(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022130512
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】コンピュータシステム
(51)【国際特許分類】
A63F 13/79 20140101AFI20220830BHJP
A63F 13/49 20140101ALI20220830BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20220830BHJP
【FI】
A63F13/79
A63F13/49
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099669
(22)【出願日】2022-06-21
(62)【分割の表示】P 2020051138の分割
【原出願日】2020-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000129149
【氏名又は名称】株式会社カプコン
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】綾野 智章
(57)【要約】
【課題】コンピュータを介して行われたゲームの結果を管理できるようにする。
【解決手段】コンピュータを介して行われるゲームの結果を管理するコンピュータシステムにおいて、ゲームのゲーム結果の情報と、ゲーム結果の情報に対応したプレイヤを特定する情報とを紐付けた情報であるトランザクション情報を分散型台帳に記録する記録部を設ける。トランザクション情報には、ゲーム結果に付随して得られる権利を示すデータが含まれ、権利は、ゲームの経過を再現したリプレイデータにかかる権利である。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを介して行われるゲームの結果を管理するコンピュータシステムであって、
前記ゲームのゲーム結果の情報と、前記ゲーム結果の情報に対応したプレイヤを特定する情報とを紐付けた情報であるトランザクション情報を分散型台帳に記録する記録部を備え
前記トランザクション情報には、前記ゲーム結果に付随して得られる権利を示すデータが含まれ、
前記権利は、前記ゲームの経過を再現したリプレイデータにかかる権利である
ことを特徴とするコンピュータシステム。
【請求項2】
コンピュータを介して行われるゲームの結果を管理するコンピュータシステムであって、
前記ゲームのゲーム結果の情報と、前記ゲーム結果の情報に対応したプレイヤを特定する情報とを紐付けた情報であるトランザクション情報を分散型台帳に記録する記録部と、
前記ゲーム結果の正当性を認証する認証部を備え、
前記記録部は、前記認証部が正当であると認証したゲーム結果の情報と、前記認証されたゲーム結果の情報に対応したプレイヤを特定する情報とを紐付けた情報を前記トランザクション情報として前記分散型台帳に記録し、
前記ゲーム結果の情報には、前記ゲームにかかる判定を行った判定人を特定する情報が紐づけられ、
前記判定人のプロフィールの情報を含んだデータベースから、前記プロフィールの情報を取得する情報取得部を備え、
前記認証部は、前記情報取得部が得た前記プロフィールの情報を、前記正当性の判断に利用する
ことを特徴とするコンピュータシステム。
【請求項3】
請求項1または請求項2の何れかにおいて、
前記ゲーム結果の情報は、前記ゲームが行われた大会を特定する情報を含む
ことを特徴とするコンピュータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ゲーム大会を観戦者に観戦させるコンピュータシステムが知られている(例えば特許文献1を参照)。特許文献1には、ゲーム大会の進行にあわせて、ゲームの動画データを配信する動画配信サービスなどが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記の特許文献の例では、ゲーム結果は管理されておらず、対戦の終了後にゲーム結果を追跡することは困難である。
【0005】
本開示の目的は、コンピュータを介して行われたゲームの結果を管理できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、コンピュータを介して行われるゲームの結果を管理するコンピュータシステムであって、
前記ゲームのゲーム結果の情報と、前記ゲーム結果の情報に対応したプレイヤを特定する情報とを紐付けた情報であるトランザクション情報を分散型台帳に記録する記録部を備え
前記トランザクション情報には、前記ゲーム結果に付随して得られる権利を示すデータが含まれ、
前記権利は、前記ゲームの経過を再現したリプレイデータにかかる権利である
ことを特徴とするコンピュータシステムである。
【0007】
第2の態様は、コンピュータを介して行われるゲームの結果を管理するコンピュータシステムであって、
前記ゲームのゲーム結果の情報と、前記ゲーム結果の情報に対応したプレイヤを特定する情報とを紐付けた情報であるトランザクション情報を分散型台帳に記録する記録部と、
前記ゲーム結果の正当性を認証する認証部を備え、
前記記録部は、前記認証部が正当であると認証したゲーム結果の情報と、前記認証されたゲーム結果の情報に対応したプレイヤを特定する情報とを紐付けた情報を前記トランザクション情報として前記分散型台帳に記録し、
前記ゲーム結果の情報には、前記ゲームにかかる判定を行った判定人を特定する情報が紐づけられ、
前記判定人のプロフィールの情報を含んだデータベースから、前記プロフィールの情報を取得する情報取得部を備え、
前記認証部は、前記情報取得部が得た前記プロフィールの情報を、前記正当性の判断に利用する
ことを特徴とするコンピュータシステムである。
【0008】
上記態様態様の何れかにおいて、
前記ゲーム結果の情報は、前記ゲームが行われた大会を特定する情報を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、コンピュータを介して行われたゲームの結果を管理できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1にかかるゲームシステムの構成を示すブロック図である。
【
図6】審判用端末における制御部の機能をブロック図で示す。
【
図7】プレイヤ端末における制御部の機能をブロック図で示す。
【
図8】購入者端末における制御部の機能をブロック図で示す。
【
図11】対戦結果トークン化のフローチャートを示す。
【
図13】実施形態2におけるサーバ装置2の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示におけるコンピュータシステム、およびゲーム結果の管理方法について、図面を参照して説明する。本開示のコンピュータシステムは、ゲームシステムとして実現されている。本開示のゲーム結果の管理方法は、ゲームシステムの機能として実装されている。
【0012】
なお、以下の説明において、「ゲーム」とは、所定のルールに従って、何らかの目的を達成する活動であって、コンピュータを利用して実施されるものをいう。前記ゲームには、複数の参加者が競い合うものも(勝敗を定めるもの)もあるし、参加者毎に、得点、時間などの、何らかの指標に基づく評価を受けるものもある。ここでの参加者は、個人またはチームの両方を含む。
【0013】
また、以下の説明において、「ゲーム結果」とは、ゲームにまつわる情報(後に例示する)をすべて含む。
【0014】
とりわけ、参加者が競い合う対戦型のゲームでは、参加者を「対戦者」と呼ぶ場合がある。また、対戦型のゲームの「ゲーム結果」を「対戦結果」、と呼ぶ場合がある。
【0015】
[実施形態1]
《ゲームシステムの概要》
図1は、実施形態1にかかるゲームシステムの構成を示すブロック図である。ゲームシステム1は、例えば、eスポーツ(Electric Sports)大会を運営するために用いられる。ゲームシステム1におけるゲームは、ゲームプレイヤの操作を受けて、プレイヤキャラクタを三次元の仮想ゲーム空間(以下、単に仮想空間という)で活動させたり、プレイヤキャラクタの仲間に対して様々なアクションを行わせたりする。
【0016】
本実施形態で説明するゲームは、プレイヤキャラクタを、他のプレイヤキャラクタまたはノンプレイヤキャラクタと仮想空間内で対戦させる対戦型アクションゲームである。より詳しくは、本実施形態のゲームは、いわゆる格闘ゲームである。
【0017】
本実施形態の格闘ゲームでは、2人のゲームプレイヤが、1対1で対戦を行う。対戦では、各ゲームプレイヤが、一のキャラクタ(プレイヤキャラクタ)を選択して操作する。対戦では、例えば、いずれかのキャラクタの体力値が0になることで勝敗が決定する。
【0018】
本実施形態のeスポーツ大会では、例えば、トーナメント方式などにより、大会の優勝者が決定される。換言すると、eスポーツ大会では、一の対戦結果によって、対戦するプレイヤの組み合わせが決定される。本実施形態で例示するeスポーツ大会では、プレイヤによる不正の有無などが、審判によって判定される。
【0019】
《ハードウェアの構成》
〈概要〉
本ゲームシステム1は、サーバ装置2、審判用端末4、ゲーム装置5、および認証装置7を備えている。サーバ装置2は、審判用端末4、ゲーム装置5、および認証装置7と、通信ネットワーク6を介して、通信可能に構成されている。
【0020】
図1における購入者端末10は、対戦にかかる権利(後述)の購入を希望する者の端末である。ゲームシステム1は、購入者端末10と、通信ネットワーク6を介して通信を行う場合がある。
【0021】
ゲームシステム1には、プレイヤの端末(以下、プレイヤ端末3)が通信ネットワーク6を介して接続される場合がある。
図1の例では2台のプレイヤ端末3がゲームシステム1に接続されている。以下では、プレイヤ端末3のように複数が存在する構成要素には、必要に応じて、参照符号に枝番を付して区別する(例えば3-1、3-2等。以下同様)。
【0022】
プレイヤ端末3は、対戦にかかる権利の取引(後述)等に利用される。プレイヤ端末3-1は、プレイヤP1が使用する端末である。プレイヤ端末3-2は、プレイヤP2が使用する端末である。
【0023】
サーバ装置2は、いわゆるeスポーツ大会の管理を行う。サーバ装置2は、ゲームプログラムおよびゲームデータを記憶している。サーバ装置2は、ゲーム装置5のゲームデータの管理を行う。サーバ装置2は、eスポーツ大会の管理を行うための各種プログラムおよびデータを記憶している。
【0024】
ゲーム装置5は、ゲームプレイヤの操作に基づいてゲーム(ここでは、対戦型アクションゲーム)を実行する。本実施形態では、一台のゲーム装置5によって、一組のプレイヤ(この例では二人)の操作を受け付けるようになっている。
【0025】
ゲーム装置5には、例えば、パーソナルコンピュータ、プレイステーション(登録商標)、XBox(登録商標)、PlayStation Vita(登録商標)、Nintendo Switch(登録商標)などの、市販の装置を利用できる。
【0026】
ゲーム装置5は、通信ネットワーク6を介してサーバ装置2からゲームプログラムおよびゲームデータを受信(ダウンロード)する場合がある。ゲーム装置5は、ゲームプログラム等を受信したら、受信したゲームプログラム等をインストールする。
【0027】
ゲーム装置5は、各プレイヤ(以下、プレイヤP1,P2)の操作に基づいて、対戦型アクションゲームによる対戦を開始する。ゲーム装置5は、各プレイヤの操作に基づいてゲーム画像や音声を、ディスプレイ61およびスピーカ62(それぞれ後述)に出力しながら、ゲームを進行させる。
【0028】
ゲーム装置5は、対戦が終了すると、対戦結果を示す結果情報をサーバ装置2に送信する。結果情報には、例えば、対戦のステージ(1回戦、決勝戦などの情報)、対戦における勝者を特定する情報などの情報が含まれる。
【0029】
〈サーバ装置2の構成〉
図2は、サーバ装置2の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、サーバ装置2は、ネットワークインターフェース21、記憶部22、および制御部23を備えている。ネットワークインターフェース21、および記憶部22は、バス29を介して制御部23と電気的に接続されている。
【0030】
ネットワークインターフェース21は、インターネットおよびLANなどの通信ネットワーク6を介してゲーム装置5等と通信可能に接続されている。
【0031】
記憶部22は、HDD、SSD、RAMおよびROMなどで構成されている。記憶部22には、ゲームデータ、本実施形態に係るゲームプログラムの一部を含む各種プログラムが記憶されている。記憶部22には、例えば、プレイヤP1,P2のID情報、審判のID情報が記憶される。
【0032】
制御部23は、サーバ装置2の動作を制御する。制御部23は、CPU(マイクロコンピュータ)および半導体メモリを備えている(図示は省略)。半導体メモリには、CPUを動作させるためのプログラムなどが格納されている。
【0033】
〈ゲーム装置5の構成〉
図3は、ゲーム装置5の構成を示すブロック図である。ゲーム装置5には、
図3に示すように、ディスプレイ61、スピーカ62およびコントローラ63が外部接続または内蔵される。このゲーム装置5には、ディスプレイ61が二台設けられている(ディスプレイ61-1,61-2)。また、ゲーム装置5には、コントローラ63も二台設けられている(コントローラ63-1,63-2)。
【0034】
ディスプレイ61-1およびコントローラ63-1は、プレイヤP1が使用する。ディスプレイ61-2およびコントローラ63-2は、プレイヤP2が使用する。コントローラ63は、ゲームシステム1において標準で装備されたものに代えて、プレイヤP1,P2自身によって用意されたものが接続される場合もある。
【0035】
ゲーム装置5は、ネットワークインターフェース51、グラフィック処理部52、オーディオ処理部53、操作部54、記憶部55、および制御部56を有する。ネットワークインターフェース51、グラフィック処理部52、オーディオ処理部53、操作部54、および記憶部55は、バス59を介して制御部56と電気的に接続されている。
【0036】
ネットワークインターフェース51は、ゲーム装置5とサーバ装置2との間で、各種データを送受信するために、通信ネットワーク6に通信可能に接続される。
【0037】
グラフィック処理部52は、制御部56から出力されるゲーム画像情報に従って、仮想空間に関する各種オブジェクトを含むゲーム画像を、動画形式で描画する。グラフィック処理部52は、例えば液晶型であるディスプレイ61(61-1,61-2)と接続されている。動画形式に描画されたゲーム画像は、ゲーム画面としてディスプレイ61上に表示される。
【0038】
オーディオ処理部53は、スピーカ62と接続されている。オーディオ処理部53は、制御部56の指示に従ってゲーム音声を再生および合成し、これをスピーカ62から出力させる。
【0039】
操作部54は、コントローラ63(63-1,63-2)と接続されている。操作部54は、操作入力に関するデータをコントローラ63との間で送受信する。プレイヤP1,P2は、コントローラ63のボタン等の各種操作子を操作することで、ゲーム装置5に操作信号を入力する。
【0040】
記憶部55は、HDD、SSD、RAMおよびROMなどで構成される。記憶部55には、サーバ装置2からダウンロードされたゲームデータ、ゲームプログラムの一部を含む各種プログラムなどが格納されている。
【0041】
制御部56は、ゲーム装置5の動作を制御する。制御部56は、CPU(マイクロコンピュータ)および半導体メモリを備えている(図示は省略)。半導体メモリには、CPUを動作させるためのプログラムなどが格納されている。
【0042】
〈認証装置7の構成〉
認証装置7は、プレイヤP1,P2の本人認証を行う。認証装置7は、コードリーダ71を備えている(
図1参照)。コードリーダ71は、QRコード(登録商標)を読み取る機能を備えている。
【0043】
本実施形態では、それぞれのプレイヤP1,P2には、大会にエントリした際に、大会参加者(プレイヤ)であることを示すQRコード(登録商標)が配布されている。一例として、QRコード(登録商標)の配布は、通信ネットワーク6を介してプレイヤP1,P2が所有するプレイヤ端末3に送信することで実現できる。
【0044】
コードリーダ71は、プレイヤP1,P2が、コードリーダ71にかざしたQRコードを読み取る。認証装置7は、コードリーダ71が読み取ったQRコードに伴う情報をサーバ装置2に送信する。
【0045】
サーバ装置2は、コードリーダ71から送信されたQRコードに伴う情報の検証結果(正当なプレイヤか否かの情報)を、審判の端末(審判用端末4)に転送する。これにより、審判は、プレイヤP1,P2の本人確認ができる。
【0046】
〈各種端末の構成〉
ゲームシステム1には、既述の通り、審判用端末4が設けられている。また、ゲームシステム1には、プレイヤ端末3が接続されたり、購入者端末10が接続されたりする。
【0047】
本実施形態では、説明の便宜のため、これらの端末3,4,10は、ハードウェアの構成が同じであるものとする。例えば、各端末3,4,10は、スマートフォンに所定のソフトウェアをインストールすることによって構成できる。
【0048】
図4は、端末3,4,10の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、端末3,4,10は、ディスプレイ91、スピーカ92、およびタッチパッド93を内蔵している。
【0049】
端末3,4,10は、ネットワークインターフェース81、グラフィック処理部82、オーディオ処理部83、操作部84、および記憶部85を有する。ネットワークインターフェース81、グラフィック処理部82、オーディオ処理部83、操作部84、および記憶部85は、バス87を介して制御部86と電気的に接続されている。
【0050】
ネットワークインターフェース81は、各種データを送受信するために、通信ネットワーク6に通信可能に接続される。これにより、各端末3,4,10は、サーバ装置2との通信が可能になる。
【0051】
グラフィック処理部82は、ディスプレイ91と接続されている。グラフィック処理部82は、制御部86から出力される画像情報に従って、ディスプレイ91に各種画像を表示する。
【0052】
オーディオ処理部83は、スピーカ92と接続されている。オーディオ処理部83は、制御部86から出力される音声情報に従って、音声をスピーカ92から出力(再生)させる。
【0053】
操作部84は、タッチパッド93と接続されている。操作部84には、タッチパッド93を介して、使用者(例えばプレイヤP1)からの操作信号が入力される。使用者は、タッチパッド93を操作することにより、記憶部85に記憶された各種プログラムを実行させることができる。使用者は、タッチパッド93を操作することで、種々の情報を入力することができる。
【0054】
この例では、タッチパッド93は、ディスプレイ91と一体的に構成されている。使用者は、ディスプレイ91をタッチすることで、操作信号を入力できる。
【0055】
記憶部85は、HDD、SSD、RAMおよびROMなどで構成される。記憶部85には、各種プログラムなどが格納されている。
【0056】
制御部86は、属する端末3,4,10を制御する。制御部86は、CPU(マイクロコンピュータ)および半導体メモリを備えている(図示は省略)。半導体メモリには、CPUを動作させるためのプログラムなどが格納されている。
【0057】
《サーバ装置2における制御部23の機能的構成》
制御部23は、そのCPUが各種プログラムを実行することにより、記録部231、転送部232、仲介部233、および通知部234として機能する。
【0058】
記録部231は、トークン化を行う。ここでのトークン化とは、所有権を明確化したい事項を、送受信可能な情報として表現することである。本実施形態では、所有権を明確化したい事項には、対戦結果、およびそれに付随する権利が含まれる。
【0059】
記録部231は、トークン化した情報(後述のトランザクション情報が対応)を分散型台帳に記録する。分散型台帳は、電子的な台帳(一種のデータベース)である。分散型台帳は、複数のノード(一般的にはコンピュータ)によって共有される。
【0060】
分散型台帳の実装には、一例として、いわゆるブロックチェーンが挙げられる。本実施形態でも、分散型台帳として、ブロックチェーンの仕組みが採用されている。
【0061】
ブロックチェーンでは、データを、数珠繋ぎにされた複数のブロックとして記録し、各ノードがこれらのブロックを共有するように実装される。サーバ装置2は、分散型台帳のノードとして機能する。分散型台帳には、初期値として、最初のブロック(起源ブロック)が登録されているものとする。新たに生成されたブロックは、起源ブロックに繋がれる。
【0062】
ブロックには、トランザクション情報が含まれる。本実施形態のトランザクション情報は、対戦結果の情報と、対戦結果の情報に対応したプレイヤを特定する情報とを紐付けた情報を含んでいる。
【0063】
本実施形態では、対戦結果の情報には、以下の情報を含んでいる。
(1)大会を特定する情報(例えば大会名、開催日時、開催場所など)。
(2)対戦ステージ(例えば1回戦、決勝戦などの情報)。
(3)対戦結果に付随して得られる権利の内容
(4)対戦結果に付随して得られる権利の所有者を特定する情報
(5)対戦にかかる判定を行った判定人(例えば審判)を特定する情報(審判のID情報など)
(6)対戦相手を特定する情報(例えば、対戦相手のID情報(アカウント)など)
「対戦結果に付随して得られる権利」としては、一例として、対戦の経過を再現したリプレイデータにかかる権利(著作権、著作隣接権など)が挙げられる。プレイヤを特定する情報としては、プレイヤのID情報(アカウント)などを例示できる。また、「開催場所」は、住所で表したり、GPS(Global Positioning System)情報として表したりできる。
【0064】
転送部232は、通信網(通信ネットワーク6)を介して、トランザクション情報を含んだブロックを所定の転送先に転送する。この場合、転送部232は、転送したいブロックに、転送元および転送先を特定するための情報を含めて、分散型台帳に情報を記録することによって、ブロックを転送する。
【0065】
これにより、ブロックチェーンにブロックが繋がれる。なお、転送元および転送先を特定するための情報は、一般的なブロックチェーンの仕組みと同様に、転送元および転送先がそれぞれ用意した暗号鍵を利用して構築できる。
【0066】
仲介部233は、トランザクション情報(ブロック)の転送元と転送先とを仲介する。この例では、仲介部233は、通信ネットワーク6を介して使用者がアクセスできるマーケットを、通信ネットワーク6上に実現する。ここで、使用者とは、対戦結果に付随して得られる権利(以下、単に権利という)を売りたい者(以下、出品者)と、権利を購入したい者(以下、購入希望者)の双方を含む。
【0067】
仲介部233は、前記マーケットにログインした出品者から出品を受け付ける。具体的に仲介部233は、ログイン画面、メニュー、ボタンといったユーザインターフェース(以下、UIともいう)を表示するためのデータをプレイヤ端末3に送信する。仲介部233は、出品者によるUIの操作に応じて、出品された権利を、出品管理用のデータベースに登録する。
【0068】
仲介部233は、前記マーケットにログインした購入希望者の端末(購入者端末10)に、所定のUIを表示させる。例えば、仲介部233は、UIとして、購入者端末10に、出品された権利の情報等を例えばリスト形式で表示させる。この場合、大会名、選手名やチーム名、使用されたキャラクタなどでリストを検索できるようにしておくと利便性がよい。リストはソーティングできるようにしておくと利便性がよい。ソーティングの条件には、例えば、会結果(優勝者のみを選択など)、所属チーム名、権利の種類(リプレイ権かトロフィーかなど)を指定できると利便性が高まる。
【0069】
また、仲介部233は、購入のリクエストを受け付けるUIも購入者端末10に表示させる。この例では、仲介部233は、UIとして、購入意思を入力するためのボタン(例えば「カートに入れる」といったラベルのボタン)を購入者端末10に表示させる。
【0070】
仲介部233は、購入希望者から購入のリクエストがあった場合には、その情報を出品者に、通信ネットワーク6を介して通知(以下、取引依頼通知)する。取引依頼通知に含める情報としては、購入希望者のID、購入条件(例えば価格)などを例示できる。
【0071】
取引依頼通知を受けた出品者が、出品した権利に対応したブロックを、購入希望者に転送(後述)することで、取引が成立する。換言すると、権利の所有権が購入希望者に移転される。本実施形態ではブロックチェーン技術を利用しているので、購入した者が唯一の、ブロックの所有者(権利者)となる。
【0072】
通知部234は、仲介部233の仲介によって取引が成立した場合に、転送元(出品者)、および転送先(購入希望者)の少なくとも一方に、仲介対価の支払い要求を通知する。この例では、通知部234は、転送元、および転送先の両者に、対価の支払い要求を通知するものとする。
【0073】
《ゲーム装置5における制御部56の機能的構成》
制御部56は、そのCPUが各種プログラムを実行することにより、対戦実行部561、結果記憶部562、および結果送信部563として機能する。
【0074】
対戦実行部561は、プレイヤによるコントローラ63の操作に従って、ゲームデータに含まれるオブジェクト、およびテクスチャなどのデータを読み出し且つゲームプログラムを実行する。ゲームプログラムの実行によって、二次元または三次元のゲーム画像情報が生成される。
【0075】
ゲーム画像情報は、グラフィック処理部52によって処理される。グラフィック処理部52の処理により、ディスプレイ61には処理後のゲーム画像が表示される。例えば、
図5に示すようなゲーム画像Scがディスプレイ61に表示される。
【0076】
とりわけ、対戦実行部561は、所定の条件を満たした場合(例えば、コントローラ63に対して所定の操作が行われた場合)に、対戦型アクションゲームによる対戦を開始する。対戦実行部561は、対戦の勝敗が決した場合(例えば、キャラクタの体力値が0になった場合)に、対戦を終了する。
【0077】
結果記憶部562は、対戦結果(勝敗、得点、試合時間など)を記憶部55に記録する。また、結果記憶部562は、コントローラ63による入力の履歴情報(以下、入力履歴情報)も記憶部55に記録する。入力履歴情報を用いることで、対戦を再現(リプレイ)することが可能になる。
【0078】
結果送信部563は、結果記憶部562によって記録された対戦結果、プレイヤを特定する情報(例えばID情報)、および入力履歴情報を、通信ネットワーク6を介してサーバ装置2に送信する。サーバ装置2は、対戦結果、プレイヤを特定する情報、および入力履歴情報を審判用端末4に送信する。
【0079】
《審判用端末の機能的構成》
図6に、審判用端末4における制御部86の機能をブロック図で示す。審判用端末4の制御部86は、そのCPUが各種プログラムを実行することにより、UI表示部40、結果受信部41、結果検証部42、結果認証部43、および認証結果送信部44として機能する。
【0080】
UI表示部40は、メニュー等のUIをディスプレイ91に表示する。使用者(ここでは審判)は、タッチパッド93(ディスプレイ91)でUIを操作することによって、種々の指示を審判用端末4に与えることができる。この例では、UIとして、「検証開始メニュー」、および「対戦結果判定UI」がある。
【0081】
結果受信部41は、サーバ装置2が送信した対戦結果の情報を受信する。結果受信部41は、審判用端末4内の記憶部85に受信した対戦結果を記録する。また、結果受信部41は、サーバ装置2が送信した入力履歴情報を受信する。結果受信部41は、審判用端末4内の記憶部85に、受信した入力履歴情報を記録する。
【0082】
結果検証部42は、使用者(ここでは審判)による検証開始メニューの操作に応じて、リプレイデータを構築する。結果検証部42は、リプレイデータの構築を入力履歴情報に基づいて行う。結果検証部42は、構築したリプレイデータをディスプレイ91に表示する。これにより、審判(判定人)は、リプレイデータに基づいて、対戦における不正の有無などを判定することができる。
【0083】
結果認証部43(認証部)は、審判による判定結果を受け付ける。この例では、対戦結果判定UIとして、「OK」、および「NG」のボタンがディスプレイ91に表示される。結果認証部43は、審判が「OK」をクリックした対戦結果を、正当な結果として認証して認証結果送信部44に送る。
【0084】
認証結果送信部44は、結果認証部43から入力された認証結果、結果情報、およびプレイヤを特定する情報をサーバ装置2に送信する。
【0085】
《プレイヤ端末3の機能的構成》
図7に、プレイヤ端末3における制御部86の機能をブロック図で示す。プレイヤ端末3の制御部86は、そのCPUが各種プログラムを実行することにより、UI表示部30、トークン管理部31、出品部32、取引要求受信部33、および取引許可部34して機能する。
【0086】
UI表示部30は、所定のUI画面をディスプレイ91に表示する。使用者(ここではプレイヤ)は、タッチパッド93(ディスプレイ91)でUIを操作することによって、種々の指示をプレイヤ端末3に与えることができる。
【0087】
この例では、UI表示部30が表示するUIとして、「出品メニュー」、「取引要求確認メニュー」、および「取引許可UI」がある。本実施形態では、UI表示部30は、取引許可UIとして、「取引承認」、および「取引拒否」のボタンをディスプレイ91に表示する。
【0088】
トークン管理部31は、プレイヤ端末3をブロックチェーンのノードとして機能させる。例えば、トークン管理部31は、サーバ装置2から転送されたブロック(トランザクション情報)を受信する。
【0089】
トークン管理部31は、所定の条件が成立した場合(取引が成立した場合)に、ブロックを取引相手(転送先)に転送する。トークン管理部31は、ブロックを転送する場合には、サーバ装置2の転送部232と同様のプロトコルによって転送を実行する。
【0090】
出品部32は、使用者(ここでは、出品者であり、例えばプレイヤ)が出品メニューを操作した場合に機能する。出品部32は、サーバ装置2へログインを要求し、仲介部233との接続を確立する。出品部32は、出品者が売却を希望するブロックの情報を、通信ネットワーク6を介して仲介部233に通知する。これにより、売却希望のトークンが、出品管理用のデータベースに登録される。
【0091】
取引要求受信部33は、プレイヤ端末3に送信された取引要求(後述)を受信する。この例では、取引要求は、サーバ装置2の仲介部233から通信ネットワーク6を介して送信される。取引要求を送受信する手段には、例えば、E-メール、プッシュ通信といった通信手段を利用できる。
【0092】
取引要求受信部33は、使用者(権利者)がタッチパッド93を介して取引要求確認メニューを操作した場合に、取引要求の内容(後述)をディスプレイ91に表示する。使用者は、取引の対象となっている権利(ブロック)を、ディスプレイ91を見ることで確認できる。
【0093】
取引許可部34は、使用者(権利者)が「取引承認」のボタンを操作した場合に機能する。取引許可部34は、取引を承認したことを示す情報(以下、許可通知)を購入希望者の端末(購入者端末10)に送信する。
【0094】
取引許可部34は、ブロック(トークン)を移転するための条件(以下、取引条件)が成立したら、取引対象のブロック(トークン)の転送を、トークン管理部31に許可する。これにより、トークンの所有権が転送先の使用者(購入希望者)に移転する。なお、取引条件には、一例として、対価の支払いが挙げられる。
【0095】
《購入者用端末の機能的構成》
図8に、購入者端末10における制御部86の機能をブロック図で示す。購入者端末10の制御部86は、そのCPUが各種プログラムを実行することにより、UI表示部101、トークン管理部102、取引要求部103、および許可受信部104として機能する。
【0096】
UI表示部101は、所定のUI画面をディスプレイ91に表示する。使用者(ここでは購入希望者)は、タッチパッド93(ディスプレイ91)でUIを操作することによって、種々の指示をプレイヤ端末3に与えることができる。この例では、UIとして「購入メニュー」がある。
【0097】
トークン管理部102は、購入者端末10をブロックチェーンのノードとして機能させる。トークン管理部102は、所定の条件が成立した場合(取引が成立した場合)に、プレイヤ端末3から転送されたブロック(トランザクション情報)を受信する。
【0098】
トークン管理部102は、ブロックを転送することもできる。トークン管理部102は、ブロックを転送する場合には、サーバ装置2の転送部232と同様のプロトコルによって転送を実行する。
【0099】
取引要求部103は、使用者(購入者)が購入メニューを操作した場合に機能する。取引要求部103は、サーバ装置2へログインを要求し、仲介部233との接続を確立する。接続が確立したら、出品のリスト、および購入受付のUIデータ(メニュー等)が仲介部233によって、購入者端末10に送られてくる。
【0100】
取引要求部103は、送られてきた出品リスト等をディスプレイ91に表示する。これにより、購入希望者は、購入を希望する権利等(トークン)を選ぶことができる。取引要求部103は、購入希望者が選んだ、出品を特定する情報(以下、取引情報)をサーバ装置2の仲介部233に送信する。
【0101】
許可受信部104は、出品者の端末(プレイヤ端末3)からの許可通知を受信する。購入者は、取引条件を成立させるために、例えば対価の支払いを行う。対価の支払いは、例えば、ネットバンクによる送金、仮想通貨による送金などを利用できる。
【0102】
《動作例》
〈対戦の実施〉
図9に対戦実施のフローチャートを示す。本実施形態では、各プレイヤP1,P2は、予め大会にエントリした際に、本人認証のためのQRコード(登録商標)が配布されているものとする。対戦を開始する際には、各プレイヤP1,P2は、認証装置7にQRコードを読み込ませる。これにより、QRコードに伴う情報は、サーバ装置2に転送される。
【0103】
サーバ装置2は、コードリーダ71から送信されたQRコードに伴う情報の検証結果(正当なプレイヤか否かの情報)を、審判の端末(審判用端末4)に転送する。審判用端末4に送られてきた検証結果に問題がなければ、審判は対戦開始をプレイヤP1,P2に指示する。
【0104】
各プレイヤP1,P2が、それぞれのコントローラ63を操作することで、対戦実行部561が対戦を進行する(ステップS01)。対戦では、例えば、いずれかのキャラクタの体力値が0になることで、一旦、勝敗が決められる。勝敗が一旦定まると、結果記憶部562は、記憶部55に対戦結果を記憶する(ステップS02)。また、結果送信部563は、対戦結果を、サーバ装置2に送信する(ステップS03)。
【0105】
〈対戦結果の確定〉
図10に対戦結果確定のフローチャートを示す。本実施形態で例示するeスポーツ大会では、プレイヤP1,P2による不正の有無などが、審判によって判定される。この例では、対戦が終わると、サーバ装置2から審判用端末4に対戦結果の情報および入力履歴情報が送られてくる。
【0106】
審判用端末4の結果受信部41は、送られてきた対戦結果等を受信する(ステップS11)。ここで、審判が、審判用端末4のUIを操作すると、結果検証部42がリプレイデータを構築する(ステップS12)。結果検証部42は、構築したリプレイデータをディスプレイ91に表示する。これにより、審判(判定人)は、リプレイデータに基づいて、対戦における不正の有無などを検証することができる。審判は、判定結果を、対戦結果判定UIを操作して入力することができる。
【0107】
結果認証部43は、審判が入力した検証結果を受け付け、それを認証する(ステップS13)。これにより対戦結果が確定する。対戦結果が確定したら、認証結果送信部44は、認証結果をサーバ装置2に送信する(ステップS14)。ここでは、対戦が正当なものとして、認証されたものとする。
【0108】
〈対戦結果トークン化〉
認証結果送信部44から送られてきた対戦結果が正当でない場合には、サーバ装置2は、対戦結果のトークン化は行わない。一方、対戦結果が正当であると認証された場合には、サーバ装置2では、対戦結果をトークン化する。
図11に対戦結果トークン化のフローチャートを示す。
【0109】
まず、サーバ装置2は、審判用端末4から、検証された対戦結果を受信する(ステップS21)。記録部231は、受信した対戦結果に基づいてブロック(トークン)を生成し、分散型台帳に記録する(ステップS22)。つまり、この例では、サーバ装置2がブロックを生成する。
【0110】
転送部232は、勝者(対戦結果にかかる権利の所有者)のプレイヤ端末3にブロック(トークン)を転送する(ステップS23)。プレイヤ端末3は、ブロックチェーンのノードとして機能する。これにより、その対戦結果が、勝者に帰属するものとして分散型台帳に記録される。
【0111】
〈トークンの取引〉
本実施形態のトークンの取引には、サーバ装置2、プレイヤ端末3、および購入者端末10が使用される。
図12にトークン取引のフローチャートを示す。トークンの取引は、何れかの権利者(例えば対戦の勝者)が、自身が持つ権利(トークン)を出品していることが前提となる。例えば、対戦の勝者は、自身のプレイヤ端末3(出品部32)を機能させて、自身が所有するトークンをサーバ装置2の仲介部233に出品できる。
【0112】
トークン購入を希望者するものは、自身の購入者端末10から、サーバ装置2にログインし、購入を希望するトークン(権利)を選ぶ。購入希望者がトークンを選んだら、購入者端末10の取引要求部103は、取引情報を仲介部233に送信する(ステップS31)。
【0113】
仲介部233は、前記取引依頼通知を権利者のプレイヤ端末3に送信する(ステップS32)。そうすると、プレイヤ端末3は、取引依頼通知を受信し(ステップS33)、使用者(権利者)に通知が発報される。
【0114】
ここで、権利者が「取引承認」のボタンを操作すると、取引許可部34は、許可通知を購入者端末10に送信する(ステップS34)。許可通知が送信されると、購入者端末10では、許可受信部104が許可通知を受信する(ステップS35)。
【0115】
取引条件が成立したら、取引許可部34は、取引対象のブロック(トークン)の転送をトークン管理部31に許可する。これにより、トークンの所有権が転送先の使用者(購入希望者)に移転する。
【0116】
以上のようにブロック(トークン)の取引が成立したら、サーバ装置2では、通知部234が、転送元(出品者)、および転送先(購入希望者)の両者に、仲介対価の支払い要求を通知する(ステップS36)。ゲームシステム1では、サーバ装置2の仲介によって、トークンが取引される。
【0117】
以上をまとめると、本件発明は、コンピュータを介して行われる対戦(ゲーム)の結果を管理するコンピュータシステムであって、前記ゲームのゲーム結果の情報と、前記ゲーム結果の情報に対応したプレイヤを特定する情報とを紐付けた情報であるトランザクション情報を分散型台帳に記録する記録部231を備えたことを特徴とするコンピュータシステム(ゲームシステム1)である。
【0118】
《本実施形態の効果》
本実施形態では、ゲーム結果をトークン化して分散型台帳に記録している。本実施形態によれば、コンピュータを介して行われたゲームの結果を管理できる。そして、本実施形態では、コンピュータを介して行われたゲーム結果を容易に追跡できる。換言すると、本実施形態では、ゲームにともなって生ずる権利の帰属を明確化できる。また、その権利を安全に取引できる。延いては、アマチュアプレイヤのプロ化推進、プロプレイヤの収入確保に繋がる。
【0119】
また、本実施形態では、分散型台帳を採用したので、前記ゲーム結果の情報を共有化できる。
【0120】
[実施形態2]
実施形態2では、サーバ装置2における制御部23の他の構成例を説明する。
図13は、実施形態2におけるサーバ装置2の構成を示すブロック図である。本実施形態では、制御部23のCPUが各種プログラムを実行することにより、記録部231、転送部232、仲介部233、通知部234、情報取得部235、および認証部236として機能する。記録部231、転送部232、仲介部233、および通知部234は、実施形態1で説明したものと同様の機能を発揮する。
【0121】
情報取得部235は、判定人(審判)のプロフィールの情報を含んだデータベース(以下、判定人データベース)から、前記プロフィールの情報を取得する。プロフィールの情報には、種々の情報を含めることができる。
【0122】
本実施形態では、審判が行った判定の信頼性を評価するための情報を判定人データベースに収集してある。信頼性評価の指標として、本実施形態で用いるプロフィールを以下に例示する。
(1)過去に審判を行った大会のリスト
(2)審判が所属する団体名
(3)審判資格の等級(例えば一級、二級などの、審判の所属団体が発行する等級)
(4)過去の試合の評価に対する評価
(5)大会参加者からのフィードバック
(6)大会視聴者からのSNS(social networking service)等を介した評価
なお、判定人データベースの実装の方法に限定はない。判定人データベースは、例えば、リレーショナルデータベースで実装したり、ブロックチェーンのような分散型台帳で実装したりできる。
【0123】
認証部236は、審判のプロフィールを確認し、審判が行った対戦結果の正当性を判定する。この判定は、例えば、審判のプロフィールを数値化し、その値を閾値と比較することで実現できる。認証部236は、審判の判定が正当であると判定できる場合には、対戦結果を正当なものと認証する。
【0124】
認証部236が正当であると認証した対戦結果は、実施形態1と同様にしてトークン化されて、分散型台帳に記録される。
【0125】
《本実施形態の効果》
制御部23が情報取得部235および認証部236として機能できると、ゲームシステム1が運営に直接的に関与しないゲームであっても、正当なゲーム結果である限り、それをトークン化することが可能になる。それにより、本実施形態では、アマチュアプレイヤのプロ化、プロプレイヤの収入確保が、より推進される。
【0126】
[その他の実施形態]
ゲームシステム1では、以下のような運用を行ってもよい。
【0127】
(1)プレイヤには、コンピュータによって形成された仮想の部屋を使用する権利を与えるとともに、トークン(ブロック)の所有を条件に、仮想の部屋にトロフィーなどの仮想アイテムをおけるようにしてもよい。こうすることで、ゲームへの参加が推進され、ゲームシステム1の利用が活発化される。
【0128】
また、トークンを譲渡した場合には、譲受人の仮想の部屋にトロフィーなどの仮想アイテムをおけるようにしてもよい。
【0129】
トークンによる権利は、トロフィーには限定されない。例えば、トークンによる権利として、トロフィー以外にも、専用のコスチューム、装備、ステージ、抽選の権利など、ゲームにまつわるも種々のアイテムやイベントが考えられる。また、トークンによる権利として、仮想の部屋内の様子を、通信ネットワークを介して、動画配信を行えるようにしてもよい。
【0130】
(2)トークンは、ゲーム後に大会の運営者が買い取るようにしてもよい。例えば、何勝かしたら運営者が買い取るといった仕組みが考えられる。こうすることで、ゲームへの参加が推進される。延いては、ゲームシステム1の利用が活発化される。
【0131】
勿論、トークンの買い手は、大会の運営者には限定されない。例えば、スポンサーが、ゲーム後にトークンを買い取る仕組みでもよい。スポンサーは、大会のスポンサー、およびプレイヤのスポンサーの何れでもよい。スポンサーによるトークンの買い取りは、例えば、スポンサーがいる大会では、大会への参加費を原資にできる。
【0132】
このように、トークンを介して資金をやりとりすることで、お金の流れを明確化できる。例えば、「参加費が賞金の原資になっていない」ことが法的に必要な国において本コンピュータシステムを運用する場合には、トークンを介して資金をやりとりすることで、こういった法制に容易に対応できる。
【0133】
また、トークン化の対象(取引の対象)は、リプレイデータにかかる権利には限定されない。例えば、以下のような事項を例示できる。
【0134】
ゲームのセーブデータ(ゲームを途中から再開可能なデータ)をトークン化してもよい。こうすることで、ゲームシステム1の利用が活発化される。
【0135】
例えば、プレイヤのアカウントに紐づく勝敗履歴をトークン化してもよい。これにより、例えば、対戦相手が強さで階層分けされている場合に、すぐに強い階層でプレイする、といった運用が可能になる。
【0136】
プレイヤのアカウント自体をトークン化してもよいし、プレイヤのゲーム内の名前(襲名権)をトークン化してもよい。
【0137】
チーム単位でゲームに参加しているのであれば、そのチーム自体の所有権をトークン化してもよい。これにより、例えば、対戦相手が強さで階層分けされている場合に、すぐに強い階層でプレイする、といった運用が可能になる。
【0138】
ゲーム結果が正当ではない場合に、ゲーム結果の情報をトークン化してもよい。このトークンを保持したブロックチェーンは、例えば、不正をするプレイヤのデータベースとして利用することが考えられる。
【0139】
ゲームの種類は、例示した格闘ゲームには限定されない。ゲームシステム1(コンピュータシステム)は、種々のゲームプレイに利用できる。例えば、ゲームは、対人戦に限らない。また、ゲームは、複数のプレイヤが互いに協力してプレイするゲームでもよいし、個人でプレイするゲーム(例えばタイムアタックなど)でもよい。ゲームシステム1では、これらのゲーム結果(例えばタイムアタックのタイム)をトークン化するように構成してもよい。
【0140】
また、審判は検証結果に問題がなければ、そのまま審判用端末4から結果をサーバ装置2に返信してもよいし、次のゲームに関する認証装置7にQRコードを読み込ませてもよい。
【0141】
プレイヤと審判の認証については、例示したフローには限定されない。例えば、審判が正当なプレイヤのQRコードに伴う情報等をサーバ装置2に送信し、サーバ装置2からプレイヤのプレイヤ端末3に認証結果を送信するようにしてもよい。また、審判、およびプレイヤがQRコードに伴う情報等をサーバ装置2に送信し、両方のQRコード等が正当な場合に、正当性を認証するように構成してもよい。
【0142】
結果情報は、例示したものには限定されない。ゲーム結果情報には、ゲームにまつわる情報をすべて含む。例えば、ゲーム結果情報には、使用キャラクタ、種々のタイム、プレイヤIDとそれに紐づく情報、使用した技の種類と回数、コンボ(連続技)の回数、最大ダメージを与えたコンボを例示できる。また、ゲーム結果情報には、実況者、解説者、会場名、大会名、使用したコントローラ名を特定する情報を含めてもよい。
【0143】
分散型台帳をブロックチェーンによって構成した場合には、他のブロックチェーンとクロスチェーンを構成できるようにしてもよい。例えば、仮想通貨のブロックチェーンとのクロスチェーンを構成したり、ゲーム通貨のブロックチェーンとのクロスチェーンを構成したりすることが考えられる。また、他のゲーム(あるいは大会)を管理するブロックチェーンとのクロスチェーンを構成してもよい。
【0144】
ブロック(すなわちトークン)を預かるサーバ(トークン管理サーバ)を構築してもよい。ゲームシステム1のサーバ装置2をトークン管理サーバとして利用してもよいし、別のサーバをトークン管理サーバとして用意してもよい。トークン管理サーバを設けることで、トークン所有者の負担(例えばセキュリティ管理)が軽減される。この場合においても、例えば、プレイヤ(トークン所有者)は、トークンの所有権を基に、自身のゲーム装置5などでリプレイ再生を行ったり、仮想空間内に仮想のトロフィーを飾ったりできる。
【0145】
審判の信頼性が低い場合には、別の審判に判定をあおいで手伝ってもらったり、あるいはAI(artificial intelligence)と共同評価を行ったりしてもよい。また、人(審判)とAIとの共同評価は常に実施してもよい。
【0146】
ひとりのプレイヤが、複数のコントローラを使用できるようにしてもよい。例えば、マウスとキーボードを併用できるようにすることが考えられる。
【0147】
コントローラの種類は、入力に使えるならば限定はない。例えば、声や視線だけで操作する装置をコントローラとして採用してもよい。
【0148】
ゲームプレイ用のゲーム装置5は2台以上あってもよい。また、複数のゲーム装置5によるオンラインゲームや、近距離通信によるゲームでもよい。
【0149】
認証装置7の設置場所に限定はない。例えば、認証装置7は、大会の会場に設置されていてもよい。認証装置7を携帯用端末で構成してもよい。携帯用端末は、例えばスマートフォンを採用し、認証用アプリをそれにインストールして認証装置の役割を実行させればよい。
【0150】
審判とプレイヤのIDは共通でもよい。例えば、審判兼プレイヤがいる場合に、このような運用が考えられる。その場合、プレイヤの実績に応じて審判としての信用度(実施形態2を参照)を評価してもよい。例えば、プレイヤとしても活動している審判は、審判としての信頼度を下げることが考えられる。また、IDを共通にできるにもかかわらず、プレイヤのIDと審判のIDとを登録しているのが見つかった場合には、罰則があってもよい。
【0151】
トークンにかかるリプレイ等の動画再生専門の動画サイトを構築したり、トークンに基づくゲーム内コンテンツを設けたりしてもよい。
【0152】
トークン化を行う装置は、サーバ装置2には限定されない。例えば、所定の端末(例えばスマートフォンなどの携帯用端末)をトークン化に利用できるようにゲームシステム1(コンピュータシステム)を構成してもよい。この場合、端末は、次の操作及び処理を行えるように構成すればよい。
(1)対戦結果を端末に表示されているフォームに入力する。
(2)次に、フォーム入力に基づいて、その端末によってトークン化(ブロックの生成)を行う。
(3)そのブロックを端末によってブロックチェーンに繋ぐ。
【0153】
対戦結果が敗者に送信されるようにゲームシステム1(コンピュータシステム)を構成してもよい。対戦結果の送信先としては、敗者のプレイヤ端末3を例示できる。敗者への対戦結果の送信は、サーバ装置2によって行ってもよいし、別の装置を用意してもよい。
【0154】
これらの他の実施形態を採用した場合においても、本発明の作用効果は発揮される。また、本実施形態と他の実施形態、および他の実施形態同士を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0155】
1 ゲームシステム(コンピュータシステム)
5 ゲーム装置(コンピュータ)
43 結果認証部(認証部)
236 認証部
231 記録部
232 転送部
233 仲介部
234 通知部
235 情報取得部