NOxを含有する排気ガス流を、請求項35から37の何れか一項に記載の触媒に接触させることを含む、NOxを貯蔵する方法。
【請求項39】
NOxを含有する排気ガス流を、請求項35から37の何れか一項に記載の触媒に接触させることを含む、NOxを選択的に還元させる方法。
【請求項40】
排気ガスの成分を酸化させる方法であって、前記成分を含有する排気ガス流を、請求項35から37の何れか一項に記載の触媒に接触させることを含み、前記成分は、CO、炭化水素及びNH3から選択される、方法。
【請求項41】
ウォールフロー型ハニカムフィルタ及びフロースルー型ハニカム基材から選択される基材上に支持されているか、又はウォールフロー型ハニカムフィルタ及びフロースルー型ハニカム基材から選択される基材中に埋め込まれている請求項35から37の何れか一項に記載の触媒を含む触媒製品。
【請求項42】
少なくとも約90%純相のITW骨格、及び約140未満のシリカ対アルミナ比を含むアルミノケイ酸塩ゼオライト。
【請求項43】
約60から約140のシリカ対アルミナ比を有する、請求項42に記載のアルミノケイ酸塩ゼオライト。
【請求項44】
約0.5μmから約5μmの平均結晶サイズを有する、請求項42又は43に記載のアルミノケイ酸塩ゼオライト。
【請求項45】
少なくとも約95%純相のITW骨格を含む、請求項42から44の何れか一項に記載のアルミノケイ酸塩ゼオライト。
【請求項46】
少なくとも約97%純相のITW骨格を含む、請求項42から45の何れか一項に記載のアルミノケイ酸塩ゼオライト。
【請求項47】
アルカリ金属を実質的に含まない、請求項42から46の何れか一項に記載のアルミノケイ酸塩ゼオライト。
【請求項48】
少なくとも約90%純相のSTW骨格、及び約100未満のシリカ対アルミナ比を含むアルミノケイ酸塩ゼオライト。
【請求項49】
約80から約100のシリカ対アルミナ比を有する、請求項48に記載のアルミノケイ酸塩ゼオライト。
【請求項50】
約0.5μmから約5μmの平均結晶サイズを有する、請求項48又は49に記載のアルミノケイ酸塩ゼオライト。
【請求項51】
少なくとも約95%純相のSTW骨格を含む、請求項48から50の何れか一項に記載のアルミノケイ酸塩ゼオライト。
【請求項52】
少なくとも約97%純相のSTW骨格を含む、請求項48から51の何れか一項に記載のアルミノケイ酸塩ゼオライト。
【請求項53】
アルカリ金属を実質的に含まない、請求項48から52の何れか一項に記載のアルミノケイ酸塩ゼオライト。
【請求項54】
少なくとも約90%純相のCHA骨格を含むアルミノケイ酸塩ゼオライトであって、
図10のFT-IRスペクトルを有する、アルミノケイ酸塩ゼオライト。
【請求項55】
少なくとも約90%純相のCHA骨格を含むアルミノケイ酸塩ゼオライトであって、前記アルミノケイ酸塩ゼオライトの振動数約3730cm-1と約1870cm-1の間の強度比は、そのFT-IRスペクトルによると、約5未満である、アルミノケイ酸塩ゼオライト。
【請求項56】
前記アルミノケイ酸塩ゼオライトの振動数約3730cm-1と約1870cm-1の間の強度比の範囲は、約1:10から約5:1である、請求項55に記載のアルミノケイ酸塩ゼオライト。
【請求項57】
約3μm未満の平均結晶サイズを有する、請求項55又は56に記載のアルミノケイ酸塩ゼオライト。
【請求項58】
約20から約500のSARを有する、請求項55から57の何れか一項に記載のアルミノケイ酸塩ゼオライト。
【請求項59】
少なくとも約95%純相のCHA骨格を含む、請求項55から58の何れか一項に記載のアルミノケイ酸塩ゼオライト。
【請求項60】
アルカリ金属を実質的に含まない、請求項55から59の何れか一項に記載のアルミノケイ酸塩ゼオライト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願とのクロスリファレンス
本出願は、2016年9月30日に出願された米国仮出願第62/402698号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、ゼオライトを合成する方法、及び燃焼排気ガスを処理するための触媒としてのそのようなゼオライトの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
ゼオライトは、アルミナケージ及びシリカケージから構成される特有の格子骨格を有するモレキュラーシーブである。国際ゼオライト学会(IZA:Internal Zeolite Association)は、特有の骨格型それぞれに、MOR、CHA又はBEAといった3文字のコードを割り当てている。
【0004】
通常、ゼオライト結晶の合成は、有機テンプレート(構造指向剤又はSDAとも称され、同様にSDAカチオンは、SDA+と称され得る)の存在下、高温で数日間、アルミナ及びシリカを反応させることを必要とする。結晶化の間、アルミナとシリカは相互に結合し、SDAの周囲に結晶構造を形成する。反応物、反応条件及びSDA種は、何れも合成される種類及び骨格型に影響を及ぼす。結晶化が十分に起きると、結晶は、母液から取り除かれ、乾燥させられる。結晶が母液から分離された後、有機SDAは熱分解されて結晶構造から除去され、結果として多孔質のモレキュラーシーブが残る。
【0005】
ゼオライトは、燃焼排気ガス中のNOxの選択的還元といった、様々な工業工程のための触媒として有用である。ゼオライトベータ及びZSM-5といったゼオライトの一部は、これらの種の用途に特に有用であるとして認識されている。さらにゼオライト触媒は、炭化水素の分解及び改質に有用であるとして認識されている。
【0006】
典型的なゼオライトは、アルカリ金属(例えば、Na及びK)の存在下で合成される。しかし、アルカリ金属(例えば、Na)の存在は、最終生成物中に様々な不純物をもたらし得る。例えば、Na+の存在下でAFXゼオライトを合成する場合、モルデナイトゼオライトが最終生成物中の不純物となり得る。また、これらの不純物は、結晶形態に影響を及ぼし得る場合があり、かつ/又は棒状結晶を含み得る。
【0007】
さらに、商業化された水酸化物経路は、核生成及び所望される骨格の成長を促進するため、アルミナ源として犠牲ゼオライトの使用を必要としていることが多い。最終組成物中に存在するアルミナの一部又は全てに、ゼオタイプFAUが使用されることが多い。FAUの低い密度は、成長ゲル中でFAUが急速に溶解又はより高い密度の骨格型へ転換することを可能にする。しかし、これらのFAUアプローチの限界は、生成物の到達可能な最大シリカ対アルミナモル比(SAR)であることが多い。このSARは、合成中に分解され得るFAU材料の最大SARに直接起因することが多い。さらに、本工程中に形成される結晶は小さいことが多く、代わりにこれらの結晶の大きな凝集体が見られる。したがって、純相ゼオライトを製造する、新規の改良された合成法が依然として必要とされる。
【発明の概要】
【0008】
集中的な調査及び研究を通し、発明者らは、新規ゼオライト合成技術を見出した。したがって、本開示の一態様は、少なくとも1つのゼオライト、フッ化物源、構造指向剤、及び任意選択的な追加のシリカ源を含む合成ゲルを、少なくとも約100℃の温度で、所望される骨格形態を有するゼオライトの結晶が形成するまで反応させることを含む、アルミノケイ酸塩ゼオライトを製造する方法に関する。合成ゲル中のゼオライトは、小細孔骨格を有する金属促進アルミノケイ酸塩ゼオライト触媒の合成における、シリカ及びアルミナの両方の供給源である。
【0009】
本開示の別の態様は、少なくとも約90%純相のSTW骨格、及び約100未満のシリカ対アルミナモル比(SAR)を含むアルミノケイ酸塩ゼオライトに関する。
【0010】
本開示の別の態様は、少なくとも約90%純相のITW骨格、及び約140未満のシリカ対アルミナモル比(SAR)を含むアルミノケイ酸塩ゼオライトに関する。
【0011】
本開示の別の態様は、少なくとも約90%純相のCHA骨格を含むアルミノケイ酸塩ゼオライトであって、当該アルミノケイ酸塩ゼオライトの振動数約3730cm-1と約1870cm-1の間の強度比は、そのFT-IRスペクトルによると、約5未満である、アルミノケイ酸塩ゼオライトに関する。
【0012】
また、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、W、Re、Os、Ir、Pt及びAuから選択される金属を担持する純相アルミノケイ酸塩ゼオライトを含む、排気ガスを処理するための触媒が提供される。
【0013】
そのような触媒を使用し、例えばNOxを選択的に還元させることによって、NOxを貯蔵することによって、又はCO、炭化水素及びNH3のうちの一又は複数を酸化させることによって排気ガスを処理するための方法も提供される。そのような触媒は、好ましくはウォールフロー型フィルタ又はハニカムフロースルー型支持体上に支持される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る純相CHAゼオライトのXRDパターンである。
【
図2A】本発明に係る純相CHAゼオライトのSEM画像である。
【
図2B】対照CHAゼオライトのSEM画像である。
【
図3】実施例4で調製された純相MFIゼオライトのXRDパターンである。
【
図4】実施例5で調製された純相BEAゼオライトのXRDパターンである。
【
図5】実施例5で調製された純相BEAゼオライトのSEM画像である。
【
図6】実施例6で調製された純相ITWゼオライトのXRDパターンである。
【
図7】実施例6で調製された純相ITWゼオライトのSEM画像である。
【
図8】実施例7で調製された純相STWゼオライトのXRDパターンである。
【
図9】実施例7で調製された純相STWゼオライトのSEM画像である。
【
図10】実施例2aで調製された純相CHAゼオライトのFT-IR画像である。
【
図11】対照CHAゼオライトとして用いられる純相CHAゼオライトのFT-IR画像の比較である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の一態様は、少なくとも1つのゼオライト、フッ化物源、構造指向剤、及び任意選択的な追加のシリカ源を含む合成ゲルを、少なくとも100℃の温度で、所望される骨格形態を有するゼオライトの結晶が形成するまで反応させることを含む、アルミノケイ酸塩ゼオライトを製造する方法に関する。
【0016】
「ゼオライト」という用語は、主としてアルミナ部分及びシリカ部分から構成される骨格を有するアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブを意味し、したがってSAPO、AlPO等といった他のアイソタイプを含まない。
【0017】
適切なシリカ源の例として、Cabosil M5といったシリカ粉末、及びオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)といったケイ酸テトラアルキルが挙げられるがこれらに限定されない。
【0018】
適切なフッ化物源の例として、HF、NH4F、NaF、KF又はそれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されない。
【0019】
本方法によって製造されるゼオライト結晶は、少なくとも約90%純相であり得る。
【0020】
本明細書において、ゼオライト骨格に関連して用いられる「パーセント」という用語は、
結晶化度パーセント=I結晶質/(I結晶質+I非晶質)(I=強度)
を意味する。
【0021】
不純物は、非晶質、異なる結晶相、又は異なる骨格型(例えば、未溶解フォージャサイト(FAU)、MFI、ITE、AST及び/又はMTF)であり得る。
【0022】
アルミノケイ酸塩ゼオライトは、少なくとも約95パーセント、又は少なくとも約97パーセントもの骨格を含有し得る。アルミノケイ酸塩ゼオライトは、他の結晶相を実質的に含まなくてもよく、通常2以上の骨格型の連晶でない。本明細書で用いられる、「実質的に含まない」という表現は、ゼオライトが、指定の骨格不純物を約10、8、6、4、2又は1パーセント未満含有するか、又はあらゆる不純物がないことを意味する。
【0023】
ゼオライト結晶は、少なくとも約20、22、25又は30のシリカ対アルミナモル比(SAR)を有し得る。
【0024】
反応工程は、約11、約10又は約9未満のpHで行われ得る。反応工程は、約5から約10、又はより好ましくは約6から約9、若しくは約6から約8のpH範囲の下で行われ得る。
【0025】
所望される骨格を有するゼオライトは、小細孔ゼオライト、中細孔ゼオライト及び大細孔ゼオライトからなる群から選択され得る。
【0026】
本明細書で用いられる、「大細孔」という用語は、環の大きさが最大で少なくとも12個の四面体原子である骨格を意味し、「中細孔」は、環の大きさが最大で少なくとも10個の四面体原子である骨格を意味し、「小細孔」という用語は、環の大きさが最大で少なくとも8個の四面体原子である骨格を意味する。
【0027】
本明細書に記載される方法によって製造されるゼオライトは、小細孔ゼオライトであり得る。適切な小細孔ゼオライトの例として、AFX、AEI、CHA、LTA、ITW、RTH、LEV、SFW、STT又はIHWが挙げられるがこれらに限定されない。好ましくは、小細孔ゼオライトは、AFX、AEI、CHA、LTA、ITW、RTH、SFW及びIHWからなる群から選択される。より好ましくは、小細孔ゼオライトは、AFX、AEI及びCHAからなる群から選択される。小細孔ゼオライトは、AFXであり得る。小細孔ゼオライトは、AEIであり得る。小細孔ゼオライトは、CHAであり得る。
【0028】
本明細書で用いられる、「AFX」という用語は、国際ゼオライト学会(IZA)構造委員会によって認められるAFX骨格型を意味する。「AEI」という用語は、IZA構造委員会によって認められるAEI骨格型を意味する。「CHA」という用語は、IZA構造委員会によって認められるCHA骨格型を意味する。
【0029】
小細孔ゼオライトの結晶は、約5μm未満の平均結晶サイズを有し得る。通常、小細孔ゼオライトの結晶は、約0.5μmから約5μmの平均結晶サイズを有する。
【0030】
結晶サイズは、個々の結晶(双晶を含む)に基づき、結晶の凝集体を含まない。結晶サイズは、三次元結晶の最も長い対角線の長さである。走査型電子顕微鏡(SEM)又は透過型電子顕微鏡(TEM)といった顕微鏡観察法を用いて結晶サイズを直接測定することができる。例えば、SEMによる測定は、高倍率(通常×1000から×10,000)で材料の形態を観察することを必要とする。SEM法は、個々の粒子が、×1000から×10,000の倍率において視野全体に適度に均一に広がるよう、ゼオライト粉末を代表的する一部分を適切なスライド上に分散させることによって行われ得る。この母集団から、統計的に有意な試料の個々の結晶(例えば、50-200個)を無作為に観察し、個々の結晶の最も長い対角線を測定して記録する。(明らかに大きな多結晶性凝集体である粒子は、この測定に含めるべきではない。)これらの測定に基づき、試料の結晶サイズの算術平均が計算される。
【0031】
CHAの結晶は、約1μm、0.9μm、0.8μm、0.7μm、0.6μm又は0.5μm未満の平均結晶サイズを有し得る。或いはCHAの結晶は、約50nmから約500nm、約50nmから約300nm又は約50nmから約200nmの平均結晶サイズを有し得る。
【0032】
小細孔ゼオライト結晶は、約20から約500のSARを有し得る。CHA結晶は、約22から約500のSARを有し得る。ITW結晶は、約60から約500のSARを有し得る。AFX結晶は、約15から約50、約20から約50、又は約15から約40のSARを有し得る。LTA結晶は、約30から約500のSARを有し得る。RTH結晶は、約15から約40のSARを有し得る。
【0033】
好ましくは、小細孔ゼオライトは、有機SDAを用いて調製され得る。適切な有機SDAカチオンの例として、1,3-ビス(1-アダマンチル)イミダゾリウム、N,N-ジエチル-cis-2,6-ジメチルピペリジウム、ペンタメチルイミダゾリウム、1,2-ジメチル-3-(4-メチルベンジル)イミダゾリウム、1,2,3-トリメチルイミダゾリウム、N,N,N-1-トリメチルアダマントアンモニウム、N,N,N-ジメチルエチルシクロヘキシルアンモニウム又はそれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されない。好ましくは、SDAカチオンは、1,3-ビス(1-アダマンチル)イミダゾリウム、N,N-ジエチル-cis-2,6-ジメチルピペリジウム、N,N,N-1-トリメチルアダマントアンモニウム及びN,N,N-ジメチルエチルシクロヘキシルアンモニウムからなる群から選択される。SDAカチオンは、1,3-ビス(1-アダマンチル)イミダゾリウムであり得る。SDAは、N,N-ジエチル-cis-2,6-ジメチルピペリジウムであり得る。SDAカチオンは、N,N,N-1-トリメチルアダマントアンモニウム、N,N,N-ジメチルエチルシクロヘキシルアンモニウム又はそれらの組合せであり得る。
【0034】
通常、本開示のSDAカチオンは、ゼオライトの形成に害を及ぼさない任意のアニオンであり得るアニオンと会合する。代表的なアニオンとして、周期表の第17族の元素(例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン及びヨウ化物イオン)、水酸化物イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、カルボン酸イオン等が挙げられる。
【0035】
本明細書に記載される合成方法によって製造されるゼオライトは、中細孔ゼオライトであり得る。適切な中細孔ゼオライトの例として、MFI、STW、MWW、ITH又はMELが挙げられるがこれらに限定されない。
【0036】
中細孔ゼオライトの結晶は、約5μm未満の平均結晶サイズを有し得る。通常、中細孔ゼオライトの結晶は、約0.5μmから約5μmの平均結晶サイズを有する。
【0037】
中細孔ゼオライト結晶は、約20から約500のSARを有し得る。MFI結晶は、約25から約500のSARを有し得る。STW結晶は、約100から約500のSARを有し得る。
【0038】
好ましくは、中細孔ゼオライトは、有機SDAを用いて調製され得る。適切な有機SDAカチオンの例として、テトラプロピルアンモニウム、2-エチル-1,3,4-トリメチルイミダゾリウム、トリメチルアダマントアンモニウム、ヘキサメチレンイミン、ヘキサメトニウム、テトラブチルアンモニウム又はそれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されない。SDAカチオンは、テトラプロピルアンモニウムであり得る。SDAカチオンは、2-エチル-1,3,4-トリメチルイミダゾリウムであり得る。SDAカチオンは、トリメチルアダマントアンモニウム、ヘキサメチレンイミン又はそれらの組合せであり得る。SDAカチオンは、ヘキサメトニウムであり得る。SDAカチオンは、テトラブチルアンモニウムであり得る。
【0039】
本明細書に記載される合成方法によって製造されるゼオライトは、大細孔ゼオライトであり得る。適切な大細孔ゼオライトの例として、BEA、ISVが挙げられるがこれらに限定されない。好ましくは、大細孔ゼオライトは、BEAである。
【0040】
大細孔ゼオライトの結晶は、約5μm未満の平均結晶サイズを有し得る。通常、大細孔ゼオライトの結晶は、約0.5μmから約5μmの平均結晶サイズを有する。
【0041】
大細孔ゼオライト結晶は、約20から約500のSARを有し得る。
【0042】
好ましくは、大細孔ゼオライトは、有機SDAを用いて調製され得る。適切な有機SDAカチオンの例として、テトラエチルアンモニウム、1,3,3-トリメチル-6-アゾニウムトリシクロ[3.2.1.46,6]ドデカン又はそれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されない。通常、SDAカチオンは、テトラエチルアンモニウムである。又は、SDAカチオンは、1,3,3-トリメチル-6-アゾニウムトリシクロ[3.2.1.46,6]ドデカンである。
【0043】
SDA、少なくとも1つのゼオライト、及び任意選択的な追加のシリカ源は、合成ゲルとして調製されるよう混合され得る。少なくとも1つのゼオライトは、アンモニウム型ゼオライト又は水素型ゼオライト(例えば、NH4型ゼオライトY、H型ゼオライトY)であり得る。少なくとも1つのゼオライトの例として、ゼオライトY(例えば、CBV712、CBV720、CBV760、CBV780、HSZ-HUA385及びHSZ-HUA390)が挙げられるがこれらに限定されない。好ましくは、少なくとも1つのゼオライトは、ゼオライトYである。より好ましくは、ゼオライトYは、約12から約500のSARを有する。
【0044】
少なくとも1つのゼオライトは、アルミノケイ酸塩ゼオライトよりも低い骨格密度を有し得る。骨格密度は、T原子の個数/1000Å3と定義される。
【0045】
少なくとも1つのゼオライトのみが、アルミノケイ酸塩ゼオライトを形成するシリカ及びアルミニウムの供給源でもあってもよい。
【0046】
少なくとも1つのゼオライトは、2以上のゼオライトで構成され得る。通常、2以上のゼオライトは、異なるシリカ対アルミナモル比を有するゼオライトYである。
【0047】
前述の合成方法の合成ゲルは、アルカリ金属を実質的に含まなくてもよい。通常、合成ゲルは、約4、3、2又は1%未満のアルカリ金属を含む。好ましくは、アルカリ金属は、Naである。別段の指定がない限り、本明細書で使用される全ての組成百分率は、スラリーではなく乾燥粉末の重量に基づく。
【0048】
SARは、出発合成ゲルではなく、合成されたゼオライト結晶に基づく。ゼオライトのシリカ対アルミナ比は、従来の分析によって決定される。この比は、ゼオライト結晶の剛直な原子骨格中の比を可能な限り近似して表すよう、かつバインダ中又はチャネル内のカチオン形態若しくは他の形態のケイ素又はアルミニウムを除外するよう意図される。バインダ材料、特にアルミナバインダと混合された後にゼオライトのシリカ対アルミナ比を直接測定することは難しいため、これらのシリカ対アルミナ比は、ゼオライト自体(すなわちゼオライトと他の触媒成分を混合する前)のSARとして表される。
【0049】
骨格に対する選択性を向上させるため、及び/又は結晶化工程を短縮するため、反応混合物は、所望される骨格を有する結晶でシーディングされ得る。所望される骨格を有する結晶は、反応混合物から自発的に核生成させることもできる。又は、合成は、所望される骨格を有する種結晶の非存在下で行われる。
【0050】
前述の合成方法の合成ゲルは、第二の構造指向剤をさらに含み得る。適切な第二のSDAカチオンの例として、テトラメチルアンモニウム、N,N,N-ジメチルエチルシクロヘキシルアンモニウム、イソプロピルアミン又はトリメチルアミンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0051】
前述の合成方法の合成ゲルは、少なくとも約3のSDA2O/SiO2モル比を有し得る。好ましくは、合成ゲルは、以下のモル組成比:
約12から約500のSiO2/Al2O3、
約3から約125のSDA2O/Al2O3、
約30から約7500のH2O/Al2O3、
約0.4から約0.6のOH-/SiO2及び/又は
約0.4から約0.6のF-/SiO2
のうちの一又は複数を有し得る。
【0052】
上記合成ゲルのOH-/SiO2モル比は、約0.45から約0.6、又は約0.5でもあり得る。
【0053】
上記合成ゲルのF-/SiO2モル比は、約0.45から約0.6、又は約0.5でもあり得る。
【0054】
合成ゲルは、ゼオライト結晶を形成するのに十分な時間、100℃を超える温度、例えば約120から約180℃、又は約140から約160℃まで加熱される。水熱結晶化工程は、通常加圧下で、例えばオートクレーブ中等で、好ましくは自発生圧力下で行われる。反応混合物は、結晶形成中、攪拌され得る。反応時間は、通常約1から約15日間、例えば約4から約8日間である。
【0055】
所望される骨格の結晶が形成され次第、固体生成物は、ろ過といった標準的な機械的分離技術によって母液から分離され得る。回収された固体生成物は、次いで洗浄され、乾燥させられ得る。SDAを除去するために結晶は熱処理され得、その結果アルミノケイ酸塩ゼオライト生成物がもたらされる。アルミノケイ酸塩ゼオライト結晶は、さらに焼成され得る。
【0056】
本開示の別の態様は、少なくとも約90%純相のITW骨格、及び約140未満のシリカ対アルミナモル比(SAR)を含むアルミノケイ酸塩ゼオライトに関する。
【0057】
アルミノケイ酸塩ゼオライトは、約60から約140のSARを有し得る。アルミノケイ酸塩ゼオライトは、0.5μmから約5μmの平均結晶サイズも有し得る。
【0058】
アルミノケイ酸塩ゼオライトは、少なくとも約95%又は約97%純相のITW骨格を含み得る。アルミノケイ酸塩ゼオライトは、アルカリ金属を実質的に含まなくてもよい。
【0059】
本開示の別の態様は、少なくとも約90%純相のSTW骨格、及び約100未満のシリカ対アルミナモル比(SAR)を含むアルミノケイ酸塩ゼオライトに関する。
【0060】
アルミノケイ酸塩ゼオライトは、約80から約100のSARを有し得る。
【0061】
アルミノケイ酸塩ゼオライトは、0.5μmから約5μmの平均結晶サイズを有し得る。
【0062】
アルミノケイ酸塩ゼオライトは、少なくとも約95%又は約97%純相のSTW骨格を含み得る。アルミノケイ酸塩ゼオライトは、アルカリ金属を実質的に含まなくてもよい。
【0063】
本開示の別の態様は、少なくとも約90%純相のCHA骨格を含み、
図10のFT-IRスペクトルを有するアルミノケイ酸塩ゼオライトに関する。
【0064】
図10に示されるように、CHAは、約3700-3730cm
-1に孤立シラノール基(内部及び外部表面)の振動モードに起因するピークを有する。これらのシラノール基は、場合によりシラノール欠陥と称され、触媒の水熱安定性低下、及び触媒不活化(例えば、メタノールからのオレフィン生産(MTO:methanol to olefin)反応のより速い不活化、特にグルコースの異性化といった水溶液反応における触媒活性の著しい低下等)の原因となり得る。
【0065】
比較において、1870cm
-1における骨格振動倍音を用いてCHAのIRスペクトル(SAR~60、実施例2a)及びCHA(SAR~65、アルカリ媒体中で調製)を規格化した(
図11参照)。次いで、2つの試料の3700-3730cm
-1におけるSi-OHピーク面積を算出し、~1/5のSi-OH(CHA、実施例2a)/Si-OH(CHA、OH
-媒体)比が得られた。本発明のCHAゼオライトは、アルカリ媒体中で調製された対照CHAと比較し、著しく少ない(例えば、2-10倍少ない)シラノール欠陥を有する。
【0066】
本開示のさらに別の態様は、少なくとも約90%純相のCHA骨格を含むアルミノケイ酸塩ゼオライトであって、アルミノケイ酸塩ゼオライトの振動数約3730cm-1と約1870cm-1の間の強度比は、そのFT-IRスペクトルによると、約5未満である、アルミノケイ酸塩ゼオライトに関する。
【0067】
アルミノケイ酸塩ゼオライトの振動数約3730cm-1と約1870cm-1の間の強度比は、そのFT-IRスペクトルによると、約4、3、2又は1未満であり得る。
【0068】
アルミノケイ酸塩ゼオライトの振動数約3730cm-1と約1870cm-1の間の強度比の範囲は、約1:10から約5:1、約1:5から約4:1、又は約1:2から約2:1でもあり得る。
【0069】
アルミノケイ酸塩ゼオライトは、約3μm、約2μm又は約1μm未満の平均結晶サイズを有し得る。或いは、結晶は、約1μm、0.9μm、0.8μm、0.7μm、0.6μm若しくは0.5μm未満の平均結晶サイズを有し得、又は結晶は、約50nmから約500nm、約50nmから約300nm、若しくは約50nmから約200nmの平均結晶サイズを有し得る。
【0070】
アルミノケイ酸塩ゼオライトは、約20から約500、又は約22から約500のSARを有し得る。
【0071】
アルミノケイ酸塩ゼオライトは、少なくとも約95%又は約97%純相の骨格(例えばAFX、AEI、CHA、LTA、ITW、RTH、LEV、STT、SFW、IHW、MFI、STW、MWW、ITH、MEL、BEA又はISV等)を含み得る。
【0072】
さらにアルミノケイ酸塩ゼオライトは、アルカリ金属を実質的に含まなくてもよい。
【0073】
アルミノケイ酸(例えば、CHA、LTA、RTH、ITW、AEI、AFX)ゼオライトは、燃焼排気ガスの処理、炭化水素分解、及びMTO転換又はメタノールへのメタンの転換といった様々な工程のための触媒として使用され得る。処理可能な排気ガスとして、ディーゼルエンジン、ガスタービン、発電所、リーンバーンガソリンエンジン、並びにメタノール及びCNG等といった代替燃料を燃焼させるエンジンからの排気といったリーンバーン燃焼によって生じるものが挙げられる。他の処理可能な排気ガスとして、ガソリンエンジンといったリッチバーンエンジンによって生じるものが挙げられる。アルミノケイ酸塩ゼオライトは、水の処理及び/又は精製といった他の化学工程においても使用され得る。
【0074】
炭化水素分解のための触媒は、前述の合成法から得られるか又は得られた純相アルミノケイ酸塩ゼオライトを含み得る。
【0075】
MTO転換のための触媒は、前述の合成法から得られるか又は得られた純相アルミノケイ酸塩ゼオライトを含み得る。
【0076】
メタンをメタノールへ転換するための触媒は、前述の合成法から得られるか又は得られた純相アルミノケイ酸塩ゼオライトを含み得る。
【0077】
水の処理及び/又は精製ための触媒は、前述の合成法から得られるか又は得られた純相アルミノケイ酸塩ゼオライトを含み得る。
【0078】
前述の工程を目的として、アルミノケイ酸塩ゼオライトは、好ましくは不均一触媒反応系(すなわち、気体反応物と接触する固体触媒)で使用される。接触表面積、機械的安定性及び/又は流体特性を向上させるため、触媒は、多孔質基材といった表面積の大きな基材上及び/又は内に配置され得る。
【0079】
通常、波形金属板、ペレット、フロースルー型ハニカムコーディエライト若しくはチタン酸アルミニウム(AT)ブリック)、又はハニカムウォールフロー型フィルタといった不活性基材に触媒を含有するウォッシュコートを塗布する。又は、触媒は、フィラー、バインダ及び補強剤といった他の成分と共に、押出可能なペーストに混錬され得、ペーストは、次いでダイスを通して押し出され、ハニカムブリックを形成する。
【0080】
したがって、本発明は、基材上を被覆する及び/又は基材中に組み込まれる本明細書に記載される金属促進AEIゼオライト触媒を含む触媒製品も提供する。
【0081】
本発明に係る小細孔(例えば、CHA、LTA、RTH、ITW、AEI、AFX)ゼオライトがプロモータ金属と組み合わせて使用される場合。プロモータ金属は、広く解釈されるべきであり、具体的には、銅、ニッケル、亜鉛、鉄、タングステン、モリブデン、コバルト、チタン、ジルコニウム、マンガン、クロム、バナジウム、ニオブだけでなく、錫、ビスマス及びアンチモン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、インジウム、白金といった白金族金属、並びに金及び銀といった貴金属が例として挙げられる。好ましい遷移金属は卑金属であり、好ましい卑金属として、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル及び銅、並びにそれらの組合せからなる群から選択されるものが挙げられる。好ましくは、プロモータ金属の少なくとも1つは銅である。他の好ましいプロモータ金属として、鉄、特に銅との組合せが挙げられる。炭化水素の転換、及び排気ガス中のNOxの選択的還元のための好ましい金属として、Cu及びFeが挙げられる。CO、炭化水素及び/又はアンモニアの酸化に特に有用な金属は、Pt及びPdである。
【0082】
好ましくは、小細孔(例えば、CHA、LTA、RTH、ITW、AEI、AFX)ゼオライトと組み合わせて使用される金属は、ゼオライト材料の上及び/又は中に骨格外金属として配置されるプロモータ金属である。本明細書で用いられる「骨格外金属」という用語は、好ましくはイオン種として、モレキュラーシーブ内、及び/又はモレキュラーシーブ表面の少なくとも一部の上に存在するものであり、アルミニウムを含まず、モレキュラーシーブの骨格を構成する原子を含まない。好ましくは、プロモータ金属(複数可)の存在は、NOxの還元、NH3の酸化及びNOxの貯蔵といった工程が例として挙げられる、ディーゼルエンジンからの排気ガスといった排気ガスの処理を促進する。
【0083】
プロモータ金属は、ゼオライトの総重量(SDAを除く)に基づき約0.1から約10重量パーセント(wt%)、例えば約0.5wt%から約5wt%、約0.5から約1wt%、約1から約5wt%、約2.5wt%から約3.5wt%の濃度でゼオライト材料中に存在し得る。プロモータ金属が銅、鉄又はそれらの組合せである場合、ゼオライト材料中のこれらの遷移金属の濃度は、好ましくは約1から約5重量パーセント、より好ましくは約2.5から約3.5重量パーセントである。
【0084】
プロモータ金属は、ゼオライト中のアルミニウム(すなわち、骨格アルミニウム)の量に対し相対的な量で存在し得る。本明細書で用いられるプロモータ金属:アルミニウム(M:Al)比は、対応するゼオライト中の分子骨格Alに対するプロモータ金属の相対モル量に基づく。触媒材料は、通常約1:10から約1:1、好ましくは約1:5から約1:2のM:Al比を有する。Mが銅である場合、より具体的にはMが銅であり、かつゼオライトのSARが約20から約25である場合、約1:5から約1:2のM:Al比が特に有用である。
【0085】
好ましくは、Cuは、合成中又は合成後に、例えばイオン交換又は含浸によって組み込まれる。一例において、金属交換されたゼオライトは、イオン性銅混合物中で合成される。金属交換されたゼオライトは、次いで洗浄され、乾燥させられ、かつ焼成され得る。
【0086】
一般的に、触媒金属カチオンの、モレキュラーシーブ中への、又はモレキュラーシーブ上でのイオン交換は、室温、又は最大で約80℃の温度で、約1から約24時間の期間、約3から約7のpHで行われ得る。結果として得られる触媒モレキュラーシーブ材料は、好ましくは約80から約120℃で、一晩乾燥させられ、少なくとも約500℃の温度で焼成される。
【0087】
触媒組成物は、少なくとも1つのプロモータ金属と少なくとも1つのアルカリ又はアルカリ土類金属の組合せを含み得、ここで遷移金属(複数可)、及びアルカリ又はアルカリ土類金属(複数可)は、ゼオライト材料の上又は中に配置される。アルカリ又はアルカリ土類金属は、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム又はそれらのいくつかの組合せから選択され得る。本明細書で用いられる、「アルカリ又はアルカリ土類金属」という表現は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属が択一的に使用されることを意味せず、代わりに一又は複数のアルカリ金属が単独で、又は一若しくは複数のアルカリ土類金属と組み合わされて使用され得ること、及び一又は複数のアルカリ土類金属が単独で、又は一若しくは複数のアルカリ金属と組み合わされて使用され得ることを意味する。通常、アルカリ金属が好ましい。又は、アルカリ土類金属が好ましい。好ましいアルカリ又はアルカリ土類金属として、カルシウム、カリウム及びそれらの組合せが挙げられる。
【0088】
触媒組成物は、マグネシウム及び/又はバリウムを本質的に含まなくてもよい。
【0089】
触媒は、カルシウム及びカリウムを除くあらゆるアルカリ又はアルカリ土類金属を本質的に含まなくてもよい。
【0090】
触媒は、カルシウムを除くあらゆるアルカリ又はアルカリ土類金属を本質的に含まなくてもよい。
【0091】
触媒は、カリウムを除くあらゆるアルカリ又はアルカリ土類金属を本質的に含まなくてもよい。
【0092】
本明細書で用いられる、金属に対する「本質的に含まない」という表現は、材料が特定の金属を多量に有さないことを意味する。すなわち、特定の金属は、材料の基本的な物理的及び/又は化学的性質に、特にNOxを選択的に還元又は貯蔵する材料の能力に関して影響を与える量で存在しない。
【0093】
ゼオライト材料が有し得る合成後アルカリ/アルカリ土類含有量は、3重量パーセント未満、より好ましくは1重量パーセント未満、さらに好ましくは約0.1重量パーセント未満である。ここで、合成後アルカリ含有量は、合成の結果としてゼオライト中に生じるアルカリ/アルカリ土類金属(すなわち、合成出発物質由来のアルカリ/アルカリ土類)の量を意味し、合成後に添加されるアルカリ/アルカリ土類金属を含まない。通常、アルカリ/アルカリ土類金属は、合成後に添加され得、プロモータ金属と共同して作用する。
【0094】
本発明の金属促進ゼオライト触媒は、相対的に多量のセリウム(Ce)も含有し得る。通常、触媒材料中のセリウム濃度は、ゼオライトの総重量に基づき、少なくとも約1重量パーセントの濃度で存在する。好ましい濃度の例として、ゼオライトの総重量に基づき、少なくとも約2.5重量パーセント、少なくとも約5重量パーセント、少なくとも約8重量パーセント、少なくとも約10重量パーセント、約1.35から約13.5重量パーセント、約2.7から約13.5重量パーセント、約2.7から約8.1重量パーセント、約2から約4重量パーセント、約2から約9.5重量パーセント、及び約5から約9.5重量パーセントが挙げられる。通常、触媒材料中のセリウム濃度は、約50から約550g/ft3である。Ceの他の範囲として、100g/ft3超、200g/ft3超、300g/ft3超、400g/ft3超、500g/ft3超、約75から約350g/ft3、約100から約300g/ft3、及び約100から約250g/ft3が挙げられる。
【0095】
本発明の特定の態様は、触媒ウォッシュコートを提供する。本明細書に記載される小細孔(例えば、CHA、LTA、RTH、ITW、AEI、AFX)ゼオライト触媒を含むウォッシュコートは、好ましくは溶液、懸濁液又はスラリーである。適切な被覆として、表面被覆、基材の一部に浸潤する被覆、基材に浸透する被覆、又はそれらのいくつかの組合せが挙げられる。
【0096】
一般的に、金属促進触媒を含有する固体押出体の製造は、小細孔(例えば、CHA、LTA、RTH、ITW、AEI、AFX)ゼオライト及びプロモータ金属(独立して、又は金属交換されたゼオライトとして合わせて)、バインダ、任意選択的な有機増粘化合物を、均質なペーストに配合することを必要とし、ペーストは、次いでバインダ/基質成分又はそれらの前駆体、及び任意選択的に一又は複数の安定化セリア、及び無機繊維に添加される。配合物は、混合若しくは混錬装置、又は押出機に詰められる。混合物は、湿潤性を高める加工助剤として、バインダ、細孔形成剤、可塑剤、界面活性剤、潤滑剤、分散剤といった有機添加剤を有し、その結果均質なバッチが製造される。結果として得られる塑性材料は、次いで、特に押出ダイスを含む押出プレス又は押出機を使用して成形され、結果として得られる成型品は、乾燥させられ、焼成される。有機添加剤は、固体押出体の焼成中に「焼失」する。金属促進小細孔(例えば、CHA、LTA、RTH、ITW、AEI、AFX)ゼオライト触媒は、固体押出体表面上に存在するか、又は固体押出体に全体若しくは部分的に浸透する一又は複数の副層として、固体押出体にウォッシュコーティングされ得るか、又はそうでなければ塗布され得る。又は、金属促進小細孔(例えば、CHA、LTA、RTH、ITW、AEI、AFX)ゼオライトは、押出前にペーストに添加され得る。
【0097】
一般的に、本発明に係る金属促進小細孔(例えば、CHA、LTA、RTH、ITW、AEI、AFX)ゼオライトを含有する固体押出体は、その第一の端部から第二の端部へ延びる均一な大きさの平行なチャネルを有するハニカム状の単一構造を含む。チャネルを規定するチャネル壁は、多孔質である。通常、固体押出体の複数のチャネルを外部「被膜」が包囲する。固体押出体は、円形、正方形又は楕円形といった所望される任意の断面で形成され得る。複数のチャネルの個々のチャネルは、正方形、三角形、六角形、円形等であり得る。チャネルは、上流の第一の端部で、例えば適切なセラミックセメントを用いて閉鎖され得、さらに上流の第一の端部で閉鎖されないチャネルは、下流の第二の端部で閉鎖され得、ウォールフロー型フィルタを形成する。通常、上流の第一の端部で閉鎖されるチャネルの配置は、下流の閉鎖及び開放チャネル端の類似する配置により市松模様に似る。
【0098】
好ましくは、バインダ/基質成分は、コーディエライト、窒化物、炭化物、ホウ化物、金属間化合物、アルミノケイ酸リチウム、スピネル、任意選択的にドープされたアルミナ、シリカ源、チタニア、ジルコニア、チタニア-ジルコニア、ジルコン及びそれらの任意の2以上の混合物からなる群から選択される。ペーストは、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維、ホウ素繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、シリカ-アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維及びセラミック繊維からなる群から選択される補強無機繊維を任意選択的に含有し得る。
【0099】
アルミナバインダ/基質成分は、好ましくはガンマアルミナであるが、あらゆる他の遷移アルミナ、すなわちアルファアルミナ、ベータアルミナ、カイアルミナ、イータアルミナ、ローアルミナ、カッパアルミナ、シータアルミナ、デルタアルミナ、ランタンベータアルミナ及びそのような遷移アルミナの任意の2以上の混合物であってもよい。アルミナの熱安定性を高めるよう、少なくとも1つの非アルミニウム元素がアルミナにドープされることが好ましい。適切なアルミナのドーパントとして、ケイ素、ジルコニウム、バリウム、ランタノイド及びそれらの任意の2以上の混合物が挙げられる。適切なランタノイドドーパントとして、La、Ce、Nd、Pr、Gd及びそれらの任意の2以上の混合物が挙げられる。
【0100】
シリカの供給源として、シリカゾル、石英、溶融若しくは非晶質シリカ、ケイ酸ナトリウム、非晶質アルミノケイ酸塩、アルコキシシラン、メチルフェニルシリコン樹脂といったシリコン樹脂バインダ、粘土、滑石又はそれらの任意の2以上の混合物を挙げることができる。この一覧のうち、シリカは、SiO2そのもの、長石、ムライト、シリカ-アルミナ、シリカ-マグネシア、シリカ-ジルコニア、シリカ-トリア、シリカ-ベリリア、シリカ-チタニア、三元シリカ-アルミナ-ジルコニア、三元シリカ-アルミナ-マグネシア、三元シリカ-マグネシア-ジルコニア、三元シリカ-アルミナ-トリア及びそれらの任意の2以上の混合物であり得る。
【0101】
好ましくは、金属促進小細孔(例えば、CHA、LTA、RTH、ITW、AEI、AFX)ゼオライトは、押し出された触媒体全体にわたって、好ましくは均一に分散する。
【0102】
上記の固体押出体の何れかをウォールフロー型フィルタにする場合、ウォールフロー型フィルタの空隙率は、30-80%、例えば40-70%等であり得る。空隙率及び細孔容積は、例えば水銀圧入法を用いて測定され得る。
【0103】
本明細書に記載される金属促進小細孔(例えば、CHA、LTA、RTH、ITW、AEI、AFX)触媒は、元素窒素(N2)及び水(H2O)を選択的に形成する、窒素酸化物と還元体(好ましくはアンモニア)の反応を促進することができる。通常、触媒は、還元体(すなわち、SCR触媒)による窒素酸化物の還元を優先するよう配合され得る。そのような還元体の例として、炭化水素(例えば、C3-C6炭化水素)、並びにアンモニア及びアンモニアヒドラジン又は任意の適切なアンモニア前駆体(例えば、尿素((NH2)2CO)、炭酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム若しくはギ酸アンモニウム等)といった窒素系還元体が挙げられる。
【0104】
本明細書に記載される金属促進小細孔(例えば、CHA、LTA、RTH、ITW、AEI、AFX)触媒は、アンモニアの酸化も促進することができる。触媒は、酸素によるアンモニア、特に通常SCR触媒の下流で接触する濃度のアンモニアの酸化を優先するよう配合され得る。金属促進小細孔(例えば、CHA、LTA、RTH、ITW、AEI、AFX)ゼオライト触媒は、アンモニア酸化触媒(AMOX)と共にアンモニアスリップ触媒(ASC)で使用され得る。通常、金属促進小細孔ゼオライト触媒は、酸化下層の上の最上層として配置され、ここで下層は、白金族金属(PGM)触媒又は非PGM触媒を含む。好ましくは、下層中の触媒成分は、アルミナが挙げられるがこれに限定されない高表面積支持体上に配置される。
【0105】
SCR及びAMOX操作は、連続して行われ得、ここで両工程は、本明細書に記載される金属促進小細孔(例えば、CHA、LTA、RTH、ITW、AEI、AFX)ゼオライトを含む触媒を利用し、SCR工程は、AMOX工程の上流で起きる。例えば、SCR触媒配合物はフィルタの入口側に配置され得、AMOX触媒配合物はフィルタの出口側に配置され得る。
【0106】
したがって、気体中のNOx化合物を還元、又はNH3を酸化させるための方法が提供され、方法は、気体中のNOx化合物及び/又はNH3濃度を低減させるのに十分な時間、NOx化合物を触媒還元するための本明細書に記載される触媒組成物に気体を接触させることを含む。通常、アンモニアスリップ触媒を有する触媒製品は、選択触媒還元(SCR)触媒の下流に配置される。アンモニアスリップ触媒は、選択触媒還元工程によって消費されない任意の窒素系還元体の少なくとも一部を酸化させる。通常、アンモニアスリップ触媒は、ウォールフロー型フィルタの出口側に配置され、SCR触媒は、フィルタの上流側に配置される。又は、アンモニアスリップ触媒は、フロースルー型基材の下流端に配置され、SCR触媒は、フロースルー型基材の上流端に配置される。アンモニアスリップ触媒及びSCR触媒は、排気システム内の別個の基材(ブリック)上に配置され得る。これらの別個のブリックは、互いに隣接して接触し得るか、又は特定の間隔で分離され得、ただし、これらの別個のブリックは互いに流体連通し、かつSCR触媒ブリックはアンモニアスリップ触媒ブリックの上流に配置される。
【0107】
SCR及び/又はAMOX工程は、少なくとも100℃の温度で行われ得る。工程は、約150℃から約750℃の温度で起こり得る。好ましくは、温度範囲は、約175から約550℃である。より好ましくは、温度範囲は、約175から約400℃である。又は、温度範囲は、約450から約900℃、好ましくは、約500から約750℃、約500から約650℃、約450から約550℃、若しくは約650から約850℃である。450℃を超える温度は、(例えば、フィルタ上流の排気システムに炭化水素を注入することによって)能動的に再生される(任意選択的に触媒作用を受ける)ディーゼル微粒子フィルタを含む排気システムを備える、大型及び小型車両用ディーゼルエンジン由来の排気ガスの処理に特に有用であり、ここで本発明で使用するためのゼオライト触媒は、フィルタの下流に位置する。
【0108】
本発明の別の態様によると、排気ガス中のNOx化合物を還元、及び/又はNH3を酸化させるための方法が提供され、方法は、還元剤の存在下で、気体中のNOx化合物濃度を低減させるのに十分な時間、本明細書に記載される触媒に排気ガスを接触させることを含む。これらの方法は、次の工程:(a)触媒フィルタ入口に接触する煤煙を集積及び/又は燃焼させること、(b)好ましくはNOx及び還元体の処理を伴う触媒工程を介在させることなく、SCRフィルタ内の触媒を接触させる前に、窒素系還元剤を排気ガス流に導入すること、(c)NOx吸蔵触媒又はリーンNOxトラップ上でNH3を発生させ、好ましくは下流のSCR反応における還元体としてそのようなNH3を使用すること、(d)排気ガス流をDOCに接触させ、炭化水素系可溶性有機成分(SOF)及び/又は一酸化炭素をCO2に酸化させ、かつ/又はNOをNO2に酸化させることであって、CO2及び/又はNO2は、次に、微粒子フィルタ内の粒子状物質を酸化させるため、及び/又は排気ガス中の粒子状物質(PM)を還元させるために使用され得ること、並びに(e)排気ガスを大気に排出する前、又は排気ガスがエンジンに流入/再流入する前に排気ガスが再循環ループを通過する前に、好ましくはSCR触媒の下流で、排気ガスをアンモニアスリップ触媒に接触させ、アンモニアの全てでないとしても大部分を酸化させることのうちの一又は複数をさらに含み得る。
【0109】
SCR工程で消費される窒素系還元体、特にNH3の全て又は少なくとも一部は、SCR触媒(例えば、ウォールフロー型フィルタ上に配置される本発明のSCR触媒)の上流に配置されるNOx吸蔵触媒(NAC)、リーンNOxトラップ(LNT)又はNOx貯蔵/還元触媒(NSRC)によって供給され得る。本発明に有用なNAC成分として、塩基性物質(例えば、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物及びそれらの組合せを含む、アルカリ金属、アルカリ土類金属又は希土類金属等)と貴金属(例えば、白金等)、及び任意選択的にロジウムといった還元触媒成分の複合触媒が挙げられる。NACに有用な塩基性物質の具体的な種類として、酸化セシウム、酸化カリウム、酸化マグネシウム、酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム及びそれらの組合せが挙げられる。好ましくは、貴金属は、例えば約20から約60g/ft3等、約10から約200g/ft3で存在する。又は、触媒の貴金属は、約40から約100グラム/ft3であり得る平均濃度によって特徴付けられる。
【0110】
特定の条件下において、周期的なリッチ再生事象中にNH3がNOx吸蔵触媒上で発生し得る。NOx吸蔵触媒の下流のSCR触媒は、システム全体のNOx還元効率を改善し得る。この複合システムにおいて、SCR触媒は、リッチ再生事象中にNAC触媒から放出されたNH3を貯蔵することができ、貯蔵されたNH3を利用し、通常のリーン運転条件中にNAC触媒をスリップするNOxの一部又は全てを選択的に還元する。
【0111】
本明細書に記載される排気ガスを処理するための方法は、例えば内燃機関(移動式であっても定置式であっても)、ガスタービン、及び石炭又は石油火力発電所から等の燃焼行程から生じる排気ガスに対して行われ得る。本方法は、精製といった工業工程から、精製装置用ヒータ及びボイラ、炉、化学加工工業、コークス炉、地方自治体の廃棄物処理施設及び焼却炉等からの気体の処理にも使用され得る。通常、本方法は、ディーゼルエンジン、リーンバーンガソリンエンジン、又は液化石油ガス若しくは天然ガスを動力とするエンジンといった自動車用リーンバーン内燃機関からの排気ガスを処理するために使用される。
【0112】
特定の態様において、本発明は、内燃機関(移動式であっても定置式であっても)、ガスタービン、及び石炭又は石油火力発電所等からといった燃焼行程によって発生する排気ガスを処理するためのシステムである。そのようなシステムは、本明細書に記載される金属促進小細孔(例えば、CHA、LTA、RTH、ITW、AEI、AFX)ゼオライト、及び排気ガスを処理するための少なくとも1つの追加の成分を含む触媒製品を含み、ここで触媒製品及び少なくとも1つの追加の成分は、合着単位として機能するよう設計される。
【0113】
本システムは、本明細書に記載される金属促進小細孔(例えば、CHA、LTA、RTH、ITW、AEI、AFX)ゼオライト、流れる排気ガスを導く導管、触媒製品の上流に配置される窒素系還元体源を含む触媒製品を含み得る。本システムは、ゼオライト触媒が、例えば100℃超、150℃超又は175℃超等で、所望される効率を上回ってNOxの還元に触媒作用を及ぼすことが可能であると判断された場合のみ、流れる排気ガス中へ窒素系還元体を計量供給するための制御装置を含み得る。窒素系還元体の計量は、NH3/NO1:1及びNH3/NO24:3で計算される理論上のアンモニアの60%から200%がSCR触媒に流入する排気ガス中に存在するよう調整され得る。
【0114】
本システムは、排気ガス中へ窒素系還元体を計量供給する位置より上流に位置し得る、排気ガス中の一酸化窒素を二酸化窒素へ酸化させるための酸化触媒(例えば、ディーゼル酸化触媒(DOC))を含み得る。酸化触媒は、例えば250℃から450℃の酸化触媒入口における排気ガス温度で、NO2に対するNOの体積比が約4:1から約1:3である、SCRゼオライト触媒に流入するガス流をもたらすよう構成される。酸化触媒は、フロースルー型モノリス基材上を被覆する、白金、パラジウム又はロジウムといった白金族金属(又は、これらのいくつかの組合せ)を少なくとも1つ含み得る。少なくとも1つの白金族金属は、白金、パラジウム、又は白金及びパラジウムの両方の組合せであり得る。白金族金属は、例えばアルミナ、アルミノケイ酸塩ゼオライトといったゼオライト、シリカ、非ゼオライトシリカアルミナ、セリア、ジルコニア、チタニア、又はセリア及びジルコニアの両方を含有する混合酸化物若しくは複合酸化物等の高表面積ウォッシュコート成分上に支持され得る。
【0115】
適切なフィルタ基材は、酸化触媒とSCR触媒の間に位置し得る。フィルタ基材は、前述されたもの(例えば、ウォールフロー型フィルタ)の何れかから選択され得る。フィルタが、例えば上記で説明された種類の酸化触媒による触媒作用を受ける場合、窒素系還元体を計量供給する位置は、好ましくはフィルタとゼオライト触媒の間に位置する。又は、フィルタが触媒作用を受けない場合、窒素系還元体を計量供給する手段は、酸化触媒とフィルタの間に位置し得る。
【0116】
本明細書に記載される金属促進ゼオライト(例えば、小細孔ゼオライト、中細孔ゼオライト及び/又は大細孔ゼオライト)触媒は、受動的NOx吸着(PNA)触媒(すなわち、PNA活性を有する触媒)でもあり得る。そのような触媒は、国際公開第2012/166868号(米国特許出願公開第2012308439号としても公開されている)(何れも出典明示により本明細書に援用される)に記載される方法に従って調製され得、プロモータ金属は、貴金属を含み得る。
【0117】
通常、貴金属は、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、金(Au)、銀(Ag)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)及びそれらの2以上の混合物からなる群から選択される。好ましくは、貴金属は、パラジウム(Pd)、白金(Pt)及びロジウム(Rh)からなる群から選択される。より好ましくは、貴金属は、パラジウム(Pd)、白金(Pt)及びそれらの混合物から選択される。
【0118】
一般的に、貴金属は、パラジウム(Pd)、並びに任意選択的に白金(Pt)、ロジウム(Rh)、金(Au)、銀(Ag)、イリジウム(Ir)及びルテニウム(Ru)からなる群から選択される第二の金属を含むか又はそれらから構成されることが好ましい。好ましくは、貴金属は、パラジウム(Pd)、並びに任意選択的に白金(Pt)及びロジウム(Rh)からなる群から選択される第二の金属を含むか又はそれらから構成される。より好ましくは、貴金属は、パラジウム(Pd)及び任意選択的に白金(Pt)を含むか又はそれらから構成される。よりいっそう好ましくは、触媒は、パラジウムのみを貴金属として含む。
【0119】
貴金属がパラジウム(Pd)及び第二の金属を含むか又はそれらから構成される場合、第二の金属に対するパラジウム(Pd)の質量比は、1:1を超える。好ましくは、第二の金属に対するパラジウム(Pd)の質量比は、1:1を超え、かつ第二の金属に対するパラジウム(Pd)のモル比は、1:1を超える。前述のパラジウムの比は、PNA触媒の一部として存在するパラジウムの量に関連する。これには、支持体材料上に存在し得るあらゆるパラジウムは含まれない。PNA触媒は、卑金属をさらに含み得る。したがってPNA触媒は、貴金属、本明細書に記載される小細孔ゼオライト、及び任意選択的に卑金属を含むか又はそれらから本質的に構成されてもよい。
【0120】
卑金属は、鉄(Fe)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)及び錫(Sn)、並びにそれらの2以上の混合物からなる群から選択され得る。卑金属は、鉄、銅及びコバルト、より好ましくは鉄及び銅からなる群から選択されることが好ましい。よりいっそう好ましくは、卑金属は鉄である。
【0121】
又は、PNA触媒は、鉄(Fe)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)及び錫(Sn)、並びにそれらの2以上の混合物からなる群から選択される卑金属といった卑金属を実質的に含まなくてもよい。したがって、PNA触媒は、卑金属を含まなくてもよい。
【0122】
一般的に、PNA触媒は、卑金属を含まないことが好ましい。
【0123】
PNA触媒がバリウム(Ba)を実質的に含まないことが好ましい場合があり、より好ましくは、PNA触媒は、アルカリ土類金属を実質的に含まない。したがって、PNA触媒は、バリウムを含まなくてもよく、PNA触媒は、好ましくはアルカリ土類金属を含まない。
【0124】
上記の説明は多くの詳細を含むが、これらは単に本発明を説明するために与えられ、本発明の範囲の限定であると解釈されるべきではない。多くの詳細は、一又は複数の実施態様において、様々な方法で組み合わされ得ることにも留意すべきである。したがって、本発明の工程、触媒及び方法に、発明の趣旨又は範囲を逸脱することなく様々な改良及び変形を加えることが可能であることは、当業者にとって明らかであるだろう。
【実施例0125】
以下に記載される実施例で製造された物質を、以下の分析方法のうちの一又は複数によって特性評価した。粉末X線回折(PXRD)パターンを、CuKα線(40-45kV、40mA)を使用し、0.04°のステップサイズ及びステップ当たり1秒間、5°から40°(2θ)の間で、X’pert(Philips)又はBruker D8粉末回折計にて収集した。走査型電子顕微鏡(SEM)画像、及びエネルギー分散型X線分光法(EDX)に基づく化学組成を、3-10KeVの加速電圧で、JSM7400F顕微鏡(JEOL)にて得た。細孔容積及び表面積を、77KのN2を用い、3Flex表面特性分析装置(Micromeritics)にて測定した。FTIR Nicolet iS50分光器(スペクトル範囲4000-600cm-1)を用い、透過モードでIR試験を行った。IR観察において、ゼオライトは、タングステングリッド上に堆積した薄膜の形態で測定された。
【0126】
試薬: ゼオライトY(Zeolystが提供するCBV712(SAR=12)、CBV720(SAR~30-32)、CBV760(SAR~60)、CBV780(SAR~80)、及びTosohが提供するHSZ-HUA385(SAR~100)、HSZ-HUA390(SAR~500))、水酸化トリメチルアダマンチルアンモニウム(TMAda-OH、Sachem、25%wt)、水酸化テトラプロピルアンモニウム(TPA-OH、Sachem、40%wt)、水酸化テトラエチルアンモニウム(TEA-OH、35%wt、Alfa Aesar)、HF(48%、Fisher Scientific)、水酸化1,2,3-トリメチルイミダゾリウム(1,2,3TMI-OH、21%wt)、2-エチル-1,3,4-トリメチルイミダゾリウム(2E134TMI-OH、19.2%wt)
【0127】
実施例1: CBV720を用いるCHAの合成
TMAda-OH、25wt%11.6gを、~30-32のSARを有するゼオライトY(CBV720、Zeolyst)1.65gと混合した。次いで混合物を約70℃まで加熱し、~7.5gのH2Oを蒸発させた。最終的に、HF(48%)0.57gを濃縮ゲル混合物に滴下し、スパチュラによって均質になるまで混合物を攪拌した。次いで、攪拌下(45rpm)、155℃で4日間混合物を加熱した。反応混合物のpH範囲は、約6から約8であった。
【0128】
CHA粉末生成物を得るため、空気中でオートクレーブを室温まで冷却し、結晶性生成物をろ過によって回収し、脱イオン水で数回洗浄し、乾燥炉内、80℃で一晩乾燥させた。生成されたままの状態の生成物を、空気中、昇温速度3℃/分、580℃で8時間焼成した。生成されたままの状態の生成物、及び焼成生成物の粉末XRDによる分析は、生成物がCHA構造を有したことを示した。
【0129】
実施例2a: CBV760を用いるCHAの合成
TMAda-OH、25wt%11.6gを、~60のSARを有するゼオライトY(CBV760、Zeolyst)1.65gと混合した。次いで混合物を約70℃まで加熱し、~7.5gのH2Oを蒸発させた。最終的に、HF(48%)0.57gを濃縮ゲル混合物に滴下し、スパチュラによって均質になるまで混合物を攪拌した。次いで、攪拌下(45rpm)、155℃で4日間混合物を加熱した。反応混合物のpH範囲は、約6から約8であった。
【0130】
CHA粉末生成物を得るため、空気中でオートクレーブを室温まで冷却し、結晶性生成物をろ過によって回収し、脱イオン水で数回洗浄し、乾燥炉内、80℃で一晩乾燥させた。生成されたままの状態の生成物を、空気中、昇温速度3℃/分、580℃で8時間焼成した。
【0131】
前述のようにXRD及びSEMによって乾燥生成物試料を分析した。生成されたままの状態の生成物、及び焼成生成物の粉末XRD(
図1)による分析は、生成物がCHA構造を有したことを示した。生成されたままの状態の生成物のSEM画像(
図2a)は、物質が、同様のゲル組成物を用いて従来のフッ化物経路によって調製される(実施例2b)CHA結晶(2-5ミクロン、
図2b)よりもはるかに小さい、~50-100nmの結晶サイズを有することを示した。焼成生成物のN
2測定は、生成物が、~680m
2/gのBET表面積及び~0.27cm
3/gの細孔容積を有したことを示した。焼成生成物は、約60のSARを有した。
【0132】
実施例2b: TEOS及びAl(i-OPr)
3を用いる対照CHAの合成
Al(i-OPr)
3をTMAdaOH、25wt%及びTEOSと混合した。攪拌条件下、室温で6-8時間混合物を加水分解し、続いて約60-70℃で加熱してエタノール及びH
2Oを蒸発させた。その後、HFを添加し、H
2O/SiO
2/Al
2O
3/TMAda-OH/HFのモル比が3/1/0.0167/0.5/0.5の最終的なゲル組成物がもたらされた。結果として得られた乾燥ゲルを手で均質化し、23mLのテフロン加工鋼製オートクレーブに移し、40rpmで回転する炉内で、150℃で5日間ゲルを加熱した。生成されたままの状態の生成物を、空気中、昇温速度3℃/分、580℃で8時間焼成した。
図2bは、生成されたままの状態の生成物のSEM画像である。
【0133】
図10は、本発明に係るCHA(SAR~60、実施例2a)のFT-IRスペクトルである。約3700-3730cm
-1におけるピークは、孤立シラノール(Si-OH)基(内部及び外部表面)の振動モードに起因した。一方、
図11に示されるように、対照CHA(SAR~65、アルカリ媒体中で調製)は、1870cm
-1における骨格振動倍音を用いて両ピークを規格化した後、本発明に係るCHAよりもはるかに高い強度を有する。したがって、本発明に係るCHAは、アルカリ媒体中で調製されたCHAと比較し、著しく少ない(例えば、2-10倍少ない)シラノール欠陥を有する。
【0134】
実施例3: HSZ-HUA385を用いるCHAの合成
TMAda-OH、25wt%11.6gを、~100のSARを有するゼオライトY(HSZ-HUA385、Tosoh)1.65gと混合した。次いで混合物を約70℃まで加熱し、~7.5gのH2Oを蒸発させた。最終的に、HF(48%)0.57gを濃縮ゲルに滴下し、スパチュラを用いて均質になるまで混合物を攪拌した。次いで、攪拌下(45rpm)、155℃で4日間混合物を加熱した。反応混合物のpH範囲は、約6から約8であった。
【0135】
CHA粉末生成物を得るため、空気中でオートクレーブを室温まで冷却し、結晶性生成物をろ過によって回収し、脱イオン水で数回洗浄し、乾燥炉内、80℃で一晩乾燥させた。生成されたままの状態の生成物を、空気中、昇温速度3℃/分、580℃で8時間焼成した。
【0136】
実施例4: CBV760を用いるMFIの合成
TPA-OH、40wt%10.5gを、~60のSARを有するゼオライトY(CBV760、Zeolyst)2.5gと混合した。次いで混合物を約70℃まで加熱し、~3gのH2Oを蒸発させた。最終的に、HF(48%)0.86gを濃縮ゲルに滴下し、スパチュラを用いて均質になるまで混合物を攪拌した。次いで、静止条件で、175℃で5日間混合物を加熱した。反応混合物のpH範囲は、約6から約8であった。
【0137】
MFI粉末生成物を得るため、空気中でオートクレーブを室温まで冷却し、結晶性生成物をろ過によって回収し、脱イオン水で数回洗浄し、乾燥炉内、80℃で一晩乾燥させた。生成されたままの状態の生成物を、空気中、昇温速度3℃/分、580℃で8時間焼成した。生成されたままの状態の生成物の粉末XRD(
図3)による分析は、生成物がMFI構造を有したことを示した。
【0138】
実施例5: CBV760を用いるBEAの合成
TEA-OH、35wt%11.2gを、~60のSARを有するゼオライトY(CBV760、Zeolyst)2.95gと混合した。次いで混合物を約70℃まで加熱し、~1.2gのH2Oを蒸発させた。最終的に、HF(48%)1.2gを濃縮ゲル混合物に滴下し、スパチュラによって均質になるまで混合物を攪拌した。次いで、攪拌下(45rpm)、155℃で7日間混合物を加熱した。反応混合物のpH範囲は、約6から約8であった。
【0139】
BEA粉末生成物を得るため、空気中でオートクレーブを室温まで冷却し、結晶性生成物をろ過によって回収し、脱イオン水で数回洗浄し、乾燥炉内、80℃で一晩乾燥させた。生成されたままの状態の生成物を、空気中、3℃/分の昇温速度、580℃で8時間焼成した。
【0140】
前述のようにXRD及びSEMによって乾燥生成物試料を分析した。生成されたままの状態の生成物、及び焼成生成物の粉末XRD(
図4)による分析は、生成物がBEA構造を有したことを示した。生成されたままの状態のBEAのSEM画像は、物質が、約5μmの結晶サイズを有することを示した(
図5)。焼成生成物のN
2吸着測定は、生成物が、~600m
2/gのBET表面積及び~0.21cm
3/gの細孔容積を有したことを示した。焼成生成物は、約60のSARを有した。
【0141】
実施例6: CBV780を用いるITWの合成
実施例1-5の記載と同様の方法によってITW(SAR~80)を調製した。当該方法において、1,2,3TMI-OHが有機構造指向剤であり、CBV780のみがSi及びAlの供給源であった。H
2O:SiO
2:Al
2O
3:1,2,3TMI-OH:HF=7:1:0.0125:0.5:0.5のモル組成を有する最終的なゲルを、150℃の炉内で7日間回転させた。生成されたままの状態の生成物の粉末XRD(
図6)による分析は、生成物がITW構造を有したことを示し、試料は、棒様の形態を有する(
図7に示されるSEM画像)。
【0142】
実施例7: CBV780を用いるSTWの合成
実施例1-5の記載と同様の方法によってSTW(SAR~80)を調製した。当該方法において、2E134TMI-OHが有機構造指向剤であり、CBV780のみがSi及びAlの供給源であった。H
2O:SiO
2:Al
2O
3:2E134TMI-OH:HF=4:1:0.0125:0.5:0.5のモル組成(5%wtのSTW種結晶を添加した)を有する最終的なゲルを、160℃の炉内で7日間回転させた。生成されたままの状態の生成物の粉末XRD(
図8)による分析は、生成物がSTW構造を有したことを示し、試料は、六角両錐棒状形態を有する(
図9に示されるSEM画像)。
【0143】
上記の実施例は、本開示の理解を補助するために記載され、以下に続く特許請求の範囲に記載される開示を多少なりとも限定するよう意図されるものではなく、かつ解釈されるべきではない。特定の具体的実施態様を参照して説明及び本明細書に記載されるが、本開示は、示される詳細に限定されるよう意図されず、本開示の趣旨を逸脱せずに様々な改良が加えられ得る。