(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022130468
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】マルチチャネル液体送出システム
(51)【国際特許分類】
B01J 4/00 20060101AFI20220830BHJP
F04B 43/10 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
B01J4/00 103
F04B43/10
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022095561
(22)【出願日】2022-06-14
(62)【分割の表示】P 2019516740の分割
【原出願日】2017-05-17
(31)【優先権主張番号】15/177,458
(32)【優先日】2016-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518436814
【氏名又は名称】スペースファーマ エスアー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ナオト イラ
(72)【発明者】
【氏名】フォイヒトヴァンガー ヤイール
(72)【発明者】
【氏名】ムリガン モリー ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】ペキン アレクサンダー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】微小重力環境で使用するためのマルチチャネル液体送出システムを提供する。
【解決手段】システム10は硬質リザーバ20を複数含み、各硬質リザーバは可撓性ダイアフラム24によって液圧室28と送出室26とに分割される。液圧室は弁22を介して圧媒液導管30に接続され、送出室は送出導管32に接続される。弁が開いている液圧室に圧媒液を押し込むように圧力を圧媒液に加えるために液圧アクチュエータ12を作動させることによって、ダイアフラムを遠位側に押して送出液を送出室から接続された送出導管に押し込むことができる。液圧室から圧媒液を引き込むように圧媒液導管内の圧媒液に吸引力を加えるためにアクチュエータを作動させることによって、可撓性ダイアフラムを近位側に引き寄せて送出液を送出導管から送出室に引き込むことができる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
複数の硬質リザーバであって、前記硬質リザーバの各々の内部空間が可撓性ダイアフラムによって液圧室と送出室とに分割され、前記液圧室は弁を介して圧媒液導管に接続され、前記送出室は送出導管に接続され、前記ダイアフラムは前記液圧室に充填される圧媒液に対して、および前記送出室に充填される送出液に対して、不透過性である、硬質リザーバと、
液圧アクチュエータであって、前記液圧アクチュエータは、前記複数の硬質リザーバのうち、その弁が開いている硬質リザーバの前記送出室から前記接続された送出導管に前記送出液を押し出すためにその硬質リザーバの前記可撓性ダイアフラムを遠位側に押すように、前記液圧室に前記圧媒液を押し込むように前記圧媒液導管の中の前記圧媒液に圧力を加えるために、作動可能であり、更には前記接続された送出導管から前記送出液をその硬質リザーバの前記送出室に引き込むために、その硬質室の前記可撓性ダイアフラムを近位側に引き寄せるように、その弁が開いているその硬質リザーバの前記液圧室から前記圧媒液を引き込むように前記圧媒液導管の中の前記圧媒液に吸引力を加えるために作動可能である、液圧アクチュエータと、
を備えたシステム。
【請求項2】
前記液圧アクチュエータはシリンジポンプを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記液圧アクチュエータのモータがサーボモータまたはステッパモータを備える、請求項1または請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記圧媒液を貯蔵するための圧媒液リザーバを備え、前記圧媒液リザーバは圧媒液リザーバ弁を介して前記圧媒液導管に接続される、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記圧媒液リザーバの壁が拡張および折り畳み可能である、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記壁は弾性である、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記圧媒液リザーバは、前記壁の全体崩壊を防止するための内部構造を含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記送出導管は、前記システムの送出先構成要素に逆流防止弁を介して接続される、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記送出導管は、逆流防止弁を介して前記送出液の送出元に接続される、請求項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記送出導管はガス除去用組立体を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記ガス除去用組立体は、除去対象のガスに対して透過性の、および前記送出液に対して不透過性の、ガス除去用構成要素を含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記弁は、前記弁を開閉するために動作可能なソレノイドを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記ダイアフラムはエラストマーを備える、請求項1~12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
送出液を送出先に送出する方法であって、前記方法は、
液体送出システムの圧媒液導管を前記システムの複数の硬質リザーバのうちの選択された硬質リザーバの液圧室に接続する弁を開くステップであって、前記選択された硬質リザーバの送出室は前記送出液を収容し、前記複数の硬質リザーバの各硬質リザーバの内部空間が可撓性ダイアフラムによって前記液圧室と前記送出室とに分割され、前記ダイアフラムは圧媒液および前記送出液に対して不透過性である、ステップと、
前記選択された硬質リザーバの前記送出室から前記送出室を前記送出先に接続する送出導管に前記送出液を押し出すために、前記圧媒液導管内の前記圧媒液に圧力を加えて前記圧媒液を前記選択された硬質リザーバの前記液圧室に押し込んで前記選択された硬質リザーバの前記ダイアフラムを遠位側に押すために前記システムの液圧アクチュエータを作動させるステップと、
を含む方法。
【請求項15】
前記液圧アクチュエータを作動させるステップは、シリンジポンプのピストンを変位させることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
弁を開く前記ステップの前に、
前記圧媒液導管を前記複数の硬質リザーバの全ての前記液圧室に接続する弁を閉じるステップと、
前記圧媒液のリザーバを前記圧媒液導管に接続する液圧リザーバ弁を開くステップと、
或る量の前記圧媒液を前記圧媒液の前記リザーバから引き込むために、前記液圧アクチュエータを作動させるステップと、
を更に含む、請求項14または請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記量は、前記液圧アクチュエータの室内に存在する前記圧媒液の検知された体積に応じて決定される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
送出液を送出元から液体送出システムの複数の硬質リザーバのうちの選択された硬質リザーバに送出する方法であって、
前記システムの圧媒液導管を前記選択された硬質リザーバの液圧室に接続する弁を開くステップであって、前記選択された硬質リザーバの送出室に前記送出液が充填され、前記複数の硬質リザーバの各硬質リザーバの内部空間が可撓性ダイアフラムによって前記液圧室と前記送出室とに分割され、前記ダイアフラムは圧媒液および前記送出液に対して不透過性であり、前記液圧室は初期状態において前記圧媒液によって少なくとも部分的に充填されている、ステップと、
前記送出液を前記送出元から、前記送出元を前記選択された硬質リザーバの前記送出室に接続する送出導管を介して、前記送出室に引き込むために、前記選択された硬質リザーバの前記可撓性ダイアフラムを近位側に引っ込めるために、前記選択された硬質リザーバの前記液圧室から前記圧媒液を引き込むように前記圧媒液導管の中の前記圧媒液に吸引力を加えるために、前記システムの液圧アクチュエータを作動させるステップと、
を含む方法。
【請求項19】
前記弁を開くステップは、前記弁のソレノイドを動作させることを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
弁を開く前記ステップの前に、
前記圧媒液導管を前記複数の硬質リザーバの全ての前記液圧室に接続する前記弁を閉じるステップと、
前記圧媒液のリザーバを前記圧媒液導管に接続する液圧リザーバ弁を開くステップと、
或る量の前記圧媒液を前記圧媒液の前記リザーバに押し込むために、前記液圧アクチュエータを作動させるステップと、
を更に含む、請求項18または請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体送出システムに関する。より具体的には、本発明は、微小重力環境で使用するためのマルチチャネル液体送出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
伝統的な地上環境においては、液体を1つの容器から別の容器に移動させるために重力および大気圧が利用されることが多い。例えば、送出元容器が送出先容器より高い位置に配置され得る。送出元容器は、容器内の液面の上方のガスのガス圧が大気圧に等しくなり得るように、周囲雰囲気に開口し得る。導管への近位側開口部は、容器内の液面より下に配置され得る。したがって、液体が導管の反対側の遠位側開口部から引き出されるときは、遠位端で引き出される液体の量を補充する液体を近位端に押し込むために大気圧が頼りにされ得る。
【0003】
同様に、地上環境において、重力は、通常、容器内の液体をその容器の、または流体処理システムの別の構成要素の、下方部分に蓄積させる。空気または蒸気などのガスは、通常、液体より低密度であるので、容器または構成要素の液面の上の上方部分に蓄積する。したがって、液体は、液面より下に配置された開口部を通って受動的に容器または構成要素から排出され得る。気泡を排出するための構造、または別様に周囲雰囲気に開口している構造、が液面より上方に配置され得る。
【0004】
場合によっては、液体を伴うプロセスを微小重力環境で作動させることが望ましい、または好都合である、ことがある。例えば、実験または工業プロセスが地球軌道上の宇宙船で、または地球軌道の外側を移動する宇宙船で、作動されることがある。このプロセスは、宇宙船上の、または遠隔位置の、操作者によって制御され得る、または自動的に制御され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本発明の一実施形態によると、システムが提供され、本システムは、複数の硬質リザーバであって、各硬質リザーバの内部空間が可撓性ダイアフラムによって液圧室と送出室とに分割され、液圧室は弁を介して圧媒液導管に接続され、送出室は送出導管に接続され、ダイアフラムは、液圧室に充填される圧媒液に対して、および送出室に充填される送出液に対して、不透過性である、複数の硬質リザーバと、液圧アクチュエータであって、複数の硬質リザーバのうちその弁が開いている硬質リザーバの送出室から接続された送出導管に送出液を押し込むために、その硬質リザーバの可撓性ダイアフラムを遠位側に押すように圧媒液をその硬質リザーバの液圧室に押し込むように圧媒液導管内の圧媒液に圧力を加えるために作動可能な、更には、接続されている送出導管からその硬質リザーバの送出室に送出液を引き込むために、その硬質室の可撓性ダイアフラムを近位側に引き寄せるようにその硬質リザーバの液圧室から圧媒液を引き込むように圧媒液導管内の圧媒液に吸引力を加えるために作動可能な、液圧アクチュエータとを含む。
【0006】
更に、本発明の一実施形態によると、液圧アクチュエータはシリンジポンプを含む。
【0007】
更に、本発明の一実施形態によると、液圧アクチュエータは、サーボモータまたはステッパモータを含む。
【0008】
更に、本発明の一実施形態によると、システムは圧媒液を貯蔵するための圧媒液リザーバを含み、圧媒液リザーバは、圧媒液リザーバ弁を介して、圧媒液導管に接続される。
【0009】
更に、本発明の一実施形態によると、圧媒液リザーバの壁は拡張および折り畳み可能である。
【0010】
更に、本発明の一実施形態によると、壁は弾性である。
【0011】
更に、本発明の一実施形態によると、圧媒液リザーバは、壁の全体崩壊を防止するための内部構造を含む。
【0012】
更に、本発明の一実施形態によると、送出導管は、逆流防止弁を介して、システムの送出先構成要素に接続される。
【0013】
更に、本発明の一実施形態によると、送出導管は、逆流防止弁を介して、送出液の送出元に接続される。
【0014】
更に、本発明の一実施形態によると、送出導管はガス除去用組立体を含む。
【0015】
更に、本発明の一実施形態によると、ガス除去用組立体は、除去対象のガスに対して透過性の、且つ送出液に対して不透過性の、ガス除去構成要素を含む。
【0016】
更に、本発明の一実施形態によると、弁は、弁を開閉するために動作可能なソレノイドを含む。
【0017】
更に、本発明の一実施形態によると、ダイアフラムはエラストマーを含む。
【0018】
本発明の一実施形態によると、送出液を送出先に送出する方法が更に提供される。本方法は、液体送出システムの圧媒液導管をシステムの複数の硬質リザーバのうちの選択された硬質リザーバの液圧室に接続する弁を開くステップであって、選択された硬質リザーバの送出室は送出液を収容し、複数の硬質リザーバの各硬質リザーバの内部空間は可撓性ダイアフラムによって液圧室と送出室とに分割され、ダイアフラムは圧媒液および送出液に対して不透過性である、ステップと、選択された硬質リザーバの送出室からこの送出室を送出先に接続する送出導管に送出液を押し出すために、圧媒液導管内の圧媒液に圧力を加えて選択された硬質リザーバの液圧室に圧媒液を押し込んで選択された硬質リザーバのダイアフラムを遠位側に押すためにシステムの液圧アクチュエータを作動させるステップと、を含む。
【0019】
更に、本発明の一実施形態によると、液圧アクチュエータを作動させるステップは、シリンジポンプのピストンを変位させることを含む。
【0020】
更に、本発明の一実施形態によると、本方法は、弁を開くステップの前に、圧媒液導管を複数の硬質リザーバの全ての液圧室に接続する弁を閉じるステップと、圧媒液のリザーバを圧媒液導管に接続する液圧リザーバ弁を開くステップと、圧媒液のリザーバから或る量の圧媒液を引き込むために液圧アクチュエータを作動させるステップと、を含む。
【0021】
更に、本発明の一実施形態によると、その量は、液圧アクチュエータの室内に存在する圧媒液の検知された体積に応じて決定される。
【0022】
本発明の一実施形態によると、送出液を送出元から液体送出システムの複数の硬質リザーバのうちの選択された硬質リザーバに送出する方法が更に提供される。本方法は、システムの圧媒液導管を選択された硬質リザーバの液圧室に接続する弁を開くステップであって、選択された硬質リザーバの送出室が送出液で充填され、複数の硬質リザーバの各硬質リザーバの内部空間が可撓性ダイアフラムによって液圧室と送出室とに分割され、ダイアフラムは圧媒液および送出液に対して不透過性であり、液圧室は初期状態で圧媒液によって少なくとも部分的に充填されている、ステップと、圧媒液導管内の圧媒液に吸引力を加えるためにシステムの液圧アクチュエータを作動させるステップであって、選択された硬質リザーバの送出室に送出元を接続する送出導管を介して送出液を送出元からその硬質リザーバの送出室に引き込むために、その硬質リザーバの可撓性ダイアフラムを近位側に引き寄せるためにその硬質リザーバの液圧室から圧媒液を引き込むように、液圧アクチュエータを作動させるステップと、を含む。
【0023】
更に、本発明の一実施形態によると、弁を開くステップは、弁のソレノイドを動作させることを含む。
【0024】
更に、本発明の一実施形態によると、本方法は、弁を開くステップの前に、圧媒液導管を複数の硬質リザーバの全ての液圧室に接続する弁を閉じるステップと、圧媒液のリザーバを圧媒液導管に接続する液圧リザーバ弁を開くステップと、或る量の圧媒液を圧媒液のリザーバに押し込むために液圧アクチュエータを作動させるステップと、を含む。
【0025】
以下の図は、本発明をより深く理解させるために、およびその実際の応用例を理解させるために提供されており、以下において参照される。これらの図は例としてのみ与えられ、本発明の範囲を決して限定するものではないことに留意されたい。同様の構成要素は、同様の参照符号で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1A】本発明の一実施形態による液体送出システムを模式的に示す。
【
図1B】
図1Aに示されている液体送出システムの構成要素の制御の概略ブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態による、硬質リザーバから送出液を送出するための
図1Aに示されている液体送出システムの動作を模式的に示す。
【
図3】本発明の一実施形態による、送出液を硬質リザーバに引き込むための
図1Aに示されている液体送出システムの動作を模式的に示す。
【
図4】本発明の一実施形態による、圧媒液を圧媒液リザーバのために引き込むための
図1Aに示されている液体送出システムの動作を模式的に示す。
【
図5】自動動作および微小重力環境での動作を容易にするための
図1Aに示されている液体送出システムの構成要素を模式的に示す。
【
図6】本発明の一実施形態による、液体送出システムを制御する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下の詳細な説明においては、本発明の完全な理解をもたらすために、多くの具体的な詳細が述べられている。ただし、本発明はこれら具体的な詳細なしに実施され得ることを当業者は理解されるであろう。また、本発明を曖昧にしないように、周知の方法、手順、構成要素、モジュール、ユニット、および/または回路は、詳細には説明されていない。
【0028】
本発明の複数の実施形態はこの点に関して限定されないが、例えば、「処理」、「コンピューティング」、「計算」、「決定」、「確立」、「分析」、「チェック」、またはこれらに類するものなどの用語を使用する説明は、コンピュータのレジスタおよび/もしくはメモリ内の物理(例えば電子的)量として表されるデータを操作、ならびに/または、コンピュータのレジスタおよび/もしくはメモリ、または動作および/もしくはプロセスを実行するために命令を記憶し得るまたは他の非一時的情報記憶媒体(例えばメモリ)内の、物理量として同様に表される他のデータに変換する、コンピュータ、コンピューティングプラットフォーム、コンピューティングシステム、または他の電子計算装置の動作(単数または複数)および/またはプロセス(単数または複数)に言及し得る。本発明の複数の実施形態はこの点に関して限定されないが、本願明細書で使用されている用語「複数(plurality)」および「複数(a plurality)」は、例えば「複数(multiple)」または「2つ以上(two or more)」を含み得る。用語「複数(plurality)」または「複数(a plurality)」は、2つ以上の構成要素、装置、要素、ユニット、パラメータ、またはこれらに類するものを記述するために本願明細書全体にわたって使用され得る。明示的に記載されていない限り、本願明細書に記載の方法実施形態は、特定の順番または順序に限定されない。更に、記載の方法実施形態またはそれらの要素のうちの一部は、同時に、同じ時点に、または並行して、発生し得る、または実施可能である。別様に示されていない限り、本願明細書で使用されている接続詞「または」は包含的(記述されている選択肢の何れか、または全て)であると理解されるべきである。
【0029】
本発明の一部の実施形態は、コンピュータまたはプロセッサ可読媒体などの物品、あるいはプロセッサまたはコントローラによって実行されたときに本願明細書に開示されている方法を実施する命令、例えばコンピュータ実行可能命令、を符号化する、含む、または記憶する、コンピュータまたはプロセッサ非一時記憶媒体、例えばメモリ、ディスクドライブ、またはUSBフラッシュメモリなど、を含み得る。
【0030】
本発明の一実施形態によると、マルチチャネル液体送出システムは、微小重力環境において1つ以上の液体の制御された流れを可能にするように構成される。例えば、これら液体の1つ以上が複数の硬質リザーバのうちの1つ以上に流入、またはこれらから流出、され得る。それぞれの流れが制御されるこれら液体は、本願明細書において、便宜上、送出液と称される。送出液は、硬質リザーバに、または硬質リザーバから、送出され得る。例えば、送出液として、化学または生物学的反応に関与する試薬、反応生成物、洗浄または浄化液、または別の種類の液体が挙げられ得る。リザーバは、液体送出システムの一般的な動作中に加わる大きさの圧力下でリザーバの外壁が目に見えて曲がらない、または変形しない、場合は、硬質と見做される。したがって、硬質リザーバの全容積は、液体送出システムの動作全体にわたってほぼ一定のままである。
【0031】
容器への、または容器からの(例えば、リアクタ、ラボオンチップ、廃棄容器、液体送出元容器への、またはこれらからの、あるいは別の処理ユニットまたは送出先への、またはこれらからの)送出液の流れは、液圧系統によって制御または作動され得る。液圧系統は、この液圧系統の、本願明細書において圧媒液と称される、液体に圧力または吸引力を加えるように構成された液圧アクチュエータを含む。液圧アクチュエータとして、例えば、シリンジポンプ、または微小重力環境での(および、おそらくは周囲大気またはガス圧がない場所での)動作に適した別の種類の液圧アクチュエータが挙げられ得る。液圧系統は、制御可能弁を複数含む。これら弁の各々は、液圧系統の1つの区画を液圧系統の残りの部分から液圧的に隔離するために、閉じられ得る。例えば、弁を閉じると、その区画への、またはその区画からの、圧媒液の流れが阻止され得る、およびその区画内の圧媒液への液圧の伝達が阻止され得る。圧媒液は、圧媒液との直接接触も、何れの送出液との圧媒液の混合も、防止されるように、送出液から分離維持される。
【0032】
液圧系統は、周囲環境への開口部が皆無であることによって、閉鎖され得る。圧媒液および送出液はどちらも、ほぼ非圧縮性であると想定される。したがって、液圧系統の1つの点に加えられた圧力または吸引力は、1つ以上の閉じられた弁によって液圧系統の残りの部分から隔離されている液圧系統の区画を除き、液圧系統全体にわたって伝達され得る。
【0033】
硬質リザーバの各々に、硬質リザーバに導入され得る何れの送出液に対しても、圧媒液に対しても、不透過性の可撓性ダイアフラムが設けられ得る。可撓性ダイアフラムは、同じ硬質リザーバ内の圧媒液と送出液との間の直接接触を防止する。したがって、可撓性とは、硬質リザーバの固定された内部容積を可変サイズの2つの室に分割することと見做され得る。可撓性ダイアフラムがどちらかの方向に十分に押されたときに可撓性ダイアフラムが硬質リザーバの硬質壁の近くに位置するように、可撓性ダイアフラムは構成され得る。したがって、例えば、可撓性ダイアフラムが1つの方向に十分に押されているとき、一方の室の容積は硬質リザーバの全容積に等しい、またはほぼ等しい。この場合、もう一方の室の容積はゼロに近い。可撓性ダイアフラムが反対方向に十分に押されると、2つの室の容積が入れ替わる。
【0034】
例えば、可撓性ダイアフラムは、硬質リザーバの壁に向かって延伸するように、十分に弾性であり得る。例えば、可撓性ダイアフラムは、化学的に安定した(例えば、少なくとも予測される条件下において、圧媒液とも、送出液の何れの成分とも、反応しない、または圧媒液または送出液の何れの成分との接触によっても化学的に腐食されない)エラストマーで構築され得る。場合によっては、可撓性ダイアフラムは、その表面積がほぼ一定であるように、非弾性であり得る。このような場合、可撓性ダイアフラムは、例えば、2つの室がほぼ等しい容積を有するとき、ダイアフラムの複数の中間位置に対応するために、折り曲がる、またはしわくちゃになる、ように構成され得る。
【0035】
硬質リザーバへの圧媒液の流入、または硬質リザーバからの圧媒液の流出、を可能にする近位側導管に弁が設けられ得る。この弁の動作は、コントローラによって制御され得る。この弁が開いているとき、液圧アクチュエータによって、例えばシリンジポンプのピストンの延出によって、加えられる圧力は、弁を介して硬質リザーバに圧媒液を押し込み得る。圧媒液の圧力は、可撓性ダイアフラムを介して硬質リザーバ内の送出液に加えられ得る。したがって、加えられた圧力は、送出液を硬質リザーバから遠位側導管に押し出し得る。同様に、液圧アクチュエータによって、例えばシリンジポンプのピストンの後退によって、圧媒液に加えられた吸引力は、硬質リザーバから開いている弁を介して圧媒液を引き込み得る。硬質リザーバから圧媒液が引き込まれると、可撓性ダイアフラムに吸引力が加えられ、可撓性ダイアフラムが近位導管側に引き寄せられ得る。可撓性ダイアフラムが引き寄せられると、送出液が遠位側導管から硬質リザーバに引き込まれ得る。
【0036】
複数の弁が開いているとき、圧媒液は複数の硬質リザーバに同時に押し込まれ得る、または硬質リザーバから同時に引き込まれ得る。このようにして、単一の液圧アクチュエータは、複数の送出液を複数の異なる硬質リザーバから同時に、例えば、リアクタ容器またはチップに、あるいは送出液が相互作用しうる他の成分に、流出させるように作動され得る。
【0037】
液圧系統の各導管および硬質リザーバ内のアクティブな圧媒液の体積は、液体送出システムの形状構成の変化に伴い、時間の経過と共に変化し得る。例えば、液圧系統の動作を可能にするためのアクティブな圧媒液の体積は、現在開いている硬質リザーバへの弁の数などの要因に応じて、および各硬質リザーバ内の可撓性ダイアフラムの現在位置に応じて、変化し得る。
【0038】
液圧系統は、圧媒液を貯蔵するための圧媒液リザーバを含み得る。液圧系統内のアクティブな圧媒液の体積は、圧媒液リザーバから圧媒液を引き込むことによって増加させ得る。同様に、液圧系統内のアクティブな圧媒液の体積は、圧媒液を圧媒液リザーバに押し込むことによって減少させ得る。例えば、圧媒液リザーバとして、1つ以上の弾性壁、またはその表面積が別様に拡張および折り畳み可能な(例えば、しわになったり、しわが伸びたりする、蛇腹状に折り曲がる、または別様に拡張および折り畳み可能な)壁、を有する容器が挙げられ得る。圧媒液は、液圧アクチュエータの作動によって(例えば、硬質リザーバへの弁が閉じられているとき)圧媒液リザーバに押し込まれ得る。貯蔵のために圧媒液リザーバに押し込まれた圧媒液は、拡張可能な壁を拡張させ得る。圧媒液が圧媒液リザーバに貯蔵された後、圧媒液リザーバを液圧系統の残りの部分に接続する弁が閉じられ得る。圧媒液を圧媒液リザーバから引き込むとき、圧媒液リザーバへの弁は開かれ得る。液圧アクチュエータに加えられた吸引力は、圧媒液リザーバの折り畳み可能な壁と共に、圧媒液リザーバから液圧系統の残りの部分(例えばシリンジポンプの形態の、液圧アクチュエータの空洞)への圧媒液の引き込みを可能にし得る。
【0039】
場合によっては、圧媒液リザーバの全ての部分への圧媒液の流入または流出を可能にするように、圧媒液リザーバは拡張および折り畳み可能な壁の崩壊を防止するための内部構造を含み得る。液体送出システムは、硬質リザーバへの送出液の充填、または硬質リザーバからの送出液の排出、のための機構を含み得る。液体送出システムは、液体送出システムから気泡を除去するための機構を含み得る。
【0040】
本発明の一実施形態による液体送出システムは、他の種類の液体送出システムに勝る利点を有し得る。例えば、その圧媒流体としてガスの代わりに液体を使用し、更には圧媒液を送出液から分離するためにダイアフラムを含む、本発明の一実施形態による液体送出システムは、小型化と遠隔地での再使用とに適している。本液体送出システムは、何れの向きでも、またはかなりの重力および空気圧がない場合でも、動作し得る。したがって、本液体送出システムは、その向きの制御が不可能な、遠隔制御される車両に、または(例えば、水中、地下、惑星表面で、地球軌道で、または惑星間宇宙で、または別の場所で、の動作のために)重力の欠如により方向付けが無意味な場所で、使用され得る。本液体送出システムは、複数の硬質リザーバからの、または複数の硬質リザーバへの、送出液の同時移送、または1つ以上のリザーバを含むサブセットからの、またはこのサブセットへの、送出液の選択的移送を単一の液圧アクチュエータを用いて可能にする。
【0041】
図1Aは、本発明の一実施形態による液体送出システムを模式的に示す。
図1Bは、
図1Aに示されている液体送出システムの構成要素の制御の概略ブロック図である。
【0042】
液体送出システム10は、1つ以上の送出液を複数の硬質リザーバ20のうちの1つ以上に、またはこれらから、選択的に、および同時に、送出するように作動され得る。例えば、送出液は、複数の異なる送出液が1つ以上の化学的、物理的、または生物学的プロセスを介して相互作用するリアクタまたは他のユニット(図示せず)に1つ以上の送出導管32を介して送出され得る。プロセスの生成物がリアクタまたはユニットから1つ以上の硬質リザーバ20に送出され得る。同様に、硬質リザーバ20または送出導管32の洗浄、浄化、または濯ぎ用の、洗浄剤または溶剤などの、送出液が1つ以上の硬質リザーバ20へ、またはこれらから、送出され得る。
【0043】
液体送出システム10は、液圧系統11を含む。液圧系統11は、試薬液または別の液体などの送出液を1つ以上の硬質リザーバ20から、または1つ以上の硬質リザーバ20へ、試薬送出系統21を介して、同時に流出または流入させるために作動され得る。液圧系統11および試薬送出系統21の構成要素の動作は、コントローラ34によって制御され得る。例えば、コントローラ34は、操作者によってローカルに、または遠隔から、作動され得る。代わりに、または加えて、コントローラ34は、プログラム化された命令に従ってコントローラ34を作動させるように構成された1つ以上の処理ユニットを含み得る、またはこれら処理ユニットと通信し得る。コントローラ34は、例えば、コントローラ34の1つ以上の動作を実行するようにそれぞれ構成された、物理的に分離された2つ以上のユニットを含み得る。
【0044】
液圧系統11は、液圧アクチュエータ12を含む。例えば、液圧アクチュエータ12は、モータ15によって作動され得る。モータ15として、電動モータ(例えば、液圧アクチュエータ12の制御可能な動作を可能にするサーボモータ、ステッパモータ、または他の種類の電気モータまたはアクチュエータ)が挙げられ得る。液圧アクチュエータ12は、液圧系統11内の圧媒液に圧力または吸引力(「負圧」)を加えるために、コントローラ34によって作動され得る。液圧アクチュエータ12は、円筒状の断面、または別の断面(例えば、長円形または楕円形、矩形または多角形、または別の形状)を有し得る。
【0045】
場合によっては、液圧アクチュエータ12は、ピストン14付きのシリンジポンプを含み得る。例えば、ピストン14は、モータ15によって変位されるように構成され得る。ピストン14は、アクチュエータ室13内の圧媒液に、および液圧系統11に、圧力を加えるために、遠位方向に(例えば、圧媒液導管30に向かって)移動するように作動され得る。同様に、ピストン14は、圧媒液を液圧系統11からアクチュエータ室13に引き込むために、ひいては液圧系統11に吸引力を加えるために、近位方向に(例えば、圧媒液導管30から離れる方向に)移動するように作動され得る。液圧アクチュエータ12は、例えば、微小重力環境で、真空で、または液体送出システム10の他の環境条件下で、液圧系統11内の圧媒液の流れを引き起こすために適した他の種類のポンプまたはアクチュエータを1つ以上含み得る。
【0046】
液体送出システム10は、試薬送出系統21を含む。試薬送出系統21は、複数の送出液を1つ以上の硬質リザーバ20に、または1つ以上の硬質リザーバ20から、同時に送出するように構成される。
【0047】
各硬質リザーバ20は、ほぼ硬質の壁または壁群によって取り囲まれ得る。各硬質リザーバ20の内部空間は、可撓性ダイアフラム24によって2つの内室に分割される。液圧室28は、可撓性ダイアフラム24の近位側に位置する近位側の室であり、硬質リザーバ弁22を開くことによって液圧系統11に接続可能である。液圧室28毎に個別の硬質リザーバ弁22が設けられる。送出室26は、可撓性ダイアフラム24の遠位側に位置する遠位側の室であり、各送出室26は個別の送出導管32に接続され、そこに開口する。
【0048】
可撓性ダイアフラム24は、送出液および圧媒液の両方に対して不透過性である。したがって、可撓性ダイアフラム24は、送出液と圧媒液との間の如何なる種類の混合または接触も防止する。例えば、可撓性ダイアフラム24は、フルオロエラストマー(例えば、バイトン(登録商標))などの化学的に安定したエラストマーで構築され得る、またはこの種のエラストマーを含み得る。可撓性ダイアフラム24は、硬質リザーバ20の容積の区画を液圧室28および送出室26に変えるために、湾曲または延伸し得る、あるいは湾曲および延伸し得る。例えば、液圧室28内の圧媒液に圧力を加えるための液圧アクチュエータ12の動作は、可撓性ダイアフラム24を送出導管32に向けて遠位側に湾曲させ得る。可撓性ダイアフラム24の遠位側への湾曲は、液圧室28の容積を増やす一方で、送出室26の容積を減らす。したがって、送出室26内の送出液は送出室26から、その送出室26に接続されている送出導管32に押し出される。同様に、液圧室28内の圧媒液に吸引力を加えるための液圧アクチュエータ12の動作は、可撓性ダイアフラム24を液圧管路30に向けて近位側に湾曲させ得る。可撓性ダイアフラム24の近位側への湾曲は、送出室26の容積を増やす一方で、液圧室28の容積を減らす。したがって、送出導管32内の(またはその送出導管32に接続されている容器または構成要素内の)送出液は、その送出導管32に接続されている硬質リザーバ20の送出室26に引き込まれ得る。
【0049】
選択された1つ以上の硬質リザーバ20の送出室26に、またはこの送出室26から、送出液を選択的に送出するために、コントローラ34が作動され得る。コントローラ34は、例えば、1つ以上の硬質リザーバ弁22を選択的に開閉し得る。特定の硬質リザーバ20の液圧室28に接続されている硬質リザーバ弁22が開かれているとき、液圧アクチュエータ12の作動によって、その硬質リザーバ20の送出室26への送出液の流入、またはこの送出室26からの送出液の流出が引き起こされ得る。逆に、特定の硬質リザーバ20の液圧室28に接続されている硬質リザーバ弁22が閉じられているとき、液圧アクチュエータ12の作動は、その硬質リザーバ20の送出室26への送出液の流入、またはこの送出室26からの送出液の流出、を引き起こさない。
【0050】
過剰な圧媒液が圧媒液リザーバ16に貯蔵され得る。例えば、圧媒液リザーバ16は、拡張および折り畳み可能な(例えば、弾性)壁を有し得る、または微小重力環境での圧媒液の排出を容易にするために別様に構成され得る。液圧アクチュエータ12の拡張可能な壁は、液圧リザーバ弁18が開いているとき、液圧アクチュエータ12の作動によって圧媒液が液圧リザーバ導管31を介して圧媒液リザーバ16に押し込まれると、拡張し得る。したがって、圧媒液リザーバ16の壁の表面張力が高まり得る。同様に、圧媒液が圧媒液リザーバ16から排出可能であるとき、圧媒液リザーバ16の折り畳み可能壁は折り畳まれ得る。これにより、圧媒液リザーバ16からアクチュエータ室13への、または液圧系統11内の他の場所への、液圧リザーバ導管31を介した圧媒液の引き込みが可能になる。液圧リザーバ弁18は、圧媒液リザーバ16への、または圧媒液リザーバ16からの、圧媒液の流れを阻止するために閉じられ得る。
【0051】
コントローラ34は、1つ以上のセンサ38から受信した信号に応じて、液体送出システム10の1つ以上の構成要素を作動させるように構成され得る。例えば、1つ以上のセンサ38は、液体送出システム10の1つ以上の構成要素の状態を検知し得る。センサ38として、例えば、導管内の液体流量を測定するための流量計、液体送出システム10の構成要素内の液圧を測定するための圧力センサ、構成要素(例えば、ピストン14、可撓性ダイアフラム24、または液体送出システム10の別の可動構成要素)の位置を測定するための位置または体積センサ、弁の現在の状態(例えば、開または閉状態)を検知するためのセンサ、構成要素内の液体の体積を検知するためのセンサ、または別の種類のセンサが挙げられ得る。
【0052】
1つ以上の硬質リザーバ弁22、液圧リザーバ弁18、および追加の弁36、または他の構成要素がコントローラ34の動作によって作動可能であり得る。例えば、1つ以上の硬質リザーバ弁22、液圧リザーバ弁18、および追加の弁36は、ソレノイドを含み得る。ソレノイドを通る電流がコントローラ34によって制御され得る。別の例として、1つ以上の硬質リザーバ弁22、液圧リザーバ弁18、および追加の弁36は、モータ駆動され得る、またはコントローラ34によって別様に作動可能であり得る。例えば、場合によっては、追加の弁36は、(例えば、液体処理サイトに、送出液送出元容器に、廃棄容器に、または他の場所に、接続された)各送出導管32上の、または液体送出システム10内の他の場所の、1つ以上の弁を含み得る。したがって、コントローラ34は、硬質リザーバ弁22のさまざまな組み合わせを選択的に開閉するために動作し得る。したがって、液圧アクチュエータ12の以降の作動は、硬質リザーバ20の1つ以上の送出室26からの1つ以上の送出液の同時流出、またはこれら送出室26への送出液の同時流入、を引き起こし得る。
【0053】
図2は、本発明の一実施形態による、硬質リザーバから送出液を送出するための
図1Aに示されている液体送出システムの動作を模式的に示す。
【0054】
図2に示されている構成では、選択された硬質リザーバ20aの送出室26aから送出導管32aに送出液が移動されている。例えば、送出導管32aの遠位端は、送出室26a内の送出液の送出先に接続され得る。送出先として、リアクタまたは他の液体処理ユニット、廃棄容器または排液管、または別の種類の送出先が挙げられ得る。他の全ての硬質リザーバ20の中身は、ほぼ不変のままである。
【0055】
図示の構成において、選択された硬質リザーバ弁22aは開いており、選択された硬質リザーバ20aの液圧室28aを液圧管路30、液圧アクチュエータ12、および液圧系統11の残りの部分に接続している。他の全ての硬質リザーバ弁22は閉じられており、液圧リザーバ弁18も閉じられている。したがって、他の全ての液圧室28ならびに圧媒液リザーバ16は、液圧アクチュエータ12から隔離されている。(場合によっては、例えば、各送出室26から、または各送出室26に、送出される各送出液の量の精密制御を可能にするために、リザーバ弁22の開弁は、一度に1つの硬質リザーバ弁22の開弁に限定され得る。)
【0056】
液圧アクチュエータ12は、液圧管路30内の圧媒液に圧力を加えるために作動され得る。アクチュエータ室13内の圧媒液に圧力を加えるために、例えば、シリンジポンプの形態の液圧アクチュエータ12、または同様のポンプまたはアクチュエータ、のピストン14が遠位方向40に移動され得る。このようにして、圧媒液は、アクチュエータ室13から液圧管路30および選択された硬質リザーバの開いている弁22aを介して、液圧室28aに押し込まれる。圧媒液が液圧室28aに押し込まれるに伴い、可撓性ダイアフラム24aが送出室26aに向けて遠位側に押されることによって、液圧室28aが拡張する。したがって、送出液は送出室26aから送出導管32aに押し出される。
【0057】
図3は、本発明の一実施形態による、送出液を硬質リザーバに引き込むための、
図1Aに示されている液体送出システムの動作を模式的に示す。
【0058】
図3に示されている構成では、選択された硬質リザーバ20aの送出室26aにのみ送出導管32aから送出液が引き込まれている。例えば、送出導管32aの遠位端は、送出室26aに引き込まれる送出液の送出元に接続され得る。送出元として、リアクタまたは、液体反応生成物が生成される他の液体処理ユニット、送出元容器、または別の種類の送出元、が挙げられ得る。他の全ての硬質リザーバ20の中身は、ほぼ不変のままである。
【0059】
図示の構成において、選択された硬質リザーバ弁22aは開いており、選択された硬質リザーバ20aの液圧室28aを液圧管路30、液圧アクチュエータ12、および液圧系統11の残りの部分に接続している。他の全ての硬質リザーバ弁22は閉じられており、液圧リザーバ弁18も同様である。したがって、他の全ての液圧室28ならびに圧媒液リザーバ16は、液圧アクチュエータ12から隔離されている。
【0060】
液圧アクチュエータ12は、液圧管路30内の圧媒液に吸引力を加えるために作動され得る。例えば、シリンジポンプの形態の液圧アクチュエータ12、または同様のポンプまたはアクチュエータ、のピストン14は、アクチュエータ室13を拡張するために近位方向42に移動され得る。このようにして、圧媒液は選択された硬質リザーバの液圧室28aから、開いている弁22aおよび液圧管路30を介して、アクチュエータ室13に引き込まれる。圧媒液が液圧室28aから引き込まれるに伴い、液圧室28aの容積は縮小し、可撓性ダイアフラム24aは送出室26aから近位側に引き寄せられる(圧媒液は非圧縮性であり、液圧系統11と外部環境との間に開口部が皆無であるように液圧系統11は密閉されていると想定する)。したがって、送出液は、送出導管32aから送出室26aに引き込まれる(送出液は非圧縮性であり、試薬送出系統21は外部環境から密閉されていると想定する)。
【0061】
液圧系統11の動作を可能にする液圧系統11の構成要素内の圧媒液(アクティブな圧媒液)の体積は、液体送出システム10の現在の構成および意図された動作に応じて変化し得る。例えば、全ての硬質リザーバ20の送出室26が(例えば、
図1Aのように)送出液で充たされており、送出液が唯一の送出室26(例えば、
図2のように送出室26a)から送出されるときは、最小量のアクティブな圧媒液が必要とされ得る(例えば、アクチュエータ室13の最大容量が、予想される全ての状況下で、例えば、全ての送出室26の全内容量の送出時、液体送出システム10の動作に必要とされるアクティブな圧媒液の最大体積未満である場合)。
【0062】
他方、場合によっては、一部の硬質リザーバ20の送出室26内の送出液が空であるか、または部分的にのみ充填されていることがあり得る(例えば、それら送出室26からの送出液の前回の送出後、またはそれら送出室26への充填前)。この場合、それら硬質リザーバ20の液圧室28は、圧媒液によって完全に、または部分的に、充填され得る。この場合、アクティブな圧媒液の体積(例えば、アクチュエータ室13に残っている圧媒液の体積)は、充填された状態の、または部分的に充填された状態の、残りの送出室26から送出液を送出するために十分でないことがある。この場合、アクティブな圧媒液の体積は、圧媒液リザーバ16から(例えば、アクチュエータ室13に)圧媒液を引き込むことによって増加され得る。
【0063】
図4は、本発明の一実施形態による、圧媒液を圧媒液リザーバのために引き込むための、
図1Aに示されている液体送出システムの動作を模式的に示す。
【0064】
図4に示されている構成例においては、対応する液圧室28が圧媒液でほぼ最大限まで充填されるように、可撓性ダイアフラム24bは遠位側に十分に延伸されている。可撓性ダイアフラム24cは、その対応する液圧室28の体積が最大体積のほぼ半分であるように、その延伸範囲のほぼ中間点にある。可撓性ダイアフラム24aは近位側に最大限引き込まれている。この構成において、アクチュエータ室13に残っている圧媒液の量は、近位側に引き込まれている可撓性ダイアフラム24に対応する送出室26の中の全送出液を送出するには不十分であり得る。
【0065】
図示の構成例においては、圧媒液を圧媒液リザーバ16からアクチュエータ室13に引き込むために、液圧系統11が作動され得る。全ての硬質リザーバ弁22が閉じられており、液圧リザーバ弁18は開かれている。液圧アクチュエータ12のピストン14は、アクチュエータ室13を拡張するために、近位方向42に移動される。圧媒液は、圧媒液リザーバ16から、液圧リザーバ導管31および開いている液圧リザーバ弁18を介して、アクチュエータ室13に引き込まれる。圧媒液を圧媒液リザーバ16から引き込んでいるとき、圧媒液リザーバ16の壁は折り畳まれ得る。圧媒液リザーバ16からアクチュエータ室13に十分な体積の圧媒液が引き込まれると(例えばセンサ38によって検知された量に応じて、例えば、コントローラ34の動作のためのプログラム化された命令によって、判定されると)、ピストン14の近位側への移動42が停止され得る。
【0066】
圧媒液を圧媒液リザーバ16からアクチュエータ室13に引き込んだ後、液圧リザーバ弁18は閉じられ得る。遠位方向40へのピストン14の以降の移動は、対応する硬質リザーバ弁22が開いている何れの液圧室28にも圧媒液を押し込み得る。
【0067】
場合によっては、例えば、アクチュエータ室13の現在の容積がその最大容積に近いときは、例えば送出液を1つ以上の送出室26に引き込むために、十分な圧媒液を液圧室28から引き込むために、ピストン14を近位方向42に十分な距離変位できないこともある。このような場合は、圧媒液をアクチュエータ室13から圧媒液リザーバ16に押し込むために、上記の操作が反転され得る。
【0068】
圧媒液をアクチュエータ室13から圧媒液リザーバ16に押し込むために、全ての硬質リザーバ弁22が閉じられ得る、更には液圧リザーバ弁18が開かれ得る。アクチュエータ室13の容積を減らすために、液圧アクチュエータ12のピストン14は遠位方向40に移動され得る。圧媒液は、アクチュエータ室13から、液圧リザーバ導管31および開いている液圧リザーバ弁18を介して、圧媒液リザーバ16に押し込まれる。圧媒液を圧媒液リザーバ16に押し込んでいるとき、圧媒液リザーバ16の壁が拡張し得る。(例えば、センサ38によって検知された量に応じて、例えば、コントローラ34の動作のためのプログラム化された命令によって、判定されるように)十分な体積の圧媒液がアクチュエータ室13から圧媒液リザーバ16に押し込まれると、ピストン14の遠位側への移動40が停止され得る。
【0069】
圧媒液がアクチュエータ室13から圧媒液リザーバ16に押し込まれた後、液圧リザーバ弁18は閉じられ得る。ピストン14の近位方向42への以降の移動は、対応する硬質リザーバ弁22が開いている何れの液圧室28からも圧媒液を引き込み得る。
【0070】
本発明の一実施形態によると、圧媒液が圧媒液リザーバ16からアクチュエータ室13に引き込まれた後、液圧リザーバ弁18は閉じられ得る。ピストン14の遠位方向40への以降の移動は、対応する硬質リザーバ弁22が開いている何れの液圧室28にも圧媒液を押し込み得る。
【0071】
圧媒液が圧媒液リザーバ16からアクチュエータ室13に引き込まれた後、液圧リザーバ弁18は閉じられ得る。ピストン14の遠位方向40への以降の移動は、対応する硬質リザーバ弁22が開いている何れの液圧室28にも圧媒液を押し込み得る。
【0072】
場合によっては、液体送出システム10は、自動動作を容易にするための、および微小重力環境での動作を容易にするための、特徴を含み得る。
【0073】
図5は、自動動作および微小重力環境での動作を容易にするための、
図1Aに示されている液体送出システムの構成要素を模式的に示す。
【0074】
圧媒液リザーバ16は、圧媒液リザーバ16の壁の全体崩壊を防止するための内部リザーバ構造58を含み得る。例えば、圧媒液リザーバ16の壁の全体崩壊を防止するために、内部リザーバ構造58は、複数の穴または横突起を有する硬質の内部管、または複数の内部リブを有する複数の壁、を含み得る。リザーバの内部構造58は、圧媒液リザーバ16の全ての部分への圧媒液の導入、およびこれらからの引き出し、を保証し得る、または容易にし得る。
【0075】
図示のような送出導管32bなど、1つ以上または全ての送出導管32の各々は(例えば、図示されていない送出液送出元容器に接続された)送出液送出元導管50に、および(例えば、送出液が送出室26bから送出される、液体送出システム10の、図示されていない、送出先構成要素に接続された)送出導管52に、接続され得る。送出室26bから送出液送出元導管50への送出液の送出、または送出導管52から送出室26bへの送出液の充填、を阻止するための、単一状態の逆流防止弁54などの一方弁、または他の種類の一方弁または弁組立体、から成る系統が設けられ得る。
【0076】
閉じ込められたガスまたは気泡を送出導管32bから除去するためのガス除去用組立体56が送出導管32bに設けられ得る。例えば、ガス除去用組立体56は、送出導管32b内の送出液からガスを分離し得るガス分離用構成要素57(例えば、除去対象のガスに対して透過性の、しかし送出液に対して不透過性の、膜または他の構成要素)を含み得る。分離されたガスは、ガス抜き孔55を介して(例えば、環境に)逃され得る。
【0077】
コントローラ34は、液体送出を制御するための方法に従って液体送出システム10を作動させるように構成され得る。
【0078】
図6は、本発明の一実施形態による、液体送出システムの制御方法を示すフローチャートである。
【0079】
本願明細書において参照される何れのフローチャートに関しても、フローチャートのブロックによって表されている不連続操作への図示の方法の分割は、便宜上および明瞭化のためにのみ選択されていることを理解されるべきである。不連続操作への図示の方法の代替分割も可能であり、相当する結果をもたらす。不連続操作への図示の方法のこのような代替分割は、図示の方法の他の実施形態を表していると理解されるべきである。
【0080】
同様に、別様に示されていない限り、本願明細書において参照される何れかのフローチャートのブロックによって表されている操作の図示の実行順は、便宜上および明瞭化のためにのみ選択されていることを理解されるべきである。図示の方法の操作は、代替の順番で、または同時に、実行され得るものであり、相当する結果をもたらし得る。図示の方法の操作の順番の変更は、図示の方法の他の実施形態を表すものと理解されるべきである。
【0081】
システム制御方法100は、液体送出システム10のコントローラ34のプロセッサによって実行され得る。例えば、システム制御方法100は、液体送出システム10が(例えば、操作者によって、またはコントローラ34のプロセッサの動作のためのプログラム化された命令によって)送出液を移送するように指令されたときに、実行され得る。
【0082】
場合によっては、送出液は選択された1つ以上の硬質リザーバ20から送出される(ブロック110)。例えば、送出液は、液体送出システム10の処理ユニットに送出され得る。
【0083】
アクチュエータ室13内の圧媒液の体積が(例えば、センサ38によって)チェックされ、必要な体積と比較され得る(ブロック120)。例えば、センサ38は、アクチュエータ室13内の圧媒液の体積を直接測定し得る、またはピストン14の位置を測定し得る、またはアクチュエータ室13内の圧媒液の体積をそれから判定し得る別の量を測定し得る。
【0084】
体積が不十分な場合は、或る量の圧媒液が圧媒液リザーバ16からアクチュエータ室13に引き込まれ得る(ブロック130)。例えば、全ての硬質リザーバ弁22が閉じられ得る、液圧リザーバ弁18が開かれ得る、およびピストン14が近位方向42に移動され得る。その量は、アクチュエータ室13内の圧媒液の体積を必要とされる、または所望される、体積に増やすために、十分であり得る。
【0085】
アクチュエータ室13内の圧媒液の体積が十分な場合は、または十分になったときは、圧媒液が送出される選択された硬質リザーバ20の硬質リザーバ弁22が開かれ得る(ブロック140)。
【0086】
次に、選択された硬質リザーバ20から送出液を押し出すように、液圧アクチュエータ12が作動され得る(例えば、ピストン14が遠位方向40に移動され得る)(ブロック150)。
【0087】
場合によっては、選択された1つ以上の硬質リザーバ20の各々の送出室26が接続されている送出元からの送出液でその送出室26が充填されるように、送出液は選択された硬質リザーバ20に送出される(ブロック160)。例えば、送出液は、送出液の容器から送出され得る。送出されない場合は、システム制御方法100の実行が終了され得る(ブロック195)。
【0088】
アクチュエータ室13内の圧媒液の体積が(例えば、センサ38によって)チェックされて必要な体積と比較され得る(ブロック170)。例えば、センサ38は、アクチュエータ室13内の圧媒液の体積を直接測定し得る、またはピストン14の位置を測定し得る、またはアクチュエータ室13内の圧媒液の体積をそれから判定し得る別の量を測定し得る。
【0089】
体積が大き過ぎて送出液を選択された硬質リザーバ20に引き込めない場合は、或る量の圧媒液がアクチュエータ室13から圧媒液リザーバ16に押し込まれ得る(ブロック180)。例えば、全ての硬質リザーバ弁22が閉じられ得る、液圧リザーバ弁18が開かれ得る、およびピストン14が遠位方向40に移動され得る。その量は、アクチュエータ室13内の圧媒液の体積を必要とされる、または所望される、体積まで減らすほど十分であり得る。
【0090】
アクチュエータ室13内の圧媒液の体積が十分に低い場合は、または十分に低くなったときは、圧媒液の送出先である選択された硬質リザーバ20の硬質リザーバ弁22が開かれ得る(ブロック185)。
【0091】
次に、選択された硬質リザーバ20に送出液を引き込むように、液圧アクチュエータ12が作動され得る(例えば、ピストン14が近位方向42に移動され得る)(ブロック190)。
【0092】
複数の異なる実施形態が本願明細書に開示されている。いくつかの実施形態の特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わされ得る。したがって、いくつかの実施形態は、複数の実施形態の特徴の組み合わせであり得る。本発明の各実施形態の上記説明は、例示および説明を目的として提示されている。上記説明は、網羅的であろうとするものでも、本発明を開示されている厳密な形態に限定しようとするものでもない。当業者は、上記教示を踏まえて、多くの改造例、変形例、置換例、変更例、および均等物が可能であることを理解されるはずである。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神に属するような改造例および変更例の全てを網羅しようとするものであることを理解されたい。
【0093】
本願明細書には本発明のいくつかの特徴が例示および説明されているが、当業者には多くの改造例、置換例、変更例、および均等物が想起されるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神に属するような改造例および変更例の全てを網羅しようとするものであることを理解されたい。
【手続補正書】
【提出日】2022-07-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
複数の硬質リザーバであって、前記硬質リザーバの各々の内部空間が可撓性ダイアフラムによって液圧室と送出室とに分割され、前記液圧室は弁を介して圧媒液導管に接続され、前記送出室は送出導管に接続され、前記ダイアフラムは前記液圧室に充填される圧媒液に対して、および前記送出室に充填される送出液に対して、不透過性である、硬質リザーバと、
液圧アクチュエータであって、前記液圧アクチュエータは、前記複数の硬質リザーバのうち、その弁が開いている硬質リザーバの前記送出室から前記接続された送出導管に前記送出液を押し出すためにその硬質リザーバの前記可撓性ダイアフラムを遠位側に押すように、前記液圧室に前記圧媒液を押し込むように前記圧媒液導管の中の前記圧媒液に圧力を加えるために、作動可能であり、更には前記接続された送出導管から前記送出液をその硬質リザーバの前記送出室に引き込むために、その硬質室の前記可撓性ダイアフラムを近位側に引き寄せるように、その弁が開いているその硬質リザーバの前記液圧室から前記圧媒液を引き込むように前記圧媒液導管の中の前記圧媒液に吸引力を加えるために作動可能である、液圧アクチュエータと、
を備え、
前記送出導管は、前記送出導管は、前記システムの送出先構成要素に逆流防止弁を介して接続される、システム。
【請求項2】
システムであって、
複数の硬質リザーバであって、前記硬質リザーバの各々の内部空間が可撓性ダイアフラムによって液圧室と送出室とに分割され、前記液圧室は弁を介して圧媒液導管に接続され、前記送出室は送出導管に接続され、前記ダイアフラムは前記液圧室に充填される圧媒液に対して、および前記送出室に充填される送出液に対して、不透過性である、硬質リザーバと、
液圧アクチュエータであって、前記液圧アクチュエータは、前記複数の硬質リザーバのうち、その弁が開いている硬質リザーバの前記送出室から前記接続された送出導管に前記送出液を押し出すためにその硬質リザーバの前記可撓性ダイアフラムを遠位側に押すように、前記液圧室に前記圧媒液を押し込むように前記圧媒液導管の中の前記圧媒液に圧力を加えるために、作動可能であり、更には前記接続された送出導管から前記送出液をその硬質リザーバの前記送出室に引き込むために、その硬質室の前記可撓性ダイアフラムを近位側に引き寄せるように、その弁が開いているその硬質リザーバの前記液圧室から前記圧媒液を引き込むように前記圧媒液導管の中の前記圧媒液に吸引力を加えるために作動可能である、液圧アクチュエータと、
を備え、
前記送出導管は、逆流防止弁を介して前記送出液の送出元に接続される、システム。
【請求項3】
システムであって、
複数の硬質リザーバであって、前記硬質リザーバの各々の内部空間が可撓性ダイアフラムによって液圧室と送出室とに分割され、前記液圧室は弁を介して圧媒液導管に接続され、前記送出室は送出導管に接続され、前記ダイアフラムは前記液圧室に充填される圧媒液に対して、および前記送出室に充填される送出液に対して、不透過性である、硬質リザーバと、
液圧アクチュエータであって、前記液圧アクチュエータは、前記複数の硬質リザーバのうち、その弁が開いている硬質リザーバの前記送出室から前記接続された送出導管に前記送出液を押し出すためにその硬質リザーバの前記可撓性ダイアフラムを遠位側に押すように、前記液圧室に前記圧媒液を押し込むように前記圧媒液導管の中の前記圧媒液に圧力を加えるために、作動可能であり、更には前記接続された送出導管から前記送出液をその硬質リザーバの前記送出室に引き込むために、その硬質室の前記可撓性ダイアフラムを近位側に引き寄せるように、その弁が開いているその硬質リザーバの前記液圧室から前記圧媒液を引き込むように前記圧媒液導管の中の前記圧媒液に吸引力を加えるために作動可能である、液圧アクチュエータと、
を備え、
前記送出導管は、前記送出導管内の送出液からガスを分離するためのガス分離用構成要素を備えるガス除去用組立体を含む、システム。
【請求項4】
前記ガス除去用組立体は、除去対象のガスに対して透過性の、および前記送出液に対し
て不透過性の、ガス除去用構成要素を含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記弁は、前記弁を開閉するために動作可能なソレノイドを含む、請求項3に記載の
システム。
【外国語明細書】