(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022130469
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】被覆鋼板の製造方法
(51)【国際特許分類】
C23C 2/02 20060101AFI20220830BHJP
C23C 2/06 20060101ALI20220830BHJP
C23C 28/02 20060101ALI20220830BHJP
C25D 5/26 20060101ALI20220830BHJP
C22C 19/03 20060101ALI20220830BHJP
C22C 38/00 20060101ALI20220830BHJP
C22C 38/58 20060101ALI20220830BHJP
C21D 9/46 20060101ALI20220830BHJP
C22C 18/04 20060101ALN20220830BHJP
C22C 18/00 20060101ALN20220830BHJP
【FI】
C23C2/02
C23C2/06
C23C28/02
C25D5/26 E
C22C19/03 L
C22C38/00 301T
C22C38/58
C21D9/46 J
C22C38/00 302X
C22C18/04
C22C18/00
【審査請求】有
【請求項の数】29
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095605
(22)【出願日】2022-06-14
(62)【分割の表示】P 2020522935の分割
【原出願日】2018-10-19
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2017/001282
(32)【優先日】2017-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(71)【出願人】
【識別番号】515214729
【氏名又は名称】アルセロールミタル
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アニルバン・チャクラボルティー
(72)【発明者】
【氏名】ハッサン・ガーセミー-アルマキ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】金属コーティングで被覆された、LMEの問題がない鋼板の製造方法および前記鋼板を提供する。
【解決手段】A.鉄及びニッケルを含む第1のコーティングで被覆された、プレコート鋼板を準備する工程、
B.このようなプレコート鋼板を、600~1000℃の温度で熱処理する工程、
C.工程B)で得られた鋼板を、亜鉛ベースの第2のコーティングで被覆する工程、
とを含む、被覆鋼板の製造方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆鋼板の製造方法であって、以下の工程
A.鉄及びニッケルを含む第1のコーティングで被覆されたプレコート鋼板を準備する工程と、
B.このようなプレコート鋼板を600~1000℃の温度で熱処理する工程と、
C.工程B)で得られた前記鋼板を、亜鉛ベースの第2のコーティングで被覆する工程と、
を含む方法。
【請求項2】
工程A)において、第1のコーティングが、10%~75重量%の鉄を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程A)において、第1のコーティングが、25~65重量%の鉄を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
工程A)において、第1のコーティングが、40~60%の重量の鉄を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
工程A)において、第1のコーティングが、25~90重量%のニッケルを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程A)において、第1のコーティングが、35~75重量%のニッケルを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
工程A)において、第1のコーティングが、40~60重量%のニッケルを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
工程A)において、第1のコーティングが、鉄及びニッケルからなる、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
工程A)において、第1のコーティングが、0.5μm以上の厚さを有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
工程A)において、第1のコーティングが、0.8~5.0μmの厚さを有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
工程A)において、第1のコーティングが、1.0~2.0μmの厚さを有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
工程A)において、鋼板の成分が、
0.10<C<0.40%、
1.5<Mn<3.0%、
0.7<Si<2.0%、
0.05<Al<1.0%、
0.75<(Si+AI)<3.0%、
及び純粋に任意ベースで1つ以上の元素、例えば
Nb≦0.5%、
B≦0.005%、
Cr≦1.0%、
Mo≦0.50%、
Ni≦1.0%、
Ti≦0.5%、
を含み、
残りの成分が、鉄及び加工で生じる不可避の不純物で構成される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
工程C)において、第2の層が、50%超の亜鉛を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
工程C)において、第2の層が、75%超の亜鉛を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
工程C)において、第2の層が、90%超の亜鉛を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
工程C)において、第2の層が、亜鉛からなる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
工程B)において、熱処理が、連続焼鈍である、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
工程B)において、熱処理が、-10~-60℃の露点で、H2を1~30%含む雰囲気中で行われる、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか一項に記載の方法から得られる鋼板であって、鉄及びニッケルを含む拡散合金層で被覆され、そのような層が、亜鉛ベースの層によって直接覆われる鋼板。
【請求項20】
鋼の微細構造が、1~50%の残留オーステナイト、1~60%のマルテンサイト、並びに任意にベイナイト、フェライト、セメンタイト及びパーライトから選択される少なくとも1つの成分を含む、請求項19に記載の鋼板。
【請求項21】
微細構造が、5~25%の残留オーステナイトを含む、請求項20に記載の鋼板。
【請求項22】
微細構造が、1~60%の焼戻しマルテンサイトを含む、請求項20又は21に記載の鋼板。
【請求項23】
微細構造が、10~40%のベイナイトを含む、請求項20~22のいずれか一項に記載の鋼板。
【請求項24】
微細構造が、1~25%のフェライトを含む、請求項20~23のいずれか一項に記載の鋼板。
【請求項25】
微細構造が、1~15%の非焼戻しマルテンサイトを含む、請求項20~24のいずれか一項に記載の鋼板。
【請求項26】
請求項19~25のいずれか一項に記載の鋼板、又は請求項1~18のいずれか一項に記載の方法から得られる鋼板を少なくとも1枚含む、少なくとも2枚の金属板のスポット溶接継手であって、前記継手に含まれる100μm超のサイズのクラックの数が、3つ未満であり、最長のクラックの長さが、500μm未満である、スポット溶接継手。
【請求項27】
2枚目の金属板が、鋼板又はアルミニウム板である、請求項26に記載のスポット溶接継手。
【請求項28】
2枚目の金属板が、請求項19~25のいずれか一項に記載の鋼板、又は請求項1~18に記載の方法から得られる鋼板である、請求項27に記載のスポット溶接継手。
【請求項29】
鋼板又はアルミニウム板である3枚目の金属板を含む、請求項26~28のいずれか一項に記載のスポット溶接継手。
【請求項30】
請求項19~25のいずれか一項に記載の被覆鋼板、又は請求項26~29のいずれか一項に記載のスポット溶接点の、自動車両用部品の製造のための使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被覆鋼板の製造方法に関する。本発明は、自動車の製造に、特によく適する。
【0002】
亜鉛ベースのコーティングは、バリア防食及び陰極防食によって腐食を防ぐことができるので、一般的に使用されている。鋼の表面に金属コーティングを塗布することで、バリア効果が得られる。したがって、金属コーティングは、鋼と腐食性雰囲気との接触を防止する。バリア効果は、コーティング及び基材の性質に依存しない。対照的に、犠牲的な陰極防食は、亜鉛が鋼よりイオン化傾向の高い金属であるという事実に基づく。したがって、腐食が発生した場合、亜鉛は鋼よりも先に消耗される。陰極防食は、周囲の亜鉛が鋼よりも先に消耗されるカットエッジのように、鋼が腐食性雰囲気に直接さらされる領域では不可欠である。
【0003】
しかしながら、そのような亜鉛被覆鋼板に対して加熱工程、例えばホットプレス硬化又は溶接が行われる場合、鋼/コーティング界面から広がるクラックが、鋼において観察される。実際、時々、上記の作業後に存在する被覆鋼板のクラックによって、金属の機械的特性が低下する。これらのクラックは次の条件で確認される:高温、引張応力が存在する上での低融点の液体金属(亜鉛など)との接触、基材の結晶粒及び結晶粒界における溶融金属の不均一な拡散である。このような現象は、液体金属脆化(LME)という呼称で知られており、液体金属アシストクラッキング(LMAC)とも呼ばれる。
【背景技術】
【0004】
US2012100391は、良好なめっき品質、めっき密着性及びスポット溶接性を有する溶融亜鉛めっき鋼板を製造する方法を開示しており、この方法は、
-ベース鋼板を0.1-1.0g/m2のコーティング量のNi(CNi)でコーティングする工程、
-Ni被覆鋼板を還元雰囲気で加熱する工程、
-加熱された鋼板を、鋼板が亜鉛めっき浴に投入される温度(Xs)まで冷却する工程、及び
-有効Al濃度(CAI)が0.11~0.14wt%であり、440~460℃の温度(Tp)である亜鉛めっき浴に冷却された鋼板を投入し、浸漬する工程であって、鋼板が亜鉛めっき浴に投入される温度(Xs)が、CNi(Xs-Tp)/2CAl=5-100の関係を満たす工程
を含む。
【0005】
それはさらに、合金相が亜鉛めっき層の断面積の1~20%を占めるFe-Zn合金相である、溶融亜鉛めっき鋼板を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2012/0100391号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の方法では0.11~0.14wt%のAlを含む浴で亜鉛めっきが実施されたため、抑制層が非常に弱く、Fe-Zn金属間相が形成された。スポット溶接性は、コーティング中のNiの量、亜鉛めっき浴のAl濃度、及び亜鉛めっき浴の温度と鋼板が亜鉛めっき浴に投入される温度との差を含む制御パラメーターに依存するため、工業的規模では、この方法を適用することは困難である。さらに、実施されるスポット溶接性は、電極寿命、すなわちナゲット径が4Vt(t:鋼板厚)に達した時点で測定された連続溶接スポットの数を基に評価される。スポット溶接後の被覆鋼板のクラックの存在の減少については、言及されていない。
【0008】
したがって本発明の目的は、金属コーティングで被覆された、LMEの問題がない鋼板を提供することである。それは、成形及び/又は溶接後にLMEの問題のない部品を得るための、特に実行が容易な方法を提供することを目的とする。
【0009】
この目的は、請求項1に記載の方法を提供することによって達成される。この方法は、請求項2~18のいずれかの特徴を含むこともできる。
【0010】
別の目的は、請求項19に記載の鋼板を提供することによって達成される。この鋼板は、請求項20~25のいずれかの特徴を含むこともできる。
【0011】
別の目的は、請求項26に記載のスポット溶接継手を提供することによって達成される。このスポット溶接継手は、請求項27~29の特徴を含むこともできる。
【0012】
最後に、別の目的は、請求項30に記載の鋼板又は組立物の使用を提供することによって達成される。
【0013】
本発明の他の特徴及び利点は、本発明の以下の詳細な説明から、明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0014】
「鋼」又は「鋼板」という呼称は、部品が最大2500MPa、より好ましくは最大2000MPaの引張強度を達成することを可能にする成分を有する鋼の板、コイル、プレートを意味する。例えば、引張強度は、500MPa以上、好ましくは980MPa以上、有利には1180MPa以上、さらには1470MPa以上である。
【0015】
本発明は、以下の工程を含む、被覆鋼板の製造方法に関する。
【0016】
A.鉄及びニッケルを含む第1のコーティングで被覆された、プレコート鋼板を準備する工程、
B.このようなプレコート鋼板を、600~1000℃の温度で熱処理する工程、
C.工程B)で得られた鋼板を、亜鉛ベースの第2のコーティングで被覆する工程。
【0017】
いかなる理論に束縛されるつもりはないが、熱処理の前に鉄及びニッケルの第1のコーティングを鋼板上に堆積させることが、本発明の本質的な特徴である。なぜなら熱処理中に、一方でNiが鋼板に向かって拡散して、Fe-Ni合金層をもたらすからである。他方、若干量のNiが、鋼とコーティング界面との界面に依然として存在し、あらゆる加熱工程、例えば溶接中に液体亜鉛が鋼へ浸透するのを防止する。このように、本発明による方法を適用することによって、LMEに対するバリア層を得ることが可能である。
【0018】
鉄及びニッケルを含む第1のコーティングは、当業者に知られている任意の堆積方法によって堆積される。それは、真空蒸着又は電気めっき法で堆積され得る。好ましくは、それは電気めっき法で堆積される。
【0019】
好ましくは、工程A)において、第1のコーティングは、10~75重量%、より好ましくは25~65重量%、有利には40~60重量%の鉄を含む。
【0020】
好ましくは、工程A)において、第1のコーティングは、25~90重量%、好ましくは35~75重量%、有利には40~60重量%のニッケルを含む。
【0021】
好ましい実施形態では、工程A)において、第1のコーティングは、鉄及びニッケルからなる。
【0022】
好ましくは、工程A)において、第1のコーティングは、0.5μm以上の厚さを有する。より好ましくは、第1のコーティングは、0.8~5.0μm、有利には1.0~2.0μmの厚さを有する。
【0023】
好ましくは、工程A)において、鋼板の成分は
0.10<C<0.40%、
1.5<Mn<3.0%、
0.7<Si<2.0%、
0.05<Al<1.0%、
0.75<(Si+AI)<3.0%、
及び純粋に任意ベースで1つ以上の元素、例えば
Nb≦0.5%、
B≦0.005%、
Cr≦1.0%、
Mo≦0.50%、
Ni≦1.0%、
Ti≦0.5%、
を重量で含み、
残りの成分は、鉄を及び加工で生じる不可避の不純物で構成される。
【0024】
好ましくは、工程B)において、熱処理は連続焼鈍である。例えば、連続焼鈍は、加熱、浸漬及び冷却工程を含む。それは、予熱工程をさらに含むことができる。
【0025】
有利には、熱処理は、露点-10~-60℃で、H2を1~30%含む雰囲気中で実施される。例えば、雰囲気は、露点-40℃~-60℃で、H2を1~10%含む。
【0026】
有利には、工程C)において、第2の層は、50%超、より好ましくは75%超の亜鉛、有利には90%超の亜鉛を含む。第2の層は、当業者に知られている任意の堆積方法によって堆積させることができる。それは、溶融めっきコーティング、真空蒸着又は電気亜鉛めっきによって可能である。
【0027】
例えば、亜鉛ベースのコーティングは、0.01~8.0%のAl、任意に0.2~8.0%のMgを含み、残りはZnである。
【0028】
好ましくは、亜鉛ベースのコーティングは、溶融亜鉛めっきによって堆積される。この実施形態では、溶融浴は、インゴットの投入による、又は鋼板の溶融浴内の通過による不可避の不純物及び残留元素も含むことができる。例えば、任意に不純物は、Sr、Sb、Pb、Ti、Ca、Mn、Sn、La、Ce、Cr、Zr又はBiから選択され、各追加元素の重量含有量は、0.3重量%未満である。インゴットの投入又は鋼板の溶融浴中の通過による残留元素は、含有量5.0重量%までの、好ましくは3.0重量%までの鉄であり得る。
【0029】
好ましい実施形態では、第2の層は亜鉛からなる。コーティングが溶融亜鉛めっきによって堆積される場合、Alは、0.15~0.40wt%のパーセンテージで浴中に含まれる。さらに、第1のコーティング中に存在する鉄は、抑制層Fe2Al5を形成するためにアルミニウムと反応して、溶融亜鉛めっき中に反応性のぬれ挙動をもたらす。
【0030】
本発明による方法により、鉄及びニッケルを含む拡散合金層で被覆された鋼板が得られ、このような層は、亜鉛ベースの層によって直に覆われる。拡散合金層は、LMEに対するバリア層のように機能し、コーティング密着性を改善すると考えられる。
【0031】
好ましくは、鋼板は、1~50%の残留オーステナイト、1~60%のマルテンサイト、並びに任意にベイナイト、フェライト、セメンタイト及びパーライトから選択される少なくとも1つの成分を含む微細構造を有する。この場合、マルテンサイトは焼戻しされても、されなくてもよい。
【0032】
好ましい実施形態では、鋼板は、5~25%の残留オーステナイトを含む微細構造を有する。
【0033】
好ましくは、鋼板は、1~60%、より好ましくは10~60%の焼戻しマルテンサイトを含む微細構造を有する。
【0034】
有利には、鋼板は、10~40%のベイナイトを含む微細構造を有し、そのようなベイナイトは、10~20%の下部ベイナイト、0~15%の上部ベイナイト及び0~5%の炭化物非含有ベイナイトを含む。
【0035】
好ましくは、鋼板は、1~25%のフェライトを含む微細構造を有する。
【0036】
好ましくは、鋼板は、1~15%の非焼戻しマルテンサイトを含む微細構造を有する。
【0037】
鋼板の製造後、車両のいくつかの部品を製造するために、2枚の金属板を溶接して組み立てることが知られている。したがって、少なくとも2枚の金属板の溶接中にスポット溶接継手が形成され、前記スポットは少なくとも2枚の金属板間を連結する。
【0038】
本発明によるスポット溶接継手を製造するために、溶接は3kA~15kAの実効電流で実施され、電極に加えられる圧力は150~850daNであり、前記電極の活性面の直径は4~10mmである。
【0039】
したがって、本発明による被覆鋼板を含む少なくとも2枚の金属板のスポット溶接継手が得られ、そのような継手に含まれる100μm超のサイズのクラックは、3つ未満であり、最長のクラックの長さは、500μm未満である。
【0040】
好ましくは、2枚目の金属板は、鋼板又はアルミニウム板である。より好ましくは、2枚目の金属板は、本発明による鋼板である。
【0041】
別の実施形態では、スポット溶接継手は、鋼板又はアルミニウム板である3枚目の金属板を含む。例えば、3枚目の金属板は、本発明による鋼板である。
【0042】
本発明の鋼板又はスポット溶接継手は、自動車両用部品の製造に使用することができる。
【0043】
実施された試験において、これから本発明を情報の目的のみで説明する。それらは、限定するものではない。
【実施例0044】
すべてのサンプルについて、使用した鋼板の成分の重量パーセントは、C=0.37%、Mn=1.9wt%、Si=1.9wt%、Cr=0.35wt%、Al=0.05wt%及びMo=0.1wt%である。
【0045】
試作1及び2は、45%のFeを含み、残りがNiである第1のコーティングを堆積させることによって調製した。次に、露点-45℃で、5%のH2及び95%のN2を含む雰囲気中で連続焼鈍を実施した。プレコート鋼板を900℃の温度で加熱した。最後に、0.2%のAlを含む亜鉛浴による溶融亜鉛めっきによって、亜鉛コーティングを堆積させた。浴温は、460℃であった。
【0046】
比較のため、上記鋼板の連続焼鈍後、電気亜鉛めっきにより亜鉛コーティングを堆積させて試作3を調製した。
【0047】
試作1~3の、LMEに対する耐性を評価した。この目的のために、各試作について2枚の被覆鋼板を抵抗スポット溶接によって溶接した。電極のタイプは16mmの直径を有するISOタイプBであり、電極の圧力は5kNであり、水の流量は1.5g/分であった。溶接サイクルを表1に示す。
【0048】
【表1】
表2に報告されるように、100μmを超えるクラックの数を、光学顕微鏡及びSEM(走査型電子顕微鏡法)を使用して評価した。
【0049】
【表2】
本発明による試作は、試作3と比較してLMEに対する優れた耐性を示す。
【0050】
次に、各試作について3枚の被覆鋼板を、抵抗スポット溶接によって3層重ね構成で溶接した。次に、100μmを超えるクラックの数を、表3に報告されているように、光学顕微鏡及びSEM(走査型電子顕微鏡)を使用して評価した。
【0051】
【表3】
本発明による試作は、試作3と比較して、LMEに対する優れた耐性を示す。
【0052】
最後に、試作1及び2を90°の角度で曲げた。次に、粘着テープを貼ってはがし、基材鋼とのコーティング密着性を確認した。それらの試作のコーティング密着性は、優れていた。